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マグロをめぐる状況 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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マグロをめぐる状況 - 国立国会図書館デジタルコレクション
ISSUE
BRIEF
マグロをめぐる状況
国立国会図書館
ISSUE BRIEF
はじめに
NUMBER 738(2012. 2.16.)
Ⅲ 野生生物保護の観点から
1 CITES 附属書への掲載問題
Ⅰ マグロ概説
1 マグロの種類
2 混獲問題
2 我が国のマグロ食文化
Ⅳ 資源の確保に向けて
3 漁獲量、供給量の動向
1 我が国におけるクロマグロの
Ⅱ 地域漁業管理機関について
養殖
1 管理機関の概要
2 完全養殖
2 マグロ資源の概況
3 農林水産省の対策
おわりに
3 管理機関の問題点
2010 年 3 月に開かれた CITES(ワシントン条約)締約国会議で、大西洋のク
ロマグロを絶滅危惧種として附属書に掲載し、国際取引の禁止対象とする提案が
モナコからなされた。結果的に、反対多数で掲載は見送られたものの、当初は可
決される見通しもあったことから、同会議の動向は我が国でも大きく取り上げら
れた。世界のマグロ資源については、5 つの地域漁業管理機関が管理しているが、
これまで必ずしも資源を適切な状態に回復し、維持できているとはいえない。
我が国では、天然資源に影響を与えないとされるクロマグロの完全養殖の研究
も進み、一部では出荷も始まっているが、さらなる普及には技術面やコスト面で
の改善が不可欠である。今後も、これまでと同じようにマグロを食べ続けること
ができるのか。マグロを最も多く消費する国として、我が国は野生生物保護の観
点にも目を配りながら、実効性のある資源管理の実施が求められている。
農林環境課
ほんだ
のぶあき
(本田 伸彰)
調査と情報
第738号
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
はじめに
2010 年 3 月に開かれた「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」
(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora: CITES、いわゆる「ワ
15 回締約国会議において、大西洋のクロマグロ
を絶滅危惧種として附属書に掲載し、国際取引の禁止対象とする提案がモナコからなされ
た。結果的に、反対多数で附属書への掲載は見送られたものの、当初は可決される見通し
もあったことから、同会議の動向は我が国の報道等でも大きく取り上げられた。
クロマグロについては、天然資源に影響を与えないとされる完全養殖の研究も進み、一
部では出荷も始まっているが、消費量全体に占める割合は大きくない。これまで多くのマ
グロを消費してきた我が国では、今後もマグロを食べ続けることができるのか。国際的な
管理体制や資源確保に向けた動きなどを中心に、
マグロをとりまく状況について紹介する。
シントン条約」
。以下は「CITES」と表記)の第
Ⅰ マグロ概説
1 マグロの種類
生物学的にマグロは、サバやカツオに近い仲間で硬骨魚類網スズキ目サバ科マグロ属に
分類される。マグロ属にはクロマグロ1、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ(ビン
、コシナガ、タイセイヨウマグロの 7 種類が知られている。我が国では、コシナガ、
チョウ)
タイセイヨウマグロを除く主に 5 種類が消費されている(表 1)。
表 1 我が国で消費されるマグロの概要
種名
概要
クロマグロ
大西洋や地中海、日本近海を含む太平洋などで漁獲される。一般に「本マグロ」と呼ばれ、
高値で取引される。体長 3m、体重 400kg にもなるといわれる。
ミナミマグロ
オーストラリアやニュージーランド、南アフリカの沖の低水温の海域で漁獲される。脂が
のっており、クロマグロほどではないものの高値で取引される。大きいもので体長 2m、体
重 150kg 以上になる。
メバチ
赤道を挟み南北の緯度約 35 度にわたる広い範囲で漁獲される。赤身が多く、主に刺身とし
て利用される。体長 2m、体重 150kg 以上になる。
キハダ
メバチと、ほぼ同じ漁場で漁獲され、世界で最も漁獲量が多いマグロである。欧米などで
は缶詰として多用されるが、我が国では刺身としても消費されている。大きいもので体長
2m、体重 100kg 以上になる。
ビンナガ
世界中の海に広く分布し、大きく回遊する小型のマグロで体長は 1m 前後。国内外で主に
(ビンチョウ)
缶詰の材料として消費されている。
(出典)日本かつお・まぐろ漁業協同組合「かつお・まぐろ物知り箱 かつお・まぐろの種類って、どのくら
いあるの?」<http://www.japantuna.net/dic_03>; 伊東芳則「スーパーフィッシュまぐろの秘密」
『ニューフー
クロマグロについては、大西洋と太平洋に生息する群れの間に交流がないことや、ミトコンドリアの DNA を
比較した遺伝子レベルの研究等から、大西洋と太平洋のクロマグロは別種もしくは亜種であるとの指摘もある
(山田和彦「築地市場の魚たち クロマグロ」
『ニューフードインダストリー』51(11), 2009.11, pp.67-72.など
を参照)
。
1
1
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
ドインダストリー』52(4), 2010.4, pp.67-71.などを基に筆者作成。
2 我が国のマグロ食文化
我が国では、約 6000 年前の縄文時代の貝塚から骨が出土するなど、古代からマグロを
食料として利用してきたとされ2、8 世紀にまとめられた『古事記』にもマグロに関する記
述がみられるという3。ただし、一般に庶民に広く食べ始められたのは、定置網漁が普及し
た江戸時代後期からで、生身を醤油に漬ける「ヅケ」が生み出されたことで、保存性が高
まった。当時、好まれたのは赤身の方で、トロは脂が多く傷みやすいためアラとして捨て
られていたともされる。マグロが高級魚として扱われるようになったのは、冷凍冷蔵設備
が普及した 1960 年代半ばのことで、食の欧米化とともに脂ののったトロも好まれるよう
になった4。
3 漁獲量、供給量の動向
(1)漁獲の方法
マグロの漁獲方法としては、はえ縄(主にクロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、
ビンナガが対象)
、まき網(主にクロマグロ、キハダが対象)
、引き縄釣り(主にクロマグ
ロが対象)
、竿釣り(主にビンナガが対象)などが知られている5。
1950 年代から 1980 年代ごろまでは、世界のマグロの多くは、はえ縄や竿釣りによって
漁獲され、まき網は少数派であった。1980 年代以降は、まき網による漁獲量が急激に増加
し、2000 年代には全体の約 6 割を占めるまでになっている6。複数の船で群れを囲うよう
に網を広げて行うまき網漁は、稚魚なども含めて群れごと漁獲してしまうことから、資源
に与える影響は大きいと指摘されている。
(2)蓄養について
1990 年代初頭にオーストラリアで、
小型のミナミマグロをまき網で漁獲して大型の生け
簀まで曳航し、商品のサイズまで育成する養殖の方法が始まった。この方法は「蓄養」と
呼ばれ、1990 年代後半には、スペインなど地中海沿岸諸国やメキシコにおけるクロマグロ
の養殖にも取り入れられ、世界におけるマグロ養殖の標準となった7。
地中海では、2000 年前後にマルタ、チュニジア、トルコなどが蓄養事業に参入、2005
2 中野秀樹・岡雅一
「第 2 章 食べ物としてのマグロ 2 日本人はどれくらい昔からマグロを食べていたのか」
『マグロのふしぎがわかる本』築地書館,2010, pp.87-91.
3 田辺悟「Ⅱ マグロ漁の歴史と民俗 一 マグロ漁の歴史」
『マグロの文化誌』慶友社,2010, pp.60-77.
4 熊井英水「第 7 章 クロマグロの現代事情」
『究極のクロマグロ完全養殖物語』日本経済新聞出版社,2011,
pp.181-223; 「追う クロマグロ乱獲 消費国の責任は」
『読売新聞』2010.3.25, 夕刊; 前掲注(2)などを参照。
5 はえ縄は、1 本の長い縄(幹縄)に、釣り針がついた多数の縄(枝縄)を垂らして漁獲する方法。幹縄の長さ
は 100km に達するものもあるという。また、引き縄釣りは、疑似餌がついた針を、漁船が引きながら漁獲する
方法である(水産庁「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について」
(平成 24 年 1 月)水産庁ホームページ
<http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/pdf/tuna_00.pdf>などを参照)
。
6 水産庁・水産総合研究センター「平成 22 年度国際漁業資源の現況 まぐろ・かつお類の漁業と資源調査(総
説)
」 <http://kokushi.job.affrc.go.jp/H22/H22_03.pdf>などを参照。
7 日高健「第 1 章 世界におけるマグロ養殖の概要」
『研究レポート 世界のマグロ養殖』農林統計協会,2010,
pp.1-19.
2
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
年前後にはイタリア、ギリシャ、キプロス、リビアが参入し、9 か国 31 事業者にまで拡大
した8。その後は、国際規制の強化や原魚価格の高騰もあり事業者の数は減少し、2010 年
時点の実績では 6 か国 19 事業者とされる。
蓄養には問題点も多く、幼魚を乱獲することや、捕獲してそのまま生け簀に移されるた
め原魚の漁獲量が特定できず資源管理が難しい9ことなどが指摘されている。また地中海に
はもともと生息しないニシンをエサとして与えるため、新たな病気を広げるのではないか
と懸念する声もある10。
(3)我が国における漁獲量と供給量
世界全体のマグロの漁獲量は国連食糧農業機関の統計11によると、2009 年に約 181 万ト
ンとなっており、種別ではキハダが約 109 万トン、メバチが約 40 万トンで、クロマグロ
は大西洋と太平洋のものを合わせて約 4.5 万トンとなっている。2010 年の、我が国のマグ
ロの漁獲量は 19.4 万トンで、輸入量をあわせた供給量は推計で 38.6 万トンとなっており
(表 2)
、世界で獲れるマグロのおよそ 2 割が我が国で消費されているといえる。
表 2 我が国におけるマグロの漁獲量と供給量(2010 年)
種名
漁獲量
供給量(推計値) 供給量に占める
マグロ全体の供給量に
(万トン)
(万トン)
国産の割合
占める種別の割合
クロマグロ
1.0
2.4
41.7%
6.2%
ミナミマグロ
0.2
1.1
18.2%
2.8%
メバチ
4.6
12.9
35.7%
33.4%
キハダ
8.2
14.5
56.6%
37.6%
ビンナガ
5.4
7.6
71.1%
19.7%
計
19.4
38.6
50.3%
100%
(出典)漁獲量は、農林水産省「平成 22 年漁業・養殖業生産統計」
(平成 23 年 11 月 10 日公表)<http://www.
maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/pdf/gyogyou_seisan_10c.pdf>; 供給量の推計値については、水産庁
「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について」
(平成 24 年 1 月)<http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/pdf/tuna
_00.pdf>を基に筆者作成。
我が国で消費されているマグロを種別にみると、キハダ(供給量に占める割合は 37.6%)、メ
バチ(同 33.4%)が多く、トロが取れ、高値で取引されるクロマグロとミナミマグロは、合
わせても 10%に満たない。なお、我が国の養殖によるマグロの生産量はこれまで統計が取
られておらず12、表中には含まれていないが、2010 年には約 9,000 トンが養殖で生産され
8 林弘二
「激動のマグロ産業の行く末 第 2 回 激変する地中海蓄養マグロの現状と日本市場への影響」
『養殖』
48(8), 2011.7, pp.36-39.
9 蓄養場には、様々な国から買い付けられた原魚がいるため、水揚げ時に誰が漁獲したか分からない場合も多
い(三宅眞「大西洋クロマグロ CITES の嵐と嵐の後は?」
『海洋水産エンジニアリング』10(93), 2010.9,
pp.9-16.)
。
10 「WWF の活動 蓄養マグロの問題」世界自然保護基金(WWF)ジャパンホームページ <http://www.wwf.
or.jp/activities/2008/09/624828.html>
11 国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations: FAO)の魚介類の統計に関
するホームページ <http://www.fao.org/fishery/statistics/global-production/en>から。
12 クロマグロの養殖実績については、農林水産省が報告の義務化を決定しており、2012 年 3 月ごろに初めて
3
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
たとみられている13。
(4)世界における魚食の増加
途上国における所得向上や欧米を中心とした健康食ブームなどを背景に、世界ではこの
40 年で、食用に用いられる魚介類の供給量は約 3 倍に増えている(表 3)。
世界的なニーズの高まりにより、我が国の購買力は低下しているともいわれ14、今後は
欧米や新興国との競合が熾烈となり、マグロを含めた魚介類の「買い負け」が常態化する
ことも予想される。特に、中国における魚食の伸びは際立っており、刺身用マグロの消費
量は、2000 年に約 200 トンだったものが 2008 年に約 10,000 トンと、50 倍になったとも
報じられている15。
表 3 世界の食用魚介類供給量の推移(1967-2007 年)
(単位:100 万トン)
年
1967 年
1977 年
1987 年
1997 年
2007 年
供給量
36.0
48.6
67.4
90.6
114.0
(出典)FAO, “1961-2007 FISH AND FISHERY PRODUCTS WORLD APPARENT CONSUMPTION
STASTICS BASED ON FOOD BALANCE SHEETS”. <ftp://ftp.fao.org/FI/CDrom/CD_yearbook_2008/ro
ot/food_balance/yearbook_food_balance.pdf>を基に筆者作成。
Ⅱ 地域漁業管理機関について
1 管理機関の概要
広い海域を泳いで生活する回遊魚のマグロは、1 つの国で資源管理を行うのは難しい。
そのため世界の大洋をカバーする形で、マグロの資源管理を目的とした 5 つの地域漁業管
理機関16(Regional Fisheries Management Organization: RFMO)が設立されている。5 つの RFMO
は合同でも会合を行っており、我が国はすべての RFMO に加盟している。
各 RFMO の基本的な構成としては、科学的根拠により資源評価を行う科学委員会があ
り、この科学委員会の勧告に基づき、各国の行政官からなる行政委員会が規制や漁獲枠を
決定している。
(1)大西洋まぐろ類保存国際委員会
大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas:
ICCAT)は 1969 年に設立され、スペインのマドリッドに本部がある。大西洋のマグロ類を
実績数が公表される予定である(水産庁「プレスリリース 「国内のクロマグロ養殖業の管理強化」及び「メ
キシコ産輸入クロマグロの情報収集」について」2011.1.28. <http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/saibai/110128.
html>)
。
13 「拡大・発展たどる愛媛県クロマグロ養殖の将来を予測」
『日刊水産経済新聞』2011.3.29.の記事中に、各種
資料やヒアリングによる数値として 2010 年の養殖クロマグロ生産量の推計が紹介されている。
14 秋本裕子「魚食拡大で水産物争奪戦再燃? 日本は新興国に買い負けも」
『エコノミスト』88(33), 2010.6.8,
pp.70-71.
15 「メガチャイナ マグロ消費 8 年で 50 倍 中産階層「毎週大トロ」
」
『読売新聞』2010.1.28.
16 各漁業管理機関の概要や漁獲割当量などは、水産庁や外務省、各管理機関のホームページのほか、中野秀樹・
岡雅一「第 7 章 資源管理―国際マグロ管理委員会」前掲注(2), pp.224-245.や、各種報道も参照した。
4
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
管理しており、48 の国と機関が加盟し、台湾など 5 つの国と地域が協力的非加盟国・地域
となっている。ICCAT の科学委員会は、加盟国が送り出す科学者で構成されているため、
直接雇用する人件費がかからない反面、利害が対立した場合に結論を出すのが困難だとさ
れる。
2010 年の年次会合では、東大西洋・地中海の 2011 年のクロマグロの TAC(総漁獲可能量)
を、2010 年比、4.4%減の 1 万 2900 トンと決めた17。我が国の割当は、2010 年の 1,148.05
トンから、51.02 トン減の 1,097.03 トンとなっている。削減は小幅だったものの、漁期前
に各国の漁獲枠遵守計画をレビューし、監視取締りが不十分であると判断された場合に、
操業を認めないなどの厳しい措置で合意された。なお、ICCAT では、体重 30kg 未満の小
型魚の採捕、陸揚げは禁止されている。
2011 年 11 月にトルコで開催された年次会合では、
新たにキハダの漁獲枠が設定された18。
また、メバチの年間漁獲枠は 2015 年まで、現行の 85,000 トン(我が国の割当量は 23,611 トン)
に据え置くことで決定した。
(2)中西部太平洋まぐろ類委員会
中西部太平洋まぐろ類委員会(Western and Central Pacific Fisheries Commission: WCPFC)は、
2004 年に設立された最も新しい国際マグロ管理機関で、ミクロネシア連邦のポンペイ州コ
ロニアに本部がある。
日本近海を含む、
西太平洋のマグロやカツオの漁業を管理しており、
日本や韓国、中国、台湾、米国、EU など、25 の国や地域、機関が加盟している。
2010 年の第 7 回年次会合では、クロマグロの幼魚(0-3 歳)を漁獲制限することで合意さ
れた。この合意により、我が国は幼魚の 2011 年以降の漁獲量を、2009 年までの直近 5 年
間の平均に比べて、26%減らす計算となっている19。
(3)全米熱帯まぐろ類委員会
全米熱帯まぐろ類委員会(Inter-American Tropical Tuna Commission: IATTC)は、1950 年に設
立された最も古い国際マグロ管理機関である。米国サンディエゴ市に本部があり、東部太
平洋のカツオやマグロ類の管理を行っている。米国やコスタリカ、日本や韓国など 21 の
国や地域が加盟し、クック諸島が協力的非加盟国となっている。IATTC の特徴として、事
務局が科学者を雇用し、資源評価を行っていることが挙げられる。ただし、科学者の人件
費など、体制の維持に膨大な資金が必要であるともいわれている。
2011-2013 年は、メバチやキハダのはえ縄漁獲枠を、2007 年比 5%削減することが決ま
っている20。
(4)インド洋まぐろ類委員会
インド洋まぐろ類委員会(Indian Ocean Tuna Commission: IOTC)は、1996 年に設立され、
17「ニュースの理由 クロマグロ漁獲枠、
小幅削減 資源管理の流れ加速」
『日本経済新聞』
2010.12.2, 夕刊;「管
理の事前審査で操業停止も ICCAT 年次会合でクロマグロ枠微減」
『水産週報』1814, 2010.12.15, p.9.なども
参照。
18 「マグロ卸値 1~2 割上昇 漁獲規制で入荷減少」
『日本経済新聞』2011.12.9; 「大西洋国際委 メバチの漁
獲枠維持 15 年まで 日本は年 2 万 3000 トン」
『東京新聞』2011.11.21.なども参照。
19 「マグロ漁削減 太平洋も 国際委 幼魚の規制で合意」
『朝日新聞』2010.12.12.なども参照。
20 「マグロ「普及品」も上昇 メバチやビンナガ 前年比 3-10%高」
『日本経済新聞』2010.12.21.なども参照。
5
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
セーシェルの首都ビクトリアに本部がある。インド洋諸国のほか、日本、中国、韓国、フ
ランス、英国、EU など 29 の国と機関が加盟しており、モザンビークなど 3 か国が協力的
非加盟国となっている。加盟国に発展途上国が多く、漁獲統計の不備が当初からの課題で
あった。メバチやキハダの操業隻数は 2006 年水準に制限されている21。
(5)みなみまぐろ保存委員会
みなみまぐろ保存委員会(Commission for the Conservation of Southern Bluefin Tuna: CCSBT)は、
1994 年に設立され、オーストラリアのキャンベラに本部がある。日本、オーストラリア、
ニュージーランドなど 5 か国が加盟し、
拡大委員会のメンバーとして台湾が参加している。
明確な管理海域は持たず、ミナミマグロが回遊する海域すべてが管理対象となっている。
加盟国の科学者間の対立を避けるため、加盟国以外の科学者も招へいしているのが特徴
である。2011 年にインドネシアのバリ島で開かれた年次会合では、産卵親魚(8 歳以上)の
資源は低水準であるものの若齢魚が増加したことから、2012 年から 3 年間、段階的に漁
獲枠を増やすことで合意された。我が国の割当量は、2011 年の 2,261 トンから、2014 年
には 3,366 トンになる22。
2 マグロ資源の概況
巻末の表 4 は水産庁の資料を基に、マグロの種別、海域別の資源状況をまとめたもので
ある。大西洋のクロマグロやミナミマグロなどで、資源水準が低位となっている。太平洋
のクロマグロの親魚資源は、1960 年代に非常に高い水準であったが、1970 年代や 1990
年代前半に低迷した。1990 年代後半から良好な水準に回復したものの、最近では、再び減
少の傾向を見せ始めている23。
3 管理機関の問題点
地域漁業管理機関によるマグロの資源管理は、これまで必ずしも資源を適切な状態に回
復し、維持できているとはいえない。過去の実績を基に漁獲量を確保したい先進国と、こ
れから漁業を発展させたい途上国との間では、漁獲枠を巡る対立もある。各管理機関の科
学委員会が出す結論や勧告案についても、様々な政治的な思惑が少なからず影響を与えて
いることは否定できないとされる24。
また、マグロ資源管理の規制強化を逃れるため漁業管理機関に加盟していない国に船籍
を移して規制を逃れる便宜置籍船(Flag of Convenience: FOC)の問題25など、国際的なルール
21
同上
22「日本は 14 年に三三六六トン
CCSBT がミナミマグロ TAC 増を決定」
『水産週報』
1834, 2011.11.1, pp.14-15.
なども参照。
23 神谷崇「激動のマグロ産業の行く末 第 1 回 日本のクロマグロ資源管理体制と方針」
『養殖』48(7), 2011.6,
pp.38-42.などを参照。
24 魚住雄二「第 1 章 漁業危機の克服から再生へ向けて 第 2 節 混迷するまぐろ類資源管理からの脱却に向
けて」田中克ほか編『水産の 21 世紀―海から拓く食料自給』京都大学学術出版会,2010, pp.30-51.
25 中野秀樹・岡雅一「第 7 章 資源管理―国際マグロ管理委員会 8 マグロ委員会を悩ます IUU 漁業」前掲
注(2), pp.241-245.
6
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
を守らない漁船による IUU 漁業26の横行も課題となっている。地中海沿岸国の中には決め
られた漁獲枠を守らず、クロマグロを過剰に漁獲している国があるともいわれる。また、
そうして漁獲されたクロマグロの多くが、我が国で消費されているとも指摘されている27。
Ⅲ 野生生物保護の観点から
1 CITES 附属書への掲載問題
(1)モナコの提案をめぐって
2010 年 3 月にカタールのドーハで開かれた CITES の第 15 回締約国会議で、大西洋の
クロマグロを絶滅のおそれがある種として、学術研究目的以外の国際取引を禁止する附属
書Ⅰ28に掲載すべきだとの提案をモナコが行った。漁業国ではないモナコにより、こうし
た提案がなされる背景には、ICCAT などの資源管理機関の管理方法に批判を強める世界自
然保護基金(WWF)など動物保護団体や環境団体などの後押しや働きかけがあるとも報じ
られている29。
モナコから出された案は、米国や EU が賛成に回り、当初可決される見通しもあった30が
第一委員会で否決、また EU が提出した猶予期限付きの禁輸案も否決31され、全体会合で
もこの結果が承認されることになった。
CITES において、クロマグロの国際取引を禁止すべきだとの議論が行われたのは、今回
が初めてではない。1992 年に京都で開かれた会議ではスウェーデンが提案を行ったが、科
学的根拠が薄いなどの批判を受けて、提案を取り下げている。しかし 2010 年の会合では、
先進漁業国であるノルウェーがモナコの案に賛成しており、環境保護的な観点が各国の漁
業政策の決定に重要な役割を果たすようになっているのではないかとの指摘もある32。
(2)今後の見通し
クロマグロが、実際に絶滅する可能性については議論が分かれるところである。100 万
匹ともされる親魚の数からすぐに絶滅するとは考えられないとする研究者がいる33一方で、
各国政府などでつくる国際自然保護連合(IUCN)は 2011 年 7 月、大西洋のクロマグロを
「危機」の絶滅危惧種34に分類したと発表した35。IUCN ではすでにミナミマグロが「深刻
違法(Illegal)
、無報告(Unreported)
、無規制(Unregulated)の頭文字を取り IUU 漁業と呼ばれている。
勝倉敏夫「マグロが食卓から消える」
『日経ビジネス』1525, 2010.1.25, pp.94-96.
28 附属書は、絶滅のおそれの度合いに応じて 3 段階に分けられており、附属書Ⅰへの掲載が最も厳しい規制と
なる(外務省ホームページの CITES を解説するページ <http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/
wasntn.html>などを参照)
。
29 「基礎からわかるクロマグロ規制」
『読売新聞』2010.3.11.などを参照。
30 「クロマグロ取引禁止案 欧米支持日本窮地 ワシントン条約締約国会議開幕」
『産経新聞』2010.3.14.
31 モナコ提出の案は賛成 20、反対 68、棄権 30 で、EU が提出した猶予期限付きの禁輸案は賛成 43、反対 72、
棄権 14 で、それぞれ否決された。
32 宮原正典「Ⅰ. クロマグロの資源と国際規制 1 章 資源動向と管理」熊井英水ほか編『クロマグロ養殖業
―技術開発と事業展開』恒星社厚生閣,2011, pp.9-20.
33 「強まるマグロ規制 関係者に聞く 上 絶滅危機、判断に疑問 魚住雄二氏」
『日本経済新聞』2010.3.16.
34 IUCN は絶滅が危惧される種について、絶滅のリスクが高い順に「深刻な危機」
(Critically Endangered)
「危機」
(Endangered)
「危急」
(Vulnerable)の 3 段階に分けて分類している(矢原徹一・金子与止男訳「I
UCN レッドリスト カテゴリーと基準 3.1 版」2001. 自然環境センターホームページ <http://www.jwrc.or.j
p/JWRC/pdfs/IUCNRR.pdf>などを参照)
。
26
27
7
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
な危機」の絶滅危惧種、メバチが「危急」の絶滅危惧種に分類されている。環境保護団体
などはクロマグロの乱獲に対して抗議の姿勢を強めており、2010 年 6 月には国際環境保
護団体グリーンピースが、地中海で操業中のフランスの漁船に対して妨害活動を行った36。
CITES においては、規制の対象は狭義の野生生物から、商業魚種や木材樹種など広義の
野生生物に拡大している37。2000 年以降、特に海産種が増加し、現在規制対象となってい
る魚種は淡水産、海産を含め 96 種となっている38。次回会合は 2013 年にタイで開催され
る予定であるが、大西洋のクロマグロのみならず、ミナミマグロなど他のマグロ種の附属
書掲載が提案される可能性も否定できない。
2 混獲問題
マグロを漁獲する際、一緒に混獲される生物に対しても保護と管理を求める声が国際的
に広がっている39。主に問題となっているのは、アホウドリ類などの海鳥、サメ、ウミガ
メである。例えば、アホウドリ類は海水面に浮かんだエサを獲る性質があり、はえ縄の針
がついたエサを誤って飲み込んでしまう。混獲は、生態系への影響だけでなく、漁具の破
損や混獲した生物の救出などで漁業効率が下がってしまうため、漁業者にとっても解決す
べき課題となっている。
Ⅳ 資源の確保に向けて
1 我が国におけるクロマグロの養殖
(1)大手資本の参入
1990 年代半ばから、大手水産会社や食品会社において、マグロ養殖への新規参入や規模
拡大の動きが広まっている40。背景には、マグロ漁獲規制の強化、国産魚介類への根強い
需要、アジア市場への期待があるとされる41。また、長期的な価格低迷、経営不振に苦し
むブリやマダイの養殖から、クロマグロの養殖に転換する業者も多いといわれる42。2011
年には、三重県漁業協同組合連合会がクロマグロの養殖会社「ブルーフィン三重」を設立
し、都道府県の漁連としては初めてクロマグロの養殖に乗り出した43。
雇用機会の創出など、地域振興に期待し、大手資本を誘致する地方自治体もあるといわ
35 IUCN, “Increased protection urgently needed for tunas”. <http://www.iucn.org/media/news_releases
/?7820/Increased-protection-urgently-needed-for-tunas>; 「大西洋クロマグロ 「絶滅間近の種」に 国際自
然保護連合」
『日本経済新聞』2011.7.8, 夕刊.などを参照。
36 「グリーンピース 仏マグロ漁船妨害 地中海 メンバー1 人重傷」
『毎日新聞』2010.6.7, 夕刊.
37 金子与止男「水産資源をめぐるワシントン条約の近年の動向」
『日本水産学会誌』76(2), 2010.3, pp.263-264.
38 CITES, “The CITES species (updated on 21 November 2011)”.
<http://www.cites.org/eng/disc/species.php>
39 中野秀樹・岡雅一「第 7 章 資源管理―国際マグロ管理委員会 7 環境保護と混獲問題」前掲注(2),
pp.238-241.などを参照。
40 出村雅晴「クロマグロの資源問題とわが国マグロ養殖をめぐる動向」
『農林金融』63(6), 2010.6, pp.330-341.
41 「水経塾 マグロ養殖 資本参入と漁場利用の実態 鹿児島大学水産学部 准教授 鳥居享司氏」
『日刊水産
経済新聞』2011.3.11.
42 小野征一郎「10 章 クロマグロ養殖業の現状と課題」前掲注(32), pp.128-141.
43 「三重県漁連 クロマグロ養殖会社を伊勢に設立」
『週刊まぐろかつおレポート』943, 2011.5.10, p.4.
8
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
れる。その一方で、マグロ養殖業が、地域漁業の漁場利用の体系と漁業生産構造を変化さ
せることも指摘されている。マグロの養殖場を新たに設置する海域で操業している漁業者
への代替漁場の提示や、補償策などに頭を悩ます漁協もあるという44。
(2)現在の状況
国内で現在行われているクロマグロの養殖は、引き縄釣りで漁獲した全長 20-30cm、体
重 100-500g 程度の幼魚(ヨコワ)を生け簀に入れ、2-3 年飼育して出荷するスタイルが主流
となっている。地中海などで行われている蓄養も広い意味で養殖に含まれるが、養殖期間
は 3-6 か月と我が国で主流の方法に比べて短い45。国内での、養殖による生産量は年々増
えており、業界紙によると 2011 年の養殖による生産量は 8,650 トンと予想され、都道府
県別では鹿児島県が最多の 4,000 トンと見込まれている46。
クロマグロの養殖場は、水温、水質等の条件が良好な地域(鹿児島県奄美群島など)や、養
殖の種苗47となるヨコワの漁獲地の近く(長崎県など)に多い。国内のクロマグロ養殖場は
2011 年 6 月現在で 126 あり、都道府県別では、長崎県が 51 漁場で最多となっている48。
しかしながら、穏やかな水面や大型の生け簀に必要な水深など、養殖に適した条件の海域
は少ないのが現状で、今後の漁場拡大に向けた課題となっている49。
2 完全養殖
(1)完全養殖の概要
完全養殖とは、マグロの親魚に卵を産ませ、人工的に生産した種苗から出荷できる成魚
にまで育てる養殖方法である。幼魚や小型の成魚を漁獲して大きく育てる養殖や蓄養と異
なり、天然の資源に影響を与えない方法だとして期待されている。
2002 年に、近畿大学の水産研究所がクロマグロの完全養殖に世界で初めて成功し、2004
年からは出荷も始めている。大手水産会社では、マルハニチロホールディングスが 2013
年の出荷を目指し研究を進めている50。また、極洋も、飼料大手の日本配合飼料と業務提
携し、今後 3 年以内に完全養殖で育てたクロマグロの出荷体制を整えたいとしている51。
(2)今後の課題
完全養殖に初めて成功した近畿大学は、2009 年には国内の養殖向けヨコワ出荷量の約 1
割にあたる約 4 万匹のヨコワを生産し、うち約 3.2 万匹を養殖業者に出荷した52。人工的
な種苗の生産においては、仔魚同士の共食いや衝突などによる歩留まりの低下などがコス
44
前掲注(41)
日本近海において、地中海と同様の方法で蓄養を行うことは、環境や漁場の確立などに大きな違いがあり難
しいとされる(前掲注(8)などを参照)
。
46 「2011 年国内養殖マグロ 生産拠点と数量見込み」
『日刊水産経済新聞』2011.8.31.
47 魚介類の養殖における種苗は、養殖に用いられる卵や稚魚などの総称である。
48 「くろまぐろ養殖場及びくろまぐろ養殖業者一覧」
(平成 23 年 6 月 29 日時点)水産庁ホームページ
<http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/pdf/kuromaguro_itiran_1.pdf>
49 湾外など、波が高く海象条件の厳しい海域での利用が可能な生け簀の開発も進んでいる(吉田儀弘「激動の
マグロ産業の行く末 第 4 回 漁場拡大に寄与する浮沈式大型生簀の開発」
『養殖』48(10), 2011.9, pp.48-50.)
。
50 「もっと知りたい! クロマグロ卵から育てる 稚魚の生存率向上がカギ」
『朝日新聞』2010.3.12.
51 「極洋、日本配合飼料と提携 共同でマグロ完全養殖」
『日本経済新聞』2011.9.13.
52 「完全養殖クロマグロ 国内供給量確保に道」
『日本経済新聞』2010.4.26.
45
9
調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
ト増につながるなどの問題もあり53、今後の増産や普及には技術的な改善の余地も多い。
また、完全養殖を含むクロマグロの養殖では、マグロが成長するにつれてサバなどの大型
のエサも与えられる。これら人間の食糧と競合する魚は、食糧価格高騰に伴う価格の高騰
が、養殖コスト上昇につながる。稚魚向け配合飼料の改良は進んでいるが54、さらなるコ
ストの低減に向けては、効率的な成魚向け配合飼料の開発や給餌方法の工夫なども求めら
れている55。
3 農林水産省の対策
魚類の資源管理に対する国際社会の不信感は根強く、今後は CITES で取り上げられた
大西洋のクロマグロ以外でも、管理の徹底が求められる可能性は高い。そのため、漁獲量
の 7 割を我が国が占め、産卵場が我が国の周辺海域にある太平洋のクロマグロに対する資
源管理の取組みを、農林水産省は「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」として
取りまとめ、2010 年 5 月に発表している56。基本的な対応方針としては、未成魚の漁獲を
抑制・削減し、大きく育ててから漁獲する。また、中長期的(5-10 年)な親魚の資源量の変
動を適切な範囲に維持していくように管理するとされており、施策は大きく①国内の資源
管理措置の強化②国際交渉への対応③調査研究の強化、の 3 点を柱としている。
施策の具体的な中身の例として、国内の資源管理措置57についてみると、沖合漁業の管
理、沿岸漁業の管理、養殖業の管理に分けることができる。沖合漁業の管理では、大中型
まき網漁業を対象とした休漁、漁獲サイズの制限、個別漁獲割当など漁業実態にあわせた
管理措置を導入し、沿岸漁業の管理では漁船の届出制への移行や漁獲実績の報告を義務化
するとともに、養殖業の管理では養殖場を特定して登録し、業者に対しては養殖実績の報
告を義務化している。
おわりに
2010 年の CITES の会合では、大西洋のクロマグロの附属書掲載が見送られたものの、
問題が先送りされたに過ぎないとの見方もある58。我が国は、漁業規制を遵守するのは当
然のことながら、消費者が行き過ぎた「トロ信仰」を改め、様々な種類の魚を消費するよ
うな生活が求められているとの意見もある59。野生生物の保護と漁業資源の利用という異
53 宮下盛・岡田貴彦「種苗確保をどうするか? 人工種苗の生産動向と今後の課題」
『養殖』47(5), 2010.4,
pp.28-31.
54 「クロマグロ完全養殖の費用低減 稚魚向け配合飼料 林兼産業など」
『日経産業新聞』2011.10.3.
55 滝井健二「クロマグロ稚魚・成魚の配合飼料開発の動き」
『養殖』47(5), 2010.4, pp.32-34; 草野孝・白須邦
夫「9 章 クロマグロ養殖事業の展開」前掲注(32), pp.113-127.などを参照。
56 農林水産省「
「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」について」2010.5.11. 水産庁ホームページ
<http://www.jfa.maff.go.jp/j/kokusai/kanri_kyouka/index.html>。また内容については、主に以下も参照した。
「未成魚の漁獲抑制と支援措置 農水省が太平洋クロマグロ管理強化」
『水産週報』1801, 2010.6.1, pp.8-9; 神
谷 前掲注(23).
57 農林水産省「
「太平洋クロマグロの国内漁業における資源管理強化」について」2011.3.25. 水産庁ホームペ
ージ <http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/taiheiyou_kuromaguro/index.html>なども参照。
58 小松正之「学者が斬る 資源保護に逆行する水産行政の改革」
『エコノミスト』88(39), 2010.7.6, pp.48-51.
59「ざっくばらん 「トロ信仰」もう卒業しよう 金子与止男さん」
『朝日新聞』2010.3.11; 前掲注(9)などを参
照。
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調査と情報-ISSUE BRIEF- No.738
なった価値観を両立させるのは容易ではないが、我が国は、マグロを最も消費し、輸入し
ている国として責任を問われているといえよう。
表 4 マグロ資源の状況(2010 年)
魚種
クロマグロ
海域
太平洋
管理・
資源水準
資源動向
世界の平均
日本の平均
関係機関
(注 1)
(注 1)
年間漁獲量
年間漁獲量
(最近 5 年間)
(最近 5 年間)
WCPFC、
中位
減少
2.3 万トン
1.5 万トン
IATTC
(太平洋)
クロマグロ
東大西洋
ICCAT
低位
横ばい
2.9 万トン
0.2 万トン
(大西洋)
西大西洋
ICCAT
低位
やや増加
0.2 万トン
0.03 万トン
ビンナガ
北太平洋
WCPFC、
高位
横ばい
7.4 万トン
4.8 万トン
IATTC
キハダ
メバチ
ミナミマグロ
南太平洋
WCPFC
高位
減少
6.1 万トン
0.5 万トン
インド洋
IOTC
中位
横ばい
3.9 万トン
0.5 万トン
北大西洋
ICCAT
低位
増加
2.6 万トン
0.06 万トン
南大西洋
ICCAT
中位
減少
2.1 万トン
0.05 万トン
東部太平洋
IATTC
中位
横ばい
22.4 万トン
0.6 万トン
中西部太平洋
WCPFC
中位
横ばい
46.3 万トン
5.0 万トン
インド洋
IOTC
中位
減少
37.0 万トン
1.6 万トン
大西洋
ICCAT
中位
横ばい
10.8 万トン
0.6 万トン
東部太平洋
IATTC
低位
横ばい
10.7 万トン
1.6 万トン
中西部太平洋
WCPFC
中位
減少
12.1 万トン
2.9 万トン
インド洋
IOTC
中位
横ばい
11.5 万トン
1.4 万トン
大西洋
ICCAT
低位
横ばい
7.3 万トン
1.6 万トン
南半球の
CCSBT、
低位
横ばい
1.2 万トン
0.4 万トン
高緯度海域
ICCAT、
(注 2)
IOTC
(注 1)資源水準:過去 20 年以上にわたる資源量(漁獲量)の推移から、
「高位、中位、低位」の 3 段階に区
分/資源動向:資源量や漁獲量の過去 5 年間の推移から、
「増加、横ばい、減少」に区分。
(注 2)ミナミマグロの資源を管理する CCSBT は、ミナミマグロが回遊するすべての海域が管理対象となり、
他の管理機関と海域が重複する。
(出典)水産庁・水産総合研究センター「平成 22 年度国際漁業資源の現況」
<http://kokushi.job.affrc.go.jp/index-2.html>を基に筆者作成。
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