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ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組

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ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
第3節
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
ものづくり基盤強化のための教育訓練、
能力評価等の取組の具体的方向性
るなど、取組の充実を進めてきた。また、2008 年におい
第 2 節に示したとおり、ものづくり現場における就業形
ター常用雇用化プラン(目標 35 万人)を実施している
1
態の多様化は、正社員と非正社員、外部労働者との能力開
ては、年長フリーターに対する支援に重点を置いたフリー
(図 231-1)。
発機会の格差等の問題を生み、その一方で、人材が多様化
「若者自立・挑戦プラン」に基づく、人材の確保・養成
するが故に、これらの間で情報があまねく流通し、スキ
に資する取組として、企業実習と座学を組み合わせ、より
ル・価値が共有化されることの重要性はより高まっている。
実践的な職業訓練を行う日本版デュアルシステムを 2004
こうした現状・課題を踏まえ、今後ものづくり現場にお
年より展開し、2007 年度においては、
「民間活力を活用し
いて求められる教育訓練、能力評価の取組の具体的方向性
た日本版デュアルシステム普及促進事業」等を通じ、産業
と、その実現、促進を支援する職業能力開発施策の方向性
界との連携の下、一層の活用促進を図ったところである。
また、2006 年度に改正された職業能力開発促進法によ
り創設された、企業現場の中核となる実践的な技能を備え
た職業人の育成を目的とした訓練システムである「実践型
等、産業界の人材ニーズに即した人材を養成するた
人材養成システム」(実習併用職業訓練)の普及を図って
めの新たな仕組みのものづくり現場における活用事
いる(図 231-2)。
例と実績
本システムは、
企業の採用を巡る環境の変化、若者自身の働くことに関
・企業が教育訓練の主体となること
わる意識の変化等の問題を背景に、若年失業者や、フリー
・新規学卒者等の若者を対象とすること
ター、ニートが高水準で推移する等、厳しい雇用環境を踏
・教育訓練機関における自社のニーズに即した学習と、
まえ、2003 年「若者自立・挑戦プラン」等に基づいて、
自らの企業における雇用関係の下での実習を組み合わ
若者の働く意欲と能力を高め、自立と就業を促進する総合
せて行うこと
的な取組を進めてきたところである。具体的には、2005
等の特徴を有するもので、企業にとっては、若者の育成に
年からは「フリーター20 万人常用雇用化プラン」
、2006
積極的な企業であることをアピールしつつ、一定の要件を
年には「フリーター25 万人常用雇用化プラン」を実施す
満たす場合にはキャリア形成促進助成金等の各種支援制度
図 231 − 1 フリーター常用雇用化プラン
▶フリーター常用雇用化プランの推進∼常用雇用化 35 万人を目標∼◀
年長フリーターに対する常用就職支援等の実施
○ 年長フリーターに対する常用就職支援
・「ジョブミーティング」の実施による常用就職の支援〈新規〉
中小企業の人事担当者による年長フリーターを対象とした模擬面接等を行う「ジョブミーティング」
の機会を設け、中小企業の人事担当者に対する年長フリーターについての理解等の促進や模擬面接に
よる年長フリーターの面接場面でのアピールの仕方等の支援を行う。
・ジョブクラブ方式による常用就職の支援
的確な求職活動を行えない年長フリーターに対し、民間のノウハウを活用し、これらの者が相互に
交流する場を設け、適職の探索や就職活動方法の習得等を行い、主体的に就職活動が展開できるよう
に支援する「ジョブクラブ(就職クラブ)」方式の取組を実施する。(年長フリーターの多い大都市部
等 14 か所で実施)
○ 年長フリーター自立能力開発システムの整備
年長フリーターの職業能力を判断するために企業実習を先行させ、その後必要に応じてフォロー
アップ訓練を行い、訓練終了後には実習先事業主による能力評価を行う訓練システムを実施すると
ともに、業界の求める採用条件に適応するための訓練コースを開発・実施する。
若者の職業能力開発機会の充実
○ 職業能力形成システム(ジョブ・カード制度)における若者の職業能力開発機会の提供
日本版デュアルシステムの拡充や、雇用関係の下で実習と座学を組み合わせた有期実習型訓練の
創設・支援を図る。
〈一部新規〉
○ トライアル雇用
その他
○ ヤングワークプラザにおける就職支援の推進
○ ハローワークによるフリーター常用就職支援事業
○ ジョブカフェにおけるきめ細かな就職支援の実施
資料:厚生労働省
113
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
(1)日 本版デュアルシステム、実践型人材養成システム
第3節
について、以下にまとめる。
を活用し、より高い教育訓練効果を得ることが期待できる
ものである。
等の利点がある。
本システムは、ものづくり分野の基幹的技能者等の養成
また、若者にとっても、雇用関係の下で賃金を得なが
という観点からも成果が期待されているものであり、下記
ら、また、密度の高いより実践的な教育訓練機会を得、仮
「ジョブ・カード制度の創設」に伴い、一層の普及を図る
に転職することとなっても、そこで得た技能が評価される
こととしている。
図 231 − 2 実践型人材養成システム
能力評価の実施
企業における雇用関係の
下での実習(OJT)
(企業が賃金を支給)
現場の中核的人材の確保
認定計画に基づく訓練の実施
訓練生を面接し、採用
訓練実施計画の
厚生労働大臣認定
自社で現場の中核的
人材を育てたい企業
教育訓練機関
における学習
(費用の負担については
話合いによる)
6 ヶ月∼ 2 年間
(雇用契約期間について、有期とするか、期間の
定めのないものとするかは話し合いによる)
資料:厚生労働省
コ ラ ム
実践型人材養成システム普及のための地域モデル事業
熟練技能を有する団塊世代の大量引退と、ものづくりやサービスの現場への若者の入職減少が相まって、現場を
支える人材の効果的な育成が急務となっている。このため、2006 年に改正された職業能力開発促進法により、座学
とOJTを組み合わせ、現場が求める実践的能力を有する人材を養成する「実践型人材養成システム」が新たに位置
づけられた。同システムを中小企業に普及・定着させるためには、事業主団体の傘下企業に対する指導援助機能や
訓練実施企業のスケールメリットを生かす地域レベルの仕組みを構築することが不可欠であり、13 の事業主団体に
以下の地域モデル事業を委託した。
①傘下企業に対する人材確保・育成ニーズの調査
②訓練実施に関心のある企業向け説明会の開催
③訓練実施予定企業のモデルカリキュラム及び能力評価マニュアルの作成
④訓練担当者の育成
⑤高校等在学生向け体験コースの運営
⑥訓練希望者と訓練実施企業の合同説明会・面接会の開催
13団体のうちの一つである日本金型工業会は、金型の製造事業を営む事業主団体である。金型製造事業者は中小
企業が大半であり、技術・技能教育は徒弟制度的な現場教育が中心となっている。また、技術・技能伝承に時間が
かかり、技術が属人的になりがちであることなどの課題を抱えている。一方で、我が国には、長期にわたり金型教育
を体系的に学ぶことができる教育訓練機関が少ない。こうしたことを背景として、同工業会では、職業能力開発総合
大学校東京校とタイアップして、実践型人材養成システムに取り組むこととなった。
同校が中心となって2007 年度にとりまとめた訓練計画は、同校で金型技術者として必要な知識に裏付けされた技
能を付与するため、金型の設計(設計理論及び 3 次元 CAD/CAM/CAE 等の活用)
、製作(マシニングセンター等に
よる精密加工)
、組み付け・調整、テストショット及び製品評価までを、実験・実習を主体としたものづくりに関する
体系的な教育・訓練を実施するとともに、企業におけるOJTで個々の企業に特化した技能・技術を習得し、将来の
製造部門での中核となる人材を育成する内容となっている。
このように、同校は実践型人材養成システムの普及に貢献しており、2008 年度から同システムにより実践的な技
能を備えた人材の育成に取り組むこととしている。
114
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
①ジョブ・カードの活用
(2)
「ジョブ・カード制度の創設」とものづくり現場にお
ける活用の意義
ジョブ・カード制度が、全体として実効性をもって機能
我が国において、2005 年から総人口が減少に転ずる状
する上で、職業能力について、労働者(求職者)、企業が、
況の下、持続的な経済成長を可能とするためには、労働生
共通して確認、評価できる具体的仕組みが不可欠である。
産性の向上が重要であり、このために、国民一人一人が能
ジョブ・カードは、こうした機能を担う中心的な仕組みと
力を開発する機会を持ち、能力を発揮できる社会の実現に
して、職業能力形成プログラムの修了証のほか、職務経
向けた取組を本格的に推進することが急務となっている。
歴、学習歴・訓練歴、取得資格などの情報を取りまとめる
とりわけ、いわゆるバブル景気崩壊後の「就職氷河期」
ものであり、自らのキャリア形成について考える契機とす
と呼ばれる時期に学校を卒業し、正社員になりたくてもな
るとともに、求職活動に当たり幅広く活用することとして
れず、非正社員、外部労働者にとどまっている「年長フ
いる。
リーター」等、職業能力形成の機会に恵まれず、悪循環に
ジョブ・カードの記入・活用に当たっては、キャリア・
陥っている者の安定的で発展性のある働き方の実現の道筋
コンサルタントが中心的な役割を果たすこととなってお
をつけることは最も重要な課題である。
り、職業能力形成プログラムの受講に先立ち、また、受講
修了後の就職活動に当たり、キャリア・コンサルティング
を受け、その実施記録(受講等の実績確認を含む)をジョ
内閣官房長官)決定)において、
「人材能力戦略」がその
ブ・カードに記載することとしている。
第3節
こうした問題意識に立って、
「成長力底上げ戦略(基本
構想)
」
(2007 年 2 月成長力底上げ戦略構想チーム(主査:
柱の一つに位置づけられ、
「職業能力を向上させようとし
具体的な職業能力形成機会として、
の構築を図ることとされた(図 231-3)
。
・これまで職業能力形成機会に恵まれなかった者を対象
ジョブ・カード制度は、社会全体で通用する実践的な職
とした、雇用関係の下での企業実習(OJT)と、教育
業能力形成の機会を、産業界、教育界、労働界、公共部門
訓練機関における座学(OFF-JT)を組み合わせた訓
と、関係者が一体となって整備する一連のシステムであ
練「有期実習型訓練」
り、具体的には以下のような取組からなるものである。
・主に新規学卒者を対象に現場の中核となる実践的な技
能を備えた職業人を養成する、OJT と OFF-JT を組み
図 231 − 3 ジョブ・カード制度の創設
ル
ン
グ
ジョブ・カード
の作成(2)
就職活動に活用
ィ
履修
証明書
テ
職業能力
証明書
交 付
他の企業で雇用
職業選択や職業
キャリアの方向付け
訓練実施企業で正式採用
サ
●大学・専門学校等において職業能力形成に資するプログラム提供
●プログラム履修者に「履修証明」を発行
職業能力、キャリア
形成上の課題、
希望等を再整理
ン
実践型教育プログラム
大学・専門学校等
コ
支援
・
新卒者
情報提供
による紹介
職業能力
証明書
ア
訓練を要せず就職
日本版デュアルシステム
●実習+座学を委託形態(企業、教育訓
練機関)で実施
●訓練の標準期間は 4 ヶ月
●対象は、フリーターや子育て終了後の
性、母子家庭の母親等の就職困難者
ジョブ・カード
の作成(2)
リ
母子家庭
の母親等
●企業実習+教育訓練機関での座学で実
施[厚生労働大臣認定]
●訓練期間は 6 ヶ月以上 2 年以下
●35 歳未満の若年者を対象として想定
ャ
キャリア・コンサル
タントによる就業希
望・訓練希望等の確
認
実践型人材養成システム
キ
職業能力、キャリア
形成上の課題、希望
等を整理
●企業実習+教育訓練機関での座学で
実施[雇用・能力開発機構認定]
●訓練期間は 3 ヶ月超 6 ヶ月以内
(資格取得等の場合は 1 年以内)
●対象は、フリーター、子育て終了後の
女性、母子家庭の母親等の就職困難者
企業評価︵評価シートの記入︶
子育て終了後
の女性
ジョブ・カード
の作成(1)
職務経歴、学習歴、
取得資格等を記載
ハローワーク
ジョブカフェ等
有期実習型
訓練への推薦
フリーター
キャリア・コンサルティング
【利用者の例】
職業能力形成プログラム
ハローワーク
ジョブカフェ等
職業能力形成機会
に恵まれない者
支援
官民共同の
構想委員会
国
産業界
推進協議会
労働界
教育界
等
資料:厚生労働省
115
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
②職業能力形成プログラムの活用
ても、能力形成の機会に恵まれない人」への支援として、
「職業能力形成システム(通称「ジョブ・カード制度」)」
合わせた「実践型人材養成システム」
(上記(1)参
ブ・カード構想委員会最終報告」(2007 年 12 月)により
照)
取りまとめられ、2008 年度より本格的に推進されること
・独立行政法人雇用・能力開発機構、都道府県から民間
教育訓練機関に対する委託訓練として(雇用関係とし
となるが、本制度は、以下の点から、ものづくり分野にお
いて、とりわけ重要性の高い取組ということができる。
てではなく)
、当該民間教育訓練機関が行う座学と企
・実践的な職業能力開発は、ものづくり現場を支える技
業が行う実習を組み合わせた「日本版デュアルシステ
術・技能者の養成に当たり、とりわけ重要度の高い課
ム」
(上記(1)参照)
題であること。
の 3 種の訓練について、利用ニーズを満たす質量を備えた
・現実にものづくり分野を支える人材の質量両面の不足
ものとして整備すべく、関係機関の協力の下で、開発、
に直面している中で、フリーター、派遣労働等幅広い
コーディネートを進める。
働き方をしている若者に再教育・訓練の機会を提供す
ることは、今後のものづくり分野を支える重要な供給
③関係機関連携の下での中央・地域における推進体制の整
備
源を開発、拡大することとなりうること。
・汎用性のある職業能力評価基準の開発・普及は、もの
本制度の周知・普及促進を行い、関係機関が一体となっ
づくり各分野における労働市場の形成、継続的な能力
て本制度を推進するための中核的機関として、中央に「中
評価、教育訓練、実践のサイクル形成の基盤として活
央ジョブ・カードセンター」
(全国規模の事業主団体が母
用が期待できること。
体)を、各都道府県に「地域ジョブ・カードセンター」を
設ける。
手がなされており、関係行政機関、業界が一体となって、
こうしたジョブ・カード制度の基本スキームが「ジョ
コ ラ ム
こうした問題意識に立ち、ものづくり分野でも取組に着
本制度の推進に当たることとしている。
ジョブ・カード制度の円滑な運用に向けて
成長力底上げ戦略の 3 つの柱の一つであり、2008 年度から本格実施することとなった「ジョブ・カード」制度の
円滑な運用のため、以下の取組を実施している。
◯先行プロジェクトの実施
ジョブ・カード制度の本格実施に先立ち、社団法人日本経済団体連合会及び傘下企業の協力を得て、本プロ
ジェクトを実施することにより、ジョブ・カード制度の制度運営上の問題点や課題を把握し、その成果をジョ
ブ・カード制度の円滑な運用に活用する。
◯「ジョブ・カード」交付のためのキャリア・コンサルタントの養成講習の実施
キャリア・コンサルタントが職業能力形成プログラムへの誘導やジョブ・カードの交付及び記入援助を適切に
実施し、ジョブ・カードの普及促進を図るために、キャリア・コンサルタントに対して、ジョブ・カードにかか
る記載方法・効果的な活用方法について、カリキュラム及びテキストを開発し、実習を交えた講習を実施する。
◯中央ジョブ・カードセンターの設置
以下の業務を行う「中央ジョブ・カードセンター」を設置する。
▶
「ジョブ・カード制度」の普及に向けた広報・啓発
▶地域ジョブ・カードセンターの業務の指導・調整
▶
「職業能力形成プログラム登録システム(仮称)
」の管理・運用
◯地域ジョブ・カードセンターの設置
以下の業務を行う「地域ジョブ・カードセンター」を設置する。
▶
「地域ジョブ・カード運営本部」の運営及び同本部における地域推進計画の策定
▶
「ジョブ・カード制度」の広報・啓発
▶訓練・評価担当者講習の実施
▶
「職業能力形成プログラム」の活用促進
116
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
(3)派遣労働者等の職業能力開発モデル等の開発・活用
整備事業」を推進中である。
前節でも示したとおり、製造業に従事する派遣労働者、
2007 年度は、主に事務系職種を中心に、能力開発・
請負労働者について、職業能力開発機会について、正社員
キャリア形成の実態・課題等の把握・分析を行い、その成
との相当の格差が認められる状況にあり、量的に拡大して
果を活用し、派遣元事業主を対象としたセミナー開催等の
いるこれら人材の活用という観点はもとより、その多数を
啓発活動を進めてきたが、2008 年度以降は、技術・技能
占める、20〜30 代の若者の職業キャリアの持続的な発展
系職種等他分野を対象とした同様の実態・課題の把握・分
という観点からも看過できない問題となっている。
析、さらにこれら成果を踏まえた、派遣労働者キャリア形
このため、2007 年度から 3 年計画で、派遣労働者等の
成支援に係るモデル、このサブシステムとして派遣労働者
職業能力開発に係る実態、課題を把握・分析するととも
の教育訓練、能力評価に係るモデル等のツールの開発を順
に、派遣労働者等の主要な業務分野ごとに、派遣元・派遣
次進め、今後様々な機会を通じ、派遣元・派遣先等関係者
先との適切な役割分担を踏まえた能力評価・能力開発のた
に対する周知・啓発に活用することにより、これら事業者
めの望ましいモデルやキャリア形成支援計画等を策定する
の効果的な取組、また、派遣労働者自身の意識付けに資す
「派遣労働者等に係る能力開発・キャリア形成の仕組みの
第3節
コ ラ ム
ることとしている。
派遣労働者等の職業能力開発モデル等の開発・活用
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
近年、派遣労働者は増加を続けており、また、製造業においては、業務請負会社に雇用される請負労働者が製造
業大規模事業場を中心に多く働いているが、これらの労働者の能力開発機会については、正社員との格差がみられ、
さらに、派遣労働者・請負労働者(以下「派遣労働者等」という。
)ともに、その多数を20 代〜30 代の若年層が占
めており、こうした状況を放置すれば、これらの者の十分な職業能力の開発及び向上が図られず、職業キャリアの持
続的な発展は困難となる。
このような状況を踏まえ、2007 年度から3 年計画で派遣労働者等の主要な業務分野(事務系、製造系)ごとに、
派遣元・請負企業と派遣先・請負発注側企業の役割を踏まえた能力評価・能力開発のための望ましいモデルやキャ
リア形成支援計画を策定するためのプロジェクト事業を開始している。2007 年度には、事務系業務を中心に実態・
課題の把握、分析、検討に着手、2008 年度からは製造・技術系業務に対象を広げ検討を進めることとしている。
派遣労働者能力形成促進プロジェクト
想定される成果物と活用のイメージ
①実態把握・分析
以下による派遣労働者の能力開発の実
態・課題の把握・分析
・派遣元、派遣労働者ヒアリング調査
②ツール開発
a 派遣労働者キャリア形成支援モデル(仮称)
・教育訓練カリキュラム、職業能力評価基
準等の事例収集
・「派遣労働者としてのキャリアアップ」
「正社員転換」等のキャリア類型ごと
の仕事の配置・能力開発に当たって
の考え方、魅力や留意点
※19 年度は事務系職種を対象に調査実施
b 派遣労働者能力開発モデル(仮称)
・派遣元、派遣労働者アンケート調査
③周知・活用促進
・調査結果分析、キャリア形成支援モデル等
ツールを盛り込んだ報告書作成・配布
・派遣元事業者等を対象としたセミナーの開
催(19‘:三大都市)
・モデル的な教育訓練プログラム
・これを含む中長期的な能力開発計画
・派遣元の果たす役割、派遣先との連
携上の留意点等
c 派遣労働者の能力評価基準活用視点(仮称)
・派遣元・先、労働者、それぞれの立場
で、派遣労働者の職業能力(自己)評
価を行うための留意点等
○ 派 遣 労 働 者の訓 練 機 会の確 保・効 果 的な能 力 開 発
○ 派 遣 労 働 者の希 望 を 踏 まえたキャリア形 成の実 現
派遣労働者能力開発形成促進プロジェクト(平成 19 年度∼平成 21 年度)
・その他労働局等との連携による周知
117
(4)製 造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促
リアパスの明示、従事した職務の内容や実績の適正な
進に取り組む請負事業主・発注者が講ずべき措置に
評価、高度な技能等を要する職務への転換を希望する
関するガイドラインの活用
場合これが可能となる条件整備、教育訓練に係る設
請負事業については、いわゆる偽装請負の問題をはじめ
とする労働者派遣法等の労働関係法令違反、労働条件や処
遇の改善の必要性、労働者のキャリアパスの不明確性等の
問題点が指摘されている。
こうした実態を踏まえ、2007 年 6 月に「製造業の請負
事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む請負事
業主・発注者が講ずべき措置に関するガイドライン」をと
りまとめた。
備・プログラムの充実、職業生活設計に即した自発的
な職業能力開発に対する支援
・発注者に対しては、請負事業主の教育訓練プログラム
の策定に対する協力、請負労働者による教育訓練施設
の利用を可能とすること
等が盛り込まれている。
このガイドラインを積極的に活用し、関係事業者等を対
象としたセミナーの開催等による周知・啓発等の取組が進
このなかで、職業能力開発に関わる事項として、
められているところであり、業界団体等の協力も得て、関
・請負事業者に対しては、具体的かつ明確に多様なキャ
係事業者に対する一層の浸透を図ることが求められる。
コ ラ ム
製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化の促進に取り組む請負事業主及び
発注者が講ずべき措置に関するガイドラインの周知
製造業の請負事業については、いわゆる偽装請負の問題をはじめとする労働者派遣法等の労働関係法令違反、労
働条件や処遇の改善の必要性、これらの職場で働く労働者のキャリア展開の道筋が明らかでない等、様々な問題が
指摘されており、これらの問題の改善を図るため、2007 年 6月に「製造業の請負事業の雇用管理の改善及び適正化
の促進に取り組む請負事業主及び発注者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定された。
このガイドラインの普及には、請負事業主及び発注者の自主的な取組が必要であり、請負事業主や発注者による
自主的な取組を支援するため、次の事業を内容とした事業が実施された。2008 年度においても引き続き取り組んで
いくこととなっている。
1.請負事業主及び発注者を対象としたセミナー
ガイドラインの解説、チェックシートの活用及びこれらを活用した具体的な取組等についての説明を内容とする
セミナーを全国7 会場にて開催
2.モデル事業
ガイドライン及びチェックシートを活用して、具体的な取組を実践し改善に取り組もうとする事業所を選定し、
行動計画の策定・実施の支援
(5)事 業主等が行う多様な人材を対象とした能力開発の
取組に対する支援の充実
実践的な職業能力開発を進める上で、企業が果たすべき
する中小企業における円滑な技能継承、人材育成に役立つ
ことが期待できる(図 231-4)。
さらに、公共職業能力開発施設において、中小企業等を
役割は極めて重大で、広範囲にわたるものであるが、とり
対象に、我が国産業基盤を担うものづくり人材を育成する
わけ、大企業に比べ経営基盤が脆弱な場合が多い中小企業
ための企業独自にはなしえない高度な訓練を実施している。
にあっては、教育訓練投資が困難な場合もあり、国として
また、国は、中小企業の活力活性化を図り、技能の伝承
も、職業能力開発に積極的に取り組む中小企業やその団体
を可能にするため、一定の要件を満たす職業能力開発の取
に対し、経済面、技術面等多岐にわたる支援を行うことが
組を実施する中小企業の事業主及びその団体に対し、キャ
重要な課題となっている。
リア形成促進助成金等による支援を行っている。
具体的には、まず、一級技能士等で優れた技能を持ち、
2007 年度は、特に、非正規労働者に対する能力開発支
指導力を有する者を「高度熟練技能者」として認定し、技
援の充実を図る観点から、キャリア形成促進助成金に、短
能指導等のために中小企業等に派遣する事業を実施してい
時間等労働者を対象に、高度な技能等を習得させるための
る。現在 14 業種 31 職種について 4,804 名が認定されて
職業訓練、または正社員の転換に必要な技能等を習得させ
いるが、今後、高度熟練技能者をはじめとした「熟練技能
るための職業訓練を受けさせる事業主を対象とした助成メ
人材」として、団塊の世代を積極的に認定し、ネットワー
ニューを新たに設け、中小企業については助成率を高く設
ク化などにより活用を図ることで、若年人材の育成に苦慮
定する等の支援の充実を図っている。
118
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
図 231 − 4 高度熟練技能者の認定・活用
一級技能士等で優れた技能を持ち、指導力を有する者を「高度熟練技能者」として認定し、
その情報を提供しており、技能指導等のために派遣する事業を実施している。
業種・職種
認定者数合計
(単位:人)
①自動車製造関係
中央職業能力開発協会
928
②半導体製品製造関係
65
③民生用電気製品製造関係
認定
※団塊の世代を
積極的に認定
高度熟練技能者
④一般機械器具製造関係
1,012
⑤金属製品製造関係
356
⑥鉄鋼・非鉄金属製造関係
231
⑦精密機械器具製造関係
140
⑧プラスチック・ゴム製品製造関係
54
⑨輸送用機械器具製造関係
(自動車製造関係を除く)
206
⑩電気機械器具製造関係
(民生用電気製品製造関係・
半導体製品製造関係を除く)
232
⑪一般・精密・電気機械器具整備関係
210
⑫航空機整備関係
企業・認定職業訓練校等
資料:厚生労働省
コ ラ ム
28
⑬プラントメンテナンス関係
256
⑭鉄道車両整備関係
342
合計
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
※中小企業等に対する技能継承支援に活用
第3節
派遣指導
744
4,804
(2008 年 3 月現在)
ポリテクセンターにおける離転職者を対象とした職業訓練の取組
ポリテクセンター(正式名称:職業能力開発促進センター)は、全国に62 箇所設置されており、離職者、在職者
に対する職業訓練を実施するほか、事業主や労働者等に対し、職業能力開発に関する情報提供、各種相談・援助等
を行っている。
●事例1
Aさんは高校卒業後、就職したが、9 年経過した段階で、会社都合により退職した。
その際に、この退職を機にしっかりと技能・技術を身につけて就職しようと考え、ポリテクセンター山形において
NC 機械加工等の技能を習得することができる「テクニカルオペレーション科」の訓練を受講し真剣に技能・技術の
習得に努めた。
訓練受講と並行して、就職相談を受ける中、工作機械の部品製造、組立てを行うB 社(従業員130 人)を紹介さ
れた。
B 社は、手仕上げなどの熟練技能や、高度なNC 機械加工技術を保有しており、今後の技能継承の担い手となる人
材の確保・育成が必要であったが、なかなか良い人材を採用することが出来なかった。B 社はAさんを求めている人
材像に合致すると考え、採用した。
B 社の人事担当課長は「Aさんは仕事に対する取組み方、姿勢がとて
もよく、非常に頑張っている。また、基礎が身に付いているのでOJTが
効率的に行えている。今後もポリテクセンターの修了生を採用したいと
考えている。
」と評価をしている。
現在、Aさんは技能検定にも挑戦、高度なNC 機械工を目指して日々
努力を重ね頑張っている。
このように、ポリテクセンター山形では、地元製造業界のニーズを常
に把握するとともに、企業が求めている人材像に即した、また、地域社
会から必要とされる職業訓練を実施している。
119
●事例 2
Cさんは過去に自動車整備、プレス工等の経験が 20 年ほどあったが、再就職に当たって、技能・技術を改めてしっ
かりと身に付けたいと考え、ポリテクセンター岡山の「テクニカルメタルワーク科」に入所した。
Cさんを含め、各受講生は、溶接や金属加工の経験はほとんどなかった。訓練内容は、就職に必要となる実践的な
溶接実習及び鉄鋼材加工実習等を中心に、通常では経験のできない超音波探傷等の非破壊検査等の技能も訓練カリ
キュラムに加えられていた。
Cさんは物を作り上げることに喜びを感じ、さらに溶接技術の資格取得のため、訓練カリキュラム以外の課題にも
積極的に挑戦し、スキルアップに努めた。
就職相談を続ける中で、Cさんは農業機械部品及び自動車部品製造業
を営む企業(D工作所、従業員14 人)を紹介された。Cさんは訓練修了
後にD 工作所に溶接工として採用され、真面目に働き、入社半年後には
班長の役職に就き、その後は顧客対応等も任された。また、入社1年
10ヶ月後には工場長に就任している。
Cさんは、このように短期間で責任のある役職に就くことができたこ
とを、これまでの社会経験はもとより、ポリテクセンター岡山での訓練
で習得した溶接技術や加工技術などが職場で評価された結果であると感
じている。
コ ラ ム
高度熟練技能者の認定・活用
現役・OBを問わず熟練技能者の中から、豊富な実務経験を有し、自他共に認める高度な熟練技能を有する者(機
械では代替できない高度な技能を駆使して、高精度・高品質の製品・試作品等を作り出すことができる技能者、また
は、機械が作り出す製品と同等以上の高精度・高品質の製品の製造や整備ができる技能者)を「高度熟練技能者」
として中央職業能力開発協会が認定している。
【高度熟練技能者認定証(見本)】
【高度熟練技能者章(バッジ・見本)と認定者】
また、
「高度熟練技能者」として認定された方々は、工業高校、
公共職業訓練校、中小企業等からの要請により、技能検定合格レ
ベルの実技講習等を行うなど後継技能者の確保・育成や熟練技能
の維持・継承に大きく貢献している。
120
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
コ ラ ム
キャリア形成促進助成金について
ものづくり立国に向けた基盤整備等、今後の
ものづくり技能振興等の施策展開の方向性
我が国のものづくり立国としての基盤を確かなものとし
(1)技能尊重のための取組
①卓越した技能者表彰制度(現代の名工)など技能尊重の
ための取組
ていくためには、専門職能の技能者(職人)も含め、広く
卓越した技能者を表彰することにより、広く社会一般に
ものづくりに携わる技能者の処遇面を含めた社会的評価の
技能尊重の気風を浸透させ、もって技能者の地位及び技能
向上を図るとともに、若者も進んでそれを目指すような環
水準の向上を図るとともに、青少年がその適性に応じ、誇
境を整備することが重要である。
りと希望を持って技能労働者となり、その職業に精進する
このためには、子供から大人までの国民各層が技能、も
気運を高めることを目的とした表彰制度であり、1967 年
のづくりの素晴らしさや社会経済におけるその重要性を広
度に第 1 回の表彰が行われて以来、2007 年度で本制度施
く認識する社会を形成することが求められる。こうした観
行 41 年目を迎え、2007 年 10 月 31 日、表彰授与式が執
点から、2007 年 11 月には、
「2007 年ユニバーサル技能
り行われた。
五輪国際大会」
(技能五輪国際大会と国際アビリンピック
被表彰者は、都道府県知事、全国的な規模の事業を行う
を史上初めて同時開催)が静岡県において開催されたとこ
事業主団体その他当該表彰を受ける者の推薦に当たる者か
ろである。本大会を契機として、子供から大人まで国民の
ら推薦(一般推薦)のあった次の各号のすべての要件を満
各層で技能尊重気運を醸成し、ものづくり立国への意識を
たす者のうちから、厚生労働大臣が技能者表彰審査委員の
高める取組がますます求められているといえよう。
意見を聴いて決定する。
121
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
2
第3節
事業主が、 その従業員について、 職業訓練の実施、 自発的な職業能力開発の支援又は職業能力評価の実施を行っ
た場合に支給する助成金。
1 助成金の種類
(1)訓練等支援給付金
①事業主が、事業内職業能力開発計画に基づき作成した年間職業能力開発計画(以下「計画」という。
)に基づき、
その従業員に職業訓練を受けさせた場合、
イ 中小企業事業主が従業員に職業訓練を受けさせた場合、訓練に要した費用の一部を助成。
ロ 非正規労働者に職業訓練を受けさせた場合、訓練に要した費用の一部を助成。
ハ 従業員に認定実践型人材養成システムによる訓練を受けさせた場合、訓練に要した費用の一部を助成。
②計画に基づき、労働協約または就業規則に定めるところによって、従業員の申出により、教育訓練、職業能力検
定若しくはキャリア・コンサルティングを受けるために必要な経費を負担する又は休暇を与える場合、要した費
用の一部を助成。
(2)職業能力評価推進給付金
事業主が計画に基づき、その従業員に一定の資格試験等を受けさせた場合、受検に要した費用の一部を助成。
(3)地域雇用開発能力開発助成金
地域雇用開発促進法の規定に該当する一定の地域内に事業所を設置若しくは整備した事業主が、計画に基づき、
その従業員に職業訓練を受けさせた場合、訓練に要した費用の一部を助成。
(4)中小企業雇用創出等能力開発助成金
中小企業労働力確保法に基づく改善計画の認定を受けた事業主が、計画に基づき、その従業員に職業訓練を受け
させ又は従業員の自発的な教育訓練の受講に対する支援を行った場合、訓練又は従業員の自発的な教育訓練の受講
に対する支援に要した費用の一部を助成。
2 キャリア形成促進助成金(訓練給付金※)支給実績
2003 年度 5,702 百万円、
35 万人(うち製造業 1,134 百万円)
2004 年度 6,011百万円、
38 万人(うち製造業 1,157 百万円)
2005 年度 5,699 百万円、
36 万人(うち製造業 1,199 百万円)
2006 年度 5,622 百万円、
36 万人(うち製造業 1,194 百万円)
製造業に係る支給実績については、全体の 20%前後を占めている。
※事業主が計画に基づきその従業員に職業訓練を受けさせた場合、要した費用の一部を助成(2006 年度までの
助成措置)
(ア)きわめてすぐれた技能を有する者
(イ)現に表彰に係る技能を要する職業に従事している
者
彰者に表彰状、卓越技能章(楯及び徽章)及び褒賞金(10
万円)を授与して行われる。
(ウ)技能を通じて労働者の福祉の増進及び産業の発展
に寄与した者
コ ラ ム
第 1 回の表 彰が 行われて以来、第 41 回の表 彰までで
4,688 名が表彰された(1995 年度までは毎年度概ね 100 名
(エ)他の技能者の模範と認められる者
まち い
表彰は、厚生労働大臣が毎年 1 回、概ね 150 名の被表
を表彰し、1996 年度からは概ね 150 名を表彰している)
。
2007 年度「現代の名工」の技
とし お
町井 利男 氏(59 歳)
精密機械加工に優れ、立型フライス盤など業界の名機を次々と生みだすと同時に、作業の効率化を目指した部品
加工職場の自動化を確立した。さらに、技術普及活動や後進の育成にも貢献。
【フライス盤工 日立ビアメカニクス㈱(神奈川県海老名市)
】
精密機械加工分野に従事し、その優れた技能と培ったノウハウで、多くの製品を世に送り出すことに貢献する。特
に、立型フライス盤やプリント基板穴明機が業界や市場で高評価を得たのは彼の寄与なくしては実現されなかった。
さらに無人化を目指した機械加工職場の自動化を構築し効率向上を図った。
また、国家技能検定委員(機械加工)として後進技能者の指導及び育成に尽力するとともに、技能者としてさらな
る技能の継承と進歩改良の活躍が期待される。
【作業風景】
いしやま
【プリント基板穴明機に使用する機械加工部品】
つとむ
石山 勉 氏(59 歳)
極薄半導体パッケージ用プリント配線板製造において、高精度なソルダーレジスト塗布方法を開発。
【プリント配線板製造工 ㈱イースタン(長野県茅野市)
】
プリント配線板の製造に長年従事し、極薄半導体パッケージ用プリント配線板製造においてソルダーレジストを高
精度に塗布する技能に卓越している。
さらに、塗布方法と同様、感光性ソルダーレジストの露光・現像においても厳しい要求をクリアし、現在そのアイ
デアは露光機器・現像機に反映され、世界各国でその装置が使用されている。
また、社内でも主任技師として、長年のノウハウを生かし、新規のプロセス開発や現場のさらなる改善、中堅・若
手技能者の育成に積極的に取り組んでいる。
【作業風景】
122
【極薄 CSP 製品】
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
(2)
「ものづくり立国」の推進
場・訓練校、公共職業訓練施設、学校の開放等によるもの
①企業の工場・訓練校、公共職業能力開発施設等の開放促
づくり体験の実施、高度熟練技能者による若年者への派遣
進等によるものづくり体験の促進
指導の実施などにより、若者に対し、技能やものづくりの
若年ものづくり人材の育成を推進するため、企業の工
素晴らしさ、重要性の理解を促進することとしている。
コ ラ ム
ものづくり技能への魅力づくり―ものづくり体験の場の提供―
若年者のものづくり技能への理解の促進を図るためには、小中高校生のみならず父兄を含めた地域社会の理解が
不可欠であり、これら親子等が一緒になってものづくり技能を体験することがより効果的である。
このため、企業の工場・訓練校、公共職業能力開発施設等が地域に開放され、ものづくり体験の場が広く提供さ
れるよう、各都道府県職業能力開発団体、企業、業界団体、官公庁等の連携のもと、開放に向けた取組が行われて
いる。
第3節
【
コ ラ ム
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
】【
自動車部品製造会社の工場開放による工業高校生の
「ものづくり体験」。アンバサダー(ものづくり大使)
の指導を受け、精密部品の手仕上げ作業に挑戦 !!
】
椅子等の製造販売会社の開放による「親子ものづく
り体験教室」
。椅子張りの製作に挑戦 !!
地域におけるものづくり人材育成の取組
愛知県は、30 年連続で製造品等出荷額が全国一であるなど、日本を代表するものづくり県であるが、団塊世代の
大量退職や若者のものづくり離れなどにより、ものづくり産業の次代を支える人材の育成が急務となっている。
そこで、2005 年度に、産業界、教育界、学識経験者、経済産業局や労働局、県等の代表からなる 「モノづくり人
材育成協議会」 を設置、「モノづくり人材育成愛知モデル」 を策定し、ものづくりを志す若者を増やすとともに産業
ニーズに合った人材育成の仕組みづくりを目指して、小学生から社会人までライフステージに応じた人材育成プログ
ラムを連携して推進していくこととした。
また、
「①ライフステージに応じた教育プログラムの推進」
、
「②モノづくり技術・技能を尊重する気運の醸成」
、
「③
人材育成の仕組みづくり」
、
「④モノづくり労働力不足対策」の 4 つを取組の柱に掲げ、2006 年度から新たに 「産業
人材育成推進協議会」 を設置し、さらなる産学の連携を図っている。
【就業者のライフステージ】
小学校
モノづくりの
楽しさを知る
中学校
社会での
モノづくりの
重要性を知る
高校・高専
モノづくりの技能
を身につける
大学・大学院等
働く場に必要な
技術・技能を
修得する
企業
生涯を通じて、
技術・技能の
レベルを上げる
質・量ともに全国一の熟練技能士や技能五輪メダリストなどの人的資源を活かし、地域の技能継承の促進や技術・
技能尊重の気運の醸成を図るため、2006 年度に 「あいち熟練技能士 OB 人材バンク」 を、2007 年度に 「愛知版マ
イスター制度」 を創設するなど、中小企業や工業高校生の技能指導や子どものものづくりへの関心を高める取組を
行っている。
123
さらに、小中学校のものづくり文化教育を促進するため、マイス
ターの優れた技を紹介するDVDや工場見学ガイドブックなどを制作
した。
(写真)
今後はさらに、県内の教育・訓練機関の連携を図り、求職者や中小
企業等向けの教育・訓練情報の一元的な発信や複合訓練コースの検
討などを行い、企業の就業段階に応じた人材育成を支援していくこと
としている。
埼玉県では、企業誘致に力を入れており、産業振興の取組と連動し
て、人材育成を進めている。
2007 年、産業界・教育界・国(関東産業局、埼玉労働局)等からなる埼玉県産業人材育成懇話会を設け、関係
機関の連携を図り、企業の求める人材の育成施策を検討した。
その結果、教育界、産業界、行政が連携を強化し、関係機関が一体となった産業人材育成の仕組みづくりが重要
であるなどの提言を得た。それを踏まえ、2008 年度に、産業界・教育界・行政など多数の関係機関が参画する新た
な総合的支援体制「産業人材育成プラットフォーム」を構築し、関係機関の横串化・連携の強化を図る。
プラットフォームには、産業界と教育界をコーディネートする産業人材育成プロデューサーを配置するとともに、
関係機関で取組を協議する「産業人材育成推進会議」を設置する。
企業・経済団体・NPO等
ほか
商工団体・経済団体
埼玉県職業能力開発協会
埼玉県中小企業振興公社
県産業労働部
県教育委員会
県内大学など
コ ラ ム
国・ 雇用・能力開発機構埼玉センター
小・中・高校・大学等
[プラットフォームの目指す方向]
企業支援
ものづくり人材の確保・育成に向けた企業支援として、特に団塊の世代の退職等による技術・技能伝承に対応し
た取組を行う。
例えば、団塊の世代の退職等による技
産業人材育成プラットフォーム
術・技能継承の課題を克服していくため、
[地域連携機関]
[地域連携機関]
高度熟練技能者などが企業に出向き、技術
☆地域での相談・
☆地域での相談・
交流
交流
高等技術専門校,
高等技術専門校,
指導を行う県事業の活用や技能検定制度の
商工会議所等
商工会議所等
普及を促進し、企業の技術レベルの底上げ
を図る。
相談
相談
解決
解決
キャリア教育支援
産業振興・中小企業支援に直結する人材
■インターンシップ
■在職者のスキル
産業人材育成支援情報ネットワーク
受入企業の相談
アップ訓練の相
など
談など
を育成する専門高校を中心としたインター
ンシップの支援や企業見学などキャリア教
学校教育から在職段階までライフステージに応じた産業人材育成
育の早い段階からの取組を推進する。
実践的な技能・技術者の育成 海外大学からも注目
ものつくり大学(埼玉県行田市)は、現場に強い実践的な技能・技術者の育成を目指し、様々な製造業・建設業企
業と連携しながら、最新鋭の機器等を備えるとともに、多くの教員をものづくり現場から登用し、実習、実験、演習
に力を入れた実践的な授業を行っている。特にインターンシップについては、履修期間を実働 40日以上とることで、
企業の生産現場で従業員と一緒に働くことができ、生産現場の即戦力になれるような技能・技術を習得している。
こうした、ものつくり大学のすすめる技能・技術者の育成方法は、海外
の教育現場においても注目されている。例えばタイ国では、2007 年 6月、
現地日系企業のニーズにあった人材を育成することを目的に、日本型のも
のづくり実践教育を行う大学として、多くの日系企業から支援を受けて、泰
日工業大学が設立された。同大学の設立準備に当たっては、2006 年 7月に、
後に同大学の学長になるクリサダ氏がものつくり大学を視察し、2007 年
10月には、両大学間で学術交流協定を締結した。
今後は、双方の学生を交換し、タイの学生に日本の実践的な技能・技術
を習得してもらうなどの国際交流も行っていく予定である。
【協定調印式】
124
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
②「ものづくり立国」の社会基盤の整備
本大会での日本選手団の活躍はめざましく、「技能五輪
「ものづくり立国」の社会経済基盤を維持、発展させて
国際大会」では、2005 年のフィンランド大会(金メダル
いくためには、優れた技能をもった方々の紹介やものづく
5 個)を大きく上回る金メダル 16 個を獲得し、金メダル
り体験教室など魅力ある技能の情報をインターネットで提
獲得数では世界第 1 位に輝くとともに、金銀銅の総メダル
供するなど、広く国民に紹介することにより、国民各層が
総数でも 24 個(世界第 2 位)を獲得するなど、素晴らし
ものづくり技能の重要性を認識し、そのことによって、社
い成果を挙げた。
会における技能尊重気運の醸成を図ることとしている。
一方、
「国際アビリンピック」でも、金 12 個、銀 17 個、
銅 15 個のメダルを獲得、特別賞 8 個を含め 52 人が入賞を
(3)
「2007
年ユニバーサル技能五輪国際大会」を契機と
する技能の振興
果たした。
本大会を成功裡に収めるため、技能五輪国際大会出場予
「ものづくり立国」に向け、子供から大人まで国民各層で
定選手の訓練に対する支援のほか、ものづくりや技能をテー
技能尊重気運を醸成し、ものづくり及びそれを支えるもの
マとしたシンポジウムの開催、プレ・2007 年ユニバーサル
づくり人材育成の重要性が再認識されることが重要である。
技能五輪国際大会の開催等、幅広い事前活動が行われた。
アビリンピック」の史上初の同時開催となった「2007 年
日本の伝統と最先端の技を紹介する技能展示館「Japan
ユニバーサル技能五輪国際大会」が、2007 年 11 月、皇
Skills Village -日本の技-」を開催し、国内外から訪れ
太子殿下を大会名誉総裁にお迎えし、我が国(静岡県静岡
た多くの人々に対して、日本の技能の水準の高さ、ものづ
市及び沼津市)で開催された。
くりの素晴らしさ、大切さをアピールすることができ、大
「技能五輪国際大会」には、世界 46 カ国・地域から 812
きな成果を挙げることができた。
名の選手が 47 の競技職種に参加(うち我が国からは中央
また、本大会には国民各層からの強い関心が寄せられ、
職業能力開発協会が 46 の競技職種に 51 名の選手を派遣)
大会来場者数は約 29 万 3 千人と、予想の 20 万人を大きく
し、世界の頂点を目指してそれぞれの優れた技能を存分に
上回るものとなった。
発揮した。
このように、本大会は、ものづくり立国の推進と、障害
また、
「国際アビリンピック」には、34 カ国・地域から
の有無に関わらず誰もが社会に参加し支え合う「ユニバー
910 名が参加した。技能競技には 23 カ国・地域から 360
サル社会」の実現の基盤形成に大きく寄与したといえよう。
名の選手が参加(うち我が国からは(独)高齢・障害者雇
今後、本大会の成果を持続・発展させるため、本大会を
用支援機構が職業技能競技 26 種目に 71 名、生活余暇技
素材とした DVD、冊子等を活用し若者等への理解の促進
能競技 4 種目に 9 名、計 80 名の選手を派遣)し、入賞を
を図るほか、本大会メダリストによるイベント等の活動を
目指し日頃鍛えた技能を競った。
通じて、技能の素晴らしさを一層広めることとしている。
コ ラ ム
2007 年ユニバーサル技能五輪国際大会での日本選手団の活躍
【第 39回技能五輪国際大会】
我が国での開催が1985 年の第 28回大会(大阪)以来 3 度目となった第 39 回技能五輪国際大会は、静岡県沼津
市の門池地区に設けられた14の競技ホールを会場に、11月15日(木)から18日(日)の4日間にわたり開催され、
「ポリメカニクス」をはじめとする47 職種において46ヵ国・地域から集まった22 歳以下(
「製造チームチャレンジ」
及び「メカトロニクス」職種を除く)の若者 812 名によって熱戦が繰り広げられた。また、本大会による16 職種18
名の金メダリストは、第 2回ものづくり日本大賞として内閣総理大臣表彰を受けている(P167 参照)
。
【ポリメカニクス職種の競技風景】
【抜き型職種の競技風景】
【曲げ板金職種の競技風景】
125
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
さらに、大会開催期間中は、(社)全国技能士会連合会
等の協力を得て、見て、触れて、体感することができる、
第3節
そうした中、世界の若者が技能を競う「第 39 回技能五
輪国際大会」と、障害のある人が技能を競う「第 7 回国際
<第 39 回技能五輪国際大会の上位国の成績>
参加国・地域
メダル獲得数
金
銀
銅
計
日本
16
5
3
24
韓国
11
10
6
27
フランス
5
4
3
12
スイス
4
7
5
16
【第 7回国際アビリンピック】
一方、我が国での開催が1981年の第1回大会(東京)以来 2度目となった第7回国際アビリンピックは、静岡県静
岡市の「ツインメッセ静岡」を会場に、11月15日(木)から17日(土)の3日間開催され、
「コンピュータプログラミ
ング」をはじめとする30 種目において、23ヵ国・地域から集まった360名により日頃から鍛えた技能が競われた。
また、同会場では、競技の他、デモンストレーション、最新の就労支援機器などの展示・実演及び国際会議などの
イベントも実施された。
【コンピュータプログラミング種目の競技風景】【電子回路接続種目の競技風景】
【機械組立種目の競技風景】
<第 7 回国際アビリンピックの上位国の成績>
参加国・地域
メダル獲得数
金
銀
銅
計
日本
12
17
15
44
韓国
8
3
2
13
中国
4
6
7
17
チャイニーズ・タイペイ
4
4
1
9
世界に挑む技能五輪選手への金メダリストからのメッセージ(★)
126
畑 弾手(1986 年生まれ)
所属:セイコーエプソン(株)
職種:ポリメカニクス
★大会中、又は大会前はとにかく体調
を万全にするように心掛けることが大
切だと思います。
山口 雄基(1986 年生まれ)
所属:
(株)協和エクシオ
職種:情報ネットワーク施工
★国際大会出場は、普通では体験でき
ない事なので、ぜひ楽しんで臨んでほ
しいと思います。
藤本 アキラ(1985 年生まれ)
所属:
(株)日立ハイテクノロジーズ
職種:CNC 旋盤
★国際大会は4日間という長時間の闘
いです。必ず失敗は出ると思います。
でも、最後まで絶対に諦めずにやり
切って下さい。また「日本代表」とい
うことに誇りを持って頑張って下さい。
海老根 章友(1986 年生まれ)
所属:
(株)日立ハイテクノロジーズ
職種:CNCフライス盤
★日本の技術力は高く、普通にさえで
きれば必ず上位になれます。そのため
の訓練も大事。
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
水野 峻吾(1988 年生まれ)
所属:トヨタ自動車(株)
職種:自動車板金
★英語を勉強しておくといろんな人と
交流ができて国際大会がより楽しくな
ると思います。
清水 輝(1986 年生まれ)
所属:日産自動車(株)
職種:電子機器組立て
★国際大会では多くの外国人と接する
ので、普段学ぶことのできないコミュ
ニケーションや異文化に触れる事がで
きます。そのような所も楽しんで国際
大会に臨むといいと思います。
堀井 裕貴(1985 年生まれ)
所属:
(株)きんでん
職種:電工
★最後は自分の力なので、それをふま
えて練習してほしいと思います。
大島 千奈(1986 年生まれ)
所属:
(学)三星学園 にいがた製菓・
調理師専門学校 えぷろん
職種:洋菓子製造
★今回の大会では「金メダル以外は負
けだ」という強い意志を持って努力し
てきました。また、指導していただく
方を信頼して素直に従う事も大切だと
思います。
早乙女 彰将(1986 年生まれ)
所属:小杉造園(株)
職種:造園
★悔いの残らないようにすること。
渡邉 久美奈(1987 年生まれ)
所属:小杉造園(株)
職種:造園
★日々の努力・前進・挑戦・勇気。
山本 哲也(1985 年生まれ)
所属:
(株)デンソー
職種:移動式ロボット
★確実な動作が一番大切。
萩野 幸弘(1985 年生まれ)
所属:
(株)デンソー
職種:移動式ロボット
★世界の選手との交流を大切にしてほ
しいです。
安達 裕喜(1985 年生まれ)
所属:
(株)デンソー
職種:抜き型
★楽しんでください。
土谷 幸司(1985 年生まれ)
所属:
(株)豊田自動織機
職種:機械組立て
★本番で実力を発揮させるために「心・
技・体」をバランス良く磨き上げよう!
坂本 昭仁(1986 年生まれ)
所属:
(株)日立製作所
職種:構造物鉄工
★人生で一回しかないチャンスなので、
是非そのチャンスがあればやってほし
いと思います。
第3節
小林 真己(1986 年生まれ)
所属:
(株)日立製作所
職種:溶接
★競技を楽しむ気持ちで訓練通りに!!
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
127
今﨑 智也(1985 年生まれ)
所属:トヨタ自動車(株)
職種:木型
★結果は大切だけど、それよりも楽し
んで作業して悔いを残さないでほしい。
秀島 巧(1985 年生まれ)
所属:マツダ(株)
職種:曲げ板金
★優勝したいという気持ちをしっかり
持ち訓練してほしい。
第 39 回技能五輪国際大会における日本選手入賞者
競技職種名
所属
畑 弾手
情報ネットワーク施工
山口 雄基
(株)協和エクシオ
加賀谷 一義
(株)デンソー
濱口 覚
(株)デンソー
伴 雅広
(株)デンソー
製造チームチャレンジ
メカトロニクス
セイコーエプソン(株)
江田 和也
トヨタ自動車(株)
吉川 達也
トヨタ自動車(株)
成績
金
金
銀
7 位(敢闘賞)
機械製図 /CAD
大須賀 孔明
(株)日立ハイテクノロジーズ ナノテクノロジー製品事業本部
銅
CNC 旋盤
藤本 アキラ
(株)日立ハイテクノロジーズ ナノテクノロジー製品事業本部
金
CNC フライス盤
海老根 章友
(株)日立ハイテクノロジーズ ナノテクノロジー製品事業本部
金
溶接
小林 真己
(株)日立製作所 日立事業所
金
印刷
鈴木 康弘
凸版印刷(株)
自動車板金
水野 峻吾
トヨタ自動車(株)
配管
遠間 潔寿
電子機器組立て
清水 輝
電工
堀井 裕貴
(株)きんデん 人材開発部
工場電気設備
名久井 勝也
(株)日立製作所 情報制御システム事業部
石工
浦田 祐希
職業訓練法人 岡崎技術工学院
広告美術
岡田 朋子
静岡県広告美術業協同組合
建築大工
池田 通憲
洋裁
橋本 恭也
洋菓子製造
大島 千奈
学校法人三星学園 にいがた製菓・調理師専門学校 えぷろん
自動車工
森山 恵介
日産自動車(株)
西洋料理
東屋 美穂
Marry de MANA
レストランサービス
山本 文太
ホテルアソシア静岡ターミナル
車体塗装
岡村 将良
マツダ(株)
早乙女 彰将
小杉造園(株)
渡邉 久美奈
小杉造園(株)
造園
ITPC ネットワークサポート
中山 隆生
(株)千代田設備
日産自動車(株)
住友林業ホームエンジニアリング(株)
(株)プラス・ワン
トヨタ自動車(株)
6 位(敢闘賞)
金
銀
金
金
5 位(敢闘賞)
銅
8 位(敢闘賞)
銀
4 位(敢闘賞)
金
銅
5 位(敢闘賞)
8 位(敢闘賞)
10 位(敢闘賞)
金
銀
山本 哲也
(株)デンソー
萩野 幸弘
(株)デンソー
抜き型
安達 裕喜
(株)デンソー
機械組立て
土谷 幸司
(株)豊田自動織機
金
構造物鉄工
坂本 昭仁
(株)日立製作所 日立事業所
金
木型
今﨑 智也
左官
堀 美幸
曲げ板金
秀島 巧
移動式ロボット
128
氏名
ポリメカニクス
トヨタ自動車(株)
(株)いりやまと
マツダ(株)
金
金
金
銀
金
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
世界に挑むアビリンピック選手への金メダリストからのメッセージ(★)
村田 芳枝(東京都)
所属:日本編物検定協会
種目:編物
★国際大会参加は、培ってきた技を試
せる場所です。競技は自分のリズムと
平常心で、努力した事に自信をもって
頑張ってください。
細澤 安仁(静岡県)
所属:
(株)メディアベース
種目:コンピュータプログラミング
★幸運にも金を取ることができました
が、練習し、準備したことを全て出し
切ったので幸運を掴むことができたの
だと思います。また、結果が大切なの
はもちろんですが、大会を楽しむことも
大切だと思います。頑張ってください。
澤田 デジ(愛知県)
所属:ユニー(株)
種目:洋裁-婦人服(基礎)
★一つ一つていねいに、教えられたこ
とを全部だして頑張ってください。
尾村 充子(愛知県)
所属:
(株)デンソー
種目:電子機器組立及びテスト
★練習は繰返し繰返し諦めないで最後
までやり切る。そして、本番ではリラッ
クスして・欲を出さず・終わった後笑
顔で満足出来ることを心掛け、大会参
加だけに満足しないで自分の技術を後
輩に伝えて行って下さい。
山本 勝巳(愛知県)
所属:
(株)デンソー(株)
種目:電子回路接続
杉戸 正輝(愛知県)
所属:
(株)三ツ倉家具製作所
種目:家具製作(基礎)
★心の中で「金メダルをとる」
、
「でき
るできる」と自分に言い聞かせ競技を
するといいと思います。
宇賀谷 弥生(奈良県)
所属:積水ハウス
(株)ハートフル生活研究
所、奈良創作フラワーデザイン研究所
種目:フラワーアレンジメント
★国際大会では大勢の中で競技しますので、
アクシデントはつきものです。必ず最後まで
やり遂げる精神で頑張ってください。日頃か
らあがらないように集中力を養ったり、リラッ
クス方法を身につけるといいと思います。
川本 忠夫(広島県)
所属:
(株)ミツトヨ広島事業所
種目:精密板金
★チャレンジを始めた頃にはまさか自
分が表彰台に上がるなど考えもしませ
んでしたが、日々の努力が報われまし
た。毎日の積み重ねがいかに重要かが
分かりました。是非皆様も挑戦して下
さい。
畠山 優(高知県)
所属:手づくり工房源吾郎
種目:データベース作成(応用)
★日本代表としての誇りと責任を感じ、
妥協せず自分自身を追い込み、挑んだ
大会でした。絶対に気持ちで負けない
ように! 大会は少しでも英会話が出
来た方が楽しめると思います。
末川 孝浩(熊本県)
所属:
(株)九歯研
種目:歯科技工
★“金メダル”をめざす皆様へ
一言助言するならば、日々の努力!!
常に技術の向上に励むこと、これ以外に
実を結ぶことはないと思います。
「継続は
力なり」といいます。どうぞ日々努力し
頑張ってください!! 期待してますよ!!
★アビリンピックは、「障害者もやれば出来る」と
いう事をアピールするよい機会です。また、夢に挑
戦するために神様が与えてくれた最高の舞台です。
夢をあきらめないで、アビリンピックを通じ、障害
を持つ人々の活躍が更に広がることを期待していま
す。夢を持って、技能を磨きながら頑張って下さい。
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
豊川 和弥(東京都)
所属:
(株)東京リーガルマインド
種目:データベース作成(基礎)
★一生に一度の国際大会出場は、頑張
る事はもちろんの事、思い切り楽しむ
事も大切です。
第3節
高瀬 登志子(茨城県)
所属:イトキン(株)
種目:洋裁-婦人服(応用)
★国際大会では,緊張の連続だと思い
ますが平常心を保って、いままで積み
重ねて来た技術を大いに発揮し大会に
臨んで下さい。努力した分だけ喜びも
大きいと思います。頑張ってください。
129
第 7 回国際アビリンピックにおける日本選手入賞者
競技種目名
V1 義肢
V3 建築 CAD
氏名
(有)スエヨシ補装具製作所
石見 哲也
(株)大坪義肢製作所
V5 コンピュータプログラミング
V7 データベース作成(応用)
V8 データベース作成(基礎)
V9 歯科技工
V10 洋裁−婦人服(応用)
V11 洋裁−婦人服(基礎)
V12 電子機器組立及ビテスト
V13 電子回路接続
蔵田 健冶
西日本電業(株)
銀
田中 元将
清水建設(株)四国支店
銅
板倉 恵美
アイシン精機(株)
特別賞
細澤 安仁
(株)メディアベース
金
富髙 孝一
銅
特別賞
手づくり工房源吾郎
金
矢崎総業(株)
銀
柿木 由宏
富士重工業(株)東京事業所
銅
豊川 和弥
(株)東京リーガルマインド
金
橋本 良弘
横河ファウンドリー(株)
銀
秋田 拓也
(株)ニッセイ・ニュークリエーション
銅
末川 孝浩
(株)九歯研
金
藤井 理仁
歯科工房光彩
銀
高木 茂晴
山本歯科クリニック
銅
高瀬 登志子
イトキン(株)
金
澤田 デジ
ユニー(株)
松田 健二
カルビー(株)各務原工場
金
特別賞
尾村 充子
(株)デンソー
金
飯田 一法
(株)デンソー
銀
山本 勝巳
(株)デンソー
金
松藤 真美
(株)デンソー
銀
橋本 真由美
(株)デンソー
銅
山沢 清文
エプソンミズベ(株)
(有)化成フロンティアサービス
積水ハウス
(株)
ハートフル生活研究所 奈良創作フラワーデザイン研究所
(財)小原流八戸支部
銀
銅
金
銀
細田 恭子
アンシェルフラワーデザインスクール
佐藤 浩
宮城県立ろう学校
銀
内藤 義夫
自営
銅
(株)三ツ倉家具製作所
特別賞
金
本田 哲郎
NPO 法人カサ・チコ
銀
山本 真也
川部鉄工所
銅
V19 貴金属装身具
黄海 昭彦
V20 機械組立
増田 中夫
(株)桑山
静岡県自転車軽自動車商業協同組合
彌勒 純一
(株)富士通四国システムズ 高知事業所
西田 達人
(株)旭化成アビリティ水島営業所
小久江 寛
SEED
小池 誠
銀
銅
銀
特別賞
銀
特別賞
川本 忠夫
(株)ミツトヨ 広島事業所
金
会沢 泰幸
(有)山﨑工業
銀
平山 一幸
ダイキン工業(株)滋賀製作所
V25 洋服 - 紳士服
瀧 こと代
コトヨ洋服店
V26 木彫
英 伸二
井波彫刻協同組合
特別賞
L2 編物
村田 芳枝
日本編物検定協会
金
L4 陶磁器
飯田 豊
V …職業技能競技、L …生活余暇技能競技
130
銀
勝澤 崇
杉戸 正輝
V24 精密板金
(株)アマダ
銅
畠山 優
宇賀谷 弥生
V23 ポスターデザイン
自営
寺田 義孝
重定 知佳
V21 パソコン組立
銀
新キャタピラー三菱(株)
V15 英文ワープロ
V18 家具製作(基礎)
(株)日産テクノ
高橋 大輔
髙橋 君江
V17 家具製作(応用)
銅
特別賞
V14 英文 DTP
V16 フラワーアレンジメント
銀
宮城県立ろう学校
鈴木 邦彦
V6 ホームページ作成
成績
伊東 美津子
吉川 隆
V4 機械 CAD
所属
伊藤 則彦
(社福)光風会小規模授産施設 笠間焼工房「陽」
銅
銅
銅
第2章 ものづくり基盤強化のための人材の育成
技能展示館「Japan Skills Village ―日本の技―」
(厚生労働省主催)の開催
我が国の優れたものづくりの技能・技術を国内外からの来場者へアピールするため技能五輪国際大会の競技会場
である静岡県沼津市門池地区で技能展示館を開設した。この展示館では、
「見て、触れて、体感する 日本の伝統と
最先端の技」をキャッチフレーズに、
「夢」
・
「集」
・
「和」
・
「趣」
・
「美」
・
「拓」などのキーワードのもと、トヨタ自動車
(株)や(社)全国技能士会連合会をはじめとする50の企業・業界団体等の協力により様々な“技”が紹介された。
特に「和」のコーナーやステージイベントでは、
(社)全国技能士会連合会(技能士の技能及び知識の向上並びに
技能士の社会的、経済的地位の向上を図るとともに、技能に対する社会的評価を高め、もって我が国産業経済の健
全な発展に寄与することを目的に1985 年に設立された「技能士」が加入している全国団体。
)に所属する技能士に
より、16 職種に関わる高度な技能が、展示や実演を通じ紹介された。
当館は、連日、小・中・高校生をはじめ多くの来場者で賑わい、15日(木)〜18日(日)の実施期間中、5 万 8
千人超の来場者を集めた。
第3節
】【
】
【
【
【
へら絞りの実演・体験
(「夢」コーナー)
】【
【
】
】
鋳物製地球儀の展示
(「Welcome to 静岡」コーナー)
会場内につくられた日本庭園
(「集」コーナー)
静岡凧の展示
(
「Welcome to 静岡」コーナー」
)
工業用粘土による自動車デザイン造
形の実演・体験(
「夢」コーナー)
】 【
【
】
ロボットアーム「パワーエフェクタ」
の実演・体験(
「拓」コーナー)
日本料理の展示・実演
(
「和」コーナー)
】
オープニングセレモニーでの包丁式
(「ステージイベント」
)
腕脚統合型ロボット「アスタリス
ク」の実演(
「夢」コーナー)
【
】【
組み手の展示・体験
(
「和」コーナー)
】
】
日本伝統衣装着物紹介
(
「ステージイベント」
)
131
ものづくり基盤強化のための能力開発等の取組
【
【入場を待つ来場者】
(4)各種技能競技大会の実施
2007 年度第 45 回大会(2008 年 2〜3 月 千葉県を中
①技能五輪全国大会
心に開催)では、43 職種に 987 名の選手が参加し、技能
国内の青年技能者の技能レベルを競うことにより、青年
技能者に努力目標を与えるとともに、技能尊重気運の醸成
を図ることを目的として、1963 年から毎年開催されてい
を競い合った。
次回は、2008 年 10〜11 月、千葉県を中心に開催予定
である。
る。
コ ラ ム
輝く技能-技能五輪全国大会-
国内の青年技能者の技能レベルを競うことにより青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能を身近に触れる機
会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重気運の醸成を図ることを目
的として1963 年から毎年10月〜11月に開催している。また、同大会は技能五輪国際大会(隔年開催)に派遣する
選手の予選大会も兼ねている(地方における一層の技能振興を図るため、1998 年の第 36回の群馬大会以降は、毎
年地方で開催するように努めている)
。
2007 年度は2008 年 2月末〜3月頭にかけて千葉県の幕張メッセを中心とする18 会場において、43 の競技職種
に980 名もの選手の参加を得て盛大に開催された(ものづくり基礎技能職種では、旋盤、機械組立てにおいて参加
選手の増加傾向がみられた)
。大会期間中は、中・高校生をはじめとする多くの来場者を迎え、技能に身近に触れて
もらうことで、技能の大切さ、素晴らしさを強くアピールすることができた。
2008 年度は10月末〜11月頭にかけて千葉県の幕張メッセを中心に開催する予定である。
【青年技能者の頂点を目指し競技に挑む参加選手】
【見事に入賞を果たした青年技能者(閉会式風景)
】
②技能グランプリ
開催は、2001 年度の島根県開催以来、2 回目)。
優れた技能を有する 1 級技能士などが参加する技能競技
大会であり、隔年で開催されており、2006 年度で第 24
③若年者ものづくり競技会
回を迎え、2007 年 3 月に千葉県で開催された。第 24 回
公共職業能力開発施設、認定職業訓練施設、工業高等学
大会には、462 名の選手が参加して、旋盤、表具、日本料
校において技能を習得中の 20 歳以下の者を対象に若年者
理、レストランサービスなど 30 職種について競技が行わ
ものづくり競技大会を実施する。
れた。
次回は、2009 年 3 月に兵庫県で開催予定である(地方
132
次回(第 3 回大会)は、2008 年 8 月に開催予定である。
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