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米青ネ申運動発作 (psych。m。t。rscizures) と 複雑

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米青ネ申運動発作 (psych。m。t。rscizures) と 複雑
山梨医大誌!3(3),73∼8!,1998
精神運動発作(psychomotor seizures)と
複雑部分発作(complex partial seizures)
福 澤 等
山梨医科大学臨床看護学講座
キーワード てんかん,精神運動発作,複雑部分発作,相的構造
董.はじめに
Jackson1)は,しばしば幻嗅によって先行され
て発作的に起こる自動症・もうろう状態を一つ
精神運動発作(あるいは精神運動てんかん)
の症候群としてとらえ,その責任病巣を海馬鈎
は,全般強直一間代発作,欠神発作,他の部分
に推定して,これらは“dreamy state or unci.
発作などと合併するものも含めて,全てんかん
nate group of ep圭lept董。 flts (1888,!889)” と呼
の20%以上を占め,初発のピークが思春期か
ばれるべきであろうとした。
ら青年期にかけてであり,特に精神科神経科で
Berger2>による人の脳波の発見(1924)とそ
診療するてんかんの中で主要な位置を占めてい
の公表(1929)以後,ユ937年Gibbs3>らはWi】一
る。しかも診断の難しさ,かなり難治であるこ
sonの“ 垂唐凾モ?lcal variants”について,発作時
とから正確な診断と適切な治療が厳しく要求さ
鳥波上4cps飛at−topped wave(またはsquare
れる疾患の一つである。
wave)が特徴的な所見であることを見いだし,
主として海馬・扁桃核のけいれん性放電によ
この一群のてんかん発作症状の特徴を良く表現
って引き起こされる精神運動発作は古くより知
している臨床・記述的な用語として「psy−
られていた。すなわち発作的に起こる自動運動,
chomotor」と言う名称を導入した。!941年,
短いもうろう状態,錯覚・幻覚などの主観的症
JasperとKerschman4)はpsychomotor epilepsy
状は,奇妙な病気としてかなり古くより知られ
の患者の多くに発作間欠期の脳波上側頭領域で
ていた。これらの病はかつてはconvulsive
sharp waveを観察して,このような発作を持っ
SeizUreSの代理症(eqUlvalent)と考えられ,
てんかんを毛emporal lobe epilepsy(側頭葉て
petit mal intellec宅ue1(Falre毛,!86!), psychical
んかん)と呼ぶよう提唱した。これ以後,「自
equivalent(Ho飴nan,1862)などと呼ばれてい
律神経症状,各種の精神・感覚性症状,意識障
た。Wilso麹(!935)はこれら一群の発作症状は
害,各種の記憶なき自動行動」などの多彩かつ
てんかんのequivale凱ではなくて,てんかんそ
複雑な発作症状を持つ一連の発作群にたいし
のものであるとの立場より“psychlcal variants”
て,pSyChO塑OtOr epilepSy(SeiZUreS)(精神運
と命名した。
動てんかん(または精神運動発作))という名
この種の症状を示す患者の病巣に関して
称が広く用いられ,この発作類型の様々な分類
〒409−3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東lllO
受付:!998年7月13日
受理:1998年!0月19日
が試みられてきた。
はじめに,以後の混乱を避けるために,用語
及び用語の定義について2,3前もって説明し
等
74
福 澤
ておきたいと思う。てんかん診療を専門にしょ
は意識障害の程度についての判定は「刺激に対
うと志向している医師,あるいはてんかんにつ
する反応性(responsiveRess)と,それをどの
いてのdiscussio織を行う場で(例えばてんかん
程度自覚していて想起しうる(awareness)か」
学会においてすら)用語の定義についての理解
によるとして,impairment of consciotこsness
が曖昧なために議論がかみ合わなくなることが
(意識減損)とは,「気づき方(awareneSS)や
意外と多い。
反応の仕方(responsiveness)が変化して外部
(a)最初に,しばしば混同して使われている
いる。
「てんかん発作」と「てんかん」について述べ
(d)automatism(自動症)
る。てんかんの定義は,WHO(1973年)5>に
意識混濁の状態で起こる,多かれ少なかれま
の刺激に正常に反応し得ないこと」と定義して
よると,「てんかんとは,脳内ニュウロンの過
とまった,周囲の状況にあった不随意的
剰放電によって繰り返し起こる発作(てんかん
(involu賊ary)運動現象で,通常健忘を残す。
発作一epileptlc seizures)によって特徴づけら
運動現象の種類によって色々名付けられてい
れるところの,種々な病因をもった慢性の脳の
る。
病態(achronic brain disorder)であり,種々
eating aUt・matiSm(alimenta・y aUt・matiSm,
の臨床的または検査上の表出をともなう」とな
oral automatlsm(摂食に関係した口部の運動。
っており,「ここでは,一回だけ起こって繰り
口部自動症などとも呼ばれている。)
返さない発作や,熱性痙攣のよ・うにある特定条
aut・matism・f mimlcry(mimetic aut・matism
件下において起こる発作は除かれ,また明らか
(表情性自動症)
な急性の病態の間にだけ見られるてんかん性様
gestural automatlsm(身ぶり自動症)
発作の繰り返しも除かれる」とされる。てんか
ambulatory auωmatism(歩行性自動症)
ん発作はてんかんを特徴づける一つの症状であ
るQ
*上記二つの自動症を合わせてbehavioral
automa宅ism(行動性自動症)と呼ぶこともあ
(b)Glbbsらが提唱したpsychomotor seizures
る。
(精神運動発作群)という名称は“てんかん”
verbal automatism(言語性自動症)などが挙
の一類型を意味している。すなわち,psy−
げられる。
chomotor epilepsy(精神運動てんかん)と同
義である。
2.精神運動発作の代表的分類
(c)impairment of consciousness(皿AE,!981
年の定義)6)
ここで精神運動発作についての分類の歴史的
日本語ではいろんな訳語があるが,“意識減
概観をすることは,このてんかんについて研究
損”という用語が定着しつつある。ILAEによ
者達がどのような考え方をしていたかの変遷を
って操作的(operationally)に次のように定義
知る上で大変重要なことと考えるからである。
されている。
単なる分類についての羅列ではない。多くの研
意識減損を判定する手段(指標)として次の
究者達は複雑多彩な発作症状を持つこのてんか
二つをあげている。
んに注目し,症状を整理し,類型分類の試みを
lresponsiveness(反応性)
行ってきた。以下chronologica]orderに従っ
2 awareness(自覚,気づき)
て,いくつか挙げ簡単な解説を試みる。てんか
そして,consciousness(意識)を「人間が自
んの診療あるいは研究を専門としている人達以
己の現象野の全体性を把握し,それを経験に取
外の多くの読者にとって理解しがたい用語が次
り入れる統合活動」と定義し,意識水準あるい
から次へとでてくると思われるが,それらを一
精神運動発作(psychomoωrselzures)と複雑部分発作(complex partial selzures)
75
つ一つ説明するには紙数(著者の力量)があま
4)relne psychomotorischer Anfalle (epigas−
りにも足りないので残念ながら省かせていただ
trische Aura一>szenischerDammerzustand)
くζとをお許し.願いたい。著者の意図としては,
Caf臼(1973)ll);臨床症状の特徴から次のよ
それぞれの研究者が,本疾患について数ある発
うに5型に分けている。
作症状の中でどのような症状を主要(中核)症
1)rei捻e Dreamy state(dream−likeのsu切ective
状としてとらえていたか,そして“症状の相的
expe・ie・ce)
構造とその発展”という現在の考え方に結びつ
2)eigentlicher psychol『notorischen Anf湘en
いていったかの過程の概略をある程度理解して
(oral and thler automatismsによる特徴)
もらえればと考えている。
3) abortive Krisen (Pseudoabsenzen) (ab_
sence seizureに近い)
Lennox(!951)7);運動あるいは精神症状の
4) sogenan汽te temporale Ohnmachten (Lan−
どちらが目立つかによって3型(psychomotor
doltによる)
triad)に分けた。
5) andere spezielle Forlner} (dysPhasia, ve「ti隔
!)psy・h・猟・t…ttack,2)・ut・m・tlc attack,
go, abdOmlnal sensationなど種々の症状を伴
3) s嬢切ective (psychic) a毛tack
つたaconfbsiona}state)
Gastaud!953)8);発作の起源部位の差異に
以上の分類は,複雑多彩な臨床症状を,解剖
注目して3型(three variety of psychomotor
学的特徴を合わせ考慮したものもあるとはい
epilepsy)に分類した。
え,基本的には並列的に挙げて分類したもので,
1)temporal psychomotor epllepsy proper or
錯覚,幻覚,各種の自動症などの主要症状につ
superflcial temp・ral psychomoωr epilepsy
いてさえも,それら症状の相互関係の統一的理
(psychose嶽sory type),
解が困難である。
2)hipPocampal psychomotor epllepsy((玉eep
t・mp…ltype),
3)diencephalic psychomotor epilepsy(vlolent
3.精神運動発作の発作発展形式に注目した分
類
impulses, af£ective reactlon)
Meyer−Mckeleit(!953)9>;全ての発作症状
発作症状のこのような並列的記載に対して,
の基盤に意識変容が存在することに注目して
!960年代に入って,複雑・多彩な臨床発作症
Dammera毛tackenという用語でまとめ次のよう
状にもかかわらず,この発作の発作発展の流れ
に分類した。
にはかなり共通した相的構造があることが注目
1)}elchte, erscheinungsarme Dammerattacken
されるようになった。
2)motorisch−koordinlerte D蒙mmerattacken
Landolt(!960)12/;内容の詳細については述
mitAutomatlsmen
べていないが,発作症状を時間経過の上から見
3)tonische Dammerattacken mit Deviationen,
るといつも決まった順序で起こるとし,
Zuckungen llnd k6rperhchen Hal−
Stereotyple der SukzessioR der Symptomeと表
t・ngsst6・tmgen(bi・zum Hi漁II・・)
HaUen(1962)圭。>;この発作の中核症状とし
現している。
Hallen(!962);発作症状の発展には2相が
て口部の知覚及び運動症状に注目して分類し
あること見いだした。
た。
Zweiphasigkelt;erstes Stadium (Lic}}t−
1)ora互erIypus(Oral−Petit Ma】Tソpus)
starr一空虚で無表情の凝視)
2)adversi・erTソPus
→zweites Stadium(周囲の状況を再び把
3) dyspahsischer od. Vokallsations−TゾPus
握しょうとする目つき・困惑状)
等
76
福 澤
宮坂・福澤(!970)13),福澤(!972)14>(著
トが重畳してみられた。behavioral automatism
「意識変容,自律神経症状,錯覚・幻覚・情
phaseでは,脳波は,突然振幅の高くない律動
性の崩れた多彩な童舞を主とするパタンを示し
動変化などの主観的症状,短時間のもうろう状
た。この相を通じて,高振幅で律動的で連続す
者);
態,かむ・吸う・飲み込む・なめるなどの口部
る亭亭はみられない。ポリグラフィー所見では,
自動症,記憶なき異常行動と言語性自動症」な
心拍漸減傾向,呼吸再開,脈波の振幅増大が見
どの一部またはいくつかの結合が患者ごとに恒
られた。すなわち,psychomotor lapse phase
常的な型で短時間(数秒から数分間)の発作と
からoral automatism phaseまで著明な変化を
して繰り返されるものを「精神運動発作群」と
示していた脳波及び各種ポリグラフィー所見の
診断,それらの症状観察と治療をとおして以下
変化(自律:神経系の変化)は,このbehavloral
のような結果を得た。すなわち,この発作の発
automatlsm phaseに入ると急速に発作前の状
展の流れにかなり共通した構i造一相的構造
態に向かって回復しはじめることが注目され
(phasic s宅ructure)一があることを見いだした。
た。su切ective(aura)phaseでは脳波及びポリ
特に薬物療法中,発作の頻度が減少すると共に,
グラフィー所見に共通した特徴ある変化は認め
発作型がより短縮された型に変化することに注
られなかった。これらの結果より,複雑な形で
目して,精神運動発作の発作構造を症状発展の
表出される精神運動発作の全症状も,相的構造
4つの相に分けてとらえ分類した。
とその発展という見方より整理すると,この発
!)su切ective seizure(a毛蓬ra)phase(主観発
作の各相の臨床症状のみならず神経生理学的変
作一前兆)から
化(脳波及び自律神経性反応)などにかなり特
2)psychomotor lapse phase(意識途絶の相)
徴が見られることがわかった。すなわち,psy−
3)oral automatism phase(口部自動症の相)
chomotor lapse phaseとoral automatism phase
4)behaviorahutomatism phase(行動性自
が精神運動発作の中核的なものであり,behav−
動症の相)へと発展
ioral automatism phaseは,すでに発作の終わ
*Type I, H,皿, Atyp.(図1参照)
った後の現象,すなわちpostictal.psychoparet−
このように臨床観察の場で得られた精神運動
1cな現象であろうと考えている。そして幾多の
発作を相剛構造とその発展としてとらえるとい
文献より考察した結果,psychomotor lapse
phase(凝視と意識途絶の相)は主として海馬
う上記の見解が正しいかどうかを確認するた
め,神経生理学的立場より発作時脳波及びポリ
におけるけいれん性放電によるもの,oral
グラフィー所見との対応を検討した。
automatism phase(口部自動症の相)は扁桃核
結果,psychomotor lapse phaseでの脳波の
起源の発作症状であろうと推察した。
特徴は,律動的な高振幅徐波(46cpsθ波が主)
精神運動発作の発作経過を,臨床観察と神経
の連続性出現であり振幅の漸増とともに広汎化
生理学的な特徴的な所見とから相的構造とその
の傾向を示した。ポリグラフィー所見では,こ
発展という形でとらえた報告はこれ以前には見
の相の開始とともに頻脈傾向,呼吸停止および
あたらない。
脈波の振幅低下がみられた。この相に引き続く
Jovanvic(1974)エ3);上記著者らの考えと同様
oral automatism phaseでは,律動的に連続す
な立場からの分類を試みているがあくまでも臨
る高振幅徐波の広汎性出現であり,徐波は多く
床的観察の立場からのもので,その神経生理学
は2−3cpsδ波であった・一方,ポリグラフィー
的立場からの証明はない。
所見では,lapse phaseより引き続き頻脈傾向,
1)aura(数秒間)から
呼吸停止,脈波の振幅低下の傾向がみられた。
2) phase of passivity (livid facial color, fうxed
脳波には咬筋の律動的動きによるアーチファク
stare, impair1γkent of c6nsciousness. (20
精神運動発作(psychomotor selzures)と複雑部分発作(complex partial seizt葦res)
Type of psychomo七〇r seizures
Type二
一1
工工工 A七yp
Phase O
Subjec七ive Seizure Phase
(Aura Phase)
Phase工
Psychomσヒor Lapse Phase
Phase 2
0ral Automatis蓄n Phase
Phase 3
Behavior Au七〇鵬a七is鵬Phase
Phase O+Phase 1
Phase OやPhase 1+Phase 2
Phase O+Phase :しやPhase 2+Phase 3
Type工
Type II
Type 】:工工
Type A七yp
Pha$e O+Phase
1 →・Phase 3
(Miya・aka, F・k・・awa and Oh七・k・,19フ0)
図!
phase Oからそれぞれひhase l,2,3まで発展するものを
Type L Type II,野pe IHとし, phase 2がみられずにphase
3まで進むものをTソpe疎yp。とした。(phase Oは薬物療法の効
果によって単独でみられることもあるが,治療前の発作の原
型には繰り返す発作のうちで稀にもphase 1を伴うのがほと
んどなので,理論的にはあり得るphase Oだけの発作のTypeO
は普通もうけていない.)
phase O,
錯寛・幻覚など多彩な内容を持つ主観性発作.
phase王;
意識減損の相.顔面蒼白,発汗,流誕などの自
● 、、’
律神経症状を伴う
phase 2;
繰り返す.
かむ,吸う,飲み込む,舌打ちなどを律動的に
phase 3;
手で物をまさぐったり掴もうとしたり,払いの
けようとする ,キョロキョロ周りを見回す,歩き回るなどの
行動性自動症を示す
■
秒一1分)
それらに対応する深部脳波から(手術予後も含
3)phase of activlty(coordinated automatic
めて)次のように側頭葉てんかんの発作の展開
hand&leg movement.(1分一数分)
に3つの形式があることを見ている。
4) phase of reorlentation (負nal phase.→
Type 1 ;motionless stare, staring&total
recovered),
UnCOnS濫OUSneSS
我々の研究から約10年後,Delgado−Esqueta,
→Ste・e・typed・Ut・m・tlS1}・(CheWing,
(!982)16>らは,発作症状のVTRによる分析と
swal】Owing, f配准mb】iR9, etc)
77
等
78
福 澤
『>reactive quasipurposea!l automatism
我が国では,日吉ら(1985)18)が同様にVTR
*この町pe Iはtemporal lobe originと考
による症状と脳波の観察から以下のような分類
える。lnitial motio員less stareを重視。
(考え方)を示している。,
Type H;stereotyped aし蓬tomatism, unrespon−
!)醐al s£age
sive
SU切eCtiVe Signai Wamln9, ChangeS Of faCial
一・eactive・u宅・matism(・mbu1・ω・y
expressloa, slowing and weakening of
automat量sm, b董韮ateral arm&leg perse_
reSpOnSe, reaCt1Ve aUtOma毛1SmS
veratlve Inove!nerlts)
2)lntermediate stage
Type皿[;drop at£ack, unresponsiveness,
eyes−openiag, unresponsive, stereotyped
一>confusion wlth partial responsiveness,
automatlsms(simpler and more e}emen−
薮)rmed speech and reactive automatism
t・・y・epetitive m・vement),“m・ti・nleSS
この中で,Type Iの発作は深部脳波記録で
staring”was interposed mostly
は大部分が海馬に始まっており,著者の報告
3)terminal stage
と同一の相的構造を有する発作であろうと推察
dlsorientatlon, reactive automatisms(con−
される。
sclousness was gradually rega語ed)
Weser(1983)17):精神運動発作を,神経解
*“motionless staring”did not necessarily
剖学的基盤を考慮に入れながら,5つの発作群
take place as the lr}itial stageとコメントし
(seizure co雛stel】ations)に分類している。
て以上の3つのstageに分類している。
1)the£emporobasal limbic毛ype lnvolves prl−
marUy the hipPocampa1薮)rmation, and sec−
4.複雑部分発作の起源と発作発展の相的構造
oR(iarily the fbllowing reglons such as the
について
amygdala, regio retrospleRialis and cingu−
late gyrUS
これまでに述べてきたように,著者は,発作
2)the temporahype;this type involves the
症状,発作時脳波と随伴する自律神経症状など
me(iial and lateral polar cortex and is close−
より,凝視・意識途絶一海馬起源,口部自動症
1y related to the amygdala complex,
一扁桃核起源という図式を想定した。その後の
3) the frontobasal−cingulate type;the strしIc−
人における深部脳波記録や動物におけるキンド
tures involves i擁 the seizures constellation
リングモデルによる研究は複雑部分発作の起源
are mainly cingulate段nd fr・at・一〇rbital
や発作発展の様式などを明らかにしてきてい
(basal) cort至ces,
る。すなわち,前述したDelgado−Escueta19)ら
4) the operculaギtype;覧his type depends on
は,深部脳波上海馬に限局して始まる発作症状
the involvement of the insular cortex and
の65%は無動凝視状態,扁桃核に限局して始
まる発作症状の50%は口部自動症であり,扁
fhnctionally related struαures.
this type ls primarily extralimbic, but is
桃核・海馬複合領域から始まる発作症状の
46%は無動・凝視状態で27%は口部自動症で
intensely connected to the limbic c・rtex.
あると報告している。Quesney20)は同じく側
Wieserは,発作症状の詳細な分析とその神
頭葉てんかん患者の深部脳波記録から,40%
を焦点:性(focaD,60%を領域性(regionaD
5)the posterior neocortical temporal type;
経・解剖学的な関連より,精神運動発作はてん
かん学的にみたentltyとして不充分であり,精
神運動てんかんと側頭葉てんかんとは同一では
ないとしている。
と分類し,焦点性発作の中では海馬起源が
63%,扁桃核起源が32%あり,領域性発作の
中では扁桃核・海馬複合が67%,扁桃核・海
精神運動発作(psychomotorselzures)と複条筐部分発作(complex partial seizぴres)
79
馬・側頭葉皮質複合が24%あることを示して
の後1981年にこの分類は改訂され,部分発作
いる。一方,てんかん焦点を厳密に設定でき,
は,意識減損(imp・i・m・・t・f・・n・ci・…ess)
発作の発展様式を脳波・症状の対応を詳しく検
を伴うかどうかにより,以下に示すように単純
討できるキンドリングモデルを用いた研
部分発作(simple partlal seizures)と複雑部分
究21}23)は扁桃核・海馬発作の症状やその相的
発作(complex partial seizures)とに2分され
構造を詳細にとらえている。すなわち,ネコに
た。
おけるキンドリングモデルでの観察で,扁桃核
!.PARTIAL(FOCAL, LOCAL) SEIZURES
固有の発作症状は顔面ちくでき・咀噛運動・点
A.Slmple Partial Seizures
頭で,一方,海馬固有の発作症状は注意反応・
8・Complex Parda葺Seizures
無動・応診であるとしている。さらに,扁桃核
C.Partial Seizures→GTC
キンドリングでは,扁桃核固有の発作段階を経
て速やかに運動発作(二次性全般化)へと発展
B.Complex Partial Seizures
するが,この過程で海馬固有の発作の出現は不
!.Slmple partlal onsαfollowed by impalr−
安定か頓挫する傾向が見られるとし,また,海
mentofconsciousness
馬キンドリングでは,海馬固有の発作段階に引
(a)With simple partial艶a毛ures fbllowed by
き続いて明らかな扁桃核発作の出現を経て最終
lmpaired consciousness
的には運動発作へと発展していくとしている。
(b)W宅hautomatism
この点は,著者(とくに複雑部分発作の中核と
2.Wi宅h impalrmentofco擁sciousness at onset
考えているphase!→phase 2)やDelgado−
(a)With lmpairmen£of consclousness only
Esquetaら(町pe I)が提唱している精神運動
(b)With automatlsm
発作の相的構造とその発展をよく再現している
この198!年の分類によると(表ユ),su切ec−
ものと考えられよう。
tlve selzures(aura)は単純部分発作の項に,
5.国際抗てんかん連盟(ILAE)による発作
型分類(いわゆる国際分類)と複雑部分発
・h・m・・ht(La・d・1毛), psych・m・t・・p・・P・・
作(complex partial seizures)
a£tacke(Meyer−Mickeleit)(以上は意識減損を
各種のautomatlsma(自動症)やtemporale
(Lenn・x), leichte erscheinungsa・me Damme・
基盤とした凝視・無応答状態),psychomotor
1969年にILAE24・25)からてんかん発作の分類
lapse(著者のphase l,すなわち意識途絶の相)
案が提出され,総会で承認された。この分類に
などは複雑部分発作の項にそれぞれ移されるこ
よると,てんかん発作はまずgeneralized
とになった。しかし,これまでの症状の羅列的
seizuresとpartlal seizuresに2大別され,後者
分類と比べてこの分類では,従来の精神運動発
はさらにpartial seizures with elernentary symp−
作を充分意識しつつはじめて発作症状の相的発
tomatologyとpartial selzures with complex
展という考え方をとりいれており,実際の臨床
symptoma毛ologyとに分けられた。後者は,「複
経験に即した評価されうる分類と言えよう。
雑症状を持つ部分発作で,一般に意識の減損を
ところで,ILAE(1989)26>のてんかんおよび
伴っており,時として要素的症状(e】emen老ary
てんかん症候群分類の中で,単純部分発作と複
symptomatology)で始まることもある」と解
雑部分発作を主徴とするてんかんとして側頭葉
説されており,精神運動発作の諸症状を包含す
てんかん(temporal lobe epilepsies)があげら
るより広い概念であって,この部分発作は精神
れているが,他の症候性・局在関連性てんかん
運動発作とほぼ同義に用いられてきた(てんか
(側頭葉以外に焦点を持つ)の中にも割合は少
んとてんかん発作との混同が窺われるが)。そ
ないがこれら2つの発作を示すものもある。
等
80
福 澤
Table l. Classifcation of Epileptic Selz“res(夏LAE)
Complex Partial Selzuers(1970)(witll
lmpairment Of COnSCiOUSneSS;may
sometimes begin wlth elementary
sympωmatology)
Compiex Partial Seizuers(!98!)(wlth
impairment・f co室渥sci・usness;may
sometlmes beginw油slmple
symptomatology)
!.Slmple partl我l onse毛fbllowe(至by impairn}ent of
LWith impaired consciousness o11且y
2.Wkh co9韮}itive sympomatology
レユヨ ユむロ モ 1)with dysmnesic dis宅urba蓋}ces(consclous am裏}e−
1)wlth slmple partlal fe飢ures followed by
2)網二野灘も。nce,(lncl。di1ψced
2)1鵬堅剛翻s星’ess
thinkin9, dreamy state…)
3.Wth af驚ctive symp毛omatology
2.With impalrmel貰ofco1}sciousl}ess at onset
4.Wi崩psychosensory symptoma乞ology
2)wl£h a慧toma宅isms
!)with lmpalrme蹴・fc・nscl・usness・nly
l)illuSi・nS(maCr・ρSia, metam・rph・pSia_)
2) halluch≧atiolls
5.With psychomotor sympotomaω10i翻
(auωmatisms)
6。CompOtmd f∼)rms
6.おわりに
complex partlal selzures(意識減損と自動症)
の二つに分けられた。そしてpsychic symptolns
これまで述べてきたように,ILAE(1969)
(dysmnesic, cognltlve, affective,員lusions, hallu−
の分類で,”partial seizures with complex
cinatめns e毛。)はsimple partial selzuresのカテ
symptomatology”はILAEがこれまで精神運動
ゴリーに入れられた。現行のてんかんの国際分
発作(またはてんかん)と呼ばれていた発作群
類である(1989年掛決定)「てんかん及びてん
(てんかんの一類型とオーバーラップしている
かん症候群の分類」で精神運動発作(あるいは
が)に対して命名したものである。ここでは,
てんかん)という名称は消滅した。しかし,著
“複雑(cornplex)”という用語は“organlzed,
者の仕事から,psychic symptoms(単純部分発
high.1evel cerebral activi毛y”を意味しており,
作)と,意識減損および自動症(以上,複雑部
この発作群は意識減損,認知・情動の障害など
分発作)は,これまでの精神運動発作というて
多彩な精神運動1生現象が含まれている。すなわ
んかんの一類型において,発作発展の特徴であ
ち,この命名はこれまでのいわゆる精神運動発
るphasic sequenceからみて密接に関連してい
作が示す全ての症状を包含しているので適切な
るので,主として臨床発作症状からてんかん類
命名であると考えられる。従って,この用語
型を診断する実際の臨床場面に於いて戸惑いを
(診断名)は精神運動発作にかわって国際的に,
感ずることが少なくないように思われる。脳波
広くしかも急速に用いられるようになった(て
検査で側頭葉にてんかん性放電がいつも証明さ
んかん発作とてんかんが混同しておりややこし
れるとは限らないので,このような場合発作症
い)。しかし,1970年代になって,vldeoねpe
状の診断(同定)はできてもてんかんとしての
による発作症状と脳波の同時記録の詳しい分析
類型診断ができない。さらに実際の臨床上,目
が行われるようになり,それによって1969年
の前の患者のpsychic symtomsが意識減損を伴
の国際分類が再検討・再評価され,改定案が提
なっていないと断定できるかどうかという難し
案された。この改定案は1981年の京都におけ
るTILAE総会で承認された。改訂分類案では,
い問題も残ろう。
精神運動発作(またはてんかん)患者の診療
“comp璽ex”という用語は意識減損を伴った発
や研究を通して,てんかんの一類型としての本
作に限定され,“partial seizures with complex
疾患について膨大な知識(病因,好発年齢,経
symptomatology”はsimple partlal seizuresと
過,予後判定の条件,有効な抗てんかん薬など)
精神運動発作(psychomotor seiz礎es)と複雑部分発作(com沿1ex partlal selzures)
Wschr,103:469−475,1973.
が集積され,それらは,長い間日常の診療場面
で,診断,治療,予後予測などに利用され成果
を上げてきた。総説の主旨から段々離れてきた
12)
Lalldok H:Die Temporallappenepilepsie tlnd
13)
宮坂松衛,福引 等,大高 忠、:てんかんの年内
覚・錯覚発作と精神運動発作.高橋・宮坂・宮
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ようであるが,症状のphasic sequenceという
本編.幻覚の基礎と臨床.医学書院,東京:
観点:からcomplex partial selzuresを設定したこ
とは,これまでに述べてきたようにまさに臨床
8!
223−246,1970.
14)
福部,等:精神運動発作(側頭葉てんかん)の
発作型の相的構造に関する脳波的・ポリグラフ
15)
Jovm、ovlc UJ:Psychomotor epilepsy・C.C.
的事実に即しており十分評価できるが,これら
白勺一升究. 精宇月経註志, 74 :471−512,197!∼。
を中核症状とする“精神運動発作(または精神
運動てんかん)”という歴史あるてんかんの名
称(本体も分解されてちりばめられた?)が国
Thomas Publ Sprhlg§e且d, Illinois:1974.
16)
Comp】ex par芝lal scizures o韮・closed−cl韮℃ult televl−
際てんかん類型分類から姿を消してしまったこ
sioll and EEC.Astudy of 69.l attacks l互}79
とは淋しい限りである(老いのノスタルジア
pa宅ients. Ann. Neurol., l l:292−300,1982.
17)
か)。
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