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『モスモスモスです。』 〔班長:井上〕

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『モスモスモスです。』 〔班長:井上〕
モスモスモスです。
ファーストフード業界 10 班
1年:井上雄介
板谷俊成
魚谷祥 内山昂大
葛西英知
豊田和喜
溝渕友祐 渡邊恵梨華
ファシリテーター:高須さつき
1
森木悠香子
目次
1. フローチャート…………………………………2
2. はじめに…………………………………………7
3. 顧客分析…………………………………………8
4. 自社・他社分析…………………………………12
5. 問題意識…………………………………………21
6. 政策提言…………………………………………22
7. 参考文献…………………………………………26
2
1.フローチャート
3
2.はじめに
モスバーガー
の“概要“
会社名:株式会社モスフードサービス(英文名称 Mos Food Services Inc.)
設立
1972 年(昭和 47 年)7 月 21 日
業種
外食産業(東証業種名は「卸売業」
)
代表者
櫻田 厚(取締役社長)
従業員数
連結:907 人 単独:354 人
主要株主
紅梅食品工業(株) 4.37%
日本生命保険相互会社 4.20%
(株)ダスキン 4.11%
(2008 年 3 月 31 日現在)
モスバーガーとは 1972 年に創業者・櫻田慧氏(1937 年 1 月 19 日-1997 年 5 月、60
歳没)によって設立されたファーストフードチェーン店であり、国産の食材を利用し、
消費者にとって安心できるハンバーガーを提供することをモットーとしている。今後も
メインターゲットである女性の利用頻度の増加を目指している。
問題意識と『目標』
2006
2007
2008
2009
営業利益
2,315
1,380
752
1,747
当期利益
1,092
202
-325
552
4
示した表にあるように、2009 年に持ち直しているものの、数年前から利益は減尐
している。これはモスバーガーの、「消費者の安心第一」というモットーを貫き通すた
めに安さに媚びず、高くても美味しくて安心できる物を提供し続けるという姿勢から発
生したものであるのだろうか。
そこで本論では利益減尐の原因を究明し、いかにして利益を上げるかに
ついて考察していきたい。
<目標設定までの流れ>
利益は上記の式で求められる。
「利益を上げる」には、二つの方法がある。
① 費用を下げる
② 売上高を上げる
* 費用は、原材料費・輸送費・設備投資費・人件費などから構成されている。
現在、原材料費については、世界的不況も伴って高騰しており、その流れは止められ
ない。しかし、その他の点についてモスバーガーは改善に成功している。
まず、輸送費については、ダスキン(ミスタードーナツ)との提携により、共同輸送が
可能になったため、コストカットに成功したと考えられる。
また、店舗数を自主的に減らすことで、設備投資費・人件費のカットにも成功している。
つまり、モスバーガーは①についてはほぼ改善されていると考えられるため、私たちは
②に着目することにした。図式化すると以下のようになる。
5
<目標達成への流れ>
6
7
3.顧客分析
<1>ファーストフード店を選ぶ基準
アンケート(図 1)によると、特に支持されているのが近さ、安さ、美味しさで、全ての年
代で半数を超えている。年代別に見てみると、10 代~20 代前半は安さ、20 代後半~30 代
は美味しさ、それ以上の世代では近くにあることが重視されている。特筆すべき点は、メ
ニューの豊富さや雰囲気など店自体の内容だけでなく、
「有名」というネームバリューでも
選ばれていることである。
<図 1>
8
男女別に見てみると、全体として、近くにある、安い、美味しいことが求められている(図
2)のは、年代別と同じである。男性は美味しさよりも安さを求める傾向にある一方、女性
は男性よりも美味しさや健康的なメニューを求めていることがうかがえる。また、男性の
方が有名店であるかどうかに重点を置いているといえる。
<図 2>
<2>ファーストフード店に行く目的
とりわけ多いのが昼食とおやつ・喫茶である。アンケート(図 3)によると、実に半数以上
の人が利用しており、月に 10 回以上利用する人も多く見受けられる。また、朝食や夕食と
いった食事目的というより、軽食目的の利用客の方が多く見られる。お喋りや待ち合わせ
など、食事以外を目的として訪れるという回答もあったため、手軽で安いという点も軽食
としての利用に拍車をかけていると考えられる。
9
<図 3>
<3>外食に対する意識
昼食の支出金額(図 4)は 1,000 円未満で 8 割を超えている。一方、夕食(図 5)は 6
割以上が 1,000 円を超えている。昼食時には殆ど見られなかった 2,000 円以上も
10%を超えており、夕食時によりお金を費やしていることが分かる。図6による
と、近さや待ち時間の短さなどが利用する飲食店を選ぶ理由として挙げられる。
昼食は昼休みという限られた時間内で利用しなければならない人もいると考えら
れるので、より早く食事を済ませるために近さや待ち時間の短さ、そして安さが
重視されていると推測できる。
10
○昼食の外食支出金額
○夕食の外食支出金額
1回当たりの支出金額(1人分)はいくらか?
1 回当たりの支出金額(1 人分)はいくらか?
<図 4>
<図 5>
○よく利用する飲食店
どのような飲食店をよく利用するか?[複数回答、3つま
で]
<図 6>
<図 6>
以上のことから、顧客は美味しさ、安さといった商品への評価、近さ、待ち時間の短さ
などの点を考慮して店を選んでいると考えられる。
11
4.自社・他社分析
ここでは、自社であるモスバーガーと、ファーストフード業界最大手の
マクドナルドを比較・分析したい。
<1>味(おいしさ)
左図に見られるように、モスバーガーの味は 69.0%
という多数の人が認めるもので、マクドナルドの味に
対する評価をはるかに上回っている。
<気になるファーストフード店は?> <おいしいと思うファーストフード店は?>
上表によると、「気になるファーストフード店は?」という質問に対して、モスバーガ
ーと答えた人の方がマクドナルドより多いことがわかり、また、「おいしいと思うファ
12
ーストフード店は?」という質問に対しては、モスバーガーは 70%という高い支持率を
持つ一方で、マクドナルドは 30%にとどまっている。
モスバーガーの味のよさは、ひとつひとつの商品に対する調理方法のこだわりがある
ことに由来する。さらに、もうひとつの理由として、食材を国産のものを多く使用して
いることも挙げられる。ハンバーグに使用されている牛肉と豚肉はすべて国内で飼育・
生産されたものである。
また、特にこだわっているのは野菜で、これらも 100%国産であり、下の写真からわ
かるように、店頭やホームページにおいて生産者との密接な関係性を強くアピールして
いる。厨房はガラス一枚で客席と隔てられており、客席から作っている様子を見ること
ができるという他のハンバーガーチェーン店には見られない発想が窺がえる。他にも客
席からトイレ、さらに内装まで行き届いた、顧客のニーズに存分に応えた店作りは最大
の強みだと言える。また、商品を作り置きせず、注文を受けてから作る「アフターオーダ
ー制度」をオープン当初から行っている点も、モスバーガーのおいしさを引き出す大きな
ポイントである。
つまり、モスバーガーの売りは何と言ってもそのメニューの質の高さ、食べていて幸
せを感じる美味しさである。これは原材料費の高い国産肉、国産野菜を惜しげもなく使
用したメニューを提供しているからであり、他のファーストフードチェーン店のように
味よりも安さを追求して輸入肉を使ったメニューを提供することはモスバーガーの理
念に多いに反する。輸入肉ではモスバーガーの魅力は引き出せないのだ。
それに対して下の<マクドナルドの商品の主な原材料産地>によるとマクドナルド
の食材の多くは海外からの輸入に頼っており、そのため品質はモスバーガーに比べて低
くなってしまう。確かにマクドナルドは顧客に商品の流通履歴を公開すること(トレー
サビリティ制度)によって品質の良さをアピールしているとはいえ、上の<おいしいと
思うファーストフード店は?>の図を見る限り、顧客に品質面での十分な満足感を与え
ることはできていないようだ。
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<マクドナルドの商品の主な原材料産地>
牛肉:オーストラリア、ニュージーランド
鶏肉:中国、タイ
豚肉:アメリカ
魚:北太平洋ベーリング海域
海老:タイ
ジャガイモ:アメリカ
<2>時間
モスバーガー西新宿店にて実地調査を行ったところ、頼んだ商品が到着するまでには
3分半ほどかかった。その時の時間は午前 11 時半頃で、お昼休みの始まる尐し前の時
間帯であった。(ちなみに、池袋東店13時頃では2分30秒、新宿ミラノ店5時30
分頃では2分45秒)一方、モスバーガー西新宿店に近いマクドナルド西武新宿店18
時頃では、40秒(池袋北口店13時45分頃では1分30秒)だった。
このように、モスバーガーはマクドナルドに比べて待ち時間が長い傾向が見受けられ
る。しかし、商品が出されるまでに時間がかかる理由としては、モスバーガーはオープ
ン当初から「おいしさ」にこだわり、商品は作り置きをせずひとつひとつ注文を受けて
から作るアフターオーダー方式を採用していることが挙げられる。そのため、下図にも
あるように、他のファーストフード店に比べて、待ち時間が遅いと考えられやすいよう
だ。
<待ち時間が短いと思うファーストフード店は?>
14
その反面、実地調査では、昼食の時間帯において多尐の待ち時間の短縮が見られ、ア
フターオーダー方式は高級感や手作り感を演出する方法としても用いられていると推
測できる。
<3>価格(安さ)
ここで、マクドナルドとモスバーガーの代表的メニューを挙げてみたい。
●マクドナルド
○モスバーガー
ハンバーガー:100 円(セット 400 円)
モスバーガー:320 円(セット 640~710 円)
てりやきマックバーガー:280 円(セット 590 円)
テリヤキバーガー:320 円(セット 640~710 円)
ダブルクォーターパウンダー・チーズ:490 円(セット 790 円)
とびきりハンバーグサンド トマト&レタス:420 円
100 円マックシリーズ(マックポーク・シャカシャカチキン・ホ
ットアップルパイ)
モスバーガー
とびきりハンバーグサンド
上に挙げたように、モスバーガーのメニューはマクドナルドに比べて全体的に高価格である。しかし、モ
スバーガーの「国産野菜の使用」に代表される素材を重視するポリシーを考慮すれば十分納得できる範囲で
あると言える。商品の持つ高級感を重んじるところがモスバーガーの強みでもあるため、国産素材使用をや
めて品質を下げてしまうことは、モスバーガーにとって痛手になる可能性があると考えられる。
15
<4>立地(利便性)
ここではモスバーガーとマクドナルドの、主要駅からの距離と東京都内の全体的な分布について分析する。
●マクドナルド
○モスバーガー
<渋谷>
<新橋>
<池袋>
こうして見てみると、モスバーガーはマクドナ
ルドに比べて圧倒的に利便性が悪く、利用しにくい
ことがわかる。
16
主要繁華街の地図を比較してみると、マクドナルドは駅の近くに必ず店舗があり、更に
駅周辺区域まで多くの店舗数を確保している。それに対して、モスバーガーは駅から離れ
たところに出店しており、店舗数も尐ない。例えば、渋谷駅周辺では、マクドナルド10
店舗に対してモスバーガーは2店舗のみである。
更に、マクドナルドは駅や駅周辺に、マクドナルドのマークを大きく表示した看板を出
すことで、近くにマクドナルドがあることをアピールし、集客をはかる等の宣伝を行って
いる。
この比較により、モスバーガーの圧倒的な利便性の悪さが見受けられる。
←このように、マクドナルドの看板には距離も書
いてあり、近さをアピールしている
<5>アピール度
マクドナルド
マクドナルドは、圧倒的な資金力等を用いてCMをどんどん放送している。下表に見
受けられる通り、認知度は圧倒的に高い。またクーポンに関しても携帯クーポン、チラ
シ等の利用を積極的に行っているためアピール度は十分すぎるほどの高さを誇ってい
る。
モスバーガー
モスバーガーは、マクドナルド等のライバル店と違い、現在CM放送をほとんど行っ
ていない。モスバーガーでは2008年秋に「モスバーガー単体のテレビコマーシャル
全廃の検討」が伝えられた。櫻田社長によると「不特定多数が対象のテレビ CM は多額
の費用が掛かる割に効果が尐ないと判断した」ことが大きな理由であるそうだ。近年で
17
はパソコン・携帯電話などの普及や、視聴者のテレビへの関心の低下から、テレビコマ
ーシャルの宣伝効果も低下していると経営者が考えたということである。さらにここか
ら、モスバーガーのターゲットは不特定多数ではないことも読み取れる。現在 CM 放送
を行っているのは、「ミスタードーナッツ」との提携により立ち上がった共同事業ブラ
ンド「MOSDO!」である。「MOSDO!」では、モスバーガーとミスタードーナ
ツが商品をコラボレーションし、現在は『ドーナツバーガー』
・
『ポテド(ポテト型のド
ーナツ)』が販売されている。しかし、共同CMでは「MOSDO!」の商品、知名度
は上がるもの の、モスバーガーの商品自体の知名度は上がらないのが難点だ。
↑ドーナツバーガー(わさびソース入り)
・マクドナルド
↑ポテド
・モスバーガー
・ロッテリア
クォーターパウン とびきりハンバー 絶品チーズバーガ
ダー
グサンド
ー
認知度
86.5%
39.5%
63.1%
購買意欲
53.7%
77.0%
70.2%
リピート意欲
53.0%
77.2%
52.9%
上表からわかるようにモスバーガーのお勧めの商品でさえマック、ロッテリアに比べ
認知度は圧倒的に低い。しかしリピーター、購買意欲に関して言えば、他を圧倒してい
る。このことは商品としては素晴らしいものを提供できているということに他ならない。
だが、この素晴らしい商品の魅力を伝えきれていないというのが現状だろう。
顧客に商品をアピールする手段として、クーポン配布が挙げられる。しかし、2007
年 4 月に割引クーポンを導入した結果、一年で既存店売上高が 2%伸びたにもかかわら
ず、クーポン配布を実施しない時期は売上が失速した他、コスト管理に苦戦し、業績は
低迷した。また、クーポン導入による増収はあったが、上期を中心に販促費が膨らんだ。
18
割引クーポンを継続し続ければ販促費も膨らみ、利益を圧迫する要因になってしまうと
いう状態に陥ってしまったのである。
当時、「今後は店舗独自の販売促進活動や、新聞・雑誌広告の強化、さらには携帯電
話のメールを通じた情報発信に注力する。」と櫻田社長は述べていたそうだ。すなわち
低コストで販促効果が高い携帯クーポンを利用した宣伝戦略の展開へのシフトが目指
されたのだ。しかし、現在、携帯メールマガジン会員数自体は130万人と、マクドナ
ルドの携帯メールマガジンである「トクするケータイサイト」の1000万人と比べて
圧倒的に尐ないため、携帯クーポンが有効利用されているとは言いにくい。そのため、
携帯メルマガ会員を増加させることが今後の大きな課題であると考えられる。
<モスバーガー&マクドナルド
19
4P 分析>
<モスバーガー
SWOT分析>
20
5.問題提起
ここでは、以上の分析結果に基づいて、モスバーガーにとっての問題点を 2 点指摘
したい。
<1>立地(利便性)
客数を安定的に確保するためには、立地は重要な問題である。
そこで、モスバーガーの立地を検証してみると、駅周辺に店舗が尐なく、決して
気軽に立ち寄れる立地ではない。実際、駅前や繁華街への出店があればアクセスは
良くなり顧客の利用頻度が向上する。また、モスバーガー自体に興味のない人々が
利便性ゆえに来店することがあれば新たな顧客層を引き込むことができる。しかし、
モスバーガーは「路地裏の名店」と評されるように、人の出入りの多い土地への出
店を避ける傾向にある。加えて、マクドナルドのようにわかりやすい看板を出すこ
ともしていない。アクセスの良さを求めない立地は、広々とした店内を比較的容易
く提供できる。そのゆったりとした雰囲気を支持する顧客もいる。そのため、モス
バーガー独自のコンセプトを達成するためにはやむを得ない立地環境であると判断
できる。そこで、立地に関しては改善の余地はなく、また、それをモスバーガーの
強みとしてとらえることもできる。
<2>アピール度
これまでの分析の結果、モスバーガーは素材にこだわっており、その品質は自他
共に認めるものであるにも関わらず、認知度が他のファーストフード店に比べて圧
倒的に低い。しかし、CM の撤廃はやむを得ない手段であり、経費とそれに見合う顧
客数の増加との関係を考慮すると妥当な選択であったと言える。
そこで、今モスバーガーに求められているのは、CM に代わる新たな自社アピール
のスタイルである。購買意欲・リピート意欲が高いということは、認知度を上げる
ことが客数、売上の増加につながると考えられるからである。
21
6.政策提言
問題提起より、モスバーガーは利用したい気持ちはあるが利用頻度は低く、さらに顧
客に情報を得てもらうためのアピール力が欠けていることが分かった。これより、既存
のモスバーガーの強みを存分に活かした状態でアピール力を向上させ、かつそれによっ
て集客数の増加を図るための手段を考えたい。
そこで私達が提言するのは、カフェ感覚で気軽に利用できる「カフェモス」の出店で
ある。具体的な構想としては

肉ノウハウの利用

国産野菜ノウハウの利用

ハンバーガーを出さない

繁華街の駅前

小麦粉の利用

ドリンクの充実

落ち着き・くつろぎの場の提供

メルマガ会員の増加
という点が挙げられる。
カフェであり、かつモスバーガーの雰囲気も兼ね備えた「カフェモス」はファース
トフード業界に『スローフードカフェ』という新スタイルを提案するものである。スロ
ーフード(Slow Food)とは、食生活を見直そうとする運動のことで、伝統的な食材や料
理の継承、質の良い食材を提供する小生産者の保護などを消費者に呼びかけるものである。
この「スローフード」の概念は、元々モスバーガーが持っている食材への並々ならぬこだ
わりや生産者との密接な関係、都市的ではない、田舎を思わせる落ち着いた雰囲気等の多
くの長所とリンクする。そこで、
「スローフード」を押し出したカフェモスを開店するこ
とで、既存のモスバーガーが持つこだわりをアピールし、既存店へ集客を図るというのが
私たちの提案である。
第一に、繁華街かつ駅前の土地への出店を前提とする。繁華街かつ駅前という土地
に出店するということは、すなわちその店舗の存在自体が目立ち、アピールにつなが
る。
次に重要なのは「カフェモス」ではハンバーガーを提供しない点である。これには
カフェとしてのイメージを崩さないという目的がある。これには、「マックカフェ」
の失敗が大きく関係している。マクドナルドは、既存のファーストフード店舗に加え
て、
「マックカフェ」というカフェ店舗を出店したが、最初 15 店舗だったマックカフ
ェは次第に縮小し、今では約半数にまで店舗数が減尐している。その原因として挙げ
られるのは、マックカフェにはファーストフードの雰囲気が残ってしまい、カフェと
しての雰囲気を演出仕切れなかったということである。つまり、ファーストフード商
22
品の代表格であり、高カロリーで肉中心のイメージがあるハンバーガーは、カフェの
イメージにはそぐわないと考えられる。
しかし、モスバーガーの利点を活かさないわけではない。ハンバーグ作りに用いる
肉の調理のノウハウや国産野菜の仕入れ及び調理技術を活かしたメニューを提供し、
またダスキンとの提携により、安値で仕入れできる小麦粉を使用したスイーツメニュ
ーや、ミスタードーナツでこだわっているコーヒー等のドリンクメニューを充実させ
ることができる。
また、価格に関しては、既存のモスバーガーと同じくらいの価格設定を行う。これ
は、カフェ業界では「ドトールコーヒー」と同等の価格である。下表によると、「ド
トールコーヒー」は女性のみならず、男性からの支持もあつい。そこで、その男性顧
客層もカフェモスに取り込むことができれば、既存のモスバーガーのターゲット層で
ある女性に加えて、新たな顧客層の開拓につながり、既存店への集客につながると考
えられる。
<ドトールコーヒーのメニュー(一部)>
ブレンドコーヒー
200
250
300
バニラ豆乳ラテ(ホット・アイス)
350
400
450
トースト
180
ミラノサンド A(生ハム、ボンレス
390
ハム、ボローニャソーセージ)
<最近3ヶ月で頻繁に利用したカフェは?> <普段よく利用するカフェチェーンは?>
<カフェに対する声(世代別)>
シニア世代(60 代以上)
「ふだんカフェチェーンを利用する」と答えた回答者(6 割弱)に、
「最も気に入っているカフ
ェチェーン」をひとつだけ選んでもらうと、
『ドトール』
(4 割強)がわずかな差で『スターバッ
クスコーヒー』
(4 割強)を上回りトップだった。
さらに、
「カフェチェーンを利用するのはどのようなときか?」を聞くと、
『休憩したいとき』が
23
6 割半ば、
『コーヒーが飲みたくなったとき』が 6 割弱、
『待ち合わせ』
『友人・知人と話すとき』
が各 4 割弱、『時間つぶし』が 3 割弱の順だった。
有職女性
「利用頻度」は、
「週 1 日以上」がほぼ 4 割、「月 1 日~月 3 日」が 3 割半ば。
「月 1 日以上利用
する」と答えた回答者(7 割半ば)の 6 割強が、利用するときは『店内での飲食』と答え、
『ど
ちらかといえば店内での飲食』が 2 割弱。
「持ち帰り」は 1 割強。=店の雰囲気を重視。
「カフェチェーンで注文することが多いメニュー」
(複数回答形式)は、
『コーヒーメニュー』が
8 割半ば、
『フードメニュー』が 2 割半ば、
『デザート・スイーツメニュー』が 2 割弱。人気はス
タバが 1 位だが、ドトールと僅差。
有職男性
カフェチェーンの利用頻度は、
『週 2、3 日』
『週 1 日』がそれぞれ 2 割弱ずつで、「週 1 日以上」
が 4 割弱。
「月に 1 日~2、3 日」が 3 割半ば、
『2、3 か月に 1 日以下』が 3 割強で、年代差はほ
とんどなし。利用の仕方は、
『店内での飲食』が 4 分の 3 近くを占め、
「持ち帰り」は 1 割未満だ
った。
また、40 代以上の 6 割が「コーヒーの味を重視する」とした。また、40 代以上はドトールを支
持している人が多い。
最後に携帯メールマガジンの存在を「カフェモス」内でアピールして知ってもらう
ことで、メルマガ会員数を増加させ、既存のモスバーガーへの集客を狙い、モスバー
ガーの今後のプロモーションを行いやすくすることも大きなポイントである。
出店する土地に関しては銀座・渋谷の2つを挙げる。
銀座は日本最大級の繁華街であり、中でも高級商店街として名高い。そこに「カフ
ェモス」を出店し、モスバーガー全体の高級なイメージとのマッチングを図るのであ
る。銀座には世界のファッションブランド店が軒を連ねる。それらの店を利用する購
買層の休憩場所として「カフェモス」という空間を提供し、落ち着きを求める人々に
さらなるアピールをすることで、モスバーガーの独自の雰囲気や食材へのこだわりを
知ってもらい、既存のモスバーガーへの集客数のさらなる増加を促進するのだ。
渋谷も日本有数の繁華街であり、原宿とともに「若者の街」と呼ばれ、流行の発信
源である。そこに「カフェモス」を出店することで、若者の間での話題性やメディア
の報道・取材を利用した「モスバーガーの既存かつ新たな魅力の伝達」を狙う。既存
のモスバーガーで大きな顧客層ではなかった若者を「カフェモス」で取り込むことに
より、ターゲット層の拡大を目指す。
24
これらの政策から新規顧客の獲得及び既存のモスバーガーへの顧客の利用頻度の
増加を狙う。客数の増加により売上高の増加、売上高の増加に伴う営業利益の増加が
実現できるのである。
25
7.参考文献
<インターネット>
http://www.mos.co.jp/company/
http://www.yahoo-vi.co.jp/research/00119.html
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/11002/index.html
http://www.rbbtoday.com/news/20080827/53791.html
http://www.mcd-holdings.co.jp/index.html
http://www.mcdonalds.co.jp/anzen/index.html
http://maps.google.co.jp/
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090514/1026162/
http://www.j-cast.com/2008/11/11030151.html
http://www.misterdonut.jp/
http://c-news.jp/c-web/t
http://image.blog.livedoor.jp/hyoutankarakoma/imgs/c/6/
http://shinjuku.keizai.biz/headline/48/
<文献>
『日経
市場占有率 2009 年版』:日本経済新聞出版社
26
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