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ベナン共和国の労働事情

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ベナン共和国の労働事情
ベナン共和国の労働事情
【ベナンのナショナルセンター】
ベナンには 5 つのナショナルセンターがあり、そのうち 2 組織が ICFTU に加盟している。
(1)ICFTU 加盟組合
①ベナン全国労働組合評議会(UNSTB)
②ベナン中央自治労働組合(CSA-BENIN)
(2)その他
③独立労働組合連合(COSI)
④ベナン労働組合総連合(CGTB)
⑤ベナン労働組合連合(CSTB)
【ベナン全国労働組合評議会(U N S T B )】
2000 年 8 月 9 日に、アフリカ労働事情調査で訪問した際の聞き取り調査および入手資料を
もとにをまとめたものである。
主 な 対 応 者 : N . ア ソ バ (N i c o d e m e A S S O G B A 事 務 局 長 、 J . ヌ テ ー ( Jules Hossou
N O U T A I )、 国 際 関 係 担 当 役 員 、M . アイェボラ( M a t h i e u A Y E L A B O L A ) 社 会 経 済 計 画
担 当 役 員 、S . ア フ ァ ン ジ ヌ ー (S t e p h a n e D . A H O U A N D J I H O U ) 労 働 調 査 ・ 資 料 担 当
役員ほか、本部役員・組合員 6 0 名程度が参加
1.
U N S T B 組織概要
(1)組織名
Union Nationale des Syndicats des Travailleurs du Benin
:
(UNSTB)
ベナン全国労働組合評議会
(2)住
所 : 1er Boulevard Michel, Bourse du Travail, B.P.69, Cotonou, BENIN
(本部ビル建設中のため、現在仮事務所)
(3)電 話
:
229 303613
(4)FAX
:
229 303613
(5)事務局長:
ASSGBA
Nicodeme
(6)組合員数:
12 万人(うち、組合費納入組合員数は 4 万人)
(7)加盟組合数:46 組合
①フォーマルセクター
公共部門:司法関係労働者、地方自治体労働者、金融・財政部門労働者、看護婦、
看護師、公認助産婦、地方農村部開発関係労働者、小学校教員、一般行政職員を組
織する。
民間部門:準公営部門:セメント関係会社(3 会社)
、石油会社、タバコ・マッチ産
業、パン製造・販売業、インド・レバノン商社労働者、ホテル・バー・レストラン
等飲食店従業員、家内工業労働者、私立小学校教員、保安関係労働者、民間印刷関
連会社従業員、綿・繊維関係労働者を組織する。
② インフォーマルセクター
ベナン全国農民組合(ONPB)
漁業・魚卸売商・水産・水産物加工品商全国組合(SYNAPEV)
ベナン・ゼミジャン独立組合(SYN.I.ZE.B/UNSTB)
(バイクタクシー運転手の組合)
ベナン自動二輪車工全国組合(SY.NA.ME.MO.B/UNSTB)
ベナン・ゴム加硫業全国労働組合(UNVB/UNSTB)
(タイヤ、チューブ等の加工をする労働者の組合)
ベナン市場/行商販売人全国組合(SYNAVAMAB/UNSTB)
U N S T B 加盟の主なインフォーマル・セクター全国組合
UNSTB 資料を加工
組織名称
所在地
TEL
設立
設立動機
目的
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
役員数
委員長
主な職種
直面する課題
ベナン全国農民組合 (O N P B )
Organisation Natinale des Paysans du BENIN
01 B.P. 1142 P/Novo, BENIN
229 22 25 29/22 48 19
1991 年 3 月 3 日
地方農民の役割の再評価、及びその利益の保護
国家に帰属している意識が欠如しているため、徐々に組織化し、組合
員への対応を進める
女性 62%(18,000 人)、男性 20%(6,000 人)
合計 24,600 人
女性 65%(19,500 人)、男性 35%(10,500 人)
合計 30,000 人
25 名
FAD-OUEME(ファド・ウーメ)
農業、牧畜、水産加工業、農産品商業、その他
ベナン北部の単位組織の活動停止、教育やその他各種プロジェクトの
指導者の不足、資金不足、農業ローンの欠如、通信、移動の困難、そ
の他。
組織の強化=労働教育、指導者の育成、チームワーク
資金援助、技術教育、外部との接触、経験の交流
組織化に向けての 国家から完全に離脱してしまっていることもあり、彼らが将来に展望
将来計画
を持てるよう、また地方農民の組織が自立できるよう、技術的、資金
的な計画を立てることが重要である。
国際的連帯による、経験や資源の交流を図ること。
解決策
組織名称
所在地
TEL
設立
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
役員数
書記長
主な職種
主な活動
直面する課題
ベナン・ゼミジャン独立組合 ( S Y N . I . Z E . B / U N S T B )
Syndicat Indépendent des Zémidjans du Bénin
1999 年 12 月
男性 800 人
男性 4,500 人
19 名
Bonaenture AHITCHEME
(ボナヴァンチュール・アヒチュメ)
ベナンにおけるゼミジャンとは、バイクタクシーのことである。より
正確には、タクシー替わりのバイクのことであり、『ゼミジャン』と
は『バイク運転者』、あるいは『バイク』そのものを指し、転じて、
『早く行ってくれ』という意味にも使われている。
バイク・タクシーの運転手の数は全国では 15 万人を超え、そのうち、
55,000 人が、コトヌー(首都)に集中している。
組合は、こうしたバイクタクシー労働者の物質的、精神的、職業的利
益の保護を目的としている。
過当競争、過剰なバイク・タクシー、良質の交換部品の不足、労働教
育センターの欠如(警察手続きの煩雑さ、銀行ローン取得の困難など、
職業的、経済政策的、社会的不備)また、バイク・タクシー所有者に
よる運転手の搾取
解決策
マイクロバス、バスによる都市間公共交通手段の確保、開発
労働教育、職業訓練、公民、交通法規教育
組織化に向けての 共済信用貸付け組合の設立。職業訓練、日本製交換部品販売センター
将来計画
の設立
組織名称
所在地
TEL
設立
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
役員数
書記長
主な職種
直面する課題
漁 業 ・ 魚 卸 売 商 ・ 水 産 ・ 水 産 物 加 工 品 商 全 国 組 合(S Y N A P E V )
Syndicat National des Pêcheurs Mareyeurs Vendeuses de
Produits de Pêche et Assimilés
1999 年 4 月 7 日
女性 99 人、男性 107 人
合計 206 人
女性 1,400 人、男性 1,600 人
合計 3,000 人
21 名
KOKLO. M. BAUDOUIN (コクロ. M. ボードウィン)
湖沼河川漁業、家内漁業、近代漁業
①いくつかの漁業協会と漁業組合との対立
②人材、資金、物資の不足
解決策
ミクロ・プロジェクトの創設、漁船用エンジン、その他機材の供与、
職業教育(職業的識字教育、経営学基礎、経営情報化、ミクロ・プロ
ジェクト理念)について SYNAPEV への支援
組織化に向けての 漁業専用港の建設、湖沼、河川の浚渫、漁業購買センター、共同診療
将来計画
所の設立、観光開発、及びユーザー(漁民、家族その他)の交通手段
の確保
組織名称
所在地
TEL
設立
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
ベ ナ ン ・ 自 動 二 輪 車 工 全 国 組 合 (SY.NA.ME.MO.B/UNSTB)
Syndicat National des Mécaniciens de Motocycles du Bénin
BP 69
30 36 13
1991 年 11 月 10 日
男性 376 人(女性 0)
男性 1,386 人(女性 0)
主な職種
21 名
GNONLONFOUN G. Mathieu
(ニョンロンフーン・マチュー)
二輪車用エンジン、ポンプ、発電機の修理
主な活動、目的
組合活動として、組合員の物質的、精神的、職業的利益の保護
役員数
書記長
直面する課題
日本製車両の交換部品の不足、銀行ローンの取得が困難なこと、警察
手続き、納税手続きが煩雑なこと
解決策
国内外の支援による購買センターの設立
組織化に向けての 部品調整、コイル部品、フライホイール、マグネット部品メンテナン
将来計画
ス等のための研修センターの設立
組織名称
所在地
TEL
設立
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
ベナン・ゴム加硫業全国労働組合(U N V B /U N S T B )
Union Nationale des Vulcanisateurs de BENIN
03 BP 1924 Cotonou
229 31 28 15
1999 年 4 月 7 日
男性 4,000 人 (女性 0)
男性 4,000 人 (女性 0)
役員数
書記長
主な職種
22 名
ABIBOU SIKIROU (アビブー・セキルー)
タイヤ、チューブ、バッテリーチャージャー用チューブの加工。
主な活動、目的
組合員の物質的、精神的、及び職業的利益の保護。貧困及びエイズと
のたたかい。
直面する課題
交換部品の口頭、煩雑な納税手続き、組合員に銀行ローンが供されな
いこと。そのため、給付金の増額が制限され、労働環境の改善が阻害
される。
組合員がローンを組めるように、共済組合(エスポワール/希望)へ
の組合からの支援
組織化に向けての 青年教育センターの設立(近代的工房)
将来計画
解決策
組織名称
住所
TEL
設立
設立当初の
組合員数
現在の組合員数
役員数
書記長
主な職種
主な活動、目的
直面する課題
ベナン・市場/ 行商販売人全国組合
(S Y N A V A M A B /U N S T B )
Syndicat National des Vendeurs, endeuses et Assimiles des
marches du BENIN
Cotonou
229 31 20 44
1992 年 5 月 22, 23 日
男性 4,000 人、 女性 9,000 人
合計 13,000 人
男性 8,500 人、 女性 45,000 人
合計 53,500 人
25 名
Justine TCHODATON (ジュスティヌ・チョダトン)
組合員は、あらゆる産業、すなわち、繊維、金物、食肉、皮革製造、
地方農産物の販売、購入にかかわっている。
すべての市場活用者の組織化、組合員の物質的、精神的、職業的利益
の保護、また、不当行為、差別、疎外に対しての闘争。組合員の連帯
感の育成、教育プログラムの設定と実施。
各種ローンを取得できないこと、納税手続きの煩雑なこと、市場設営
の場所の不足、市場で働く女性のための児童保育施設の不足。
SYNAVAMAB 組合員のサービスを目的とする共同信用組合の設立。
労働、生活条件向上のための組織の設立。
組織化に向けての 企業へのミクロ/マクロ的経営教育。市場で働く女性の負担を軽減す
将来計画
るために、保育施設の充実。
解決策
(8)上部組織
:
ICFTU、ICFTU-AFRO
(9)組織構成
U N S T B 本部
公務員組合連盟
民間・公営企業組合連盟
インフォーマルセクター
行政区組合連合
県組合連合
農村部労働者組合連盟
全国組合
全国組合
全国組合
地域組合連合
(USL )
単
組
組 合 員
(10)事務局体制
:
UNSTB 本部役員のうち、8 月 9 日調査時に出席した役員は下記の通り。
氏
名
役
職
事務局長
ASSGBA Nicodeme
副事務局長および議会担当
ADEKO Michel
国際部長
NOUTAI H. Jules
国際部次長
WEKE Yenowamon
総務(内務)部長
AVANDE Marcelle
社会経済プロジェクト部長
AYELABOLA Mathieu
調査・資料部長
AHOUANDJIHOU D. Stepane
労働教育部長
RADJI Moutalabi
労働教育担当次長
NOUTAI Gernest
女性部長
EKPO Philomène
女性部次長
HOUNKPESSODE Julienne
インフォーマルセクター部長
AHICHEMEY Bonaveuture
インフォーマルセクター 農業従事者代表
TAUZET Paul
インフォーマルセクター 市場販売女性部門部長
CODJOYI Francoise
インフォーマルセクター 運輸関係部門部長
DJOSSOU Francois
公務部門部長
ADIBADE Robert
法務・社会問題顧問
AGBETE Hewie
報道広報部長
MENSAH Pierre
財政部長
ADJASSA Vincent
企画運営部長
BOKOSSA Philippe
定期大会は 4 年に 1 回、第 4 回定期大会が 1999 年 11 月に開催された。第 4 回定期大会
の宣言、議案書(仏語)を入手、JILAF に保存。
(11)UNSTB 沿革
1960 年 8 月
1973 年 7 月 9 日
独立宣言(ダオメー共和国)
宣言に基づき、アントワーヌ・ダルメイダ(Antoine D’ALMEIDA)
の意を受けたすべての労働組合が自発的に解散し、ダオメー労働者戦
線(FTD)を結成。
年
月
日
統一労働組合結成大会開催。
1974
11
14
∼17 日
労働者階級の統一と統合の可能性について合意。
ベナン全国労働組合評議会(UNSTB)の前身であるダホメ全国組合
評議会(UNSTD)が設立される。(ダオメーは当時の国名)。
UNSTD は、
・UGTD(ダオメー労働者総同盟)
・UGSD(ダオメー労働組合総同盟)
・CGTD(ダオメー労働者総評議会)
・CNSL (全国自由労働組合評議会)
・CIC(労働組合間調整委員会)
・その他、1972 年以前に存在していたいくつかの独立組合
が、統合して結成されたもの。
1975 年 11 月 30 日
1974 年 11 月∼
1990 年 2 月
1990 年 3 月
現在
(12)
国名の改称(ベナン人民共和国 )にともない、組織の略称も UNSTB に
変更される。
UNSTB の初代事務局長に、ティモテー・アダンラン氏( Timothée
ADANLIN )(現・高等視聴覚・通信庁長官)が選出される。
全国に 92 の単組が 16 の職業別組合に加盟し、UNSTB に統合され
ていた。したがって、1990 年 1 月、『国民の生き生きした力 =大会』
が開催されるまでは UNSTB が産別組合を組織する唯一のナショナ
ルセンターであった。
77 年共和国基本法を停止。国民革命議会解散、国名をベナン共和国
に改称。新内閣成立。
政治の世界で起 きた複数政党主義の波が労働界をも巻き込み、
UNSTB から脱退する組織も出てきた。
UNSTB から脱退した労働組合が、5 つのナショナルセンターを設立
し、現在に至る。
・ベナン全国労働組合評議会(UNSTB)
・ベナン中央自治労働組合(CSA-BENIN)
・独立労働組合連合(COSI)
・ベナン労働組合総連合(CGTB)
・ベナン労働組合連合(CSTB)
UNSTB の主な活動と目的
UNSTB の主な活動と目的は、以下のとおり。
①
UNSTB の活動目的は以下のとおり(定款第 5 条より)。
−加盟組合を通じて、ベナン共和国におけるすべての労働者をその性、民族、国籍、言語、
宗教、信条、政治的立場の違いによる差別をすることなく、加入、組織化、統合するもの
である。
−組合員の労働、生活条件の向上を目的とした加盟労働組合の闘争を支援、調整、監督す
る。
−経済、社会、文化面での国民的発展に貢献する。
−フォーマルセクター、インフォーマルセクター、地方農村部におけるすべての労働者の
物質的、職業的利益を保護する。
−国益に関する問題がベナン労働者階級に影響を及ぼすものである場合、他の労働組織と
も協力し、統一行動をとり闘争を展開する。
−恒常的な労働生産性、生産力の向上のため労働者階級の意識改革に努める。
−労働者階級の意識、行動の統一を強化する。
−労働者への圧力、支配、搾取に対しては、いかなる形態であってもたたかう。
−全国的、地域的、大陸的、国際的組織との友好的関係を築き、友愛と連帯の絆を固め、
発展させる。
−民主主義と労働者の権利、民主的自由の尊厳のためにたたかうすべての人民を支持する。
②インフォーマルセクター労働者の組織化について
UNSTB は、インフォーマルセクターの労働者の組織化について手がけた始めてのナショ
ナルセンターである。ベナンのような発展途上国においては、開発を進め、貧困とたたか
っていくにあたり、インフォーマルセクターの労働者がおかれている労働条件や環境を把
握し、改善をしていくこと、また、そのためにインフォーマルセクターの労働者を労働組
合の活動に組み込んでいくことが不可欠の課題であると UNSTB は認識している。 ベナン
において、1980 年代の経済危機、構造調整計画の受け入れにより、公務員の削減、国営企
業の民営化、操業停止等から、大量の失業者を生み出した。これら職を離れた労働者の多
くは、インフォーマルセクターに流出していった。彼らの多くが、劣悪な労働条件のもと
で働いている。UNSTB は、インフォーマルセクター労働者の組織化を進めるにあたり、労
働者に対して、労働者としての権利を自覚し、団結する意義を認識し、職業技術の向上を
もめざす、労働者教育、労働組合教育、職業訓練などを行うことを考えている。そのため
にも、後述する労働教育、職業訓練研究センターの一日も早い設立を望んでいる。
また、UNSTB は、彼らの組織化として、協同組合(コーポラティブ)、協議会(アソシエ
ーション)を作る動きを助けている。現在、インフォーマルセクター労働者の組合として、
バイクタクシー労働者、タイヤ修理工、農業従事者、漁業従事者、市場で働く女性たちを
組織した全国組合ができている(P
資料 4「UNSTB の主なインフォーマルセクター全国
組合一覧」参照)。UNSTB は、これらインフォーマルセクター労働組合の組合員には、組
合費の免除という措置をとっている。このため、組合費納入人員(4 万人)と、実際の組合員
数(12 万人)は、合致しない。
③
労働教育、職業訓練研究センター設立計画
UNSTB は、結成より 26 周年を迎えて、組合員の活動、労働事情の分析、また、更なる
発展のために、労働教育、職業訓練研究センターの必要性を感している。このセンターを
通じて、組合活動、政策立案・提言、労働安全衛生等、さまざまな分野で実力のある人間
を養成したいと希望している。組合活動を充実していくなかで、組合としての研究活動、
労働者教育、職業訓練は、欠かせないものと考えている。
同センターでは、新入組合員のための基礎教育、全国組合リーダーに対する中級レベル
教育コース、ナショナルセンター幹部に対する教育訓練コースをもち、また、技術向上の
ための職業訓練コースも設け、インフォーマルセクターを始めとする組合員のより一層の
労働条件の向上を目指す。また、センターは、40 ベッドを備えた宿泊施設も設け、地方か
らの組合員の参加も可能にすることも計画の中に含んでいる。
(13)
UNSTB からみた他のナショナルセンターとの関係
ベナン全国労働組合評議会(UNSTB)は、労働組合の自由、労働組合権の保護について規
定する ILO 条約第 87 条に基づき、他のナショナルセンターとも友好的、協力的関係を維持
している。また、UNSTB が率先して労働者の利益を保護するための共同計画の立案にあた
るなどして、他のナショナルセンターとの連携をはかっている。 CSA-BENIN の本部事務
所を UNSTB の敷地内に設営すること、また他の 5 つのナショナルセンターのための本部
事務所施設を UNSTB 敷地内に受け入れたことも、他のナショナルセンターとの関係が友
好であることの証であるというのが、UNSTB の見解である。
2
U N S T B からみた現在のベナン労働事情 ( 雇用問題)
ベナンにおいて懸案となっているのはまさに、雇用問題である。行政府当局もこれを、
発展途上にあるベナン共和国の重要な問題ととらえ、その対策に取り組んでいると UNSTB
も認識している。
1986 年から 2000 年までの雇用状況についてみてみると、公共部門、準公共部門、民間
部門、またインフォーマルセクターにおいても、状況は次第に悪化しつつある。事実、ブ
レトン・ウッズ協定に基づく世界銀行や IMF の構造調整計画を課せられて以来、ベナン共
和国内の社会状況は悪化する一方であり、破壊されてさえもいる。現在、ベナンにおいて
民間企業、準公営企業、あるいは公営企業に就職口を見つけることは、きわめて困難であ
るといわれている。
それぞれの分野の状況については以下のとおりである。
(1) 公共部門における雇用状況
構造調整計画が実施されたことで、公共部門では、1992 年から 1995 年にかけて、退職
金が保証されないまま早期依頼退職により 4,950 件の雇用が削減された。これら 4,950 人
の公共部門退職者に加え、235 名の嘱託高級官僚(労働者)も公共部門から解雇された。
1986 年から 1995 年にかけて、世銀や IMF は給与生活者数の増加を抑えるため、公共部
門での新規採用を行わないように指導した。このため、9 年以上もの間、専門学校・大学卒
業者は就職口を得られず、また、同時期、依頼退職に応じた労働者も、再就職口を見つけ
られずにいた。
1992 年における公共部門の被雇用者総数は 34,790 人、そのうち男性は 25,815 人、女性
は 8,975 人である。 1993 年、公共部門での被雇用者総数は、34,966 人であり、そのうち、
男性は 25,954 人、女性は 9,012 人である。 92 年から 93 年にかけて公共部門では被雇用者
数が 176 人増加したものの、1,000 人以上が同時期、退職させられたのである。
1994 年、公共部門全体における被雇用者総数は、34,449 人、そのうち、男性が 25,552
人、女性が 8,897 人である。1992 年と 1994 年の就業者数の差はわずかに、 341 人と、わ
ずかな増減を繰り返しているだけの状況である(資料:雇用展望 1997 年 12 月刊(15 号):公
共部門における雇用状況とデータより引用)。
政府は、
人件費抑制を目的として常勤国家公務員すべてについて調査を行った。
1997 年、
その結果、常勤国家公務員の総数は 28,179 人であることがわかった。
内訳は、男性が 20,375
人、女性は 7,804 人である。
1997 年 4 月調査の後、 2,190 人の常勤国家公務員が採用された。2000 年 3 月には、2,182
人が現職にある。状況は次のとおりである。
総数:2,182 人
登録番号を有する新規採用者:1,297 人
登録番号を有しない新規採用者:885 人
2000 年 3 月末の公共部門・労働・行政改革省の報告によると公務員の状況は以下のとお
りである。
28,179
①−調査現職員数
862
②−常勤特殊国家公務員
1,297
③−新規採用
30,338
合計
これらすべての公務員に係る 1 カ月当たりの人件費総額は 26 億 3616 万 1,080CFA フラ
ンと推定される。(資料:常勤国家公務員便覧 MFPTRA 2000 年 3 月)
(2) 準公共部門の労働事情
構造調整計画の実施は準公共部門の企業へも悪影響を及ぼした。工業、商業分野の国営
企業はすべて閉鎖されるか、あるいは民営化された。国家に所属する 62 の企業が閉鎖、民
営化され、9,489 の雇用が消失し、9,489 人の職員が失業した。(資料:雇用展望 1997 年 12
月刊(15 号):公共部門における雇用状況とデータより引用 )。この雇用の削減は、1985 年か
ら 1993 年までに行われたものである。
一方、公共投資計画(PIP )の実施により 1998 年、全国で合計 3,323 件の雇用が創出さ
れた。各省で実施された公共投資計画が創出した雇用の状況は以下のとおりである。
― 0 ∼ 3 カ月間の雇用:
5,930 件
― 4 ∼ 5 カ月間の雇用:
2,072 件
― 6 ∼ 11 カ月間の雇用:
9,193 件
― 12 カ月以上の雇用 :
2,492 件
合計
19,687 件
(資料:
『1998 年雇用創出に関する公共投資計画の影響』、雇用開発促進、政府行動計画、
調整担当国務省作成、2000 年 1 月公表)
(3) 民間部門の状況
民間企業や事業主の中には労働法を無視し、労働者に認められた労働組合権を無視する
ものもあるようだ。労働組合権を侵す2つのケースが紹介された。
ケース 1: ベナン・セメント会社(SCB)では、製造部門で組織された組合の大会に参
加したことを理由に、5人の従業員(組合員)が解雇された。
ケース 2: SUNTREV−ベナン社(保安ガードマン会社)では、組合設立を妨害した事業
主に苦情を申し立てた従業員9人が解雇された。
こうした労働組合法違反はすべて政府当局に報告されるとともに、結社の自由を侵す行
為が繰り返されないようにするために必要な措置がとられている。
1990 年 5 月 15 日付第 90-04 号法は、不況化にある民間部門の雇用を保障するものでは
なく、ブレトン・ウッズ体勢(世界銀行、IMF)からの圧力により廃止された。同法のもとで
は民間企業の事業主に大きな権利を与えられ、人事についても事業主が自由に権利を行使
し、多くの労働者が失職した。
(4) インフォーマルセクターの状況
インフォーマルセクターで調査対象とした経済活動別の雇用状況は以下のとおりである。
― 屋内雇用
:
69,732
― 半屋内雇用
:
89,129
― 移動雇用
:
62,436
これらの労働者の多くは、公共部門、あるいは準公共部門から失業し、インフォーマル
セクターに流入したものである。インフォーマルセクターの就業者は、日に日に増加して
いる。そしてこの産業の原動力となっているのは、妻や子どもとともに生き残ろうとする
自活への努力である。彼らの直面する多くの問題を解決するためにも、UNSTB はこの大規
模な組合員数の見込まれる産業分野の組織化に強い関心を抱いている。
ベナン共和国政府当局は、雇用の創出に積極的に取り組んでいると UNSTB は認識して
いる。この取り組みの一環として、就職口のない学卒者のため、また、青年層が直面して
いる重大な失業問題解決のため、『雇用のための連帯と支援の基金』が設立された。
報告者は最後に、UNSTB は、雇用の確保、労働組合権の確立、そして労働者保護のため、
さらにたたかっていくものであるという決意を述べて報告を終えた。
3
UNSTB と、政府当局、経営者団体(CNP-BENIN)との関係、
政労使で行っている活動・協力関係(社会的対話)について
UNSTB から見た政府の経済、雇用政策、労使関係についての評価
政労使で共同して行っている活動は、非常に重要で、基本的な問題を含んでおり、これ
は、UNSTB の解釈では「社会的対話(ソーシャル・ダイアローグ)
」に関するものとして
認識し、ベナンにおいて政府、全国経営者評議会(CNP‐BENIN )
、及び、労働組合の関
係が、いかなるものであるかを問うものであると理解している。UNSTB は、ベナンにおい
て、社会的対話を通じ、経済政策や雇用政策が議論されており、社会的対話を通じ、労使
関係が゙発展もしていると認識する。UNSTB ではすべてのリーダーが「社会的対話」こそ
経済発展と社会の安定を保証する鍵であるとの共通認識を持っている。
ベナンにおいて「社会的対話」として、政府、全国経営者評議会( CNP-BENIN)、及び、
労働組合の三者の協議制度が進められており、法的、制度的措置として、国家労働審議会
と公共部門労使協議制審議会の 2 つの委員会の設置が法律で明文化されている。
(1) UNSTB と政府、使用者との関係
国家労働審議会(CNT)
①
1967 年に制定された労働法第 147 条で、経営者および労働者 (労働組合)の代表者による、
ベナン労働界における問題を分析するための機関を設置することが定められた。これが国
家労働審議会である。1967 年 9 月 28 日付、労働法第 147 条で規定された国家労働審議会
は、ベナン国民の社会経済生活を安定させる効果を果たすべく設置され、その重要性は、
1998 年 1 月 27 日付新法第 98-004 号第 286 条の規定にも認められている。国家労働審議会
は、ベナンにおいて唯一、労働側、全国経営者評議会 (CNP-BENIN)の意思疎通を図り、三
者協議制、社会的対話を実現する機関として機能しているものである。労働側と経営者団
体との関係はおおむね良好で、相互に尊重を旨としているようである。
対象:民間企業従業員、準公営企業の従業員
規定:労働法第 147 条により、1967 年以降定められている。
委員:使用者側 12 名
労働者側 12 名
[全国経営者評議会(CNP-BENIN)の代表 12 名]
[5 つの労働組合ナショナルセンター(UNSTB,CSA-BENIN,COSI,
CGTB,CSTB)の代表 12 名、うち UNSTB は 3 名]
専門家 8 名
[労働法の専門家 4 名、司法省から 2 名、ベナン社会保険庁から 2 名]
任務:
・雇用、労働問題、すなわち労働者の指導、職業教育、職業紹介、労働力移転、移動、
労働者の物質的、精神的労働条件の向上、および社会保障について検討する。
・職業間最低賃金(SMIG)について協議する。
開催:1990 年以来、国家労働審議会は毎年、少なくとも 4 回の定例会議を開催している。
開催期間は、議題によって 3 日∼5日間である。
協議内容:
使用者と労働者が代表を送り出すことにより、双方が同じテーブルについて対話を行う。
民間、準公営企業の従業員が直面するすべての問題は、この委員会で扱われ、協議される。
三者構成ではあるが、使用者と労働者の代表が協議をし、大臣が議長・審判を勤める形
となる。
諮問委員会の協議は、まず対話。決定の形は、使用者側、労働者側がお互いの主張を
し、議論は熱するが、最終的には話し合いでコンセンサスを導くことができる。コンセ
ンサスを得られるまで、何日も話し合う。
1990 年以降対話の内容が充実し、問題発生時には、大臣が労使双方を召集し、協議を
する形となった。民間・準公営企業の労働者の労働条件等に関するすべての法令案や政
令案が国家労働審議会に提出され、審議のうえ合意に至る。
S.M.I.G.(最低賃金)もこの委員会で決められる。1999 年 12 月 決定、2000 年 3 月施
行の最新の最低賃金は 25,000CFA フラン/月(約 38US ドル)である。今回、SMIG は引き
上げられたが、依然として生活は楽になっておらず、原油価格の上昇(73.29%)をカバ
ーするものでもないと労働側は見る。UNSTB を始めとする労働側は、政府に対し、労働
者の購買力を維持するためには、公共部門、民間部門において 75%の最低賃金引き上げ
が必要であると主張し、要求をしている。最低賃金(SMIG)の再評価を行うために、8
月末、次回 CNT 委員会が開かれる予定である。
① 公共部門労使協議制審議会(CCFP)
1986 年 2 月に制定された法令 86-013 号第 10 条に常勤国家公務員の身分についての一般
的規定があり、公務員労使協議制審議会の設置を定めている。また、公共部門労使協議制
審議会進捗委員会、規律委員会の構成、機能、権限を定めるべき政令は制定されたことが
ないが、公共部門労働者が直面する問題を解決するため、政府、ナショナルセンターでは
社会的対話を維持すべきとの共通認識を持っていることは、毎年、それぞれの代表が交渉
の席についていることからも明らかであると UNSTB は見ている。この交渉は、国家元首、
共和国大統領が議長を務め、再三にわたり開催されている。
委員:全ての省の代表
すべてのナショナルセンターの代表
規定:1986 年に施行された法律により定められている。
UNSTB は 1999 年 9 月から他の 4 つのナショナルセンターとともに参加している。
協議内容:
この委員会の最近の成果は、1998 年 3 月に政府とナショナルセンター5 団体の間で締
結された合意議定書である。この議定書は、ベナンにおいて政府とナショナルセンター5
団体の代表との間で推し進められてきた社会的対話を象徴する、歴史的なものである。
1999 年 9 月 13 日以来、政府とナショナルセンター5 団体の間で常勤国家公務員の新しい
規定について大規模な交渉が行われている。政府は労働組合側が提案する賃金一覧 (俸給
表)を認めることになった。この交渉の席で、いくつかの省から強い圧力があったが、労
働側の代表はねばり強くその見解の妥当性を主張し、また、テレビ等でキャンペーンを
行い世論を喚起し、ついに彼らに労働側の主張を認めさせることができた。この給料表
は、これまで政府が適用してきた 30-25-20 および 15 段階の給料表と違い、 15-15-10 お
よび 10 段階からなっており、上下にそれぞれ 10%スライドする方式になっている。政府
は組合の要求を承認する決定をしたが、実施はまだである。
政府が労働組合の推進する給料表を受け入れたことは、労働組合と政府の交渉が円滑
に進められ、その良好な関係を示す証拠でもあると UNSTB は認識している。
②
ベナンにおける三者構成主義
三者構成主義は、ベナンが ILO に加盟したときから導入されている。政府は三者構成主
義に基づいて、毎年、経営者、労働者の代表と地域的、国際的会議に参加している。ベナ
ン政府は、ILO 条約第 3 条第 5 項を尊重している。
(3)政府、使用者団体と共同で行っている事業・政策
社会的対話の促進に関して、三者構成で行われている計画として、ILO が主導する社会
的対話についての計画で、Ms. ジョアンナ・ワオルグラヴ(Johannna WAOLGRAVE)専
門家がリーダーを務めるプロジェクトが挙げられる。このプロジェクトは、西アフリカ通
貨経済同盟(UEMOA)に加盟するすべての国に関連するものである。
プロジェクトの主な内容は、以下のとおり。
1997 年に UEMOA に加盟する諸国の三者構成代表団がアビジャンに集まり、3 日間の会
議を開催。ベナンは、労働組合、全国経営者評議会、公共部門・労働・行政改革省、UNSTB
書記長からなる代表団を構成し、この会議に参加した。1998 年にはベナンにおける社会的
対話を調査研究するため、コートジボアール、トーゴの三者構成の調査団がベナンを訪れ、
4日間にわたり各国の社会的対話の実情などについて有意義な意見交換が行われた。
2000 年 4 月には、コトヌーにおいて、ILO 主催のセミナーが開催され、ベルギー王国全
国労働法議会からの参加者とともに社会的対話について意見や経験の交流が行われた。こ
のセミナーの参加者は、開催期間中 ILO の 8 つの基本的協約について学習した。
JILAF 、連合との関係
4
(1) JILAF および日本が行っている、労働組合リーダーを対象にした招聘プログラム、お
よび教育訓練プログラム等について
ニコデム事務局長( 2000 年 6 月 29 日∼7 月 12 日アフリカ西部チーム参加)の招聘プ
①
ログラム参加についての印象は以下のとおり。
日本で最も印象深かったことは、伝統文化を残しつつ、近代的発展をしていることであ
る。また、職業生活の上での規律正しさ、例えば上司の存在の有無に関わらず各自の職分
に対し愛情をもって仕事をしていること、問題解決への道を探すのに、常に対話を持ちつ
づけるという印象を受けた。さらに、有産階級、労働者階級の差がないこと。一定の生活
レベルを労働者が保っていたことも印象的である。また、訪問した連合や自治労の印象は、
組織だった活動の中に、日本の経済、世界の経済を非常によく勉強し自分のものとしてい
るというものであった。
②JILAF 招聘プログラムについて
日本の労働組合運動について、また、その背景にある文化について知るうえで非常によ
く考えられたプログラムであった。日本の社会や労働組合運動のなかに、自国にも通ずる
ものがあり、今後、UNSTB の活動をする上で、多いに参考になった。
今後も少しでも多くのベナンの労働組合活動家が、JILAF の招聘プログラムに参加し、
日本と日本の労働組合について理解を深める機会があるよう、招聘プログラムの存続を願
うという要望が出された。
(2)
JILAF 、連合との関係について
ニコデム事務局長から、以下のような意見と要望が出された。
①
文化的・社会的背景も、経済的状況も、国際社会ににおける位置もまったく違う国の
労働組合である UNSTB と連合および JILAF とが、今回のような相互交流をする機会をも
つことができたことは、非常に嬉しく思う、日本への招聘プログラムは、非常に有意義で
あり、これからも続けて欲しい、また、招聘のみでなく、今回の調査団派遣といった、ベ
ナンの労働事情や、UNSTB の活動について理解を深めるプログラムを実施してくれたこと
は、2 カ国間の相互理解と、労働組合間の持続的で実りある協力関係の基礎を築く上で非常
に重要なものである。相互理解と関係の発展のために、UNSTB が提供できる情報は、すべ
て十分提供したうえで、今後お願いしたい協力計画についての具体的提案をする、として
以下の協力要請がなされた。
②
労働教育・職業訓練研究センター設立計画への協力について
26 周年を迎えた UNSTB が今後さらに労働組合活動を充実させるために計画している労
働教育・職業訓練研究センターに対し、資金、器材の供与の協力とともに、今後センター
で行われる教育活動、セミナーへの講師派遣など、 JILAF 、連合の協力をお願いする、と
して、『労働教育・職業訓練研究センター設立計画書』を手渡された。
【U N S T B オニボロセメント公社労働組合】
2000 年 8 月 9 日、アフリカ労働事情調査で訪問した際の聞き取り調査をもとにまとめたも
の。
対応者
:ラファルジュ社から派遣されている経営責任者
E . ゾーノン ( E m m a n u e l
ZOUNON)
オニボロセメント公社労働組合書記長
ほか同労働組合役員
コトヌーから 150km離れた、ナイジェリア国境に近い農村地域に、オニボロ・セメント公
社(Onigbolo/SCO)はあった。往復 5 時間近くをかけてのちょっとした旅行であったの
で、途中、ナイジェリアからガソリンを運ぶバイクや自転車、農村の生活風景を堪能した。
オニボロセメント公社では、フランス・ラファルジュ社から派遣されている経営責任者と
短い会談をした後、オニボロセメント公社労働組合により工場内のセメント製造過程の見
学のほか、建築途中で中止されている組合事務所なども案内してもらい、労働災害で亡く
なった方々の記念碑に花をささげた。さらに、少し離れたところにある、社宅も訪問して、
従業員や家族の生活を垣間見ることができた。
1.
オニボロセメント公社労働組合 E .
ゾーノン書記長からのヒアリング
(1)会社概要
オニボロセメント公社は、ベナン 50%、ナイジェリア 50%の合弁公社である。年間 50
万トンのセメントを生産できる設備をもつが、現在は 24 時間操業で、年間 10 万トンを生
産。ベナン全国に販売所と倉庫をもつ。製品は、以前は 60%をナイジェリアで、40%をベ
ナンで販売していたが、現在は、ナイジェリアでセメントが 150 万トンも不足しているた
め、販売について心配している。
(2)会社および組合の沿革
1982 年
ベナン 50% ナイジェリア 50%の 2 カ国の合弁企業「SCO オニ
ボロセメント公社」として創業。
1983 年
組合創立、同時に UNSTB に加入。
1990 年 2 月
UNSTB から一時脱退。組合は、一部の管理職が中心に運営し
ていた。
1990 年 11 月
労働者自身の判断で再び UNSTB に加盟するが、再度分裂し、2
組合となる。
1997 年
生産停止
1998 年 3 月
給与支払い停止
経営側は、すべての従業員を解雇する意向を示す。組合側は断
固反対し、 2 週間のストライキ突入。 2 週間後、当時の総裁(経
営者側トップ)と協議。新しい総裁に、組合員を登用。
1998 年 4 月∼6 月
組合員が経営者として公社運営。
生産は中止のまま、機械のメンテナンスのみ行う。労働者に
は、給与の半額が払われていた。
この間分裂していた組合が統合(UNSTB 傘下)。
組合費は徴収していた。組合として、会社の経営権も取りたか
ったが、そこまでの資金力がなく、残念ながら、ラファルジュ
社に経営権が委譲された。
1998 年 6 月∼現在
ラファルジュ社の経営となる(オーナーは、ベナン・ナイジェ
リア両政府)
従業員は、450 人から 390 人に減少したが、これは解雇ではな
く、労働条件が悪くなったための自発的離職であった。
ラファルジュ社が組合分裂を仕向けてきて、現在再び組合は 2
つに分裂。
最近の労使関係の特徴:
・ラファルジュは組合と直接交渉を避けている。
・組合ではなく、社員から選ばれた代議員と交渉している。
・会社側は、独自の選挙制度を作り、組合員が代表に選ばれな
いようにしている。
・昇進などをかけて、組合員に投票しないように工作をしてい
る。
・2000 年 8 月に、会社と組合は直接交渉をするべく、組合側が
要求している。
・会社側の圧力・妨害にも関わらず、組合からの出身代議員が
選出された。その代議員により、今回、直接交渉が実現する。
(3)従業員数
500 人 うち 300 人が正規社員、150 人が短期契約社員。
経営者側と話し合いで交渉。実力行使はできるだけ避けるというのが、労組の姿勢である。
(4)労働条件
①賃金
管理職
130,000∼250,000CFA フラン、
熟練労働者
60,000∼130,000CFA フラン
非熟練労働者
45,000CFA フラン∼
②労働時間
週 40 時間制
週休 2 日(土曜、日曜)、
病欠、特別休暇は労働法に定められた通り。
3交代制
以前は 4 グループ編成で、うち 3 グループが勤務、1 グループは一週間調整休暇。
(例:第 1 週 8:00∼16:00、第 2 週 16:00∼24:00、第 3 週 24:00∼8:00、第 4 週休み)
現在は、製造が軌道に乗っていないので、3 グループ 2 日間調整休暇。
③上部組織
ベナン・セメント全国組合−UNSTB−ICFTU
ICEM(国際化学エネルギー鉱山一般労連)
④組合費
管理職
2,000CFA/月、
技能職
1,500CFA/月
一般
1,000CFA/月
チェックオフシステムにより、組合費徴収。しかし、ラファルジュ社合弁となってから、
チェックオフシステムが中止されたため、組合費の徴収が非常に困難になっている。
⑤組合の活動と現在の課題
ア
交渉: 会社側は代議員制度を導入。 UNSTB 系組合員を代議員にしないよう、妨害。
今年、組合員が代議員となったので、組合の要求を交渉できるようになった。
イ. 現在: 労働組合側は食堂・診療所の再開を交渉中。また、組合事務所も拡張する予
定で、98 年建築着工をしていたが、
ラファルジュ社に経営権が委譲されてから、
工事が中止され、以来そのままとなっている。ラファルジュ社は、福利厚生、
組合活動にかなり神経質になっており、組合の力を弱めようと画策している。
これに対抗していかに組合の要求を実現させるかが現在の課題となっている。
また、ラファルジュ社に経営権が委譲されてからまだ 1 年しか経っていないの
で、生産が完全に復活していない。
ウ. 以前: 組合として、薬局、駐車場、共同購入システムの運営をしていた。しかし、
工場は、 98 年∼99 年にかけて 14 ヶ月間生産停止し、人員が削減されたため、
共同購入システムは中止。
エ.
2 つの組合の関係:
オニボロセメント社は、現在、UNSTB 系組合と CSA‐BENIN 系組合が競合
している。CSA‐BENIN は、1990 年結成時、半年に 3 回のストを行った。し
かし、組合員の反発を招き、 1990 年 11 月に一旦 UNSTB に統合したが、その
後、再分裂した。CSA‐BENIN 系組合は、より協調的労使関係をめざしている。
⑥ベナンにおける構造調整計画(SAP)の影響について
SAP 受け入れ当時は、受け入れざるを得ない状況であった。しかし、手続きの煩雑さ、
行政システムの問題もあって、うまく使い切れていないのが現状である。IMF/世界銀
行は、調整資金の借り入れや債務返済にはかなり厳しい条件をつけた。
1994 年、CFA フランが対フランスフラン比 50:1 から 100:1 に切り下げとなり、暮し向
きは一層厳しくなった。それで始めて5つのナショナルセンターが団結して行動を行った。
労働側は、政府に、賃上げ、社会福祉サービスの向上と受益を要求。その結果、選挙で、
切り下げ推進政策をした議員は軒並み落選。実質的に切り下げ政策をした政府を労働者が
首にした形となった。ある段階まではじっと我慢するが、限度を超えたら負けないという
ベナン人の気質が背景にあると思う。
⑦JILAF ・連合等労働組合間の交流と支援
ベナンの労働組合にとって、日本の労働組合の援助は、ヨーロッパからの援助や圧力を
薄める役割を果たすうえで、非常に有益である。
1999 年 9 月に、ベナン全土で行ったゼネラル・ストライキの際も、西アフリカ諸国から
の支援があったので、切りぬけられたように、国際的連帯は非常に重要である。グローバ
ル化が進んでいる昨今では、西アフリカ諸国の労働組合間の団結、および日本の労働組合
との連帯がますます重要となってくるだろう。
また、1999 年 9 月のゼネラルストライキの際は、この工場自体はもともと生産が停止し
ていたので、ストには入ることができなかったが、組合員は腕章をつけてストライキへの
連帯の意思を示した。この手法は、日本の労働組合から学んだものである。ラファルジュ
社は実際、生産への影響はなかったにも関わらず、非常に神経質になっていた。腕章闘争
は、会社側への圧力となった。
今後も、このような知識・経験交流を通じて、お互いが学び合う機会があると良いと思
う。また、自分(ゾーノン書記長)自身、チュニジアで開かれた ICEM の研修セミナーに
参加したこともあり、ITS などの研修も非常に有益であると思う。
【ベナン中央自治労働組合(C S A - B E N I N )】
2000 年 8 月 8 日に、アフリカ労働事情調査で訪問した際の聞き取り調査および入手資料を
もとにをまとめたものである。
対 応 者:G. アティベ
C S A -BENIN 事 務 局 長 、 ベ ナ ン 中 央 放 送 従 業 員 労 組 書 記 長 、 ILO
理事、 R . デオドラー C S A - B E N I N 副事務局長、ベナン国営石油開発公社書記長
T. エ ミ リ エ ル ノ エ ル
CSA-BENIN 執行委員( 文化コミュニケーション、財務担当 ) 、アジャホ CSA-B
ENIN 執行委員( 女 性 問 題 担 当) 、P. アムスー 航 空 ・ 運 輸 ・ 旅 行 業 労 組 書 記 長 (1999 年度JIL
AF 招聘者) 、D. ジェゼ 航空・運輸・旅行業労組執行委員 ( 女 性 問 題 担 当) 、G. フェイン
医
療 従 業 員 労 組 書 記 長 、 T. キヨ 農業従事者労組書記長、他、 C S A -BENIN 執行委員、構成組
織役員7名
1
C S A - B E N I N の組織概要
(1) 組織名 : C E N T R A L E D E S S Y N D I C A T S A U T O N O M E S D U B E N I N
(CSA -B E N I N )
ベナン中央自治労働組合
(2) 住
所
:
04 B.P. 1115
Cotonou, BENIN
(3) 電
話
:
229 303182
(4) FAX
:
229 300448、229 303182
(5) E-mail
:
csabé[email protected]
(6) 事務局長:
Guillaume C. ATTIGBE
(7) 組合員数:
5万人
(8) 加盟組合数:60組合
24産業別組織、6地方センターから構成される。
エネルギー、水道供給、農業、健康・医療、民間航空、旅行会社、繊維、セメント、食品、
金融、保険、初等・中等教育、ホテル・観光、文化・青少年スポーツ、オーディオ・ビジュ
アル、電気通信、漁業、インフォーマルセクターなどの産業部門、さらに国立大学や国税局、
国営鉄道、国営ビール工場など、また、バイクタクシーや路上移動販売などインフォーマル
セクターの組合である。特徴としては、官公部門も組織しているが、民間企業労組の大多数
を組織していることである。
(9)上部組織
:
(10)組織構成
:
ICFTU、ICFTU-AFRO
地方センターは、ベナンの6つの県にそれぞれ設置され、中央本部からの指令、活動の拠
点となっている。
(11)事務局体制
CSAベナンの執行・決定機関としては、24産業別組織の代表者を含む25名からなる「執行
委員会」と、3年ごとの大会後に設置される「労働評議会(任期は次の大会まで)」がある。財政
面については、「財務監査機構」が執行委員の兼務ではなく大会で別途選出された委員によっ
て運営されている。
諮問機関としては、引退したベテラン活動家の経験や知識を現在の労働運動に生かすために
設置された「加盟組合書記長・専門家会議」がある。
特別委員会としては、女性労働者委員会と青年委員会がある。とくに、女性委員会は組合員
5,000人のうち女性組合員が10,000人を越えていることもあって、その活動は重要であり積
極的に取り組まれている。また、地方センターとの連携を密におこない、さまざまな分野で
の女性労働者、若年労働者の組織化に力を注いでいる。
本部組織としてはこのほか、つぎの7専門部がある。
①労働者教育・労働調査部
⑤政策部
②)社会事業部
⑥情報・組合広報部
③労働雇用基準・労働法制部 ④政府関係
⑦社会経済活動部
(12)結成
CSA-BENIN は、1990年9月、民主化の進展にともない当時の唯一のナショナルセンター
UNSTB(ベナン全国労働組合評議会)から脱退、結成されたものである。
(13)最近の活動
CSAベナンは目下、加盟組合の活性化と組織の拡大強化に重点的に取り組んでいる。具体
的課題はつぎのとおり。
①経済・社会や市民生活に関連するさまざまな問題、とりわけ労働に関する諸課題について
の学習会や研究会の充実、強化
②新規組合員の獲得、財政基盤の拡充、ナショナルセンターとしての機能強化、CSAベナン
の新戦略の確立
③国内外の労働組合組織との連携強化
④労働組合権の侵害と腐敗に対する闘争
⑤労働基準に関する啓蒙活動の徹底、国際労働基準の批准およびその適用
⑥国内労働関連法規制定への参加
(13)他の組織との関係
CSAベナンはほかのナショナルセンター、UNSTB(ベナン全国労働組合評議会)、COSI(独立
労働組合連合)、CGTB(ベナン労働者総連合)、CSTB(ベナン労働組合連合)との関係を維持し
つつ活動しているが、とくに、 ICFTU およびICFTUー AFROに加盟しているUNSTBとの連
携を重視し、さまざまなプロジェクトや教宣活動に共同で取り組んできている。
また、政府の「国家労働審議会」 (CNT)や「労働組合基金運営委員会」 (COGEFOS)をはじめ、
経済・社会、労働、社会保障などの各種委員会に代表を派遣し、国政レベルでの審議にも参
加している。
2 ベナンの労働力構成の特徴
国立統計経済研究所(INSAE)の推計によると、ベナンの人口は約600万人、うち51%が
女性。労働人口は約350万人、そのうち66%が地方・農村部、34%が都市部に集まっている
が、近年、都市部へは年率7.4%の割合で人口が集中している。労働力の年齢構成をみると 3
0歳未満が52%をしめており、若年労働力の豊富な存在を示している。ただ、成人識字率は9
2年の25%から97年には33.9%と改善されてはいるもの、依然として低水準にある。しかも
成人識字率の性差は著しく、97年の数字で男性の47.8%にたいし女性は20.9%と格段に低く
なっている。
3
政府の経済・雇用政策、労使関係にたいする C S A ベナンの認識と評価
(1)ベナンはここ12年間ほどIMF、世界銀行の構造調整プログラム下にあり、経済の立て
なおし策が大幅な雇用調整とセットで実施されてきているため、雇用情勢は極めて厳しい。
120にのぼる公営企業(半官半民企業含む )で雇用削減が実施され、地方公営企業60社、国営
企業30社が解散させられた。民間部門の雇用量は10年前に比べて10%程度減少し、公共部門
では、1987年以降公務員の採用は凍結されており、さらに早期退職プログラムの実施により
90年代に約10,000人の雇用が削減された結果、公務員数は現在32,000人に減少している。
(2)構造調整下の雇用の特徴としては、まず第1に、正規型のフルタイム労働が減少し、
季節労働や契約労働、パートタイム労働が増加している。現在の雇用の約40%は季節労働や
期間労働であると推定される。
第2には、スクラップとビルトが同時に進行し、全体の雇用量は微増に過ぎない。 1993年
のデータだが、この年に再出発した民間企業により1548人分の雇用が創出されたが、他方で
はその65%にあたる1052人分の雇用が削減されたため、結果的には、500人弱の雇用しか増
加しなかった。
第3には、失業者や早期退職者は商業や運輸業、農業に流入し、萌芽期にある製造業の雇
用はほとんどのびていない。これら分野の求職者の約80%はインフォーマルセクターに従事
し、その数は1993年1年間で180,000人に達した。
(3)インフォーマルセクターはすでにベナン経済に多大な影響をおよぼし、重要な役割を
はたしている。CSAベナンとしては、インフォーマルセクターを現下の雇用危機の解決手段
としてのみとらえるのではなく、その産業としての将来的な可能性、さらには国民経済にど
のように統合していくのか(インフォーマルセクターのフォーマルセクターへの移行の道筋 )
についても検討することが時代の要請であると認識している。
ICFTUおよびICFTU-AFROはインフォーマルセクター問題がベナンの懸案事項であると
とらえ、「インフォーマルセクター組織強化プロジェクト」を提案した。労働組合にとって、
インフォーマルセクターで組合組織をどのように発展・強化し、経済の活性化、社会の発展
にどのようにつなげるかが重要な課題である。
(4)CSAベナンが戦略的課題としてインフォーマルセクター問題を設定する背後には、実
体面での雇用吸収力の大きさのみならず、構造調整下における外資導入促進政策が労働者に
重大な影響をおよぼしているからである。
1998年に、外資導入促進のための環境整備の一環として労働法が改正された。そこでは、
外国資本のベナン進出を最優先に考え、労使関係に柔軟性をもたせるとともに経営者の権限
の強化と労働者の既得権の大幅な縮減、労働条件のフレキシブル化を規定していた。
(5)ベナンの最低賃金(SMIG)は1998年12月に14%引き上げられ、現在、週40時間労働で
月額25,000CF(シェーファーフラン :フランスフランの100分の1、約40アメリカドル、 4,000 ∼4,500円)。SMIGは大多
数の労働者に適用されており、したがって平均賃金の指標としても用いられている。
(6)ベナンの都市部にはさまざなな問題があるが、 CSAベナンとして対処すべき最大の
問題は失業問題である。ベナンの都市部の失業率は1994年のデータで3.5%となっている。
毎年、義務教育、高等教育を受けた若者が160,000人労働市場に参入してくるが、彼らは不
安定な一時的な仕事にしかつけない。ベナンは近隣諸国と比べると、若年層の教育水準は
高いという評価を受けるが、こうした人的資源を経済社会開発に有効活用できないでいる
のが現実である。
(7)CSAベナンは、一国の進歩とは、とりもなおさず男女の労働に負うものであり、良質
な労働力が豊富にあるベナンにとっては雇用こそが国家発展の切り札である、という認識に
たち、つぎの対策を提案している。
①起業支援措置、企業設立条件の改善
②公営企業の経営の透明化による失業防止
③経済環境の変化が雇用情勢を左右する現実にたいする啓蒙活動、国民意識の変革
④発展の可能性のある中小企業を支援するための開発銀行の創設
⑤投資関連法案の改正
4
C S A ベナンが政府や経営者団体と協力しているプロジェクト、三者構成の事業について
(1)CSAベナンは三者構成プロジェクトの一環として、ひとつには、世界銀行から資金援
助を受けている「継続職業訓練プログラム」に参加している。このプログラムは、中小企業労
働者を対象に職業教育や技能訓練を継続的におこなうことを通して、中小企業の育成をはか
ることを目的としている。
ふたつには、「雇用のための国民連帯基金」 (FSNE)の運営に参加している。ベナンにはこ
れまで、求職活動を支援する各種の措置はもとより失業保険制度すらなかったが、この基金
が新設され、労働組合が関与するなかで新規学卒者の職業紹介をおこなえるようになった。
(2)CSAベナンは前述したように(1.⑤)、国政レベルの各種委員会に参画しているが、
そのなかには、たとえば SMIG等を論議する「労働問題国家委員会」や「公務員委員会」など、
政・労・使の三者で構成されている委員会もある。
このほか、CSAベナンは民間部門の労働者の社会保障を担当する「ベナン社会保険公社」の
評議員も努めている。
5
J I L A F や経営者団体、日本政府の労組リーダー招聘プログラムについての意見、感想
(1)CSAベナンはJILAF の中堅労組指導者を対象とした招聘プログラム(1999年7月8日∼
21日)に参加したが、アフリカと日本の労組関係者が知り合い、お互いの経験について意見
を交換し交流を深めるうえで、実によくできたプログラムであった。滞在期間をとおして、
日本の労働者の専門的知識の高さ、まばゆいばかりの先端技術、さまざまなレベルで発展
を遂げている労働文化を肌で感じることができた。
(2)今後の招聘プログラムにたいする要望としては、ひとつには、産業・業種間の経験や
技術の交流を深める意味からも、同じ産業別組織の2国間交流プログラムを検討していただ
きたい。ふたつには、労働組合の‘組合経営’のノウ・ハウを是非日本の組合から学びたい。
そのための研修内容を招聘プログラムのなかに盛り込むことも検討いただきたい。
【アフリカ労働事情調査】
JILAF は、労働省より委託を受けた「アフリカ労働事情調査」のため、ベナンに調査団を
派遣した。労働事情調査は、人物招聘・教育支援事業の効果的実施を計るための基礎調査
及び既存事業の効果測定、現地の評価やニーズの把握を目的に、毎年実施され、今回で第
12 回となる。
(1) 調査実施日:2000 年 8 月 7 日∼8 月 10 日
(2) 調査団構成:政労使三者構成(労働省、連合、日経連、日本労働研究機構、国際労
働財団の各 1 名)
(3) 主な訪問先:①ベナン全国労働組合評議会(UNSTB)
同 オニボロセメント労働組合
同 ベナン地方自治体労働組合
②ベナン中央自治労働組合(CSA-BENIN )
③ICFTU-AFRO コトヌー事務所
④ベナン公共サービス・労働・行政改革省
⑤ベナン経営者全国協議会(CNP−BENIN )
上記訪問先にて、聞き取り調査及び関係資料を入手した。このうち、①ベナン全国労働組
合評議会( UNSTB)同 オニボロセメント労働組合、同 ベナン地方自治体労働組合、②
ベナン中央自治労働組合( CSA-BENIN)、③ICFTU-AFRO コトヌー事務所を掲載する。
なお、本調査団の報告書は別途労働省へ提出ずみ。
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