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ブラジルレポート 007
R-7:20160612 ブラジルレポート USIMINASの現状 ・2015年は約37億レアルの赤字決算。2016年第1Qは1.5億レアルの 赤字で、10億レアルの増資が決議された。 ・2014年より表面した主株主間(NSSCとTernium)の亀裂による 経営体制の泥沼化。 南米製鉄業のリーダー・USIMINASの地位が崩壊しつつある。 崩壊の経緯 ・2012年、TerniumはCamargo CorreaとVotorantimよりUSIMINASの 議決権株式を27.7%を約27億レアルで買取りコントロール株主の 一員になった コントロールグループ 議決権株所有比率:63.86% 従業員年金基金 Source: http://ri.usiminas.com/ptb/principais-acionistas Copyright©2016 N3 Plus Co, Ltda. All Rights Reserved R-7:20160612 ・当時の買取り金額はブラジルの成長と鉄の需要アップへの期待 が考慮されたものであった。しかし、ブラジルは減速し、アルゼンチン、 メキシコにも製鉄施設を所有するTerniumにとっては高い買物であっ た事が明白となった。(ロッカー氏の資産移しの意思もあったが) ・更に株価の下落あり、Terniumとしては投資の回収を目的とした 生産性の向上等の積極的なアクションを取るようになった。 これは、従来のUSIMINASの「リズム」とは異なり、社内の混乱を 招いた。一方、NSSCの投資の主な部分は「償却」済みで、 Ternium とは方針が必ずしも一致していなかった。 サンパウロ証券取引所(BOVESPA)USIMINAS株価推移 議決権株 優先株 Source: Usiminas/ Apresentao Institucional RI 1T16 SITE ・Terniumは自社の経営陣をUSIMINASに送り込み、経営改善を図ろう としたが、「やり方」が従業員とNSSCのプライドを傷つけたのではない かと思う人は少なくない。彼らはUSIMINASの「技術」を育てた思いが 強い。 また、 Terniumも従来からNSSCより購入していた設備・技術の価格に 強い不満を抱いていた。 Copyright©2016 N3 Plus Co, Ltda. All Rights Reserved R-7:20160612 ・ USIMINASの元関係者よると、2014年頃までは経営成果も あったが、「双方(NSSCとTernium)にリスペクトが足りなかった」 あるいは「文化の溝;理解し合えない」との意見もある。 ・2014年、NSSCはTerniumが送り込んだ経営陣を「不当に多額の ボーナスを得た」として退陣に追い込んだ。 ・その後、経営主導権の争いが活発化し経営体制が泥沼化した。 ・経営体制が好ましくない上に、ブラジル経済の悪化の影響を受け、 USIMINASは赤字経営となってしまった。 (フリーキャッシュフローがマイナスと言われている) ・ 今年に入り、クバトン製鉄所の上工程を臨時休止(現在も休止中) ・ USIMINASの経営危機の対策案の一つとして、会社の分割が検討 された。(日経新聞等で実行を否定している) 噂をされた検討内容 Ipatinga製鉄所はNSSC 自動車鋼板も製造しNSSCの 技術が移転されている Cubatão製鉄所はTernium 半製品・ホット向けの製鉄所 臨海でもあり、Terniumのニーズ対応できる 図: Usiminas/ Apresentao Institucional RI 1T16 SITEより USIMINAS・他注意事項 ・4月28日にUSIMINASの株主総会が行われ11名の経営審議会メンバーが選出された。 現コントロールグループ(NSSC、Ternium、従業員年金):8名、CSN:2名、その他:1名の 構成となった。 CSNは株式のうち、議決権株:14%、優先株:20%を所有している。 上記株式の取得に約30億レアルを使用したが、現在の価値は約5億レアルと推定され ている。また、NSSC及びTerniumへの株式売却を打診しているとも噂されている。 議決権株保有割合 マネーゲームの再開?? 日本グループ:29.45% コントロールグループ:63.86% Ternium/Tenaris:27.66% 経営審議会議長としてTerniumのElias Brito氏を選任 従業員年金:6.75% CSN:14.13% その他:22.01% Copyright©2016 N3 Plus Co, Ltda. All Rights Reserved