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茨城県の原子力安全行政

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茨城県の原子力安全行政
平成 27 年度
茨城県の原子力安全行政
平成 27 年度
茨城県の原子力安全行政
は じ め に
本県には,研究用原子炉施設を始め,原子力発電所,使用済燃料再処理施設,核燃料加
工施設など多種多様な原子力施設が数多く立地しており,わが国の原子力開発の一大拠点
となっております。
昭和 32 年,東海村においてわが国初となる原子力の火が灯されて以来,本県は,原子
力発祥の地としてわが国における原子力平和利用の進展に大きな役割を果たしてまいりま
した。
しかしながら,平成 9 年の旧動燃アスファルト固化処理施設火災爆発事故,平成 11 年
のJCO臨界事故などにより,県民の原子力に対する信頼が著しく損なわれ,平成 23 年
の福島第一原子力発電所事故は,本県にも多大な影響を及ぼしました。
県では,福島第一原子力発電所の事故後,大気中の放射線量率や水道水,農産物,土壌
などの放射能濃度の測定の強化,放射線測定局の増設,子供の生活環境等の除染,原子力・
放射線に係る理解を深めていただくための広報活動などに努めているところです。
さらに,茨城県地域防災計画(原子力災害対策計画編)の改定や原子力災害に備えた茨
城県広域避難計画の策定を行うとともに,防災資機材の拡充などにより,防災体制の一層
の強化にも努めています。
本書は,こうした県の原子力安全行政に関する取組や関連施策などをとりまとめたもの
であり,県民の皆様の原子力に対する理解の一助となれば幸いです。
平成 28 年 3 月
茨城県知事 橋本 昌 目 次
第1章 県の原子力安全行政の概要
第1節 組織体制
1 原子力安全行政の組織
2
2 茨城県原子力審議会
3
3 茨城県原子力安全対策委員会
4
4 茨城県東海地区環境放射線監視委員会
4
第2節 原子力施設等の安全確保
1 原子力安全協定
5
2 通報連絡協定
6
3 使用済燃料輸送協定
7
第3節 環境放射線の監視
1 環境放射線の監視
(1) これまでの経緯
10
(2) 監視体制
10
(3) 監視の内容
12
(4) 環境放射線常時監視テレメータシステム
15
(5) 環境放射能水準調査
17
2 環境放射線監視センター
17
第4節 原子力防災
1 茨城県地域防災計画(原子力災害対策計画編)
18
2 原子力災害事前対策
(1) 原子力災害に備えた茨城県広域避難計画
20
(2) 原子力防災研修
21
(3) 原子力防災訓練
22
(4) 統合原子力防災ネットワークシステムの整備
25
(5) 防災活動資機材等の整備
27
3 緊急事態応急対策
(1) 避難・屋内退避等
30
(2) 飲食物等の摂取制限
31
(3) 緊急被ばく医療
32
4 原子力オフサイトセンター
33
第5節 原子力広報
1 県が行う原子力広報事業の概要
(1) 原子力広報事業
35
(2) 児童・生徒を対象とした原子力の基礎知識普及事業
35
(3) 原子力防災対策の普及・啓発
35
2 原子力事業者等の原子力展示館の概要
(1) 原子力科学館(公益社団法人茨城原子力協議会)
36
(2) 東海テラパーク(原電)
37
(3) 大洗わくわく科学館(機構大洗)
37
第6節 原子力関連施策(科学技術関連)
1 茨城県中性子ビームラインの産業利用推進
38
2 次世代がん治療(BNCT)の開発実用化
39
3 県内中性子利用連絡協議会
40
第7節 電源三法等の概要
1 電源三法交付金
(1) 電源三法の目的
41
(2) 電源三法制度の主な交付金
42
① 電源立地地域対策交付金
42
② 電源立地等推進対策交付金
42
③ 原子力施設等防災対策等交付金
42
2 核燃料等取扱税
44
第2章 平成 26 年度に講じた施策及び平成 27 年度の執行方針
第 1 節 平成 26 年度に講じた施策
1 原子力施設等の安全確保
(1) 原子力安全協定の運用
49
2 環境放射線の監視
(1) 線量評価
63
(2) 短期的変動調査結果
64
(3) 長期的変動調査結果
64
3 原子力防災
(1) 地域防災計画等の改定
67
(2) 原子力防災研修
68
(3) 災害対策本部事務局設置等訓練 69
(4) 防災活動資機材等の整備 70
(5) 病院や社会福祉施設の放射線防護対策
71
(6) 原子力災害対策特別措置法に基づく立入検査
71
4 原子力広報
(1) 新聞広報
72
(2) ラジオ広報
72
(3) 県政出前講座の実施
72
(4) 原子力教員セミナーの開催
73
(5) 原子力専門家派遣事業の実施
74
(6) 県立学校の教職員を対象とした放射線に関連する専門研修の実施
75
(7) 「原子力ハンドブック」の発行
76
(8) 「原子力とエネルギーブック」の発行
76
5 福島第一原子力発電所事故への対応
(1) 放射性物質の除染
77
① 放射性物質汚染対処特措法
77
② 県内の除染の状況
78
③ 市町村への支援
79
(2) 福島第一原子力発電所事故を踏まえた県内の放射線・放射能調査
81
① 事故後の放射線の監視
81
② 航空機モニタリング
83
③ 土壌中の放射性セシウム,放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定
84
④ 飲料水,農畜水産物の測定
87
⑤ 海洋の測定
88
⑥ 公共用水域の測定結果
89
6 原子力関連施策(科学技術関連)
(1) 茨城県中性子ビームラインの産業利用推進
(2) 次世代がん治療(BNCT)
の開発実用化
92
92
(3) 県内中性子利用連絡協議会
92
7 電源三法交付金等
(1) 電源三法交付金
94
(2) 核燃料等取扱税
95
第2節 平成 27 年度の執行方針
96
第3章 国の原子力行政の概要
1 原子力行政体制
(1) 原子力規制委員会
101
(2) 関係省庁
103
2 原子力行政の基本方針等
(1) 原子力政策大綱
104
(2) 革新的エネルギー・環境戦略
104
(3) エネルギー政策基本法
105
(4) 新たなエネルギー基本計画における原子力政策の基本方針と政策の方向性
106
(5) 原子力安全規制等の法体系
107
(6) 原子力防災に係る基本計画等
109
① 防災基本計画
109
② 原子力災害対策指針
109
3 原子力施設に係る新規制基準の概要について
(1) 新規制基準策定の経緯
(2) 新規制基準の概要
4 平成26年度の動き
110
110
(1) 平成26年11月修正の概要
113
(2) 平成27年3月修正の概要
114
資 料 編
資料1 原子力施設の概要
資料1−1 国内の原子力施設の概要
① 我が国の発電所立地地点
116
② 試験研究用及び研究開発段階にある原子炉施設立地地点
117
③ 核燃料施設(加工施設,再処理施設,廃棄施設及び中間貯蔵施設)
立地地点
118
資料1−2 県内の原子力施設の概要
① 原子力事業所位置図
119
② 原子力事業所の概要
120
③ 原子力事業所の許可種別
126
④ 原子炉施設の概要
127
⑤ 原子力事業所の主な施設の概要
128
⑥ 平成 26 年度における主な原子力施設の運転状況
135
⑦ 廃止措置施設一覧
138
資料2 各審議会等の概要
資料2−1 茨城県原子力審議会
① 茨城県原子力審議会関連条例,規則
140
② 茨城県原子力審議会委員名簿
143
③ 茨城県原子力審議会開催状況
144
資料2−2 茨城県原子力安全対策委員会
① 茨城県原子力安全対策委員会要綱
146
②−1 茨城県原子力安全対策委員会委員名簿
148
②−2 茨城県原子力安全対策委員会東海第二発電所安全性検討
ワーキングチーム委員名簿
149
③−1 茨城県原子力安全対策委員会開催状況(平成 5 年以降)
150
③−2 茨城県原子力安全対策委員会臨時委員会開催状況(平成25年以降)
150
資料2−3 茨城県東海地区環境放射線監視委員会
① 茨城県東海地区環境放射線監視委員会要項
151
② 茨城県東海地区環境放射線監視委員会委員名簿
154
③ 茨城県東海地区環境放射線監視委員会企画部会専門員名簿
155
④ 茨城県東海地区環境放射線監視委員会調査部会専門員名簿
155
⑤ 茨城県東海地区環境放射線監視委員会評価部会専門員名簿
156
資料2−4 茨城県地域防災計画改定委員会
① 茨城県地域防災計画改定委員会設置要綱
157
② 茨城県地域防災計画改定委員会名簿
159
③ 茨城県地域防災計画改定委員会原子力災害対策検討部会委員名簿
160
資料3 原子力施設等の安全確保
資料3−1 原子力安全協定等
① 原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書
161
② 原子力事業所に係る隣々接市町村域の安全確保のための通報連絡等
に関する協定書
166
③ 再処理及び照射後試験のための使用済燃料の輸送の安全確保に関す
る協定書
資料3−2 原子力安全協定等改正の経緯
168
173
資料3−3 立入調査等の実績
① 立入調査
179
② 通報連絡訓練
181
資料3−4 東海再処理施設への使用済燃料輸送実績
184
資料3−5 原子力事業所に対する主な要請
①−1 地震発生時における原子力施設の点検結果等の報告について
185
①−2 地震発生時における原子力施設の点検結果等の報告について
186
② 核燃料物質使用施設における事故発生時の通報連絡について
188
③ 原子力事業所における火災発生時の通報連絡について
189
④ 安全管理及び情報公開の徹底について
190
⑤ 平成 19 年新潟県中越沖地震を踏まえた原子力施設における安全確
保について
191
⑥ 原子力施設における事故・故障等発生時の県への通報連絡について
192
⑦ 原子力事業所における火災予防の徹底について
193
⑧ 原子力事業所における火災予防及び発生時の通報連絡について
194
⑨ 原子力施設における排気施設等の健全性確認について
195
⑩ 三菱原子燃料株式会社転換工場における火災について
⑪ 三菱原子燃料株式会社転換工場におけるウランの漏えい及び作業員の
被ばくについて
196
197
⑫ 日本原子力発電株式会社東海発電所固化処理建屋屋上冷却塔における
火災について
⑬ 放射性物質移送配管等に係る総点検の実施について
⑭ 安全管理体制の再構築について
⑮−1 原子力施設における安全管理体制に係る調査について
⑮−2 原子力施設における安全管理体制に係る調査について
⑮−3 原子力施設における安全管理体制に係る調査について
⑮−4 原子力施設における安全管理体制に係る調査について
⑮−5 原子力施設における安全管理体制に係る調査について
⑯ 安全管理の徹底などに係る取組の強化について
資料4 環境放射線の監視
茨城県環境放射線監視計画
198
199
200
201
202
203
204
205
206
207
資料5 原子力防災
資料5−1 災害発生時における体制
① 茨城県災害対策本部組織図
② 緊急時モニタリングの組織と業務
③ 緊急被ばく医療体制
資料5−2 統合原子力防災ネットワーク
資料5−3 原子力防災研修の実績
212
213
214
215
216
資料6 原子力広報
資料6−1 原子力知識の普及啓発関係団体等の推移
218
資料6−2 原子力科学館(展示館,見学バス,研修室)利用者実績
219
資料6−3 原子力オフサイトセンター利用者実績
220
資料6−4 原子力教員セミナー事業の実績
220
資料7 原子力施設における事故・故障等
資料7−1 原子力施設における事故・故障等一覧
221
資料7−2 原子力施設における代表的な事故
A 旧動燃アスファルト固化処理施設火災・爆発事故
226
B JCO臨界事故
231
資料8 福島第一原子力発電所事故の概要と廃炉への取り組み
福島第一原子力発電所事故の概要と廃炉への取り組み
256
資料9 東日本大震災における本県の主な原子力施設の状況
県内の主な原子力施設の状況
259
資料 10 その他
① 放射線監視等交付金
② 原子力発電施設等緊急時安全対策交付金
③ 広報・調査等交付金
④ 原子力・エネルギー教育支援事業交付金
260
261
262
263
264
放射性廃棄物の保管状況
265
266
268
284
304
【参考】文中,原子力事業所等について,以下の略称で記載しています。
機構
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
機構原科研
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
原子力科学研究所
機構サイクル研
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
核燃料サイクル工学研究所
機構大洗
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
大洗研究開発センター
機構那珂
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核融合研究開発部門
那珂核融合研究所
原電
日本原子力発電株式会社
原燃工
原子燃料工業株式会社東海事業所
三菱原燃
三菱原子燃料株式会社
東京大学
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科原子力専攻
NDC
ニュークリア・デベロップメント株式会社
核管センター
公益財団法人核物質管理センター東海保障措置センター
日本核燃
日本核燃料開発株式会社
JCO
株式会社ジェー・シー・オー東海事業所
住友金属鉱山
住友金属鉱山株式会社経営企画部グループ事業管理室
技術センター
積水メディカル
積水メディカル株式会社創薬支援事業部創薬支援センター
日本照射
日本照射サービス株式会社
東海センター
三菱マテリアル
三菱マテリアル株式会社
エネルギー事業センター那珂エネルギー開発研究所
東北大学
東北大学金属材料研究所附属
量子エネルギー材料科学国際研究センター
日揮
日揮株式会社技術研究所
福島第一原子力発電所
東京電力株式会社福島第一原子力発電所
第1章
県の原子力安全行政の概要
第 1 章 県の原子力安全行政の概要
原子力の研究開発及び利用に供する施設(以下「原子力施設」という。)の安全規制は,法律上国
が一元的に行うこととされていますが,地方自治体としても地域住民の安全を確保するために,必要
第
第
1
1
章
章
な施策を講じなければなりません。
このため,県は関係市町村とともに,東海・大洗地区の原子力事業所(平成 27 年4月1日現在 18
事業所)と「原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定」
(以下「原子力安全協定」という。)を
締結するとともに,原子炉の使用済燃料を使った試験等を実施している事業者と「再処理及び照射後試
験のための使用済燃料の輸送の安全確保に関する協定」
(以下「使用済燃料輸送協定」という。
)を締結するなど,
原子力施設の運転状況の把握,核物質輸送等に係る安全確認等を行っています。
また,原子力施設からの異常な放射性物質の放出等を早期に把握するため,平常時から周辺環境の
放射線の監視を行っています。さらに,原子力災害に備えて,茨城県地域防災計画(原子力災害対策
計画編)に基づいた,防災体制の充実強化を図るとともに,小・中・高校生に対する冊子「原子力とエ
ネルギーブック」の配布や新聞・ラジオによる広報など,原子力に関する知識の普及・啓発に努めて
います。
《原子力安全対策》 《施策の基本となる計画等》
1 原子力施設等の安全確保
−原子力安全協定及び通報連絡協定等の的確な運用−
① 定期及び随時の報告の徹底(事故・故障等情報など)
② 原子力施設安全調査員等による立入調査の強化
③ 実践的な通報連絡訓練の実施
2 環境放射線の監視
原子力施設周辺の安全確保及び環境保全
に関する協定(原子力安全協定)
原子力事業所に係る隣々接市町村域(周
辺市町村域)の安全確保のための通報連
絡等に関する協定(通報連絡協定)
−計画的な監視と緊急時等における監視体制の強化−
① 茨城県東海地区環境放射線監視委員会が策定
した監視計画に基づく県,事業所 による環境
放射線の監視
② 環境放射線の常時監視と県民への情報提供
(テレメータシステム)
③ 環境放射線監視センターの運営と監視設備の
整備
再処理及び照射後試験のための使用済燃
料の輸送の安全確保に関する協定
(使用済燃料輸送協定)
茨城県環境放射線監視計画
3 原子力防災
−地 域 防災 計 画( 原子力災害対 策 計 画 編 )に基づく防
災体制の整備と情報ネットワークの整備−
① 原子力防災訓練の実施
② 茨城県原子力オフサイトセンターの運営と原
子力防災情報ネットワークの整備
③ 防災関係者の教育・研修と防災資機材等の整備
4 原子力広報
茨城県地域防災計画
(原子力災害対策計画編)
原子力災害に備えた
茨城県広域避難計画
−原子力に係る知識の普及のための広報活動の展開−
① 公益社団法人茨城原子力協議会と連携した普
及啓発事業の実施
② 児 童,生徒を対象とした原子力に関する基礎
知識の普及
③ 市町村の行う広報活動への支援
1
第1節 組 織 体 制
県の原子力安全行政は,原子力安全対策課が中心となり,茨城県原子力審議会や茨城県原子力安全
対策委員会における審議結果等を踏まえながら行っています。
第
1
章
また,環境放射線の監視・測定は,茨城県環境放射線監視センターが茨城県東海地区環境放射線監
視委員会における結果等を踏まえながら行っています。
1 原子力安全行政の組織
茨城県
知 事
茨城県原子力審議会
○委員
県議会議員,学識経験者,
関係市町村長 計 23 名
○担任事項
次の事項の調査審議
(1)原子力施策の基本方針
(2)原子力の開発及び利用促進
(3)放射線障害の防止対策
(4)その他必要な事項
副 知 事
生活環境部長
防災・危機管理局長
原子力安全対策課
茨城県原子力安全対策委員会
○委員
学識経験者 計 14 名
○業務
次の事項の調査検討
(1)原子力施設周辺の環境安
全対策
(2)原子力施設の安全性
(3)原子力関係の防災
(4)その他
2
◆原子力安全対策
◆環境放射線監視
◆原子力防災
(保健予防課 , 薬務課)
◆原子力広報
環境放射線監視センター
環境放射線の監視・測定
茨城県東海地区環境放射線
監視委員会
○委員
副知事,県議会議員,関係市
町村長・議長,学識経験者,
農漁協代表者,県職員
計 29 名
○所掌事務
(1)放射線監視計画の策定
(2)放射線監視結果の評価
(3)放射性廃棄物の環境放出の検討
(4)必要な資料の収集及び調査
2 茨城県原子力審議会
原子力行政の円滑な推進を図るためには,安全性が十分に確保されていることを確認するとともに,
地域の合意形成が不可欠です。
第
第
1
1
章
章
県では,広く学識経験者や地域の代表者の意見を行政に反映するため,昭和 35 年に「茨城県放射
能対策審議会」を設置し,翌昭和 36 年には,「茨城県原子力審議会(以下「審議会」という。)
」とし
て発展的に改めました。
茨城県行政組織条例により,審議会は知事の求めに応じ次の事項について審議及び諮問に対して答
申を行うことが定められています。
◆ 原子力施策の基本方針
◆ 原子力の開発及び利用促進
◆ 放射線障害の防止対策
◆ その他原子力に関し必要な事項
委員は,県議会議員,関係市町村長,学識経験者及び各界各層の代表者により構成されています(定
数 25 名,現員 23 名)
。
審議会における主な審議及び諮問,答申事項は以下のとおりです(詳細については資料編参照)。
・ 原子力施設地帯整備の促進方策,原子力施設と本県産業との関連
(諮問:昭和 36 年 12 月 20 日/答申:昭和 37 年4月 24 日)
・ 原研大洗研究所建設計画(諮問:昭和 36 年 12 月 20 日/答申:昭和 38 年5月 31 日)
・ 放射線監視委員会の設置(諮問:昭和 42 年5月 18 日/答申:昭和 43 年1月 31 日)
・ 原電東海第二発電所の設置(諮問:昭和 47 年2月 25 日/答申:昭和 47 年 11 月 30 日)
・ 大強度陽子加速器計画(審議:平成 14 年2月 25 日)
・ 原電東海発電所に係る廃止措置計画(審議:平成 18 年7月 21 日)
3
3 茨城県原子力安全対策委員会
原子力安全行政上の諸課題に関し,技術的・専門的な助言を得るため,「茨城県原子力安全対策委
員会(以下「安全対策委員会」という。)
」を昭和 54 年に設置しました。
第
1
章
安全対策委員会は,原子力の安全対策に関する次の事項について調査検討します。
◆ 原子力施設周辺の環境安全
◆ 原子力施設の安全性
◆ 原子力関係の防災
◆ その他
委員は,原子炉,核燃料,放射線医学,地震や津波等の専門家により構成されています(定数14名)。
これまでの主な調査検討事項は以下のとおりです(詳細については資料編参照)。
・ JCO臨界事故(平成 12 年)
・ 大強度陽子加速器計画(平成 12 年∼ 14 年)
・ 「常陽」メンテナンス建家火災事故(平成 13 年)
・ 原電東海発電所の廃止措置計画(平成 13 年,18 年)
・ 東北地方太平洋沖地震を踏まえた東海第二発電所の安全対策等(平成 23 年 10 月∼)
・ J-PARCハドロン実験施設における放射性物質漏えい事故について(平成 25 年 9 月∼平成 27 年 3 月)
・ 東海再処理施設の高放射性廃液等の固化・安定化処理について(平成 26 年 3 月∼)
・ 東海第二発電所の安全対策について(平成 26 年 6 月∼)
4 茨城県東海地区環境放射線監視委員会
放射線監視結果を公正に評価するため「
,茨城県東海地区環境放射線監視委員会(以下「監視委員会」
という。)」を昭和 46 年に設置しました。
監視委員会は,環境放射線の監視に関する次の事項について調査・検討します。
◆ 原子力施設周辺における放射線監視計画の策定
◆ 原子力施設周辺環境における放射線監視結果の評価
◆ 放射性廃棄物の環境放出の検討
◆ 環境監視上必要な資料の収集及び調査
委員は,副知事,県議会議員,関係市町村長・議長,学識経験者,農漁協代表者及び関係県職員に
より構成され(定数 29 名),原子力規制委員会原子力規制庁東海・大洗原子力規制事務所長,茨城地
方放射線モニタリング対策官事務所長及び各原子力事業所長がオブザーバーとして参加しています。
なお,監視委員会の下部組織として,企画部会,調査部会及び評価部会が設置され,監視結果の評価
や,委員会運営の企画・調整といった役割を担っています。
また,評価部会及び監視委員会において,監視計画に基づく監視結果を定期的に検討・評価し,
「環境放射線監視季報」として公表しています。
4
第2節 原 子 力 施 設 等 の 安 全 確 保
地方自治体が実施する原子力安全対策の基本方針は,
・ 安全確保に必要な原子力施設の実態を適時に把握する体制がとられていること
第
第
1
1
章
章
・ 知り得た情報をもとに,地方自治体として必要な施策が適切に講じられていること
・ その結果を住民に周知させる体制がとられていること
であるといえます。
この基本方針を踏まえて,県では次のとおり協定を締結しています。
1 原子力安全協定
① 締結当事者
平成 27 年4月現在,原子力安全協定締結当事者は,別表1(P8)のとおりです。
② 締結の経緯
県は,原子力施設周辺の安全を確保し,地域住民の健康を保護するため,昭和49年12月に,東海・
大洗地区に立地した原子力事業所と県,所在市町村が当事者となり,
「原子力施設周辺の安全確保
及び環境保全に関する協定(以下
「原子力安全協定」
という。
)
を締結しました。
なお,機構及び原電については,原子炉や再処理施設など大型の原子力施設を有し,かつ地域住
民の関心も特に高いことから,隣接市町村も含めて協定を締結していましたが,
JCO臨界事故
(平成
11 年9月)を踏まえ,平成 12 年9月に,
機構及び原電以外の原子力災害対策特別措置法の対象事
業所においても,新たに隣接市町村を加えて協定を締結しました。
③ 内 容
原子力安全協定は,協定全 21 条,協定の細目や様式を定めた運営要項全 15 条からなり,
主な内容及び特色は次のとおりです。
◆ 原子力施設周辺の安全確保が全てに優先すること,この協定を誠実に履行するこ
とを明記した。
◆ 排気,排水中の放射性物質の濃度はもとより,放出量についても管理の目標値を
取り決めた。
◆ 原子力施設の新増設等計画並びに廃止措置計画について,県及び所在市町村の了
解等を必要とした。
◆ 原子力施設の運転等の停止,運転等の方法の改善等, 安全確保のために必要な措
置を,県及び所在市町村が国を経由することなく,事業者に対し直接求めること
ができることとした。
◆ 県,所在市町村及び隣接市町村の立入調査権について規定した。
◆ 立入調査を実施する場合,周辺の関係住民を同行する方途を開いた。
◆ 損害の補償に際して争いがあるときは,県,所在市町村及び損害に関係のある隣
接市町村の共同調査の結果を尊重するよう定めた。
5
原子力施設への立入調査
新増設等計画の了解
県及び関係市町村に配置した原子力の専
門的知識・経験を有する原子力施設安全
調査員を活用し,平常時から原子力施設
の立入調査を行うなど,原子力施設周辺
の安全確保に努めています。
新増設等計画の了解に当たっては,必要
に応じ,原子力安全対策委員会の指導・
助言を受けるとともに,原子力審議会に
おいて審議しています。
第
1
章
2 通報連絡協定
① 締結当事者
平成 27 年 4 月現在,通報連絡協定締結当事者は,別表1(P8)のとおりです。
② 締結の経緯
旧動力炉・核燃料開発事業団(以下「旧動燃」という。)東海事業所におけるアスファルト
固化処理施設火災・爆発事故(平成9年3月)を踏まえ,原子力事業所((旧日本原子力研究
所東海研究所(以下「旧原研東海」という。)
,同大洗研究所(以下「旧原研大洗」という。),
旧動燃東海事業所(以下「旧動燃東海」という。)
,旧動燃大洗工学センター(以下「旧動燃大洗」
という。)
,原電))の隣々接市町村域の安全を確保するために必要な通報連絡等に関し,平成
9年8月,原子力事業所とそれぞれの隣々接市町村との間で「原子力事業所に係る隣々接市町村
域(周辺市町村域)の安全確保のための通報連絡等に関する協定」
(以下「通報連絡協定」という。
)を締
結しました。
また,JCO臨界事故(平成 11 年9月)を踏まえ,平成 12 年9月,協定締結対象事業所
を全 21 事業所(現 18 事業所)に拡大するとともに,各事業所(旧原研東海,旧原研大洗,
核燃料サイクル開発機構東海事業所(以下「旧サイクル東海」という。)
,核燃料サイクル開発
機構大洗工学センター(以下「旧サイクル大洗」という。
)
,原電を除く)から半径 10km 圏内
の市町村を通報連絡協定の締結対象としました。
③ 内 容
通報連絡協定は全5条からなり,主な内容は次のとおりです。
6
◆ 事故・故障発生時,原子力事業所は,通報連絡協定締結市町村に対し迅速な通報連絡を
行うものとした。
◆ 通報連絡協定締結市町村は,県又は原子力安全協定締結市町村が行う立入調査に職員を
同行させることができることとした。
第
第
1
1
章
章
通報連絡訓練の実施
JCO臨界事故を踏まえ,平成 12 年度から,
事故・故障等が発生した場合における迅速か
つ的確な初期対応及び通報連絡の確保を図る
ことを目的として,全原子力事業所を対象と
して,抜き打ちによる通報連絡訓練を実施し
ています。
3 使用済燃料輸送協定
① 締結当事者
平成 27 年4月現在,使用済燃料輸送協定締結当事者は,別表2(P9)のとおりです。
② 締結の経緯
旧動燃東海再処理施設への使用済燃料の輸送の安全確保を図ることを目的として,昭和 52
年から,県及び東海村は,電力会社等と「再処理のための使用済核燃料の輸送の安全確保に関
する協定」を締結しました。
その後,昭和 59 年に,照射後試験のための使用済燃料輸送及び同試験終了後の再処理のた
めの輸送を包括し,安全確保対策の充実強化を図るため,「再処理及び照射後試験のための使
用済燃料の輸送の安全確保に関する協定」(以下「使用済燃料輸送協定」という。)と改め,
現在に至っています。
③ 内 容
使用済燃料輸送協定は,協定全 18 条,協定の細目や様式を定めた運営要項全 15 条からなり,
主な内容は次のとおりです。
◆ 輸送に当たっては,県及び東海村等関係市町村の了解を必要とした。
◆ 輸送経路を明確にした。
◆ 輸送責任を明確にした。
◆ 安全輸送要領及び事故対策要領をあらかじめ定めておくこととした。
◆ 県及び東海村等関係市町村が,輸送に立会い,調査できることとした。
◆ 防災対策について規定した。
各電力会社から東海再処理施設への使用済燃料の輸送は,平成 16 年度で終了し,その後は,
主に機構「ふげん」発電所の使用済燃料の輸送が行われています。
なお,東海再処理施設への使用済燃料の輸送実績については,資料編(資料 3 − 4)に掲載
しています。
7
別表1
原子力安全協定・通報連絡協定の締結状況(平成 27 年 4 月 1 日現在)
原子力安全協定
事業所
( )
:事業所数を示す
第
1
章
主
要
事
業
所
原
子
力
災
害
対
策
特
別
措
置
法
対
象
事
業
所
機構原科研
機構サイクル研
原電
(10)
そ
の
他
の
事
業
所
東
村
日 立 市
常陸太田市
ひたちなか市
那 珂 市
水 戸 市(隣
城 里 町( 大 洗 町( 常 陸 大 宮 市( 々
〃
〃
〃
接)
)
)
)
町
市
水 戸 市
ひたちなか市
茨 城 町
笠 間 市(隣
小 美 玉 市( 城 里 町( 東 海 村( 那 珂 市( 々
〃
〃
〃
〃
接)
)
)
)
)
水 戸 市(10km 圏内)
常 陸 大 宮 市( 〃 )
常 陸 大 宮 市(10km 圏内)
海
洗
田
NDC※
東京大学
原燃工
核管センター
東
海
村
日 立 市
常陸太田市
ひたちなか市
那 珂 市
三菱原燃
東
那
海
珂
村
市
水 戸 市
日 立 市
常陸太田市
ひたちなか市
城 里 町
町
水 戸 市
ひたちなか市
茨 城 町
鉾 田 市
村
日 立 市
常陸太田市
ひたちなか市
那 珂 市
(6)
日本核燃
JCO
住友金属鉱山
積水メディカル
日本照射
そ
の
他
の
事
業
所
(8)
計
隣接市町村
大
鉾
(4) 機構大洗
三菱マテリアル
茨
城
県
大
東
東
那
洗
海
海
珂
水 戸 市(10km 圏内)
常 陸 大 宮 市( 〃 )
村
水 戸 市(10km 圏内)
日 立 市( 〃 )
常 陸 太 田 市( 〃 )
ひたちなか市( 〃 )
那 珂 市( 〃 )
常 陸 大 宮 市( 〃 )
市
水 戸 市(10km 圏内)
日 立 市( 〃 )
常 陸 太 田 市( 〃 )
ひたちなか市( 〃 )
東 海 村( 〃 )
常 陸 大 宮 市( 〃 )
水 戸 市(10km 圏内)
日 立 市( 〃 )
常 陸 太 田 市( 〃 )
ひたちなか市( 〃 )
常 陸 大 宮 市( 〃 )
機構那珂
那
珂
市
東北大学
日揮
大
洗
町
18 事業所
通報連絡協定
所在市町村
東
海
村
水 戸 市(10km 圏内)
ひたちなか市( 〃 )
茨 城 町( 〃 )
鉾 田 市( 〃 )
10 市町村
13 市町村
注)隣 々 接: 事業所が所在している市町村に隣々接している市町村
10km 圏内: 事業所から半径 10km の圏内の市町村 ※ ニュークリア・デベロップ:NDC(以下同様)
8
別表2
使用済燃料輸送協定の締結状況(平成 27 年 4 月 1 日現在)
事業者
原
子
力
発
電
所
使
用
済
燃
料
原
電
締結年月日
改訂年月日
東京電力株式会社
昭和 52 年 11 月 11 日
昭和 59 年 10 月 9 日
関西電力株式会社
昭和 52 年 11 月 11 日
昭和 59 年 10 月 9 日
中国電力株式会社
昭和 54 年 8 月 1 日
昭和 59 年 10 月 9 日
九州電力株式会社
昭和 54 年 8 月 1 日
昭和 59 年 10 月 9 日
中部電力株式会社
昭和 55 年 1 月 16 日
昭和 59 年 10 月 9 日
四国電力株式会社
昭和 55 年 9 月 10 日
昭和 59 年 10 月 9 日
東北電力株式会社
原電
機構
(ふげん)
自治体
茨
東
城
海
県
村
昭和 63 年 12 月 15 日
機構
(原子力船「むつ」
)
試 機構
験
・ (JMTR・JMTRC)
研
究 機構
炉
使 (高速炉)
用
済
燃 NDC※
料
日本核燃※
日立製作所株式会社
(HTR)
12 事業者
第
第
1
1
章
章
昭和 56 年 1 月 26 日
昭和 61 年 9 月 5 日
昭和 58 年 9 月 19 日
平成 5 年 4 月 1 日
平成 13 年 6 月 1 日
大洗町・水戸市・
ひたちなか市
昭和 55 年 7 月 21 日
昭和 61 年 3 月 24 日
大洗町・水戸市・
ひたちなか市・茨城町
昭和 57 年 3 月 12 日
昭和 61 年 3 月 24 日
昭和 62 年 3 月 23 日
昭和 62 年 3 月 23 日
大洗町・水戸市・
ひたちなか市・鉾田市
昭和 54 年 8 月 7 日
昭和 62 年 9 月 7 日
大洗町・水戸市・
ひたちなか市・鉾田市
平成 17 年 3 月 25 日
6 市町村
※ NDC及び日本核燃においては,試験・研究炉使用済燃料を使用した照射後試験のみでなく,
原子力発電所使用済燃料を使用した照射後試験も行っている。
9
第3節 環 境 放 射 線 の 監 視
東海・大洗地区には,原子力発電所をはじめ各種原子力関係施設が立地しています。県では,住民
の安全確保や環境への影響把握を目的として,同地区及びその周辺において環境放射線の監視を行っ
第
1
章
ています。
また,福島第一原子力発電所事故を踏まえた県内の放射線の監視及び農畜水産物等の放射能測定を
行っています。
1 環境放射線の監視
(1)これまでの経緯
本県の環境放射線の監視は,旧原研東海JRR−1の臨界目前である昭和 32 年 4 月に設置さ
れた県の衛生研究所の放射能室において,全国に先駆けて開始されました。
昭和 46 年に「茨城県東海地区環境放射線監視委員会」
(以下「監視委員会」という。
)が設置され,
以後同委員会が策定する茨城県環境放射線監視計画(以下「監視計画」という。)に基づいて原子力
施設周辺の環境放射線を監視しています。
環境放射線の監視内容は,原子力施設周辺地域の環境放射線の連続測定や原子力施設からの排
気・排水中の放射能濃度及び土壌や農畜水産物等の環境試料中の放射性物質の測定分析です。
なお,監視計画に基づく環境放射線の監視は,放射性物質の予期しない放出による環境への影
響を早期に把握することも目的としていることから,茨城県地域防災計画(原子力災害対策計画
編)にも位置づけられています。
(2)監視体制
環境放射線の監視は,監視委員会が策定した「監視計画」に基づき,県及び原子力事業所が実
施しています。
環境放射線の監視結果については,監視委員会の下部組織である評価部会で四半期毎に検討し
た後,監視委員会に報告され,監視委員会で検討・評価し,安全性を確認した上で「環境放射線
監視季報」や県のホームページで公表しています。
また,福島第一原子力発電所事故後は県内全域での特別調査を実施し,放射線の監視体制の強
化を図るとともに,その結果については,監視委員会で報告しております。
環境放射線の監視の流れ
茨
城
県
環
境
放
射
線
監
視
計
画
原子力事業所
・環境試料の分析
・積算線量
・排気・排水の測定・分析等
茨
城
県
環境放射線監視センター
・テレメータシステムによる
環境放射線の連続測定
・環境試料の分析
・積算線量等の測定
水産試験場
・海洋試料採取
10
事
務
局
︵
原
子
力
安
全
対
策
課
︶
測定結果の
取りまとめ
評
価
部
会
検討
茨
城
県
東
海
地
区
環
境
放
射
線
監
視
委
員
会
検討・評価
住
民
公 表
なお,監視計画の策定や改訂は,調査部会で技術的・専門的に検討された後,監視委員会に諮られ
決定されます。
また,監視委員会の運営・調整等については,企画部会で検討・協議された後,監視委員会に諮ら
れて決定されます。
第
第
1
1
章
章
県の原子力安全対策課は,事務局として,これらの監視委員会,各部会の運営を行っています。
茨城県東海地区環境放射線監視委員会
企画部会
調査部会
評価部会
委員会の運営方法
の検討
監視計画の企画
調整等
測定・分析結果
の検討
監視委員会の組織図
監視委員会及び各部会の構成・役割
名称
委員会
委員・専門委員の構成
役 割
開催頻度
副知事,県議会議員,関係市町村長・議会 監視計画の策定,監 年2回開催
議長,学識経験者など29名
視結果の検討評価
企画部会 県,関係市町村の原子力担当部課長9名
委員会運営の企画・ 必要に応じて開催
調整
調査部会 放射線関係の専門家 など11名
監視計画の企画調整 必要に応じて開催
や技術事項の検討
評価部会 関係市町村の住民代表,学識経験者など 監視結果の評価
21 名
四半期毎に開催
監視委員会の様子
11
(3)監視の内容
県及び原子力事業所は,監視委員会が策定した監視計画に基づき,協力・分担して東海・大洗
地区の環境放射線や環境試料中の放射能の測定・分析を行っています。
第
1
章
測定項目,測定頻度,対象核種等は,別表3
(P14)のとおりです。
① 線量推定評価
原子力施設周辺の積算線量,環境試料中の放射能,原子力施設の排気・排水中の放射能から年
間の「外部被ばくによる実効線量」と「内部被ばくによる預託実効線量」を推定し,それらが年
間の線量限度(1ミリシーベルト)を十分に下回っているかどうかを年度毎に確認しています。
調
査
項
目
外部被ばくによる実効線量
各測定地点において,空間のガンマ線によ
り1年間に受けた積算線量
内部被ばくによる預託実効線量
食品の摂取モデルに従い,施設周辺で生産
した飲食物を1年間摂取し続けたと仮定
し,その後 50 年間にわたり人体が受ける
積算の線量
外部被ばくによる実効線量
施設周辺の最大線量が出現する地点におい
て,空間のガンマ線により1年間に受けた
積算線量
内部被ばくによる預託実効線量
施設周辺の最大濃度が出現する地点におい
て,呼吸により1年間放射性物質を摂取し
続けたと仮定し,その後 50 年間にわたり
人体が受ける積算の線量
外部被ばくによる実効線量
施設周辺の海域において,漁業関係者が1
年間に受けた積算の線量
内部被ばくによる預託実効線量
施設周辺の海域に生息する魚介類を食品の
摂取モデルに従い,1年間摂取し続けたと
仮定し,その後 50 年間にわたり人体が受
ける積算の線量
原子力施設周辺における積算線
量,環境試料に基づく被ばく線
量の推定
排 気
原子力施設の
排 気・ 排 水 測
定結果に基づ
く被ばく線量
の推定
内 容
排 水
② 短期的変動調査
原子力施設周辺の空間ガンマ線量率及び降下塵や海水等環境試料に含まれる放射性核種を測定
することにより,原子力施設から放射性物質等が異常に放出されたかどうかを四半期毎に確認して
います。
○ 調査内容
・ 空間ガンマ線量率を,原子力施設内及び周辺 100 箇所(県測定 63 箇所)に空間線量率測定
局等を設置して連続で測定し,各局の月平均値が平常の変動幅の上限値(100nGy / h)
以下
であるかを確認しています。
・ 原子力施設周辺で採取した環境試料に含まれる放射性核種が,過去の検出レベルを超えて
いないか確認しています。
12
③ 長期的変動調査
原子力施設周辺の積算線量及び土壌・河川水・河底土・海水・海底土等環境試料に含まれる放
射性核種を測定することにより,それぞれの核種の放射能濃度が変わっていないか,放射性物質
が蓄積していないか,他の地域と傾向が異なっていないかを半年毎に確認しています。
第
第
1
1
章
章
○ 調査内容
・ 積算線量を,原子力施設内及び周辺 94 箇所(県測定 27 箇所)に設置した線量計で年4回
測定し,各測定地点毎に定めた平常の変動幅の上限値以下であるかを半年の期間で確認してい
ます。
・ 原子力施設周辺の陸域及び海域で採取した環境試料中の放射性核種の濃度が,過去の検出
レベルを超えていないかを確認しています。
13
別表3
放射線監視における測定項目及び測定頻度
測定項目
1.線量評価
積算線量
原乳
葉菜
精米
飲料水
魚類
貝類
海藻類
排気
排水
2.短期的変動調査
空間線量率
(ステーション)
空間線量率
(ポスト)
第
1
章
塵埃
降下塵
原乳
海水
排気
排水
3.長期的変動調査
空間線量率
(サーベイ)
積算線量
降下塵
土壌
河底土
海岸砂
河川水
湖沼水
飲料水
海水
海底土
排水口近辺土砂
漁網
測定頻度
年4回
年2回
〃
年1回
年2回
〃
〃
〃
連続
放出の都度
対象核種等
空間γ
90
Sr,131 I(4回 / 年),γ放射体
90
Sr,131 I,γ放射体
90
Sr,14 C,γ放射体
3
H
90
Sr,Pu,γ放射体
90
Sr,Pu,γ放射体
90
Sr,Pu,γ放射体
主要放出核種(施設者)
主要放出核種(施設者)
連続
空間γ
〃
空間γ
毎月
年4回
毎月
年4回
〃
連続
連続
放出の都度
毎月
γ放射体
Pu
γ放射体
131
I
3
H,<水温,塩素量>
放出核種,全β,全α(施設者)
全γ
放出核種,全β(施設者)
放出核種,全β(県)
年2回
空間γ
年4回
毎月
年2回
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
〃
空間γ
γ放射体
γ放射体
γ放射体
γ放射体
3
H,γ放射体<水温,塩素量:一部>
3
H,γ放射体<水温,塩素量:一部>
U,γ放射体<水温>
90
Sr,γ放射体
90
Sr,Pu,γ放射体
主要放出核種
β線吸収線量率,
γ線線量率(施設者)
注 1.積算線量は3ヶ月間の空間γ線量を年4回測定
2.γ放射体は 54Mn,60Co,95Zr,95Nb,106Ru,137Cs,144Ce等,Pu は 239,240Pu を示す。
3.排気について,希ガス以外は週1回又は月1回等の測定
4.排水の 89Sr,90Sr,129 I,Pu は,合成試料による月1回又は年4回の測定
5.塵埃のγ放射体は1ヶ月間捕集したものを毎月,Pu は3ヶ月間捕集したものを年4回測定
6.降下塵は1ヶ月間採取したものを毎月測定
14
(4)環境放射線常時監視テレメータシステム
県では,昭和 51 年6月から東海・大洗地区の原子力施設周辺の環境放射線等を常時監視する「環
境放射線常時監視テレメータシステム」を設置しています。
第
第
1
1
章
章
このシステムは,大気中の空間ガンマ線量率,風向風速,降水量等の気象要素について,24 時間
連続測定し,2分毎にデータを茨城県環境放射線監視センター(ひたちなか市西十三奉行)に設置し
た中央監視局に伝送するものです。
この測定結果については,市町村表示局,ホームページ等で公表しています。
ホームページ: http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/
携 帯 電 話: http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/mobile
環境放射線常時監視テレメータシステムの概要図
測 定 局
空間線量測定局(中性子 7 局)
空間線量測定局(63 + 10 局)
排水測定局(4局)
排気筒測定局(6局)
中央監視局(環境放射線監視センター)
行 政 へ
茨城県庁
・原子力安全対策課
・災害対策室
原子力オフサイトセンター
住 民 へ
ホームページ
港湾事務所(3局)
市町村役場情報システム(9市町村)
住民向け表示局(19 局)
15
環境放射線常時監視測定局等の配置
第
1
章
里美
十王
中里
町田
野上
平和
松平
市役所
瓜連
町役場
石塚
菅谷
後台
石川
磯部
本米崎
下郷
下飯沼
三菱原燃
佐和
町役場
谷田部
広浦
田崎
旭総合支所
川戸
鉾田
芹沢
霞ヶ浦庁舎
原電東海第二
原電MP-C
舟石川 舟石川
原電MP-B
船場 機構原科研
原電MP-A
村松
押延
機構原科研第2
原燃工
サイクル工研
機構サイクル工研
坂
空間線量率
(ガンマ線)
測定局(県設置 ) 63局
樅山
空間線量率
(ガンマ線)
測定局(事業所設置 )
10局
空間線量率
(中性子線)
測定局
(県設置 )
7局
10km
( うちガンマ線・中性子線併設局
2局)
排水測定局(事業所設置 )
4局
中央監視局(環境放射線監視センター)
表示局
19局
大蔵
(市町村17局,原子力科学館1局,
20km 環境放射線監視センター 1 局)
津賀
蔵川
麻生庁舎
30km
市役所
16
豊岡
原電MP-D
町役場
機構大洗(北)
機構大洗(北)
機構大洗(南)
荒地
徳宿
三村
原電東海
留
磯浜
上冨田
市役所
監視センター
大貫
造谷
堅倉
柏原
常陸那珂
阿字ヶ浦
市役所
吉沢
大場
豊岡
原子力科学館
高野 長砂
馬渡
常澄出張所
海老沢
市役所
石神
市役所
堀口
鯉淵
10km
久慈
村役場
柳沢
市役所
真弓
横堀
鴻巣
大橋
大沼
市役所
額田
門部
20km
日立シビックセンター
久米
根本
30km
(5)環境放射能水準調査
① 経緯
昭和 29 年3月,ビキニ環礁における核実験を契機とし,日本をはじめ世界的規模で放射能調
第
第
1
1
章
章
査が実施されることになり,県では同年,核実験による放射性降下物を調査するための雨水等の
放射能調査を開始しました。
昭和 33 年からは,旧科学技術庁(現原子力規制庁)の受託調査となり,その後,全国 47 都道
県で実施されることとなり,平成2年度からは「環境放射能水準調査」として,継続して実施して
います。
② 目的
日常生活に関する環境試料等の放射能を測定し,放射能の分布及び生活環境の放射能レベルに
ついて調査を行うことを目的としています。
③ 調査内容
この調査は,日常生活に関係する飲料水,土壌,農畜産物(精米,野菜,原乳など)
,海水,魚
類等の環境試料中の放射能を測定し,放射能の分布及び生活環境の放射能レベルについて調査を
行っています。
また,この水準調査では,環境中に放射性物質が放出され,放射線被ばくや環境への放射能汚
染のおそれがある場合には,モニタリングを強化します。
平成 18 年,平成 21 年,平成 25 年及び平成 28 年1月には,北朝鮮の地下核爆発実験の実施に
伴い全国的にモニタリング強化が実施され,その結果が公表されました。
さらに,平成23年 3 月の福島第一原子力発電所事故を踏まえたモニタリング強化として空間線
量率,降下物,上水の測定を行っています。
なお,全国的な環境放射能の経年変化など水準調査の結果は,以下のホームページに掲載され
ています。
ウェブサイト http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_s_index
「日本の環境放射能と放射線」(原子力規制庁)
2 環境放射線監視センター
茨城県環境放射線監視センター(以下「監視センター」という。)は,平常時には環境放射線を 24
時間連続測定するほか,農畜水産物など環境試料中の放射性物質の測定分析を行っています。
また,原子力災害発生時には,監視センターに隣接する「茨城県原子力オフサイトセンター」及び「機
構原子力緊急時支援・研修センター」と連携し,環境放射線や放射能の測定分析を行います。
○ 施設概要
・所 在 地:
ひたちなか市西十三奉行 11518-4
・建 屋 構 造:鉄筋コンクリート造2階建
・延べ床面積: 約 2,000㎡
・敷 地 面 積: 約 5,000㎡
・整 備 費: 約 14 億円(当初)
茨城県環境放射線監視センター全景
17
第4節 原 子 力 防 災
原子力発電所等の原子力施設については,
「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
(以下「原子炉等規制法」という。
)等に基づき事故の発生防止,事故の拡大防止及び放射性物質の放
第
1
章
出抑制について十分な安全対策等が講じられています。
一方,「災害対策基本法」,「原子力災害対策特別措置法」においては,万が一原子力発電所等で大
事故が発生し,大量の放射性物質が施設外に漏れ,施設周辺の住民に放射線被ばくなどをもたらすお
それがある場合に,被ばくによる影響をできるだけ少なくし,周辺住民の健康と財産を守るため,国,
県,市町村及び防災関係機関が一体となって防災活動を行うこととしています。
県では,昭和 37 年 10 月,災害対策基本法に基づき,防災会議(知事を会長として,国の地方行
政機関の長,県教育長,県警本部長などで構成)を設置し,翌 38 年には県地域防災計画を定め,こ
の計画に基づき,各種防災資機材の整備,防災研修等を行ってきました。
JCO臨界事故後には,新たに制定された原子力災害対策特別措置法に基づき原子力オフサイトセ
ンターが整備されるなど,原子力防災体制の強化が図られました。
なお,平成 13 年以降は,毎年,地域住民が参加する原子力総合防災訓練を実施し,防災対策の検
証を行っておりましたが,福島第一原子力発電所事故を踏まえて,原子力総合防災訓練の内容につい
て,見直しを検討しているところです。
1 茨城県地域防災計画(原子力災害対策計画編)
JCO臨界事故において,国,県,市町村等の防災関係機関の情報の共有化,認識の共通化が十
分に図れず,このため,関係機関相互の連携も不十分となり,結果として,初期対応が遅れた他,
緊急時医療,住民広報などの点で多くの反省点や教訓を残しました。
このため国は,平成 11 年 12 月に原子力災害対策特別措置法を制定し,初期活動の迅速化,国・
県・市町村等の連携強化,国の体制強化,原子力事業者の役割の明確化などを図りました。
県では,こうした法律の制定など国の動向やJCO臨界事故に係る応急対策の課題などを踏まえ,
原子力施設における事故時の迅速かつ的確な対策を図るために,県地域防災計画(原子力災害対策
計画編)を平成 13 年2月の県防災会議において全面修正し,また平成 21 年 2 月には,徒歩やバ
スによる住民避難に,一部自家用車を利用した避難を加える修正を行いました。
平成23年3月に発生した,福島第一原子力発電所の事故は,地震・津波と原子力事故との複
合災害であったこと,事故が急速に進行し影響が広範囲かつ長期に及んだことなど,県地域防
災計画(原子力災害対策計画編)の事故想定をはるかに超えるものでした。
県では,平成23年9月に防災会議の下に,地域防災計画改定委員会原子力災害対策検討部会
を設置し,県地域防災計画(原子力災害対策計画編)について検討を行い,平成25年3月の県防
災会議において,国が新たに策定した原子力災害対策指針の内容などを盛り込んだ改正を行いま
した。
また,県では,平成26年 3 月,平成27年 3月 にも災害対策基本法や国の原子力災害対策指針
の改正を踏まえた県地域防災計画改正を行っています。
18
原子力防災計画体系図
災
害
対
策
基
本
法
第
第
1
1
章
章
原子力災害対策指針(原子力規制委員会策定)
(東海村,那珂市,大洗町,鉾田市,日立市, 常陸太田市,ひたちなか市,水戸市,茨城町,
笠間市,常陸大宮市,高萩市,城里町,大子町)
茨城県地域防災計画(原子力災害対策計画編)は,原子力災害の発生及び拡大を防止し,原子力
災害の復旧を図るために必要な事項を定めており,「総則」以下4部から構成されています。
総 則
原子力災害事前対策
緊急事態応急対策
原子力災害中長期対策
19
2 原子力災害事前対策
(1) 原子力災害に備えた茨城県広域避難計画
原子力災害における避難計画については,国の防災基本計画等に基づき,原子力発電所から概ね
※1
30㎞の範囲,いわゆるUPZ 内 の市町村が策定することになっていますが,県では,その取組を支
第
1
章
援するため広域的な避難先,避難経路,輸送手段など基本的事項を定めた原子力災害に備えた茨城
県広域避難計画(以下「広域避難計画」という。)を平成27年3月に策定しました。
【 計画の概要 】
第1 広域避難計画の策定
○ 策定の趣旨 : あらかじめ避難計画を策定することとされている市町村の取組を支援するため,
広域的な避難先や避難経路,避難の流れなど必要な事項を定めるもの
第2 計画の基本的事項
○ 避難対象 : UPZ内14市町村の夜間人口約96万人
○ 避 難 先 : UPZ外の県内30市町村及び県外(県内:約44万人,県外:約52万人)
※ 福島県,栃木県,群馬県,埼玉県,千葉県と協議・調整中
第3 住民の避難等に係る広報
○ 以下の事故の各段階に応じた広報
・ 全面緊急事態まで : 正確な事故情報の提供,冷静な行動の呼びかけ
・ 放射性物質放出後 : 避難等の対象地域名,スクリーニング実施場所等の広報
第4 住民等の避難
○ 一般住民
※2
・ PAZ : 全面緊急事態で所在場所からの避難
・ UPZ : 全面緊急事態で屋内退避,放射性物質放出後は放射線量率に基づき段階的に避難
○ 要配慮者
・ PAZの病院・社会福祉施設の入所者等は全面緊急事態の前の段階(施設敷地緊急事態)で
避難を開始し,あらかじめ定めた施設等へ避難
・ 在宅の避難行動要支援者は避難支援等関係者の協力を得て避難。
必要に応じ福祉避難所へ避難
○ 一時滞在者(観光客等):施設敷地緊急事態で帰宅を勧告
第5 複合災害への当面の対応
○ 避難先の被災状況の確認,受入が困難な場合の避難先を確保
○ 被災した道路情報等を迅速に提供
第6 安定ヨウ素剤の配布・服用及びスクリーニングの実施
○ 安定ヨウ素剤 : PAZは事前配布,UPZは緊急時配布
○ スクリーニング : UPZの境界付近で実施
第7 避難所の開設と運営等
○ 避難先市町村が避難所を開設し,早期に避難元市町村に運営を移管
○ 公営住宅や賃貸住宅等の活用などにより避難所の早期解消に努める
第8 避難状況の確認
○ 避難済みであることの確認 ○避難者の所在確認
第9 今後の課題
○ 県外の避難先の確保 ○ スクリーニング実施体制の確保
○ 安定ヨウ素剤の配布体制 ○ 複合災害時に係る対応
※1 UPZ : 緊急時防護措置を準備する区域;原子力発電所から概ね30㎞
20
※2 PAZ : 予防的防護措置を準備する区域;原子力発電所から概ね5㎞
(2)原子力防災研修
原子力災害時に迅速な応急対策活動を実施できるように,県,市町村,警察,消防,その他防災
関係機関の職員に対し,救護所設置活動,緊急時モニタリング等,原子力防災対策に関する基礎及
第
第
1
1
章
章
び専門的な知識と技術を習得させるため,公益財団法人原子力安全技術センター等の協力を得て様々
な研修を実施しています。
平成 12 年度からは,JCO臨界事故時の反省も踏まえ,放射線測定器の取扱いや危機管理等の,
より実効的な研修を行っています。
これまでに実施した研修の実績
年 度
昭和 55
昭和 56
昭和 57
昭和 58
昭和 59
昭和 60
昭和 61
昭和 62
昭和 63
平成元
平成2
平成3
平成4
平成5
平成6
平成7
平成8
平成9
平成 10
平成 11
平成 12
平成 13
平成 14
平成 15
平成 16
平成 17
平成 18
平成 19
平成 20
平成 21
平成 22
平成 23
平成 24
平成 25
平成 26
計
回数(回) 受講者数(名)
3
106
4
86
6
187
6
115
5
99
5
99
5
170
4
115
7
245
9
313
11
412
10
287
11
272
11
265
13
327
16
414
14
290
14
203
11
173
11
169
15
331
14
352
19
477
18
464
16
354
12
313
14
364
16
339
15
336
14
379
13
196
14
268
12
102
10 152
8 133
386 8,907
備 考
原子力防災研修開始
消防団長研修開始
消防団員研修開始
緊急時医療, 消防職員研修開始
警察職員研修開始
21
(3) 原子力防災訓練
原子力災害が発生した時に,迅速かつ的確な応急対策を行うことができるように,また,県民に
原子力防災に関する理解を深めていただくため,国,県,市町村などの防災関係機関が共同で原子
第
1
章
力防災訓練を実施しています。
訓練では,応急対策活動や住民避難などを実施し,防災関係機関相互の連携・協力体制を確認す
ることなどをねらいとしており,訓練結果を検証することにより,より実効性のある原子力防災体
制を築いていくこととしています。
原子力防災訓練は,昭和 46 年から適宜実施していましたが,JCO臨界事故の教訓を踏まえて
県地域防災計画の全面修正を行った平成 13 年以降は,毎年,総合防災訓練を実施しておりました。
現在,福島第一原子力発電所事故を踏まえて,原子力総合防災訓練の内容について,見直しを検討
しているところです。
原子力防災訓練の実績
(JCO臨界事故[ 平成 11 年9月 30 日 ]以前)
訓練対象事業所
避難訓練
実施市町村
昭和 46
―
未実施
【展示訓練】
23 機関
放射性廃棄物建屋の火災,放射性物質輸送
350 名
車両の事故
東海村
【総合訓練】
TMI原発事故を教訓として全面修正した
新県地域防災計画の実効性の確認
68 機関 ○災害情報の伝達処理訓練
1,530 名 ○初動時における対処訓練
○防災機関の組織対処訓練 等
○関係者による住民想定避難訓練実施
(201 名)
未実施
【緊急時モニタリング,通信訓練】
31 機関 ○緊急時環境放射線モニタリングマニュアル
300 名
の実効性の確認
○初期活動,関係機関相互連携訓練
東海村
【総合訓練】
○平成2年から運用開始したSPEEDIシ
112 機関
ステムの的確な運用方法の確認
4,731(189)名
○県,村地域防災計画(緊急医療)及び緊急
時医療活動マニュアルの実効性の確認 等
未実施
【重点訓練】
52 機関 ○各種通信連絡網の機能の訓練
495 名 ○SPEEDIシステムを活用した緊急モニ
タリング運用体制の確認
未実施
【初期対応,緊急時モニタリング,緊急時医
療活動訓練】
○事故発生初期における防災関係機関との通
64 機関
信・連絡訓練
279 名
○モニタリング情報の収集伝達,モニタリン
グ計画の策定・実施訓練
○ スクリーニング,一次診断除染訓練
昭和 56
原電
「東海第二発電所」
原電
昭和 60
「東海第二発電所」
平成 3
原電
「東海第二発電所」
原電
平成 5
「東海第二発電所」
平成 8
22
参加期間
参加人数
(うち住民)
年度
原電
「東海第二発電所」
訓 練 概 要
(JCO臨界事故[ 平成 11 年 9 月 30 日 ]以後)
年度
訓練対象事業所
避難訓練
実施市町村
サイクル東海
東海村,
平成 13 (現機構サイクル研)
ひたちなか市
「再処理施設」
サイクル大洗
平成 14 (現機構大洗)
「常陽」
原電
平成 15
「東海第二発電所」
参加期間
参加人数
(うち住民)
訓 練 概 要
【総合訓練】
136 機関 ○JCO臨界事故の経験を踏まえた初動対応
3,295( 645)名 ○積極的な住民広報の実施・実地の緊急被ば
く医療訓練
大洗町,
旭村(現鉾田市)
【総合訓練】
60 機関
○県原子力オフサイトセンターの運営
624(124)名
○原子力緊急時支援・研修センターとの連携
東海村,日立市
【総合訓練】
74 機関 ○ヨウ素剤取り扱いマニュアルの実効性の確
835(235)名
認
○原子力防災情報ネットワークの運用
サイクル東海
東海村,
平成 16 (現機構サイクル研)
ひたちなか市
「再処理施設」
【総合訓練】
○県,関係市町村の初動体制の検証
133 機関 ○東海村から周辺市町村への住民避難を含め
2,900(900)名
た住民避難訓練
○三次被ばく医療を含めた緊急被ばく医療訓
練
三菱原燃
平成 17
「核燃料加工施設」
東海村,那珂市
【総合訓練】
101 機関 ○県,関係市村による初動対応の検証
1,562(562)名 ○住民への情報提供の充実
○二次被ばく医療訓練
東海村,日立市
【総合訓練】
100 機関 ○国民保護に係る国指示伝達の検証
2,400(682)名 ○災害時要援護者の円滑な避難の検証
○自家用車による避難の有効性の検証
原電
平成 18
「東海第二発電所」
平成 19
平成 20
平成 21
平成 22
機構大洗
「常陽」
原電
「東海第二発電所」
原電
「東海第二発電所」
機構大洗
「常陽」
大洗町,鉾田市
第
第
1
1
章
章
【総合訓練】
○原子力災害とナトリウム漏えい火災が発生
した場合の応急体制の検証
80 機関
○環境放射線監視センターを活用した緊急時
1,100(98)名
モニタリング体制の検証
○被ばく医療機関に係る安全宣言発出手続き
の検証
東海村
【総合訓練】
○大規模地震発生時のオフサイトセンターの
87 機関
利活用
1,000 名(195 台)
○自家用車避難,災害時要援護者避難の実施
○一元化後の県災害対策本部運営の検証
東海村
【総合訓練】国との合同訓練
○災害時要援護者を想定した一般住民による
自家用車避難の実施
116 機関 ○大規模集客施設遊客者の高速道路を利用し
3,086 名(535 台) た自家用車帰還の実施
○大規模な交通規制の実施
○三次及び二次被ばく医療機関への被ばく患
者搬送並びに医療処置訓練の実施
大洗町,鉾田市
【総合訓練】
○オフサイトセンター機能班及び県・市町災
害対策本部事務局との具体的な通信連絡に
より,防護措置の決定過程における情報共
有の進め方の検証
76 機関
○迅速かつ安全な住民避難として自家用車避
1,200 名(215 台)
難の技術的検証
○災害時要援護者に対する避難支援対策等の
検証
○避難所における避難住民に対する事故情報
提供の検証
23
年度
第
1
章
平成 23
平成 24
平成 25
平成 26
24
訓練対象事業所
原電
「東海第二発電所」
原電
「東海第二発電所」
原電
「東海第二発電所」
原電
「東海第二発電所」
避難訓練
実施市町村
参加期間
参加人数
(うち住民)
訓 練 概 要
未実施
【参集訓練,事務局設置・初動対応訓練】
○複合災害を想定した県災害対策本部事務局
4 機関
員の対応能力の検証
102 名
○市町村に対する事故状況等の情報伝達の検
証
未実施
【参集訓練,事務局設置・初動対応訓練】
○抜き打ち参集による県災害対策本部事務局
16 機関
員の初動対応の検証
83 名
⃝市町村に対する事故状況等の情報伝達の検
証
未実施
未実施
【参集訓練,事務局設置・初動対応訓練】
○緊急時活動レベル(EAL)に基づく「警
16 機関
戒事態,施設敷地緊急事態,全面緊急事態」
86 名
による行動を想定した初めての訓練
【参集訓練,事務局設置・初動対応訓練】
○緊急時活動レベル(EAL)に基づき,
16 機関
TV会議システム等の各種通信手段を活用し
121 名
た訓練
○原子力オフサイトセンターの陽圧化手順の確認
(4) 統合原子力防災ネットワークシステムの整備
原子力災害が発生した際に,国,県,市町村等の防災関係機関の持っている情報を共有して各機
関の連携を強化し,迅速かつ的確な応急対策を可能とするとともに,共有した情報を速やかに住民
第
第
1
1
章
章
に広報するため,統合原子力防災ネットワークシステムを整備し,その維持管理を行っています。
◆ 統合原子力防災ネットワークの構成
原子力施設立地道府県
のオフサイトセンター
(平成28年3月時点)
のマークが付いている施設には,衛星通信によって二重化
されています。
25
◆ システムの概要
統合原子力防災ネットワークシステムは次の4つの機能を持っています。
① TV会議システム(平成
第
1
章
16・24 年度整備)
いばらきブロードバンドネットワーク(IBBN)を活用し,県災害対策本部,所在・関係周
辺 14 市町村の災害対策本部及び県原子力オフサイトセンター(ひたちなか市),さらには国の
災害対策本部や原子力施設立地道府県の各オフサイトセンターを結び,緊急時の情報連携を強化
するシステムです。
テレビ会議システムのイメージ
② 情報共有システム(電子掲示板。平成
16 年度整備)
原子力災害時に国,県,市町村等の防災関係機関が行う様々な応急対策活動に関する情報を集
約し,共有化を図るためのシステムです。各防災関係機関が登録した災害に関する情報を,時系
列順,重要度,防護対策の区分別等によりシステム掲示板に表示し,各機関が情報を活用するこ
とにより,対応方針の決定に役立てることができます。
26
③ 住民広報用ホームページ(平成
15 年度整備)
②で集約した情報から住民へ広報する資料を速やかに作成し,ホームページに掲載するシステ
ムです。平常時は,防災関連情報を掲載し,県ホームページにリンクしています。
(平成 28 年4月末以降は,県のホームページシステムへの移行を予定しています。)
第
第
1
1
章
章
住民広報用ホームページのイメージ
④ IP電話・IPファクシミリ(平成 20 年度整備)
音声や文字をデジタルデータに変換して相手先と通話やファクシミリ通信を行うことができる
機能を持っています。
※ 固定型衛星通信システム(平成24年度整備)
統合原子力防災ネットワークシステムの地上系に回線障害が発生した場合のバックアップとして衛星専用回
線により,国,オフサイトセンター及び電力事業者との通信を可能にします。
(5) 防災活動資機材等の整備
原子力災害時における防災対策及び原子力防災関係機関職員の被ばく防護のため,各種防災活動
資機材を整備するとともに,放射性物質が放出された場合の影響を予測するシステムを整備してい
ます。
① 防災活動資機材
昭和 54 年度から,防護服,個人線量計,サーベイメータなど,各種の防災活動資機材を整備して
います。
※
防災資機材の整備については,東海村をはじめ関係14市町村を対象とし,原子力災害時に関係市
町村の原子力防災職員が迅速かつ的確な応急対策が行えるようにしています。
※ 東海村,日立市,ひたちなか市,那珂市,水戸市,常陸太田市,高萩市,笠間市,常陸大宮市,鉾田市
茨城町,大洗町,城里町,大子町
27
主な防災資機材の整備状況
(平成 27 年 4 月現在)
数 量
資 機 材
第
1
章
県
14 市町村
防護服
4,000
15,560
19,560
防護マスク
1,410
4,000
5,410
個人線量計
864
3,720
4,584
GMサーベイメータ
100
165
265
90
165
255
135
165
300
中性子サーベイメータ
6
24
30
災害対策用バス
0
14
14
災害対策用広報車
0
14
14
NaIシンチレーションサーベイメータ
電離箱式サーベイメータ
GMサーベイメータ
NaⅠ シンチレーションサーベイメータ
簡易型防護服(タイベック)
28
合計
② 緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI※)ネットワークシステム
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ※)は,原子力発
電所などから大量の放射性物質が放出されたり,そのおそれがあるという緊急事態に,周辺環境に
おける放射性物質の大気中濃度および被ばく線量など環境への影響を,放出源情報,気象条件およ
第
第
1
1
章
章
び地形データを基に迅速に予測するシステムです。
このSPEEDIは,関係府省と関係道府県,オフサイトセンター及び日本気象協会とが,原子
力安全技術センターに設置された中央情報処理計算機を中心にネットワークで結ばれていて,関係
道府県からの気象観測点データとモニタリングポストからの放射線データ,および日本気象協会か
らの GPV データ,アメダスデータを常時収集しています。
※ SPEEDI:System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information の頭文
字です。
SPEEDIにより作成した図形
放 出 源 情 報, 風 向, 風
速,地形等をもとに放射性
物質の拡散範囲,濃度分布
及び線量分布などを予想し
ます。
左の図形は,地表におけ
る放射性ヨウ素の拡散範囲
や蓄積量の分布を示してい
ます。
(原子力災害対策指針の改正により,
平成 28 年 1 月末で SPEEDI システムの利用は終了しました。)
29
3 緊急事態応急対策
(1)避難・屋内退避等
放射性物質の放出等に伴う放射線被ばくから地域住民を防護するため,状況に応じて,住民に
第
1
章
対して「避難」,「屋内退避」又は「一時移転」の措置を講じます。
これらの避難・屋内退避等の措置についての指標及び防護対策の内容は次のとおりです。
◆ 屋内退避及び避難等に関する指標(原子力災害対策指針より)
基準の種類
基準の概要
初期設定値
注1)
防護措置の概要
OIL1
地 表 面 か ら の 放 射 線, 500 マイクロシーベルト /h(μSv/h)
再浮遊した放射性物質 (地上1mで計測した場
合の空間放射線量率
の吸入,不注意な経口
注2)
摂取による被ばく影響
)
を防止するため,住民
等を数時間内に避難や
屋内退避等させるため
の基準
数時間内を目途に区域
を特定し,避難等を実
施。(移動が困難な者の
一時屋内退避を含む。
)
OIL2
20 μSv/h
地 表 面 か ら の 放 射 線,
再浮遊した放射性物質 (地上1mで計測した場
合の空間放射線量率
の吸入,不注意な経口
注2)
摂取による被ばく影響
)
を防止するため,地域
生産物注3)の摂取を制限
するとともに,住民等
を 1 週間程度内に一時
移転させるための基準
1 日内を目途に区域を
特定し,地域生産物の
摂取を制限するととも
に,1 週 間 程 度 内 に 一
時移転を実施。
注1)「初期設定値」とは緊急事態当初に用いる OIL の値であり,地上沈着した放射性核種組成
が明確になった時点で必要な場合には OIL の初期設定値は改定される。
注2)本値は地上1mで計測した場合の空間放射線量率である。実際の適用に当たっては,空
間放射線量率計測機器の設置場所における線量率と地上1mでの線量率との差異を考慮
して,判断基準の値を補正する必要がある。OIL1については緊急時モニタリングにより得
られた空間放射線量率(1時間値)が OIL1の基準値を超えた場合,OIL2については,空間
放射線量率の時間的・空間的な変化を参照しつつ,緊急時モニタリングにより得られた空
間放射線量率(1時間値)が OIL2の基準値を超えたときから起算して概ね1日が経過し
た時点の空間放射線量率(1時間値)が OIL2の基準値を超えた場合に,防護措置の実施が
必要であると判断する。
注3)「地域生産物」とは,放出された放射性物質により直接汚染される野外で生産された食品
であって,数週間以内に消費されるもの(例えば野菜,該当地域の牧草を食べた牛の乳)を
いう。
30
(2) 飲食物等の摂取制限
県は,緊急時モニタリング等の結果に基づき,飲料水,食料等における放射性物質の濃度が下
表の基準を超え,又はそのおそれがあると認められる場合は,速やかに次の措置を講じます。
第
第
1
1
章
章
① 飲料水に対する措置 所在・関係周辺市町村長に対し,当該区域内の住民の汚染水源の使用禁
止,汚染飲料水の飲用禁止等の措置を講じるよう指示します。
② 食料等に関する措置
所在・関係周辺市町村長に対し,当該区域内の住民,農畜水産物等の集
荷機関,市場等に食料等の摂取及び採取の禁止,出荷制限等必要な措置を
講じるように指示するとともに,県が指示すべき広域の団体等に対しては
直接指示します。
③ 飲料水及び食料等の供給
所在・関係周辺市町村長に対し,飲料水あるいは食料等の摂取制限等の
措置を指示したとき,又は団体等に対し直接指示したときは,所在・関係
周辺市町村長及び防災関係機関の長と協力して,必要な飲料水,食料等の
確保・供給に努めます。
◆ 飲食物等の摂取制限に関する指標(原子力災害対策指針より)
基準の
種類
OIL6
基準の概要
経口摂取によ
る被ばく影響
を防止するた
め, 飲 食 物 の
摂取を制限す
る際の基準
初期設定値
注1)
核種
放射性ヨウ素
防護措置の概要
飲料水
野 菜 類, 穀 1 週間内を目途に飲食物
牛乳・乳製品 類,肉,卵, 中の放射性核種濃度の測
定と分析を行い,基準を
魚,その他
超えるものにつき摂取制
2,000Bq/kg
300Bq/kg
注2) 限を迅速に実施。
放射性セシウム
200Bq/kg
500Bq/kg
ウラン
20Bq/kg
100Bq/kg
プルトニウム及
び超ウラン元素
のアルファ核種
1Bq/kg
10Bq/kg
注1)「初期設定値」とは緊急事態当初に用いるOIL の値であり,地上沈着した放射性核種組成が明
確になった時点で必要な場合にはOIL の初期設定値は改定される。
注2)根菜,芋類を除く野菜類が対象。
31
(3)緊急被ばく医療
平成 27 年8月に改正された原子力災害対策指針では,原子力災害に対する医療施設等として,こ
れまでに指定等されている初期被ばく医療機関,二次被ばく医療機関及び三次被ばく医療機関を
第
1
章
ベースとして,名称等を原子力災害協力機関,原子力災害拠点病院,高度被ばく医療支援センター及
び原子力災害医療・総合支援センターに変更するとともに,それぞれの役割を明確にした。
このような原子力災害時の医療体制の整備の一環として,原子力規制委員会において高度被ばく
医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センターの指定を行うため,原子力規制庁では,
あらかじめこれら医療施設等の施設要件を定めるとともに,次の施設を指定しました。
○高度被ばく医療支援センター
・国立研究開発法人 放射線医学総合研究所
・国立大学法人 長崎大学
・公立大学法人 福島県立医科大学
・国立大学法人 広島大学
・国立大学法人 弘前大学
○原子力災害医療・総合支援センター
・国立大学法人 広島大学
・公立大学法人 福島県立医科大学
・国立大学法人 弘前大学
・国立大学法人 長崎大学
<従前>
◆ 初期被ばく医療
○ 救護所の医療救護班
○ 次に掲げる初期被ばく医療機関
医療法人群羊会 久慈茅根病院
医療法人渡辺会 大洗海岸病院
株式会社日立製作所 日立総合病院
独立行政法人国立病院機構 茨城東病院
水戸赤十字病院
○ 原子力事業所の医療施設
○ 当該医療の一部又は全部を担える医療機関等
※ 救護所の医療救護班は,スクリーニングチーム,一時診断除染チーム及び救護
チーム(健康相談チームを兼ねる。)を編成します。
◆ 二次被ばく医療
独立行政法人国立病院機構 水戸医療センター,県立中央病院,筑波大学附属病院が
実施します。その他,当該医療が担える医療機関でもその一部を実施します。
◆ 三次被ばく医療
国立研究開発法人 放射線医学総合研究所(千葉市)及び当該医療を担うネットワー
ク組織医療機関に搬送して実施します。
※ 一般傷病者の医療は,事故発生事業所周辺の医療機関,特に,災害拠点病院及
びその他の救急医療を担う医療機関の協力を得て行うものとします。
32
4 原子力オフサイトセンター
原子力災害発生時には,住民の安全の確保等さまざまな応急対策を迅速かつ的確に行うことが必
要ですが,そのためには,国,地方自治体,原子力事業者,専門家等関係者が一堂に会し,情報を
共有しながら対策にあたることが重要であり,その施設が「緊急事態応急対策拠点施設(オフサイ
第
第
1
1
章
章
トセンター)」です。
原子力災害発生時には,オフサイトセンターに国,地方自治体,原子力事業者等で組織する「原
※
子力災害合同対策協議会」が設置され,テレビ会議システム,緊急時対策支援システム
(ERSS ),
専用回線による電話・FAXなどの機器類を使用し,情報を共有しながら,連携して迅速かつ的確
な応急対策を行うことになります。
※ ERSS: Emergency Response Support System
原子力発電所からオンラインで運転状況,放射線モニタの状況及び気象データ等の情報の収集
を行い,事故の状況を判断するシステム
緊急時における応急対策の仕組み
オフサイトセンター
策
本
部
を
内
閣
府
に
設
置
し
ま
す
ら
が
本
部
長
と
な
る
原
子
力
災
害
対
態
宣
言
を
発
出
す
る
と
同
時
に
内
閣
総
理
大
臣
は
原
子
力
緊
急
自 事
原子力緊急時に、国、自治体、事業者等
が一堂に会する施設で、原子力施設立
地地点の近くにあります。
国
原子力災害対策本部
本部長 内閣総理大臣
助言
国
現地対策本部
茨城県
災害対策本部
職員の派遣
関係者の情報共有、意思統一を図り、
緊急時対応策を迅速かつ的確に実施
するために、国、自治体等による合同
対策協議会を組織します。
原子力災害
合同対策協議会
参画
原子力規制委員会
避難、屋内退避等指示
(市町村長)
原子力事業者
市町村
災害対策本部
職員の派遣
原子力
防災専門官
指示・指揮監督
住民
事故現場
災害の
拡大防止等
放射線医学総合研究所
日本原子力研究開発機構
被災者の救護、被ばく線量の測定
専門的支援
原子力事業者
放射線量の公表
放射性物質の除去
警 察
災害警備
消 防
消火・救命活動
原子力事業者
防災組織
(防災管理者)
自衛隊
原子力災害合同対策協議会
全体会議:関係者の情報共有,相互協力のための調整
(議事をオフサイトセンター内の関係者に公開)
・オフサイトセンター内の情報共有
・各機関が実施する緊急事態応急対策の確認
・緊急事態応急対策に係る関係機関の業務の調整
・緊急事態対応方針の決定事項の各機関への連絡
・各班からの緊急事態対応方針の実施状況の報告,確認
・オンサイトの状況等に係るプレス発表肉容の確認
・緊急事態応急対策実施区域の拡張,縮小,緊急事態解除宣言等について国の対策本部への提言
機能グループ
総括班
広報班
運営支援班
医療班
・オフサイトセンターの
運営・管理
・協議会運営
・班間連絡・調整
・国本部,県・市町村本部等
との連絡・調整
・報道機関への対応
・国本部,県・市町村本部等
との情報共有
・住民からの問い合わせ等
への対応
・オフサイトセンターの環境
整備
・各種通信回線の確保
・参集者の食料等の確保
・被災者の医療活動の調整
スクリ一二ング,除染、
緊急被ばく医療に関する
情報収集
・緊急被ばく医療に係る基準
の策定、実施に係る調査
放射線班
・モニタリングデータ等の
収集・分析,国本部等への
情報共有
・除染等に関する企画立案
プラントチーム
・事故情報の把握および
進展予測
・プラントの状況に関する
情報提供
実動対処班
・実動省庁又は官邸実動対
処班等との連絡・調整
住民安全班
・避難指示,区域設定・
管理に係る調整
・住民避難状況に係る
情報収集
・輸送に係る調整
33
本県では,平成 14 年3月,ひたちなか市西十三奉行地区に「茨城県原子力オフサイトセンター」
が整備され,平成 26 年度に放射性物質の拡散事故時等においてもオフサイトセンターが機能でき
るよう建屋等の改修を行いました。
平常時には,原子力緊急時に県原子力オフサイトセンターに参集する要員の応急対策活動の体得,
第
1
章
対応能力の向上を目的とした研修などが行われています。
また,一般の方の見学を随時受け入れています。
なお,県原子力オフサイトセンターには原子力規制委員会の東海・大洗原子力規制事務所(分室)
及び茨城地方放射線モニタリング対策官事務所が設置されています。
○ 施設概要
・住 所:茨城県ひたちなか市西十三奉行 11601-12
・建 屋 構 造:鉄筋コンクリート造2階建
・延べ床面積:2,369.66㎡(1階 1168.38㎡,2階 1146.54㎡,その他 54.74㎡)
・敷 地 面 積:8,025.50㎡
・整 備 費: 約 16 億円(当初)
原子力緊急時支援・研修センター
茨城県原子力オフサイトセンター
茨城県環境放射線監視センター
34
第5節 原 子 力 広 報
昭和 31 年,東海村に日本原子力研究所の立地が決定して以来,県は,国,市町村及び原子力関係
諸団体と連携のうえ,原子力に関する知識等の普及に積極的に取り組んでいます。
第
第
1
1
章
章
1 県が行う原子力広報事業の概要
(1)原子力広報事業
県民に原子力の正しい知識を理解いただくことを目的として,原子力に関する様々な知識や情報を
掲載した小冊子「原子力ハンドブック」の発行や新聞・ラジオによる広報を行っています。
(2)児童・生徒を対象とした原子力の基礎知識普及事業
小・中学生及び高校生に原子力に関する冊子「原子力とエネルギーブック」を配布し,学校教育
で活用することにより,児童,生徒に原子力の基礎知識の普及事業を進めています。
また,児童・生徒への原子力知識の普及促進を図ることを目的として,原子力教員セミナーや学
校への原子力専門家派遣事業を実施しています。
原子力ハンドブック及び
原子力教員セミナー
小・中・高校生のための「原子力とエネルギーブック」
(3)原子力防災対策の普及・啓発
原子力防災に関する知識を普及するため,原子力防災対策の拠点であるオフサイトセンター施設
見学などを実施しています。
オフサイトセンター施設見学
35
2 原子力事業者等の原子力展示館の概要
(1)原子力科学館( 公益社団法人茨城原子力協議会)
公益社団法人茨城原子力協議会が運営する,原子力に関する総合博物 館です。この協議会は,
第
1
章
34 年に設立された茨城原子力開発協議会を前身とする団体で,昭和 54 年に社団法人として設
立され,平成 25 年に公益社団法人の認定を受けた本県で唯一の原子力広報を行う公益法人です。
施設は,原子と原子力の基礎 , 原子力と放射線の利用などについて映像や世界最大級の霧箱等体験
装置,パネルなどを中心として展示している「本館」と,地域住民との交流を促進するため,研修や
集会等に利用できる多目的な機能を有する「別館」からなっています。
この展示館は,昭和 52 年に財団法人(現:一般財団法人)日本原子力文化振興財団により建設
されたもので,昭和54年に協議会が譲り受け ,その後,平成8年に施設を改修するとともに施設名
称を「原子力科学館」(旧名称:茨城原子力センター)に改称しています。
原子力科学館では,平成 20 ∼ 21 年度にかけて館内展示物を更新し,平成22年4月1日に全館
リニューアルオープンしました。また、平成 25 年度には本館の耐震補強工事を行いました。
なお,原子力科学館と東海テラパーク,原子力機構構内等を巡回する見学バス(無料)が運行さ
れています。
原子力科学館外観
世界最大級の霧箱
アトミック・ロードマップ
原子力巡回見学バス(平成27年度末まで)
【来館者数】
平成 19 年度 35,259 人 平成 20 年度 30,498 人 平成 21 年度 40,412 人
平成 22 年度 33,304 人 平成 23 年度 18,081 人 平成 24 年度 15,763 人
平成 25 年度 11,721 人
平成 26 年度 14,932 人
36
(注)H25.10.1∼H26.3.31 耐震補強工事のため「本館」は休館
(2)東海テラパーク(原電)
原子力発電について広報するために昭和 39 年に開館し,その後平成5年にリニューアルオープ
ンしました。建物は,120 名収容可能の集会室が 2 室,原子力シアター,原子力展示ホール,展望
第
第
1
1
章
章
台,情報公開コーナー,ふれあいコーナー,ギャラリー等があり,来館者に広く利用されています。
展示ホールには原子力発電についての分かりやすい模型やパネルが展示され,シアターでは原子
力発電のしくみについての映像を見ることができます。
東海テラパーク外観 原子力シアター
【来館者数】
平成 19 年度 55,659 人 平成 20 年度 53,602 人 平成 21 年度 55,626 人
平成 22 年度 53,440 人 平成 23 年度 29,910 人 平成 24 年度 34,254人
平成 25 年度 33,120 平
人
成 26 年度 36,265 人
(3)大洗わくわく科学館(機構大洗) 次世代を担う青少年を対象に,自然科学に触れることにより,原子力を含めたエネルギー分野に
係る科学技術に興味を持ってもらうことなどを目的とし,機構大洗が運営しています。
海をテーマにした科学関係の体験型展示物の展示,海やエネルギー関連映画の上映のほか,学校
等教育機関とも連携した科学実験教室や週末の工作教室,更には科学館特別イベント(科学技術週
間,ハロウィン等)等を行っています。
大洗わくわく科学館外観 海底の世界
【来館者数】
平成 19 年度 100,168 人 平成 20 年度 109,363 人 平成 21 年度 109,493 人
平成 22 年度 100,161 人 平成 23 年度
平成 25 年度 51,114 人
平成 26 年度
54,835 人 平成 24 年度 61,247 人
50,951 人
37
第6節 原
第6節 原子力関連施策(科学技術関連)
東海・那珂・大洗地区においては,大強度陽子加速器施設(J−PARC)などを活用した基
礎的な研究や技術開発に加え,安全な原子力利用を支える研究開発を行っています。
第
1
章
また,つくば国際戦略総合特区では,中性子を活用した最先端のがん治療法であるホウ素中性
子捕捉療法(BNCT)の開発・実用化に取り組んでいます。
1 茨城県中性子ビームラインの産業利用推進
県では,中性子の産業利用を促進するため,東海村の「大強度陽子加速器施設(J−PAR
※1
C)」の物質・生命科学実験施設(MLF)内に2本の中性子ビームラインを運用しています。
※2
また,利用者の利便性向上のため,いばらき量子ビーム研究センター(IQBRC)にワンストップ
の利用窓口を設置するとともに,技術相談等に対応する産業利用コーディネーターを配置してい
ます。
※1 資料編 資料1−2県内の原子力施設の概要 大強度陽子加速器施設(J−PARC)参照
※2 J−PARCの産業利用のため,企業のさまざまな相談や技術開発などをサポートする1号棟と,最先端
のがん治療法(BNCT)の実用化推進を図る2号棟(いばらき中性子医療研究センター)を設置
○中性子ビームラインの種類
■材料構造解析装置(iMATERIA)
リチウムイオン電池や金属,タイヤ,燃料電池の材料
などの構造を測定解析する産業利用に特化した実験装置
です。
(主な利用分野 )
・リチウムイオン電池の材料開発での利用が,産業利用
の 52.8%(平成 20 ∼ 26 年度)を占めています。
■生命物質構造解析装置(iBIX)
タンパク質の構造や化学反応に関与する水素や水分子
を高い精度で解析する世界トップレベルの実験装置です。
(主な利用成果)
・アルツハイマー病に代表されるアミロイド病を引き
起こすタンパク質の変異メカニズムの解明
・燃料電池の低コスト化に繋がる触媒の活性化機能の解明
・光合成色素を合成する酵素反応の瞬間を世界で初めて
「水素原子レベル」で解明
・バイオマスとしての利用が期待されるセルロースを加
水分解する酵素(セルラーゼ)の水素原子を含む詳細
な構造を世界で初めて解明
38
○供用開始:平成20年12月
○実験課題の申請・採択状況(平成20∼26年度)
・申請件数:477件
第
第
1
1
章
章
・採択件数:446件(うち産業利用課題:256件《57.4%》)
2 次世代がん治療(BNCT)の開発実用化
つくば国際戦略総合特区における先導的プロジェクトの1つとして,日本人の死亡原因第1位
のがんに対し,中性子を用いてがん細胞だけをピンポイントで破壊する「切らない,痛くない,
副作用が少ない」次世代がん治療(BNCT)の実用化を推進しています。
中性子の医療応用を推進するために,県が整備した「いばらき中性子医療研究センター」にお
いて,病院に設置可能な小型加速器等の開発を行うとともに,臨床研究等に取り組むことにより
早期の実用化を図り,国内外への展開を目指します。
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39
3 県内中性子利用連絡協議会
県内中小企業によるJ−PARCの利用促進を目的に平成20年7月に設立されました。県内中小
企業における中性子ビームラインの利用促進とJ−PARC周辺機器開発への参入支援を目的に,
協議会会員に向けたJ−PARC関連情報及び利用成果等の発信,周辺機器開発にかかる入札情
第
1
章
報の提供などを行っています。
(県内中性子利用連絡協議会の活動内容)
・会報等での情報発信や利用相談による中性子利用促進
・中性子技術講演会,成果報告会,技術展示会等の実施
・J−PARC周辺機器等への参入促進
40
第7節 電
第7節 電源三法等の概要
1 電源三法交付金
(1) 電源三法の目的
第
第
1
1
章
章
電気の安定供給を確保するためには,電源立地を計画的に進めていく必要があります。しかしなが
ら,原子力をはじめとする発電所の立地は,地元の調整の遅れ等により,ますます長期化する傾向を
強めています。
このような状況に対処するため,国では昭和 49 年にいわゆる電源三法交付金を制度化しました。
これは,①電力会社から税金(電源開発促進税)を徴収する「電源開発促進税法」,②これを歳入と
する特別会計を設ける「電源開発促進対策特別会計法」,③この特別会計から発電用施設周辺地域に
おいて公共用施設を整備する交付金を地方公共団体等に交付する「発電用施設周辺地域整備法」から
なっていました。このうち,②については,平成 18 年度の特別会計の改革において,他の特別会計
とともに「特別会計に関する法律」に一本化されています。
これらをもとに交付される各種交付金,補助金等により,立地地域住民の福祉の向上や電源立地の
円滑化が図られています。
法 律 名
内 容
原子力,水力,地熱といった発電用施設などの設置の促進や
運転の円滑化を図ること,これらの発電用施設の利用を促進す
るとともに安全の確保を図ること,これらの発電用施設による
電源開発促進税法
(昭和 49 年法律第 79 号)
電気の供給の円滑化を図ることなどを目的としています。
一般電気事業者に対して販売電気 1,000kWh につき 375 円
(ただし,平成 17 年3月末までは 425 円,平成 19 年3月末
までは 400 円)の電源開発促進税を課することを規定してい
ます。
電源開発促進税が,原子力発電所の立地促進等の電源開発に
要する費用に充てるために課せられている税であることを踏ま
特別会計に関する法律
(平成 19 年法律第 23 号)
えつつ,原子力の立地・更新等が進展すること等により財政需
要が生ずるまでの間,財政資金の効率的な活用を図るために,
一般会計から必要額を特別会計に組み入れる仕組みとなってい
ます。
発電用施設の周辺地域において,公共施設の整備などによる
住民の生活の利便性向上や産業の振興を促進することにより,
発電用施設の設置やその後の運転を円滑にすることを目的とし
発電用施設周辺地域整備法
(昭和 49 年法律第 78 号)
ています。
一定の規模・要件に該当する原子力・水力・地熱発電用施設
などの所在市町村及び周辺市町村を対象に都道府県が整備計画
や事業計画を作成し,それに基づいて電源立地地域対策交付金
が交付されます。
41
(2) 電源三法制度の主な交付金
① 電源立地地域対策交付金
発電用施設が所在する県,所在市町村,周辺市町村において,公共用施設の整備のほか,産業の
第
1
章
振興,地域福祉の向上,地域活性化のための事業に充てるための交付金で,所在・周辺市町村にお
ける理解促進等を図ることを目的としています。
発電用施設の種類や設備能力,発電量などに応じて,県が作成し国の同意を受けた公共用施設整
備計画や利便性向上等事業計画に基づき交付されます。
② 電源立地等推進対策交付金
発電用施設が所在する県,所在市町村及び周辺市町村に対して,発電用施設の利用促進及び安全
確保並びに電気供給の円滑化を図る事業に充てる交付金で,県では放射線有効利用及び原子力試験
研究事業,原子力発電に対する知識の普及事業,原子力エネルギー教育に関する支援事業,科学技
術振興のための機器整備及び調査研究事業,市町村等の産業育成事業並びに対象地域の企業等に対
する電気料金割引措置を行っております。
③ 原子力施設等防災対策等交付金
原子力発電用施設が所在する県に対して,原子力発電施設等の事故に備えた防災体制の強化及
び原子力施設周辺における環境放射線の監視等に充てる交付金で,県では放射線監視に係る運営
等及び原子力事故時の防災体制の整備,充実強化等に係る業務を行っております。
42
電源多様化
対策に要す
る経費及び
附帯事務等
に要する費
用
電源開発促進税
(1,000kWhあたり375円)
販売電力量への課税
電源開発促進税法関係
放射線利用・原子
力基盤技術試験
研究推進交付金
リサイクル研究
開発促進交付金
電源地域振興促
進事業費補助金
原子力発電施設等周
辺地域企業立地支援
事業費補助金
原子力・エネル
ギー教育支援事業
交付金
高速増殖炉サイ
クル技術研究開
発推進交付金
原子力発電施設
立地地域共生交
付金
核燃料サイクル
交付金
原子力発電施設
等立地地域
特別交付金
交付金事務等
交付金
特別電源所在県
科学技術振興事
業補助金
原子力発電施設
等緊急時安全対
策交付金
広報・調査等
交付金
電源立地等
推進対策交付金
電源地域産業育
成支援補助金
(法人事業)
電源立地等
推進対策補助金
発電用施設の設置の
円滑化に資するため
の財政上の措置
電源立地対策
放射線監視等
交付金
原子力施設等
防災対策交付金
一般会計
エネルギー対策特別会計
(電源開発促進勘定)
特別会計に関する法律関係
Ⅴ 電源三法交付金制度の概要(図解) (平成27年 月1日現在)
電源地域産業育
成支援補助金
(県事業・市町村
事業)
原子力発電施設
等立地地域長期
発展対策交付金
相当分
水力発電施設周
辺地域交付金
相当分
電源立地特別交
付金相当分
(電力移出県等
交付金枠)
(原子力発電施設
等周辺地域
交付金枠)
電源立地等初期
対策交付金相当
分
核燃料サイクル
施設交付金相当分
電源立地促進対
策交付金相当分
電源立地地域対策交付金
発電用施設周辺地域整備法第7条(第
10条の準用規定を含む)の規定に基づ
く交付金の交付
国による
財政金融上
の援助
国による
普通財産
の譲渡
(交付)
国
知事
国
利便性向上
等事業計画
①企 業 の 育 成 及
び発展並びにそ
の経営の向上を
図る事業
②教 育,ス ポ ー
ツ及び文化の振
興に関する事業
③福 祉 の 増 進 及
び医療の保全に
関する事業
④環 境 の 保 全 に
関する事業
⑤情 報 通 信 の 高
度化に関する事
業
⑥そ の 他 生 活 環
境整備に関する
事業
公共用施設
整備計画
道路,港湾,漁港,
都市公園,水道,
通信施設,スポー
ツ又はレクリ
エーションに関
す る 施 設,環 境
衛 生 施 設,教 育
文 化 施 設,医 療
施設,社会福祉,
消防に関する施
設,国 土 保 全 施
設,道 路 交 通 の
安全に関する施
設,熱供給施設,
産業の振興に寄
与する施設
整備計画に基づく
事業の実施
計画の同意
整備計画の作成
・公共用施設整備計画
・利便性向上等事業計画
地点の指定
発電用施設周辺地域整備法関係
市町
村長
電力会社の協力
地方公共団体の負担
中小企業信用保険
の特例
整備計画に
関する意見
第
第
1
1
章
章
43
2 核燃料等取扱税
核燃料等取扱税は,原子力施設の立地に伴い生じる安全対策などの財政需要に対応するため,原子
炉設置者や再処理事業者等の原子力事業者を納税義務者として,平成11年4月1日に法定外普通税
第
1
章
として創設したものです。
その後,適用期間ごとに税率や課税客体等の見直しを行っており,直近では平成26年3月31日に,
原子炉施設について税率を13パーセントから17パーセント相当に引き上げるとともに,税率の半分
相当について原子炉の熱出力に応じて課税する方式を導入することに加え,再処理施設における使用
済燃料の保管及び原子力事業者におけるプルトニウムの保管を新たな課税客体に加える等,安定的財
源の確保の観点から見直しを行い,更に5年間(平成26年4月1日∼平成31年3月31日)課税する
こととしました。
◆ 納める人(納税義務者)と納める額(課税標準×税率)
課税客体
納税義務者
①原子炉の設置
課税標準
税率
熱出力
30,500円/千kw/四半期
挿入された核燃料の価額
8.5%
使用済燃料に係るウランの重量
60,100円/キログラム
使用済燃料に係るウランの重量
1,500円/キログラム
高放射性廃液の数量
1,594,000円/立方メートル
⑥ガラス固化体の保管
ガラス固化体に係る容器の数量
1,219,000円/本
⑦プルトニウムの保管
プルトニウムの重量
5,100/キログラム
原子炉設置者
②核燃料の挿入
③使用済燃料の受入れ
④使用済燃料の保管
⑤高放射性廃液の保管
再処理事業者
⑧放射性廃棄物の発生 原子力事業者
⑨放射性廃棄物の保管
放射性廃棄物に係る容器の容量
106,000円/立方メートル
5,100円/立方メートル
※④,⑤,⑥,⑦,⑨については,保管開始時期により,旧税率を適用する等の経過措置があります。
◆ 納税義務者
11法人
◆ 税収
(単位:億円)
年度
平成 21
平成 22
平成 23
平成 24
平成 25
平成 26
平成 27
税収
6.0
11.6
6.1
6.0
6.1
9.5
12.5
(注) 平成 27 年度:当初予算
44
◆ 税収の使途(原子力施設の立地に伴う財政需要)
平成26年度以降5年間の原子力施設の立地に伴う財政需要の総額(県費分のみ)は,約213億円
を,また,同期間の税収は,約88億円をそれぞれ見込んでいます。
第
第
1
1
章
章
税収は,原子力施設の立地に伴う財政需要に対応していくための財源として有効に活用しています。
〔財政需要の主な内容〕
1 原子力安全対策費
・原子力安全行政に従事する職員の人件費
・環境放射線の常時監視,放射性物質の調査
・核燃料物質等の輸送に係る警備 等
2 民生安定対策費
・緊急時における避難用道路の整備
・河川の護岸工事
・港湾の改修,臨港道路の整備 等
3 生業安定対策費
・漁港の護岸整備 4 市町村事業費
・市町村における原子力施設の立地に伴う経費等の一部補助
45
第2章
平成26年度に講じた施策及び
平成27年度の執行方針
第 2 章 平成 26 年度に講じた施策及び
平成 27 年度の執行方針
第1節 平成 26 年度に講じた施策
1 原子力施設等の安全確保
(1) 原子力安全協定の運用
原子力安全協定に基づき,協定を締結している事業所から随時報告を受けるとともに,立入調査な
どを通じて安全を確認しています。平成 26 年度における協定の運用結果は以下のとおりです。
◆ 協定運用等
(単位:件)
新増設等に対する事前了解
1
新増設等計画書
3
新増設等計画書の変更
2
廃止措置計画の同意
0
廃止措置計画書
2
廃止措置計画書の変更
0
年間主要事業計画書
第
2
章
54
四半期報告(運転状況報告等,核燃料輸送物等輸送
状況報告,教育訓練実施状況報告)
232
9
核燃料物質輸送計画書
安全管理規定関係報告書
28
新増設等工事完了報告書
4
原子力施設の変更に関する報告書
11
定期検査計画(結果報告)書
12
140
広報等に関する報告書
原子力施設の定期的評価に関する報告書
0
原子力施設の廃止に関する報告書
0
事故・故障等発生報告書(発生件数)
6
その他安全に係る情報(必要な事項)報告書
1
合 計
◆ 立入調査
505
(単位:延べ事業所数)
事故・故障等に係る立入調査
10
平常時立入調査(計画に基づくもの)
18
平常時立入調査(新増設・廃止措置等)
通報連絡訓練
2
18
合 計
48
49
協定の運用のうち,「新増設等に対する事前了解」及び平成26年度に発生した原子力施設におけ
る事故・故障の詳細については,以下のとおりです。
◆ 新増設等に対する事前了解(計 1 件)
事業所名,了解日
機構原科研
平成26年10月15日
第
2
章
施 設 名
内 容
大強度陽子加速器施設
放射線発生装置のうち主要な放射線発生装置
物質・生命科学実験施設
の増設
◆ 平成 26 年度に発生した原子力施設における事故・故障一覧(計6件)
No. 事業所名
発生年月日
環境への
人の
影響あり 被ばくあり
1
機構原科研
平成26年7月12日
原子力コード特研建屋屋外の仮設
発電機における火災について
−
−
2
機構大洗
平成26年7月29日
固体廃棄物前処理施設(WDF)の
パッケージエアコンの火災について
−
−
3
機構大洗
材料試験炉(JMTR)第3排水系貯槽
平成26年9月11日 (Ⅱ)建屋内での放射性物質の漏えい
について
−
−
4
機構那珂
平成26年9月16日
第1工学試験棟大実験室における
遮断機の火災について
−
−
東海第二発電所廃棄物処理建屋3階
送風機室(B)における火災の発生に
ついて
−
−
−
−
原電
5 東海第二発電所 平成26年12月19日
6
50
事故・故障の名称
機構原科研
J−PARC物質・生命科学実験施設
第2実験ホールにおける火災に
平成27年1月16日 (MLF)
ついて
事業所名
機構原科研
事象の名称
原子力コード特研建屋屋外の仮設発電機における火災について
発生日時
平成 26 年 7 月 12日(土)7時 55 分頃
事象の概要
原子力科学研究所では,7 月 12 日∼13 日の予定で特別高圧及び高圧受
変電設備定期点検が実施され,これに伴い所内全域が停電になることが計
画されていた。
停電中,運用しているネットワーク機器,計算機を継続して
利用可能とするため,ネットワーク機器・計算機用と空調機用にそれぞれ
仮設発電機を用意し,運転する作業を業者に発注し,実施させていた。仮設
発電機は,前日(7 月 11 日)に原子力コード特研建屋の屋外に設置し,30
分ほど試運転を実施し正常に作動することを確認した。停電当日の7月12
日 7 時 25 分に発電機を始動したところ,約 30 分後の 7 時 55 分頃に,空
調機用に用意した当該仮設発電機から発煙・発火が確認されたため,消火
器を用いて初期消火を実施するとともに,8 時 00 分に所内非常用電話で
通報,8 時 03 分に 119 番通報した。
8 時 20 分,ひたちなか・東海広域消
防本部(以下「公設消防」という)の消防車が入構し,現場確認の結果,8 時
23 分,公設消防により火災と判断され,同時に鎮火が確認された。
本火災に
よる焼損箇所は,当該仮設発電機のラジエータ下部に位置するドレンホー
スである。
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
マフラー内に残留・蓄積した未燃焼燃料の付着したカーボンが,エンジ
ンより排出される高温ガスにより加熱燃焼し,マフラー底面の水抜き穴か
ら排出され,マフラー下の床面に堆積していたカーボン等に引火して火種
となり,
ドレンホースに飛び火し,
ドレンホースが焼損したと考えられる。
再発防止策
工事等により仮設発電機を使用する際には,以下の対策を含む仮設発電
機の発火防止対策が受注者により実施されているものを使用させる。
1)
マフラーに面する床に引火物となるカーボンや枯葉等がないこと。
2)
ドレンホースがラジエータに確実に接続され,またドレンホースがマ
フラーから離れていること。
3)
定期的に負荷試験を実施して排気温度を上昇させ,排気管内部等のカ
ーボンの燃焼除去を行うこと。
4)
定期的にマフラー内のカーボンの蓄積状況の点検を行うこと。
県の対応
平成26年9月18日,原子力機構に対し厳重注意文書を交付
第
2
章
51
第
2
章
火災が発生した仮設発電機
52
事業所名
機構大洗
事象の名称
固体廃棄物前処理施設(WDF)のパッケージエアコンの火災について
発生日時
平成 26 年 7 月 29日(火)12時 07分頃
事象の概要
平成 26 年 7 月 29 日(火)12 時 02 分頃,固体廃棄物前処理施設(以下,
「WDF」という。
)において火災警報が発報した。
12 時 07 分頃,WDF 従業
員が現場を確認したところ,WDF の 3 階の給気機械室(非管理区域)にあ
る居室冷房用パッケージエアコン(AC-4)
(以下,
「パッケージエアコン」と
いう。
)
から発煙を確認し,直ちに
「119」
通報するとともに,初期消火活動を
実施した。12 時 21 分に大洗町消防本部が現場に到着し,12 時 23 分に鎮
火が確認された。
大洗町消防本部の現場確認の結果,
火災と判断された。
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
第
2
章
火災の原因は,パッケージエアコンのパネル内の電磁接触器に銅端子板
を固定している 3 本のビスの内,緩んでいた左側のビス 1 本がパッケージ
エアコンの運転に伴う振動によりさらに緩んで外れ落ち,その状態で引き
続き銅端子板に振動が加わったことから,銅端子板のビスが外れた一端と
電磁接触器の端子台が接触したり,離れたりし,接触した際に過大な電流が
銅端子板及び電磁接触器に流れて発熱したことによるものである。
再発防止策
自主点検時におけるビスの緩みの見落としを防ぐため,ビスの緩みの点
検を自主検査要領に正式な点検項目として追加するとともに,全てのビス
の緩みについて点検を行ったかどうかを確認するためのチェックリストを
作成し,
これに基づき点検を行うこととした。
県の対応
・平成26年7月29日,関係市町村と立入調査を実施
・平成26年9月18日,原子力機構に対し厳重注意文書を交付
53
第
2
章
パッケージエアコンの焼損状況
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電磁接触器と銅端子板の状況
54
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事業所名
機構大洗
事象の名称
材料試験炉(JMTR)第3排水系貯槽(Ⅱ)建屋内での放射性物質の漏えい
について
発生日時
平成 26 年 9 月 11日(木)14時 40分頃
事象の概要
平成 26 年 9 月 11 日 10 時 20 分頃,JMTR 第 3 排水系貯槽(Ⅱ)建屋 1
階において,パトロール中に水たまりを発見し,サンプリングを行い,測
定・分析の結果,14 時 40 分頃,汚染があることを確認した。
含まれている
放射性物質の濃度は,ゲルマニウム半導体検出器で測定した結果,60Co につ
いては 0.055Bq/cm3であった。その他の放射性核種については,検出下限
値未満であった。
15 時 35 分,第 3 排水系貯槽
(Ⅱ)建屋における水たまりの拡大がないこ
とを確認した。
一方,3H については,サンプリング試料を液体シンチレー
ションカウンタで測定した結果,
45Bq/cm3であった。
水たまりは計 6 箇所,その面積から概算で総水量は多く見積もっても約
66 リットル程度と推定していたが,その後行った拭き取り作業で拭き取っ
たタオルに浸み込んだ水の量を計量した結果,
約 26 リットルであった。
水たまりの拭取作業は 18 時 43 分に開始し,
21 時 40 分に終了した。
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
第
2
章
プールカナル循環系統から第 3 排水系貯槽(Ⅱ)への経路にある弁
(V25-49)
が緩み,それに気付くことができなかったため,プールカナル循
環系統の運転に伴って廃樹脂貯槽に排水が流入し,水位が長期間に緩やか
に上昇した。
貯槽の水位計の警報等の発報があったものの,C トレンチ内の
配管による送水ができなかったことから,監視による管理を行っていた。貯
槽は満水状態となっていたが,水位計の点検校正が適切でなかったため,満
水状態を認識できないまま,点検孔から非管理区域に漏れたものと推定し
た。
今回の事象発生の直接原因は,プールカナル循環系統から第 3 排水系貯
槽(Ⅱ)への経路にある弁の締切り性の低下,貯槽の水位計の管理の不備及
び警報装置が作動した際の措置の不備である。
また,組織要因として,原因調査が不十分なまま,警報が継続した状態で
運転管理が行われたこととともに,部長に報告されなかったことなど,施設
管理におけるコミュニケーションが十分ではなかった。
さらに背景要因として,
Cトレンチ内及びタンクヤード内の配管の漏え
い事象により送水できない状態が長期にわたって継続するなど,通常と異
なる運転管理の状況となっていたことが挙げられる。
55
第
2
章
再発防止策
再発防止策としては,
以下の項目等において是正措置計画を策定し,
処置を行っている。
○他系統からの水の流入防止策
・関係する弁の開閉状態の確認
・該当する弁の二重による閉止
・水位計の長期トレンドデータの確認
○警報作動時の措置,
・警報作動時の連絡及び措置の徹底
・発生原因に係る究明体制の確立
・教育と運転手引の見直し
○施設の保全計画を見直し,
長期保全の観点から段階的な見直し
○大洗研究開発センター全体において
・組織内における情報共有と報告の改善
・不適合管理の仕組みの改善
県の対応
・平成26年9月11日,同年10月28日,同年11月7日,関係市町村と立入調査
を実施
・平成26年9月18日,原子力機構に対し厳重注意文書を交付
建屋外観
建屋内の水たまり箇所
水が溢れ出たと推定される点検孔
56
第
2
章
第3排水系貯槽(Ⅱ)建屋1階概略図(平面図)
プールカナル循環系統から第3排水系貯槽(Ⅱ)への概略図
57
第
2
章
事業所名
機構那珂
事象の名称
第1工学試験棟大実験室における遮断器の火災について
発生日時
平成 26 年 9 月 16日(火)17時 05分頃
事象の概要
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
再発防止策
県の対応
58
9 月 16 日 9 時 30 分頃より,当該遮断器を含む電源システムの動作点検
を実施していた。
・17 時 05 分頃,第1工学試験棟の南シャッター付近で発煙を確認。
ただち
に那珂市消防本部へ連絡した。
・17 時 23 分 那珂市消防本部が現場に到着した。
・17 時 24 分 那珂市消防本部により,
鎮火が確認された。
・17 時 51 分 那珂市消防本部により,
火災と判断された。
・遮断器の部品の内,
①抵抗器の一部(全 4 カ所)が溶融し,
②投入コイル
(全 4 カ所)
が変色していることを確認した。
・火災報知器の発報はなく,また,那珂市消防本部及び原子力機構共に消火
活動は行っていない。
制御プログラムを構成する特定の運転モード(直流電源と遮断器を自動
運転するモード)において,制御プログラム上の不具合が見つかった。この
不具合により,遮断器は,OFF 動作が完了する前に ON 動作が始まったため
に非正規状態となり,その状態が保持された。
その結果,投入コイル・抵抗
器への通電が約 8 分間続いてしまったことが,
損傷・発煙の原因である。
以下の処置・対応を行った。
(1)
制御プログラムの不具合を修正。
(2)
万一の場合でも,投入コイルの電流を遮断するよう,制御プログラムを
改訂。
(3)
動作点検作業において,当該遮断器を動作させる場合は,作業者を配置,
あるいは,
ビデオカメラを用いて監視。
(4)
当該遮断器の動作点検作業において,一つの操作を行った際は,その操
作が正常に完了したことを表示により確認した後に次の操作に移るこ
とを,
作業者に徹底。
(5)上記(3)と(4)の変更点は,要領書並びに作業者に対する教育訓練に反
映。
・平成26年9月18日,関係市町村と立入調査を実施
・平成26年9月18日,原子力機構に対し厳重注意文書を交付
第
2
章
59
第
2
章
事業所名
原電東海第二発電所
事象の名称
廃棄物処理建屋3階送風機室(B)における火災の発生について
発生日時
平成 26 年 12月 19日(火)14時 00分頃
事象の概要
廃棄物処理建屋3階の送風機室(B)において,送風機給気加熱コイル修
繕工事の一環として溶接作業を実施していたところ,作業箇所近傍の送風
機給気フィルタより煙が発生していることを確認した。
作業員は直ちに作業を中止させるとともに,予め準備していた水噴霧器に
て発煙箇所に水を噴霧し消火活動を行った。
このため,14時19分公設消防
に通報し,公設消防の現場確認の結果,
15時06分に火災事象であるととも
に鎮火が確認された。
なお,
給気フィルタには約30cm×30cm の焦げ跡が確認されている。
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
聞き取り調査等の結果から,
「溶接時の表面処理の未実施」
によって,塗料
が炭化・落下し,
「可燃物排除の不足」
及び
「火気養生不備」
のため,可燃物で
あるフィルタに着火し火災に至った。
再発防止策
県の対応
①本事象の周知
②火気養生を定める手引書に,撤去可能な可燃物排除の徹底,養生の隙間が
発生し易いポイント及び塗膜等の不純物除去を明記する。
また,火気養生の
確認チェックシートを作成し運用する。
③火気作業に関する教育テキストに今回の事例を反映し,定期的に事例教
育を行い,
意識向上を図る。
④撤去可能な可燃物が排除されていること,火気作業開始前に養生や作業
対象物の状態を確認することを,新たな立会ポイントと定める。
また,当社
監理員に加え,発電所の防火担当などを立会わせ,改善すべき点がないかを
確認する。
・平成27年1月21日,関係市町村と立入調査を実施
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60
事業所名
機構原科研
事象の名称
J-PARC 物質・生命科学実験施設
(MLF)
第2実験ホールにおける火災について
発生日時
平成 27 年 1 月 16日(金)15時 01分頃
事象の概要
J-PARC 物質・生命科学実験施設(MLF)に設置されたミュオン実験装置
では,加速された陽子ビームから得られるミュオンを様々な実験に利用し
ている。
崩壊ミュオンライン
(D ライン)
には,二つの実験エリアにビームを
振り分けるためのセプタム電磁石を配置している。電磁石の性能向上のた
め小型のトランスを新しく製作し,既設のセプタム電磁石電源
(以下,電磁
石電源)に追加するための作業を実施していた。
平成 27 年 1 月 16 日,製
作したトランスを組み込んだ状態で初めて通電し,性能を確認する試験を
14 時 30 分頃から開始した。
電磁石電源本体のブレーカーを投入後 30 秒
ほどでブレーカーが落ち,作業員が異臭に気付き,局所的な白煙を確認した。
電磁石電源の前扉を開けたところ,15 時 01 分頃,追加したトランスから
の発火を確認した。
職員が 119 番通報するとともに,作業員が消火器によ
る初期消火を実施した。
15 時 26 分,公設消防により火災と判断され,同時
に鎮火が確認された。
本火災による焼損箇所は,電磁石電源に組み込まれた
トランスである。
周辺公衆及び従業員等
への放射線による影響
なし
負傷者
なし
原因
既設電磁石電源は 4,000A まで制御できる電源として製作,運転されて
きた。
これに新たなトランスを追加し,従来の大電流での使用に加え,200A
までの低電流での制御を可能とする改造を行っていた。組み込まれたトラ
ンスの一次側はバイパスラインに設けたスイッチにより既設部分と切り替
えて使用する設計になっていたが,トランスの二次側は電磁石電源の一次
側と連結されていた。
その結果,大電流での使用時にトランスの二次側に定
格を超える入力電圧 420V が印加され,過電流により出火に至ったと考え
られる。
受注業者の設計時の誤りと,
担当職員の確認不足があった。
再発防止策
第
2
章
「J-PARC センター安全衛生管理規定」の改定及び「J-PARC センター作業
標準実施要領」の制定により,安全作業のための実施手順を明文化した。ま
た,各ディビジョンで
「安全確認実施要領」
を制定し,複数の視点で安全を確
認するための
「ディビジョン安全確認検討会」
を設けた。
1)
機器・設備の新設や改造を計画する際には,その安全性について確認
し,リスクの高い作業を計画している場合は,
「ディビジョン安全確認
検討会」
を開催し,
安全性について審議する。
2)
発注業務においては,安全確保上の技術的要件を予め確認する必要が
ある場合に,引合先の能力を評価するため技術審査を実施する。
仕様書
では,
安全確認に必要な資料の提出を受注業者に義務付け,
受注業者と
十分に協議し安全性を確認する。
設計図等は必要に応じて「ディビジョ
ン安全確認検討会」
において安全性を確認する。
3)
作業の計画段階では,各ディビジョンの工程会議等の場においてリス
クの高い作業の有無を確認し,
リスクの高い作業の場合には
「ディビジ
ョン安全確認検討会」
で安全確認を行う。
特にリスクの高い作業等でデ
ィビジョンの安全確認だけでは不十分と判断される場合は,J-PARC セ
ンターの委員会等でより多角的,
専門的な安全確認を行う。
61
県の対応
・平成27年1月16日,同年2月9日,関係市町村と立入調査を実施
・平成27年1月27日,原子力安全対策委員会を開催し,原因調査の結果及
び再発防止策について検討
第
2
章
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62
2 環境放射線の監視
○環境放射線・放射能の測定結果
平成 26 年度の測定結果は,福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響により,事故
前の値を上回りました。
なお,これらについては,県内原子力施設からの影響でないことを確認しています。
(1) 線量評価(平成26年4月∼平成27年3月)
① 原子力施設周辺における積算線量に基づく被ばく線量の推定(福島第一原子
力発電所事故の影響による外部被ばく実効線量)
平成 26 年度における積算線量による外部被ばく実効線量は,一般の生活環境に設置している行
第
2
章
政区域 61 地点の測定結果から,0.31 ∼ 0.90 ミリシーベルト
(mSv)
であり,この値は福島第一原
子力発電所事故前から存在していた自然放射線によるものと,当該事故で放出された放射性物質
によるものとを足し合わせたものとなっています。
なお,各地点における自然放射線〔過去 5 年間(平成 17 年度∼平成 21 年度)の平均値〕によ
る外部被ばく実効線量は,0.18 ∼ 0.34mSv であるため,福島第一原子力発電所事故で放出された
放射性物質の影響による追加の外部被ばく実効線量は 0.064∼ 0.65mSvと推定されます。
区分
地点数
外部被ばくによる
実効線量
61
実測に基づく
実効線量(mSv)
0.31∼ 0.90
自然放射線による
実効線量(mSv)
福島原発事故による
実効線量(mSv)
0.18 ∼ 0.34
0.064∼ 0.65
なお,上記の外部被ばく実効線量は,測定地点に滞在し続けたと仮定した場合(24 時間 365 日)
の
※
値であり,福島第一原子力発電所事故を受けて国が用いている,1 日のうち屋外に8時間,屋内 に
16 時間滞在するという生活パターンを仮定して計算した場合,福島第一原子力発電所事故による追加
の外部被ばく実効線量は,0.038 ∼ 0.39mSv と推定されます。
また,積算線量計の設置場所において,樹木等が多く存在している場所では,積算線量が高くなる傾
向にありますが,いずれの値も線量計の設置地点における計測値であり,設置された学校等の施設全
体を代表する値ではありません。
※屋内は屋外の線量の 0.4 倍として計算
② 原子力施設の排気・排水測定結果に基づく被ばく線量の推定(県内原子力施
設からの影響による被ばく実効線量)
原子力施設の排気・排水中の放射性物質の放出量から推定した実効線量は次のとおりであり,一
般公衆の線量限度(1mSv)を大幅に下回っていることを確認しました。
区 分
排気
排水
推定結果
外部被ばくによる実効線量
0.0001mSv 以下
内部被ばくによる預託実効線量
0.0001mSv 以下
外部被ばくによる実効線量
0.0000mSv
内部被ばくによる預託実効線量
0.0057mSv 以下
63
(2) 短期的変動調査結果(平成26年4月∼平成27年3月)
① 空間ガンマ線量率測定結果
原子力施設内及び周辺 100地点において測定している各測定局の空間線量率の測定結果は次のとお
りでした。
なお,福島第一原子力発電所事故前の最高値は 80 ナノグレイ / 時(nGy/ 時)
(平成 22 年度)で
あり,事故で放出された放射性物質の影響により,多くの地点において,事故前の最大値を上回っ
ていました。
第
2
章
項 目
地点数
空間ガンマ線量率
(空間線量率測定局等)
100
測定頻度
単位
測定結果※1,※2
連続
nGy/時
36 ∼ 180(月平均値)
※1 各測定局毎に測定した月平均値の範囲
※2 福島第一原子力発電所事故の影響により,松林等が存在している場所では,空間ガンンマ線量率が高くなる。
② 環境試料中の放射能測定結果
原子力施設内及び周辺の環境試料中の放射能測定結果は次のとおりであり,福島第一原子力発電
所事故で放出された放射性物質の影響により,大気塵埃及び降下塵から
137
Cs などの放射性核種が検
出されました。
54
Mn
60
Co
90
Sr
95
Zr
95
Nb
106
Ru
134
Cs
137
Cs
144
項目
地点数
単位
Ce
大気浮遊塵
15
mBq/㎥
*
*
*
*
*
*
*∼0.63 *∼1.9
*
降下塵
3
Bq/㎡
*
*
*
*
*
*
*∼2.1 *∼7.3
*
※ *は不検出
(3) 長期的変動調査結果(平成26年4月∼平成27年3月)
① 積算線量測定結果
原子力施設周辺で測定している積算線量の測定結果は次のとおりでした。
なお,福島第一原子力発電所事故前の最高値は 0.22 ミリグレイ /6ヶ月(mGy/6ヶ月)
(平成
22 年度上期)であり,事故で放出された放射性物質の影響により,ほとんどの地点において,事故
前の最大値を上回っていました。
項目
積算線量
地点数
測定頻度
行政区域
65
敷地境界
28
敷地内
※ 各測定局毎に測定した月平均値の範囲
64
1
単位
測定結果
0.18 ∼ 0.60
年4回
mGy/6 ヶ月
0.20 ∼ 1.8
0.65 ∼ 0.74
② 環境試料中の放射能測定結果
137
原子力施設周辺の環境試料中の放射能測定結果は次のとおりでした。
Cs 及び
134
Cs については,
福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が見られました。
54
Mn
60
Co
90
Sr
95
Zr
95
Nb
106
Ru
134
Cs
137
Cs
144
項目
地点数
単位
土 壌
8
Bq/kg・乾
*
*
*
5.9∼370 20∼1000
*
河底土
1
Bq/kg・乾
*
*
*
4.4∼9.2 12 ∼28
*
海岸砂
3
Bq/kg・乾
*
*
*
*∼1.3 1.5∼4.2
*
河川水・湖沼水
7
Bq/L
*
*
*
飲料水
10
Bq/L
*
*
*
海 水
12
Bq/L
*
*
*
*
*
*
*∼0.016 0.0059
∼0.037
*
海底土
12
Bq/kg・乾
*
*
*
*
*
*
0.45∼35 0.19∼99
*
排水口近辺土砂
6
Bq/kg・乾
*
*
*
*∼0.013 0.0046
∼0.039
Ce
*
H
U
Pu※
*
*
*∼0.0069
*∼2.0
3
第
2
章
0.19∼0.51
*
※ Puについては,238Puが検出されておらず,また,過去の最大値(1.8Bq/kg・乾)より低い値であったため,事故
で放出された放射性物質の影響とは判断できないものとしました。
なお,測定結果については,以下のとおり開催した茨城県東海地区環境放射線監視委員会におい
て妥当であるとの評価を受けています。
65
平成 26 年度茨城県東海地区環境放射線監視委員会開催実績
No.
開催日及び開催結果
平成 26 年8月 20 日
○平成 25 年度環境放射線監視結果について
① 第 3 四半期(平成 25 年 10 月∼ 12 月)短期的変動調査結果
② 第 4 四半期(平成 26 年 1 月∼ 3 月)短期的変動調査結果
③ 下半期(平成 25 年 10 月∼平成 26年 3 月)長期的変動調査結果
④ 線量の推定結果(平成 25 年 4 月∼平成 26 年 3 月)
第1回
福島第一原子力発電所事故の影響により,放射性核種が検出された。
○茨城県環境放射線監視計画の一部改訂について
① 原科研第3排水溝近辺土砂の測定項目からの削除
第
2
章
② 原電沖(B海域)の海水及び海底土採取地点の変更
③ 原科研第2排水溝排水測定における主要放出核種の追加
○報告事項
① 福島第一原子力発電所事故に係る特別調査結果の概要
② 海水中のトリチウム測定結果について
平成 27 年2月 20 日
○平成 26 年度環境放射線監視結果について
① 第1四半期(平成 26 年4月∼6月)短期的変動調査結果
② 第2四半期(平成 26 年7月∼9月)短期的変動調査結果
第2回
③ 上半期(平成 26 年4月∼ 9月)長期的変動調査結果
福島第一原子力発電所事故の影響により,放射性核種が検出された。
○報告事項
① (公財)
核物質管理センターに係る監視計画について
② 福島第一原子力発電所事故に係る特別調査結果の概要について
③ 海水中のトリチウム測定結果について
平成 27 年度茨城県東海地区環境放射線監視委員会開催実績
No.
開催日及び開催結果
平成 27 年 8 月 17日
○平成 26 年度環境放射線監視結果について
① 第3四半期(平成 26 年 10 月∼ 12 月)短期的変動調査結果
② 第4四半期(平成 27 年1月∼3月)短期的変動調査結果
第1回
③ 下半期(平成 26 年 10 月∼平成 27 年3月)長期的変動調査結果
④ 線量の推定結果(平成 26 年4月∼平成 27 年3月)
福島第一原子力発電所事故の影響により,放射性核種が検出された。
○報告事項
① 福島第一原子力発電所事故に係る特別調査結果の概要について
② 海水中のトリチウム測定結果について
66
3 原子力防災
(1) 地域防災計画等の改定
○地域防災計画の改定
・緊急事態の初期対応段階を,従来の警戒事象・特定事象・原子力緊急事態に区分しま
した。
・災害対策基本法において,高齢者,障害者,乳幼児等を示す「要配慮者」という用語
が定義されたことに伴う所要の改定等を行いました。
○原子力災害に備えた茨城県広域避難計画の策定
第
2
章
・原子力災害における避難計画については,国の防災基本計画等に基づき,原子力発電
所から概ね30kmの範囲,いわゆるUPZ内の市町村が策定することになっています
が,県では,その取組を支援するため広域的な避難先,避難経路,輸送手段など基本
的事項を定めた広域避難計画を平成27年3月に策定しました。
・被ばく医療に関しては国が詳細について示していないことから,地域防災計画におけ
る緊急被ばく医療に関する部分の改定に向け,緊急被ばく医療活動マニュアル検討委
員会を設置し検討を行いました。
67
(2)原子力防災研修
県・市町村・警察・消防・その他防災関係機関の職員が,それぞれの防災業務を迅速かつ的確に行
うための知識と技術の習得を図るため,公益財団法人原子力安全技術センター等が開催した研修等に,
防災関係機関職員を派遣しています。
(単位:名)
◆ 平成 26 年度に実施・参加した研修
種別
第
2
章
研 修 名
原子力防災基礎研修
防
災
研
修
・
訓
練
火災
研修
研モ
ニ
タ
リ
ン
修グ
県
県警
4
市町村
消防
本部
その他
合計
14
8
26
災害対策要員研修
15
2
12
2
31
本部図上訓練
12
1
5
1
19
1
3
4
住民防護活動要員専門研修
訓練企画立案研修
3
モニタリング実務基礎講座
8
モニタリング実務実践講座
2
3
6
2
4
8
23
44
22
2
原子力施設における火災防護に関する研修
合計
68
参加者の所属・参加人数
6
34
41
23
8
133
(3)災害対策本部事務局設置等訓練
平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災及びそれに伴い発生した福島第一原子力発電所事故
への対応における課題や教訓を踏まえ,茨城県災害対策本部事務局員等の対応能力の向上を目的として,
防災・危機管理課と事務局員の参集訓練及び事務局設置・初動対応訓練を実施しています。
東日本大震災やそれに伴い発生した福島第一原子力発電所事故への対応における
目
的
課題や教訓を踏まえ,茨城県沖地震発生による津波災害を想定した事務局参集訓練
及び緊急時活動レベル(EAL)に基づく行動を想定した訓練を実施することにより,
事務局員等の対応能力の向上を図る。
実 施 日 時
平成 27 年 3 月 11 日
対象事業所
日本原子力発電株式会社
対 象 施 設
東海第二発電所
主
茨城県
催
参 加 機 関
茨城県,東海村ほか13市町,国(東海・大洗原子力規制事務所)
参 加 人 数
121 名
第
2
章
茨城県沖を震源とする大地震により,定期停止中の東海第二発電所は外部電源が
喪失し,EALの警戒事態に至る。また,直後の津波襲来により非常用ディーゼル発
訓 練 想 定
電機用海水ポンプが全台水没停止し全交流電源喪失となる。その後,全交流電源喪
失5分継続によりEALの施設敷地緊急事態(原災法第10条事象)に至り,さらに全
交流電源喪失30分継続によりEALの全面緊急事態(原災法第15条事象)となる。
複合災害発生時における災害対策本部事務局員の初動対応能力が確認できたほ
訓
練
の
主 な 成 果
か,EALに基づく「警戒事態,施設敷地緊急事態,全面緊急事態」による行動を確
認できた。また,テレビ会議システム,IP電話・FAX等の通信連絡手段及び原子
力オフサイトセンターにおける陽圧化設備の稼働手順を確認することで,災害対策
本部事務局員等の対応能力の向上が図られた。
69
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