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北井でございます。 - ダイキン工業株式会社
北井でございます。本日は、ご多忙の中、当社の決算説明会にご出席賜り、誠にありがとうござ います。 私からは、2005年度を目標年度といたします当社の戦略経営計画「フュージョン05」が今 年で3年目を迎える中、後半に向けての経営の基本方針についてお話しさせていただきます。 「フュージョン05」の前半3年間の評価につきましては、5月の決算説明会でも申し上げまし たが、空調、化学でのグローバルNo.1、No.2の実現をめざした事業拡大、海外事業比率 やイノベーション事業比率など構造改革をはじめ、さまざまな取り組みは、大きくは計画のオン ラインで走っているという認識に立っております。 実例を申し上げますと、例えば、海外事業比率は2000年度の32%から8%増加し40%へ、 イノベーション事業比率は、30%まで向上する見通しであり、フュージョン05でめざす20 05年度の構造改革目標の実現に向けて展望が開けてきた状況にあります。 また外部環境の悪化により、特に日本の総需要が大きく減少する中で、これまで売上規模、利益 とも毎年、着実に拡大しており、今年も先ほど岡野が申し上げた通り、冷夏の中にあって、来年 3月期ということになりますが10期連続の経常利益の増益をめざし挑戦中であります。過去当 社の場合残念ながらこれだけの冷夏にみまわれますと、国内空調事業は当然でありますが会社全 体も赤字に陥っていたことを考えますと、当社も過去と比べ景気や天候に左右されない強靭な体 質、筋肉質な体質へと、少しは近づくことが出来ているのではないかと実感しております。 そうした評価を踏まえた上で、今後2年間、特に重点を置きたいことは、一言で申しますと、 「事 業の成長」を加速するということであります。 当社はここ数年で、将来の成長に向けた投資を先行的かつ積極的に意思決定、実施してまいりま した。この1年間を振り返りましてもヨーロッパでのイタリアやイギリスでの販売代理店の買 収・販売会社化、チェコの空調機新生産拠点の設立、中国での業務用空調機の新生産拠点とセン トラル空調の生産拠点の設立、あるいは中国で業務用初のサービス会社3社の設立、タイの圧縮 機工場の3次投資、フッ素化学の中国常熟工場の2次投資など矢継ぎ早に投資を意志決定してま いりました。こうした投資は近い将来におきまして、必ずやリターンとして見込めると確信して おり、これまで種まきしてきた投資を具体的なリターンとして刈取り、業績化していくことが今 後2年間の最も重要な課題であるというように認識しております。 同時に、そうした「事業の成長」を追求していく上で、最も重要なことは、 「変化の先取り」であ ろうと存じております。 1 ご承知の通り、景気動向につきましては設備投資の増加をはじめとしまして日本経済にも少し明 るい兆しが出てきております。また本年、ヨーロッパが歴史的大猛暑となり今後、市場構造が根 本的に変化する可能性が出てきたことなど、経営を取り巻く経営環境はひとつの、当社にとって でありますが、ターニング・ポイントを迎えているという認識に立つと同時に今後「成長へ向け ての大競争」に突入するのではないかと思っております。 そいった流れを先取りできるかどうかが勝負であり、環境変化に対し他社に半歩、一歩先んじた 施策展開を通じた「事業の成長」、具体的には売上規模の拡大ということになりますが、これを加 速的に図ってまいりたいと考えております。 こうした観点から、具体的には何をするのかということになるかと思いますが、残り2年間で特 にアクセルをかけたい重点課題につきまして、いろいろございますが今日は特に5点だけ申し上 げます。 第一点は、成長市場であるヨーロッパ、中国での売上高の飛躍的拡大です。 ヨーロッパについては、先ほど申し上げたように、本年度は、未曾有の猛暑となったことで、単 に今期の売上がかさ上げされという意味ではなく、ヨーロッパ市場での「空調への一般の認識」 といったことが変化しつつあるというふうに思っております。現実に、例年であればシーズンオ フになる9月に入りますとヨーロッパ市場では売上需要は消えますが、本年は需要が衰えずにい まだに続いておりまして、本年度はヨーロッパ全体でのRA需要は対前年15%の伸びを予想し ております。また同時に住宅用だけでなく、病院、学校、老人ホームなどの公共施設への空調普 及は当然として、加えまして、ホテルやレストランなども、渉外的にいいますと「エアコンが無 いと客が呼べない」といった変化も一部には出ております。 その中で当社はここ数年の施策展開に加えて、猛暑の余熱が残っているまさにこの時期に、ライ バル他社に先駆けた集中的な拡販施策を展開し、『エアコンがあって当たり前』 、ヨーロッパ市場 でエアコンといえばダイキンという風土、あるいは認識を早急に作り上げたいと思っております。 特に当社の得意とするインバーター制御による省エネルギー性能に優れたエアコンはヨーロッパ での空調普及を促進する起爆力になると考えております。 同時に、さきほどからヨーロッパ、ヨーロッパと言っておりますけれども、西ヨーロッパに加え ましてロシア、中東欧、さらにはギリシャ、ポルトガルと、まだまだ発展拡大の余地が大きい市 2 場があります。こうしたマージングマーケットと申しますか新興市場への拡販展開の強化、また 同時に「ヨーロッパの空調に対する認識の変化」対応も含めまして、現在ヨーロッパ市場で当社 はNo.2の位置にありますが、早期にトップシェアを実現したいと考えております。 中国は、需要のあります沿岸部といいますのは、本年は猛暑でございましたが、むしろ過熱気味 といえる経済活況の中で空調需要そのものが我々の予想を上回るスピードで拡大しておりまして、 今後も意欲的な設備投資と旺盛な個人消費に支えられ、空調需要はもっともっと伸びていくもの と思っております。 当社は主として中国では今まで業務用空調機の展開を図ってまいりましたが、加えて急ピッチで 増えるマンション向きの中大型家庭用空調機(2馬力から6馬力までの空調機器)、さらにビル・ 工場用の大型セントラル領域までの大拡販をめざし、その推進体制を現在強化しつつあります。 更に中国では空調機のアフターサービス、サービスがビジネスになるという概念は今までありま せんでしたが、そこへ、業界初の試みとしましてサービス会社3社を設立し、単に国内の事後的 な修理サービスというだけでなく「サービスから売る」という中国サービス事業モデルの構築に 向けた展開を開始いたしました。 今後も引き続き、中国統括会社をグループの戦略推進の核として、生産・販売・サービスを連携 させた空調の総合展開を強化し、中国における空調のNo.1をめざした、確たる地位を早期に 確立したいと考えております。 第二点は、国内空調事業についてでございますが、パッケージエアコン、ルームエアコンのシェ アアップのさらなる加速と新市場創造の下地を作ったイノベーション事業の一層の拡大を図りた いと考えております。 シェアにつきましては、本年度もパッケージエアコンは「圧倒的No.1」の地位をより一層磐 石にしたと思っていますし、さらにルームエアコンにつきましても本年度は、これは会計年度で ありますが、ある意味で当社にとりましては念願のトップシェアを実現できる見込みであります。 ルームエアコンについては今の勢いを加速し、商品力の強化は勿論のこと、販売力、サービス力 を含めた総合力に一層磨きをかけ、さらにシェアを伸ばしトップの地位を確固たるものにしてい きたいと考えております。 そうはいいますものの、国内の需要構造からいいましてルームエアコン、パッケージエアコンの 総需要は横ばいで、そういった中で国内空調事業、当社としてはもっと需要拡大を図りたいと考 3 えましたときにイノベーション事業の推進が必須課題になってきます。このイノベーション事業 については、コンビニエンスストア向けの省エネ型空調・冷凍・冷蔵複合システム「コンビニパ ック」を核とした店舗システム事業や、世界初の“光触媒チタンアパタイトフィルター”を採用 し除菌効果を飛躍的に高めた住宅用空気清浄機「光クリエール」に代表される空気事業など新し い事業の芽が出つつあります。徐々に業績化されつつありますがもっと事業拡大を図ってまいり たいと思っております。 特にコンビニパックにつきましては、約1年間のフィールドテストを経て本年4月よりコンビニ チェーンでの納入が始まっております。また本年は大手のコンビニエンスストアに続き、コンビ ニパックをドラッグストアの店舗特性に合わせた商品「ドラッグストアパック」と称しておりま すがこれを開発致しましてこの9月から「イオン・ウエルシア・ストアーズ」への納入も始まる など、着実に進んでおります。 コンビニパック事業は、来るべき時代に備えた空調のビジネスモデルの転換を促進するテーマと 位置づけておりまして、後半2年間、これまでの展開による基盤の上に立ち、工事・サービス体 制、あるいは元請ノウハウの確立を含め、さらに取り組みを強化し、将来の一大事業へ育て上げ たいと考えております。 第三点は、今日の空調にとっての世界最大のマーケットはアメリカであることは不変でありまし て、この世界最大の空調市場でありますアメリカでの事業基盤の確立を目指したいと考えており ます。 アメリカへの本格参入は、グローバルNo.1をめざす当社にとって、避けて通れない必須の戦 略課題であります。 これについては皆様ご承知の通り、現在米国のトレーン社との提携の中で米国でのダクトレス商 品の販売の可能性についてテスト販売を含め、鋭意、検討を進めております。 また本年12月には米国工業規格(UL規格)を取得したビル用マルチエアコンの生産を開始す るなど事業拡大の条件を徐々にではありますが整えていきたいと考えております。 第四点は、グローバルNo.1の技術力の確立に向けた『技術のダイキン宣言』の完遂の問題であ ります。 4 当社はメーカーであり、先ほど述べたルームエアコン、パッケージエアコンのさらなるシェアア ップ、またグローバル展開やイノベーション事業展開の最大の推進エンジン、起爆力は、「技術力 と商品力の圧倒的高度化」に尽きると思っております。言い換えますと他社にないオンリーワン 商品、あるいは No.1商品を毎年、切れ目なく開発し、市場投入し続けていくこと、またこれを 具現化するグローバルNo.1の技術力を確立することが重要であると思っております。 我々は昨年3月に「技術のダイキン宣言」と称する革新計画を取りまとめ、実行中であり、これ をこの2年間で完遂の域にまで高めたいと考えています。 具体的には、 ① 今後グローバル展開を加速する中で、グローバル共通商品は共通商品として持ちながら、各 国、各地域にミートした商品の企画力・開発力を飛躍的に向上させることであります。これ は、マージングマーケット(新興市場)を切り拓くという意味からも重要と考えております。 ② 空調事業全体をソフトサービス型・ソリューション型に変えていく中で、これを推進する技 術開発の推進を強化したいと考えております。特にここ数年で強力なライバルとして台頭し てきた中国、韓国メーカーを引き離す観点からも必須の解決テーマと認識しております。 ③ 特に国内においては急激に売価ダウンが進む中、価格下落やデフレに同調されないような高 付加価値商品を出し続けてまいりたいと思っております。 第五点はフッ素化学の事業領域拡大による新たな飛躍への挑戦であります。 フッ素化学事業については、2001年度のITバブル崩壊後、世界需要が大きく縮小し、現状 では半導体、エレクトロニクス業界には景気回復の兆しが見られるものの、当社のフッ素樹脂な ど素材の回復にまでは至っていないのが現状であります。 従いまして、アメリカのLANケーブル用FEP樹脂についても、足元は底ばいの状況が続いて おりますが、今後、徐々に回復してくると見ております。 そうした中で当社は、本格的な需要回復に備え、変化の予兆を素早く業績化できるようマーケテ ィング活動、受注活動を強化している最中であります。 後半2年間におきましては、特に海外展開と用途開発を徹底的に推進することでこのフッ素ビジ ネスの高収益な事業体質を早期に実現したいと思っております。 5 ポイントは3点ありまして、ひとつにはフッ素化学での世界最大市場アメリカでNo.2の地位 を確立することであります。現在はNo.4のメーカーであり、従来の主力商品であるFEP樹 脂に加え、それ以外の樹脂、撥剤、フッ素ゴムを含めたフッ素化学関連全商品の売上ボリューム の拡大とアメリカ発の用途開発に注力して参ります。 また、そのためのマーケティング体制、テクニカルサポート体制を一段と強化すると同時に、成 形加工業者との協業など提携・連携戦略の推進を加速させたいと思っております。 具体的には、 ・ PTFEの現地生産品に中国常熟品を加えての拡大展開をはかりたいと思っております。 ・ ダイキンアメリカを中心に開発中の低融点樹脂(EFEP)を武器とした市場開発を進めて まいりたいと思っております。 ・ 世界最大のカーペット市場はアメリカでございますが、カーペット、不織布、テキスタイル 向けを中心とした撥剤の大拡販をはかりたいと思っております。 ・ アメリカでの自動車法規制、具体的には普通の今までの燃料ホースであると微量燃料が大気 中にもれておりますが、これを漏らしてはいけないという法律がありますが、こうした自動 車の法規制をチャンスとしたフッ素ゴムの大拡販をはかりたいと思っております。 ・ アメリカ発の用途開発につきましては、例えば、エンジニアリング・プラスティック大国ア メリカにおける、複合領域での用途開発、具体的にはフッ素とアクリルとの複合材、フッ素 とシリコンとの複合材などの複合領域での用途開発を進めて参りたいと思っております。 2点目は、いよいよこの11月より中国江蘇省の常熟プラントが稼動いたします。 この工場立ち上げと連動して、急ピッチで成長する情報通信分野でのLANケーブル用FEPを はじめとしたフッ素樹脂市場、世界の自動車メーカーが一斉に進出する中での自動車部品用ゴム 市場、さらには今後急拡大する半導体関連のフッ素樹脂など、日・米・欧メーカーの中国進出と 連動した現地市場の育成と開発に注力してまいります。 さらには成形・加工事業の自前化といったフッ素化学では日本やアメリカの化学事業とは異なる 「中国フッ素化学事業新ビジネスモデル」の構築を図り、2005年度には中国で200億円規 模の事業に、さらに近い将来に中国No.1フッ素化学メーカーへと成長すべく展開を図ってい きたいと思っております。 3点目として、従来商品の需要がシュリンクする中、純フッ素から複合材への展開にも取り組み、 6 事業領域の拡大に注力していきたいと考えております。 「フュージョン05」後半に向けた主要課題認識として、特に「事業の成長」という観点から5 つ申し上げましたが、これら重要課題をこの2年間でやり遂げることがダイキンにとっての最重 要課題と考えております。 最後に当社は来年、創業80周年を迎えます。今期経営計画を確実に達成し、連結決算で10期 連続経常増益、営業増益を果たすことで80周年を明るく迎えたいと思っております。 簡単ですが、私からは今後2年間の主要な経営の最重点課題について申し上げ冒頭のご説明とさ せて頂きます。ご清聴ありがとうございました。 以上 7