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2005年新春社長記者会見 社長挨拶

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2005年新春社長記者会見 社長挨拶
2005年新春社長記者会見 社長挨拶
本日は、お忙しい中、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。
本年に入りまして、初めてお目にかかる方もいらっしゃいますので、遅れ馳せなが
ら、新年のご挨拶を申し上げるとともに、昨年中お世話になりましたことを厚くお礼
申し上げます。
さて、昨年は経済環境の変化が激しく、とくに主力マーケットの米国販売の激戦と、
為替は円高というかドル安基調の中では、難しい一年でした。
そのような中で、当社の昨年の活動は、一昨年から始まった新型レガシィの世界展
開と、新コンセプト軽乗用車の導入販売がメインイベントでした。またブランド活動
としましては、日本初開催のWRC世界ラリー選手権でのスバルチームの優勝があり、
当社の技術開発の陣頭に立ってスバル車の黎明期を支えた百瀬晋六氏の日本自動車殿
堂入りなど、良いニュースがありました。
しかし、一方で、上期の減益決算とともに、下期のスバル販売台数も当初計画から
下方修正を行ったことは、皆様ご承知の通りであります。
では、暦年での実績について、簡単に述べさせていただきます。
まず、スバルの国内販売では、一昨年末に導入した、新しいコンセプトの軽乗用車
R2の新車効果が一年間フルに寄与し、プレオとあわせた軽乗用車の暦年販売実績は、
84,628台、前年比140.7%と大幅な伸びを記録することができました。軽商用車も堅調
に推移し、軽自動車全体でも165,596台、前年比124.4%の実績を残すことができました。
しかしスバルR2の当初販売計画は、もっと大きな数字でしたが、新コンセプトの浸
透に手間取り、目標に対しては残念ながら未達になっています。
また、登録車は、導入2年目のレガシィが基盤となる台数をしっかりと確保し、改め
て、そのブランドが多くのお客様に支持されていることを実感いたしました。さらに、
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WRC効果もあってインプレッサの販売が好調で台数を底上げし、輸入車を含めてのス
バル登録車では、暦年で112,858台、前年比99.3%となりました。
以上のことから、スバルの国内全体は、暦年で278,422台、前年比112.8%という実績
を残すことができました。
次に海外市場ですが、まずスバルの最重要市場である米国で、レガシィのフルモデ
ルチェンジを6月に行いました。新型レガシィは、その後堅調に推移し、約半年間の実
績で約48千台の小売販売を達成しました。既存車種の落ち込みを、レガシィでカバー
して全体でも前年比100.3%、187,402台と2年連続で過去最高の小売販売台数を記録し
ましたが、ビッグ3を中心に過去に無い異常なインセンティブ合戦の影響で、販売確保
に一定量のインセンティブを打たざるを得なかったこともあり、収益面で課題を残す
ものとなりました。
一方、欧州・豪州市場は、大変好調な一年でした。欧州は、一昨年に導入した新型
のレガシィとジャスティが好調を持続するとともに、為替の追い風やロシア・ウクラ
イナなどの新興市場の伸張があり、全体では56,653台で前年比121.2%の小売となりま
した。また、メガディーラーによるブランド戦略に徹した販売を実践してきたオース
トラリアは、その戦略が効を奏し、7年連続で小売の過去最高記録を更新し33,619台と
高いレベルとなりました。
それらの海外市場全体の出荷台数は、前年比105.0%、320,600台の実績となりました。
以上、国内、海外合わせた昨年のスバル世界販売台数は、599,022台で前年比110.1%
となりました。
次に自動車以外の部門についても、ご説明させていただきます。
航空宇宙カンパニーでは9-11以来の航空不況の影響が続いていますが、ボーイング
777の中央翼納入が生産開始以来500号機を超え、また新たに長距離型の777−200LRの
納入を開始しました。また次世代の中型機ボーイング7E7が正式に開発スタートとなり、
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当社が開発分担する中央翼製造のために愛知県半田市の輸送機工業に隣接する当社敷
地に複合材接着工場の新設を決め、11月に着工いたしました。また、もう一つのビッ
グプロジェクト、次期固定翼哨戒機、輸送機PX/CXの開発につきましても試作機の製
造に入るなど、将来に向けた布石の年であったと言えます。
産業機器カンパニーでは、ここ数年の停滞を打破すべく、収益性の改善に向けての
欧州向けのOEM供給拡大、アジア向けの新規顧客・市場の開拓、北米市場を中心にし
た新型EXエンジンや大型発電機用EH65(V2エンジン)の拡販、さらに原価低減活動が実
り、年度では4期ぶりの黒字化に目処を立てることができました。
エコテクノロジーカンパニーでは、主力の塵芥収集車が一昨年のディーゼル規制に
伴う塵芥収集車の特需の反動で厳しい一年でありましたが、何とかトップシェアを維
持できました。そして将来に向けた新型塵芥収集車の共同開発を新明和工業さんと進
めており、昨年の5月に試作車を公開し、ユーザーの皆さんの評価をその後の設計に取
り入れております。
以上、各事業の概況ですが、中期経営計画FDR-1の折り返しを過ぎて、お話してき
たように、どの分野も、今まで投資してきた成果を刈り取るべき局面に入りつつあり
ます。しかし一方では、急激な為替の変動や米国事業の販売競争激化など、外部環境
の変化のスピードも著しく、その対応もより迅速に行わなければと改めて気を引き締
めております。
<2005年の課題と計画>
それでは、今年2005年の、当社が取り組む課題の幾つかについて、お話させていた
だきます。
まず自動車の販売台数目標です。全需予想につきましては、国内、北米ともほぼ前
年並みとの見方が多く、その点につきましては、不安材料が少なくないものの、そう
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あってほしいと希望も含め、同様に捉えております。
その中で、私たちスバルとしては、将来の基盤となる必要規模の販売を確保に向け
て、つとめて参ります
1.国内販売
まず、国内販売ですが、登録車、軽自動車をあわせた販売台数目標は、前年比100.2%
の279,000台と設定いたしました。
昨年年初には、強気とも受けとめられた年間30万台越えの目標を掲げておりました
が、実績は先ほどご報告した通り、前年比増とはなったものの大変悔しい結果でした。
今年は、軽自動車については、先日1月4日から発売を開始し、展示会での来場者な
ど反響が高く今後に期待をかけるR1を加え、R2とプレオの3タイプを揃えて、改めて
スバルの軽自動車の新コンセプトの浸透と拡販に努めてまいります。そして固い需要
の軽商用車サンバーの販売とあわせ、軽自動車全体では、前年比100.3%、166,000台を
目標といたしました。
登録車では、何と言ってもレガシィが基盤となりますが、国内での上級SUVブーム
の兆しを的確に捉え、このジャンルのパイオニアであるアウトバックの商品力拡充と
フォレスターのビッグチェンジをもって拡販にドライブをかけて参ります。
フォレスターのビッグチェンジは今月1月27日に計画しております。このビッグチェ
ンジの商品政策は他社ではあまり見られないもので、スバル独特の商品政策でありま
すが、モデル数の少なさを補完する戦略で、機能的にフルモデルチェンジに匹敵する
ような商品力を強化する内容であり、マーケティング的にも同様な取組みを行ってま
いります。
これらの状況を踏まえ、登録車合計で前年比100.1%、113,000台を目指します。
国内の営業部門としては、販売台数目標もさることながら、その鍵を握る最大の課
題が「お客様対応力の強化」であることを、強く認識しております。
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そのために、販売拠点の新設やリニューアルといったハード面の整備に加え、従来
以上に、セールス、サービス、管理者にいたるまでのお客様対応能力の向上を目指し
たソフト面の強化、即ち「販売の質の向上と全国のユーザーサービスの均一化」に注
力してまいります。
スバルのお客様には、単に「価格が安い」「便利」という価値観より、「自分が本当
に好きなもの」「自分の感覚とあっているもの」「自分が表現できるもの」という強い
こだわりでスバルを選んでいただいている方々が少なくありません。「スバルのクル
マ作りに共感したからこそ、スバルに乗っている」というお客様を大切に思い、ご満
足いただけるよう努力するという当たり前のことに、もっともっと徹底的に取り組む
ためには、お客様に接する一人一人の意識を磨いていかなければならないのです。
その機会を、OJTだけに頼らず、メーカー、販売会社が一体となって学び研鑚する教
育機関として「スバルアカデミー」を設け、今まで以上に現場に即した実戦的なセー
ルス・サービス及びディーラー経営の研修システムを構築します。身内の論理に陥ら
ないよう、外部のカリキュラムや異業種の講師を積極的に導入するほか、絶えずお客
様視点を忘れない研修ソフトを数多く準備し、スバルのお客様に対応するグループ関
係者の受講機会も従来の1.5倍増とするプログラム数を用意しました。さらに、顧客満
足度向上のためには、個々の従業員のマナーアップに加え拠点長・管理者のリーダー
シップが重要と考え、そのために研修対象もセールス、メカニックから特約店の拠点
長、経営者層まで範囲を広げ、ビジネススクールのような講座も設けて幹部の意識改
革を図り、特約店グループ全体の質の強化を図りたいと思います。
また、ディーラーの業務改革を目指して2年前から構築してきた全国統一の経営シス
テム、パートナー21が、この3月末でほぼ全店導入が終わります。これにより全国均一
な顧客サービスの提供を図りたいと考えます。又、全ての営業活動を全国統一して支
援できる態勢が整うことから、「人」「システム」「ハード」の三点が揃って、やっと本
当の意味での戦力アップが実現出来ると考えています。
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2.海外販売
次に海外販売ですが、FDR-1の商品計画のビッゲスト・プロジェクトであるスバル
B9トライベッカを北米市場にこの年央に市場導入いたします。皆様ご存知かと思いま
すが、今週10日月曜日に、私は米国デトロイトオートショーでワールドプレミアとな
るプレスブリーフィングを行ったばかりです。
このクラスのSUVにスバルも遂に出てきたか!と、非常に多くの方に集まっていた
だき、予想を上回る反響で嬉しい驚きでした。
一昨年の春のジュネーブでのコンセプトカー B11S、そして同年秋の東京モーターシ
ョーでのB9スクランブラ−から発展し、ここで量産モデルとしてB9トライベッカを発
表するに至りました。
私としても、やっと実現に漕ぎ着けられたという感激で一杯でした。
このB9トライベッカは従来からお話させていただいてきたスバルのフラッグシップ
となるクルマであります。まずは市場ターゲットを北米に絞って開発して参りました
が、このジャンルの需要は世界に広がっていることもあり、SIAで生産し、そこから世
界市場に向けて、展開することの検討も着手いたしました。これは単に商品政策とい
う意味だけではなく、SIAを含めたグループ経営の強化と安定化の戦略の一環として、
できるだけ早いタイミングに、と思っております。
話を戻しまして、米国での販売は、昨年導入したレガシィでしっかりと足固めをし、
B9トライベッカを上乗せすることで、拡販基調を根付かせたいと考えております。
また、販売力の強化に向けた新たな施策として、現在推進している専売店、統一シ
ョールーム店のディーラー比率のアップ、都市部を重点とした南部地域の販売体制強
化に加え、年央には我々が直接投資する大規模ディーラー1号店をテキサス州ダラスに
開設し、重点戦略地域の販売強化と共に、プレミアム販売のスタンダード化を図って
いきます。
この戦略は、豪州のメルボルンをスタートとして、国内では宮城県の栗生店、東京
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の立川店、また中国は北京の販売拠点、そして今般の米国での戦略拠点と、商品展開
とリンクさせた販売体制の強化であります。
これらにより暦年の小売販売目標は、年間20万台越えを果たし、3年連続で販売記録
の更新を狙います。
欧州では、やはりSUV指向が徐々に盛り上がっており、好調なレガシィ・アウトバ
ックとフォレスターを中心に、WRCでの活躍をインプレッサの需要増などに結びつけ
て参ります。また販売体制面ではとくに、主力市場の一つである英国で特約店経営陣
の新体制を通じて強化を図ってまいります。
また、昨年同様、ロシア・東欧などの新市場での市場開拓とブランド認知向上を進
めることで、本年は前年比103.3%、58,500台の小売を計画しております。
一方、数年好調を続けているオーストラリアでは、8年連続での記録更新を狙い、前
年比100%、34,000台の小売を計画いたします。
その他、昨年から本格販売を開始し今年マーケティング活動の強化により2,000台レ
ベルへの伸張を期する中国などの各地域での販売計画を加味し、SIA向けの海外生産用
部品などを含めた海外への出荷計画は、前年比102.8%、321,000台を目標とします。
その結果、国内・海外合わせたスバル自動車部門の暦年計画は、前年比100.2%、
600,000台を見込んでおります。
3.カンパニー
自動車以外のカンパニーの取組みについても、一言ご説明させていただきます。
航空宇宙カンパニーは、長らく続いた航空不況から、ようやく抜け出る気配が出て
きました。今年は具体的な進展が見えるようになると期待しております。
本年に成果として現れてくる予定のものとしては、ボーイング777長距離型機の生産
増加や、当社プライムで国産化設計・製造を進めている防衛庁向け戦闘ヘリコプター
AH64Dアパッチの納入を2005年度末から開始すること、次期固定翼哨戒機・輸送機
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PX/CXの試作機の納入も2005年春から開始するなど、黒字転換に向けた具体的な活動
を計画しております。
またボーイング7E7中央翼の開発が本格化します。先ほども触れた複合材部品の新工
場が稼動するとともに、既存の777中央翼の組立工場と並んで、現当社半田工場敷地内
に新たに7E7中央翼の組立工場も建設する予定です。大きさや投資額などの詳細は、ま
た別の機会に改めて発表したいと思います。
また、エクリプス社との小型ジェットビジネス機量産のプロジェクトでは、昨年末
に新エンジンでの初飛行に成功し、来年春のTC獲得をマイルストーンとして、自動車
の量産技術を生かした大量生産の準備に取り掛かります。
これらに加え国産小型旅客機である「環境適応型高性能小型航空機」の研究開発プ
ロジェクト参画など、多くの案件がありますが、これからの飛躍に向けて、プロジェ
クトの選択と集中を図り、しっかりとした取組みを行ってまいります。
産業機器カンパニーは、海外生産拠点の整備を進め、売上高の50%を超えるドル
圏輸出の円高リスク回避を進めます。中国の合弁会社、富士常柴(チャンチャイ)ロビン
(FCR)では一昨年は1万台の生産規模でしたが昨年は6万台規模に拡大し、今年は11万台
の生産を計画しています。これにあわせて現地調達部品の採用をさらに拡大します。
また北米ロビンマニュファクチャリング(RMI)では、北米向けエンジン部品の現地調達
率を拡大し、一部機械加工設備も北本から移管して11万台の生産を計画しています。
また、北米コンシューマー市場への参入をさらに拡大し、EXエンジンの拡販を進め
ます。昨年から開始した、EXエンジン搭載高圧洗浄機は、今年は新たなOEM商品も新
発売されます。また発電機の新規OEM開拓も進み、新たに開発したEXエンジン(EX30)
を搭載した発電機の販売も開始される予定です。
さらに汎用エンジンの拡販を図るため、これまでのコンベンショナルな汎用エンジ
ンと一線を画した各種車両搭載用高出力汎用エンジンを開発して市場投入する計画も
進めています。
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エコテクノロジーカンパニーでは、新明和工業さんとの共同開発による新型塵芥収
集車G-PXの市場導入が始まります。将来の事業性を確保するためにも、しっかりと拡
販に取り組んでまいります。また、塵芥収集車トップブランドの信頼を得て、中国へ
の技術供与をスタートさせており、夏頃に中国製の第1号車が中国市場へ投入される予
定です。これを機会として更なる展開の可能性を探っていきたいと考えております。
また、余り一般には知られていないのですが、当社では永年当社固有の技術を組み
合わせて、新規事業として実用型サービスロボットを開発生産しており、業界で高く
評価されています。今年注目のイベント
愛・地球博
でも活躍することが決まって
おります。当社のロボットは、人に役立つ生活共生型であり、目立つことが多くない
のですが、 愛・地球博 では、4台の屋外清掃ロボットと、3台の屋外ゴミ箱搬送ロボ
ットを納入いたします。
清掃ロボットについては、新たに開港する中部国際空港にも、成田に続いて納入い
たします。まだまだ小さい規模ではありますが、確固たる事業化に向けて着実に成果
を重ねております。
4.人事
こうした目標に着実に取り組む仕組み作りの一つとして、昨年10月から管理職を対
象に、目標達成へのこだわりを強めた新しい人事制度を導入しており、今年は、その
システムをしっかりと運用することで、各自の成果を企業の業績に直結させたいと考
えております。
さらに、グループの経営力、マネジメント強化のためにも、人材の活用や質の向上
が鍵となると考えており、グループ企業の経営層間でのローテーションや人材配置の
見直し、次世代の経営層育成など、新しい刺激を与えるべく確実に手を打っていきた
いと考えております。
5.中期経営計画
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最後に、中期経営計画FDR-1について、簡単に触れさせていただきます。
5ヵ年計画の折り返しを過ぎ、今年からは、2006年度に向けて仕上げの段階に差し掛
かるところでありますが、一方で当初想定していた内外の環境条件、とは大きく違っ
てきているのが現実です。
それは、先に述べた当社が特に敏感な為替の条件、同時テロ以降の米国市場の販売
環境悪化、また当社固有の問題としての米国工場SIAの、合弁相手の離脱による完全子
会社化、加えて昨今の原材料コストの高騰などが挙げられます。
本来FDR-1計画はそれらの変化に対応する経営基盤強化のためのブランド戦略であ
るわけですが、十分に効を奏しているとは言い切れない状況です。
したがって、こうした状況に対応すべく、販売を中心とした戦線を早急に立て直す
軌道修正が必要と考え、その議論を社内で重ねております。その内容については、計
画を取りまとめたのちに、改めてご報告したいと考えておりますので、ご理解賜りま
すようお願いいたします。
以上のような今年の課題を、ひとつひとつ着実に取り組んでいくことで、これまで
同様、富士重工業らしい「価値あるモノ造り」を創造し、小粒ではありますが世界に
存在感と魅力ある企業を目指してまいります。
今後とも皆様方の変わらぬご支援・ご鞭撻をお願い申し上げて、年頭のご挨拶とさ
せていただきます。本日は、ありがとうございました。
以上
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