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洪剛義 韓国自殺予防協会理事長 ソウル大学校名誉教授

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洪剛義 韓国自殺予防協会理事長 ソウル大学校名誉教授
洪 剛義
韓国自殺予防協会理事長
ソウル大学校名誉教授
訳:金
大烈神父
1
Van Gogh “生きる事自体が人生の苦痛である”
37歳に拳銃で自殺し生を終えた。
2
目次
Ⅰ.
序論: 自殺の定義
II. 韓国の自殺の実態
III.自殺行動の原因
IV. 韓国の自殺率の急騰の原因
V. 自殺の予防と介入
VI. 結語: 自殺に対する教会の立場を読み取り
3
I. 序論: 自殺の定義
ƒ “自分の命を自ら切る行為”
“意図的に自分を殺す行為”
ƒ “かけたところがない心と道徳的な責任を負える人
が自分を破壊する行為” (法的定義)
ƒ ‘当事者が自由意志によって自分の命を切る行為’
ƒ
自殺 = 自己殺人
ƒ
Suicide Å ラテン語 ‘suicidium’(自己殺害),
‘sui caedere’(自分を殺す)
4
自殺行動
自殺の思考
suicidal behavior
自殺の試み
Æ 助けを求める絶叫
自殺
A Cry for Help
5
6
自殺者及び自殺率の推移
1983-2009
(人口10万人当)
(千人)
自殺者数
自殺率
(年度)
7
自殺の死亡原因の順位の変化(韓国)
1992年
1998年
2009年
1. 癌
1. 癌
1. 癌
2. 脳血管の疾患
2. 脳血管の疾患
2.脳血管の疾患
3. 心臓の疾患
3. 心臓の疾患
3.心臓の疾患
4. 交通事故
4. 交通事故
4. 自殺(15,413人)
5. 肝臓の疾患
5. 肝臓の疾患
5.糖尿病
6. 高血圧性疾患
6. 糖尿病
6.肝臓の疾患
7. 糖尿病
7.自殺(8,569人)
7.交通事故
8. 慢性下気道の疾患 8.慢性下気道の疾患
9. 呼吸器結核
9.高血圧性疾患
8.慢性下気道の疾患
10.自殺(3,533人)
10. 肺炎
10.呼吸器結核
9.高血圧性疾患
8
韓国の性別の死亡原因の順位(2009年)
男子
順位
癌
女子
1位
脳血管疾患
脳血管疾患
2位
心臓疾患
3位
自殺
心臓疾患
4位
自殺
肝臓疾患
5位
糖尿病
交通事故
6位
高血圧性疾患
糖尿病
慢性下気道疾患
肺炎
投身
死亡率(人口10万人当)
癌
7位
肺炎
8位
慢性下気道疾患
9位
交通事故
10位
肝臓疾患
死亡率(人口10万人当)
[資料 : 統計庁 死亡原因統計, 2010]
9
10代 死亡原因 2位
20代 死亡原因 1位
30代 死亡原因 1位
40代 死亡原因 2位
50代 死亡原因 5位
60代 死亡原因 5位
70代 死亡原因 8位
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代 以上
資料: 統計庁, 『2008年 死亡原因 統計年報』
10
全世界の自殺率(人口 100,000人当たり)
WHO(2007)
11
OECD 国家の自殺率の比較
(OECD 標準人口10万人当)
OECD 平均11.2
ギリシャ イタリア イギリス スペイン オーストラリア ドイツ アメリカ カナダ スウェデン フランス スイス
日本 ハンがーリ 韓国
* 資料: OECD(2010) OECD Health Data 2010: Statistics and Indicators for 34 Countries
* OECD 平均は資料の利用が可能な 33カ国の最も最近の資料を利用して計算
* 韓国 2009年: OECD 標準人口で自体計算した結果である。
12
20代性別 自殺死亡者 比較
単位:名
20代男子
自殺者
20代女子
自殺者
“自ら命を捨てる
20代の女性達 何故?”
y 急激な社会の変化の一番大き
な恵沢者であり、被害者であ
る
y 女権運動,男女平等の勝ち取り
2008年 全体 自殺者 12270名
(女性比率:35.4%)
女性
男性
2008年 20代 全体自殺者 1574名
女性
(女性比率:50.9%)
男性
Æ 経済的な独立, 独身主義
男女関係の難しさ, 寂しさ
Æ キャリア, 無限競争, ストレス
Æ 続く性差別, 派遣職(非正規職)
Æ 性の役割, 性のアイデンティティの混沌
‘性暴力’の 是々非々
Æ 出産拒否, 衝動的な離婚
Æ 女性のアイデンティティの混沌
13
自殺の死亡率
自殺死亡者の数
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代 以上
[資料 : 統計庁 死亡原因統計, 2008年]
14
年齢別自殺率の変化の推移
[資料 : 統計庁 死亡原因統計(1985-2009),再構成]
15
年齢別の自殺死亡の割合(2007年)
10代
20代
65歳以上
30代
50代
40代
16
OECD 国家の老人人口, 老人自殺率の 比較
老人人口
65~74
75以上
老人人口
65~74
75以上
japan(2004)
20
29.1
31.5
norway(2004)
14.9
15.2
11.9
germany(2004)
18.7
18.6
29.7
luxembourg(2004)
13.6
19.4
35.5
italy(2002)
19.3
11.1
15.2
czech republic(2004)
14.1
19.1
29.5
netherland(2004)
13.5
8.2
14
sweden(2004)
17.5
18
20.3
poland(2004)
13.8
17.5
14.2
belgium(1997)
17.2
23.4
39.7
canada(2002)
12.5
10.9
10.7
spain(2004)
16.7
13.1
20.4
austrailia(2003)
13.1
11.8
10.6
portugal(2004)
17
19
34
united state(2002)
12.3
13.5
17.8
france(2003)
16.7
24.6
18.4
new zeland(2000)
11.6
10.8
9.9
switzerland(2004)
15.9
26.6
47.8
iceland(2005)
12.3
10.9
18.7
united kingdom(2004)
15.9
6.6
7.4
slovak republic(2002)
11.6
13.9
26.5
austria(2005)
15.8
28.4
38.9
ireland(2005)
11.2
10.5
5.4
finland(2004)
16
24.6
18.4
korea(2004)
10.1
64.9 109.6
hungary(2003)
15.9
43.2
60.4
mexico(2003)
6.3
5
denmark(2001)
15.4
20.8
34.3
7.4
※ 出所: www.who.int 17
老人自殺の特徴
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
若い成人により自殺の遂行率が3-5倍高い。
老人にとって自殺を目的としてする自害行為は若い成人と比べて
もっと致命的損傷を招く。
独り暮らしの老人達が増えてきて早めに見つかり難い。
自殺の計画を他人に知らせる場合も少ない。
他の年齢よりもっと緻密に自殺の計画を立てる傾きがある。
死のうとする欲求が強くてもっと致命的な自害方法を選ぶ。
縊死, 投身より農薬の服用, 服毒の自殺が多い。
18
自殺死亡率
自殺志望者の数
ソウル 釜山 大邱 仁川
光州 大田 蔚山
京畿 江原 忠北
忠南 全北 全南
慶北 慶南 濟州
[資料 : 統計庁 死亡原因統計, 2008年]
19
農薬
縊死
投身
20
都市
ソウル 釜山
大邱
仁川
光州
農村
大田
蔚山 京畿
縊死
江原
忠北
忠南
全北
全南
慶北
慶南 濟州
飲毒
21
飲毒
음독
음독
縊死
목맴
목맴
20-30代
40-50代
60代以上
[資料 : 統計庁 死亡原因統計, 2008年]
22
有名芸能人の自殺後、死亡率変化の推移
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
23
2008年 月別自殺者の 構成比
03~07年 平均
24
崔真実 自殺
최진실의 자
2008, 10
살???
‹ 不遇で貧しかった幼年時代
複雑な家族, 父母の離婚
20代の時の沢山の努力Æ国民スター
結婚と離婚Æ苦痛, 傷, 鬱
7年ぶりの成功的な再起
“20代のあなたより今のあなたが,
40代の俳優になったあなたが本当に好きだ”
(李ザンス監督-2580 示唆マガジン 2008.7.13)
‹ 子供二人の母の役割+演技の生活
安ゼハンの自殺, 借金のうわさ, 人気の心配
Æ “疲れた” “ 寂しい” “死にたい”
“芸能人たちにとって最高の幸せな時が全盛期だと思われるが, 頂上にいる時
精神的なストレスは大変だ. 私もひどい精神的な不安感に悩まされた."
25
■ 自殺及び生命尊重に対する態度の調査(2006)
年齢 : 15 ~ 69歳
人数 : 1,501人
経った一年間死にたいと思った事がある。
… … 15.6%
具体的な自殺の計画を立てた事がある。… … … …
3.9%
自殺を計った事がある。
1.8%
… … … … … …
15.6%の韓国人が自殺の思いに悩まされ,
自殺を考えた人々の中で8人中一人が自殺を計った.
自殺を計った70人中一人が結局自殺で死亡
26
自殺及び生命尊重に対する態度の調査
(2006)
年齢 : 15 ~ 69歳
人数 : 1,501人
<相談とか治療を受けた人の割合>
死にたいと思った人の中で
自殺を計画したとか計った人の中で
… … 10%
…
30%
予防の次元で重要な顧慮事項
27
自殺及び生命尊重に対する態度の調査
(2006)
年齢 : 15 ~ 69歳
人数 : 1,501人
… … … … …
24.2%
… … … … … …
38.7%
… … … …
71.2%
自殺が唯一の解決策である状況がある
個人は自殺する権利がある
不治病の病者の自殺が理解出来る
自殺に対する受容的, 許容的な態度
低所得層と老人層で高く現れる
高い自殺率と関連がある
自殺予防の為の対国民の認識改善
28
その他
暴力問題
身体的問題
経済的問題
対人関係問題
精神的問題
29
30
1. 生活事件-状況的要因
Life events-situational factors
ƒ 失職、信用不良等経済的な難しさ
ƒ 父母、配偶者、親類等、身近い人の死亡
ƒ 身近い人との問題: 別れ、裏切り、喧嘩
ƒ 耐えられないストレス、過労、
ƒ 生活上の衝撃的な事件; 入学試験の失敗、性暴力、
ƒ 生活の大きい変化 : 軍隊の入隊、結婚、離婚、移民
31
2. 個人-心理的要因
Individual-psychological factors
児童期外傷/解決されていない情緒、 行動問題
‹ 自我強健性の不足/欠陥
問題解決の能力の不足
忍耐力の不在
怒りに対する調節力の欠陥,
挫折に対する耐え忍ぶ力の不在
‹
性格的特性:
衝動的で攻撃的性格
内省的, 抑制的性格
他人の非難に敏感な性格
過去/将来に対する悲観的/厭世的性向
認知的硬直性
‹
32
■
自殺心理の分類
ƒ
苦痛とストレス、自分からの逃避的な自殺
ƒ
問題の解決策としての自殺
ƒ
怒りと 報復の心理による自殺
ƒ
自己処罰としての自殺
ƒ
欲求挫折と自己愛的な傷による自殺
ƒ
死んだ親族との 再会のための自殺
ƒ
精神の疾患による自殺
33
盧武鉉
前大統領の遺書
あまりにも多い人々に世話になり迷惑をかけた。
私によって沢山の人々が大きい苦しみを受けた。
これからの苦痛も数え切れないんだろう。
残った人生も他人に重荷になることに間違えない。
健康も良くなくて何も出来ない状態だ。
本を読むのも文を書くのも出来ない。
あまりにも悲しまないでくれ。
生と死の全てが自然の一切れではないのか。
すまないと思わないでくれ。
誰をも恨まないでくれ。
運命だ。
火葬してくれ。
そして、家に近い所にとても小さい墓石だけを残して欲
しい。
ながねん、考えた事である。
34
3. 生物学的-精神医学的要因
Biological-Psychiatric factors
ƒ 精神科的疾患
憂鬱症
精神分裂
不安症
反社会的性格障碍
警戒性性格障碍
アルコール/薬物中毒
ƒ 過去自殺の試みの経験、家族内の自殺暦
ƒ 慢性的身体疾患、障碍、末期の癌
35
4. 社会-環境的要因
Social Environmental factors
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
家庭機能の弱化; 家庭暴力、家庭不和、
離婚率の急騰、家庭の崩壊/解体、
情緒的(社会的) 支持システムの弱化
競争的/成功だけ目指す社会の風土
暴力的、扇情的、生命を軽んじる大衆文化
マスメディアの発達と影響力
価値観の変化 : 物質/享楽至上主義
宗教/文化の自殺に対する態度
36
自殺原因要素の統合:
自殺に至る過程
逆境/危機状況
対処/適応過程
性向的対処/適応
各種の外傷/逆境
生活の変化
死別,入隊,失職など
家族/対人との葛藤
離婚,不和,別居など
精神健康の問題
不安,鬱
個人の心理的要因
自我強健性
防御/対処能力
支持体系
家族, 仲間, 隣人
生存
社会/情緒的支持
適応の失敗
絶望/無気力
社会文化的要因
価値観, 宗教
生物/精神医学的要因
危機介入,治療
自殺の試み
自殺の思い
衝動性
自殺手段
接近製
真似
自殺
37
自殺の心理的メカニズム
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
精神の力動的な接近
認知的な接近
発達的な接近
Baumeisterの自己逃避の理論
その他の理論
38
„
Murray (1893-1988)
自殺は四つのカテゴリーの心理的な苦痛を反映
1) 萎縮した愛, 受容と所属 :
依存と協力に対する欲求の挫折と関連したカテゴリー
2) 壊れた調節, 予測の可能性:
成就,自律性,秩序と理解において挫折と関連したカテゴリー
3) 攻撃を受けたセルフ-イメージと恥,敗北,侮辱と不名誉など:
欲求の挫折と関連したカテゴリー
4) 重要な関係の断絶に付いてくる悲しみと死別:
協力と養育に対する欲求の挫折と関連したカテゴリー
39
認知論的接近 Cognitive Approach
Beck’ cognitive triad of depression (Beck, 1963)
- 否定的セルフ-イメージ
- 否定的な世界観
- 否定的な未来観
絶望
自殺
Hopelessness
絶望とは自分も他の人も、不幸とか苦痛を変える為には
何事も出来ないし、何事も成し遂げられないと思う信念
40
自己-逃避理論
Escaping from the Self
Baumeister (1991)
自殺は ‘自分からの逃避(escaping from the self)’
自分と関連した苦しい感情と思いから逃げる事
自殺を自分からの逃避の手段として概念化して
自殺に至る精神的な逃避(mental escape) 過程を記述
41
社会的疎外
Maslow’s hierarchy of needs
Self-Actualization
Self-Esteem
Love, Affection
& Belongingness
Social
isolation
Health
Adaptation
Wellbeing
Safety
Physiological Needs
自殺
42
衝動性と攻撃性
ƒ 自殺の試みの集団が統制の集団よりもっと暴力的なエピソードを経験
(Whitlock & Broadhurst, 1969)
ƒ 自殺で死亡した青少年の集団で高い攻撃性の過去暦
(Brent et al. 1994)
ƒ ロンドン内の32の区を対象にして行ったある研究で暴力と殺人が多く
起こった区で自殺率がより高かった(Kennedy et al. 1999)
ƒ Reactive Aggression(対人関係の脅かしの様な嫌悪すべきの事件に
よって反射的な怒りを経験しながら生じる攻撃性)が自殺と関連
(Conner et al. 2003, Mann et al. 1999)
43
44
自殺関連行動と精神障害の経験の割合
(2006)
自殺の思い
自殺計画
自殺試み
*2006精神疾患実態
力学調査
45
深刻な自殺を計る人にある精神疾患
診断
Odds Ratio(95% CI)
主な憂鬱症
Major depression
27.2 (19.1~38.7)
両極性障碍
Bipolar disorder
17.4 (8.6~35.0)
アルコール濫用また依存 Alcohol abuse
4.8 (3.5~6.7)
大麻濫用また依存
Cannabis abuse
5.7 (3.1~10.5)
恐慌障碍
Panic disorder
8.9 (4.7~16.8)
Phobic disorder
4.3 (2.8~6.7)
恐怖症
神経性食欲不振
神経性暴食症
精神病
Anorexia nervosa
42.5 (5.5~328.2)
Bulimia nervosa
30.6 (7.0~133.2)
Nonaffective psychosis
品行障碍
反社会的性格障碍
5.1 (0.9~30.9)
Conduct disorder
9.5 (6.5~13.9)
Antisocial PD
11.1 (5.9~20.6)
(Beautrais et al. 2004)
46
serotonin 低下
児童期の外傷の経験
過剰 NE 消耗
生活の事件
NE 枯渇
衝動性の増加
鬱
厭世, 絶望
Serotonin 遺伝要素
未詳の遺伝要素
自殺の生物学的メカニズム
自殺
47
48
韓国 : 何故、自殺率が急騰するのか!
™ 急激な社会の変化
: 近代化, 尖端技術産業化, 世界化に従う社会の構造,
文化の変化 Æ 価値観と役割の変化 :
男女平等, 成就が主になること, 物質万能, 享楽至上,
™ 内的な価値観の不在
: 生きる事の意味, 目的意識の喪失, 生命の軽視の雰囲気
™ 過重なストレス
: 競争 ·成就が主になる事, 苦難 ·問題対処能力の弱化
™ 支持体系の弱化
: 大家族→核家族化, 離婚, 家庭崩壊など
™ 自我能力の弱化
: 苦難と問題対処の能力,怒りの調節能力,
忍耐力の不足, 不適切な養育
™
™ 高齢化と老人人口の増加
™ 精神疾患の増加
: 現在 8% Æ 12% in 2020
: 不安, 鬱,ストレス
49
韓国の去った半世紀の間にあった
急激な社会-文化的な変化 -1
‹
価値観の変化
z
z
個人主義, 金万能主義,享楽至上主義,外面的な価値追求
精神的, 内面的価値観の不在
過重なストレス
‹
z
競争,成就が主になる雰囲気, 資本主義社会への転換
情緒的-社会的支持体系の弱化
‹
z
z
家族制度の変化: 核家族化,離婚の増加
家庭の機能の喪失- 安全基地,情緒的·社会的支持機能、
隣人,友の機能の喪失
50
自殺者
資料: 統計庁, 『2008年 死亡原因統計年報』
51
男子の自殺率
(人口10万人当) 年齢・婚姻状態別
연령·혼인상태별 남자
자살률
(인구10만명당)
440.0
330.0
未婚
미혼
配偶者有り
유배우
離婚
이혼
死別
사별
(人口10万人当)
年齢・婚姻状態別
女子の自殺率
연령·혼인상태별 여자
자살률
(인구10만명당)
250.0
미혼
未婚
유배우
配偶者有り
200.0
離婚
이혼
死別
사별
150.0
220.0
100.0
110.0
50.0
0.0
0.0
20-30代
20~30대
40代
40대
50代
50대
60代
60대 70代以上
70대이상
20-30代
20~30대
40代
40대
50代
50대
60代
60대 70代以上
70대이상
52
韓国の急激な社会-文化的な変化 - 2
自我強健性の弱化
‹
z
z
学歴/成績至上主義,‘入試病’ 子供の商品化
過剰保護,過剰統制の子供の教育
→ 事物忍耐力,意志力,怒りの調節の能力,基本的な社会性の弱化,
小さい危機と苦難にも怒り,絶望,挫折
生命尊重思想の弱化と命を軽んじる雰囲気
‹
z
z
z
家族の計画という良い訳で幅広く起こっている堕胎
非人間的な金万能の態度の氾濫
生命破壊的オンラインゲーム, 淫乱映像物の爆発的な流行
高齢化
‹
z
z
心理社会的孤立化, 命に対する尊厳性の喪失
老人の遺棄, 老人虐待, 独居老人の増加, 認知症(痴呆)などの老人
疾患の暴騰
53
韓国の急激な社会-文化的な変化-3
‹
女性自殺の増加
z
z
全世界的に女性の自殺率が減少,しかし韓国の女性の自殺の死亡率は増加
女権伸張の影響: 責任とストレスが増加, 子供の養育と職業の両立の問題,
夫婦の役割の変化·夫婦葛藤, 離婚の増加
メディアの発展と最先端の情報化
‹
z
z
z
生命の軽視: 暴力·殺傷のオンラインゲーム,淫乱物の氾濫
詳しい自殺の報道とウェルテルの効果
チャット, 自殺ブローぐ, 自殺サイトなど,自殺の方法を共有– 心中
精神疾患の増加
‹
z
z
鬱,アルコールの中毒, 性格障碍の深刻な増加
鬱の患者の20%だけが精神科の治療
54
韓国の近代化と自殺の関係
韓国の近代化 =圧縮近代化
韓国の近代化
自由·民主化
産業化-尖端技術化
- 尖端情報化, BT
資本主義,市場経済
大都市化
‘西洋式文明化’
社会文化的な変化
肯定的結果
物質的な豊かさ-経済大国
身体の健康-寿命延長
家族制度の変化
-核家族化,養育問題
価値観の変化
-個人主義
-競争/成就意向
女権伸張·役割の拡大
-男女関係の変化
- 葛藤,離婚増加
否定的結果
離婚 , 家族崩壊
自殺急騰
Æ 情緒の支持体系の弱化
金万能,享楽至上主義
見かけの価値追求
Æ内的価値観の不在
50年間の変化の
相乗作用,追随効果
養育の危機,過剰教育熱
韓国社会の深刻な
社会病理の表現
Æ自我強健性の弱化
-自己中心,利己主義
ストレス,精神障害
韓国の社会で助けと
治療を求める絶叫
55
予防
介入/治療
死後介入
Prevention
Intervention
Postvention
56
自殺予防事業:
‹
原則と方向 - 1
自殺 : とても複雑で多面的な現象
原因糾明, 治療と加入及び予防にし易く単純な方法は無い.
‹
自殺の原因に対する深みのある研究を要望
個人の生物学的,心理的要因,社会環境的要因, 精神医学的要因,
状況的要因, 子の様な要因の相互作用
‹
最近自殺の急騰は我らの社会の深刻な病理現象を反証
Æ 全ての国民の目覚めと徹底的な原因糾明が心理的,社会的,
宗教,哲学的次元で行われるべきである.
57
自殺予防の事業:
原則と方向 - 2
‹
全国民的な認識の改善及び危険要因の教育,予防活動
実施 (市民運動展開)
‹
各種、精神健康の専門家の為の自殺予防の研修教育
(相談/治療
‹
予防活動, 能力増進, 専門機関との連係構築)
特殊集団に対する自殺予防事業実施
(軍人, 警察, 刑務所, 大学生, 中高生,
‹
既存専門施設の自殺予防/相談/危機介入
老人など)
力量強化
(広域市, 道, 市に自殺予防センターのつくり)
‹
韓国の実情に合う自殺予防,危機介入, 相談/治療の
持続的な研究遂行
58
■ 自殺予防事業:
原則と方向 - 3
一般市民の積極的な参与
‹
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命の対する認識の改善
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自殺と死に対する正しい理解
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人生の目標と価値観の再設定
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苦難と逆境に対する態度の変化
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苦しむ隣人を助ける
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・あなたの愛と関心が彼らには希望です。
・自殺は予防が可能です。
生命を守る七つの宣言
1.生命はその自体が尊厳性を持ち最優先の価値
として尊重すべきである。
2.生命に対する脅かしは原則的に許されない。
3.自殺は何の理由によっても美化されても正当
化されてもいけない。
4.自分と他人の命を侵す事を問題解決の手段と
して考えてはいけない。
5.全ての人は最善を尽くして自分と他人の命を
救わなければならない。
6.個人と社会は自殺を予防する為にあらゆる努
力しなくてはならない。
7.政府は生命尊重する社会を具現する為に最優
先的に施行しなければならない
韓国自殺予防教
会
64
■ 自殺予防事業:
原則と方向 - 4
自殺に対する認識の転換
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自殺は決して問題の解決の方法になれない。
命は尊い, 何の危機の中でも, 何の逆境の中でも守ら
なくてはならない。
‘何故死のうとするの! 粘り強く生き残れよ’
自殺の主犯である鬱病に効果的な治療が開発されてい
る。
相談と治療を受けるのためらわないように!
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自殺の症候は必ずあるはずだ。
私達は誰でも自殺予防の番兵になるべきである.
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自殺の警告の症候
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自ら ‘危害また自殺する’と脅かす
自害とか自殺の方法を探している
薬物, 武器, 手段をもとめようとする
死とか自殺に関する話また遺書
絶望感/望みが無い事を訴える
怒り/復讐について頻繁に話す
出口がないと訴える
不注意な振る舞いとか危険な行動を見せる
アルコール,薬物の使用が増加する
友達/家族/社会から離れて独りぼっちで暮らす
不安/焦り/不眠とか極端的な気持ちの変化を見せている
長旅を準備するような行動, 物を人に上げる姿を見せる
62
自殺予防 :
原則と方向 - 5
‹ 自殺方法への接近をさえぎる
Æ
自殺の即刻的な減少.
例え: 農薬の安全管理, ロックの装置
地下鉄駅のスクリーンドアの設置
橋梁と屋上に高い壁づくり
‹ 精神疾患に対する偏見を減らし、積極的治療
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自殺予防 :
‹
原則と方向 - 6
健康な家族の機能と親の正しい子供の教育
Æ 精神健康と自我強健性の涵養
= 一番基本的な自殺予防の活動
= 重要な親の役割
‹ マスメディアは自殺の報道については慎重に,
生命尊重と自殺予防教育に先頭に立つ
‹ 宗教界が自殺予防に先頭に立つ
生命の尊厳性, 生きる事の意味と正しい価値
観,死の意味, 自殺の不当性,不可論
64
■ 自殺予防事業 –
原則と方向
現在国家の自殺予防対策、第二次5ヵ年計画
‹
問題 – 具体的な実現性の不在 / 予算の不足
自殺予防において保健福祉部の重要な役割
Æ 全ての政府的次元で推進する
(大統領特別委員会また国務総理室で引き受けて取り扱う).
‹
自殺予防方法
地域社会の自殺予防センターの核心的な役割
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自殺の危険性が高い危険群と自殺を計った人々を現場で助け
て命を救う活動は地域社会で施行しなくてはならない
広域市, 道の中に少なくとも一つをつくる
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危機介入と治療/相談 Intervention
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危機介入
入院治療
個人精神治療/相談
薬物治療
集団治療/相談
家族治療/相談
電話相談
サイバー相談
自殺を計った人の追跡治療
遺族との相談
66
自殺危険群の精神治療
ƒ 種類:
ƒ
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伝統的力動精神治療
Dynamic psychotherapy
対人関係治療
Interpersonal therapy
問題解決式の接近
Problem-solving approach
認知行動治療
Cognitive behavior therapy
弁証法的行動治療
Dialectical behavior therapy
心理的苦痛の軽減
現実的な支持、過去よりは現在の問題解決に中心を置く
危機対処能力と自我の強健性を高める
(衝動遅延, 忍耐力,憤怒調節能力, 対人関係の技の増進, 自尊間の
増進、社会的支持の確保, ストレスの管理, 自分の考え-感情-行動
の関係の理解と自己管理等。)
自殺の対案の模索/提示
67
死後介入と遺族の管理 Postvention
ƒ
心理的剖検
Psychological Autopsy
自殺による死亡者がいると家族,親類,同僚と面談し,関連記録を
集めて分析して、死亡原因に関して総合的に、明らかに結論を下ろ
す過程
ƒ
遺族の相談
Suicide survivor
- 衝撃, 否定, 憤怒, 罪意識,恥などの複雑な感情
- 自殺者の家族という烙印に対する恐れÆ 閉鎖,秘密
- 痛みを家族皆が分かち合うようにして,充分な哀悼の反応を
通るように配慮する
- 残った家族の伝染性の自殺,罪意識による自殺,
死亡者と再び結び合おうとする自殺の予防
68
69
自殺に対する教会の立場の読み取り-1
聖書の中での自殺
ƒ アビメレク (士師記 9, 53-54): シゲムの人に裏切られ、人々が自分
の頭に挽き臼の上石を落とた女に殺されたと言われない為に、武器を持
つ従者を呼んで自分に剣で刺すようにさせた。
ƒ サウル (サムエル記上 31, 3-5): ギルボアの戦闘で敗れて敵に侮辱さ
れるのを避けようと武器を持つ従者に自分を殺すようにさせる。しかし
ためらう部下を見て自ら自分の剣の上に倒れ伏して死んだ。その従者も
サウルが死ぬのを見て自分も自分の剣で自殺する。
ƒ アヒトフェル (サムエル記下 17,23) : ダビデ王を攻撃,その目的が
失敗すると自分の家で首をつって死んだ。知恵があるという名誉を一瞬
失う恥によって自殺する。
ƒ ジムリ (列王記上 16, 17-30): エラ王の悪政にクーデータで王になっ
たが、民から権力の正当性を認めて貰えなくて、都が陥落されるのをみ
て宮殿に入り自ら火を放って死んだ。
70
自殺に対する教会の立場の読み取り -2
聖書の中での自殺 -2
ƒ ラジス (マカバイ記二 14, 37-46): ユダ人のお父さんを知られた
ラジスは城壁の上から投身したが死なないと、最後には両手で自分
のはらわたをつかみだし敵に投げつけた。
ƒ イスカリオテのユダ (マタイ 27, 5, 使徒言行録사도 1, 18):
新約聖書に現れている自殺に対する唯一の例である。師を銀貨三十
枚で売り渡したユダはイエスを裏切った事に呵責を感じて“私は罪
の無い人の血を売り渡し、罪を犯しました”と言い銀貨を神殿に投
げ込んでから首をつって死んだ。
Æ
恥じ, 罪意識, 憤怒による自殺に至る事件を
具体的に描く
71
自殺に対する教会の立場の読み取り
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-3
創世記: 人間は神様の姿で創造され
これが人間尊厳性の基礎になる。
申命記: 神様が生と死の持ち主
すべての命は例外なしに神様の贈り物
モーゼの法; 殺人するな(第五の掟)
ヨブ記 ; 人生があまりにも辛くても神様を呪ったり
命を切る理由にはなれない。
St. Augustinus: 何の訳によっても自殺は正当化は出来ない。
St. Thomas Aquinas:
自殺は自分を愛しなさいという自然法に逆らう行為。
共同善と共同体に損害を与える冒瀆の行為。
生命の絶対権者である神様の権威を侵す行為。
72
自殺に対する教会の立場の読み取り -4
自殺に対するカトリックの教理書の教え
ƒ 人間の生命は神聖である。神様だけがその始まりからその最後まで命の
持ち主であるから、誰も、何の場合にも無罪な人間を直接破壊する権利
を主張出来ない。(2258項)
ƒ 自殺は第五の掟が禁する殺人で神様から頂いた尊い命を勝てに殺す行為
であり、人間の尊厳性と創造主の黄金率と彼のせいなる御心に逆らう行
為である。(2261項).
ƒ 人は皆自分に命を与えた神様の御前で自分の生命に責任を負わなくては
ならない。私達は神様が私達に預けられた命の管理者であり持ち主では
ない。私達は私達の命を自分勝てに処分出来ない。(2280項)
ƒ 自殺は自分の生命を保ちながら永続しようとする人間の本姓的な傾向に
反することである。又、正しい自己愛にも多く外れている。その同時に
自殺は隣人に対する愛をも破ることである。(2281項)
73
自殺に対する教会の立場の読み取り-5
『生命の福音
Evangelium vitae (ヨハネパウロ二世1 995)
ƒ
人間の生命の価値とその不可侵性
ƒ
現代科学文明の発達Æ 技術,物質万能主義, 経済的効率性を最優先す
る現代の歪んだ価値観Æ 命を軽視する“死の文化”(堕胎,安楽死,自
殺,体外受精, 胚芽の破壊など)Æ 生命破壊, 人間の尊厳性の毀損
ƒ
“自殺は常に殺人と同じに道徳的に反対しなくてはならない事です。
自殺には自己愛の拒否が含まれているし、隣人と自分が属している共
同体と全体の社会に向かう正義と慈しみの義務の放棄も含まれていま
す。自殺の一番深い実在は生命と死に関する神様の絶対的な主権に対
する拒否を表しています...”(66項)
試練中の自殺の誘惑 Æ 仲間意識, 同情と支持に対する要求
Æ 続けて希望を守っていくように助けを求める嘆願。
ƒ
ƒ
“死の文化” 克服,
“生命の文化” 建設
74
自殺に対するカトリック教会の立場の読み取り-6
自殺は;
1) 他人を殺す事と同様に直接殺人になる。
2) 命に対する神様の絶対権を侵す事になる。
3) 自分を愛し,自分を完成するの強調する自然法を破る事になる。
4) 社会共同体の中での自己義務を破る事になる。
自殺は 神様が下さった命を愛し,人を殺すな!という
神様の掟を拒む重い罪
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自殺予防の為の教会の活動
y 根拠: 生命対する愛, 生命を守る活動の一環
自殺を考えている人は一番苦痛の中にいる人
自殺行動は助けの訴えであり絶叫
A cry for help
“試練の時に必要な仲間意識と憐憫そして支持の要求”
“あらゆる人間的な希望が去られた時,
続けて希望を守っていけるように助けを求める嘆願“
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自殺予防の為の教会の活動 -3
既存のカトリック教会の自殺予防の活動
y 2002年からカトリックソウル大教区の警察司牧委員会
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自殺予防の為のプログラム, H.A.T.(Happy Art Therapy)
2005年 10月, ソウル大教区生命委員会: ‘真の生命学校’ 及びセミ
ナー, UCC公募を通して生命の尊厳性を伝える。間接的に自殺予防
2007年 7月, カトリック言論人協議会とソウル大教区生命委員会主催、
‘急増する自殺、何が問題のか-自殺の実態の把握と対策を探す討論会’
を開催
2008年 9月,他の市民、宗教団体と共に“自殺が無い健康な社会作り “
対国民声明に与る
2010年 3月, カトリックソウル大教区の‘一つの心、一つの体’運動本
部は政府の支援を貰‘一つの心,一つの体、自殺予防センター‘を設立,
青少年の自殺予防の活動が始まる
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自殺予防の為の教会の役割 -1
正しい信仰生活と生命教育 –一次的予防
命に対する敬い恐れる心, 尊厳性の回復
y 人生の意味と目的: 正しい価値観の確立,
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所有価値 vs 存在価値, 個人 vs 社会, 現実 vs 理想
人生において出会う苦痛、逆境。それを乗り越える事の意味 :
険しい人生の峠を精神的な価値,忍耐力、揺るぎない意志、信仰
心等によって打ち勝つ
家族機能の取り戻し: 情緒的な安定と所属間,自我強健性の増進
現代社会病理の危険性: 個人主義, 物質主義,享楽主義,虚無主義
連帯性の原理: ‘隣人に対する愛の掟‘, 苦しまれ困難な状況に置か
れている人々の痛みを顧みる
共同善の原理 :あらゆる人が自分の完成に至るように互いに助ける
死の意味と準備、正しい来世観
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自殺予防の為の教会の役割 -2
説教, 相談, 遺族に対するサービス
– 二次的な予防
y 自殺予防の為の説教、企画教育、自殺予防のキャンペーン;
自殺の不当性, 野蛮性, 不可論, 神様との関係の否定
y 司牧相談 :自殺危険群, 精神障害者 , 自殺を計った人々の群れ
- 神様の内に見失った自分を見付ける過程
- 分裂された自我の一部分を全体の中へ統合する過程
- ‘神様-隣人(社会と共同体)-自分’の関係の構図の中で
神様との正しい関係を取り戻す。
y 地域社会の相談所/自殺予防センターとの連係協力
y 自殺死亡者の遺族の為の相談とサービス
79
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