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資料3 - 経済産業省

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資料3 - 経済産業省
資料3
計測技術WGの検討状況について
1.背景・目的
ナノ物質は今後のイノベーションの源泉として期待されている一方で、有害性に関しては不確
実性が高く、その固有の形状による有害性を懸念する指摘がある。経済産業省では、平成 21 年度
にナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会報告書をとりまとめた。その後、
NEDOプロジェクト成果としてカーボンナノチューブ、フラーレン及び二酸化チタンのナノ材
料リスク評価書の公表等、ナノ材料の科学的知見が蓄積されつつあるところである。
このような科学的知見等を踏まえ、現状でのナノ物質のリスク等を整理し、ナノ物質の適正な
管理のあり方を検討するため、
「ナノ物質の管理に関する検討会」を開始。この検討会のもとに「計
測技術ワーキンググループ」を設置し、ナノ物質の適正な管理のために、現状利用できるナノ物
質の計測技術に関する検討を行なう。
2.WG委員
遠藤
茂寿
(五十音順・敬称略、○:座長(7 月まで)・●:座長(8 月以降))
技術研究組合単層カーボンナノチューブ複合新材料研究開発機構 主任研究員
(一般社団法人日本粉体工業技術協会 ISO 対応委員会委員長)
奥田
雅朗
テイカ株式会社 環境品質管理部 部長
菊地
亮一
株式会社住化分析センター 取締役
熊本
正俊
一般社団法人日本化学工業協会 化学品管理部 部長
平田
一郎
一般社団法人ナノテクノロジービジネス推進協議会 事務局次長
●藤本 俊幸
独立行政法人産業技術総合研究所 計測標準研究部門 副研究部門長
兼ナノ材料計測科長
増田
弘昭
京都大学 名誉教授
(一般社団法人日本粉体工業技術協会 副会長兼技術委員会委員長)
松田
耕一郎
一般社団法人日本分析機器工業会環境技術委員会委員長
(株式会社堀場製作所 産業活性化推進室 室長)
○森
康維
同志社大学理工学部化学システム創成工学科 教授
山本
和弘
独立行政法人産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門 主任研究員
鷲尾
一裕
一般社団法人日本粉体工業技術協会
計装・測定分科会 代表幹事
(株式会社島津製作所 分析計測事業部応用技術部)
3.検討事項(検討範囲)
国内企業が製造しているナノ物質の生産管理やユーザーとの商取引に必要なナノ物質のサイズ、
含有量等の計測が可能な技術を整理し、信頼性が確保でき、産業界が日常的に使える実用的な計
測方法を提案する。
そのために、ナノ物質の素材毎(炭素系物質、酸化物系物質、金属系物質など)に、形状(粒
状、繊維状など)や特性を考慮して適切な計測技術について検討・提案する。
なお、労働作業環境、大気、水質、土壌等の計測は検討対象外とする。
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4.WG開催状況
第 1 回計測技術WG(平成 24 年 1 月 24 日)
議題
・計測技術ワーキンググループの開催について
・ナノ物質の計測のための検討課題について
第 2 回計測技術WG(平成 24 年 3 月 8 日)
議題
・ナノ物質の計測のための検討項目について
第 3 回計測技術WG(平成 24 年 6 月 22 日)
議題
・業界におけるナノ材料の粒径計測の状況について
・ナノ材料の粒径分布計測法の絞込みについて
・ナノサイズを含むシリカ粒子の計測実例の紹介
・EC のナノマテリアルに関する定義への対応について
・中間まとめ(案)の目次について
第 4 回計測技術WG(平成 24 年 7 月 24 日)
議題
・計測技術 WG の中間まとめ(案)について
5.これまでの検討結果(要点)
(1)ナノ物質を計測可能な方法の整理
・ ナノ物質を計測することができ現在実用化されている16種類の計測法を整理し、計測の用途
に応じて適切な計測法について議論を実施。
・ そのうち、EU等が求めている一次粒子に関する情報について、(ナノ物質は通常凝集するこ
とが多いため、凝集前の)一次粒子自体の粒子径分布・平均粒子径、形態を計測できる方法は、
以下2つである。いずれも高コストを要する。
① 電子線をあて対象物を透過して観察する透過型電子顕微鏡(TEM)
② 電子線をあて対象物の表面を観察する走査型電子顕微鏡(SEM)
・ 他方、一次粒子と二次粒子(凝集した状態の粒子) を区別せずに、粒子径分布・平均粒子径を
計測する方法は、次の4つである。ただし、安価である一方で、二次粒子の情報も含むため、
基本的に一次粒子自体の粒子径分布・平均粒子径を測ることはできない。
③ レーザー光をあて粒子サイズによって変化する回折・散乱光を計測するレーザー回折・
散乱法(LD)
④ レーザー光をあて粒子サイズによって異なるブラウン運動の影響を受けた散乱光を計測
する動的光散乱法(DLS)
⑤ 外力を与えて起こる誘電泳動により粒子群が回折格子を形成、外力停止後サイズ差によ
る格子の消滅速度を計測する誘導回折格子法(IG)
⑥ 遠心力により粒子を沈降させ、サイズによる沈降速度の違いを計測する(超)遠心分離法
(AUC)
・ 表面積を計測し、一次粒子の平均粒子径を計測する方法は、次の方法である。ただし、平均粒
子径を計測できるためスクリーニング等に活用できるが、粒子径分布を測ることはできない。
⑦ 対象物表面にガスを吸着させて計測する比表面積測定(BET)
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(2)ナノ物質ごとの計測方法
・計測対象ナノ物質を、①酸化チタン、酸化亜鉛等(無機系酸化物)、②金、銀等(金属系)、③
カーボンブラック(CB)
、④カーボンナノチューブ(CNT)
、⑤ナノ合成樹脂の5つに分類
し、それぞれの粒子径、粒子径分布、形状の計測に対して、適用可能な(1)の計測方法を対
応させた。
・TEM/SEMについては、酸化物、金属系では電子線の影響は受けにくいが、カーボンブラ
ック、ナノ合成樹脂については電子線照射条件により揮発して形状が変化することがある。C
NTは電子線照射による変化はないが表面に付着している揮発成分が蒸発することがある。
・CNTについては粒子、粒子径分布という概念に馴染まずTEMでの計測により繊維径、繊維
長、BETで比表面積の計測が行われる。
(3)ナノ物質の定義への対応
・ 製品がECのナノ物質の定義に該当するかどうかを判定するための計測フローシートの一案
を提示した。BET計測を実施し、最後にTEM/SEMにて計測をして確認をするフローと
なっている。
(4)ナノ物質の計測方法の提案
・一次粒子の粒子径分布・平均粒子径を計測できるのは、TEM/SEMの計測方法のみである。
・一次粒子、二次粒子の区別なく粒子径分布・平均粒子径を計測できる方法は、①動的光散乱法
(DLS)
、②レーザー回折・散乱法(LD)
、③誘導回折格子法(IG)
、④(超)遠心沈降
法(AUC)である。
・BETは一次粒子の表面積を計測することで、一次粒子の平均粒子径を計測する。
・EC等のナノ物質の定義に対応、商取引、生産管理、研究開発等の目的に応じ、必要な情報及
び信頼性並びにコストを勘案して計測方法を選択することになる。
(5)今後の課題
・TEM/SEMを用いた電子顕微鏡観察による計測方法の標準化
・性状が異なり、通常凝集しているナノ物質ごとの分散方法、計測装置及び計測方法の標準化
・高コスト・長時間を要するTEM/SEMによる電子顕微鏡法に代わる、低コストで効率的な
一次粒子の粒子径分布・平均粒子径の計測方法の開発
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