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インデューサ付き遠心ファンの空力特性と騒音に関する研究

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インデューサ付き遠心ファンの空力特性と騒音に関する研究
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
インデューサ付き遠心ファンの空力特性と騒音に関する研究
Author(s)
荻野, 和郎
Citation
(2005-03-18)
Issue Date
2005-03-18
URL
http://hdl.handle.net/10069/7325
Right
This document is downloaded at: 2017-03-30T21:45:38Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
第5章 インデユーサ付き遠心ファンの騒音特性
5.1 まえがき
遠心羽根車のブレード面での流動模様は、ブレード入口の剥離によりブレード面に沿わな
い流れとなっていると考えられる。インデユーサ付き遠心ファンでは、このブレード入口の
流れを改善する目的で、羽根車の入口部にインデユーサを設置している。
この章では、まず本節で騒音特性に関与する諸因子について述べる。次に、2節で、騒
音特性に及ぼすインデユーサの有無の影響を実験的に明らかにするとともにこれらの特性
と内部流動との関係について検討している。3節では、遠心ファンの出口角が騒音特性に
及ぼす影響について数値計算結果を示し、実験結果について考察を加えている。4節では、
前面シュラウドとベルマウスとの間で発生する漏れの影響が騒音に及ぽす影響について考
察した。5節では、遠心ファンの騒音特性を、仮定したブレード後端の渦幅モデルより予
測する方法について述べ、実測値と比較した結果を考察する。
まず、インデユーサ付き遠心ファンの騒音特性を実験的にあきらかにするために、以下に
示す因子に着目し実験を行なった。
(a)インデユーサの有無について
(b)羽根出口角度の影響
(c)前面シュラウドとベルマウスの形状
これらの諸因子に対して、羽根車直径360㎜、内径210mm、翼枚数11枚、出口角度39。、
入口角度29。を基準の羽根車とした。
5.2 インデューサの影響
(1)騒音の流量特性
図5−1にスクロールケーシングに羽根車を組み込んだ場合の騒音レベルと比騒音レベル
の流量特性を示す。騒音はA特性であり、図中の白塗り記号はBWI2939を示し、黒塗り記
号はBW2939を示す。また、○印と●印は騒音レベル(8P乙)、△印と▲印は比騒音レベル
偽)である。音圧レベルは騒音計のA特性(聴感補正を施したレベル)を用いて示して
いる。比騒音レベルは音圧レベルに流量と圧力を加味したもので送風機の良否を表し、こ
の値が小さいほど良好な送風機とされている。比騒音レベルは次式で定義される。
酌=5耽一101・9、。瞬)+2 (ぷ・)
ここで、皿は音圧レベル(dB)、9は流量(m3/s)、P5には静圧(Pa)である。音圧レ
ベルは流量係数が0.15付近まではBWI2939がBW2939よりも低い値をとっている。また
O.15以上の流量係数においては逆転しBW2939の方が騒音レベルが低くなる。BW2939が流
量係数が変化しても騒音レベルがほとんど変化しないのに対してBWI2939は流量係数の変
一61一
化に伴って変化する。これらからインデューサを設けた場合流量の変化による音圧レベル
の変化に注意すべきである。
また第4章2節で述べたとおりインデューサを設けることで圧力が上昇するため、比騒
音レベルでBWI2939とBW2939を比較した場合は、ほぼ全域でBWl2939が低くなり音圧
レベルで比較した場合よりも両者の差は広がる傾向にある。
これらはクリーンモジュールユニット(CMU)に各羽根車を組み込んだ場合も同様の結果
が得られる(図5−2参照)。
80
電醗.一。>。︷。。。唱05覇88
鵯舅.一・>。︻。一霧の。こ℃薯oの
SCU
一〇一BWI2939
+BW2939
−O一一●一 SPL(A)
70 Nニ1055rpm
SPL(A)
一△一一▲一Ks(A)
60
50
40
30
0
Ks(A)
0.05
0.1
0.15
0.2
Flow coefficient, φ
図5.1音圧レベルと比騒音レベルの流量特性(SCU)
一62一
需誤 . 一 。 > 。 ぢ 旨 の の 。 一 暑 目 o の
80
CMU
℃醗.一。>。一。の刷05頸88
qq
70
一〇一BWI2939
+BW2939
一〇一一●一 SPL(A)
N=10551pm
一△一r6−Ks(A)
SPL(A)
60
50
Ks(A)
40
0
0.05
0.1
0.15
0.2
FlOwCOeffiCient,φ
図5−2音圧レベルと比騒音レベルの流量特性(CMU)
一63一
(2)羽根出口における流動様相(実測値による解析)
図5−3にCMUにおける羽根車出口の相対速度のスパン方向分布を示す。図中の白塗り記
号はBWl2939、黒塗り記号はBW2939の結果である。インデューサを設けることによりス
パン下部では相対速度は上昇し、スパン上部では低下している。平均的に見ると同程度で
あると思われる。また、この相対速度は音圧レベルに6乗で効いてくるが、インデューサ
による相対速度の差異があまりないことから騒音に及ぼす影響は少ないと思われる。
図5−4にCMUにおける羽根車出口の速度変動波形の一例を示す。縦軸は電圧、横軸に時
間をとっている。電圧は熱線流速計により測定した流速を示す。測定は絶対座標系で行っ
たため凸となった部分が後流を示し、図中に示すD.が絶対座標系における後流の幅に対応
する。これを相対座標系における後流の幅に直した場合(22)のスパン方向分布を図5−5に
示す。縦軸は後流の幅、横軸はスパン方向距離をとり、図中の白塗り記号はBWI2939、黒
塗り記号はBW2939の結果を示す。これらの図からスパン上部のz/力2が0.8以上では後
流の幅はインデューサ付きが若干大きいが、z/カ2が0.8以下ではインデューサ付きがイ
ンデューサ無しに比してかなり狭くなっている。この後流の幅は騒音に影響を及ぼすこと
から、この値が大きいほど音圧レベルは高くなる。インデューサ付きは、z/血2が0.3∼0!7
の領域で後流の幅がかなり狭くなったことにより騒音レベルが若干下がったものと考えら
れる。
20
10
の\日Nミ.暫8一。>。>窟一幽
CMU
φ=0.20
寺
十
2Vニ1055rpm
0
0
BW2939
Front shroud
Rear shroud
0.2
BWl2939
0.4
0.6
0.8
Spanwise distance, z/h2
図5−3 羽根車出口相対速度のスパン方向分布
一64一
1
φ=0.20
W
0
>き.ooD≦o>
血\
1
BWI2939
z/h2=0.2
Da
一1
0
10 20 30 40
50
Time,∫msec
図5−4 絶対座標系における速度変動波形
O.05
CMU
一〇一BWI2939
/V=1055rpm
目0.04
一●一 BW2939
φ=0.20
q
“0.03
毘
i…i
も0.02
∈
薯
30.01
Rear shroud
O
Front shroud
0.2 0.4 0.6 0.8
Spanwise distance, z/h2
図5−5 後流の幅のスパン方向分布
一65一
1
(3) 騒音スペクトル分布
図5−6にCMUにBWI2939とBW2939の両羽根車を組み込んだ場合の騒音のスペクトル
分布を示す。縦軸に音圧レベル、横軸に周波数をとっている。太線はBWI2939を、細線は
BW2939を示し、凡例と共にL特性とA特性におけるオーバーオール値を示す。図中の193Hz
のピークは翼通過周波数であるため1次の高調波である。423Hzのピークはモータに起因す
る振動から引き起こされた騒音であると考えられる。また、1000∼3000Hzのなだらかな騒
音の山も、その周波数から全帯域騒音に与える影響が大きいと考えられる。
BWI2939とBW2939を比較するとオーバーオール値でBWI2939の方が若干低い。これは
基本周波数(n=1)のピークとその周辺のレベルが低下したことに起因していると考えられ
る。
CMU BWI2939
碧一。>。︻。ヨのの。こ−雪oの
80 1nlet side OA.60.4dB(L
.〈汚=1055rpm OA55.O dB(A
Farfield(Zニ1m) BW2939
60
B=11 423Hz OA.613dB(L
φニα20 nニ1 −BWIOA554dB(A
〈一一BW
40
20
102 103
Frequency!Hz
図5−6騒音のスペクトル分布
・66一
104
5.3 羽根車出口角の影響
第4章2節の結果よりインデューサを付ける事により空力特性が改善されることが分か
った。ここでは、インデューサ付き羽根車の出口角を変化させ、出口角が騒音に与える影
響について考察する。実験で用いた羽根車は、BWI2923(γf23。)、BWI2939(γf39。)、
BWI2965(γf65。)、RW:【2990(γ囲0。)の四種類である
(1) 騒音特性
図5−7はφ=02のときのγ2魂3。(緑)、γf39。(黒)、γf65。(赤)、γ2=90。(青)の四種
類の羽根車の騒音スペクトル分布を示したものである。横軸は周波数、縦軸は音圧レベル
である。前述したようにπ=1は翼通過周波数を、周波数声423Hzはモーターの振動に起因
する音である。図をみると、ほぽ全域で出口角の増加にともない、音圧レベルが上昇して
いるのが分かる。またF1の音圧レベルが出口角の増加にともない増加しているのは、羽
根の翼負荷が大きくなるためだと考えられる。
四つの羽根車はそれぞれ流量が異なっているためそのまま音圧レベルの比較はできない、
そのため音圧レベルに圧力と流量を加味した比騒音レベルで比較してみる。比騒音レベル
κsは式(5−1)を用いて算出した。図5−8は出口角による音圧レベルと比騒音レベルの影響を
示したものである。横軸に出口角、縦軸に音圧レベルと比騒音レベルをとって表している。
比騒音レベルで比較すると、γ2ギ23。が一番高く、っづいてγ2=39。、γ2=・90。、γ2=65。
の順に小さくなっている。γ2魂3。が一番高くなったのは、流れは翼にそっているものの出
口角が小さいためオイラーヘッドが小さいので仕事がその他の羽根車より小さくなってい
るためである。一方で、γ2=65。が比騒音レベルが一番小さくなったことから騒音を加味し
たファンの特性からはこの出口角が一番良いといえる。
一67一
80
γf23。
m℃で>£O輯二ののO﹄O℃ 信 口 O の
h植etskle
ノ〉=1055rpm
0、A.58.O dBα)
0.A54.1dB(A)
Far愈ekl(Z=1m)
60
φ=0.20
γゴ=39。
O.A、59、5dB(峯)
423Hz
0.A55、O dB(A)
γf65。
n=1
O.A.60.9dB(L)
QA.559dB(A)
γ2;90。
40
0.A.62,1dB(L)
0,A.57.9〔iB(A)
20
“寮
黛
102
汽
104
103
Frequency,∫Hz
図5−7
騒音のスペクトル分布
く 輔 0
2 2
0
=
φ
0
0 0 0 0 0
6 5 4 3 ∩∠
的℃趙、一〇>o酬㊤酒o唱o娼︸ooqの
m℃臼良頃、一〇>〇一〇葺のの8q℃d日ooo
一α一SPL(A)
一●一論(A)
40 60 80
100
0utlet孤9茎e,γ2。
図5−8 出口角が音圧レベルと比騒音レベルに及ぽす影響
一68一
(2) 羽根車出口における流動様相(実測値)
ここでは4つの羽根車の羽根車出口の流動様相について考察する。図中の△はγ2=23。、
○は γf39。、□はγ戸65。、▽はγ〆90。を表している。
図5−9に相対速度のスパン方向分布を示す。横軸にスパン方向距離、縦軸に相対速度を
とって表している。相対速度はすべての羽根車でスパン下部からスパン上部にわたって減
少する傾向は一致している。γ2豊90。のときが一番小さくなっているのは速度三角形より容
易に予測できる。騒音は相対速度の6乗で効いてくることを考慮すれば出口角は大きいほ
うが騒音は低減されると考えられる。
図540は後流の幅のスパン方向分布を示したものである。横軸はスパン方向距離、縦軸
は後流の幅である。すべての羽根車でスパン上部にいくにつれて後流の幅が増加している。
また、γ戸39。までは比較的翼に沿って流れていると考えられ、γ2葡5。以上になるとほと
んど翼に沿わなくなっていると考えられる。よって、後流の幅に起因する騒音は出口角を
小さくしたほうが低減できる。
即ち、図5−9より、γ2が大きくなるほうが騒音を低下させることができる。一方で、
図540によると、γ2が小さいほうが騒音を低下させることができる。実際には、相対速度
と後流の幅の相互作用によって騒音は決まるので図5−8に示すように出口角の増加するに
つれてわずかに騒音は増加する。
20
10
の、日ざ.禽8一。>。>窟一幽
r△r’γ2〒23。
φ=O.2
一→〔〉一γず39。
→コーγ2=65◎
十γf90。
Front shroud
/㎞鉱s㎞oud
O
\
0.2 0.4 0.6 0.8
Spanwise distance,zの2
図5−9 相対速度のスパン方向分布
一69・
1
0.1
r△一γ2=23。
ヨq、O着≧らOε唱哨3
0.08
0.06
φ=0.2
一〇一’y2=39。
十γ2=65。
十γ2=90。
0.04
0.02
O\0・2 0・4 0・6 0・8/1
Rear shroud Front shroud
Spanwise distance,z漁2
図5−10後流の幅のスパン方向分布
一70一
5.4 シュラウド隙間の影響
遠心送風機においてはベルマウスと羽根車シュラウド間において羽根車出口から羽根車
入ロヘ流れる漏れ流れが存在する。この漏れ流れを防止する方法として図3−6ような方法を
とり、その場合の羽根車出口の流動様相と騒音レベルについて比較検討した。
(1) 騒音特性
図5−11にCMUにおける騒音スペクトル分布を示す。縦軸は音圧レベル、横軸は周波数
で、図中の細線は改良前、太線は改良後の結果である。オーバーオール値のL特性はほと
んど同じだがA特性では1dBほど低下している。全体的に乱流騒音が増加しているように
見えるが、これは、漏れ防止により羽根車を通る流れが減少し、相対流入角が減少し、結
果として流入角が羽根の入口角からずれたため流れが翼面に沿わず後流の幅が増加し、乱
流騒音の増加になったと考えられる。またスペクトル分布をみると2∞0∼3000Hz付近にわ
たってのピークが減少していることがわかる。よってこの2000∼3000Hz付近の騒音のピー
クは漏れ流れによって引き起こされていると考えられる。
m℃一。>03葺のの。a℃暮oo
o
CMU
一 before i即rovement
80 lN』1055ψm
Farfield(Z=lm)
60
B=11
0.A.
60,4dB(L)
0.A.
57.2dB(A)
after
1nlet side
1mprovement
O.A.
60.3dB(L)
0.A.
56.4dB(A)
40
20
102 103
Frequency/Hz
図5−11騒音のスペクトル分布
一71・
104
5.5 全帯域音圧レベルの予測
5.5.1 まえがき
遠心羽根車の入口部にインデユーサを設置することで羽根入口の流れを改善させて空力
特性改善する試みがなされている。
この章では、遠心ファンの騒音特性をブレード後端の渦幅モデルより予測する方法につ
いて述べ、実測値と比較した結果を考察する。
遠心羽根車の入口にインデユーサを設置したインデユーサ付き遠心ファンは、インデユーサ
無しの従来の遠心ファンに比較して音圧レベルはほぽ同等であるが、高い静圧が得られる。
このためインデユーサ付き遠心ファンはインデユーサ無し遠心ファンに比べて約7%のファ
ン効率の上昇と、約7dBの比騒音レベルの低下を可能にした。ここでは、遠心送風機から
発生する騒音は主として乱流騒音である。
本節では、後退翼を有するインデユーサ付き遠心ファンの乱流騒音に関与するパラメータ
の一つである後流の幅の予測方法を提案し、これを用いて全帯域乱流騒音のL特性とA特
性の予測を行なった。
5.5.2 後流の幅の予測
式(1−16)に示すように乱流騒音を予測するためには相対座標系における後流の幅Dの
算定が必要である。後流の幅を得る方法として、図5−4に示すような後流の速度変動波形か
ら求めること自体簡単ではない。またこの方法で後流の幅を計算することは非常に煩雑で
ある。これを簡単に決定できれば、音圧レベルの予測にあたっては好都合である。そこで
後流の幅Dを次のように近似的に算出する方法を試みた。
図5−13は遠心ファン内の流動状態の概要を示したものである。流れは負圧面側では設計
入口角γ1で流入し、翼前縁の点Aから通路を通って円弧状に流れ、翼後縁を通る円との交
点Bを通って後縁より流出角β2で流出する。一方、圧力面側では、流れは翼面にそって流
入し、点Cから圧力面に沿った角度で羽根車の外側に流出すると仮定する。γ1とβ2を与
えれば、それを満足する円弧はただ一つ定まり、半径rと点Eが決定される。点Cにおい
て接線を引き、これに垂線を立てる。この垂線と圧力面側の流れと交わる点をFとすれば、
線分CFが求める後流の幅Dであると定義した。
一72一
P
1)歪
Blade
W・ _7』
, ,
β2
β1一
r
﹁/
//A
、_/や
/−
図5−13 後流幅の定義
55.3乱流騒音の予測
図5−14は、ブレードの入口角が29。一定で、出口角を23。、39。、65。、90◎と変化
させた場合の、乱流騒音の全帯域音圧レベルの実験値と予測値の比較を行なったものであ
る。45。の太い実線は実測値と予測値とが一致した点を結んだ線である。
全帯域音圧レベルの実験値と予測値とはL特性(○印)、A特性(●印)ともにほぼ±3d
B程度の精度で一致することがわかる。
一73一
70
SPL(L)
SPL(A)
ノ
ノ
!
/
!
!
!
/
!
!
!
!
!
!
!
1
!
!
.●
!
!
+3dB
!●
ブ 0 ︵U
︵峯Qも。5
m℃︻o>〇一〇﹄5ののo﹄α℃唱⇒oの
$
!
ノ
1
!
!
!
!
!
!
1
!
!
!
!
1
!
!
ノ
/
■
一3dB
1
!
1
!
!
!
■
■
!
/
!
CMU
!
!
N=1055rpm
!
40 !
40
50 60
Sound pressure level dB
(meas皿ed)
図5.14 実測値と予測値の比較
・74・
70
5.6 第5章のまとめ
(1)遠心ファンにインデユーサをつけると音圧レベルは流量係数が0.15付近までは
BWI2939がBW2939よりも低い値をとっている。また0.15以上の流量係数において
は逆転しBW2939の方が騒音レベルが低くなる。BW2939が流量係数が変化しても
騒音レベルがほとんど変化しないのに対してBW2939は流量係数の変化に伴って
変化する。これらからインデユーサを設けた場合流量の変化による音圧レベルの変化
に注意すべきである。
(2)またインデユーサを設けることで圧力が上昇するため、比騒音レベルでBWl2939と
BW2939を比較した場合は、ほぼ全域でBWI2939が低くなり音圧レベルで比較した
場合よりも両者の差は広がる傾向にある。このことから、インデユーサをつけること
は有効である。
(3) 相対速度のスパン方向分布は、すべての羽根車でスパン下部からスパン上部にわた
って減少するという傾向は一致している。γ2=90。のときが一番相対速度が小さく
なっているのは速度三角形より容易に予測できる。騒音は相対速度の6乗で効いて
くることを考慮すれば出口角は大きいほうが相対速度に起因する騒音は低減される
と考えられる。一方、後流の幅のスパン方向分布は、すべての羽根車でスパン上部
にいくにつれて後流の幅が増加している。また、出口角39。までは比較的翼に沿っ
て流れていると考えられ、γ2=65。以上になるとほとんど翼に沿わなくなっている
と考えられる。よって、後流の幅に起因する騒音は出口角を小さくした方が低減で
きる。
実際には、相対速度と後流の幅の相互作用によって騒音は決まるが実験結果から
は、出口角の増加するにつれてわずかに騒音は増加している。したがって、騒音
からみた出口角の最適値は、39。から65。の範囲にある。
(4) ベルマウスのすきまからの漏れは、2000Hzから3000Hzの高周波の騒音を大きく
させる。漏れを防止すると、この乱流騒音を低減することができる。
(5) 後退翼を有するインデユーサ付き遠心ファンの乱流騒音に関与するパラメータの一
つである後流の幅を、設計入口角と相対流出角から近似的に算出する方法で、全
帯域乱流騒音のL特性とA特性の予測を行なうと、実験値と予測値とは、L特性、
A特性ともにほぼ±3dB程度の精度で一致することがわかった。
一75一
Fly UP