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平成19年 第1回 東京都教育委員会定例会会議録
平成19年 第1回 東京都教育委員会定例会会議録 日 時:平成19年1月11日(木)午前10時00分 場 所:フロラシオン青山 平成19年1月11日 東京都教育委員会第1回定例会 〈議 1 題〉 議 案 第1号議案 東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例の制定依頼に ついて 第2号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定依頼に ついて 第3号議案 東京都教育委員会の権限委任等に関する規則の一部を改正する規 則の制定について 第4号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例の制定依頼について 第5号議案 東京都体育施設条例施行規則を廃止する規則の制定について 第6号議案 東京都公立学校教員等の懲戒処分等について ~第8号議案 2 報 告 事 項 (1)都立高校教育環境改善検討委員会報告書について (2)平成19年度都立高等学校における教科「奉仕」の授業計画について (3)平成18年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について (4)平成19年度教育庁主要事業予算について - 1 - 事務局(説明員) 委 員 長 木 村 孟 委 員 鳥 海 巖 委 員 米 長 邦 雄 委 員 内 館 牧 子 委 員 髙 坂 節 三 委 員 中 村 正 彦 教育長(再掲) 中 村 正 彦 次 長 松 田 二 郎 理 事 近 藤 精 一 総務部長 志 賀 敏 和 学務部長 山 川 信一郎 人事部長 松 田 芳 和 福利厚生部長 橋 本 直 紀 指導部長 岩 佐 哲 男 生涯学習スポーツ部長 三田村 みどり 国体準備担当部長 関 修 口 一 学校経営指導・都立高校改革推進担当部長 (書 記) 新 井 人事企画担当部長 直 原 教育政策担当参事 石 原 清 志 特別支援教育推進担当参事 荒 屋 文 人 多摩教育事務所長 柴 崎 正 次 教育政策室政策担当課長 小 菅 政 治 - 2 - 清 博 裕 開 会 ・ 点 呼 【委員長】 ・ 取 材 ・ 傍 聴 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 時間になりましたので、ただいまから平成19年第1回定例会を開会させていただきま す。 まず取材・傍聴関係でございますが、マスコミの方は産経新聞社外6社、合計7社 からの取材の申込みがございます。個人は3名からの傍聴の申込みがございますが、 許可してもよろしゅうございますか。―〈異議なし〉― また冒頭、テレビ朝日からカメラ撮影の申込みがございましたので、よろしくお願 いいたします。 それでは入室していただいてください。 会 議 録 署 名 人 【委員長】 本日の会議録の署名人でございますが、米長委員にお願いしたいと思 います。よろしくお願いいたします。 前々回の会議録 【委員長】 前々回11月24日の第20回定例会の会議録につきましては、前回お配り いたしましてご覧いただいたと存じますので、よろしければご承認賜りたいと存じま すが、よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それでは第20回定例会の会議 録につきましてはご承認いただいたということにさせていただきます。 前回12月15日の第21回定例会の会議録は机の上にお配りしてございますので、次回 までにご覧いただきまして、次回の定例会でご承認を賜りたいと存じます。よろしく お願いいたします。 次に非公開の決定でございます。本日の教育委員会の議題等のうち第6号議案から - 3 - 第8号議案までにつきましては人事等に関する案件でございますので非公開としたい と存じますが、よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それではこの件につ きましてはご了解いただいたということにさせていただきます。 議 第1号議案 案 東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例の制定依頼に ついて 【委員長】 まず第1号議案、東京都立学校校外教育施設設置条例を廃止する条例 の制定依頼について、説明を特別支援教育推進担当参事よろしくお願いいたします。 【特別支援教育推進担当参事】 これより第1号議案、東京都立学校校外教育施設 設置条例を廃止する条例の制定依頼についてご説明いたします。 このことにつきましては、現在、教育庁が進めております東京都特別支援教育推進 計画の第一次実施計画が平成16年11月に策定された際にも本委員会においてご説明申 し上げておりますが、時間が経過しておりますので、改めてご説明させていただきま す。 従来、盲・ろう・養護学校の児童・生徒を対象といたします都立学校校外教育施設 は、都立盲・ろう・養護学校の児童・生徒が集団で宿泊生活を行うことにより、基本 的生活習慣の確立や集団適応能力を養うことなどを目的といたしまして、土肥臨海学 園(静岡県伊豆市)と聖山高原学園(長野県長野市大岡)の二つがございました。今 日ご説明いたしますのは聖山高原学園でございまして、長野駅から篠ノ井線に乗り換 えて聖高原駅で下車しまして、そこから車で40分程度かかるところでございます。東 京 か ら 約 180キ ロ メ ート ル の 距 離が ご ざ い まし て 、 電 車と バ ス を 利用 し た 場 合で も 、 休憩など入れて四、五時間かかる場所にございます。 両施設は、いずれも遠隔地にございまして、交通の利便性が良くないことから、肢 体不自由養護学校の利用は両施設とも平成13年度以降は全くございません。その理由 は、障害の重度・重複化や多様化に伴いまして、体調維持などの関係から遠隔地への - 4 - 移動が困難な児童・生徒が増加してきたこと、また民間施設などの受入れ態勢の整備 が進んできたわけでございます。 また、小学部の利用もほとんどない状況でございます。これは小学部の宿泊を伴う 学校行事が1泊2日や2泊3日程度の日程がほとんどでございまして、遠隔地の場合、 移動に時間がとられまして、実際の活動時間が少なくなるためでございます。 児童・生徒が増加傾向にあるにもかかわらず、校外教育施設の利用率が非常に減少 してきており、在籍児童・生徒数をもちまして利用児童・生徒数を割り返しますと、 聖山高原学園は30%を割りまして27%前後が3年くらい続いているところでございま す。 また、この施設の老朽化も進んでおります。聖山高原学園の施設に関しましては昭 和48年に開設しております。そのために、維持管理コストが非常に高くついておりま し て 、 平 成 17年 度 に お き ま し て は 、 聖 山 高 原 学 園 は 6,000万 円 相 当の 費 用 が か か って おります。 一方で、児童・生徒の障害の状況や保護者の多様な要望、すなわち、子どもの将来 を考えると、校外教育施設以外の施設に宿泊し、健常者と一緒の集団生活などを経験 させたい、あるいは施設設備の充実した病院がその宿泊施設のそばにあることなどの 要望がございます。こうした要望にこたえるために、移動教室の宿泊施設を校外教育 施設に限らず幅広く選定する学校が増えてきております。これら都立の施設以外の利 用実績は、平成16年度では46校が115回、平成17年度が46校で116回となっております。 このため、東京都特別支援教育推進計画におきましては、民間施設等の障害者の受 入れ態勢が整ってきた昨今の社会情勢を踏まえまして、校外教育施設の見直しを行い、 土肥臨海学園は平成16年度に閉所し、聖山高原学園におきましては今年度末に閉所す ることといたしました。 今後は、区部や市部におけるユースプラザなどの公的施設やその他の民間施設を利 用していくことになります。 その際に、これまで校外教育施設を利用する場合についてのみ医師及び臨時介助員 の付添いを措置しておりましたが、安全性をより十分に確保する方策といたしまして、 平成17年度から校外教育施設以外を利用する場合であっても措置することとしており - 5 - ます。 また、今年度より障害者の受入れに対応いたしました宿泊施設情報をデータベース 化いたしまして各学校に周知を図っており、今後ますます学校外活動の充実を図って まいる所存でございます。 閉所後の施設に関しましては、財務局へ移管した後、売却する予定となっておりま す。 なお、都議会への条例の上程時期でございますが、平成19年第1回都議会定例会に 上程させていただきたく思っております。 施行日につきましては、平成19年4月1日としております。 条例改正案は、別紙のとおりでございます。 【委員長】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それではこの件については原案のと おりご承認いただいたということにさせていただきます。 第2号議案 学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定依頼に ついて 【委員長】 第2号議案、学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制 定依頼について、説明を人事部長よろしくお願いいたします。 【人事部長】 それでは第2号議案の資料をご覧いただきたいと思います。 1、改正の理由でございますが、平成19年度の児童・生徒数の増減、学校の新設・ 廃止、学級数の変更等によりまして学校職員の定数を改めるのが1点でございます。 もう1点は、学校教育法の改正に伴いましての規定整備でございます。 2、改正の内容でございますが、一つは、「盲学校、ろう学校及び養護学校」を 「特別支援学校」に改めるということでございます。 2番目が定数の変更でございますが、具体的なご説明の前に、定数を取り巻く状況 について簡単にご説明したいと思います。 東京都全体では、昨年7月に「行財政改革実行プログラム」を発表いたしまして、 - 6 - 平 成 19年 か ら 平 成 21年 ま で の 3 年 間 で 都 全 体 で 4,000人 程 度 の 職 員 定 数 を 削 減 すると いう方針を打ち出しております。当然職員定数の削減という方針の中には教員定数も 含まれてございます。 一方、教職員固有の問題といたしましては、国の次期定数改善計画のプラン策定が 見送られております。加えて、都内の小・中学校における児童・生徒数増によります 今後の定数増など、定数を巡る環境としては非常に厳しいものがあると考えておりま す。そういう状況ではございますが、今回、何とか諸課題に対応するための人員の確 保ができたと考えてございます。 具体的な定数の内容でございますが、イの表にございますように、全体では新しい 定数といたしまして6万2,005人、現行定数と比べて46人の減になっております。 各校種ごとの主な内容について資料の2枚目をご覧いただきたいと思います。 ま ず 小 学 校 で ご ざ い ま す が 、 平 成 19年 度 の 児 童 数 が 平 成 18年 度 に 比 べ ま し て 2,070 人増えることなどに伴いまして、教職員定数については20人の増となります。中学校 に つ き ま し て は 、 生 徒 数 が 前 年 度 比 4,713人 の 増 に な る こ と 、 ま た 都 立 中 高 一 貫教育 校の学年進行などに伴いまして、定数につきましては223人の増となります。 高等学校でございますが、都立高校改革に伴います新しいタイプの学校としての都 立橘高校外10校の開設、また平成18年度以前に開設した15校の学年進行を合わせまし て380人の定数増でございます。一方、平成19年度の生徒数が平成18年度比2,820人の 減 と な り ます 。 ま た 、既 存 校 の 閉校 が 8 校 、閉 課 程 12校等 が ご ざ いま し て 、 589人 の 減 を 見 込 んで お り ま す。 合 わ せ まし て 、 高 等学 校 に つ いて は 283人の 減 と な って ご ざ います。高等専門学校につきましては、産業技術高等専門学校の学年進行に伴いまし て3人の定数増でございます。 特 別 支 援学 校 に つ いて は 、 平 成19年 度 に おい て は 304人 の 児 童 ・生 徒 数 増 、都 立 永 福学園養護学校の開設などに伴います教職員定数増がございます。一方で、ろう学校 の再編整備等による閉校等によりまして、全体では9人の定数減となります。 内訳は以上でございます。 この条例案につきましては、平成19年第1回都議会定例会に付議予定でございます。 議決を経た上で平成19年4月1日施行を予定してございます。 - 7 - 説明は以上でございます。 【委員長】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それではこの件についても原案のと おりご承認いただいたということにさせていただきます。 第3号議案 東京都教育委員会の権限委任等に関する規則の一部を改正する規 則の制定について 第4号議案 東京都体育施設条例の一部を改正する条例の制定依頼について 第5号議案 東京都体育施設条例施行規則を廃止する規則の制定について 【委員長】 続きまして第3号議案、東京都教育委員会の権限委任等に関する規則 の一部を改正する規則の制定について、第4号議案、東京都体育施設条例の一部を改 正する条例の制定依頼について、及び第5号議案、東京都体育施設条例施行規則を廃 止する規則の制定について、一括して説明を教育政策担当参事よろしくお願いいたし ます。 【教育政策担当参事】 それでは第3号議案から第5号議案まで一括してご説明い たします。いずれも平成19年度からスポーツ事業が生活文化スポーツ局に移管される ことに伴いまして、関係する規程を整備するものでございます。 今回の教育庁のスポーツ事業移管の考え方でございますが、2016年の東京オリンピ ック招致を目指しまして、スポーツ振興、観光、文化などと緊密に連携し、一体的に 進めていくためにスポーツ事業を知事部局に移管するものでございます。 それでは、議案資料をご覧ください。 まず第3号議案、東京都教育委員会の権限委任等に関する規則の一部を改正する規 則の制定についてでございます。この規則は、東京都教育委員会の権限に属する事務 の委任等について定めたものでございます。 改正の概要でございますが、スポーツ振興法上、教育委員会の権限とされている事 務 に つ き まし て 、 地 方自 治 法 第 180条 の 7 の規 定 に 基 づい て 、 知 事の 補 助 機 関で あ る 生活文化スポーツ局長に委任するものでございます。 - 8 - 委任する事務でございますが、スポーツ振興法によるスポーツの振興に関する計画 の策定や東京都スポーツ振興審議会に関する事務等となってございます。 施行期日につきましては、平成19年4月1日を予定してございます。 次に第4号議案、東京都体育施設条例の一部を改正する条例の制定依頼について、 及び第5号議案、東京都体育施設条例施行規則を廃止する規則の制定についてでござ います。この条例及び規則につきましては、東京体育館など都立の体育施設4館の設 置や管理運営等について定めているものでございます。 スポーツ事業の知事部局への移管に伴いまして、教育庁所管の体育施設4館を生活 文化スポーツ局へ移管するための規定整備を行うものでございます。 条例改正の概要でございますが、施設の使用承認など教育委員会の権限として定め ておりました規定につきまして、知事の権限とするという規定に改めますとともに、 条例中の「東京都教育委員会規則で定める」という規定につきましては「東京都規則 で定める」という規定に改めるものでございます。 平成19年第1回都議会定例会に改正案を付議した上で、平成19年4月1日から施行 する予定になってございます。 また現在、東京都体育施設条例施行規則によりまして、休館日その他の詳細を定め ているところでございますが、本年3月31日をもって規則を廃止いたします。本年4 月1日からは、新たに知事が定めた東京都規則を施行することとなります。 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 【委員長】 【委員】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 これは非常に大事なもので、教育委員会にとっては決定的なつらいこと だと私は受けとめているのです。 私が教育委員になってから最初に、東京都の美術館は知事部局に移管ということに なりました。ですから、上野の東京都美術館をはじめとする美術館が教育委員会から 知事部局へ移った。その後、日比谷図書館と九段高校につきましてはいろいろ議論が ありまして、結局、移譲することになりました。 今度、体育施設を知事部局に取られる。取られるという言い方はいいかどうかわか りませんが、やはり東京都教育委員会というのは独自性から、知事からは独立した存 - 9 - 在というのが教育委員会というものの成り立ちですので、文化・芸術のシンボルとも 言うべき東京都美術館が知事部局に移って、今度は、東京体育館というものは、何と いっても教育委員会が持っているべき青少年の健全育成のために大事なものですが、 それがまた取られてしまう。 そうすると、教育委員会の仕事というのは何だということになると、私学も生活文 化局に入っている。はっきり言って、東京都の教育委員会の仕事というのは、都立学 校の何かをするしかない。それも未履修のことで、この間いろいろなことがあって、 私は東京都教育委員会が存在することが本当に必要かどうかということが迫られたこ とだろうと思うのです。ですから、スポーツ事業が知事部局に移管されることには強 く反対はするのですが、しかし、知事がそうやってくれと言ったものを嫌だと、立場 上ちょっと具合が悪いもので。はっきり申し上げますけれども、知事はオリンピック のためにそれをやるのだけれども、これは時限立法であって、オリンピックが終わっ たら、再び東京都教育委員会のものに戻すのだ、これはあくまでオリンピックという ものを成功させるための一時的な時限立法だ、ということであればこれはいいかなと いう気もするのですが、それよりも残念なことは、東京都を挙げてオリンピックとい うものを招致して、そして東京都をどういうふうに導いていくかという中にあって、 東京都教育委員会がオリンピックの招致運動から、あるいは実施に至るまでに委員会 そのもの、あるいは委員会の事務局が非協力的なのか、あるいは能力がないとみなさ れたか何かわかりませんが、知事が本当にこの教育委員会事務局というものを信頼し て本当に知事に協力しているんだなということさえあれば、こういうことにならない はずなのです。 ですから、私はこういうことが知事の権限に改められるということは、つまり、教 育委員の一人として、美術館は取られる、体育館は取られる、オリンピックではかや の外に置かれるということは非常に残念であるということだけを議事録に残していた だいて、本議案に賛成も反対もありませんで、それで結構でございますという意見で はあるのですが、ただ、議事録には屈辱的であると、これは入れておいていただきた い。 【教育政策担当参事】 若干すれ違っているかもしれませんけれども、都の教育委 - 10 - 員会からすべてスポーツ関係がなくなるということではなくて、学校体育であるとか 健康教育であるとか運動部活動の振興というような、学校教育を中心とした部分につ いては相変わらず教育委員会の方で所管していきます。その部分で知事部局とオリン ピック招致に向けた体制を連携しながらやっていくということはございます。 そういう意味で、今回、スポーツ事業を知事部局の方に移すというのは、先ほど委 員おっしゃっておられましたように、2016年の東京オリンピック招致を目指して、都 庁一丸となって体制をつくっていく必要があるという判断があってなされたことであ ろうと私は理解しております。 【委員】 皆さんよくわかっているように、各部局による縦組織というのが非常に 強過ぎるわけですよね。だから、委員の表現で屈辱的なのかどうかは別として、要は、 こういう機会をとらえて、これだけ大きな17万人の組織ですから、それが横断的な組 織をつくることによって、一つの統一した意思の下にいろいろな施策をしていくとい うことは非常にいいことだと思うのです。それはまた2016年にオリンピック招致が取 れるか取れないかは別としても、一度こういうことで今の組織を見直すいい機会にも なるのかなという感じもするのです。恐らく各部局の部長又は局長間の意思疎通とい うのは、今までより良くなるのではないかと思います。委員の気持ちはよく分かりま す。 【委員長】 オリンピックという非常に大きなことがあるので今回のような措置に なったのだと思います。委員のご意見も理解できますが、全体として、今、日本の中 の動きは、生涯学習については首長部局でやろうというものです。そういう点で言う と美術館、日比谷図書館……日比谷図書館については歴史的な経過もあって難しいと ころでありますけれども、動きとしてはさほど不自然ではないのではないでしょうか。 ただ、委員が気にしておられますスポーツ関係施設は私も若干どうかなという気がし ますが、全体としては全国的な流れに沿うものかなという気がしています。 【教育政策担当参事】 他県の状況でございますけれども、大阪府、京都府、岡山 県、大分県、新潟県などで知事部局においてスポーツ事業を現在実施している状況が ございます。 それから、国では平成17年10月に中央教育審議会におきまして、スポーツ、生涯学 - 11 - 習支援に関する事務は地方自治体の判断によって首長が担当することを選択できるよ うにすることが適当であるという答申も出されているところでございます。 【委員長】 いつも申し上げることですが、これでうまくいかなければ、やり直し たらいいと思います。朝令暮改と批判が出るかもしれませんが、私は行政はそういう ことがあってもいいと思います。 【教育長】 法律上の仕組みは、教育委員会の権限を知事の補助機関に委任すると いうことにしますので、元々の権限は我々の教育委員会にある。だから、委員長がお っしゃるように、本当に様子を見ていて、委任するのをやめたということも理屈上は あり得るということでございます。 【委員長】 【委員】 理屈上ではなくて、本当にあるということですね。 この問題は、知事部局に渡してしまったら関係がないということではな くて、いかに知事部局との関係をスムーズにして、そして知事部局がやること自体も 成功してもらわなければいけないけれども、教育委員会としてもそれを十分サポート して、委員が心配されたように、教育委員会は無視されるというか、能力がないから 外すということではなくて、全体の流れとしてこれだけ大きいからやるということで あれば、教育委員会も常にそれに参画していくようなルールにしていただければと思 います。 【委員長】 それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。 本件につきましては原案のとおりご承認いただいたということにさせていただきま す。 【委員】 一つだけコメントを言わせてください。どうも右とじと左とじと順番に 出ていて、読むのに困るのです。ですから、ルールは決めておいていただいて、全体 で統一をしていただきたい。 【教育政策担当参事】 以後気を付けさせていただきます。申し訳ありませんでし た。 【委員長】 委員からご意見がございましたので、少し考えていただくとよろしい かと思います。よろしくお願いいたします。 - 12 - 報 告 (1)都立高校教育環境改善検討委員会報告書について 【委員長】 それでは報告事項に入ります。 報告事項(1)都立高校教育環境改善検討委員会報告書について、学務部長よろし くお願いいたします。 【学務部長】 都立高校教育環境改善につきましては、東京都教育委員会では平成 18年4月に都立高校教育環境改善検討委員会を設置いたしまして、教室内の温熱環境 改善の在り方について、環境への配慮や必要な経費の保護者負担の在り方などを含め、 総合的な調査検討を行ってまいりました。昨年12月21日にこの検討委員会の報告書が 取りまとめられましたので、概要についてご報告を申し上げます。 本報告書につきましては、既に委員の皆様にご送付させていただいておりますので、 本日は報告資料(1)に基づきまして要点をご説明したいと思います。 まず資料上から、都立高校を取り巻く教育環境の現状、それに対する現在の取組及 び対応策の考え方、更に今後の取組という構成になっております。 まず、一番上の上段には、都立高校を取り巻く教育環境の現状といたしまして、温 暖化及びヒートアイランド現象の現状、夏季休業期間中の都立高校の利用状況や教室 内温度の実態などをお示ししてございます。 こうした教育環境を取り巻く現状に対する対応策の考え方を真ん中の欄にお示しさ せていただきました。 教室内の温熱環境改善策については様々ございますが、導入の範囲、費用対効果、 室温を5℃以上下げることが必要だという課題を実現する点から、又は除湿の必要性 などを考慮いたしますと、やはり冷房機器を設置して温熱環境を改善する方策が最も 望ましい対策であるとの認識を示させていただきました。しかしながら、冷房機器の 導入につきましては、当然、環境負荷やコスト増等が課題になりますので、これにつ いての対応策についても検討するということで幾つかの考え方を示させていただきま した。その考え方が下段にお示しをした内容でございます。 - 13 - まず、下段の左側でございますが、冷房機器導入における課題への対応といたしま して、当然のことでございますが、最適な機器を選定するということ、冷房負荷の抑 制を図る施策を考慮すること、冷房機器の効率的な運用・管理を具体化すること等に よりまして、環境負荷を可能な限り抑制する必要があるとの認識を示させていただき ました。 また冷房設備の整備によって増大するコスト対策につきましては、費用負担の在り 方として、整備事業を集中して一時期で完成させる必要があることや、また公立高校 におきましては、他のほとんどの自治体が何らかの形で保護者の負担を求めている現 状などから、都立高校におきましても一定の受益者負担を求めていく必要があるとし ております。 さらに、教育環境改善の推進に向けて、冷房機器の導入を契機に、冷房負荷の抑制 だけにとどまらず、例えば照明負荷の抑制、あるいは太陽光発電や風力発電などの再 生可能エネルギーの導入、更には緑地の推進などにつきまして、学校全体で環境配慮 方策を併せて実施いたしまして、都立高校全体といたしましてエネルギー消費量及び 温室効果ガス排出量又はランニングコスト(維持経費)の抑制に努めていく方策を示 しております。 また、環境配慮方策の実施に当たりましては、学校の立地条件や地域特性、学校の 利用実態がそれぞれ異なりますので、それぞれの学校に合った適正な方法を選択して 対策を実施していくという考え方をとっております。そのために、右下に書いてござ いますように、環境モデル校を指定するなど環境配慮方策の成果の検討検証を行った 上で、高等学校施設整備標準に効率的な具体策を規定化するなどを通じましてすべて の都立高校がより効率的で効果的な環境に配慮した取組を進めていくことが重要であ るという内容を示させていただきました。 報告書の概要についての説明は以上でございます。詳細につきましては、添付資料 の報告書概要及び報告書をご覧いただければと思います。 なお、平成19年度の予算要求概要でご説明をさせていただきましたように、冷房機 器が未設置の都立高校全校の普通教室、更衣室、食堂への冷房機器の設置と、それか ら先ほど申しましたモデル事業といたしまして、太陽光発電装置の導入や高反射塗料 - 14 - による断熱性の向上など新たな施策の実施について予算化を図りたいと考えておりま して、これから開催されます平成19年第1回都議会定例会での議決を踏まえまして順 次工事に入り、遅くとも来年の夏には都立高校全校の普通教室等で冷房機器が使用可 能となるよう準備を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 【委員長】 【委員】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 この間、石原都知事とサッカーの川淵会長が杉並区の小学校の芝生を見 にいかれましたよね。 私は川淵さんが鹿島の辺に幾つか緑地をつくって、それが非常に子どものためにい いというような話を聞いたことがあるのですが、もっと早くすべきであったのではな いか。つまり、冷房機を入れることについて私は反対はしませんけれども、冷房機を 入れればまたヒートアイランド化を加速するんですよね。ですから、そうではない方 法を同時並行的に考えていくということ。それから、確か足利工業大学は幾つかの再 生可能なエネルギーを実験的に入れている。そういうことはむしろ学校であればこそ できるというところもあるので、資料にはすべて書いてはありますが、それをどうい う形で実行して、そのためにどれだけ予算措置をするかということについて、冷房機 を入れるのだけはちゃんと予算措置があるけれども、それ以外は余りはっきりしてい ない。だから、この辺もどちらかといえば箱物行政になりやすいので、そこのところ をもう一度検討していただきたい。これだけ立派な学校の先生も環境局の地球環境部 長も入って検討されたようですけれども、そういうふうな議論はこの検討委員会では 出なかったのですか。 【学務部長】 先ほど申しましたように、冷房機器の設置そのものも予算要求して ございますが、併せて太陽光発電とか芝生化をするとか、例えば屋上に反射の塗料を 塗りまして屋上熱を少し和らげるとか、都立高校が建っている場所にふさわしいやり 方は何かということも含めて、それぞれの学校ごとのやり方を全部出しまして、それ で冷房機器とそれ以外の対策を併せて実施する予定でございます。冷房機器につきま しては全校一斉にということで予算要求しておりますが、その他の併せた施策につい てはとりあえずモデル的にやって検証してみようということで、その予算要求はして - 15 - おりますので、是非ご理解をいただければと思います。 【委員】 公立の学校にそういうことができるのかどうか知りませんけれども、例 えばドイツのフライブルクという環境都市で名を売っているところは、サッカー場の 屋根は全部太陽光発電なのです。パネル一枚一枚の権利をその地域の人に売っている わけです。だから、学校に負担してもらうというのであれば、むしろ学校にそういう 自然エネルギーを利用した太陽光でもいいし風力でもいいし、そういうものを市民が 参加して、あるいはその高校の人が参加して、それが地域の例えば東京電力と話をし て、それの配当の一部をもらう。最初は負担があっても、それに参画するということ から、地域コミュニティを強化していくとか、そういう発想を具体的に、モデル校を 1校か2校だけやるのではなくて、各々で検討してもらうような発信をしてみたらど うですか。 【学務部長】 モデル事業の中でどういう導入ができるか少し検討してみたいと思 います。 【教育長】 教育庁の予算ではありませんけれども、環境局の予算で都内の全小・ 中学校の校庭を芝生化するという事業が平成19年度から始まります。これは委員おっ しゃられるように、地域のコミュニティが、例えば自分の小学校を芝生化する後のメ ンテナンス(維持)に地域の方々に協力していただくという条件で導入するというこ とになっています。この芝生のメンテナンスが大変らしいのです。だから、そういう 点で地域と学校との関連性を、より連携を強めていこうという運動も始めてまいりま す。 【委員長】 モデル事業をやるというのは賛成です。環境モデル校は何校ぐらいを 考えておられるのですか。 【学務部長】 【委員長】 5校です。 わかりました。今、委員がおっしゃったように、いろいろなやり方を 組み合わせて様々な可能性を探るということを是非やっていただきたいと思います。 【委員】 各々の地域でPTAとか学校連絡評議会とかそういうところに提案をし て感触を探っていただくというぐらいしないと、モデル校5校ぐらいでは、これだけ 立派な人が集まった検討結果としては冷暖房機器の設置だけが目につくような気がし - 16 - てしまいます。ひとつよろしくお願いいたします。 【学務部長】 【委員長】 はい、分かりました。 それではよろしくお願いいたします。 この件については報告として承ったということにさせていただきます。 (2)平成19年度都立高等学校における教科「奉仕」の授業計画について 【委員長】 報告事項(2)平成19年度都立高等学校における教科「奉仕」の授業 計画について、説明を指導部長よろしくお願いいたします。 【指導部長】 それでは報告資料(2)に基づきまして説明をさせていただきたい と思います。 この教科「奉仕」につきましては、昨年7月の教育委員会におきまして、その教科 のねらいや教育課程上の位置付け等について報告をさせていただいたところですが、 その後様々な準備を進めてまいりまして、本年4月より「奉仕」の授業が開始される 運びになります。このたび、各都立高校の授業計画がまとまりましたので報告をさせ ていただきたいと思います。 まず実施校数ですが、全日制183校、定時制・通信制99校、合計282校となっており ますが、これは都立高校全校でございます。 授業計画の概要の部分ですが、(1)教育課程上の位置付けとしましては、学校設 定教科・科目として位置付けている学校、総合的な学習の時間による代替を行う学校、 その他ということで3種類ございます。全日制課程で見ますと、学校設定教科・科目 で扱う学校が96校、総合的な学習の時間による代替を行う学校が83校、その他とござ いますが、これは閉校あるいは閉課程の学校の中には、最終学年だけが残っている場 合、教育課程が既に確定しているため新たな科目を設置することが困難である学校も あることから、こうした学校では特別活動等を利用いたしまして奉仕活動の体験を行 うという形で進めるものでございます。全日制課程ではこの「その他」が4校という ことでございます。 定時制では、学校設定教科・科目が48校、総合的な学習の時間による代替が45校、 - 17 - その他が6校でございます。 続きまして(2)、学校設定教科・科目として教育課程上に位置付ける場合の科目 名でございます。 これは必修教科といたしまして、都として「奉仕」という教科を設定いたしました ので、教科名は確定しておりますが、その教科の中の科目名として、名前の設定は各 学校が定めるような形になっております。この科目名につきましては、全日制課程81 校が「奉仕」という科目名で進めてまいります。その他特徴的な科目名といたしまし ては、全日制課程では足立東高校の「おもいやり」、青山高校の「社会参加」、芝商 業高校の「まちおこし体験活動」等それぞれ特色ある名前を付けて実施をすることに なってまいります。定時制・通信制課程では「奉仕」という科目名が37校、以下、特 徴的な科目名は資料にお示ししたとおりでございます。 (3)2単位以上実施する学校でございます。 教科「奉仕」は、ほとんどの学校が1単位で実施をすることになっておりますが、 校長先生の方針の下に、学校の状況に基づいて2単位以上実施する学校もございます。 桐ヶ丘高校が1年生で2単位、松原高校の定時制が各学年1単位ずつで卒業までに4 単位、一橋高校の通信制が3年生で2単位という設定をしているところでございます。 (4)実施学年でございますが、全日制課程では、半数以上の学校が第1学年で実 施をいたします。定時制・通信制では第2学年以上での実施が多くなっているところ でございます。 なお、学習指導要領上も教科・科目等の実施につきましては複数の学年にまたがっ て実施をするという弾力的な教育課程の運用も認められていることから、1年生と2 年生の複数の学年にまたがって実施をする学校もございます。 下にアスタリスクで示させていただいておりますが、その他、複数学年にわたって 実施する学校につきましては、この表の中では単位認定をする学年を実施学年という 形で示させていただきました。この複数の学年にわたって実施する学校が、全日制課 程で36校、定時制・通信制課程で15校ございます。 (5)奉仕体験活動を行う時期でございますが、この教科「奉仕」は、授業時間の 半数程度を体験活動に当てるということになっておりまして、1単位で実施する場合 - 18 - につきましては、年間18時間の奉仕体験活動が必要になってまいります。この奉仕体 験 活 動 を 行う 時 期 で ござ い ま す が、 全 日 制 課程 で は 授 業日 に 行 う もの が 102校、 長 期 休業中に行うものが17校、授業日と長期休業中に行うものが64校、定時制ではそれぞ れ80校、6校、13校となっているところでございます。 (6)この奉仕体験活動等を行う際、これは学校だけではできませんので、いろい ろなところと連携をして進めていかなければいけないわけですけれども、その連携先 といたしましては、資料にございますように、ボランティアセンター、高齢者福祉施 設、区や市の役所、小学校、消防署、保育園等様々な機関との連携をしながら進めて いく形になっております。 (7)東京マラソンで奉仕体験活動を行う学校という形で示させていただきました。 平成19年度の教育課程の中で、平成19年度末にちょうど実施する東京マラソンにおい て奉仕体験活動をするという計画をしている学校が忍岡高校、晴海総合高校、三田高 校、足立工業高校、立川高校でございます。 なお、来月18日に第1回東京マラソンが実施されますが、この折に都立高校生が先 行的に奉仕体験活動を行うことになっております。コースの整理や給水所の運営、コ ー ス の 清 掃 と い う こ と で 、 運 営 ボ ラ ン テ ィ ア と し て 63校 2,684名 が こ の 活 動 を する予 定でございます。さらに、吹奏楽部や和太鼓部、チアリーディング部、ダンス部とい う部活動が関連イベントとして参加いたしまして、参加者の応援やその場の雰囲気を 盛り上げるような活動を実施する予定でございますが、こうした活動をする学校が23 校937名の参加を予定しているところでございます。 続きまして、1枚めくっていただきまして(8)奉仕体験活動内容の例として幾つ か特徴的なものを示させていただきました。ここでは三つ紹介させていただきます。 最初に書いてあります1番目、青山高校は、テーマ設定の工夫ということで①②③と 三つ示しておりますが、③富士山の環境保全の意義について理解し、現地の保全活動 に積極的に参加するということで、学校を離れて自然環境の保全を行うという活動を 実施する予定でございます。 資料左側の下から2番目、9の南平高校は、官公庁等との連携ということで、都立 多摩動物公園との連携をいたしまして、動物園内にあります里山作り、園内清掃、落 - 19 - ち葉掃き、来場者に対する動物の解説等を行うという計画を立てているところでござ います。 また、資料右側の一番上、11番、農業高校は専門高校の学習を生かした活動という ことで、府中市はるみ福祉園の生徒に学校の中の農園で茶摘みの指導をするとともに、 製茶活動を通して交流活動を行う。さらに、③に示しましたように、これは食品科学 科がございますので、府中市民を対象に「食品加工講習会」を開催いたしまして、そ の実習を生徒が市民に指導するという交流も進めていくという活動でございます。 なお、もう一つ別紙1というものを示させていただいておりますが、こちらには先 ほ ど お 話 しい た し ま した 全 校 282校 の 授 業 計画 、 実 施 学年 、 主 な 内容 、 体 験 活動 の 実 施時期、連携先等を示させていただいたものがございます。こちらも併せてご覧いた だければと思います。 本日報告いたしました報告資料、各校の事業計画につきましては、都教委のホーム ページにも掲載いたしまして、広く都民に紹介をするとともに、今後また奉仕体験活 動が充実して行うことができるように、体験先の確保にも努めてまいりたいと思って いるところでございます。 説明は以上でございます。 【委員長】 【委員】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 とてもいいことだと思いますし、大変具体的に書いてあってよく分かり ました。私自身やはり書類を自宅にいただいた段階で丁寧に見てみたのですが、高校 生がこういう形で現場に入ると、出先も非常に活性化するでしょうし、いいことだと 思います。 ただ一つ気を付けなければいけないのは、大変言いにくいことなのですけれども、 時に連携先が迷惑することもあるわけですよね。それは当たり前で、なぜかというと、 結局彼らはどうしたって今までやったことのないことを体験しに行くわけですし、こ こに体験という言葉が当然書いてありますけれども、ところが、受け入れる側という のは、体験ではなくて現場なわけですから、生きている社会なわけです。 それは当然やるべきことでいいのですが、そのときにもう一つ学習すべきことを生 徒たちが気を付ける方がいいなと思うのは、受け入れる側でも生徒が一生懸命張り切 - 20 - って来たときに、何かさせてあげなければ、でも、もうやることはないのよというケ ースもあるわけです。お互いに気を遣ったりするともったいないことですし、私はこ ういう連携先で生徒たちが体験するときに、自分たちが一体何をきちんとできるのか、 何をすれば相手が本当に喜ぶのかということをその場で考える、場を読んだり空気を 読むという学習をその場でさせるということも、非常に今後社会に出てから大事にな るのではないか。場が読めないというケースは社会でもいっぱいあるわけですから、 そういうことも学習させることがいいな。こういう奉仕という言葉にとかく統制しが ちですが、そこのところはよく考えて、決してきれいごとでいくのではないというこ とは学習させた方がいいなという感じがいたします。 【指導部長】 特に連携先があっての奉仕体験活動になると思いますので、生涯学 習スポーツ部とも連携いたしまして、教育支援コーディネーターということで連携先 との連絡調整や細かい事前の確認事項などもきちっと進めているとともに、先ほど申 し上げましたように、1単位でやる学校については半分が体験活動ですが、残りの半 分はいわゆる座学の部分で、奉仕体験の意義であるとか、今まさに委員がおっしゃっ たような部分を講義として実施いたします。それを踏まえて実際に体験を通してきち っと自分の中の身に付いたものにしていきたいと考えております。1年目の実施です ので、実施する中でいろいろ課題は出てくるかと思いますが、改善を図っていきたい と思います。 【委員】 私もざっと読ませていただきました。その中に清掃活動というのが書い てありますが、便所掃除というのは一つもないんですよね。今、京都で便所掃除が大 分増えてきた。なぜ増えたかというのは私もよくは知りませんが、京都の山科に一灯 園というのがあって、そこは幼稚園なども経営していますけれども、その一灯園を作 った西田天香さんという人が、もともと滋賀県で独立して北海道へ行って失敗するの かな、やめて帰ってきて、それで便所掃除を始めたのです。ですから、そのころは今 みたいに水洗便所みたいなきれいなところではない便所掃除を奥さんと二人で始めた。 その伝統が今も続いているのです。ですから、今すぐ実学でそれをやれと言っても、 東京都で実施できるかどうかは知りませんけれども、座学ででもそういう人がいて、 しかも京都ではこういうふうに進んでいるのだというようなことを一度勉強していた - 21 - だいて、それをまた広められればいいし、あるいは駅のトイレなどを掃除に行けば、 東京の高校の生徒はすごいというようなことにもなりかねないので、一つ前向きにご 検討いただきたいと思います。 【指導部長】 特にトイレということで指定はしておりませんが、清掃活動の中で は公園の清掃など様々ありますので、当然その中にはトイレの清掃なども入ってくる と思いますけれども、今のお話を伺いまして検討させていただきたいと思います。 【委員】 余りトイレの話をしてもいけないのですけれども、株式会社イエローハ ットのトイレの掃除をするという活動は非常に盛んになっていまして、その運動は素 手で必ず洗う。ゴム手袋をしないと病気になるのではないかとか汚いのではないかと いうのではなくて、素手で必ず洗って、ピカピカに便器を磨いて、トイレ掃除をする と必ず頭を下げる姿勢になるのです。つまり頭が高いというのと違って頭が下がって、 みんなのために一生懸命やってピカピカになった後、反省会を開くと、いろいろ泣き ながら反省して、自分はここが至らなかったと言うようになる。 つまり公に対する奉仕というものが、私というものを全部滅して、これは滅私奉公 とすると変なことになるといけませんのでこの言葉は使いませんけれども、それが原 点であり、奉仕活動というのは、私というものを捨てて公に尽くすということが奉仕 だろうと思うのです。ですから、その心、それが道徳の範疇に属するのか、日本の伝 統文化なのか、美しい国づくりのもとになるのか知りませんけれども、やはり便所掃 除にしても素手でやる。もっとも、学校教育ですので、病気になったらどうするんだ ということがまた出てきて、ちょっと違うことが出てくるのです。しかし、それでも 構わない、素手でやるのだ、これが奉仕なのです。つまり、義というのがあって、自 分を捨てて公のために、あるいは人のために、世のために尽くす、それが奉仕活動で、 奉仕体験を通じて、それが奉仕という精神なのだというので、やらなくてもいいので すが、便所掃除の素手で洗う姿をビデオで見る時間があるとすばらしいことではない かと思うのです。立派な会社の社長であるとか、商業世界だけではないですけれども、 あの汚いのをピカピカに洗うんですよね。それでもって、本当に今日は一日良かった な、こういう気持ちにさせてもらえる。つまり、こういう気持ちにさせてもらえると いうのが奉仕活動だということを教える必要があるのではないかと思います。委員の - 22 - 補足説明になったかどうかは分かりませんが。 【委員】 【指導部長】 【委員長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。 実施する際に検討させていただきます。ありがとうございます。 高校生にやってもらうことは大切なことですが、まず大人がやらなけ ればいけないと思います。 【委員】 【委員長】 そうですよね。 日本は少な過ぎます。英国などを見ていると非常に多くの大人が奉仕 活動をやっています。その辺に根本的な違いがありますので、その辺について東京都 がメッセージを出していくということも必要ではないでしょうか。 【委員】 京都で成功しているのは、校長先生など先生が自らやってだんだん増え てきていると聞きましたから。やはり大人が、あるいは先生がその気にならないと。 【委員長】 【委員】 【委員長】 我々がやりますか。 いいですよ、参加しましょう。 よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それではこの件につ いては報告として承ったということにさせていただきます。 (3)平成18年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について 【委員長】 報告事項(3)平成18年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰につい て、説明を同じく指導部長よろしくお願いいたします。 【指導部長】 それでは平成18年度東京都教育委員会児童・生徒等表彰について報 告をさせていただきます。 ご承知のように、この表彰制度は、児童・生徒の模範となるような行いをした児 童・生徒を表彰いたしまして、学校教育をより豊かで充実したものにしていくことを 目的としているものでございます。昭和59年から始まりまして、平成18年度で26回目 を迎えるところでございます。 報告資料(3)の2、表彰の対象及び表彰基準を見ていただければと思いますが、 この表彰の対象になるものは、人命救助、福祉活動、環境美化活動、伝統文化の継承、 - 23 - 又はクラブ活動・部活動などにおきまして他の児童・生徒の模範となるような活動を 行った個人や団体等を表彰するものでございます。 今回この表彰に至るまでの経緯でございますが、昨年12月1日までに区市町村教育 委員会教育長、そして都立学校長から表彰候補者の推薦を受けまして、その結果、合 計で214件でございました。この214件につきまして、1月9日の表彰審査会におきま して審査をした結果、合計85件の表彰者及び表彰団体を決定したところでございます。 この表彰対象となった児童・生徒につきましては、5、表彰式とございますが、平 成19年2月3日土曜日に第一本庁舎の大会議場で表彰式を開催いたしまして、教育長 より一人一人表彰状を伝達していただく予定でございます。 2ページ目をご覧いただきたいと思います。 今年度の特徴でございますが、1、推薦数と被表彰者数の部分の平成17年度、平成 18年 度 の とこ ろ を 見 てい た だ き ます と 、 候 補推 薦 数 が 平成 17年 度 では 計 216件、 平 成 18年度は214件でほぼ同数でございます。 な お 、 被表 彰 者 数 につ き ま し ては 、 平 成 17年 度 が 101件 、 平 成 18年 度 が 85件と い う ことで減少しているところでございます。 2、基準別件数でございますが、人命救助等の行為、福祉活動や地域活動、校内で の継続的実践、クラブ活動、部活動等の対外活動における成果、その他、模範となる 活動の四つの項目ごとに平成17年度、平成18年度の状況についてお示ししたものでご ざいます。例年、部活動やクラブ活動等の全国大会などでの優秀な成績をおさめたも のに対する推薦、表彰が多くなっているところですが、本年度もクラブ活動、部活動 等の対外活動における成果で表彰をする生徒が、表彰数54件、これは全体の63.5%と なっておりまして、部活動、クラブ活動にかかわる表彰が例年どおり多くなっている ところでございます。 ②福祉活動や地域活動、校内での継続的実践につきましては、平成18年度のところ を見ていただきますと、平成18年度は表彰者数が10件ということで、これは11.8%と いうことになっております。先ほど教科「奉仕」の本年4月1日からの実施に伴う報 告をさせていただいたところですが、今後、この福祉、地域活動等での表彰の数を増 やしていくことが課題になっているのではないかと考えているところでございます。 - 24 - 3ページをお開きいただきたいと思います。 この3ページから7ページまでが表彰者の氏名、内容等についてお示しをしたもの でございます。 全体を通して特徴的なことについてお話をさせていただきますと、まず1番目は、 全国学校音楽コンクールで4年連続して金賞を受賞した小学校や全日本ドッジボール 選手権全国大会で優勝した小学校、また全国中学校ハンドボール大会での優勝、そし て全国高等学校サッカー大会出場─これは久留米高校でございますが─など、ク ラブや部活動を通して全国の児童・生徒が目指すレベルの高い大会での公立小・中学 校及び都立高校の健闘が目立っているところでございます。また、今年度は将棋、囲 碁、百人一首、箏曲など日本の伝統文化に関する内容の全国大会においての優勝も目 立っているところでございます。 2点目は、福祉活動やボランティア活動についてですが、地域のお囃子などの伝統 芸能の継承に努める者とともに、地域施設等での演奏活動につなげている団体、長年 にわたって地域の清掃活動やお祭り等の活動に積極的にかかわった児童・生徒が表彰 の対象になっているところでございます。 3点目は、盲・ろう・養護学校、心身障害学級についてですが、今年度も昨年度と 同様に全国障害者スポーツ大会での上位入賞による表彰者に加えまして、今年度はワ ープロ検定など幅広い分野での表彰者が増加しているところでございます。 説明は以上でございます。 【委員長】 【委員】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 これは単純にどういうことかなという質問だけですけれども、例えば4 ペ ー ジ の とこ ろ で 、 「交 通 事 故 にあ っ た 人 への 初 期 対 応」 と い う のは 、 例 え ば119番 し た り 110番 し た り と か そ う い う こ と か な と 思 う の で す が 、 「 倒 れ た 人 へ の 救 命 措 置」と初期対応というのはどういうふうに違うのでしょうか。例えば人工呼吸をした とかそういうことですか。 【指導部長】 「交通事故にあった人への初期対応」は交通事故に遭遇した小学生 の 意 識 確 認を 行 っ て 110番 に 通 報し 、 ま た 、安 全 措 置 をと り な が ら救 急 車 が 来る ま で 待っていたというような対応でございます。 - 25 - 「倒れた人への救命措置」というのは、下校途中に倒れている女性を発見して救急 車を手配いたしまして、ちょうど近くにいた消防団員とともに救命措置を行ったとい うことで、具体的に消防団員をアシストするような形で救命措置を行ったということ でございます。 【委員】 6ページの都立産業技術高等専門学校がロボカップで非常にいい成績で、 非常に結構なことで、工業高校とかこういうところの独自性をますます発揮させても らうような方向でやってもらえればいいと思います。その次の国際高校もさっと見る といいのですが、名前を見るとほとんどみんな女性ですよね。前にも言いましたけれ ども、この学校についてもう少し男性が入るようなシステムをご検討いただければと 思います。 【委員長】 何回も出ていますね。私も二度ほど行って、その辺の事情、また、そ の背景については多少知っておりますが、是非ご努力いただきたいと思います。 よろしゅうございますか。―〈異議なし〉―それではこの件については報告と して承ったということにさせていただきます。 (4)平成19年度教育庁主要事業予算について 【委員長】 報告事項(4)平成19年度教育庁主要事業予算について、説明を教育 政策担当参事よろしくお願いいたします。 【教育政策担当参事】 それでは教育庁主要事業予算について、報告資料(4)に 基づきまして説明させていただきます。 Ⅰ、教育庁所管予算編成状況でございますが、平成19年度は7,939億7,800万円、前 年 度 に 比 べ ま し て 2.2% の 増 と な っ て ご ざ い ま す 。 こ の 内 訳 と い た し ま し て は 、 約 76% が 職 員費 で ご ざ いま し て 、 前年 度 比 0.4% の 減 と なっ て ご ざ いま す 。 こ れは 職 員 定数の減又は給与改定による単価の減等を反映した人件費の減額によるものでござい ます。また事業費につきましては、前年度比11.4%の増となっておりますが、資料中 段の枠内に教育庁予算主要増減をお示ししておりますように、退職手当の増でありま すとか再雇用職員経費の増、並びに28の新規事業の増を反映したものでございます。 - 26 - 参 考 ま で に 申 し 上 げ ま す と 、 平 成 19年 度 の 東 京 都 の 一 般 会 計 歳 出 予 算 は 6 兆 6,020 億 円 で 、 前年 度 比 7.0% の 増 と なっ て お り まし て 、 そ のう ち 一 般 歳出 に 占 め る教 育 費 の割合は18.3%でございます。 次に、Ⅱの平成19年度職員定数でございますが、上段の教職員定数につきましては、 先ほど第2号議案の中でご説明いたしましたので省略をさせていただきます。また事 務 局 定 数 につ き ま し ては 、 前 年 度比 38人 の 減で ご ざ い まし て 、 727人 と い う こと で ご ざいます。主な減の要素は、スポーツ関連事業及び東京国体準備業務の知事部局への 移管によるものでございます。 次の2ページから7ページにわたりまして、個別の主要な事業の予算額が記載され てございます。太字で記載されているものが平成19年度の東京都重点事業となったも の、又は新規事業でございます。個別の内容につきましては要求段階でご説明させて いただいておりますので省略させていただきますが、いずれも少額の査定減などでご ざいまして、基本的には来年度東京都教育委員会で実施しようといたします主要施策 を実現できる金額が予算化される見込みでございます。 7ページをご覧いただきたいと思います。 6、移管事業でございますが、知事部局へ移管する主な事業を記載してございます。 東京国体の開催準備事業は総務局へ、地域スポーツクラブ設立支援事業以下につきま しては生活文化スポーツ局へ来年度から移管されることとなっております。 今後は、2月上旬に開会となります第1回都議会定例会で予算案の審議が行われま して、3月上旬に確定する予定でございます。都教委では、この予算案を前提に準備 を進めてまいりたいと考えております。 説明は以上でございます。 【委員長】 【委員】 ただいまのご説明に対しまして、何かご質問、ご意見等ございますか。 一つはスクールカウンセラー、今年度と来年度が同額なので、これでい いのかもしれませんが、いじめ問題、特に安倍総理大臣の奥さんがイギリスのブレア 首相の奥さんと会って話をしたら、イギリスはスクールカウンセラーはどこにもいる と い う 報 道 が 出 て い ま し た よ ね 。 そ の 辺 は 全 部 1,100万 円 で 問 題 な い で し ょ う ねとい うことが一つと、それからくどいようですけれども、3ページ目に都立学校の環境対 - 27 - 策 、 空 調 は 41億 円 で 環 境 対 策 が 2 億 6,000万 円 な の で 、 も う 少 し 数 字 を バ ラ ン ス良く していくようなことであればと思うわけです。 【委員長】 何かありますか。 【教育政策担当参事】 スクールカウンセラーにつきましては、必要があればまた 別途の措置ということになろうかと思いますので、とりあえず現行の金額を確保して 万全を期していきたいということでございます。 【委員長】 これでどのくらいの学校をカバーできているのですか。 【教育政策担当参事】 備考欄にございますが、中学校については全校、高校につ いては60校ということです。 【委員長】 高校4校につき1校ということですか。 【教育政策担当参事】 【委員長】 概ね4校に1校です。 全部という必要はないと思いますが、2校に1校ぐらいは必要かもし れませんね。この件はこれからの問題としてよろしくお願いいたします。 それでは報告事項(4)についても報告として承ったということにさせていただき ます。 参 (1) (2) 考 日 定例教育委員会の開催 1月25日(木)午前10時00分 教 育 委 員 会 室 2月 教 育 委 員 会 室 8日(木)午前10時00分 全国都道府県教育委員会連合会委員長協議会理事会・総会(委員長) 1月17日(水)午前 (3) フロラシオン青山 全国都道府県教育委員会連合会理事会・総会(委員長・教育長) 1月17日(水)午後 【委員長】 程 フロラシオン青山 次に今後の日程について政策担当課長からご説明をお願いします。 【政策担当課長】 それでは今後の日程についてご案内申し上げます。 - 28 - 定例の教育委員会でございますが、次回は1月25日木曜日になります。次々回は2 月8日木曜日でございます。場所はいずれも都庁内の教育委員会室になります。開始 時刻につきましても、いずれも午前10時を予定してございます。 また、1月17日には全国都道府県教育委員会連合会の理事会・総会がフロラシオン 青山において予定されておりますので、委員長と教育長にご出席をお願いしたいと存 じます。 日程については以上でございます。 【委員長】 それでは引き続きまして、ただいまから非公開の審議に入ります。 (午前11時17分) - 29 -