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明日の医療経営を考える TEAM APPROACH No.3 すべて読む
明日の病院経営を考える
2008.Spring
08 診療報酬改定後の
サバイバルプラン
海外の診療報酬事情を知る
日本の制度をベースに
IT化に成功した韓国
柳韓大学 保健医療福祉研究所 日本事務所所長 西山 孝之
広島大学大学院教授(医療システム・健康政策学コース主任教授) 烏帽子田 彰
日本の医療保険制度を模した韓国。皆保険制度は、日本に28年の遅れがあるにもかかわらず、電算化率では現在、90%
を超えているという。しかも、世界でも最大規模といわれるデータ・ウェア・ハウスを構築し、コンピュータは現場作業の
省力化・効率化だけでなく、国民に最適医療を提供するためのデータ活用に威力を発揮している。レセプトのオンライン
請求を普及させるために、医療機関へのメリットを優先させたという韓国の診療報酬事情を紹介する。
ドを推測しつつ手直しを前提としてプログラムの検討をはじめてい
複雑な点数構造
コストだけでなく、情報の不連続性も問題
医療の制度は、国によって異なる
(表1)が、韓国は日本の制度
ると考えられる。
医療機関、
審査機関、
保険者と、
多くの関係者が関与するコンピュー
タシステムとしては考えられないが、
当事者は薄氷を踏む思いで日
を参考にしたため、支給方法も日本と同じ行為別点数制が採用さ
夜作業を行っている。
もちろん費用(コスト)
も生じる。厚生労働省
れている※1。韓国の健康保険審査評価院のホームページには、行
は2007年6月、病院が改定に要したコストを平均200万円と発表
為別点数制の長所として良質なサービス提供や医療の多様性の
している※3。全国では、病院だけでおよそ200億円である。診療所、
反映が可能なこと、短所として点数構造が複雑なことがあげられ
審査機関、保険者を含めた全コストは、
この数倍に達するだろう。
ている
(表2)。確かに日本の点数表は複雑である。その複雑な点
問題はコストだけではない。行為別点数制の特徴である大量の情
数表が診療報酬改定のたびに大幅に変更される。
報が、
改定によってその連続性が失われることが問題だ。
これを執筆している2月末現在、
日本では4月から施行される改
全面オンライン化をめざす日本
定内容が中医協の諮問案として公表されたが、諮問案では点数
表の全貌はわからない。それでも支払基金は電子レセプトのため
※2
の統一コード の検討を、
コンピュータ・ソフトのメーカーはそのコー
プログラム作成の負担軽減がカギ
多くの国がそうだが、
日本でも医療保険制度が整備された時期
表1■各国が採用している医療費の支給方法
国
病 院
医 院
韓国
行為別点数制、一部 DRG選択可
行為別点数制、一部包括点数制(DRG 選択可)
ドイツ
日当たり定額診療費、特定入院費はDRG、特定療養費制度併用
総額契約制
フランス
功績病院 総額契約制、民間病院 1日当たり入院料定額
先払償還方式による行為別点数制
日本
行為別点数制(一部でDPC(DRG))
行為別点数制
台湾
行為別点数制、一部包括点数制
総額契約制、人頭制、包括点数制
アメリカ
DRG
行為別点数制、相対価値点数(RBRVS)方式で支給の人頭制
イギリス
病院勤務医は公務員として給料制
人頭制
韓国健康保険審査評価院ホームページhttp://www.hira.or.kr/より作成
表2■医療費の支給方法の特徴
支給方式
長 所
短 所
(fee-for-service)
良質な医療サービスの提供が可能
新医療技術、新薬開発に寄与、医療の多様性を反映
過剰診療による医療費の増大が懸念される。複雑な点数構造による
請求誤り、虚偽・不当請求が心配
包括点数制
経営、診療の効率化。過剰診療、医療サービス誤濫用の抑制
(case-payment)
医療の水準低下、患者との摩擦が心配
コード操作による虚偽・不当請求が心配
給料制
(salary)
診療の質・効率向上の意欲低減。
官僚化、形式主義化、硬直化、診療の質水準の低下が心配
行為別点数制
人頭制
(cavitation)
医療費予測が容易。住民の予防医療、公衆保健に努力。
医療費抑制が可能
過少診療の心配。最先端診療への経済的誘因がなく新医療技術の
適用延引、重篤患者の登録忌避が心配
総額契約制
(global budget)
過剰診療の削減、医療費予測、財政安定運営、
医療供給者の自律的規制が可能
専門別、療養機関別の診療費配分での葛藤を誘発。新技術開発及び導入。
医療の質向上が懸念される。医療の質の管理が困難
韓国健康保険審査評価院ホームページhttp://www.hira.or.kr/より作成
02 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
Overseas Information
にコンピュータはなかった。
したがってコンピュータ化は後追いとなり、
発は、
皆保険実施の5年後に始まった。加えて2000年にはIMF※5
手作業ベースで設定された制度に苦しみながら、
なんとか現場の
危機対策の一環として、医療保険に3つの大きな改革が実施され
コンピュータ化を紙ベースで完成させた。その紙ベースが電子媒
た。①保険者の一本化(国民保険公団の設立)、②医薬分業の
体を経て、
2011年には全面オンライン化が予定されている。
しかし、
完全実施とともに、③審査と評価の実施機関としての健康保険審
現時点においては、手書きの時代の点数表も改定の手法も、変わ
査評価院※6の発足である。
りそうにはない。
審査評価院はレセプトの審査だけでなく、医療の評価も重要な
いまさらコンピュータの講義でもないが、黎明期にはコンピュータ
役割とされている。EDIは早期に普及させなければならなかった。
に無限の期待を抱いたが、
やがてプログラムの大変さが分かり、
業
そのため医療機関へのメリットが優先された。支払期日は15日以
務を見直してプログラムの負担を軽減しなければ、実用的なコンピ
内が約束され、
審査が未了の場合でも9割の概算払いが行われる。
ュータシステムはできないことが常識化した。
入院は週単位の請求も可能とし、最近は外来の日単位支払いも
しかし、
日本の点数表は手書き時代のままである。現場は必要
検討中とのことである。そのほか、
審査担当者を明示し、
査定の理
に迫られてコンピュータを導入しているが、全国統計など得られな
由を細かくコードで区分するなど、医療機関には業務の透明化が
い現況で、改定のつど、病院は平均200万円の出費を強いられて
歓迎されている。
いる。
200万円は、
点数表の持つ診療報酬の論理を個別に解くた
しかし、
EDIは強制されてはいない。一部には電子媒体も紙レ
めのコストでもある。中央で論理を解き、
それをコードに展開して告
セプト※7も存在するが、
いまや5年分のレセプトがデータ・ウェア・ハウ
示すればプログラム改造は不要となるが、複雑な点数表が短期間
スに蓄積されて、
種々の情報が得られるシステムが完成している。
に改正される現状のままでは、
それもできない。
コンピュータ処理に適した点数表は「複雑な論理をコードに展開」
改正は、点数当たりの金額変更で行う
できるものである。それは点数表を簡素化すれば可能となる。韓国
韓国の点数表は※8、加算の算定をあらかじめ行って、
その結果
は日本の点数表をベースに、
それを実現している。以下に韓国事
の点数とコードを公表している。コードの体系は注加算を含めた基
情を紹介する。
本部分を5桁で表示し、通則加算部分を3桁で表示している。加
韓国の医療保険制度
算を3桁で表現できるのは、
同時に算定できる加算の種類を3種以
下に制限するという簡素化を実現した結果である。そ れによっ
コンピュータ処理による最適医療の提供
て3万余※9の請求項目のすべてが、
5桁または8桁のコードで表現
韓国の医療保険制度の沿革を見ると、
日本の皆保険制度の完
されている。
成は1961年なので、韓国は28年の遅れがある
(表3)。韓国国民
さらに、韓国では毎年改正が行われるが、それは点数当たり
には不幸なことであったが、
コンピュータを前提とした制度が確立
の金額変更で行われる。点数は米国と同様に、相対価値点数
されたことは幸いであった。加えて韓国はIT立国を標榜している。
(RBRVS※10)の概念で設定されて継続的に扱われ、それは原則
コンピュータを現場作業の省力化だけでなく、
国民に最適な医療を
提供するために活用することが明確な方針となっている。
レセプトのオンライン請求(韓国では「EDI」※4と称している)の開
表3■韓国医療保険の沿革
● 1963年11月
12月
● 1976年12月
● 1977年 1月
● 1979年 7月
● 1983年
● 1988年 1月
● 1988年 7月
● 1989年 7月
● 1989年10月
● 1994年 6月
● 1996年10月
● 1997年11月
● 1998年10月
● 2000年 7月
● 2001年 1月
● 2002年 1月
医療保険組合法制定(300人以上事業所は任意に組合設立可)
医療保険法制定
医療保険法改正
職場医療保険実施(500人以上の事業所に強制適用、486
組合設立)
公務員及び私学教職員医療保険実施(300人以上の事業所
に強制適用)
医療費審査を医療保険連合会に統一
農漁村医療保険実施
職場医療保険拡大実施(5人以上の事業場に拡大)
都市部医療保険実施(都市自営業)→国民皆保険の実現
薬局報酬給付実施
オンライン請求(EDI)開発開始
オンライン請求開始
アジア通貨危機(いわゆるIMF危機)でIMF管理下に
国民医療保険法施行、
医療保険公団と地域医療保険組合(227)
統合
国民健康保険法施行(医療保険統合)
・医療保険公団と職場
医療保険組合(139)統合、
医薬強制分業施行、健康保険審査評価院発足
行為別相対価値点数体系及び点数契約制施行
国民健康保険財政健全化法(職場加入者と地域加入者の財
政統合は2003年6月30日まで延長)
として変更されない。
レセプトの請求傷病名はICD-10コード
傷病名はレセプトの審査だけでなく、医療情報のキーとしても重
要である。韓国のレセプトの傷病名コードはWHOが設定した世界
標準のICD-10コードで記載することになっている※11 。カルテや死
因統計、
人口動態など各種の医療関連情報がICD-10コード分類
なので、それに合わせるのが当然との考えだが、レセプトの審査
もICD-10コードで支障なく行われている。
※1 正確には、一部の項目で包括点数制のDRG
(Diagnosis Related Group)が選択でき
る。
※2 このコードは点数表に記載された点数要素に付けた「プログラムコード」であり、請求する
点数は、
これらのコードのプログラム処理結果として算定される。
※3 平成18年度「医療のIT化に係るコスト報告書」
(厚生労働省保険局)
※4 Electronic Data Interchange:標準的統一書式による電子データ交換
※5 International Monetary Fund:国際通貨基金
※6 Health Insurance Review & Assessment Service : Hira、審査評価院
※7 紙レセプトで提出する医療機関には、
2次元バーコード用のプログラムを無償提供して、
レ
セプト内容をバーコードで集計している。
※8 筆者のホームページhttp://www2.tba.t-com.ne.jp/yuhan/index1.htmに、韓国の点数
表とコード一覧を翻訳して掲載している。
※9 日本の点数表の項目数は基本項目が約5,000、加算項目が約300であるが、加算を含め
た請求点数の件数はそのつど計算するので不明のままであり、
デジタル的にカウントでき
る状態になっていない。
※10 Resource Based Relative Value Scale
※11 日本でも任意であったレセプトの傷病名が強制ではないが、標準傷病名(コード)の記載
を原則とすることになっている。
海外の診療報酬事情を知る
03
⑦病院の個別特性を加味したものなどを適宜組み合わせている。
審査基準の公開
審査を担当するのは看護師の資格を備えた職員で、
それを専
日本では非公開だが、韓国では点数表項目の医学的審査基準
任医師が支援している。審査のために貴重な医師の時間を割くよ
を公開することが法によって定められている※12 。そして実際の審
うな社会的無駄は行われていない。
査の場での論議をもとに基準を定め、
毎月インターネットで公開する。
症状によって記載すべきコメント、
CD-ROMによる画像情報や
その内容は症状や検査値などにより、かなり細かいが、絶えず見
診療記録の添付が決められているが、請求側が自主的に添付す
直すことで整備され、
年1回は出版物としても発行されている。
る場合もあり、審査側が追加提出を求める場合もある。基準によっ
て選定された医療機関の現地調査が、毎年700∼800カ所で実
チェックプログラムは専門ベンダが提供
施されている。
公開された審査基準によって、医療機関側でもプログラムチェッ
クが可能となっている。
しかし、
そのプログラムは簡単ではない。そ
混合診療と新医療技術制度
れをシステムごとに開発するのではコストが見合わない。それを数
厳しい財源の制約下で運営されている韓国の医療保険は、
い
少ない専門企業が実現し、
各社の請求システムに組み込んでいる。
わゆる混合診療方式である。点数表には、①通常の患者負担
請求システム
(日本式にいえばレセコン)
を複数の企業が分業で実
率※14を適用する多数の項目、
②規定した全額を患者負担とする項
現している※13。
目、
③医療機関が設定した額を患者が負担する項目が存在する。
点数表に記載されていない新医療技術の導入には柔軟である。
審査はITと目視の併用
新医療技術の実施を希望する場合は申請すればよい。申請すれ
1本部、
7支院から構成される審査評価院には約15
, 00人の職
ば原則として150日以内に①、②、③のいずれの扱いにするかの
員がいる。そのうちIT関連の職員は900人とのこと。彼らが10年
回答が得られるが、回答を得るまでの期間でも③の扱いで診療を
にわたってレセプトの分析を重ねており、
日本は到底及ばない境地
実施することができる。
に達している。それでも審査はコンピュータと目視を併用している。
分析は、①主病名による分析、②病院種別による分析、③診療行
総合管理制への移行
為ごとの多変量解析、
④一定期間のパターン分析、
⑤実査で指摘
審査評価院は発足して10年を経るが、
良質な医療の実現には
した問題の確認、
⑥過去3分期の傾向から4分期を推定して分析、
医療機関の自律的改善意欲が最重要との方針を打ち出し、
レセ
表4■薬剤の管理指標の推移
増減率
’
02.
1分期(A)
’
02.
4分期
’
03.
4分期
’
04.
4分期
’
05.
4分期(B)
’
06.
4分期(C)
C/A
C/B
抗生剤処方率(%)
43.36
41.68
33.78
33.20
32.02
28.44
−34.4
−11.2
注射剤処方率(%)
39.69
36.46
29.42
28.46
25.43
22.77
−42.6
−10.5
4.51
4.18
4.03
4.06
4.09
4.04
−10.5
−1.3
27.80
21.35
17.21
17.21
18.67
17.57
−36.8
−5.9
投薬日当たり薬品費(ウォン)
1,410
1,516
1,573
1,635
1,745
1,825
29.4
4.6
高価薬処方比重(%)
25.47
25.08
25.4
23.27
22.93
22.24
−12.7
−3.0
区 分
薬品目数
処方件当たり薬品目数
6品目以上処方割合(%)
韓国健康保険審査評価院ホームページ http://www.hira.or.kr/より作成
表5■分娩現況分析指標推移
区 分
機関数
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
1,570カ所
1,479カ所
1,371カ所
1,311カ所
1,214カ所
460,347件
461,928件
471,486件
459,985件
425,181件
(自然出生)
(273,732件)
(280,233件)
(291,257件)
(286,443件)
(267,230件)
(子宮切除帝王切開)
(186,615件)
(181,695件)
(180,229件)
(173,542件)
(157,951件)
件 数
40.5%
子宮切除帝王切開率
39.3%
38.2%
37.7%
表6■日韓の医療保険管理システム比較
韓 国
点数表
37.1%
韓国健康保険審査評価院ホームページ http://www.hira.or.kr/より作成
請求項目とコードの関係を明示(コンピュータ処理を考慮)
日 本
条文形式で記述(コンピュータ処理は考慮外)
コード
請求項目ごとにコード設定
点数表記載の計算要素ごとにコード設定
請求
コードの選択
コードによるプログラム計算
結果の統計
請求コード単位
プログラムが介在するのでコードと請求項目が対応せずコードの統計ができない
改定
点数当たりの金額変更(簡単)
点数表の論理が変更、プログラム要改造(複雑)
審査基準
公開
非公開
審査
ITと目視併用(看護師資格者中心)
審査委員(医師)の目視判断
傷病名
ICD-10コード
日本独自の標準コード
IT処理の範囲
医療制度全般のEDI
事務処理だけのオンライン化
全国統計
データ・ウェア・ハウス(5年分の全レセプト)
2年前のレセプト(サンプル率1/300)の手集計
著者作成
04 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
Overseas Information
プトは個別審査の対象とするだけではなく、
「医療機関という森を
見るための木」として扱うようになっている。それを総合管理制度
と称し、
医療機関の自律的改善を促すために他院との比較データ
審 査 評 価 院では看 護 師
資格者がコンピュータ論
理に目視判断を加えてレ
セプトの審査を行っている。
を提供するなど、必要な情報の還元や個別の相談にのることとし
ている。内容は紙面の都合で省くが、
「カスタマー・サービス憲章」
を設定して、顧客(医療機関など)に信頼される行動規範を具体
日韓の医療保険管理システムを比較してみた(表6)。日本も30
的に示している。
兆円規模の医療保険の全体をコンピュータで管理させることは必
レセプトデータ活用の成果
至である。
しかし、
コンピュータ管理は現場の処理の省力化に留ま
5年分、
34億件の全レセプトで構成されたデータ・ウェア・ハウスは、
り、
韓国の事例に示したような全体情報を得るものにはなっていない。
まさに情報の宝庫である。その内容は審査評価院のホームページ
日本の、
この分野のコンピュータは、
点数改定対応の後追いに終
※15
(http://www.hira.or.kr/)
にも詳しい
。政府筋や国会からの
始してきた。その間に韓国はレセプトデータの活用に研究を重ね、
データの提供要請は半年間に6万件とのことであり、
それが政策決
無限ともいえる情報の取得に成功している。国際的な学会でも韓
定の根拠になっている。審査評価院の業務に対する改善要請も
国のレセプトデータによる研究報告には高い評価が与えられている。
※16
具体的である 。
この情報のあり方と活用策が今後の医療界の明暗を分けることは
医療評価は2001年から開始された。その項目は、
①薬剤給付、
否めない。
②帝王切開分娩、③CT療養給付、④輸血給付、⑤血液透析、⑥
単に伝送方法の変更だけのレセプトオンライン化の先にどんな
膝関節置換術、⑦虚血性心臓冠動脈疾患給付、⑧救急治療室
光明が見えるのだろうか。韓国が得た効果を日本でも期待したい。
給付、
⑨精神科診療給付、
⑩造血母細胞移植のそれぞれの適正
それを得るには、
韓国の手法に学ぶことも多い。
性などであり、
これらの経年変化が審査評価院のホームページで
日本の点数表は改定のつど際限なく複雑化の道を歩んでいる。
も見られる。
韓国方式のコード化の実現を目標に置けば、
複雑化にも歯止めが
評価結果の多くは、
医療機関を総合病院、
病院、
医院の区分で
かかり、
そのコードが情報となって行為別点数制度の特徴が発揮
経年変化などを示しているが、注射処方率、抗生剤処方率、帝王
されるはずである。
切開分娩率などは病院ごとのデータも公開している。公開に反対
コンピュータ処理で生じる最大コストはプログラム作成である。そ
の声もあったが、
公開の目的が「国民の期待にこたえる医療の実現」
れはすでに社会の常識だが、医療保険は手作業のままの世界に
であるため、
当初の「反対の声」は消滅したとのことである。
留まり、
改定のつど貴重な医療費を個別のプログラム改造に費やし、
表4は薬剤評価の管理指標の一部、表5は分娩状況の分析の
しかもデータの継続性を失わせている。
一部である。韓国では帝王切開分娩率が高い。WHO勧告の5∼
韓国の成果は、情報処理の常識を国をあげて実行した結果で
15%はもとより、
日本の20%(97年)、
アメリカの29.1%(04年)
よりも
ある。
高く、
01年は40.
5%であった。帝王切開分娩率の低い医療機関
名を公表し、
自然分娩の場合の患者負担を免除することによって、
04年には37.
7%、
05年には37.
1%と、
減少傾向を示している。
献血者に頼らざるを得ない血液の評価も実施された。
02年は
EDIの普及率が未だ低かったので血液の使用状況の把握は十分
ではなかったが、
06年には赤十字社の供給した血液総量の88.
4
%の使用状況が把握できたとのことである。各種データを公開し、
関連学会と共同で輸血のガイドラインを設定するなどによって、血
液の有効活用が図られている。
韓国に学ぶ
情報処理の常識を、国をあげて実行
財政基盤が不十分で、
しかも短期間に整備された韓国の医療
保険制度には不備もある。患者の一部負担率が高く、全額患者
負担の項目も存在する。日本では見られなくなった入院患者の家
族付添いも現存する。日本の生活保護に相当する医療給付はあ
るが、公費負担制度や地方単独事業は存在しない。日本を超える
高齢化社会の出現が予測されるなか本年7月から介護保険が始
まるが、
高齢化対策は十分とはいえない。
※12 日本の適用基準は都道府県の審査委員会ごとの内規で、一般には非公開であり、電子
化されたレセプトも審査の段階で紙に再印字するか画面を参照し、従来通り目視で行わ
れているようである。
※13 日本の請求システム(レセコン)
は、短期間の点数改正対応がネックとなって、複数企業
が分業することはできない状態であるのとは好対照である。
※14 韓国の患者負担率は入院は2割、外来は医療機関の種別によって、
3割、
4割、
5割など
多様である。定額扱い、地域による区分もある。
※15 日本のレセプト統計は300分の1のサンプルレセプトを、
2年がかりで手集計したもの。
※16 医科に比べて歯科や漢方に関する評価が不十分。 注射剤処方率をさらに低減すべき
など、具体的な指摘は40項目にも及んでいる。
参考文献
●岡本悦治、
南商尭、
西山孝之:国際比較可能な医療の質指標開発に関する日韓共同研究 ファイザー
ヘルスリサーチ振興財団助成 2006.12
●西山孝之:韓国に学ぶ日本の医療情報システム普及のシナリオ 新医療 2006.7
●西山孝之:韓国IT化と日本の現状 健康保険 2006 5
●「医療分野における情報化促進のための国内外の実態調査」報告書 ─レセプトオンライン化に関する
韓国実態調査─ 平成18年3月 特定非営利活動法人 日本医療情報ネットワーク協会医療IT化調
査会 http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060425_2.html
●西山孝之:有効なオンライン・レセプト処理システム実現への提案 医療情報学Vol.26 2006 No.6
●西山孝之:レセプトオンラインの成果を得るために 新医療 2008.3
西山孝之(にしやま・たかゆき)
●1955年、神戸大学工学部卒業、
(株)
日立製作所公共システム部長、
(株)
日立メディコ
を経て、
1982年より医事コンピュータ協議会技術統括部長、
1994年より保健医療情報シス
テム工業会医事コンピュータ部会技術統括部長。
2003年より現職*
烏帽子田彰(えぼしだ・あきら)
●1985年、厚生労働省入省。保健医療局精神保健課・健康政策局総務課・保険局医療
課・保健医療局政策医療課・九州地方医務局次長等を経て、平成2000年より現職*)
*:財団法人 医療保険業務研究協会委託による「韓国における診療報酬審査制度の現状と課
題について(韓国のED
I
システムに関する調査研究)」における主任研究者・分担研究者でもある
海外の診療報酬事情を知る
05
T E A M A P PROACH
明日の病院経営を考える
Survival
Plan
2008 Spring No.3
2008年4月、改定診療報酬が施行
された。医療崩壊が叫ばれるなか、
今回の改定は、医療機関にどのよう
な影響を及ぼすのか。国の進める医
海外情報
療体制の再構築は具体的な前進がみ
Overseas Information
られるのか。国も必死である。病院
海外の診療報酬事情を知る
経営者も必死である。2年に一度の
日本の制度をベースに
IT化に成功した韓国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
診療報酬改定は、一喜一憂で通り過
ぎるわけにはいかない。長期的な病
院の安定経営こそ、患者本位の質の
高い医療提供を促すものである。そ
Survival Plan
08診療報酬改定後の
サバイバルプラン
改定のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
「サバイバルプラン①」
がん●治療と 08診療報酬
「がん対策基本法」の制定を受けた
対策の具体化が、診療を支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
「サバイバルプラン②」
急性心筋梗塞●治療と08診療報酬
急性期を中心に、全過程において
積極的に技術料を再評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
「
サバイバルプラン③」
脳卒中●治療と08診療報酬
超急性期から慢性期に至る広範囲で、
“質による評価”
が行われた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
「サバイバルプラン④」
糖尿病●治療と08診療報酬
ハイリスク患者の治療とともに、
重症化防止に重点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
08診療報酬改定
・
・
・
・
・
・
・
・
・18
「緊急課題」と、その他の主要ポイント
(急性期病院関連)
2008年度診療報酬内容は、厚生労働省官報告示及び通知(3月5日)による
の自覚に立ったとき、今回の改定内
容はどのように病院経営に生かせば
よいのか。特集では、まず今回の改
定ポイントを整理し、さらには生き
残りをかけた病院経営陣のためのサ
バイバルプランの指針を例示する。
改定のポイント
厚生労働省の
“狙い”は何か
今回の改定率は、全体としては0.82%のマ
イナスであった(表1)
。これは、薬価や材料
価格の改定率(▲1.2%)が影響しているが、
医療機関にとって8年ぶりとなる「本体プラ
ス」は、大いに評価されていい。医療費抑制
が国の方針であるなか、画期的な決断といえ
るだろう。
今回の改定では、
「診療報酬本体の、プラ
ス0.38%改定の財源」として、また緊急課題
とされる「産科や小児科をはじめとする勤務
医の負担軽減策」
(18ページ参照)
に、約1,500
億円が投じられている。
医療崩壊を食い止め
ようとする、厚生労働省の危機感が伝わって
くるが、改定の「狙い」は、それだけではない。
改定内容に見え隠れする、厚生労働省の
「真の意図」をしっかり見極めていかなくては、
今後の医療機関経営は、ますます厳しいもの
T E A M A PPROACH
になっていく。
2008年 春号 通巻3号
2月13日の中医協総会は、診療報酬改定
●発 行 日 2008年4月
●発 行 人 玉井 伸正
●発 行 所 第一三共株式会社
●制 作 メディカルクオール株式会社
●協 力 株式会社メディワイズ
●デザイン マグラー デザイン スタジオ
●印 刷 株式会社誠文堂
の「答申書」と併せ、中医協としての意見書を
厚生労働大臣に提出している(表2)
。
意見書での注目すべき点は、まずは初・
再診料や外来管理加算、入院基本料などの
Survival Plan
08診療報酬改定後の
サバイバルプラン
医業経営コンサルタント
秋元 聡
基本診療料における「継続検討」である。
機能分化による効率的な医療の提供、医
なった(19ページ参照)
。
今回の改定にあたっては、財源確保のため
師の負担軽減を前提とした外来診療の制限、
「自院には関係ない」と考える経営者もい
の「再診料引き下げ」議論が行われ、最終的
あるいは後期高齢者医療制度における「人
るだろう。しかし点数は算定できなくても、
に「外来管理加算の要件見直し」
(19ページ
頭払い」導入など、厚生労働省の懸案事項を
対応する必要がある。何故か。この制度に
参照)という形で決着している。しかしこれ
解決させることが、検証の真意と思われる。
よって事務作業から開放され、臨床に力を注
らは、次回の改定に向けて討議を継続する、
今後の病院経営にとっては、こうした厚生
げるようになった医師は、よほどの理由がな
というのが厚生労働省の意向である。
労働省の「狙い」を考慮しつつ、同時期に始
い限り、事務作業をサポートする体制のない
「入院基本料」に言及している点も見逃せな
まった第1期地域医療計画(後述)の動きも
医療機関に異動しようとは思わない。
い。想定できるのは「入院基本料包括部分
合わせて、診療報酬改定のポイントをチェッ
同加算は、入院初日のみ、評価される。し
の拡大」である。今回の改定では、短期滞
クすることが重要である。
たがって、この点数だけで大幅な増収は見
在手術基本料3として15歳未満の鼠径ヘル
ニア手術(4泊5日以内の入院に限る)に、不
完全ながらDRG/PPS(診断群分類別包括支
払方式)が導入されている。おそらく、この
込めない。むしろ、医師が臨床に集中でき
ポイント Ⅰ
「急性期病院に手厚く、
診療所に厳しい改定」
ることによって、患者単価が向上するというメ
リットのほうが期待できるのではないだろう
か。算定対象外の医療機関は、そうした観
ような形式の導入・拡大の検討が次回改定
言い換えれば、
「勤務医に手厚く、開業医
点からも「事務作業の補助体制」を検討した
では活発に行われるだろう。
に厳しい改定」であった。特に病院勤務医
ほうが良い。
次に注目すべきは、後期高齢者医療や勤
の負担軽減に関する措置に対して、新しい診
今回の改定では限定された医療機関を対
務医の負担軽減、亜急性期や回復期リハビ
療報酬項目が多数設定されている。その一
象にしているが、事務作業の負担軽減と医療
リテーションなどの機能分化、後発医薬品使
つが「医師事務作業補助体制加算」として、
の質との間に有効な関連性を見出すことがで
用などの「検証」が挙げられる。検証項目は、
地域医療計画の「5事業」
(表3、8ページ)を
きれば、他の医療機関への対象拡大が想定
ひとつには医療政策上の要点となっている。
実施する急性期病院などで算定できるように
できる。現在は「
(点数が)算定できないか
特に後期高齢者医療や後発医薬品促進策な
表2■中医協の意見書
どは、医療費削減の影響と併せて分析され
るだろう。もうひとつには、制度や体系の変
更が考えられる。各項目の実施状況を検証
し、必要に応じて制度や体系を見直していこ
うというのが、厚生労働省の狙いではないか。
表1■08年診療報酬の改定率
全体改定率 ▲0.82%
1 診療報酬改定
本体改定率
+0.38%
各科改定率
医科 +0.42%
歯科 +0.42%
調剤 +0.17%
2 薬価改定等
改定率
▲1.2%
薬価改定
▲1.1%(薬価ベース ▲5.2%)
材料価格改定 ▲0.1%
1 初・再診料、外来管理加算、入院基本料等の基
本診療料については、水準を含め、その在り方
について検討を行い、その結果を今後の診療
報酬改定に反映させること。
2 後期高齢者診療料等後期高齢者診療報酬体系
の創設に伴い創設された診療報酬項目につい
ては、高齢者の心身の特性に応じた医療提供
に資するものとなっているかという観点から、
実施後の状況について検証を行うこと。
3 平成20年度改定において「緊急課題」として
診療報酬上の対策を講じた病院勤務医支援に
ついて、実際に病院勤務医の負担軽減につなが
ったかどうか検証を行うこと。
4 診療報酬体系の簡素・合理化について引き続き
取り組むとともに、個々の診療報酬項目の名称
について国民に分かりやすいものになるよう検
討を行うこと。
5 診療報酬における包括化やIT化の進展等の状
況変化を踏まえて、診療報酬の請求方法や、指
導・監査等適切な事後チェックに資するための
検討を行うこと。
6 医療保険と介護保険のサービスが切れ目無く
提供されるよう、引き続き検討を行うこと。
7 平成20年度診療報酬改定の実施後において
は、特に以下の項目について調査・検証を行う
こととすること。また、平成18年度診療報酬改
定に係る答申における指摘項目のうち、今回の
診療報酬改定において未措置のものについて
も、引き続き調査・検証を行うこと。
(1)明細書発行の一部義務化の実施状況
(2)亜急性期入院医療管理料、回復期リハビ
リテーション病棟入院料の見直しによる
医療機能の分化・連携に与えた影響
(3)回復期リハビリテーション病棟入院料に
おいて導入された「質の評価」の効果
(4)歯科外来診療環境体制加算の創設による
効果
8 処方せん様式の変更や、調剤基本料における
後発医薬品調剤率要件等今回改定において講
じられた後発医薬品の使用促進策について、
改定後における処方・調剤の状況について検証
を行うこと。
(平成20年2月13日 中医協総会資料より)
改定のポイント
07
Survival Plan
ら取り組まない」のではなく、将来的な医師
行など、新たな流れがつくられると思われる。
することが、最終的な目的となっている。
の確保や患者単価の向上を考えた、体制整
それぞれの病床が、従来入院していた患者
計画における数値目標についても、格差の
備の視点も必要だ。
層以外の患者・疾患に対応しなければなら
是正や標準化が実施され、医療費の抑制に
ないだろう。
結び付けようという国(厚生労働省)の考え
ポイント Ⅱ
「地域での位置付けを
明確にする改定」
「後期高齢者の心身の特性」に配慮した、
「後
方が徹底されることは明らかである。さらに
期高齢者医療制度」が4月からスタートした。
これらの数値目標は住民に公表され、また評
この点でも、後期高齢者外来患者の受療行
価されることなども決定している。
第1期地域医療計画がスタートする年で
動が変化することになる。診療所を中心とし
地域医療計画策定に関しては、07年7月20日
あるため、医療機関は地域でのポジショニン
た担当医と他医療機関との連携、あるいは在
に厚生労働省医政局指導課長通知によって
グ、つまり、どのような役割があり、そのため
宅療養支援診療所や訪問看護ステーション
指針が提示された。厚生労働省はこの指針
の機能や体制の整備はどのようにしていくの
などの役割の変化も見逃せない点である。
を参考に各都道府県で医療計画を作成する
か、を具体化しなくてはならない。
今回の改定で、脳卒中が地域連携パスに
加えられた。また医療機関と訪問看護ステ
ーションとの共同カンファレンスなども、新た
よう求めているが、特に重点として扱ってい
ポイント Ⅳ
「医療の質を
再評価する改定」
るのが、
「4疾病5事業(表3)
」だ。そのポイ
ントは
①疾病または事業ごとに必要となる医療機
に評価されている。したがって、これまで以
今回の改定では「提供されている“医療の
上に「連携」は広がりをみせるだろう。
質”に差が生じていること」を認め、質に応じ
「新たな連携像」として、前回改定の在宅
た点数体系の設定に踏み切っている。これ
療養支援診療所に引き続き、今回は後期高
は極めて重大な判断だといえる。
③医療連携の推進
齢者医療制度や居住系施設への訪問診療な
入院医療に関しては、従来の「機能別一律
とされている。その上でキーワードとして
どがクローズアップされている。特筆すべき
評価」から「質に基づく多面的評価」へと移
“地域において切れ目のない(シームレス)医
は「共同指導」や「共同カンファレンス」など、
行し始めている。たった一度の診療報酬改
療の提供の実現”を掲げている。今回の改
定で、全ての病床に対して医療の質の評価
定は、この指針やポイントをふまえて実施さ
が多い点である。
が導入されることはないだろう。しかし今回
れている。それゆえ報酬がアップした項目
“顔の見える連携”を行うためには、当然、
の改定を第一歩として、
「質を高め、アピール
は、
「4疾病5事業」を中心としたものが大部
日常的なコミュニケーションが必要となる。
する時代」に突入する。これは同時に医療機
分であった。
とりわけ後期高齢患者の診療計画策定の場
関の「対応力」が試される時代の到来でもあ
第1期地域医療計画の期間は平成20年度
面では、連携先医療機関の情報収集が求め
る。今回の改定への対処だけでなく、今後
∼24年度の5年間。この期間中に診療報酬
られよう。裏返せば、情報発信・共有がで
の病院を取り巻く環境の変化にも、医療機関
改定があと2回行われる。次回・次々回の
きない医療機関は、連携から取り残される。
は生き残り対策を講じていく必要がある。
改定も、おそらく「4疾病5事業」への取り組
“顔の見える連携”を重視した診療報酬項目
近年は医療連携室や担当を整備する医療機
関が増加している。これからは広報部門と
連携部門が一体となった運用を重視しなけ
ればならない。
ポイント Ⅲ
「医療提供体制を
変革する改定」
「4疾病」などの医療計画に
どうコミットするかが課題 ②各地域で医療機関がどのような役割を担
うべきかを明らかにする
みに対する評価は継続されるだろう。
今回の改定では連携パスの対象とならな
かった急性心筋梗塞や糖尿病なども、地域
第5次医療法改正はこれまでの問題点を
医療計画上では「連携パス普及率」などを指
改め、なおかつ“新しい医療提供(供給)体
標として情報収集することとされている。
制像”を構築しようとするものである。従来
今後、医療機関は、各地域の医療計画にど
の地域医療計画は、ともすれば病床規制に
のような形でコミットするのか、生き残りをか
重点が置かれ、均質な医療が提供されるこ
けた検討をする必要がある。
厚生労働省は急性期病院や大規模病院の
とによって目的が果たされていた。
一般外来を抑制して、中小規模病院・診療
しかしこれからの計画では、地域における
所へと受療行動を移行させようとしている。
医療需要に応じた効率的な対応が必要とさ
さらに今回の改定では7対1入院基本料や
れている。そのための機能分化と連携が何
回復期リハビリテーション病棟入院料1、あ
よりも重視されるとともに、一部の疾病や事
るいは亜急性期入院医療管理料2などで、
業(取り組み)については、個別に医療機関
患者の重症度評価や在宅復帰率といった算
の役割を公表することも行われる。そのうえ
定要件が設定されている。
で各地域の状況や特性をふまえて、医療・
このことによって病床機能別の患者の移
福祉・介護の有機的連携と体制作りを実施
08 08診療報酬改変後のサバイバルプラン
能の明確化
表3■地域の医療計画で重点を置く
4疾病5事業
4 疾病
がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病
5 事業
救急医療、災害時における医療、
へき地の医療、周産期医療、
小児救急医療を含む小児医療
秋元 聡(あきもと・さとし)
●医療機関勤務を経て、
(株)日本医療事務センターにて
医業経営コンサルタントとして業務に従事。
2006 年10月、
(株)
メディワイズを創設。
著書に『医療機関のためのマンガ
でわかる個人情報保護法対策』
(日本医療企画)
など。
Survival Plan
サバイバルプラン ①
がん
治療と 08 診療報酬
「がん対策基本法」制定を受けた対策の具体化が、診療を支援
がん診療に関わる改定内容は、
「放射線治療」
、「外来化学療法」
、「緩和ケア」
、「疼痛治療における麻薬の取扱い」の 4 つ
に 大きく分けることができる。これらの特徴は、
「入院治療から外来・在宅への転換」にある。地域医療計画において
厚生労働省は、がんを“国民病”と位置付け、本格的な対策をスタートさせた。その財政的な裏付けとして、診療報酬にも
※各項目の「施設基準」は、
原則として省略
プラス要素が数多く展開されている。
治療∼急性期治療完了
検 査
診 断
初期治療∼急性期治療
●主な新設項目(検査)
項 目
小腸ファイバースコピー
※改定前は一律 1,700 点
■治療期における加算
点 数
(ダブルバルーン内視鏡)
2,000点
(カプセル型内視鏡)
1, 7 0 0 点
粘膜点墨法を行った
(その他)場合は 60点加算
B型肝炎ウイルスコア関連抗原定量
290点
断層撮影法における造影剤使用
所定点数に150点の加算
1, 7 0 0 点
項 目
旧点数
780点
新点数
放射線治療機器の保守管理、精度管理、及び照射計画策定の
点数の変化
880点
+100点
500点
+100点
(経食道的超音波法)
800点
1, 5 0 0 点
+700点
出血・凝固検査(3∼4項目)
550点
530点
-20点
(5項目以上)
770点
750点
-20点
血液化学検査(5∼7項目)
102点
100点
-2点
(8∼9項目)
111点
109点
-2点
(10項目以上)
130点
129点
60点
70点
300点
500 点
+200点
8 0点
130 点
+50点
リンパ節等穿刺または針生検
120点
200点
+80点
乳腺穿刺または針生検(片側)
120点
200点
+80点
経皮的針生検法(透視、心電図及び超音波検査含む) 1, 4 5 0 点
1,600点
+150点
1, 2 0 0 点
1,400点
+200点
300点
310点
+10点
経気管肺生検法
3,100点
3,300点
+200点
臓器穿刺、組織採取(開胸)
6,700点
9,070点
+2,370点
(開腹(腎を含む))
4,100点
5,550点
+1,450点
組織試験採取、切採法(骨・骨盤・脊椎)
2,160点
2,300点
+140点
(咽頭・喉頭・甲状腺・乳腺・直腸)
620点
650点
+30点
子宮頸管粘液採取
30点
40点
+10点
子宮膣部組織採取
180点
200点
+20点
子宮内膜組織採取
350点
370 点
+20点
12点
11点
-1点
40点
50点
+10点
110点
180点
+70点
(Mモード法のみによる検査) 400点
ヘリコバクター・ピロリ抗体
脳室穿刺
骨髄穿刺(胸骨)
前立腺針生検法
内視鏡下生検法(1臓器につき)
静脈血採取(1日につき)
動脈血採取(1日につき)
胸水・腹水採取(簡単な液検査含む)
●放射線治療の質の向上を図るため、放射線治療を専任で担当
する常勤の医師、
が 1 名以上配置されていること等を条件に、
●主な点数改定項目(検査)医師負担の大きい穿刺技術等が引き上げられている
UCG(断層撮影法及びMモード法)
放射線治療の質等の充実
-1点
+10点 体制に対して、評価が新設された。
医療機器安全管理料 2: 1,000点
新設
(計画策定時1回)
[算定要件]
放射線治療を必要とする患者に対し、治療計画を策定した場合。
●急性期後の生活の質向上を図るため、放射線治療の外来で
の提供体制を充実させた。
外来放射線治療加算:100点
新設
(1人1日につき1回)
[算定要件]
放射線治療(体外照射のうち高エネルギー体外照射、強度変調放射線
治療)を必要とする悪性腫瘍の入院中の患者以外の患者に対し、当該治
療を実施した場合。
●従来の放射線治療と比較して、正常臓器への副作用が少な
い治療法として認められている強度変調放射線治療
(IMRT)
について、保険が導入された。
強度変調放射線治療(IMRT) 放射線治療管理料:5,000点
体外照射:3,000点 (1回目)
1,000点 (2回目)
新設
新設
新設
[算定要件]
原発性の頭頸部腫瘍、前立腺腫瘍、中枢神経腫瘍の患者に対し、
IMRTを実施した場合。
「検査」として特定入院料に包括評価されていた「病理学的検査診断・判断料」が、
「病理医の技術料」として包括外として評価することになった。
・病理組織標本作製:880点(1臓器につき)
・電子顕微鏡病理組織標本作製:2,000点(1臓器につき)
・術中迅速病理組織標本作製:1,990点(1手術につき)
・HER2遺伝子標本作製:2,500点
免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製
・エストロジェンレセプター:720点
・プロジェステロンレセプター:690点
・HER2タンパク:690点
・その他:350点(1臓器につき)
細胞診(1部位につき)
・婦人科材料:150点
・その他:190点
病理診断料:410点
病理判断料:146点
*加算点数には算定要件、注意事項等あり
がん治療と08診療報酬
09
N
TIO
AC OINT
P
●主な新設項目(手術)
項 目
アクション・ポイントはココ !
点 数
肺悪性腫瘍手術(胸膜肺全摘)
●放射線治療における、治療計画策定のための体制を整える
●外来患者に対し、日常生活の質向上を目的とした放射線治療に取り組む
悪性びまん性胸膜中皮腫に対して行われた場合のみ
多発性骨腫摘出術(肩甲骨、上腕、大腿)
(前腕、下腿)
※保険導入された強度変調放射線治療(IMRT) 等
(鎖骨、膝蓋骨、手、足、指、その他)
●医師、看護師、薬剤師等、がん領域専門のスタッフを確保
●ハイリスク薬剤、生命維持装置など、安全管理に関するスタッフを確保
●緩和ケアの質向上を図るチームに専任薬剤師を加える
※医療用麻薬を投与する、がん性疼痛治療の患者の継続的管理・指導を行う
●がん診療連携拠点病院を目指す
●四肢のリンパ浮腫について、発症防止・重症化抑制等を積極的に指導
58,000点
10,300点
7,210点
3,340点
早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術
従来の「早期食道悪性腫瘍内視鏡的粘膜切除術」
の
項目が、
「早期悪性腫瘍粘膜切除術」(6 , 8 0 0 点 )と
「早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術」に分かれた
17,000点
噴門側胃切除術(悪性腫瘍切除)
55,100点
腹腔鏡下小切開腎
(尿管)悪性腫瘍手術
47,300点
腹腔鏡下小切開前立腺悪性腫瘍手術
50,300点
初期治療∼急性期治療
[施設基準]
外来化学療法加算 1:
①医師、
看護師及び薬剤師について、
相当の経験を有する者を配置
承認する委員会を開催
②実施される化学療法の治療内容の妥当性を評価し、
外来化学療法の充実
●がん領域専門の医師・看護師・薬剤師の配置等、より質の高い
外来化学療法加算 2:
改定前の「外来化学療法加算」の基準
外来化学療法を行う体制が整っている医療機関において
提供される化学療法についての評価が新設された。
また、加算評価対象は動脈注射による抗悪性腫瘍剤の投与
●注射に際して、抗悪性腫瘍剤等の無菌製剤処理を実施し
等についても拡大された。
た場合の評価について、その対象が拡大した。
外来化学療法加算:400 点
無菌製剤処理料 1:50点
→外来化学療法加算 1:500点
(1日につき)
→外来化学療法加算 2:390点
(1日につき)
無菌製剤処理料 2:40点
新設
(悪性腫瘍に対して用いる薬剤が注射される、一部の患者)
新設
(「無菌製剤処理料1」以外のもの)
[算定要件]
入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、化学療法を行った場合。
[算定要件]
動脈注射、
点滴注射、
中心静脈注射等を行う際に、
無菌製剤処理が行われた
場合に、
処理が行われた薬剤が注射される患者の区分に応じて算定。
●主な点数改定項目(手術)
項 目
皮膚悪性腫瘍切除術
(広汎切除)
(単純切除)
旧点数
新点数
点数の変化
16,500点
18,000点
+1,500点
9,400点
11,000点
+1,600点
17,600点
20,000点
+2,400点
単純乳房切除術
(乳腺全摘術)
10,400点
11,400点
+1,000点
乳房部分切除術
(腋窩部郭清を伴わないもの)
16,000点
17,000点
+1,000点
乳房切除術
(腋窩部郭清を伴わないもの)
19,000点
20,000点
+1,000点
乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む))
26,600点
27,600点
+1,000点
乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの
(胸筋切除を併施しないもの))
27,100点
29,100点
+2,000点
乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの(胸筋切除を併施するもの))
22,100点
24,100点
+2,000点
拡大乳房切除術(胸骨旁、
鎖骨上、下窩など郭清を併施するもの)
33,000点
34,000点
+1,000点
食道悪性腫瘍手術※(腹部操作によるもの)
51,000点
61,200点
+10,200点
(胸部、
腹部操作によるもの)
64,600点
77,600点
+13,000点
73,500点
88,200点
+14,700点
乳腺悪性腫瘍手術
顎下腺悪性腫瘍手術
※消化管再建手術併施
(頸部、胸部、腹部操作によるもの
(胸腔鏡下によるものを含む))
抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用埋め込み型カテーテル設置
11,800点
13,800点
+2,000点
(四肢に設置した場合)
10,500点
12,500点
+2,000点
(頭頸部その他に設置した場合)
10,800点
12,800点
+2,000点
肝切除術 拡大葉切除に血行再建を併せて行う場合
71,700点
80,700点
+9,000点
肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)
13,600点
15,000点
+1,400点
膵頭部腫瘍切除術 周辺臓器の合併切除を伴う場合
69,500点
72,500点
+3,000点
血行再建を伴う場合
72,900点
78,900点
+6,000点
臍帯血移植
36,900点
44,300点
+7,400点
2,000点
3,000点
+1,000点
(開腹して設置した場合)
超音波凝固切開装置等加算※
※名称変更(旧名 : 超音波凝固切開装置加算)。胸腔鏡下又は腹腔鏡下による手術に当たって、超音波凝固切開装置等を使用した場合に算定
10 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
保険導入された先進医療技術(がん関連)
・強度変調放射線治療(IMRT)
・画像支援ナビゲーション手術
・内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術
・焦点式高エネルギー超音波療法
・抗がん剤感受性試験
※3技術を1技術にまとめて保険導入
保険導入された新規医療技術(がん関連)
・尿路ストーマカテーテル交換
・生体臓器移植ドナーの安全管理
・内視鏡下移植用腎採取術
・噴門側胃切除術
・リンパ浮腫誘導手技・指導
・食道内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
・経皮経肝的肝膿瘍ドレナージ術
・悪性びまん性胸膜中皮腫に対する
胸膜肺全摘術
・コンベックス走査式超音波気管支
鏡下針生検
・静脈切開による中心静脈栄養用
カテーテル設置
・腹腔鏡下直腸切断術
・胃瘻カテーテル交換手技
・腹腔鏡下大腸全摘術
・外来通院での放射線治療に対する評価
・ベッセルシーリングシステム使用技術 他
Survival Plan
[ がん医療推進に関する病院への評価 ]
がん診療連携拠点病院加算
専門病院入院基本料 (1日につき)
がん治療における、がん診療連携拠点病院が果たす役割
や今後の機能強化を踏まえ、加算が引き上げられた。
200点→400点(入院初日)
[算定要件]
他の保険医療機関等からの紹介による悪性腫瘍の患者に対して、
「7:1入院基本料」は「重症度・看護必要度」の厳しい基準が導入さ
れたものの、点数は従来どおり。ただし「医師配置」の基準が満たせ
ない場合※1は、「準7:1入院基本料」に減算※2された。また、「10:1入院
基本料」は1,269点→1,300点と、31点の引き上げとなった。
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入院医療を提供した場合。
また、入院患者の入院期間に応じ、入院基本料金に点数が加算される。
452点→512点(入院14日以内、1日につき)
継続治療・疾病管理
緩和ケア
がん性疼痛緩和指導管理料:100点
■入院時の加算
(麻薬処方月ごとに1回)
リンパ浮腫に関する指導
●リンパ節郭清の範囲が大きいがんの手術後に、しばしば発症
する四肢のリンパ浮腫について、その発症防止のための
指導が評価された。
リンパ浮腫指導管理料:100点
新設
[算定要件]
がん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対し
て、
WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放 -WHO
方式がんの疼痛治療法 - 第2版)に基づき、副作用対策や疼痛時の対
応を含めた計画的な治療管理や当該薬剤の効果等に関する説明を含め
た療養上必要な指導を行い、麻薬を処方する場合。
新設
(入院中に1回)
[算定要件]
保険医療機関に入院中の患者であって、子宮悪性腫瘍、子宮附属器悪性
腫瘍、前立腺悪性腫瘍又は腋窩部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍に対する手
術を行ったものに対して、医師又は医師の指示に基づき看護師等(准看
護師を除く)が当該手術を行った日の属する月又は当該手術を行った日
の属する月の前月、もしくはその翌月のいずれかにリンパ浮腫の重症化等
を抑制するための指導を実施した場合。
[参 考]
四肢リンパ浮腫の重篤化予防を目的とした弾性着衣(ストッキング等)の
購入費用については、医療技術評価分科会における検討結果を踏まえ、
保険導入
(療養費払い)
の対象とする。
→年間 2 回、
計4セット分を給付
●緩和ケアを要する患者に対して、必要な診療を行った場合
に加算される。緩和ケアチームは従来の「身体症状の緩和を
担当する常勤医師」
、
「精神症状の緩和を担当する常勤医師」
、
「緩和ケアの経験を有する常勤看護師」に「緩和ケアの経験
を有する薬剤師」を新たに加えることが算定要件に付加さ
れた。
緩和ケア診療加算:250点→300点
(1日につき)
●外来患者の場合、薬剤服用歴管理指導料は、「麻薬の服用
■緩和ケアの普及と充実
及び保管の状況、副作用の有無等の確認」を算定要件に加え
がん性疼痛の緩和
て評価が引き上げられた。
●がん性疼痛の緩和を目的に、医療用麻薬を投与しているがん
患者に対して、計画的な治療管理と療養上必要な指導を継続
的に行い、麻薬を処方することが評価された。
麻薬管理指導加算 :8点→22点
●保険薬局で交付できる注射薬及び特定保険医療材料の追加
薬剤例:クエン酸フェンタニル製剤、
H2遮断剤 等
「薬剤管理指導料」
ハイリスク薬等に関する薬学的管理の評価
1 . 救命救急入院料等を算定している患者に対して行う場合 430 点
2 . 特に安全管理が必要な医薬品が投薬又は注射されている患者に対して行う場合
(1. に該当する場合を除く)
3 .1. 及び 2. 以外の患者に対して行う場合 325 点
380 点
○患者 1 人につき週 1 回に限り、月 4 回を限度として算定
<特に安全管理が必要な医薬品(がん関連)>
・抗悪性腫瘍剤 ・免疫抑制剤 ・血液凝固阻止剤
・カリウム製剤(注射薬に限る)
がん等に関連する「医療機器安全管理料 1」
<対象となる医療機器> 50 点(1ヵ月に 1 回)
・人工心肺装置 ・人工呼吸器 ・補助循環装置 ・除細動装置
医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う常勤の臨床工学技士を1名以上
配置し、
医療安全対策の体制を整備している医療機関において、患者に対して、生命維持管理装置
を用いて治療を行った場合に算定
がん等に関連する「医療機器安全管理料 2」
放射線治療の質の向上を図るため、放射線治療機器の保守管理、精度管理及び照射計画策
定の体制の評価を新設→P9 参照 1,000 点(計画策定時1回)
緩和ケア病棟入院料の明確化による質の向上
(悪性腫瘍等の患者に関するポイント)
○主として苦痛の緩和ケアを行うとともに、外来や在宅への円滑な移行を支援す
る。
○ケアに関しては、
「がん緩和ケアに関するマニュアル」
を参考とする。
○緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、地域の在宅医療を担う医療
機関と連携する。
○連携している診療所が居宅において診療を行っている患者の緊急時において
は、
その患者を受け入れることができる体制を確保する。
○緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、連携している診療所の患者
に関し、
緊急の相談等に対応できるよう、
24 時間連絡を受ける体制を整える。
○緩和ケア病棟においては、
連携する医療機関の医師、看護師等に対する病棟で
の実習を伴う専門的な緩和ケアの研修を行う。
がん治療と08診療報酬
11
サバイバルプラン ②
急性心筋梗塞
治療と08 診療報酬
急性期を中心に、全過程において積極的に技術料を再評価
急性心筋梗塞の場合、技術料の再評価が積極的に実施されている。再発予防機能が重要視されているため、回復期・
維持期におけるリハビリテーション等の果たす役割の大きいことが特徴といえるだろう。地域医療計画では AED や救急
蘇生法の普及をはじめとして、様々なデータの収集・分析を予定している。今後の診療報酬改定では、連携パスの
対象疾患に加わることも想定されるため、医療連携も充実させていく必要がある。
※各項目の「施設基準」は、
原則として省略
急性期 (診断・治療)
■急性期における評価
■救急医療の充実に係る評価
画像診断・造影に関する評価
救命救急入院料・搬送診療料
●改定前の「救命救急入院料」は、7日以内の期間について
一律に評価していたが、改定では 3日以内と 4 ∼ 7 日以内
に分けられ、極早期の入院医療の評価が引き上げられた。
項 目(旧)
7日以内の期間
旧点数
(救命救急入院料1) 9,000点
(救命救急入院料2)
10,400点
項 目(新)
3日以内の期間
(救命救急入院料2)
4日以上7日以内の期間
新点数
(救命救急入院料1) 9,700点
11,200点
(救命救急入院料1) 8,775点
(救命救急入院料2)
冠動脈CT撮影加算:600 点
新設
以下の要件を満たす医療機関において、冠動脈CT撮影を行った場合、
所定点数に加算。
①64列以上のマルチスライスCTを有していること
②「画像診断管理加算2」の施設基準(脳卒中・P14参照)を満たしていること
心臓MRI 撮影加算:300 点
新設
以下の要件を満たす医療機関において、心臓MRI撮影を行った場合、
所定点数に加算。
①1.5テスラ以上の機器を有していること
②「画像診断管理加算2」の施設基準(脳卒中・P14参照)を満たしていること
10,140点
[救命救急入院料 2 の施設基準]
「救命救急入院料 1」の施設基準のほか、「特定集中治療室管理料」の
施設基準を満たすものであること
●救急医療機関等での病態の安定化後に、専門的な医療機関
で治療を行う必要がある場合、病態の急激な変化に対応
できるよう、医師が同乗し、必要な医療機器等を備えて、
救急用の自動車等で当該患者を搬送した場合の評価を
見直した(小児患者等を含む)。
救急搬送診療料:650点 → 1,300 点
保険導入された先進技術(急性心筋梗塞関連)
・不整脈疾患における遺伝子診断技術
保険導入された新規医療技術(急性心筋梗塞関連)
・冠動脈CT造影技術
・冠動脈CT解析技術
・心臓MRI造影技術
●画像診断技術
・造影超音波手技、診断技術
・神経学的診察技術
・ベッセルシーリングシステム使用技術 他
「薬剤管理指導料」(急性心筋梗塞関連)
●造影剤注入手技
静脈造影カテーテル法:1,180点 → 3,600点
選択的動脈造影カテーテル法:1,820点 → 3,600点
主要血管の分枝血管を選択的に造影撮影した場合。それ以外は1,810点。
手術等に関する評価
●主な新設項目(手術その他)
点 数
項 目
両心室ぺーシング機能付き
埋込型除細動器の手術
(移植術)
14,000点
(交換術)
3,200点
低体温療法(1日につき)
*
12,200点
注 低体温療法を開始してから 3 日間に限り算定
*注の新設
●主な点数改定項目(手術その他)
項 目
旧点数
新点数
点数の変化
弁置換術(2弁のもの)
71,500点 80,500点 +9,000点
ハイリスク薬等に関する薬学的管理の評価
(3弁のもの) 84,500点 93,500点 +9,000点
→ 詳細は「薬剤管理指導料」(P.11)参照
大動脈瘤切除手術(上行大動脈)
75,300点 84,300点 +9,000点
経皮的カテーテル心筋焼灼術
19,900点 20,900点 +1,000点
<特に安全管理が必要な医薬品>
・不整脈用剤・血液凝固阻止剤・ジギタリス製剤・カリウム製剤(注射薬に限る)
「医療機器安全管理料1」(急性心筋梗塞関連)
→ 詳細は、がん等に関連する「医療機器安全管理料 1」(P.11)参照
<対象となる医療機器>50 点(1ヵ月に 1 回)
・人工心肺装置 ・人工呼吸器 ・補助循環装置 ・除細動装置
12 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
ペースメーカー移植術(経静脈電極)
6,730点
6,830点
ペースメーカー交換術
2,200点
3,200点 +1,000点
+100点
両心室ペースメーカー交換術
2,200点
3,200点 +1,000点
超音波凝固切開装置等加算※
2,000点
3,000点 +1,000点
※名称変更(旧名 : 超音波凝固切開装置加算)。胸腔鏡下又は腹腔鏡下
による手術に当たって、超音波凝固切開装置等を使用した場合に算定
Survival Plan
N
TIO
AC OINT
P
アクション・ポイントはココ !
●急性期、特に3日目までの極早期における入院医療に対する評 ●高度な全身麻酔に対する「麻酔科医の技術」が見直され、評価
価が引き上げられた
が引き上げられた
●冠動脈 CT、心臓 MRI における造影技術・画像診断技術に対 ●救命技術に関しては、人工心肺装置をはじめとする生命維持管
して加算された
理装置の保守点検等の安全面も評価対象に
●発症後、できるだけ速やかなリハビリテーションを開始する。 ●今後、地域連携診療計画の対象疾患に加わることが十分想定
治療開始日から 30 日は、1 単位につき 30 点が加算
されるだけに、医療技術の充実だけでなく、地域連携の展開・
充実をも図った事業展開を目指す
(回復期)
高度な全身麻酔に関する技術評価
●マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔(2 時間まで)
改定前
重症患者※に対して行った場合:8,300 点
それ以外の場合:6,100 点
→
改定後
*2 時間を超えた場合、30 分毎
又はその端数毎に 600 点
※別に厚生労働大臣が定める
1.人工心肺を用い低体温で行う心臓手術、冠動脈若しくは大動脈バイパス
移植術(人工心肺を使用しないもの)であって、低体温で行うものが行わ
れる場合又は分離肺換気及び高頻度換気法が併施される麻酔の場合
24,900 点
麻酔が困難な患者※に行う場合:
それ以外の場合:18,300 点
*2 時間を超えた場合、30分毎
又はその端数毎に 1,800 点
※別に厚生労働大臣が定める
2.坐位における脳脊髄手術、人工心肺を用いる心臓手術(低体温で行
うものを除く)、もしくは冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺
を使用しないものであって低体温で行うものを除く)が行われる場
合、又は低血圧麻酔、低体温麻酔、分離肺換気による麻酔、もしくは
高頻度換気法による麻酔の場合(1.に掲げる場合を除く)
麻酔が困難な患者※に行う場合 : 16,600 点
それ以外の場合:12,200 点
*2 時間を超えた場合、30分毎
又はその端数毎に 1,200 点
※別に厚生労働大臣が定める
3.1.もしくは2.以外の心臓手術が行われる場合、又は伏臥位で麻酔が
行われる場合(1.又は2.に掲げる場合を除く)
麻酔が困難な患者※に行う場合 : 12,450 点
それ以外の場合:9,150 点
*2 時間を超えた場合、30分毎
又はその端数毎に 900 点
慢 性 期
(維持期)
■回復期・維持期における評価
超音波検査等
●基本検査料が増点となり、UCG における「パルスドプラ法
加算」は廃止。パルスドプラ機能は、超音波機器の進歩に
より、現在は標準搭載されている。特に心臓超音波では、
他の領域に比べて実施率が高く、基本的機能と考えられ、
特別な評価を廃止、検査料の基本部分に含めた評価となった。
〈UCG〉
断層撮影法及びMモード法による検査:780 点→880 点
Mモード法のみによる検査:400 点→500 点
経食道的超音波法:800 点→1,500 点
注 1:断層撮影法について、造影剤を使用した場合は、所定点数に 150 点を加算
する。
この場合において造影剤注入手技料及び麻酔料
(マスク又は気管内挿
管による閉鎖循環式全身麻酔を除く)
は、
加算点数に含まれるものとする。
注2:断層撮影法について、パルスドプラ法を行った場合は、所定点数に
200点を加算する。
■リハビリテーションにおける評価
早期リハビリテーション
→詳しくは脳卒中・P15参照
早期リハビリテーション加算:30点 (1単位につき) 新 設
算定日数上限の起算日から30日に限り算定できる
疾患別リハビリテーション料
※別に厚生労働大臣が定める
4.腹腔鏡を用いた手術、もしくは検査が行われる場合又は側臥位で
麻酔が行われる場合(1.から3.までに掲げる場合を除く)
麻酔が困難な患者※に行う場合 : 9,130 点
それ以外の場合:6,710 点
*2 時間を超えた場合、30分毎
又はその端数毎に 660 点
※別に厚生労働大臣が定める
5.その他の場合
麻酔が困難な患者※に行う場合 : 8,300 点
それ以外の場合:6,100 点
*2 時間を超えた場合、30分毎
又はその端数毎に 600 点
※別に厚生労働大臣が定める
●患者一部負担がリハビリテーションを受ける時期により
異なるなど、患者にとってわかりにくいとの指摘から、
逓減制と医学管理料が廃止になった。
心大血管 リハビリテーション料
(Ⅰ)
: 200 点 (1単位)
心大血管 リハビリテーション料
(Ⅱ)
: 100 点 (1単位)
心大血管リハビリテーションの標準的リハビリテーション実施日数の 150 日を
超えたものについては、
1ヵ月当たり13単位まで算定可能。
(算定単位数上限を超えたものについては、
選定療養として実施可能)
リハビリテーション総合計画評価料:480点 → 300点
(毎月1日)
●麻酔管理科
マスク又は気管内挿管による
閉鎖循環式全身麻酔管理料:750点 → 900点
・疾患別リハビリテーション医学管理料:廃止
・ADL加算:廃止
急性心筋梗塞治療と08診療報酬
13
サバイバルプラン ③
脳卒中
治療と08 診療報酬
超急性期から慢性期に至る広範囲で、
“質による評価”
が行われた
脳卒中の診療は、予防段階から慢性期に至るまで、時期に応じての明確な役割分担が行われた。超急性期では超急性期脳卒
中加算が新設され、従来の脳卒中ケアユニット(SCU)を機能強化、慢性期については、回復期リハビリテーション病棟入
院料の2区分化や脳血管疾患リハビリテーション料の3 体系化、居住系施設への訪問リハビリテーション指導料の新設など、
新たな評価や機能が加わった。また、連携パスの対象疾患に脳卒中が加えられたことも、今後の病院経営のプラスにしたい。
※各項目の「施設基準」は、
原則として省略
急 性 期
超急性期(診断・治療方針決定・治療開始)
■超急性期における加算
デジタルデータの標準化
発症後 3 時間以内の治療体制評価
●受け渡しや管理、フィルム代の削減等のメリットから、デジ
●脳梗塞の場合、発症から3時間以内の超急性期血栓溶解
療法など、適切な処置が必要なことから、t-PA 製剤を投与
見直しが行われた。
デジタル映像化処理加算:廃止(フィルムレス化)
できる体制が評価された。
超急性期脳卒中加算:12,000 点
タルデータによる画像の処理・保管・管理に対して評価の
新設
[算定要件]
1.
超急性期脳卒中加算は脳卒中発症後3時間以内に組織プラスミノーゲン
活性化因子
(t-PA) を投与した場合に、入院初日に限り所定点数に加算す
る
2.
投与に当たっては、
「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法指針部会」作成の
「rt-PA
(アルテプラーゼ)
静注療法適正治療指針」
を踏まえ、適切に行わ
れるよう十分留意すること
3.
投与を行う医師は、
「脳梗塞 rt-PA 適正使用講習会」
を受講していること
平成 21 年度末までの経過措置として「デジタル映像化処理加算」
(15 点)を残す
(電子画像管理加算と併算定不可)
【核医学及びコンピューター断層撮影診断料】
名称変更及び点数の引き上げ
コンピューター画像処理加算:60点
→電子画像管理加算:120 点
【エックス線診断での電子画像管理加算】
救急医療の充実に係る評価
●極早期の手厚い医療が提供できるよう、評価法が変更された。
→詳しくは急性心筋梗塞(P.12)参照
救急搬送診療料:650点 → 1,300点
救命救急入院料:改定
単純撮影の場合:60 点
特殊撮影の場合:64 点
造影剤使用撮影の場合:72 点
乳房撮影の場合:60 点
■画像診断報告の質を確保する体制の評価
画像診断管理に関する質向上への評価
●より高度な施設基準が設定され、評価が引き上げられた。
手術等に関する評価
●主な新設項目(手術関連)
画像診断管理加算1:58点 → 70点
項 目
点 数
定位的脳内血腫除去術
12,200点
画像診断管理加算2:87点 → 180点
注 低体温療法を開始してから3日間に限り算定
施設基準は現行のまま
施設基準の見直し
(1.∼4.)
㹐᪃シᇱ‵㹒
1.
放射線科を標榜している病院であること
2.
画像診断を専ら担当する常勤の医師が配置されていること
3.
当該保険医療機関において実施されるすべての核医学診断及びコンピュ
ーター断層診断について、2. に規定する医師の指示の下に画像情報等の
管理を行っていること
4.
当該保険医療機関における核医学診断及びコンピューター断層診断のう
ち、少なくとも 8 割以上のものの読影結果が、2. に規定する医師により
遅くとも撮影日の翌診療日までに主治医に文書で報告されていること
*
低体温療法(1日につき)
12,200点
2,000点
画像等手術支援加算
*注の新設
●主な点数改定項目(手術関連)
項 目
麻酔については急性心筋梗塞
(P.13)を参照
旧点数
新点数
点数の変化
23,000点
25,300点
+2,300点
脳動脈瘤頸部クリッピング(1ヵ所) 70,500点
72,000点
+1,500点
(2ヵ所以上) 84,100点
85,600点 +1,500点
頭蓋内微小血管減圧術
超音波凝固切開装置等加算※
2,000点
3,000点
+1,000点
※名称変更(旧名 : 超音波凝固切開装置加算)。胸腔鏡下又は腹腔鏡下
による手術に当たって、超音波凝固切開装置等を使用した場合に算定
14 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
Survival Plan
N
TIO
AC OINT
P
アクション・ポイントはココ !
●超急性期の高度な医療機能を有し、脳卒中発症の救急患者に
●画像診断に関して、フィルムレス化に対する加算あり。デジ
対し、発症から3時間以内に t-PA を投与できる医療施設に加算
*10 年以上の経験を有する脳卒中専門医の配置が加算要件のひとつ
タルデータによる画像処理・保管・管理への早期移行
●超急性期脳卒中加算の注意ポイントの1つは、薬剤師・ 診療
ション料」として加算がある。早期のリハビリテーションを
放射線技師・臨床検査技師が常時配置されていること。各専
開始する
門職の 24 時間の当直体制が求められている
●高齢社会を意識した回復期リハビリテーション病棟を充実
(急性期治療完了)
(回復期)
■急性期におけるリハビリテーション加算
慢 性 期
脳血管疾患等リハビリテーション料
(Ⅰ)
:235 点 (1単位)
脳血管疾患等 リハビリテーション料
(Ⅱ)
:190 点 (1単位)
早期リハビリテーション
●超急性期を脱した後の速やかなリハビリテーションの充
実を促すため、体制に対する評価が導入された。
早期リハビリテーション加算:30点
●発症または手術日から30 日目まで、
「脳血管疾患等リハビリテー
新設
(1単位につき)
[算定要件]
1. 疾患別リハビリテーション料の算定日数上限の起算日から30日間に
限り算定できる
2. 入院中の患者についてのみ算定できる
リハビリテーション総合計画評価料:
480点→ 300点
(毎月1日)
疾患別リハビリテーション料
●患者一部負担がリハビリテーションを受ける時期により異る
など、患者にとってわかりにくいとの指摘から逓減制と医学
管理料が廃止され、
「脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)
」
が新設された。
保険導入された先進技術(脳卒中関連)
・画像支援ナビゲーション手術
保険適応された新規医療技術(脳卒中関連)
「薬剤管理指導料」(脳卒中関連)
ハイリスク薬等に関する薬学的管理の評価
→ 詳細は「薬剤管理指導料」(P.11)参照
<特に安全管理が必要な医薬品>
・血液凝固阻止剤 ・カリウム製剤(注射薬に限る)
「医療機器安全管理料1」(脳卒中関連)
→ 詳細は、がん等に関連する「医療機器安全管理料」(P.11)参照
<対象となる医療機器> 50 点(1ヵ月に 1 回)
・人工心肺装置 ・人工呼吸器 ・補助循環装置 ・除細動装置
新設
(1単位)
脳血管疾患の標準的リハビリテーション実施日数の180日を超えた
ものについては、1ヵ月当たり13単位まで算定可能
(算定単位数上限を超えたものについては、
選定療養として実施可能)
「疾患別リハビリテーション医学管理料」
「ADL加算」
、
「
、リハビリテー
ション総合計画評価料」
については、
急性心筋梗塞
(P.13)
を参照
■回復期リハビリテーション病棟に対する評価
リハビリテーション病棟入院料
●高齢社会に対応するため、試行的に質の評価が導入された。
重 症患者の受入割合や居宅 等 へ の復帰 率 が 評価 される。
「回復期リハビリテーション病棟入院料」は 1 と 2 に改められ、
医師の専従配置が緩和された。
改定前
回復期リハビリテーション病棟入院料:1,680 点
*平成20年3月31日時点で、現行の回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している病棟
においては、平成20年9月30日までの間は、現行の点数を算定することができる。また、平成
20年9月30日以前であっても、算定要件を満たしている施設については、「回復期リハビリ
テーション病棟入院料1」及び「重症者回復病棟加算」を算定することができる。
改定後
→
・早期リハビリテーション
・造影超音波手技、診断技術
・冠動脈CT造影技術
・神経学的診察技術
・冠動脈CT解析技術
・24時間自由行動下血圧測定
・大孔部減圧術
・脳血管
(頸動脈、椎骨動脈)狭窄に対する血管拡張・ステント留置術
・ベッセルシーリングシステム使用技術 他
脳血管疾患等 リハビリテーション料
(Ⅲ)
:100 点
→回復期リハビリテーション病棟入院料 1:1,690 点
[算定要件]
回復期リハビリテーションを要する状態の患者を8割以上入院させて
おり、かつ以下の要件を満たすこと
1. 当該病棟においての新規入院患者のうち、1割5分以上が重症の患者で
あること
2. 当該病棟において退院患者のうち、他の保険医療機関へ転院した者等
を除く者の割合が6割以上であること
→回復期リハビリテーション病棟入院料2:1,595 点
[算定要件]
当該病棟において、回復期リハビリテーションを要する状態の患者を 8 割
以上入院させ、かつ「回復期リハビリテーション病棟入院料1」の基準を
満たさないもの
脳卒中治療と08診療報酬
15
回復期リハビリテーション病棟における
入院料 1・2 での収支差
モデルケース:50床の場合(月間)
「回復期リハビリテーション病棟入院料 1」は、 主な入院患者
を重症患者に絞り込むため、やや病床利用率は減少しても、
看護師の配置数変更による人件費の見直しが図られることに
よって、収支はプラスに転換するものと思われる。
慢 性 期
利用率
87%
95%
患者数
1,305人
1,425人
入院料
22,054,500円
22,728,750円
652,500円
― 22,707,000円
22,728,750円
重症患者回復病棟加算
小 計
看護師数
看護師人件費
収 支
13人
14人
5,958,300円
6,416,670円
16,748,700円
16,312,080円
(継続治療・管理)
重症患者回復病棟加算:50点(1日につき) 新 設
[算定要件]
重症の患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善していること
[施設基準]
「回復期リハビリテーション病棟入院料1」の届出を行っている病棟で
あること
医師の専従配置要件の見直し
リハビリテーション科を標榜しており、専任(改定前:病棟に専従)
の医師1名以上、病棟に専従の理学療法士2名以上及び作業療法士
1名以上の常勤配置を行うこと
■慢性期における地域連携診療
地域連携クリティカルパスの評価の拡大
●これまでの対象疾患は「大腿骨頚部骨折」だったが、新たに
「脳卒中」が加わった。なお、対象疾患や連携医療機関数の
増加により、地域連携クリティカルパスに係る評価は引き
下げられた。
地域連携診療計画管理料:1,500点 →900点
地域連携診療計画退院時指導料:
集団コミュニケーション療法
●言語障害のある患者(脳血管障害等による失語、他)を対象
とした集団でのコミュニケーション療法の実施が評価された。
集団コミュニケーション療法:50点(1単位) 新 設
(1人につき1日3単位まで算定可)
[算定要件]
1. 専用の集団療法室等において、医師の指示のもと言語聴覚士(又は
医師)と患者が1対複数で20分以上 訓練を行った場合に算定する
2. 実施単位数は言語聴覚士1人当たり1日のべ54単位を限度とし、
訓練時間が20分に満たない場合は基本診療料に含まれるものとする
3. 同一の患者に対して、個別療法と集団療法を同一日に行った場合は、
個別療法の所定点数のみにより算定する
[対象患者]
脳血管疾患等リハビリテーション料の算定対象患者であって、言語・
聴覚機能の障害を有するもの
●維持期における検討ポイント
1,500点 →600点
【対象疾患】大腿骨頚部骨折、
脳卒中
[施設基準]
1. 脳卒中を対象疾患とする場合にあっては、医療法第30条の4の規定に
基づき、都道府県が作成する医療計画に記載されている病院又は有床
診療所であること
2. 地域連携診療計画に、退院基準、転院基準及び退院時日常生活機能
評価を明記すること
在宅復帰支援
急性期治療を経過した患者に対し、在宅復帰支援機能を有する医療機関が、
効率的かつ密度の高い急性期後の入院医療を行った場合に評価される。
亜急性期入院医療管理料 2:2,050点
新設
(60日を限度。200床未満の病院に限る)
∼外来リハビリテーションから在宅訪問リハビリテーションへの転換∼
180 日(標準的リハビリテーション日数)を超えてリハビリテーション
を継続する場合は、対象患者が限定され、かつ 1 ヵ月に 13単位まで
しか算定できない。それを補うためには訪問リハビリテーション
に転換することも戦略の一つである。
脳血管疾患リハビリーション算定点数(月間)
外 来
在宅患者訪問
居住系施設訪問
実施単位数
1ヵ月13単位
合計点数
3,055点
1ヵ月48単位
(週12単位)
14,400点
1ヵ月48単位
(週12単位)
12,240点
16 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
入院料2
入院料1
前提となる患者は、
「発症後 180 日を超えて退院し、外来
などでのフォローアップが必要な者」となる。
「外来」でのリハビリテーション(235 点)は月 13 単位まで
とされるが、
「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」
(300点)は退院後 3 ヵ月まで週 12 単位が算定可能なため、
「1 ヵ月 =4 週」とすると、月 48 単位が算定できる。
居住系施設への「在宅患者訪問リハビリテーション指導管
理料」
(255 点)
も同様である。
なお、退院後 4 ヵ月目以降の算定可能単位数は、週 6 単位
までとなるので、注意が必要とされる。
Survival Plan
サバイバルプラン ④
N
TIO
AC OINT
P
糖尿病
アクション・ポイントはココ !
治療と
08 診療報酬
ハイリスク患者の治療とともに、重症化防止に重点
糖尿病関連の点数の引き上げは、大きく「ハイリスク患者への対応」
と「重症化防止の対策」に区分することができる。生活習慣病管理料
などの点数は大きく引き下げられ た が、逆 に 算 定 件 数は増加する
※各項目の「施設基準」は、
原則として省略
ことが見込まれている。
重症化防止の対策( 発症∼中等度 )
ハイリスク患者への対策(急性期)
■生活習慣病管理の普及と拡大
重症化予防に係る評価
生活習慣病管理料
●治療計画に基づいた治療管理が重要だが、患者の自己負担が
大きく、普及が進まないため、点数を引き下げての普及・拡大
が目指されている。
1. 処方せんを交付する場合(1ヵ月につき)
旧点数
新点数
高脂血症の場合
900点
脂質異常症の場合
650点
高血圧症の場合
950点
高血圧症の場合
700点
糖尿病の場合
800点
1,050点
糖尿病の場合
2. 1.以外の場合(1ヵ月につき)
新点数
1,460点
脂質異常症の場合
1,175点
高血圧症の場合
1,310点
高血圧症の場合
1,035点
糖尿病の場合
1,560点
糖尿病の場合
1,280点
療養計画書の作成にかかる負担を軽減
※内容に変更のない場合
●
[算定要件]
足潰瘍、足趾・下肢切断既往、閉塞性動脈硬化症、糖尿病神経障害等の糖
尿病足病変ハイリスク要因を有し、医師が糖尿病足病変に関する指導の
必要性があると認めた者に対し、専任の常勤医師、又は専任の常勤看護師
が、糖尿病足病変に関する療養上の指導を30分以上行った場合に算定。
・専任の常勤医師 :
糖尿病治療及び糖尿病足病変の診療に従事した経
験を5年以上有する者
中等度以上の糖尿病(2型糖尿病に限る)患者に対し、血
糖自己測定値に基づく指導を行った場合に加算
新設
1 型糖尿病患者に対して、改定前の月 20、40、60、80 回以上
の血糖自己測定器に関する算定項目に、新たな項目が追加
月100回、120回以上の測定 が加わった
算定:月1回 → 3ヵ月に3回※
項 目
点 数
月100回以上測定する場合
1,320点
月120回以上測定する場合
1,500点
新設
月20、40、60、80回以上
測定する場合の点数は、
改定前と同じ
◆入院中の患者以外の患者に対して行った場合に評価※
人工腎臓:2,250点(1日につき)→2,117点(4時間未満)、
2,267点(4時間以上 5時間未満)、2,397点(5時間以上)
※血液透析濾過を行った場合や、生命に危険を及ぼす程度の重篤な出血
性合併症を有する患者に対して、血液透析を行った場合等を除く。
■ハイリスク妊産婦管理の充実・拡大
●リスクの高い分娩を伴う妊産婦の入院について、勤務医の
負担軽減を目的に評価が行われた。
ハイリスク分娩管理加算:1,000点 → 2,000点
(1日につき)
ハイリスク妊娠管理加算:1,000点(1 日につき) 新 設
※要件適合医療機関において、1入院に限り20日を限度として入院料に加算
遺伝子※異常に起因する糖尿病患者への支援
●臨床遺伝学の専門知識を持つ常勤医師が、遺伝病学的検査を
施し、本人及び家族に対し心理社会的支援を行った場合、加算
※インスリン受容体遺伝子等
遺伝カウンセリング加算:500点(月1回)
時間に応じた評価の導入
糖尿病、心疾患等の合併症等のある妊産婦管理
※インスリン製剤の長期投与患者については、3ヵ月分をまとめて算定可
血糖自己測定器加算
■糖尿病性腎症
●副作用等により透析時間を長くせざるを得ない患者がいるこ
とや、透析時間が生命予後に影響を与える可能性があるこ
と等が考慮され、透析時間に応じた評価が行われた。
署名欄等の簡素化
交付頻度の変更:
3ヵ月に1回→4ヵ月に1回※
500点 (年1回)
1 回)
新設
糖尿病合併症管理料:170点(月
(外来の評価)
かつ 、糖尿病足病変に係る適切な研修を修了した者
高脂血症の場合
●
●糖尿病の合併症のうち、
「糖尿病足病変」については、重点
的な指導による発症防止効果があるため、評価された。
・専任の常勤看護師 :
糖尿病足病変の看護に従事した経験を5年以上有し、
旧点数
●
●急増している生活習慣病の管理を積極的に
行う
●臨床遺伝学の専門知識を持つ常勤医師によ
る、糖尿病患者及び家族に対しての心理社会
的支援をする ( 遺伝カウンセリング )
●
「糖尿病足病変」については、専任の常勤医
師、又は専任の常勤看護師が、30 分以上時間
をかけて、重点的に療養上の指導をする
新設
「薬剤管理指導料」(糖尿病関連)
ハイリスク薬等に関する薬学的管理の評価
→ 詳細は「薬剤管理指導料」(P.11)参照
<特に安全管理が必要な医薬品> ・糖尿病用剤
糖尿病治療と08診療報酬
17
08診療報酬改定 「緊急課題」
と、
●4疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・糖尿病)関連は、各チャートを参照のこと
緊急課題
■緊急課題 産科や小児科等の病院勤務医の負担軽減
おける夜間、早朝等における診療の評価、
産科・小児科を重点評価
小児への手厚い入院医療の評価
ハイリスク妊産婦管理の充実・拡大
医療機関では、手厚い人員配置で高い水準
合併症等により、
リスクの高い分娩を伴う
の医療が提供されている。こうした医療
妊産婦の入院に係る「ハイリスク分娩管理
機関について、
「小児入院医療管理料」
(1日
小児の時間外等の外来医療の評価
加算」は、06 年度診療報酬改定で新設され
につき)
を3 区分[ 1 : 3,600点 2 : 3,000点
小児科の外来医療を診療所が担うこと
ている。
今回の改定では、
勤務医の負担軽減
3 : 2,100点]から4区分
[1: 4,500点 2 : 3,600
を更に推進するため(時間外を含む)
、小児
を図る視点から、
産科勤務医の負担軽減の
点 3 : 3,000点 4 : 2,100点]として、評価の
科の外来に係る評価が引き上げられた。
ための計画作成を義務付けることで、評価
改善が行われた。
・地域連係小児夜間・休日診療
が引き上げられた。
[1,000点→2,000点
(1日
また、障害を持つ小児への手厚い医療
につき)
]
の評価や、障害児等のリハビリテーション
また、
「ハイリスク妊娠管理加算」
[1,000
の充実・拡大も行われている。
[50点]
、
「再診料
地域の小児医療の中核的役割を果たす 「初診料 夜間・早朝等加算」
夜間・早朝等加算」
[50点]が新設された。
「地域連係小児夜間・休日診療料1」
[300点→350点]
「地域連係小児夜間・休日診療料2」
[450点→500点]
点(1日につき)
]が新設された。
勤務医の負担軽減に資する、
病診の役割分担等
・小児科外来診療料
リスクの高い妊産婦や生児などに、高度
地域での機能分担の促進に係る評価
「再診時」
[370点→380点]
な医療を適切に提供するため、
各都道府
軽症の救急患者を地域の身近な診療所
2. 1. 以外の場合
県の総合周産 期母子医療センターを中
において受け止める観点から、診療所に
「初診時」
[660点→670点]
産科医療に係る、地域ネットワークの
機能に関する評価
核とする周産期医療のネットワーク
整備が進められている。こうした取
1. 処方せんを交付する場合
「初診時」
[550点→560点]
「再診時」
[480点→490点]
表1■10対1入院基本料
改正前
改正後
り組みをさらに進 めるため、医療
一般病棟入院基本料
1,269点
1,300点
地域で中核となる病院に勤務する、
機関の連携体制や妊婦の救急受け
結核病棟入院基本料
1,161点
1,192点
医師の負担軽減の評価
精神病棟入院基本料
1,209点
1,240点
地域の中核病院として、十分な人員配置
・一般病棟の場合
1,269点
1,300点
・結核病棟の場合
1,161点
1,192点
医療(産科、小児科、精神科等を含む)を
・精神病棟の場合
1,209点
1,240点
専門病院入院基本料
1,269点
1,300点
いつでも提供できる入院機能、及び地域の
障害者施設等入院基本料
1,269点
1,300点
入 れ について評価が行われ、
「診
療情報提供料(Ⅰ)加算」
[200点 ]
、
「妊産婦緊急搬送入院加算」
[ 5,000
点
(入院初日)
]
が新設された。
特定機能病院入院基本料
※点数の変化は、すべて+31点
他の医療機関との連携体制に基づく外来
の縮小への取り組みを評価する、
「入院時
医学管理加算」
[120点(1日につき、14日を
表2■医師事務作業補助体制加算と対象医療機関
[病院の担う機能と算定可能な医師事務作業補助体制加算の関係]
病院機能
医師事務作業補助体制加算(入院初日)
第三次救急医療機関
や設備等を備え、総合的・専門的な急性期
限度)
]が新設された。
25 対 1
50 対 1
75 対 1
100 対 1
355点
185点
130点
105点
○
○
○
○
10対1入院基本料の見直し
総合周産期母子医療センター
○
○
○
○
小児救急医療拠点病院
○
○
○
○
地域医療を担う多くの医療機関は、在院
災害拠点病院
×
○
○
○
へき地医療支援病院
×
○
○
○
に対して、入院医療を提供することから、
地域医療支援病院
×
○
○
○
勤務医負担も大きい。このような地域の
×
○
○
○
※
緊急入院患者を受け入れている医療機関
※年間の緊急入院患者数が200名以上の実績を有する病院(200名以上の緊急入院患者とは、
特別の関係にある保健医療機関等から搬送される患者等を除くものであること)
18 08診療報酬改定後のサバイバルプラン
日数の減少により、短期間でより多くの患者
急性期医療を担う医療機関に対する評価
として、評価が引き上げられた。
(表1)
Survival Plan
、その他の主要ポイント
(急性期病院関連)
医療の質 他
病院勤務医の
事務負担の軽減
■患者QOLを高める医療、重点対応領域の評価
事務作業を補助する職員の配置評価
分かりやすい
診療報酬体系等
自殺対策・子どもの
心の対策
病院における再診料の評価の見直し
自殺対策における精神医療の評価
地域の急性期を担う病院(機能病院を
除く)において、医師の事務作業を補助
する職員を配置することでの評価として、
「医師事務作業補助体制加算」が新設
された。
(表2)
[医師事務作業補助者の業務範囲]
再診料の病診格差の是正が行われた。 07年 6月に制定された自殺対策基本法
[57点→60点]
(病院の場合。診療所につい に基づき、
「自殺総合対策大綱」が決定
ては、改定前と同様に71点)
されている。そのなかで、医療については、
うつ病の早期発見・早期治療が重要である
・ 医師の指示のもとに行う業務
診断書などの文書作成補助、診療記録
外来管理加算の意義付けの見直し
こと、救急医療施設における精神科医に
への代行入力、医療の質の向上に資す
「外来管理加算」は、
「外来で継続的な
よる診療体制の充実を図ることの必要性
る事務作業
(診療に関するデータ整理
治療管理を要する患者に対し、医師が患者
が指摘されている。今回の改定では、
早期の
等)
、並びに行政上の業務(救急医療
の療養上の疑問に答え、疾病・病状や療養
精神科受診の促進を目的として「精神科医
情報システムへの入力等)他。
上の注意等に係る説明を懇切丁寧に行う 連携加算」
[200点(1回につき)
]が、救命救
・ 診 療 報 酬の請求事務、窓口・受付
などの、療養継続に向けた医師の取り組み」 急センターにおける精神医療の評価として
業務等、医師以外の職種の指示の下
への評価ということになった。
に行う業務については、医師事務作業
「救命救急入院料の加算」
[3,000点(1回
につき)
]が新設された。
補助者の業務としない。
後期高齢者
■後期高齢者の診療報酬
外来医療
入院医療
う取り組みを評価する「後期高齢者退院
後期高齢者の継続的な管理の評価
調整加算」
[100点(退院時1回)
]が新設
後期高齢者の外来医療に当たっては、
退院後の生活を見通した
されている。
入院医療の評価
治療の長期化、複数疾患の罹患といった
心身の特性等を踏まえ、慢性疾患等に対
後期高齢者は、入院時から退院後の生
在宅や外来と継続した
する継続的な管理を行うことの評価とし
活を念頭に置いた医療を行うことが必要
入院医療等の評価
て「後期高齢者診療料」
[600点(月1回)
]
とされている。したがって、病状の安定後
在宅医療が広がりを見せる中、在宅
が新設された。
早期に、患者の基本的な日常生活能力、
療養を行っている患者の病状の急変等に
認知機能、意欲等について総合的な評価
伴い、緊急時に病院等に入院できる体制
外来管理加算に関する病診格差の
を行い、その結果を患者及び家族等に説
の確保が一層求められている。また、後期
見直し
明した場合の評価として、
「後期高齢者総
高齢者の生活を重視するという視点から、
「外来管理加算」における病診の点数の
合評価加算」
[50点(入院中1回)
]が新設
地域の主治医との適切な連携の下、患者
格差是正が行われた。改定前は、老人保
された。
の病状の急変等に地域の主治医からの求
健法の規定によって高齢者に医療を提供
また、安心して居宅での生活を選択で
めに応じて、入院させた場合の評価として
する場合、病院が47点、診療所が57点
きるよう、入院時から退院後の生活を見通
「後期高齢者外来患者緊急入院診療加
であったが、点数の一本化が行われた。
した退院支援計画を策定し退院調整を行
算」
[500点(入院初日)
]が新設された。
[→52点]
「緊急課題」と、その他の主要ポイント
19
明日の病院経営を考える
2008.Spring No.3
企画・発行 第一三共株式会社 〒103-8234 東京都中央区日本橋3-14-10 ALL1T03100-0MQ
2008年4月印刷
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