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デング熱国内流行;過去&現在とその対応
2015/6/4 デング熱国内流行 デング熱 国内流行 デングウイルスの感染環 ~過去・現在とその対応~ 蚊 吸血中のヒトスジシマカ ウイルス ネッタイシマカ •デングウイルス;フラビウイルス科 自然 宿主 2015年5月21日 高崎智彦 (国立感染症研究所ウイルス第一部) •チクングニアウイルス;トガウイルス科 私たち、待ち伏せ型の蚊です! 1 ヒトスジシマカが媒介する感染症が世界 的に流行・拡大している デングウイルス デング熱 デング熱の流行地域 ・赤:デング熱&出血熱の報告がある。 ・黄:デング熱の報告がある。 3 1 2 4 日本脳炎血清型群 WN Kun 黄熱 ダニ媒介性脳炎ウイルス群 MVE JE SLE チクングニア熱 デング熱の症状・検査所見 ほとんどの •突然の発熱(多くは38℃以上の高熱) 症例で認め •急激な血小板減少・白血球減少(発病後 られる所見 数日で急激に減少する)~発病日に減少し ているわけではない~ よく認め られる所 見 フラビウイルス属の系統樹 1. 発疹(多くは解熱傾向とともに出 現する) 2. 悪心、嘔吐、下痢 3. 痛み(頭痛、後眼窩痛、筋肉痛、 関節痛) 4. 点状出血などの出血傾向 5. 肝機能低下 デング出血熱 <デング熱の症状に加えて> • 出血症状 • 血小板減少( 血小板減少(100000/mm 100000/mm3以下) • 血管透過性亢進による血漿漏出(胸水、腹水 などを伴う。 デング出血熱が重篤化し、循環不全が合併すると、 デングショック症候群となる。迅速な治療がなされて も、致死率は12~20%と高率である。 これらの症状(重症化)は、解熱傾向が認められる時期に発症 することが多い。 1 2015/6/4 デング出血熱症例【胸水貯留】 デング熱患者の眼底出血 急性期 回復期 R L R L (単純CT) L 2ヶ月後 R 2ヶ月後 国立国際医療研究センター症例 重症デング熱(デング出血熱)は、 2度目の感染時に多発する。 小児のデングウイルス初感染と再感染におけ るデング出血熱/ショック症候群の発生頻度 デング出血熱 (DHF grade 1, 2) デングショック症候群 (DHF grade 3,4) 初感染 (1-14y) 0.18% 0.007% 再感染 (1-14y) 2.01% 1.14% ウイルス・抗体複合物はFcγレセプター発現細胞 においては、感染性を有するものが存在する。 ADE(Antibody dependent enhancement effect) が評価できれば、重症化を予測することが可能 となる。 交差防 御的に 働く抗体 ただ結合 するだけ の抗体 抗原抗体複合物 ウイルスレセプターが 少なかったり、中和抗 体でブロックされても Fcレセプターを介して Fc レセプターを介して 感染が成立する。 沖縄では戦前 にもデ ング 熱流行があった。流行地 との人の行ききの頻度が 大 きな 要因である 。 デングウイルス抗体によるEnhancement デングウイルス抗体による Enhancement 効果 生体内には多くのFc 生体内には多くの Fcレセプター レセプター 発現細胞が存在する! 2 2015/6/4 1942-45年のデング熱流行における 流行都市別推計患者数 福岡 広島・呉 人口 市 長崎・佐世保 大阪・神戸 458,000 4,219,000 306,000 582,000 1942 1943 1944 1945 1946 50,000 5,000 No epidemic No epidemic 20,000 10,000 200 No epidemic 5,000 100,000 100 200 Unknown 3,000 No epidemic Unknown No epidemic No epidemic No epidemic No epidemic Susumu Hotta. Dengue epidemics in Japan, 1942-1945. J. Trop. Med. Hygiene. 56: 83. 195 デング文庫 ななにわ塾叢書 デング熱に関する熱心な研究が 日本人によるデングウイルス 世界初分離につながった! 1943年に京都帝国大学の堀田進博士らが長崎でデング熱患 者からデングウイルス1型を分離した。この時の分離ウイルスは 患者さんの名前にちなんでデングウイルス 1 型望月株 (Dengue virus type 1, Mochizuki strain)と名付けられ,世界 で最初のデングウイルス分離株として認められている。 Experimental Inocuration of Dengue Fever on Anmals Authors Year of pu blication Kraus 1916 1917 小泉、山 口、殿村 Methods of dete rmination results Guinea-pigs Patient’s s Temperature & sy mptom - Guinea-pig s, ditto Heart blood → Man ? dogs,rabbit s, Mice ditto Temperature & symptom - Animals Materials i noculated era Cleland M c Donald 1919 Guinea-pigs, Rabitt ditto ? Nicolle 1919 Guinea-pigs ditto - Chandler Rice 1923 Guinea-pigs Whight rats ditto Temperature, sy mptoms. Morbi d tissue - Holt 1923 Guinea-pigs, Rabitt ditto Clinical manifestation - Armstrong 1923 Guinea-pigs, Rabbits, Wh ite rats ditto Clinical manifest ation - 当時の流行も11月になるときれいに治まり、 当時の流行も11月になるときれいに治まり、 翌年夏になると再び流行が発生した! 翌年 夏になると再び流行が発生した! Notes ? 2010年の我が国におけるデング熱輸入症例 デング熱報告数1999~2014 243名 350 300 249 244 250 220 0 患 200 者 報 告 数 150 162 0 0 113 0 100 0 18 179 18 0 0 50 0 0 9 1999 0 18 2000 0 0 50 52 2001 2002 0 0 32 2003 49 2004 0 74 2005 89 104 92 58 2006 2007 年 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 1/1 3/1 5/10 7/12 9/20 11/29 ヒトスジシマカの活動期 (5月~10月) 3 2015/6/4 デング熱の国内感染症例の発生状況 発症日別報告数 推定曝露日別報告数 (2014年8月1日-9月30日) (発症日不明の4例を除く151例) 報告数 12 代々木公園8/28午後5時 -8/29朝閉鎖 代々木公園または周辺のみ (n=70〈122例中、曝露日が1日だけの症例のみ〉) 9/4~代々木公園 A地区閉鎖 7 6 9/4代々木公園 A地区閉鎖 5 代々木公園またはその周辺のみ n=122 10 厚労省第1報 発表(8/27) 報 4 告 数 3 2 新宿中央公園のみ n=8 8 1 0 6 その他・不明 n=21 新宿中央公園のみ(n=5 〈同8例中〉 ) 4 推定曝露日 4 3 報 告 2 数 2 0 発症日 9月 8月 1日 2日 3日 4日 5日 6日 7日 8日 9日 10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日 18日 19日 20日 21日 22日 23日 24日 25日 26日 27日 28日 29日 30日 31日 1日 2日 3日 4日 5日 6日 7日 8日 9日 10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日 18日 19日 20日 21日 22日 23日 24日 25日 26日 27日 28日 29日 30日 1 0 推定曝露日 計75例のうち、発症日のわかる72症例から算出した潜伏期:中央値6日(範囲2-13日) 【厚生労働省発表(2014年10月6日11時現在)に基づく。】 デングウイルスは1~4の血清型に分類され、さらに デングウイルス1型は5つの遺伝子型に分類される 【厚生労働省発表(2014年10月6日11時現在)に基づく。】 Yoyogi story 代々木公園のヒトスジシマカの数は半端な数ではない! 今回の流行株は デングウイルス1型 遺伝子Ⅰ型 88 95 China/GD-D13202(Guangzhou)(KJ545459)Chaina/13 14-100J(第1例目:代々木) Bali 2010a(JN415489)IndonesiaBali/10 S330/05( U069595)S gapo e/05 S330/05(EU069595)Singapore/05 84 88 T3352/04(EU069623)Singapore/04 62 D1/Taiwan/806KH1405a/2014 98 02-20(AB178040)Thailand/02 SG(EHI)D1209Y03(FJ469907)Singapore 14-181J(静岡県の症例) 61 39 97 D1/Thailand/0910aTw(JF967888)Thailand 93 D1/Taiwan/511CH0909a(JQ403519)Taiwan 70 My01D144168(AY618211)Myanmar/01 DENV-1/VN/BID-V1862/2008(FJ410220)Vietnam/08 D1/Taiwan/811KH0807a(JQ403517)Taiwan/08 93 100 98 Thailand 2008b(JN415527)Thailand/08 72 DEN1/GZ/OY(FJ176779)China/06 66 DV1 SL 2009c(HQ891315)SriLanka/09 85 SG(EHI)D1/41934Y09(JF960217)Singapore/09 DENV-1/KH/BID-V2002/2006(FJ639686)Cambodia/06 Mochizuki(AB074760)Japan/43 日本の1943年の分離株(マウス脳継代) P72-1244(AF425622)Malaysia/72 68 0.005 デング熱の国内感染症例の 居住地別状況(n=162) 全国で 19都道府県 ウイルス遺伝子配列は一致する! 移 動 移 動 21 代々木公園イベント一覧 6月 •カリブ・ラテンアメリカフェスティバル •メコンフェスティバル2014 •エコライフ・フェア2014 •ASEANフェスティバル •カリブ・アフリカ ダンスフェスティバル •One Love Jamaica Festival •大江戸骨董市 •第3回ワールドダンスフェスティバル 第3回ワ ルドダンスフ スティ ル •アースデイ マーケット 7月 •アース・ガーデン夏 •地球愛祭り2014 in 東京 •オーシャンピープルズ2014 •第9回ブラジルフェスティバル •アースデイマーケット 7月 •第2回タイフェア― in 東京2014 •大江戸骨董市 8月 •第2回アセアンフェスティバル2014 •アースデイマーケット •うた会 ~2014夏~ •ユーロフェス2014 •カリブ中南米フェスティバル カリブ中南米フ ステ バル •PEDAL DAY 2014 •灼熱!マチャドナミーフェス •スーパーよさこい2014 •フリーマーケット •Pipes of piece vol. 31 •大江戸骨董市 公園以外で体育館などでも全日本小中学 生ダンスコンクールなど催し物多数! 4 2015/6/4 国内流行疫学情報 届出地 (n=162) 年齢群及び性別 (n=155) 都道府県名 症例数 東京都 108 14 10 7 3 3 2 2 2 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 162 神奈川県 埼玉県 年齢階級 男性 女性 計 10歳未満 4 1 5 新潟県 10代 14 16 30 茨城県 20代 27 26 53 山梨県 30代 11 7 18 北海道 40代 12 11 23 千葉県 大阪府 静岡県 青森県 岩手県 50代 11 2 13 秋田県 60代 8 0 8 岡山県 70代 4 1 5 計 91 64 155 群馬県 山口県 愛媛県 高知県 兵庫県 計 デング熱輸出症例_2014年 33歳のイギリス人男性。7~9月に代々木公園周辺 の友人宅に滞在した。8月末に発熱、発症3日目にイ ギリスに帰国し、その2日後(発症5日目)に散在性丘 疹状発疹が胸部に出現した。 39歳のニューカレドニア人旅行者で 39歳のニュ カレドニア人旅行者で、8月10日 8月10日~20 20 日まで東京都中野区の新中野駅近辺に滞在し、代々 木公園への訪問歴があった。ニューカレドニアへ帰国 した後、8月23日にデング熱を発症した。 51歳のオーストラリア人男性。日本から帰国後、発熱 (39℃)と背部痛が出現した。代々木公園の訪問歴が あり、デングウイルスの非構造タンパク(NS)1抗原が 陽性であった。 1 2 3 【厚生労働省発表(2014年52 週暫定】 日本での感染が疑われたドイツ人デング熱症例 2013年9月発生、2014年1月報告 She traveled popular sightseeing places for foreigners 51歳女性、生来健康 日 本 国 内 旅 行 * 成田着(フランクフルトからの直行便) day‐15 8/19 day‐15~‐13 8/19~21 上田(長野) day‐13~‐10 8/21~24 笛吹(山梨) day‐10~‐9 8/24~25 広島 day‐9~‐6 8/25~28 京都 (欧米人に人気の町屋旅館) day‐6~‐3 8/28~31 東京 (新宿御苑を訪れた) day‐3 8/31 成田発(フランクフルトへの直行便) 9/3 発熱(最高体温40℃)・嘔気→紅斑丘疹性発疹を伴う 9/9 ベルリンの医療機関に入院 IgG (IFA): 1:20,480 (陽性),IgM (IFA): 1:320 (陽性) NS1 抗原(ELISA): 陽性, RT‐PCR: 陰性 中和試験:デングウイルス2型の感染 発 day 0 症 day 6 後 経 過 Yamanashi Winery Eurosurveillance, Volume 19, Issue 3, 23 January 2014 (*旅程情報はProMedより) デング熱実験室診断法 デングウイルス感染者のウイルスと抗体の関係 フラビウイルスの構造について PCR(遺伝子検査), (抗体の出現) IgM-ELISA(IgM抗体) ウイルス分離 プラス鎖RNAウイルス(11kb長) (ウイルス血症) 3つの構造蛋白、7つの非構造蛋白、非翻訳領域から構成される 5’ Nontranslated region (NTR) 0 1000 C prM M 2000 E 3000 5000 6000 NS3 7000 8000 NS4A NS4B 9000 [回復期] [発熱期] 3’ NTR 4000 NS1 NS2A NS2B Structural proteins 非構造蛋白抗原(NS1 Ag) 10000 NS5 発熱 解熱 Nonstructural proteins 5 2015/6/4 デング熱患者報告数(東南アジア中心) 2014 2013 国名 報告患者数 死者数 オーストラリア 1,762 16,722 44,171 43,346 0 53 95 83 166,107 528 カンボジア ラオス マレーシア フィリピン シンガポール ベトナム 中国 22,194 60,588 581 5 38 0 10,541 6,591 7 8 前年比 (2012年) 報告患者数 As of 2.0 (21,900) NA 21 0 215 1.0 (170,693) 104,741 399 4.8 (4,632) 18,318 17,766 45,171 14 4 17 NA NA 0.4(40,164) 4.4 (9,952) 0.8 (79,485) ―― 9/3 26.0 9/14 ソロモン諸島 NA 7/17 869 台湾 NA 名称 開発者 臨床試験 効力 CYD-TDV サノフィー・パスツール 3相終了 56.5%(アジア) 60.8%(中南米) DENVax 米国疾病予防管理センター 武田薬品(インビラージェン) 2相 -a TetraVax-DV 米国アレルギー感染症研究所 アメリカ国立衛生研究所 2相 -a 不活化 TDENV-PIV ウォルター・リード陸軍研究所 グラクソ・スミスクライン 1相 -a DNA TVDV 米国海軍医学研究センター バイカル 1相 -a サブユニット DEN-V180 メルク(ハワイバイオテック) 1相 -a 死者数 1,514 3,543 1,716 108,698 1.1(1,541) ポリネシア(仏領) ニューカレドニア 開発中のデングワクチン タイプ 15,904 20 弱毒キメラ 効力が算出できるような試験はまだ実施されていない。 122) STATEWIDE Confirmed Dengue Cases by onset week 今春は全国規模 全国規模で必ず展開‐幼虫対策‐ -updated 3/1/2002 14 カントリー(缶取り)大作戦 13 10 2 new cases added 3/1 8 5 5 4 4 55 4 4 3 2 11 6/10 6/24 11 1 1 7/8 8/5 7/22 3 3 33 2 2 1 8/19 9/2 9/16 9/30 10/14 10/28 week beginning 1 1 11/11 11/25 12/9 12/23 1/6 1/20 2/3 '17 Feb え~! 全国規模? かなんなー!! Source: HDOH/Epidemiology Branch 6