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腸炎菌マウス経口感染における感染性の研究

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腸炎菌マウス経口感染における感染性の研究
21
昭 和36年4月20日
腸炎 菌 マ ウス経 口感 染 にお け る感 染 性 の研 究:特
に常在 菌叢
と して の腸 球菌 の意義 につ いて
慶応義塾大学医学部内科学教室(指 導
三方一沢教授)
慶応義塾大学医学部 細菌学教 室(指 導
牛場大蔵教授)
慶応義塾大学医学部 内科学教室
島
田
(昭 和35年11月9日
目
論
II実
験 方法
で あ るが,こ
与菌
b.実
験動物
c.薬
剤
d.培
な る概 念 で把 握 し'従 来 い わ れ て い る病 原 菌 の侵
襲 性(Iuvasiveness)又
は 伝 達 性(Communicability)と は 感 染 研 究 に お け る別個 の 対象 とす べ き
地
与方法
C菌
検索方法
D菌
同定 方 法
こ と を提 唱 して い る.
牛 場等3)はX線300γ
全 身 照 射 が,強 毒 腸 炎 菌
No.11株 の微 量 菌 経 口投 与 実 験 に お い て,マ ウ ス
III実 験 成 績
実 験1EM前
処 置 マ ウス に対 す るNo.11株
経
実 験2EM前
ら さ ない こ と を報 告 した.こ れ は腸 管 系伝 染 病 の
処置 マ ウス の逐 日屠 殺
実 験3EM十SM前
感 染 機 序 が 病 原 菌 の 体 内増 殖 に対 す る宿 主 の感
処置 マ ウス に対 す るNo.
11株 経 口投 与
受性 以 外 の 因 子 に強 く支 配 され る こ と を示 して い
球菌 定 着 マ ウス に 対 す るNo.11株
経
口投 与
語
る.す なわ ち,感 染 の成 立 に は菌 の腸 壁 通 過 以 前
に腸 管 内 に お け る諸 因 子 が 関 与 す る こ と を示 して
球 菌 の感 染 防 禦 効 果 に 於 け る菌 株 に
よ る差
V結
の 自然 抵 抗 性 の低 下(腹 腔 接 種 に よ る感 染 の増 強)
を も た らす に もか ゝわ らず,感 染 性 の増 強 を もた
口投 与
実 験5腸
界 か ら腸 管 に達 した病 原 菌 が 体
内増 殖 に 至 る まで の過程 を感 染 性(Infectivity)
B投
実 験4腸
の感 染 不 成 立 の 因 子 を分析 す る に 当
り,牛 場2)は,外
a.投
按
受 付)
例 の あ る こ とが福 留1)に よつ て詳 細 に報 告 され て
次
験材料
IV考
仲
い る.こ れ は宿 主 対 細 菌 の相 関 々係 に基 づ くもの
1緒
A実
佐
い る.牛 場4)は そ の 最 も重 要 な基 礎 をな す もの と
して腸 内 常 在性 細 菌 叢 を採 り上 げ た.
感 染 の 成 立 に は侵 入 した 病 原 菌 が腸 管 内 で増 殖
す る こ とが 必 要 で あ るが5)'大
I緒
論
性 投与 菌 は 常 在 菌 との拮 抗 作 用 の有 無 に か ゝわ ら
チ フ ス 症 の 感 染 発 症 機 転 に 関 し て は 従 来 よ り幾
多 の 業 績 が 重 ね られ て き た が'そ
れ に関 与 す る因
子 が あ ま り に も複 雑 を きわ め る た め,ま
だ充 分 解
明 さ れ た と は い ゝ難 い.
マ ウ ス に お け る 実 験 的 チ フ ス 症 の 研 究 で,微
菌 を経 口 投 与 した 場 合 に,常
林6)に よれ ば 外来
量
に感染 の成 立 しない
ず腸 管 内 で増 殖 し難 い こ とが知 られ て い る.投 与
菌 を腸 管 内 に お い て増 殖 せ しめ,そ の感 染 性 を高
め る べ く種 々 の方 法 が試 み られ て きた.古 くKoch
7)は コ レラ菌 の実 験 で 重 炭 酸 ソー ダ とアヘ ン と を
併 用 し,ま
たFormal8),Mc-Guire9)等
は アヘ
ン絶 食 等 を試 み た.近 時,化 学i療法 剤 の発 見 以 後
22
日本 伝 染 病学 会 雑 誌
第35巻
第1号
は,そ れ を前処 置 と して 用 い て 常 在 性 菌 叢 に攪 括
感 染 致 死 せ しめ うる.菌 液 は 肉水 寒 天18時 間 培 養
を与 えて感 染 性 を高 め る こ とが実 験 され た.す な
の も のか ら白金 マ ス で計 量 して減 菌蒸 溜 水 に 浮 遊
わ ち,平 田10)はサ ル フ ァ剤 を用 い,ま た糸 賀11),
させ1mg/mlを
杉 山12),広 岡13),Bohnhoff14),Miller15,等
使 用 し,実 験動
必 要 な各 濃 度 の 菌 液 を作 製 した.
ii腸 球 菌 腸球 菌 は マ ウ ス 由来 の もの で α溶
物 対 投与 菌 の 組 合 せ は 種 々 で あ る が,そ れ ぞ れ 所
血 を示 し,熱 抵 抗性 以 外 の各 種 生 物 学 的 性 状 は腸
期 の 目的 を達 して い る.
球 菌 に 一致 した.す な わ ち,熱 抵 抗 性 は60。C30分
トレプ トマ イ シ ン(以 下SM)を
湯 本16)はマ ウ ス をSMで
はス
原 液 と して そ れ よ り稀 釈 に よ り
前処 置 す る こ とに よ り
の加 熱 に は耐 え えず,55QC30分
の腸 管 内増 殖 を成 立 せ
しめ,薯 明 な感 染 性 の増 強 を認 め た.そ の際 従 来
え え た.糞 便 及 び各 臓 器 よ りの検 出 を容 易 にす る
べ くSM4000γ/m1耐
性 と して使 用 した が ,耐 性
よ り主 と して研 究 検 索 の対 象 と され て きたGram
株 と感 受性 の原 株 との 間 に は生 物 学 的性 状 の 差 は
陰 性 桿 菌群 の 他 にGram陽
認 め られ な か っ た.
c薬 剤
続 い て投 与 したNo.11株
性 桿 菌 群 を採 り上
げ,そ の減 数 が 大 腸 菌群 の そ れ よ り もむ しろ密 接
な 関係 を有 して い る こ とを報 告 した.
我 々 は 常 在 性 菌 叢 の うちGram陽
iEM:塩
の 加 熱 に は充 分 耐
野 義 製 薬 の 静注 用 ア イロ タ イ シ ン
性 球 菌類 に
(1バ イ アル 中 に ア イロ タ イシ ン塩 基 と して250mg
注 目 し,そ の減 少 或 い は増 加 が,外 来 性 菌 の 腸 管
力 価 の グ ル コ ペ プ トン酸 ア イ ロ タ イ シ ン を含 む)
内増 殖 に対 して い か な る影 響 を及 ぼ す か を追 及 し
を少 量 のpH7.8燐
た.第1に
溜 水 で10mg/m1の
溶 液 を作 り実 験 に供 した.
iiSM:科
研 化 学 の複 合 ス トレプ トマ イ シ ン
エ リス ロ マ イ シ ン(以 下EM)を
使用
して 常 在 性 菌 叢 よ り球 菌類 を撰 択 的 に 除 去 し,第
2にEMとSMと
を併 用 す る こ とに よ り腸 内 菌
叢 の全 面 的攪 括 を起 さ しめ,第3に
武 石17)の方 法
(1バ
酸 緩 衡液 で溶 解 し,更 に滅 菌 蒸
イ アル 中 に 日本 薬 局 方 硫 酸 ス トレプ トマ イ
シ ン0.59と
結 晶 硫 酸 ジ ヒ ドロ ス トレプ トマ イ シ
に従 っ て,腸 球 菌定 着 マ ウ ス を作 製 し,そ れ ぞ れ
ン0.59と
No.11株
溶 液 と して,マ ウ ス へ の 投与 及 び 培 地 へ の 混 入 に
を経 口投 与 し,そ の感 受性 と常在 性 菌 叢
中 で もそ の球 菌 類 の変 動 との関 係 を追 求 して認 む
べ き結 果 を え た .更 にEM投 与 マ ウ ス の逐 日屠 殺
を行 な い,EM投
与 に よ る菌 叢 の変 動 の様 相 を検
討 した.
a実
使 用 した.
d培 地
iB.T.B乳
糖 加寒天平板培地
腸 炎 菌No.
11株 の 検索 に使 用 した.
II実
A実
を含 有)を 滅 菌 蒸溜 水 で20mg/m1の
験方法
iiSM1000γ/ml加1%ブ
験材料
平板培地
験動物
B経
市 販 のdd系
及 び 実 験 動 物 中央 研 究 所 のddN
系雌 マ ウ ス で,生 後4∼6週
の もの を使 用 した.
a薬
合 液)及
ドウ糖 加 血 液 寒 天
腸 球 菌 の選 出 分 離 に使 用 した.
口投与 方法
剤 溶 液(EM溶
液 及 びEMとSMと
の混
び腸 球 菌 浮 遊 液 は そ れ ぞ れ0.2m1中
に
飼 育 は す べ て單 独 飼 育 と しオ リェ ン タ ル 固型 飼 料
必 要 量 を含 有 す る よ う調 製 し,1日1回
を与 え,水 は 水 道 水 を給 水瓶 よ り直 接 摂 取 させ,
間 連 続 金 属 ゾ ン デ を用 い て 可及 的 胃内 に 注 入 し
飼 育 管 理 に は 充 分注 意 した.
b使
用 菌株
i腸
炎菌
た.先 端 は 門 歯 よ り3cm以 上 体 内へ 押 入 され た が
充 分 に 胃内 に達 した か 否 か は 不 明 で あ る.し か し
強 毒腸 炎 菌No.11株
を使 用 した.
そ の毒 力 は マ ウ ス腹 腔 内接 種 で は きわ め て 強 く,
数 個 の菌 で も10日 前後 で 大 半 の マ ウ ス をた お し,
ま た'経
ず つ3日
口接 種 で は1mgの
菌ですべてのマウス を
注 入 液 が逆 流 す る こ とは なか っ た.
b腸
炎菌
マ ウ ス をエ ー テ ル で麻 酔 し,金 属 ゾ ンデ を用 い
て各 稀 釈 濃 度 の菌 液0.2m1を
胃内 に注 入 した.
23
昭 和36年4月20日
こ の場 合 も胃内 へ の注 入 は確 実 で は な い が逆 流 す
時 間 培養 後 え られ た集 落 を,斜 光 法 を用 い た立 体
る こ とは なか つ た 。
顕 微鏡 に よ り肉 眼 的 に 区別 し うる限 りの種 類 に分
C菌
検索 方法
け,糞 便 乳 剤0.1m1中
a糞
便 よ りの 菌 検 索方 法
及 び腸 内 菌叢 の 消 長 か ら腸 内 の変 動 を検 した.
マ ウ ス を1日1回
滅 菌 シ ャー レ上 に置 き,自 然
排 出 され た糞 便 を採 取 し,そ の1個
を1m1の
滅
菌蒸 溜 水 中 で乳 剤 と し,こ の1白 金 耳 を前記 各 培
Fig.
1.
Detection
change
of
been
の菌 数 を概 算 し,投 与 菌
of
innoculated
intestinal
orally
given
flora
with
bacteria
of
EM
mice
1007
and
which
had
daily •~3
days
地 上 に塗 抹37QC24時 間 培 養 の 後 そ れ ぞ れ の培 地 よ
りえた集 落 につ い て同 定 した.
b剖
検 培 養 よ りの 薗検 索 方 法
各 実 験 と も観 察 期 間 を3週 間 と し,途 中死 亡 し
た マ ウ ス は直 ちに,ま た期 間終 了 後 も生 残 した マ
ウ スは エ ー テ ル で屠 殺 して,そ の 心血,肝,脾,
腎,腸 間 膜 リン パ節 を と り,滅 菌 シ ャー レ上 で ガ
ラ ス棒 で充 分磨 砕 して,前 記 各 培地 上 に塗 抹 培 養
し,投 与 菌 の体 内分 布 を検 索 した.
D同
定方法
a腸
炎菌
腸 炎 菌No.11株
の 集 落 はB.T.B.培
地上 で
斜 光 照 射 法 を用 い た立 体 顕 微 鏡 に よ りか な り薯 明
な性 状 を示 す の で,こ れ を他 の 菌 の集 落 と識 別 す
るの は 容 易 で あ るが,必 要 に応 じて血 清 学 的 に 同
Innoculation:
10-6
定 を行 なっ た.
Salm.
enteritidis
Nollstrain.
mg/ml •~0.2m1
Noll:
innoculuted
bacteria •}•c
b腸
球菌
C:
Gram-positive
SM加
血 液 寒 天 平 板 培地 上 に 投 与 菌 以 外 の菌 の
B:
Gram-negative
1•`102
cocci
+•c102•`103
+
bacilli + +•c103-104
+ + + •c
集 落 を見 い だ す こ とは稀 で あつ た が,肉 眼 的 に投
与 菌 で あ る か否 か疑 わ しい場 合 に は,各 種 生 物 学
的 性 状 を検 討 して鋼 定 した.
III実 験 成 績
実 験1EM前
Death
of
104-105
infection + + + + •cover
Culture
of
organs:
en,
Kidney
and
Heart
105
blood,
mesenterial
Liver,
lymph
Splenode.
種 々 の菌 量 で 実 験 を行 なっ た が,10-6mg/ml
処 置 マ ウ ス に対 す るNo.11株
経 口投与
0.2m1中
D:
の 菌液0.2m1を
投 与 した場 合 に は第1図
の ごと
く,死 亡 マ ウ スは10匹 中4匹 で あ り,ま た保 菌 マ
にEM1000γ
を含 む溶 液 を ゾ ン デ に
ウ ス は6匹 中1匹 で,感 染 率 は50%で
あつ た.無
よ り1日1回 ず つ3日 間 連 続 経 口投 与 した後,エ
ー テル麻 酔下 にNo.11株
を経 口接 種 した.EM
処 置 マ ウ ス に同 量 の菌 を接 種 す る実 験 は数 回 にわ
投 与後No.11株
つ た が,マ
接 種 前 に1回 検 便 を行 ない,ま
た接 種 後 は,最 初 の1週 闇 は3日
日 を除 き毎 日,
た り行 なわ れ,成 績 は実 験 に よ り多少 の変 動 は あ
ウ ス総 数60匹
中感 染 死 亡 した もの11
匹,生 存 保 菌 を み た も の2匹 で感 染 率 は21.6%で
そ の後 は適 宜 間 隔 を置 い て検 便 を行 なっ た.検 便
あ つ た.ま た糞 便 培 養 の面 か らみ る と,無 処 置 の
は1日1回
場 合 接 種24時 間 後 に糞便 内 に投 与 菌 を検 出 す る こ
ず っ採 便 し,2.7m1の
で充 分 磨 砕 し,そ の0.1加1及
0.1m1をB.T.B.培
滅 菌蒸 溜 水 中
び100倍
稀釈液 の
地 上 に よ く塗 抹 し,37℃24
とは稀 で,死 亡 前 に の み検 出 す る の で あ るが,前
処 置 を行 な うこ とに よ り6匹 の マ ウ ス で24時 間 後
日本 伝 染 病 学 会 雜 誌
24
で既 に投 与 菌 を検 出 し得 た.特 にNo.3マ
ウス て
及 び形 態 を決定 した後,Gram陽
第35巻
第1号
性 球 菌,Gram
は大 量 に検 出 し,そ の後 死 亡 に至 る まで検 便 の た
陰 性 桿 菌,Gram陽
び に 大 量 の 菌 を認 め た.No.1マ
分 類 し,各 菌 の各 培地 にお け る腸 管 磨 砕 原 液0.1
ウ ス は24時 間後
に検 出 した 菌 は 少 量 で あっ た が,そ の後 増 量 し接
種 後7日
目で死 亡 した.No.4マ
ウ ス は初 期 に少
量 の 菌 を排 出 し一 旦 消 失 したが,6日
び 排 菌 を始 め9日
目に至 り再
目に死 亡 した.No.2マ
は 当初 全 く排 菌 が な か っ た が5日
中 に見 い だ され8日
ウスで
日か ら菌 が糞 便
目に死 亡 した.No.5マ
ウス
は24時 間後 に1回 少 量 の 菌 を認 め た が,そ
の後 消
m1中
の 菌数 を概 算 した.
Grarn陽
性球 菌 類 に つ い ては 溶 血 性,熱 抵 抗
性,胆 汁 抵 抗 性,6.5%食
天 平 板 での 発 育 を み た.な お嫌 気 性 血 液 平 板 よ り
分 雜 培 養 した 菌株 は す べ て肉 水 ブ イ ヨン に好 気 性
に発 育 しえた。Gram陽
失 し10日 日 よ り再 排 菌 を始 め次 第 に 菌 量 が 増 加 し
た が 期 間 中 に は遂 に死 亡 しな か つ た.し か し期 間
糖 分解 能,サ
した.
塩 加 ブ イ ヨ ン 及 びpH
9.6ブ イ ヨ ン で の発 育,肉 水 ブ イ ヨ ン及 び 肉水 寒
無 を検 し,Gram陰
終 了 後 の 剖 検 に よ りす べ て の臓 器 中 よ り菌 を証 明
性 桿 菌 及 び イー ス ト様 菌 に
IMVIC反
性 桿 菌類 はそ の芽 胞 の有
性 桿 菌 類 は 乳糖 及 び ブ ドウ
ヅカ ロー ズ及 び マ ン ニ ッ ト分 解 能,
応,ゲ
ラチ ン液 化 能 及 び運 動 性 を検
索 した.な お,こ の際 分 離 株 に つ い て の詳 細 な同
感 染 マ ウ ス と非 感 染 マ ウ ス とで糞 便 内 に現 わ れ
た他 の 菌 の変 動 との 間 に 特 に認 め る べ き相 関 々係
は な く,中
で もGram陽
性 球 菌 類 と投 与 菌 の検
定 は 避 け,大 体 の分 類 を行 な うに止 め た.
Graln陽
性 桿 菌 はRogosa培
性 桿 菌 はB.T.B培
地 を,Gram陰
地 を主 な対 象 と してEM投
与
出 との間 に も一定 の 関係 は認 め られ なか っ た が,
に よ る腸 内 菌 叢 の 変 動 を観 察 した.Gram陽
死 亡 したNo.1,2,3,4,マ
与 菌 が 大 量 に 糞 便 内 に 出現 す る と ゝもにGram
菌 に つ い て は さ きに武 石17)が同 一 の 前処 置 を行 な
つ て血 液 寒 天 平 板 好 気 性 培 養 の変 動 を報 告 した.
陽 性球 菌類 が 減 少 な い し消 失 す る の が 認 め られ
我 々 は好 気 性 培養 と ゝも に嫌 気 性 培 養 も行 な つ た
た.し か し,糞 便 内 に み られ る この よ うな菌 の様
の で,重 複 を避 け,嫌 気 性 培 養 下 の様 相 を第2図
相 は腸 管 の最 も上 部 か ら肛 門 に至 る まで の 間 の 変
に示 した.
動 の集 約 で あ るか ら,腸 管 の各 部 分 に お い て どの
Gram陽
ウスでは 死亡前投
性球
性 球 菌 類 は 腸 球 菌 に属 す る もの とそ
よ うな 変 化 が 起 つ て い るの か を追 求 す る必要 が あ
れ 以 外 の もの とに大 別 され るが,検 出 さ れ た球 菌
る もの と思 わ れ た.
の大 部 分 は腸 球 菌 で,そ れ 以 外 の球 菌 は散 見 す る
実 験2EM前
処 置 マ ウ ス の逐 日屠 殺
マ ウ ス25匹 を5匹 ず つ,対 照 群,EM1日
群,2日
投与 群,3日
投 与 群,4日
に過 ぎな か つ た.EM1日
投与
投 与 群 の5群
に分 け,順 次 エ ー テル に よ り屠 殺 し,そ の腸 管 を
投与 に よ り小 腸 上 部 に
おい て は腸 球 菌 は全 く消 失 し,小 腸 下 部 で はや ゝ
減 少 の傾 向 が見 られ た.大 腸 上部 では 投 与 前 と変
りな く,大 腸 下 部 で はや ゝ減 少 して い た.2日
投
小 腸 上部 及 び 下 部,大 腸 上 部 及 び下 部 の4ヵ 所 に
与 に よ り小 腸 上 部 で はや は り全 く検 出 され ず,小
大 別 し,各部 分 を無 菌 的 に各1cmず つ 切 除 し,2.7
m1の 生 理 的 食 塩 液 中 で充 分 に磨 砕 して この液 を
腸 下 部 に お い て も減 少 して い るが,大 腸 に お い て
は 上 部 下 部 と もに投 与 前 よ りもむ しろ増 加 して い
原 液 と し,そ の100倍 稀釈 液 との各0.1m1を
る.3日
血液
投 与 に よ り小 腸 上 部 で は消 失 の状 態 が 続
寒 天 平 板2枚,B.T.B.培
地 及 びRogosa培
地18)
にConradiで
よ く塗 抹 しB.T.B.培
地 及 び1
き,小 腸 下 部 で は投 与 前 に復 して い る.大 腸 上 部
では 前 日よ り も更 に増 加 して い るが,大 腸 下部 で
枚 の血 液 平 板 は好 気 性 に37℃24時 間 培 養 し,残 り
1枚 の 血 液 平 板 及 びRogosa培
地 は窒 素 に よ り嫌
は全 く消 失 してい る.4日 投 与 に よ り小 腸 上部 で
は や は り消 失 して お り,小 腸 下 部 では 再 び減 少 を
気 性 に370C24時 間 培 養 した.以 上 の4種 の培 地 上
に発 育 した集 落 を立体 顕 微鏡 に よ り異 な る と到 定
示 して い る.大 腸 上部 では 前 日 と同 様 に増 加 した
しえ た もの をす べ て分 離 純 培養 し,Gram染
色性
状 態 を保 ち,ま た 大 腸 下 部 で も急 に 増 加 してい
る.す な わ ち,EM投
与 に よ り最 も強 い 影 響 を受
25
昭 胸36年4月20日
Fig. 2. Influence,
intestinal
+
given
Gram-positive
cocci
B:
Gran-negative
bacilli
B:
Gram-positive
bacilli•}
1•`102 +:
erythromycin
1000,y daily
on the
of mice.
C:
+
:
of orally
flora
102•`103 + +
: 103-104 + + + •c104-105 + + + +:
over
な わ ちGram陽
105
け るの は 小 腸 上 部 で投 与 期 間 中全 く腸 球 菌 は消 失
れ た.す
性桿 菌 は元 来 検 出 され
して い た.小 腸 下 部 で は1日 投 与2日 投 与 と順 次
た 菌 は あ ま り多 くは な か つ た が,EMを3日
投与
減 少 して きた が3日 投 与 に よ り投 与 前 に戻 り4日
す る こ とに よ り腸 管 の す べ て の部 分 で消 失 し,4
投 与 に よ り再 度 減 少 して い た.大 腸 上 部 に お い て
日投与 に よ り反 つ てや ゝ増 加 の傾 向 が 見 られ た.
は1日 投 与 に よつ て は 変 化 が なか つ た が,2日
投
Gram陰
性 桿 菌 は そ の 生 物 学 的性 状 か ら非 常
与 よ り4日 投 与 まで 投与 前 よ りも増 加 してい た.
に 多種 類 に分 け られ た が,そ れ らの 間 に 一定 の 関
大 腸 下 部 で は1日 投与 に よつ て は や ゝ減 少 し2日
係 は認 め られ なか っ た.ま た実 験 期 間 中特 殊 の 菌
投 与 に よ つ て は反 つ て増 加 し,3日
が特 別 な態 度 を示 す と云 うこ と も認 め られ な か っ
投与 に よつ て
は 全 く消 失 し4日 投 与 で再 度 投 与 前 よ りも増 加 す
る とい うよ うに激 しい変 動 が見 られ た.
Gram陽
属 す る もの,対
Clostridiumに
投 与 以 後 は反 つ て増 加 の状 態 を続 け,ま た大 腸 に
照 群 に おい て 少 数 の
属 す る もの が認 め られ た が,EM
投 与 よ り3日 投 与 まで消 失 し,4日
与 後 に や ゝ増 加 を見 た 。小 腸 下 部 で はEM1日
与2日
投与 と も減 少 し,3日
おい て は減 少 す る こ とは な く常 に投 与 前 よ りも大
量 の菌 が検 出 され た.
投与後 に は全 く認 め られ な くな つ た.小 腸 上部 で
はEM1日
投 与 す る こ とに よ り小 腸 に お い て は1
日投 与 に よ り一 た ん減 少 な い し消 失 した が,2日
性 桿 菌 類 は ほ と ん どす べ てLacto-
bacilusに
た.EMを
投
投
投 与 に よ り消 失 し4
以 上 を概 観 す る と,小 腸 に お い て はGram陽
性 球 菌 とGram陽
性 桿 菌 とは 消 失 ない し減 少 し
Gram陰
性 桿 菌 は 一 た ん 減 少 して も後 に は か え
つ て増 加 した.大
腸 で はGram陽
り大 きな 変 動 は な く,Gram陰
性桿 菌は あ ま
性 桿 菌 は 常 に増
日投与 に よ りや ゝ増 加 して い た が,投 与 前 に く ら
べ る と なお少 数 で あつ た。 大 腸 に おい て は 上部 下
加 した が,Gram陽
部 と もに 投 与 前 よ りGram陽
し下 部 で は減 少,増 加,消 失,再 度 増 加 と激 しい
な か つ た が,EM1日
性桿 菌 は検 出 され
投与 に よ りや ゝ増 加 し,2
日投 与 で は大 腸 上部 では な お増 加 してい た が下 部
で は消 失 し,3日
し,4日
投与 に よつ て上 下 部 とも に消 失
投 与 で上部 では消 失 下部 で は増 加 が み ら
性 球 菌 は 上部 で は や ゝ増 加
変 動 が示 され た.
実 験3EM+SM前
処 置 マ ウ ス に対 す るNo.
11株 経 口投与
0.2m1中
にEM1000γ
とSM2000γ
と を含 む
26
日本 伝 染 病 学 会雜 誌
溶 液 を調 製 し,ゾ
ン デ に よ つ て1日1回
間 連 続 経 口投 与 し,第3回
No.11株
m1ず
目 の 投 与24時
の 菌 液10-6mg/dl及
つ を,エ
接 種 した.接
は な か っ た が,こ
各0.2
れ た.次
に10-8mg/dlの
匹 中1匹
で あ り,保
び10-8mg/dlの
間 を観 察 期 間 と し,隔
日に
便 内 の 投 与 菌 の 消 長 を検 索
中 死 亡 マ ウ ス は 臓 器 培 養 に よ りす べ てNo.
11株 に よ る敗 血 症 死 で あ る こ と を確 認 し た.
Fig. 3.
Detection
of innoculated
ちNo.42マ
の 場 合 に は 全 マ ウ ス か ら検 出 さ
り,立
場 合 に は 死 亡 マ ウ ス は5
菌 生 残 マ ウ ス は3匹,す
ウ ス は 接 種 後11日
に 菌 を 証 明 し,17日
毛,食
た.No.43マ
なわ
目 よ り検 便 の ご と
目頃 よ り次 第 に 動 作 緩 慢 と な
思 不 振 等,病
が 見 ら れ た が,つ
bacteria
第1号
接 種24時 間 後 に 翫 に 糞 便 内 に 菌 を 検 出 し え た も の
間後 に
ー テ ル 麻 酔 下 に ゾ ン デ に よ り経 口
種 後3週
検 便 を 行 な つ て,糞
し,途
ず っ3日
第35巻
勢 の 進 行 して い る徴 候
い に 期 間 中 には 死 亡 しな か つ
目 及 び7日
目の検 便 に お
い て 菌 を認 め た の み で あ つ た が,観
ウ ス は5日
察期間終了後
の 臓 器 培 養 に お い て 腸 間 膜 リ ン パ 節 よ り菌 を証 明
し え た.No.44マ
ウ ス は 糞 便 か らは1度
出 し え た こ とは な か つ た が,剖
膜 リ ン パ 節 に 保 菌 を 認 め,感
も 菌 を検
検 に て 同様 に腸 間
染 率 は 合 計80%と
な
つ た.
実 験4腸
球 菌 定 着 マ ウ ス に 対 す るNo・11株
経 口投 与
25匹 の マ ウ ス を5匹
ス にEM1000γ
ず っ5群
とSM2000γ
む 溶 液 を1日1回
ず っ3日
D:
Death
of
Nollstrain
infection
10-8
Culture
of
leen,
mg/m1•~0.
organs:
Kidney
2m1
Heart
and
blood,
mesenterial
=
lymph
Sp-
な わ ち,無
11株 の1mg/m1の
処 置 マ ウ スに お い て
菌 液,第3群
中2匹
10-6mg/dlの
は10-6mg超
の 場 合 に は5匹
血 症 死 し,保
菌 生 残 マ ウ ス は な く,感 染 率 は40%
各0.2m1を
で あ つ た.こ
の 感 染 率 は この よ うな条 件 の下 で は
接 種 し,そ
高 率 で あ つ て,実
験1の
が期 間 中 に敗
項 で 述 べ た よ う に,数
次
に わ た る実 験 の 平 均 は21.6%で
あ る.次
に,10
-8mg/dlの 場 合 に は 死 亡 マ ウ ス は な く
,No.51マ
ウ ス に お い て 接 種 後5日
与 菌 を検 出 し た が,そ
目 に1回
だ け糞 便 よ り投
の 他 に は 菌 を 証 明 した こ と
は な く,ま
た保 菌 生 残 マ ウ ス もな か っ た の で感 染
率 は0%で
あ つ た.こ
た 群 で は10-6mg/dlの
し,ま
れ に 対 し,前 処 置 を行 な っ
場 合 に は5匹
全 部 が感 染 死
た 且 つ 生 存 日数 も短 縮 し て い た(平
日).ま た 特 徴 的 な こ と ゝ し て,他
の腸 球 菌 は マ ウ ス 由 来
node
に 示 す ご と く著 しい 感 染 率 の
上 昇 を認 め た.す
同
験方
の も の で 検 出 を容 易 に す る た め にSM4000γ/ml
耐 性 と し て 使 用 し た.そ
そ の 結 果 は 第3図
菌 液0.2m1を
間 連 続 経 口投 与 した.実
法 の 頃 で 述 べ た ご と く,こ
3.5
Liver,
宛3日
マウ
に含
間 連 続 経 口 投 与 し,引
続 い て 緑 色 腸 球 菌101ng/m1の
様 に1日1回
に 大 別 し,全
と を0.2m1中
均8.2
の どの場 合 に も
の 後,第1群
菌 液,第2群
に は10-4mg紐
菌 液,第5群
に はNo.
に は10-2mg/dlの
の 菌 液,第4群
には
に は10-8mg/dlの
菌液
エ ー テ ル 麻 酔 下 に ゾ ン デ に よ り経 口
の 後 隔 日 に 採 便 し,SM2000γ/mlを
含 む ブ ドー糖 加 血 液 寒 天 平 板 培 地 及 びB.T.B.
培 地 に 塗 抹 培 養 し糞 便 中 の 投 与 腸 球 菌 及 びNo.
11株 の 消 長 を検 索 し た.接
と し,途
種 後3週
間 を観 察 期 間
中 死 亡 マ ウ ス は 剖 検 に よ りす べ てNo.
11株 に よ る敗 血 症 死 で あ る こ と が 確 認 さ れ た が,
臓 器 中 よ り腸 球 菌 の 検 出 さ れ た こ と は な か つ た.
1mg/ml×0.2m1投
後7日
与 群 で はNo.11株
目 に2匹,9日
目 に2匹,13日
全 マ ウ ス が 死 亡 した.そ
と,No.56,58,59の
接種
目 に1匹
と
の 糞 便 培 養 の 成 績 を見 る
各 マ ウ ス は 検 便 ご と にNo.
27
昭 和36年4月20日
る と,100%の
Fig. 4. Protective
effect of enterococci
salmonellosis
of mice
死 亡 率 を示 す の で,腸 球 菌 を 投 与 す
against
る こ と に よ りわ ず か に 死 亡 率 の 低 下 が み られ た.
1-4mg/ml×0.2m1投
ス は5日
7日
与 群 で はNo.66マ
日 の 検 便 に お い てNo.11株
目 に 死 亡 し た.No.67マ
日 目 ま で の 検 便 で はNo.11株
残 した3匹
は 剖 検 に よ つ て もNo.11株
が,No.68マ
を検 出 し,
ウ ス は1日
日 よ り9
を検 出 して い た が,
11日 目 と13日 目 に は 消 失 した.し
死 亡 し て い る.生
ウ
か し,14日
目に
の マ ウ ス の う ち2匹
は検 出 され なか つ た
ウ ス は 検 便 で は1度
も菌 を検 出 し
Fig. 5. Protective
effect of enterococci
against
oral infection
with Salm. enteritidis
No. llstrain, in mice
Noll•cSalm.
enteritidis
No.
EK•cEnterococcus
11
strain
viridans
D•cDeath
of
infection
11株 も腸 球 菌 も共 に 検 出 さ れ て い る.No.57マ
ス で はNo.11株
が,腸
は 検 便 ご とに 検 出 され て い る
球 菌 は 検 出 さ れ な い 日 が1回
No.60マ
ウ
だ け あ つ た.
ウ ス で は 腸 球 菌 は 常 に 検 出 さ れ た が,
No.11株
は5日
目 よ り9日
目 ま で 一 た ん 消 失 し,
11日 日 に 再 び 糞 便 中 に 出 現 し,同
不 活 溌 と な り13日 日 に 死 亡 した.こ
にNo.11株
時 に 立 毛,運
動
の よ うに 大 量
を接 種 した 場 合 に は,EMとSMと
に よ る 前 処 置 の 後 に 腸 球 菌 を投 与 した 群 と投 与 し
な か つ た 群 と の 間 に 差 は 認 め ら れ な か つ た.(第
5図)
10-2mg/ml×0.2ml投
4匹 が 死 亡 し た が,残
与 群 に お い て は5匹
り1匹
中
た こ とは なか っ た が,剖 検 に よ り肝 に の み 菌 を保
は 検 便 に お い て1度
の 臓 器 培 養 に お い て も保 菌 は 認 め ら れ な か つ た.
有 してい た.腸 球 菌 は途 中 一 時消 失 した こ とが あ
つ たが 大 部 分 の検 便 で証 明 され た.こ の群 で は死
し か し,腸
亡,保 菌 あわ せ て感 染 率 は60%で
もNo.11株
は80%で
SMに
を検 出 で き ず,ま
た観 察 期 間終 了 後
球 菌 は 検 便 ご と に 証 明 さ れ た.死
あ つ た.同
量 のNo.11株
を,EM及
亡率
び
よ る 前 処 置 の み を行 な つ た マ ウ ス に 接 種 す
あ つ た.こ れ に
対 して 腸 球 菌 投 与 の み を行 なわ ず,同
量 のNo.
11株 を投 与 す る と6日 日 よ り10日 目の 間 に100%
日本 伝 染 病学 会 雑 誌
28
の 死 亡 率 を示 して い る.両
者 を 比 較 す る と前 の 場
た マ ウ ス は1匹
与 群 で は5匹
中死 亡 し
の み で あ つ た. No.71マ
日 目 ま で 糞 便 中 よ りNo.11株
ウ ス は7
を検 出 し,9日
よ り11日 目 ま で は 検 出 し え な か つ た が,次
活 溌 と な り立 毛,食
目
第 に不
思 不 振 を き た し,13日
と に 大 別 さ れ る が,そ
第1号
の他 の生 物 学 的 性 状 に
お い て は 全 く差 は 認 め ら れ な か つ た 。
合 よ り も や ゝ大 き な 感 染 率 の 低 下 が み ら れ る.
10-6mg/ml×0.2m1投
2株
第35審
目に は
10匹 ず つ4群
れ 実 験4と
SMと
の マ ウ ス にA,
同 様 な 方 法 で,す
を3日
間 投 与 し,次
を10mg/ml×0.2mlず
No.11株
B, C, D株
をそ れ ぞ
な わ ち ま ずEMと
い で そ れ ぞ れ の 腸球 菌
つ 経 口投 与 し,引
を10-6mg/ml×0.2mlず
続い て
つ 経 口接 種 し,
ほ と ん ど死 亡 の 寸 前 で 採 便 不 能 と な り14日 目 に 死
そ の 感 染 性 に 及 ぼ す 影 響 を比 較 検 討 した(第6
亡 し,心
図).
血 及 び そ の 他 臓 器 中 よ りNo.11株
出 し た.4匹
を検
の 生 残 マ ウ ス は 剖 検 に よ り全 くNo.
11株 を 検 出 し え な か つ た が, No.72マ
ウ ス で は1
日 目 の 検 便 に お い て,ま
ウ ス で は9
たNo.73マ
日 目 の 検 便 に お い て そ れ ぞ れ1回
を検 出 した.腸
さ れ た.死
Fig. 6. Comparison
of protective
effects of various strains
of enterococci
against
oral infection
with Salm. enteritidis.
ず つNo.11株
球 菌 は 全 マ ウ ス で検 便 ご とに検 出
亡 率 は20%で
あ つ た.同
量 のNo.11
株 を腸 球 菌 投 与 の み を 行 わ ず に 接 種 す る と死 亡 率
は100%で
あ つ た.こ
の程 度 の菌 量 の接 種 で は両
者 の 間 に 著 明 な 感 染 率 の 差 が み ら れ た.
10-8mg/ml×0.2ml投
与 群 で は死 亡 した マ ウ
ス は な か つ た が, No.76マ
ウ ス は7,
9,
日 目 に そ れ ぞ れ 糞 便 中 にNo.11株
11,
15
を 排 菌 し,剖
検 に よ り臓 器 保 菌 が 認 め ら れ た.し
か し,外
運 動,食
球 菌 は途 中 一
思 等 に 異 常 は な か つ た.腸
時 消 失 す る こ と が あ つ た が,大
さ れ た.こ
此 し て,
部 分 の検 便 で証 明
の 群 の 感 染 率 は20%で
EM,
SMの
3匹 で80%の
合 に も,腸
あ つ た.こ
み を投 与 して,腸
与 し な か っ た 群 で は,死
観,
亡1匹,生
感 染 率 を示 し た.す
れ に
球 菌 を投
残保 菌マウ ス
な わ ち,こ
の場
球 菌 を 定 着 せ し め る こ と に よ り著 し い
感 染 性 の 低 下 が 認 め られ た.
実 験5腸
Challenge
球 菌 の感 染 防禦 効 果 にお け る菌 株 に
よ る差
実 験4で
A株
使 用 した 腸 球 菌 と同 様 に,マ
ウ ス糞 便
よ り分 離 し た 十 数 株 の 腸 球 菌 の 中 か ら任 意 に3株
を選 ん だ.こ
Salm.
の3株
は そ れ ぞ れ異 な つ た個 体 の マ
ウ ス の 糞 便 よ り分 離 さ れ た.こ
血 を示 し こ れ をB株
と し た.他
示 し こ れ を そ れ ぞ れC,
D株
に お い て 使 用 した 株 はA株
の う ち1株
は α溶
innoculum:
ent
No.
11
を 投 与 した 群 で は1匹
と げ た の み で,9匹
は な く,感
10-6mg/ml•~0.2ml
が20日
目 に感 染 死 を
の生 残 マ ウ ス 中 に保 菌 マ ウ ス
染 率 は10%で
同 じ く α溶 液 のB株
株 接 種 後1日
2匹
strain,
あ つ た.
を 使 用 し た 群 で はNo.11
目 に2匹,2日
と相 次 い で 発 死 し た が,臓
目 に4匹,3日
目に
器 培 養 でNo.11
の2株
は β溶 血 を
と した.な
お 実 験4
株 を 検 出 し え た も の は 全 く な か つ た.2匹
の腸球菌
マ ウ ス も保 菌 して な か っ た の で,10匹
型 の もの
ウ ス が 短 時 日の う ち に 死 亡 し た に も か ゝわ らず,
と した.4株
は 溶 血 性 に お い て α型 の も の2株
と,β
中8匹
の生 残
の マ
昭 和36年4月20日
29
感 染 率 は0%で
あつ た.
β溶 血のC株
を使 用 した群 で は2日
3日 目 に1匹,11日
計5匹
Fig. 7
目に1匹,14日
目に2匹,
目に1匹
と合
Comparison
of protective
and EM against
enteritidis.
oral
infection
effect
of SM
with
Salm.
が死 亡 した.こ の う ち2日 目に死 亡 した マ
ウ ス は剖 検 時No.11株
を検 出 しえ なか つ た が,
他 の3匹 は 感染 死 で あ る こ とが 確 か め られ た.生
残 した5匹
中 に保 菌 マ ウ ス は な か つ た の で,感 染
率 は30%で
あつ た.
D株 もβ溶 血で あ るが,こ の 群 で は11日 目 に2
匹,13日
目に1匹 の マ ウ スがNo.11株
に よ る感
染 死 を とげ た が生 残 保 菌 マ ウ スは なか つ た.感 染
率 はC群
と同 様 に30%で
あつ た.
IV考
按
チ フス性 疾 患 の感 染 が 成 立 す る た め に は,腸 管
内 に侵 入 した病 原 菌 が,ま ず そ こで増 殖 しな け れ
ば な らな い こ とが知 られ て い る.ま た 一 方,外 来
性 菌 は腸 管 内 に お い て容 易 に は 増 殖 しえ ない こ と
も知 られ て い る.感 染 の成 立 は宿 主 と寄 生 体 との
Challenge
innoculum:
strain,
10-5
Salm.
ent.
No.11
mg/ml•~0.2ml
相 関 々 係 に よ る もの で あ るが,一 定 の関 係 に お い
て,そ の 感 染 性 を左 右 す る もの ゝう ち最 も重 要 な
もの と して 常 在 性 腸 内 菌 叢 が 採 りあ げ られ,幾 多
我 々 は 常在 性 腸 内 菌 叢 の うち,小 腸 に 常在 す る
性 球 菌 類 に 注 目 し,そ の減 少 或 い は 増
加 が 後 か ら侵 入 した病原 菌 に対 して い か な る影 響
実 験 は マ ウ ス対 強 毒 腸 炎 菌No.11株
られ るGram陽
を対 象 と
ウ ス の常 在 性 腸 内菌 叢 中 に見
性 球 菌類 は 大 部 分 腸 球 菌 に属 す
前処 置 と して 投与 す る こ とに よ り
選 択 的 に 腸 球 菌 を減 少 せ しめ,続
No.11株
い て 投与 した
に対 す る感 染 を高 め えた.前 処 置 と して
投 与 したEMの
量 は1日1000γ
口投与 した の で あ る が,1日200γ
ず つ3日 間連 続 経
ず つ とす る と
この よ うな感 染 の上 昇 は み られ なか つ た.
湯 本16)は前処 置 と してSM2000γ
を1日1回
ず
つ3日 問 連 続 経 口投与 す る こ とに よ り,続 い て投
与 したNo.11株
え たが,EM前
感 染 率 を示 した(第7図).こ
処 置一
に
の両 者
の差 はNo.11株
の 主 な体 内侵 入 部 位 が小 腸 下 部
以 下 の, SM感
受性 菌 が 広 く分 布 して い る個 所 で
あ るた め で あろ う と思 わ れ る.
投与 す る こ とに よ
つ て も あ る程 度 の感 染 性 の 上 昇 が 認 め られ た の
で,こ の際 の腸 内菌 叢 の様 相 を逐 日屠 殺法 に よ り
観 察 した.同 様 な実 験 を武 石17)が血 液 寒 天 平板 好
気 性 培養 下 に行 ない 報 告 した が,我 々 は好 気 性 培
る もの で あつ た.
第1にEMを
No.11株10-5mg/ml×0.2ml
処 置 に よ り60%,SM前
しか し,前 処 置 と してEMを
を及 ぼ す か を検 討 した 。
して行 な つ たが,マ
の接 種 で, EM前
よ り100%の
の業 績 が重 ね られ て きた.
Graln陽
追 試 に お い て も,
に対 す るマ ウ スの感 染 性 を高 め
処 置 よ りも高 度 で あつ た.我 々 の
養 と共 に 嫌 気 性 培 養 も行 な つ た の で,重
け,嫌 気 性 培養 下 の様 相 を第2図
わ ち, EMを
複 を避
に示 した.す な
経 口投与 す る と,腸 球 菌 は小 腸 に お
い て減 少 な い し消 失 し,大 腸 では む しろや ゝ増 加
して い る. Gram陽
性 桿 菌 もや ゝ減 少 の 傾 向 を
示 して い るが, Gram陰
い て増 加 して い る.
性桿菌 は 腸管各部 にお
この よ うな状 態 にNo.11株
を接 種 す る と,小
腸 に お い て容 易 に増 殖 しえて,微 量 菌 を接 種 して
大 量 菌 を接 種 した の と同 じ結 果 に な るの で は な
も
い で あろ うか.そ して こ の際 腸 球 菌 の減 少 が 大 き
日本 伝 染 病 学 会雑 誌
30
を併 用 す る こ とに よ り,常
在 性 菌 叢 に対 して よ り大 きな か く乱 を与 えて か ら
No.11株
を接 種 す る と,著
られ た.第3図
しい感 染 率 の 上昇 が み
おいて さえも
種 の場 合 を見 る と, 5,
7,
8,
で あ る.対 照 群 で は15, 17日 目に1匹 ず
つ 死 亡 してい る.マ ウ ス対No.11株
2次 敗 血 症 で あ つ て,15日
らか じめEMを
マウ ス に経 口投 与 す る こ
とに よ り,腸 炎 菌No.11株
EM前
9,
12日 目 に お の お の1匹 ず つ死 亡 し,平 均 生 存 日数
は8.2日
更 に追 求 を要 す る もの と思 わ れ る.
V結
語
の 経 口微 量 菌 接 種 の
感 染 が高 め られ た.
80%の 感 染 率 を示 して い る.ま た,10-6mg/ml×
0.2ml接
け の デ ー タ を もっ て結 論 を急 ぐべ きで な く,今 後
1.あ
に見 る よ うに10-8mg/ml×0.2ml
の接 種(投 与 菌 数 は平 均3.5ケ)に
第1号
菌 株 に よる実 験 は反 復 され て い ない の で,こ れ だ
な意 義 を有 す る もの と思 わ れ る.
さ らにEMとSMと
第35巻
の感 染 は第
目前後 に お い て死 亡 す
るの が 最 も多 い 。 しか るに常 在 性 菌叢 に強 い か く
乱 を与 え る と感 染 率 の 上昇 の み で な く,死 亡 時期
処 置 の影 響 は小 腸 に 常 在 す る腸 球 菌 を減
少 せ しめ る.し か し,大 腸 にお い ては か え っ てや
ゝ増 加 して い る. Gram陰
性 桿 菌 は 腸管 各 部 に
お い て増 加 して い る.こ の よ うな変 化 はEMを3
日間連 続 投与 す る こ とに よ り明 らか とな り,4日
間投 与 して も前 日 と大 差 は ない.
2.あ
らか じめEMとSMと
を経 口投 与 した の
も著 し く早 まつ て い る.こ の場 含 も第2次 敗 血症
み の マ ウ スは腸 炎 菌 経 口感 染 に対 す る感 受 性 が著
に よつ てい る の で あ ろ うか.或 い は常 在 性 菌叢 の
し く上昇 す る.
大 きな変 動 の た め に感 染 の様 相 が 一変 し第1次 敗
血 症 となつ た の で は な い だ ろ うか.第2次
が 早 め られ た の か,第1次
敗血症
敗1血症 が 晩 く現 わ れ た
EMとSMと
で前 処 置 後 一 定 の腸 球 菌 を優 位 に
定 着 せ しめ た マ ウ スは,そ
No.11株
の 後 にお ける 腸炎 菌
の 感染 に 対 して,あ
る菌 量 以 下 に お い て
の点 は常 在 性 腸 内 菌叢 の 意義 を究 明 す る
は著 しい抵 抗性 の 増 加 を示 す.し か し この現 象 は
上 に おい て,今 後 さ らに追 究 す べ き興 味 あ る問題
定 着 す る腸 球 菌 の 菌 株 に よ りか な りの差 が あ る も
と思 わ れ る.
の と推測 され る.
の か,こ
次 に,こ れ まで の条 件 とは逆 に 腸球 菌 の定 着 し
3.マ
ウ スの 常 在 性 腸 内 菌 叢 の うち,腸 球 菌 は
た マ ウ ス を作 製 してNo.11株
を接 種 した ところ
一 定 菌 量 以 下 の接 種 に お い て 明 らか に 感染 性 の低
外 来性 菌 の侵 入 に対 して,そ の腸 内 に お け る増 殖
下 が み られ た.す なわ ち腸 球 菌 の 存 在 す る こ とに
よ り,No.11株
の増 殖 が 抑 制 され,微 量 菌 接 種 が
少 は 感 染 を高 め,そ の増 加 は感 染 を低 め て い る。
微 量 菌 接 種 で終 っ た ゝめ で あろ う.こ の よ うな腸
1) 福 留 勇: 細 菌 学 雑 誌(482):
221∼265,
1936.
-2)
牛 場 大 蔵:
日 医 事 新 報(1575):
10∼13, 1954.
球 菌 の感 染 阻止 効 果 が 菌株 に よつ て差 が あ るか 否
か を更 に検 討 した が,第6図
に示 す よ うに菌 株 に
よ つ て か な りの差 が あ る もの と思 わ れ る.し か し
溶 血 性 の差 と感 染 阻 止 効 果 との 間 に一
一定 の関 連 性
が あ る もの とは考 え られ ない.ま た第6図
に よる場 合 をみ る と, No.11株
のB株
接 種 後 早 期 に10匹
中8匹 の マ ウ ス が相 次 い で死 亡 した に もか ゝわ ら
を抑制 す る もの と思 わ れ る.す なわ ち腸 球 菌 の減
文
-3)
牛 場 大 蔵,
北 里 武 次 郎:
4)
1954.-5)
B.,
小 林 六 造:
11,
ず れ もNo.11株
に よ る敗 血 症 死 では なか
つ た.同 様 な現 象 はC株 に よ る場 合 に も認 め られ
た.こ
れ ら非 感 染 死 亡 マ ウ ス の死 因 は何 で あ ろ う
か.た
ゞこの 場 合, A株 に よ る実 験 は 反 復 して行
な い 常 に ほ ゞ同 様 な結 果 を えた の で あ るが,他
の
T. M.:
&
1958. -9)
J.
Exp.
10)
平 田 重 吉:
11)
糸 賀 宣 三,
会 誌,
1•`60,
G.J.
56:
伝 染 学 誌,
杉 山 太 是 一,
115∼122.
R.:
Otch.
1885. -8)
Labree,
佐 々 木 正 五:
C. D.
3:
55∼56,
磯 崎 栄 一:
1952.-12)
578∼585,
J.
277•`282,
日細 菌 誌,
med.
Formal,
E. H.:
108:
小 島 正 典,
95∼100,
29:
1954.-
2:
細 菌 学 雑 誌(546):
McGuire,
Med.
大 野 シ ヅ 子,
第14回 連 合 微 生 物 学 会 記 録,
Koch,
37A:
Dammin,
湯 本 誠,
1069∼1076,
大 林 静 男:
1941. -7)
604•`610,
ず,い
9:
臨 床 消 化 器 病 学,
1940.-6)
520•`546
Wshr.
佐 々 木 正 五,
日細 菌 誌,
牛 場 大 蔵:
135号,
献
Bact.
&
Floyd,
1958.-—
1948.日小 児 科 学
杉 山 太 是 一:
1956.-13)
日伝 染 会 誌,
S.
75:
日
広 岡 義 郎,
31:
401
昭 和36年14月20日
•` 411,
&
31
1958. -14)
Miller,
86:
132•`137,
hoff,
Bohnhoff,
C. P.:
M.
&
Proc.
M.,
Soc.
1954. -15)
Drake,
Biol.
Miller,
B. L.:
Studies
Drake,
Exp.
C. P.,
Antibiotics
on the
Bohn-
Ann.
Infectivity
to the
B. L.
&. Med.
Mice,
as a Member
of the
of the intestinal
control
the infection.
fact that,
Picking
of the superimposed
mice, were mostly
strain
(virulent
When
enteritidis
experimental
Significant
was observed
streptomycin.
of Enterococci
Flora
bacteria.
have
of the
positive
always
most
biological
easily through
of the invaded
positive
cocci, found
bacteria,
the
important
meaning
be
nature
factors
to
of the intestinal
in the multiplication
from intestinal
Salmonella
flora of the
enteritidis
No.11
for this series.
was orally administered,
the infectivity
of the Salmonella
was elevated.
In this occasion , the quantity of the enterococci
in the small intestine by the administration
of erythromycin.
raise
by
of infectivity
previous
enteritidis
of Salmonella
administration
No. 11 strain
By this experiment,
small
cannot
cocci, a member
clear their
As superimposed
was employed
of mice
been made concerning
to be one
up the gram
Gram
typhoid
enteritidis
of the
No. 11 strain
combination
the
mice
and
was orally given
infectivity
of Sal-
to the mice dropped.
it could be considered
bowel of the mice greatly
to
of erythromycin
When a certain strain of the enterococci,
isolated from mice,
conbimed
administration
of erythromycin
and streptomycin,
monella
Enteritidis
This can be understood
the mode of multiplication
investigations
to make
enterococci.
strain)
1951.
erythromycin
No. 11 strain
was decreased
after
Many
attempted
Intestinal
682•`689,
Prof. Daizo USHIBA)
flora that is considered
flora, the author
Salmonella
Influences
J. A. & Wiseman.
30:
SHIMADA
produced by a small dosis of the innoculum.
the conception
of infectivity
which means
in the intestine.
M. Mitdell,
Research
日 細 菌 誌, 11:
日伝 染 会 誌 掲 載 予
Medicine, Keio Univ. School of Med.
(Director:
bacteria
Dent.
湯 本 誠:
武 石 展 代:
(Director: Prof. Ittaku MIKATA)
of Bacteriology, Keio Univ. Shool of Medicine
Department
a known
.-16)
Rogosa,
J.
Admininistered
on the
Satyu
It is already
1956.-17)
R. F.:
of Orally
of Internal
1955∼1956
37∼43,
定.-18)
453
Especially
Department
∼455,
influenced
that
the attitude
the infectivity
of enterococci
of the Salmonella.
in
the
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