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糖尿病・透析患者さんの足を救う

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糖尿病・透析患者さんの足を救う
日本フットケア学会&日本下肢救済・足病学会
合同学術集会&マゴットセラピー研究会
透 析 患 者 さ ん の 末 梢 動 脈 疾 患
糖尿病・透析患者さんの足を救う
早期診断・治療が要
徳洲会グループが8演題発表
い の ち
小林・湘南鎌倉総合病院副院長
第
子のひとつであることを
予後を悪化させる危険因
う重症下肢虚血
(CLI)
報告した。感染をともな
回 日 本 フ ッ ト ケ ア 学 会( 小 林 修 三 理 事 長 = 湘 南
鎌 倉 総 合 病 院 副 院 長 ) と 第 5 回 日 本 下 肢 救 済・ 足 病
強調。下肢のケアを行い、 の治療では、血行を再建
前に予想された範囲より
しても感染が拡大し、術
学 会 の 合 同 学 術 集 会、 第 2 回 マ ゴ ッ ト セ ラ ピ ー 研 究
重要性を説いた。
会 が 2 月 9 日 か ら 2 日 間、 神 奈 川 県 で 開 催 さ れ た。 予防や早期発見に努める
徳 洲 会 グ ル ー プ か ら は 8 人 が 演 題 を 発 表、 そ の 概 要
具体的な対応法として、 中枢側での切断が必要に
「経営が成り立つなら参
に取り組んだり、フット
アチームで下肢救済治療
方を解説。またフットケ
リードマン(切除・清浄
透析患者さんでは、デブ
重度の糖尿病患者さんや
綾 部 部 長 は、
「とくに
を紹介する。
庄内余目病院(山形県)
ず」と、野末院長は経営
入する病院も増えるは
ケア指導士として病棟看
化)を行う範囲・タイミ
なる症例もある。
野末睦院長
的に黒字化が可能なこと
護師と連携しフットケア
ングが重要」と指摘し、
難しい巻き爪の処置の仕
写真挿入
を示し、患者さんの下肢
回診を実施するなど、自
フットケア専任看護師
愛甲美穂・
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)
最適化)療法などを紹介
方法を説明。デエスカレ
ーション(複数の抗菌薬
した。
①患者さんの特性による
マゴットセラピーが有効
治療を困難にする要因を、 療用のうじ虫を利用した
どの利点があるが、保険
用や肉芽形成促進作用な
自験例は2年間で
ほうが治療日数が短い。
を細菌検査結果をもとに
適応ではなく全額自己負
庄内余目病院
要因を挙げ、足病治療の
ると紹介した。
が支払えないことなどを
施 設 だ よ り
り低侵襲で制菌・殺菌作
担になるなどの欠点もあ
であると報告。
関井浩義・
行い、約8割の治癒率で
入院期間が一般に比べ4
同治療は、外科療法よ
もの、②社会的背景に由
心臓血管外科部長
あることを説明。亡くな
倍と長期化することや、
に大別。
血液浄化部部長
バイパスの有効性を強調
った9肢の危険因子のう
装具作成に必要な一時金
─
「腎臓内科が行うフット
血液分離療法なども効果
「バイパス治療による血
ち、有意差を認めたのは
①は患者さんの経済的
ケア外来について」と題
行再建」と題して発表。
来するもの
などリスクがあったり 、
し、口演(口頭発表)し
膝下病変の血行再建の方
肢に
難治性創傷があったり し
フットケア回診など実施
た。糖尿病だけでなく、
トライアングル体制で治 「透析患者のフットケア」 腎不全やPADを診察す
院内クリスマスコンサート
界の車窓から」
、
「また君に
「クリスマスメドレー」
、「世
説明した。②では、複数
る機会の多い腎臓内科医
治療法以外にLDL(悪
石 岡 邦 啓・ 腎 免 疫 血 管
湘南鎌倉病院
断後、透析に加えリハビ
セルフケアが困難、④切
③合併症や認知症が多く
ハエの幼虫を用い治療
美容外科医
近 藤 謙 司・ 形 成 外 科・
湘南鎌倉病院
②進行が早く予後が悪い、 言及した。
癒に有効な
debridement
デ ブ リ ー ド マ ン
とは」と題し発表。
創傷治癒には適切なデ
曲。参加
たメンバー9人です。日頃
しました。
ピアノの即興演奏でお応え
最後には参加していただ
う」の2曲を大合唱してお
「 故 郷 」、
「上を向いて歩こ
ふるさと
いた皆様も一緒になって、
100人を超える患者さ
開きとなりました。
の生演奏を楽し
演奏曲目は、
総務課・松尾勇矢
おります。
画したいと思って
けるイベントを企
に楽しんでいただ
もより多くの方々
なりました。今後
的なコンサートと
皆様の温かな笑顔が印象
お越しいただき、バイオリ
ーン、トランペ
クス、トロンボ
ン、ビオラ、チェロ、サッ
んやご家族、地域の方々に
お迎えしました。
チュームに着替えて皆様を
着用の白衣をサンタのコス
恋してる」など
者からリクエストのあった
玉コレステロール)アフ
内科/総合内科医長
リでの通院が負担、⑤切
「虚血肢に対する当院で
年恒例のクリスマスコンサ
ェレシス(血液分離療法)
糖尿病透析の問題を列挙
断した患者さんの受け入
の治療方針および保存的
ートを開催しました。演奏
などの内科的治療法も効
「糖尿病透析患者の足病
などを
は困難なことを提示した。
日、毎
「患者さんをうまく選定
と題して講演した。透析
月
法について、血管内治療
療にあたっていること を
がゲートキーパーを務め
強力な血行改善の方法に
の診療科目にわたる専門
患者さんにとってPAD
結果を報告。治癒率は変
とバイパス治療を比較し、 すれば、バイパス治療は
紹介。それぞれの対応 人
ることで、ハイリスク患
当院は昨年
数や時間などを説明した。( 下 肢 末 梢 動 脈 疾 患 ) が
なります」とまとめた。
果が期待できることを報
の現状と問題点」がテー
れ施設の不足
「夜明けのスキャット」は、
告した。
マ。現状の下肢切断率な
列挙した。
者は当院の医師を中心とし
22
診療報酬面の課題にも
また、下肢を切断せざ
どを挙げ、糖尿病透析患
東京西徳洲会病院
─
るを得ない患者さんに対
者さんのPADの予後が
木下幹雄・
治療方法の検討:創傷治
しては、心理的ケアも重
とくに悪いことと、早期
形成外科部長
ブリードマンが欠かせな
発見・早期予防の重要性
経済・社会環境に課題
いが、壊死組織が正常組
んでいただきま
八尾徳洲会総合病院(大阪府)
「創傷治療を困難にする
織に埋没している場合な
した。
ット、ピアノ、
糖尿病透析患者さんの
患者特性と社会的背景」
ど外科的療法が難しい症
ギター、ベース
/創傷治療センター長
救肢が進まない理由とし
について口演。木下部長
例には、無菌培養した医
し
切除の範囲・時期が重要
て、①石灰化が膝下病変
は、足病患者さんの創傷
え
「感染を伴うCLIに対
に多く血行再建が困難、
を訴えた。
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する治療戦略」と題して
綾 部 忍・ 形 成 外 科 部 長
要との考えを示した。
虚血性疾患には、外科的
者さんの早期発見が可能。 わらず、バイパス治療の
福岡徳洲会病院
49
的な治療が単一の病院で
た場合、フットケア外 来 、
フットウェア(くつ) 外
モーニングセミナーで
日髙寿美・
湘南鎌倉病院
口演発表
に治療への参画を訴えた。 院の取り組みを紹介した。 症例をもとに自院の治療
救済のため、医療従事者
経営面から参画を訴え
教育講演で「フット ケ
ア、下肢救済と病院経営」
をテーマに講演した。 同
JALから感謝状!
機内で患者さん救う
来、創傷ケアセンター の
※写真あり
湘 南 鎌 倉 総 合 病 院 の 初 期 研 修 医
発熱だった。
院では下肢に虚血性疾 患
「機内で体調を崩した
お客様がいます。 お客
様のなかに医師の方が
いましたら客室乗務員ま
でお声がけください」
ベトナム行きのJAL
(日本航空)航空機内
で、こんなアナウンスが JAL から感謝状を受けた関根医師(右)
と木谷医師
流れたのは1月 20 日。
成田空港を発って2〜3時間後のことだった。同機に
は偶然、休暇を利用してベトナム旅行に向かっていた
湘南鎌倉病院の関根一朗医師と木谷嘉孝医師(ともに
初期研修2年目)が搭乗していた。2人は迷うことなく
医療活動にあたった。
患者さんは 62 歳の男性。奥さんと一緒の旅行だった。
「シートにもたれかかっていました。目を閉じ、冷や汗
をかき、顔面蒼白といった症状でした」(関根医師)
患者さんは急に具合が悪くなったものの、脈は正常
範囲で意識もあった。また既往歴がなかったことなどか
ら、2人は「血管迷走神経反射の疑い」と診断した。
これは、自律神経のバランスが崩れることで、血管の
拡張による血圧低下を招き、一時的に脳が虚血状態に
陥り発症する。患者さんを横に寝かせ、冷静に脳への
血流を促す処置を行い、症状が改善した。この医療活
動に対して、2人は後日、JALから感謝状を贈られた。
木谷医師は「このような場面に遭うとは思ってもいま
せんでした。驚きましたが、これまでの研修の経験が
生き、自信をもって対応できました」と研修の成果をア
ピール。
関根医師は「的確な診断・治療技術以上に、アナウ
ンスがあった時には誰よりも早く手を挙げ、困った人に
手を差し伸べる姿勢が重要だと考えています」と、医師
としての姿勢を説いた。
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小林副院長は 2 月 4 日、東京都内で行われた
プレスセミナーで、「透析患者における PAD の早
約 50 人のメディア 期診断・治療の重要性〜足病変ハイリスク患者
関係者を前に講演す
を足切断から救うために〜」と題して講演した。
る小林副院長
小林副院長は、はじめに、透析を受けている
患者さんは足を切断するリスクが高いことを説明。「足の切断など
PAD が重症化した場合、5年死亡率は 44%で、乳がん(同 15%)
をはるかに超え、大腸がん(同 38%)に匹敵するものです」と予
後の悪さを強調した。
傷ができると急速に患部が悪化し、患者さんが医師に訴えてき
た時にはすでに治療困難なケースが少なくないことから、早期発
見の重要性を指摘。
透析を受けている患者さんに実施したアンケート調査では、足
病変に対する関心が低いことが判明、一般の人への啓発活動が必
要であると訴えた。
また、定期的なフットケアを受けている人が 4 割、ABI 検査(足
の血圧の測定)などの客観的な検査を受けている人が 25%しかい
ないことから、「医療者への働きかけも不可欠」(小林副院長)と、
集まったメディア関係者に協力を求めた。
同セミナーは「日本発 下肢救済のための足病診療に関する患者・
医師調査」をテーマに開かれた。日本フットケア学会、日本下肢
救済・足病学会、日本メドトロニック社の共催で、小林副院長は日
本フットケア学会理事長、日本下肢救済・足病学会監事。
平成 25 年 2 月 18 日 月曜日│No.865 ❹
聞
新
洲
徳
生 命だけは平等だ
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