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(仮称)広報を戦略的に推進するためのガイドライン
全員協議会資料 1 平成27年7月21日 (仮称)広報を戦略的に推進するためのガイドライン(案)について 1 経緯 平成26年12月に、市議会総務常任委員会より、Facebook の創設、広報 戦略の策定、シティプロモーションの考え方の整理等を内容とする「広報のあ り方に関する政策提言」をいただきました。 提言を踏まえ、本市の広報の現状や課題を振り返り、提言書の中で基本方針 として示された「誰もが情報共有できる方法の実現」「市内外へのリアルタイ ムな情報発信」 「広報機能の体制強化」を実現するため、広報活動のあり方を 整理するための検討を進めてきました。 2 ガイドラインの位置づけ ガイドラインは、茅ヶ崎市全体の広報活動の活性化を図っていくために、職 員が担当する業務に関する広報の手法を考える際のヒントとなるようなもの としました。 3 主な内容 (1)広報活動の課題 ①市民が求めている情報の発信 ②市民とのコミュニケーション ③まちの魅力の発信 ④マスコミの十分な活用 (2)目標 茅ヶ崎の魅力を発信する人を増やす (3)広報を戦略的に進めるためのポイント ①テーマやターゲットを絞る ②ホームページの質の向上 ③クロスメディアの推進 ④ソーシャルネットワーキングサービスの活用 ⑤動画配信の活用 ⑥デジタルサイネージの活用 ⑦マスコミの活用 (4)推進のために(広報機能の体制強化) ①広報の重要性を認識する広報マインドの醸成 ②広報担当者による情報発信のコーディネートの推進 ③茅ヶ崎市地域情報化計画との連携 ④茅ヶ崎市観光振興ビジョンとの連携 ⑤フェイスブックの創設 ⑥報道対応マニュアルの整備 4 今後の予定 27年 8月 ガイドラインの策定 9月 ガイドラインの説明を含めた職員向けの研修会を実施 ガイドラインに位置づけた取り組みの実施 全員協議会資料 2 平成27年7月21日 (仮称)広報を戦略的に推進するためのガイドライン (案) 茅ヶ崎市企画部秘書広報課 はじめに 職員のみなさんは、それぞれが担当している施策を推進するにあたり、施策を広報す ることにどれだけ力を入れていますか? けになってしまっていませんか? ましたか? 単に「広報紙やホームページに掲載する」だ みなさんがお知らせした内容は、誰に向けて発信し その相手にとって興味あるコンテンツになっていましたか? 「誰にでも 分かりやすく」した結果、本当にその情報を届けなければいけない人にとって興味が湧 かないようなものになってしまっていませんでしたか? これまで、まちづくりが行政主導で行われていた時代には、自治体が決めたことや自 治体がお知らせしたいことをお知らせする「お知らせ型広報」が中心でした。しかし、 地方分権の推進に伴い、自治体は自らの責任においてさまざまな施策を実行していく地 域経営が求められています。 このような中、自治体の円滑な経営と都市間競争の生き残りを図るためには、そこに 住む住民との信頼関係の構築を図り、都市の魅力を幅広く発信する必要があり、広報も まちづくりの主役である住民とのコミュニケーションツールとして変化する必要に迫 られています。 住民との協働によってまちづくりを進めるには、自治体がお知らせしたい情報をお知ら せするのではなく、政策の実現に効果的な広報、住民の「知りたい」に応える広報、自治 体の魅力を発信する広報など、広報のあり方も変化する必要があります。 また、さまざまな施策を実施するうえで、そのプロセスで行われる広報に関して、施策 を担当する職員が工夫を凝らさなければなりません。 このような背景を踏まえ、広報活動の現状や課題、社会経済環境の変化に的確に対応し た広報活動のあり方等を改めて整理し、茅ヶ崎市全体の広報活動の活性化を図っていくた めに、職員のみなさんが担当する業務に関する広報の戦術を考える際のヒントとなるよう、 ガイドラインを取りまとめました。 どんなにすばらしい事業やイベントなどを実施しても、それが相手に伝わらなければ、 そして興味を持ってもらえなければ、施策の効果は大きく減少してしまいます。 ぜひ、このガイドラインを参考に、職員のみなさんが取り組む事業の一つ一つにとって 広報とは何かを今一度考えながら、事業の魅力を増幅させ、茅ヶ崎市の活性化に結びつけ ることができるよう取り組んでいただきたいと思います。 1 広報を戦略的に推進するためのガイドラインの構成 広報を取り巻く現状と課題 ■市が情報を発信していても、対象者に伝 ① 市民が求めている情報を発信できていない わっていない ② 市民とのコミュニケーションができていない ③ まちの魅力を発信できていない ■市民が欲しい情報を欲しいときに手に ④ マスコミを十分活用できていない 入れられない 課題解決に向けて ■重要性を増す広報の役割 ■明確なビジョンを持ち、情報提供のスピー (1)目的に応じた臨機応変な広報 ド化や双方向のコミュニケーションを図 (2)コミュニケーションを意識した広報 ることができる広報活動 (3)市外を意識した広報 ■他の自治体と差別化を図り、まちの魅力の (4)市以外の広報媒体の活用 ブランド化に繋がる広報活動 【目標】茅ヶ崎の魅力を発信する人を増やす 【広報を戦略的に進めるためのポイント】 ①テーマやターゲットを絞る ②ホームページの質の向上 ③クロスメディアの推進 ④ソーシャルネットワーキングサービスの活用 ⑤動画配信の活用 ⑥デジタルサイネージの活用 ⑦マスコミの活用 【推進のために (広報機能の体制強化)】 ●広報の重要性を認識する広報マインドの醸成 ●広報担当者による情報発信のコーディネートの推進 ●茅ヶ崎市地域情報化計画との連携 ●茅ヶ崎市観光振興ビジョンとの連携 ●フェイスブックの創設 ●報道対応マニュアルの整備 2 1 今、求められている自治体広報 高齢化の進展やライフスタイルの多様化等により、自治体の広報活動を取り巻く環境は 大きく変化しています。そのような中で、自治体の広報に求められているものも変化して います。少子高齢化の進展などによって、多くの自治体が財政難に直面し、限られた財源 でさまざまな施策を実施し続けなければならない状況の中で、自治体の広報には、大きく 次の2つのことが期待されていると考えます。 (1)住民と自治体との双方向コミュニケーション 住民と自治体が互いの理解と信頼を深めるためには、自治体からの情報発信が極めて重 要になります。特に、さまざまな施策を実施する上で、住民に「知ってもらうこと」「理解 してもらうこと」 「行動してもらうこと」ができなければ、住民の協力を得ることはできず、 施策の実施は困難なものとなります。また、せっかく実施した施策の効果を高めることが できません。 当然のことながら、自治体は施策を立案する上で、住民のニーズを把握し、克服すべき 課題に対する問題意識と目指すべき姿を住民と共有していなければなりません。 発信した情報に対する住民の反応や提案を施策に反映させるには、「広報と広聴は、車の 両輪」と言われるように広報と広聴が一体となり、一方的にお知らせするだけではなく、 お知らせした情報に対する反応や多くの個人的な意見や要望の中から、ニーズという多く の住民が共感できる意見や要望を探り出すなど、広報が住民と自治体とのコミュニケーシ ョンツールのひとつとして機能することが求められています。 (2)まちの魅力を発信するシティセールス 地域の活性化を図り、都市間競争に耐えうるためには、まちの評価や価値を高め「選ば れるまち」となることが求められています。 そのためには、既存の地域ブランドのほか、地元に埋もれた地域資源を生かし、ターゲ ットを絞りながら、まちの魅力、特にそのまちの生活スタイルやそのまちで暮らす魅力を 域外へ発信し続けるシティセールス(※)によって、まちのイメージアップを図ることが重 要です。また、域内に向けても同様の広報の強化を図ることで、住民の定住志向を高める こととまちの魅力を発信する住民を増やし、まちの魅力発信が連鎖していくような情報発 信の工夫が求められています。 ※ 「まちを売り出す」、 「まちを宣伝する」という意味。まちの「イメージアップ」や「情報発信力向上」 などを図り、最終的には定住人口を増やし、多くの観光客を呼び込むことで、まちを活性化させてい くという試み。 3 2 戦略的な広報活動の必要性 地域のことは地域で決めるという機運が高まるにつれ、好むと好まざるとにかかわらず、 都市間競争という渦に巻き込まれ、それぞれが持つ都市としての魅力を他の都市と競い合 うことになってきています。 本市は比較的知名度が高いものの、温暖な気候と豊かな自然に恵まれていることや、東 京・横浜方面への交通の利便性に優れていることなどを、どれほどの人が理解しているの か、そして興味を持っているのかを考えると、市としてのイメージが浸透しているとは必 ずしもいえません。 こうしたことを克服するには、「必要な情報とは何か」を分析し、「その情報を必要とし ているのは誰か」、「いつその情報を必要としているのか」など、ターゲットを把握した上 で「どのような情報をどのような表現方法で流せばいいのか」を考えた情報の発信を行わ なくてはなりません。 茅ヶ崎市を知っているのか、茅ヶ崎市に来たことがあるのか、茅ヶ崎市に愛着を持って いるのかなど、ターゲットがどの段階にいる人かによって、広報するタイミングや使う媒 体のみならず、シティセールスと双方向コミュニケーションのどちらに比重を置いて広報 すべきか、その内容も変わってきます。 双方向コミュニケーション 茅ヶ崎市を知らない 茅ヶ崎市を知っているが、興味がない 茅ヶ崎市に興味はあるが、行ったことがない 茅ヶ崎市に行ったことはあるが、魅力を感じない 茅ヶ崎市に魅力を感じるが、引っ越そうとは思わない 茅ヶ崎市に住んでいるが、住み続けたいとは思わない 茅ヶ崎市に愛着を持ち、住み続けたいと思う シティセールス 4 3 現在活用している広報媒体 市の広報活動は、大きく分類して各課との調整を図りながら秘書広報課が行う広報活動 と、各課が独自に行う広報活動に分かれています。秘書広報課が行う広報活動の各媒体の 概要は、次のとおりです。 (1)紙媒体 広報ちがさきや市政情報紙など、本市の基幹的な広報媒体であり、身近で依然として 需要は高く、市政情報発信の導入部として他の媒体への誘導を行う媒体としても有効で す。 (2)メディア媒体 FMラジオやケーブルテレビなど、イベントの告知や有事の際の緊急媒体にも適応可 能です。市民参加が多数あり、映像などを通して市政情報を発信できますが、平時の日 常的な利用率が低く、有線であることや送信出力の関係から広域的な情報発信が困難で す。 (3)電子媒体 ホームページやツイッターなど、即時に多くの情報を提供することが可能です。ウェ ブへの接続環境が確保できれば、どこでも情報を受け取ることができるため、広域性が 高いのが特徴で、広報紙に次ぐ基幹媒体です。 また、さまざまな環境で設置場所の特性に合わせた映像情報を送り届けるデジタルサ イネージが増えてきています。新庁舎への設置も予定されていることから、今後活用す る機会が増えていくことが予想されます。 (4)他媒体 広報掲示板など、アナログの広報媒体であり、市政情報やイベント等の情報発信を行 います。電子媒体が使用できない可能性のある災害時には、有益な通信手段となること が想定されます。 (5)記者発表 マスコミ関係を対象に市の事業等、社会的関心の高い内容をタイムリーに発信します。 即時性があり、新聞、テレビ等で取り上げられれば効果は大きくなります。 5 ■平成27年度広報媒体 広報ちがさき 月2回(1・15日発行)タブロイド8頁2色 毎号約88,000部発行、自治会経由で配布。 主な公共施設、銀行やコンビニ28店舗でも配布。2 5年12月から大規模店舗でも配布開始。 ・点字広報毎号41部発行 (点字広報等発行事業県補助金の活用) ・視覚障害者のために広報紙の読み上げ、録音などを 行う。 紙 媒 体 メディア媒体 広 こ ど も 広 報 15,600部×2回発行(26年度実績) 6年度から年2回(9月1日、3月1日)発行 小学校から5・6年生を編集委員として委嘱。 市 政 情 報 紙 年1回から2回発行(21年度事業開始) 発行部数約88,000部(26年度実績) 英 字 新 聞 20~22年度協働事業。23年度から委託事業。奇 数月の1日に約1,800部発行 F M ラ ジ オ FM湘南ナパサ:毎週平日朝夕2回5分番組 レディオ湘南:毎週水・土放送30分番組 有事の際は災害情報を放送 ケーブルテレビ デ ー タ 放 送 24年10月から防災行政用無線の補完機能として、 テレビ神奈川(tvk)で開始。防災情報の他に「く らしの情報」を配信中 ホームページ 11年度運用開始。22年1月からCMS導入、FA Q公開。スマートフォンや携帯電話にも対応。 ツ イ ッ タ ー 市民への災害情報提供を主目的に、23年度導入。現 在は市政情報や観光イベント情報等も配信。 報 電子媒体 他 媒 体 9年度から番組放送を開始。19年4月に防災協定を 締結、全時間帯の手話放送を開始。24年11月から YouTube で動画配信を開始。 メ ー ル 配 信 防災、防犯や市からのお知らせなどを配信。災害時に は、エリアメールで避難所情報なども配信。 デジタルサイネ ージ 神奈中バス30台に設置されているデジタルサイネ ージを活用して市政情報を配信。 広 報 掲 示 板 市内約210か所に設置し、市政情報やイベントなど の情報を発信。災害時には最も手軽な情報発信ツール となることが想定される。 庁 内 放 送 市役所来庁者へ市主催のイベント情報などを周知。 防災行政用無線 災害時の通信手段として使用するほか、平常時には行 方不明者の捜索など限定的に使用。 原則として毎月1回記者会見を開催。 市内情報やイベントなど記者に情報を提供。 記 者 発 表 6 4 広報活動の課題 限られた予算の中で効率的かつ効果的に広報を行うためには、従来の画一的な手法を踏 襲するだけでなく、テーマやターゲットに見合った情報発信手法を検討することが必要で す。これまで本市が行ってきた広報活動には、次のような課題があると考えます。職員の みなさんは、これまで担当した事業を進める過程での広報活動を振り返ってみましょう。 (1)市民が求めている情報の発信 市の施策の決定事項や事実のみを伝える内容が比較的多く、行政側からの一方通行の傾 向、いわゆる「お知らせ型の広報」になってしまいがちです。市民のニーズを意識した広 報ができていないケースも多く見受けられます。また、「広報した=伝えた」と行政側から の視点で評価してしまいがちです。 理解してもらい、共感してもらい、行動してもらえるような広報ができていたでしょう か。市が実施しているサービスを利用したときに、自分の生活にどのような変化が起こる のかといったことを連想させるような広報ができていたでしょうか。 市として「伝えたか」という視点ではなく、情報が必要な人に「伝わったか」という視 点で振り返ってみる必要があります。 また、広報すべきターゲットが、必要とする情報を欲しいときに手に入れられる環境が 整っていたかどうかも含めて検証してみることが必要です。 (2)市民とのコミュニケーション 広報するときは、いつも広報紙とホームページというように、手法が画一的になってい るケースが多く見受けられます。誰に向けて発信すべきか、いつ発信すべきか、発信する 情報によって適切な広報媒体を選択していたでしょうか。期待どおりの結果が得られたか どうか等、広報効果や広報内容に対する意見や提案などの把握に努めることができていた でしょうか。また、把握した意見や提案を施策に反映することができていたでしょうか。 (3)まちの魅力の発信 まちの魅力やブランドイメージなどを積極的に伝え、市内外の住民の心を惹きつけるた めの努力や工夫をしていたでしょうか。必要に応じて民間事業者などとも連携を図りなが ら、あらゆる手段を講じて、きめ細やかかつ継続的に茅ヶ崎の魅力を発信し、感じ取って もらうことができていたでしょうか。 (4)マスコミの十分な活用 厳しい財政状況の中で広報活動に充てられる予算は限られています。広報紙やホームペ ージ等の広報媒体での情報発信のほか、速報性に優れ、市民への浸透性も高い、マスコミ を通じた情報発信を十分に活用できていたでしょうか。 7 5 目標 昨今の激しくなる都市間競争の中で、少子高齢化が進む本市が持続可能なまちづくりを 進めるためには、若い世代を増やして高齢化の進展を緩やかにするとともに、税収を増や して充実した行政サービスを提供することで、定住志向が高まり、豊かな長寿社会を楽し む人々が増え、これが再び若い世代の流入を促すといった循環を引き起こすことが必要で す。 一人でも多くの観光客を本市のファンにすることで若い世代の流入を促し、一人でも多 くの市民を本市のファンにすることで本市に住み続けてもらうことが必要です。市内外で のイメージアップを図ることが重要であり、市民が地元茅ヶ崎に対する愛着度、いわゆる 「地元愛」の高まりが市民に還元されていくことになります。 まず、本市を知ってもらい、知っている人には興味を持ってもらい、本市の情報にアク セスしたり、本市に遊びにきたりするなど行動してもらい、「茅ヶ崎っていいな」と思って もらうなど、次のステップへの動機づけとなるような施策と広報活動を連携させて行うこ とで、段階的に本市に魅力を感じる人々、本市に愛着を持つ市民を増やすよう誘導してい きます。本市の知名度を高める取り組みから、 「茅ヶ崎に行ってみたい」と思わせる取り組 み、「茅ヶ崎に住んでみたい」と思わせる取り組み、「茅ヶ崎に住み続けたい」と思わせる 取り組みなどが、継ぎ目なく行われることで、本市に魅力を感じ「茅ヶ崎に住んでいるこ とが誇らしい」と思う人々を増やすことができると考えます。 市政情報の伝達イメージ 魅力発信の連鎖 広報紙、広報番組(CATV・FM) デジタルサイネージなど 新聞、テレビ ラジオなど ターゲット マ ス コ ミ ターゲット 各 課 か い 秘 書 広 報 課 口コミ ソーシャルメディア ホームページ・ポータルサイト ポスター・説明会など さらに、昨今では、ソーシャルメディアの普及によって、個人が容易に情報発信できま す。たとえば、商品を選ぶ際に、他の人が発信した評価や体験談、口コミを簡単に閲覧で きることで、同じ立場の人々がどのように評価しているのかを参考にして商品を選ぶこと が増えています。コミュニティの中やインターネット上で影響力を持つ人が、本市に魅力 を感じたり、愛着を持ったりすれば、人から人への魅力発信の連鎖が期待できます。 8 戦略的な広報の目指すべき方向性のイメージ 知ってもらい、共感してもらい、 次のステップへの動機づけとなる 行動してもらえる広報 継ぎ目のない取り組み 双方向コミュニケーション ①茅ヶ崎市を知ってもらう ②茅ヶ崎市に興味を持ってもらう ③茅ヶ崎市を訪れてもらう ④「茅ヶ崎っていいな」と思ってもらう ⑤茅ヶ崎市に引っ越してもらう ⑥茅ヶ崎市で生活してもらう ⑦茅ヶ崎市に愛着を持ってもらう シティセールス 【目標】茅ヶ崎の魅力を発信する人を増やす 豊かな長寿社会 定住志向の高まり 人や企業の流入 【目的】 持続可能な まちづくり 行政サービス向上 経済活動の活性化 税収アップ 9 6 広報を戦略的に進めるためのポイント 市職員のみなさんが、担当している事業を推進するに当たり、どのような場面でどのよ うな広報活動を行うことが効果的であるかは、それぞれの事業によって異なります。茅ヶ 崎の魅力や可能性をさらに高めるためには画一的な手法を踏襲するだけでなく、それぞれ の広報媒体の特性を参考にしながら、場面ごとに情報の受け手となる人々のニーズを大切 にしながら、効果的だと思われる戦術を練って広報活動を推進する必要があります。次の ポイントを参考に検討し、戦略的な広報活動を行い、事業の効果を増幅させましょう。 【ポイント1】テーマやターゲットを絞る 情報を効果的に伝えるためには、ターゲットを絞ることが重要になります。ターゲット の年齢・性別・居住地・家族構成・ライフスタイルなどさまざまな属性によって、その人 の興味や関心はさまざまであり、日常的に接している広報媒体にも差があります。 これまでの自治体広報では、「すべての人に平等に」「だれにでもわかりやすく」という 心構えで情報発信を行っているケースが多いと考えられます。一言で「市民」といっても、 行政サービスの消費者としての「顧客」であるか、「納税者」であるか、協働の「パートナ ー」であるか、それぞれの場面で「市民」の立場は異なります。それぞれのターゲットに 興味をもって情報に接してもらえるよう、ターゲットを絞って、発信する情報の内容や発 信する広報媒体、表現方法などの差別化を意識してみることも必要です。 テーマやターゲットを明確にしないと、情報が散漫になったり、時には誰にとっても興 味のないものになったりして、伝えたいことが上手く伝わらなくなってしまいます。 大切なのは、 「伝えたか」ではなく「伝わったか」です。 ○情報を伝えるべきターゲットの明確化 ○多様な広報媒体の活用 ○媒体ごとの特性を踏まえた、活用する広報媒体の適切な選択 ○広報ちがさきの配架場所の拡充 【ポイント2】ホームページの質の向上 現在、市ホームページは、市政情報を分かりやすく、タイムリーに発信しています。迅 速な情報提供と情報更新、場所を選ばない情報入手等、さまざまな特性を持ち合わせてお り、今後、広報媒体としての重要性が日に日に増していくものと考えます。 しかしながら、一部の人にとってはなじまない広報媒体でもあるため、引き続き検索の しやすさ、使いやすさ、分かりやすさ等も求められます。特に、高齢者や障害者でも容易 に利用できるような配慮や工夫が不可欠です。さらに、発信している情報が最新のもので あるかどうか常に確認し、情報の鮮度を保たなければなりません。 ホームページを閲覧する人が、自分自身の置かれている状況とホームページから知り得 た情報を重ね合わせることで、さまざまな市の施策が自分自身と身の回りに及ぼす影響や 10 効果などを容易に想像できるようなコンテンツを用意するなどの工夫をしましょう。 ○興味をもたせるようなビジュアルデザインの工夫 ○目的のページにたどり着きやすくする見出しや分類の工夫とナビゲーションの充実 ○関連するページへのリンクの設定 ○アクセシビリティやユーザビリティの向上 【ポイント3】クロスメディアの推進 情報の発信を行う際に、 「誰に」、「何を」、「どのように」提供するかということを明確に し、各広報媒体を有機的に結びつけて利用度を高めていく工夫が重要となります。 例えば、ターゲットとなる世代ごとに情報を整理し、ホームページでの情報提供が効果 的であると思われる世代には情報をホームページ上で見てもらうなど、ホームページやソ ーシャルメディアと広報紙などの紙媒体のバランスを考えましょう。そのうえで、情報と 接する入口となる広報紙やソーシャルメディアなどから、ホームページへと誘導するとい った工夫をすることが重要です。 また、常時身近に置き、見たいときにいつでも見ることができることで、パソコンによ るウェブの閲覧より、さらにターゲットとの距離感を縮めることができるスマートフォン やタブレットといったモバイル端末の活用も視野に入れた発信に心がけることが、ますま す重要になっています。 ○広報媒体をPRする「広報の広報」 ○ある媒体から他の媒体へ誘導するための工夫 ○それぞれの媒体の特性を生かした情報の内容と表現などの差別化 【ポイント4】ソーシャルネットワーキングサービスの活用 ソーシャルメディアは、情報収集・伝達の容易さや即時性などの視点から既存の情報発 信手段・情報媒体がカバーしきれない部分を補完するものとして、注目を集めています。 中でもソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は、共通の趣味や関心を持つ人 同士でコミュニティを形成して「自分の関心の高い情報」を得ることに加え、相互交流を 通じて「人と人とのつながり」を享受することができるところに大きな利点があります。 また、ホームページのように自ら情報を「取りにいく(能動的)」ではなく、自動的に情 報が「飛び込んでくる(受動的)」ため、受信者の情報の取得が容易になるとともに、情報 が二次的に伝達する「拡散性」の性質により、短時間で広範囲に情報が伝達するSNSの 活用を検討しましょう。 ○ツイッターを活用した情報発信 ○フェイスブックを活用した情報発信 ○若年層を意識した情報選択 ○イベント会場や災害現場からのリアルタイムな情報発信 11 【ポイント5】動画配信の活用 ソーシャルメディアで動画を活用することは、広報紙などの紙媒体では紹介しきれない 詳細な内容とともに、分かりやすく視覚に訴えることができ、文字や写真では表現しきれ ない場の雰囲気も伝えることができます。YouTube などでの動画配信を活用するメリットは、 番組の動画を市の公式ホームページに掲載した場合、通常は市に関心のある人から視聴さ れるにとどまりますが、YouTube などであれば、関連動画を通じて、そのテーマに関心があ る幅広い層の人々からも閲覧される可能性もあるため、シティセールスの観点からも非常 に有益です。 そのため、常にまちにあるもの全てが市政情報を発信に関するコンテンツになりえる可 能性を秘めているという認識を持ちながら、市広報番組や市長の記者会見に限らず、幅広 い視野をもって動画配信の活用を検討しましょう。 ○YouTube などの活用 ○ホームページやSNSと連携した動画による情報発信 【ポイント6】デジタルサイネージの活用 デジタルサイネージでは、モニターをネットワークと接続して映像を映し出すことで、 ポスターやリーフレットなどの紙媒体とは違ったさまざまな表現方法を用いることが可能 で、見ている人に強い印象を与えることが可能です。また、さまざまな情報を順次表示す ることで、特定のテーマに関心がある人に限らず、幅広い層の人々からも閲覧される可能 性もあり、モニターの設置場所次第では不特定多数の人々へ向けた情報発信が可能です。 多くの情報を伝えることには不向きな媒体かもしれませんが、多くの人に伝えたい情報 の入口を提供し、詳細を記載したパンフレットを手に取ってもらったり、ホームページを 見てもらったりするきっかけとするなど、他の媒体との使い分けや併用を工夫しましょう。 ○鉄道やバスの車内でのデジタルサイネージの活用 ○市役所新庁舎でのデジタルサイネージの活用 ○目を引くデザインやタイトルの検討 ○動画などのビジュアルを生かしたコンテンツの検討 【ポイント7】マスコミの活用 マスコミを通じた情報発信は、速報性に優れ、市民への浸透性も高いといった特性があ り、情報発信の効果を増幅させる効果があります。そのためにも、特に日頃から市民等へ の市政運営の説明責任を果たすとともに、事件、事故発生時には迅速で的確な情報提供を 行うことが必要不可欠です。 中でも、暮らしに役立つ情報を提供している地域情報紙や生活情報紙と呼ばれる媒体や、 地域での社会貢献活動を展開している媒体などは、地域に密着し市民からの支持を多く得 ているばかりか、常に地域の声に触れ地域のニーズを把握している強みがあり、連携する ことによって大きな影響力を持っています。 12 また、タイミングを意識した記者発表とあわせて記者の目に止まりやすく、アピール度 の高い資料の作成やマスコミとの良好な関係構築に努めることも極めて重要です。 ○積極的なプレスリリース ○アピール度の高いリリースペーパーの作成 ○マスコミと連携した事業展開 13 ■各広報媒体の特性 媒 体 特性(活用の方向性など) ・本市の基幹広報媒体として積極的に活用 広報ちがさき 紙媒体 ・情報の導入部として他の媒体へ誘導できる ・他の媒体と比較して能動的 ・紙面の保存が容易 ・「広報ちがさき」では伝えきらない内容を掘り下げる 市政情報紙 ・紙面の保存が容易 ・民間の情報誌のように読みやすさや親しみやすい要素を盛り込める ・災害協定の締結により災害時などの情報発信媒体として活用できる FMラジオ ・仕事中の方や運転中の方への情報提供 ・情報を得ようとする意思がなくても情報を伝えることができる ・電波の届きにくい場所があるが、インターネットを通じた聴取も可能 ・視覚と聴覚で伝達できるため、年齢や障害を問わず理解を深められる メディア 媒体 ケーブル テレビ ・行政情報のみではなく、市民参加による番組づくりを実施中 ・災害協定の締結により災害時などの情報発信媒体として活用できる ・24年11月から YouTube を活用した動画配信を実施 ・放送した番組を蓄積し、史料アーカイブとしても活用できる データ放送 ・地上デジタル放送が受信できるテレビがあれば情報にアクセスできる ・災害時などの情報発信媒体として活用できる ・多くの情報を蓄積でき、即時性、広域性がある ・インターネット環境にあれば、時間や場所に関わらず閲覧が可能 ホームページ ・情報量が多いため、情報を検索しやすくする工夫が必要 ・新鮮な情報を提供するため、平時の内容更新が不可欠 ・各課かいの担当者の意識によって内容の充実度に差が付きやすい ・閲覧者の立場に立ち、わかりやすく見てもらえるページづくりが必要 電子媒体 デジタル サイネージ メール配信 サービス SNS ・紙媒体とは違った表現や動画の活用が可能 ・設置場所によっては、不特定多数の人の目に触れる ・一度に詳細な情報を伝達するには不向き ・関心がある登録者本人に直接情報を提供できる ・広報紙やホームページへの誘導が可能 ・無料で利用でき、災害時にも有効 ・「お知らせ型」広報としても、広聴のためのツールとしても有効 ・マスコミという客観的な視点で報道される マスコミ 記者発表 ・情報の受け手には信頼度が高く説得力がある ・速報性・浸透性に優れ、情報伝達の効果が高く、社会的反響が大きい 14 7 推進のために -広報機能の体制強化- 市の情報発信力を強化するため、全職員が広報活動の重要性を認識し、積極的に広報活 動を行うことができるよう、秘書広報課が中心となって体制を強化します。 (1)広報の重要性を認識する広報マインドの醸成 広報活動は本来、市の施策、事業やサービスと一体のものですが、「事業補完するもの」、 「事業全体とは別個の業務」と考える傾向があることも事実です。さまざまな事業は完了 時に初めて広報するのではなく、事業開始時からの継続した広報を行うことで、情報の受 け手に立った情報発信が可能となります。また、広報の効果を高めるためには、市の職員 一人一人が広報の重要性を自覚し、積極的に活動することが大切です。広報の必要性や重 要性をしっかり理解し、行動してもらうために、全職員が広報活動に対する理解を更に深 め、意欲的に広報活動を行うとする意識の醸成や広報技術の向上を図ることができる取り 組みを進めます。 【具体的な取り組み例】 ○広報主任者制度の見直し ○広報に関する意識改革を図るための職員研修の実施 (2)広報担当者による情報発信のコーディネートの推進 市の情報発信力を総合的に高めるためにも、秘書広報課のマネジメント力、コーディネ ート力の向上を図り、秘書広報課が中心となり各課の広報活動のバックアップを行い、広 報分野の庁内体制の整備や各課間の連携の強化を図り、情報発信のレベルアップを図る必 要があります。また、各課が発表を予定している情報を、秘書広報課へ集約できる取り組 みをさらに強化・推進し、庁内横断的に連携が図れるようなコーディネートを行い、最も 効果的な情報発信の手法を助言します。 【具体的な取り組み例】 ○記者発表予定の把握 ○リリースペーパー作成のアドバイス ○ホームページのナビゲーションに関する見出しや分類の工夫 (3)茅ヶ崎市地域情報化計画との連携 近年のICTに係わる技術の進展、政策の変化、セキュリティ脅威の拡大など、本市を 取り巻く外部の環境は著しく変化していることから、環境の変化に対応した新しい情報化 によって、まちづくりや行政経営の高度化を実現することを目的とした、茅ヶ崎市地域情 報化計画と連携します。 【具体的な取り組み例】 ○情報発信システムの普及と活用 15 ○情報セキュリティの強化 ○新たな情報発信手法の導入に向けた情報システムの整備 ○高齢者や障害者の安定的な生活を確保するシステムの導入の検討 ○オープンデータライブラリの充実 (4)茅ヶ崎市観光振興ビジョンとの連携 全国の自治体はイメージアップを図り、地域の活性化を推進するため、まちの魅力を広 く内外にPRすべく様々な取り組みを行っています。こうした取り組みは、一般的にシテ ィセールス、シティプロモーションと呼ばれる「まちや地域の売り込み」であり、いわば 「自治体の営業活動」と言い換えることができます。本市の観光スポットや特産品、グル メなどを売り出し、それをまちの地域資源として、広く名前を知ってもらい、訪れてもら うには、茅ヶ崎市観光振興ビジョンを踏まえた取り組みが必要です。 その一方で、この土地で暮らしている住民への取り組みを幅広くPRすることで地域が 活性化し、その結果として外部からの視線を集めるようになることも念頭に置くことが重 要です。 【具体的な取り組み例】 ○市の魅力を発信するプロモーションビデオの制作 ○ホームページやソーシャルメディアを活用した市外に向けた情報発信 ○魅力的で分かりやすいシティセールス (5)フェイスブックの創設 フェイスブックは、実名登録が義務付けられ、本人の顔写真、実社会でのプロフィール の登録も義務付けられていることから、他のSNSと比べて非難・批判・誹謗・中傷など のコメントが殺到するような状態になりにくい傾向にあります。発信された情報を見た人 が「いいね!」ボタンを押して共感を示すことなどにより、情報が拡散していきます。 フェイスブックを企業と顧客、自治体と住民をつなぐコミュニケーションツールとして 導入する企業や自治体も徐々に増えてきています。住民が手軽に情報を得ることができ、 コメントを残すことができることから、住民の反応も得やすいフェイスブックは、自治体 の広報媒体として有効なものであると考えられるようになっています。 中高年層よりも若年層にユーザーが多いことからも、これまで市が発信してきた情報に 積極的に接していなかった人々への情報伝達の手段として効果的です。また、市からの情 報発信が人から人へと連鎖することで、短時間で広範囲に情報を伝達させることが期待で きます。 【具体的な取り組み例】 ○フェイスブックの創設 ○フェイスブック運用に関するルールの策定 16 (6)報道対応マニュアルの整備 効果的で魅力ある発信手法を考えた場合、行政による市政情報の発信のみではなく、マ スコミを活用した情報発信が有効です。 災害や不祥事などの際は、災害や不祥事など起きてしまった事実が危機であることばか りでなく、マスコミへの対応次第で市政全般に対する市民の信頼を損なう可能性があるこ とも、本市にとっての危機であると認識しなければなりません。 このため、速やかな公表と、それに至るまでの情報収集や事実確認の手順などを整理し て、マスコミ対応のスキルをさらに磨き、市の情報発信力向上を図ります。 【具体的な取り組み例】 ○危機発生時の記者発表に関するマニュアルの整備 ○メディアトレーニング(※)の実施 ※ マスコミへの対応力を養うためのトレーニング。模擬のインタビューや記者会見などを行い、マスコ ミに対するコミュニケーション技術を高めるもの。主に、事故や不祥事などが発生した際の取材や記 者会見に備えるために行う。 17 終わりに -新しい時代に対応した広報活動の実現のために- 現在、茅ヶ崎市の広報活動は大きな曲がり角にさしかかっているといえます。 それは、本市も含め、多くの自治体は社会・経済情勢の変化や市民ニーズの多様化等に より、市民から期待される役割も変化し、今後、広報活動の重要性が増すことはあっても 減じることはなく、広報のあり方が自治体経営の方向性に大きな影響を与えるといっても 過言ではないからです。 一方で激化しつつある自治体間競争を勝ち抜くためには、従来にない新しい発想や取り 組みが求められています。地域のことを地域で決めることができる領域を拡大し、市民に より近い視点で、市民ニーズに応じたきめ細かなサービスを提供することが必要です。 また、少子高齢化が進む本市が、持続可能な街づくりを進めるためには、若い世代の流 入を促すとともに、若年層や子育て世代が暮らしやすいまちづくりを進めることが不可欠 です。 さらに、豊かな長寿社会の実現に向け、多くの人々が、いつまでも元気で、自分らしく、 生涯この土地で暮らせるような仕組みの構築も急がなければなりません。 全職員が茅ヶ崎市の将来を考え、市の施策や地域事情に精通することに加えて、効果的 なPR手法を考える手法を身に付ける必要があります。 何よりもまず、市民に多くの情報を発信しましょう。市民は市の情報を得ることで、茅 ヶ崎市を改めて知り、わがまち茅ヶ崎市を愛し、誇りを持つことで、そこから情報は広が っていきます。 このガイドラインに基づき、茅ヶ崎市の全職員が茅ヶ崎市の広告塔として広報の重要性 を自覚し、積極的に活動することで、茅ヶ崎市の広報活動をさらに発展させていきましょ う。 18