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「タイ 投資ガイド」
Information Only
タイ 投資ガイド
グローバル・アドバイザリー部
Global Advisory
Department
2016年12月
本資料は、情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、一般に信頼できると思われるデー
タに基づき作成致しておりますが、その信憑性・正確性を保証するものではありません。また、本資料はお客さまの参考資料の目的でのみご利用いただき
たく、お客さま及びお客さま担当会計士・税理士・弁護士等の専門家以外の法人・個人に対して本資料の全部もしくは一部の引用、複写、転送、開示をさ
れることは、ご遠慮いただきますようお願い致します。最後のページに当資料の利用に関する留意点を掲載しています。
目次
Information Only
1. 進出手続き
1.1 外資規制
1.2 投資優遇
1.3 進出形態
1.4 会社設立の流れ
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
2. 税制
2.1 所得課税
2.2 消費課税
2.3 国際課税
・・・・・・・・・ P.17
・・・・・・・・・ P.19
・・・・・・・・・ P.20
3. 貿易・為替管理制度
3.1 輸出入規制
3.2 FTA/EPA
3.3 為替管理
・・・・・・・・・ P.21
・・・・・・・・・ P.22
・・・・・・・・・ P.23
4. 金融動向
・・・・・・・・・ P.24
5. インフラ
・・・・・・・・・ P.25
6. 労働事情
・・・・・・・・・ P.26
P. 2
P. 4
P.12
P.13
1
Copyright © 2016 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved.
1.1 進出手続き「外資規制」
Information Only
 外資比率50%以上の企業に対し、43業種への参入を禁止または規制(外国人事業法、2000年施行)(注1)。
 製造業については幅広く参入(注2)を認めているが、非製造業(サービス業)については規制あり。
外資規制(事業分野)
分野
リスト1
リスト2
リスト3
参入禁止業種
業種数
9業種
規制内容
外国人は従事できない
13業種
商務大臣が許可した場合
のみ参入可能 (注3)
21業種
商務省商業登記局長が許
可した場合のみ参入可能
国家安全保障、文化、伝
統、地場工芸、天然資源、
環境に影響を及ぼす業種
タイの競争力が不十分な
業種
規制対象となる主な業種(例)
• 漁業(タイ海域・経済水域内)
• 土地の取引 等
<国家安全保障に関わる産業(2業種)>
• 国内陸上・海上・航空運輸・国内航空事業 等
<文化物、伝統品、民芸品の販売(6業種)>
<自然及び環境に関わる産業(5業種)>
• 爆破・砕石を含む鉱業 等
• 精米・製粉
• 競売(注6)
• 漁業(養殖)
• 国内農産物の国内取引
• 植林
• 小規模小売業(注7)
• べニア板等合板製造
• 卸売業(注8)
• 石灰の製造
• 広告業
• 会計サービス
• ホテル業
• 法律サービス
• 観光業
• 建築設計
• 飲食店
• 技術サービス
• 種苗・育種
• 建設業(注4)
• その他サービス業
• 代理・仲介業(注5)
(出所)国際機関日本アセアンセンターウェブサイト、ジェトロウェブサイト
(注1)「リスト2」及び「リスト3」に該当し、商務省より別途事業許可を取得する場合は、原則として最低資本金300万バーツが必要。
(注2)製造業およびタイ国内向け販売をともなわない輸出専業については、外資規制上の許可を得る必要なく設立可能。
(注3)タイ資本40%以上、役員の最低5分の2がタイ人であることが必要条件。
(注4)外国人投資が5億バーツ以上で特殊技能を要する建設(インフラ、通信等)、その他省令で規定された建設業を除く。
(注5)証券・農産物の先物取引、金融商品売買に関するサービス、同一グループ内の生産に必要な財取引、外国人資本1億バーツ以上の国際貿易仲介、その他省令で規
定された代理・仲介業を除く。
(注6)骨董品・美術品を除く国際競売、その他省令で定める競売。
(注7)最低資本金1億バーツ未満、または1店舗当たり資本金2,000万バーツ未満。
(注8)資本金1億バーツ未満。
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1.1 進出手続き「外資規制」
Information Only
 外国人事業法により、外国企業の進出に厳格な規制あり。
 ただし、タイ投資委員会(BOI)の認可を取得する等一定の要件を満たした事業には、例外措置が適用される。
外資規制
項目
規制の概要
例外措置等
• 外資比率が50%以上の合弁会社は、一部例外を除い
て、「リスト1」(P.2)及び鉱業への参入禁止
• 製造業(工業)においては、立地にかかわらず、外国
人による株式の大多数あるいは全数の所有を認める
• 労働許可証取得のために外国人就業者1人当たり、
資本金として200万バーツと4人のタイ人の雇用が必要
• BOIの投資奨励認可を取得した企業や、タイ工業団地
公社(The Industrial Estate Authority of Thailand:
IEAT)(注)管轄の工業団地に事務所を所有している
場合は、ビザや労働許可証の取得に関する優遇あり
• BOIによる優遇措置を受ける場合、最低投資額(土地
代及び運転資金を除く)は100万バーツ
• 新たにBOIの投資奨励認可を受ける場合、登録資本
金を認可プロジェクト総投資額の25%以上とすること
が必要
• 「リスト2」及び「リスト3」(P.2)の業種に該当する場合、
原則として最低資本金300万バーツが条件
• 登録資本金比率の規制は新規プロジェクトの場合の
み適用され、追加投資の場合は個別に審査される
• 外国人(法人を含む)の土地取得は原則禁止
• BOIの投資奨励認可を取得した企業や、IEAT管轄工
業団地に立地する企業は、出資比率にかかわらず土
地取得が可能
出資比率規制
労働許可に関する
規制
資本金に関する規
制
外国企業の土地所
有に関する規制
(出所)国際機関日本アセアンセンターウェブサイト、ジェトロウェブサイト
(注)タイ工業団地公社(IEAT)は、工業団地を設立・運営する公社。
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1.2 進出手続き「投資優遇-概要」
Information Only
 主な優遇措置は、投資奨励法に基づきタイ投資委員会(BOI)によって与えられる。
 2015年1月、BOIは新たな優遇措置を施行。国内産業の競争力を強化し、「中進国の罠」からの脱却及び持続的成長の
実現を目指すべく、旧来の優遇措置を抜本的に見直した。
 このほか、タイ工業団地公社(IEAT)による優遇措置等がある。
BOIによる新優遇措置
概要
区分
「 「業種」に係る
」に係る
優遇措置
優遇措置
「 「機能」に係る
」に係る
優遇措置
優遇措置
旧優遇措置からの主な変更点
• 国内産業の高度化や雇用促進に資する特定 • 「ゾーン制」(注)を廃止
業種への投資に対して、法人税等の税務恩 • 対象業種を絞り込み、より高付加価値な業種により厚い恩
典や土地所有等の非税務恩典を付与
典を付与する方針に転換
• 競争力の向上等に資する事業にはさらに追加恩典を付与
する「メリットベース」を導入
• 地域統括機能を担う拠点への投資に対して、 • 旧優遇措置における地域統括本部事業(Regional
法人税免除等の税務恩典や土地所有等の
Operating Headquaters: ROH)の認定要件を大幅に緩和し
非税務恩典を付与
た国際統括本部(International Headquaters: IHQ)を新設
• クラスター形成に資する特定産業への投資
に対して、税務恩典を付与
「クラスター」に
「
」に
• 2015年11月には、次世代産業のクラスターに
係る優遇措置
係る優遇措置
対する時限的な優遇措置を導入
―
(従来の優遇措置には該当する制度なし)
詳細頁
P.6-7
P.8
P.9-10
その他の優遇措置
区分
概要
詳細頁
IEATが造成・運営する工業団地への入居企業に対して、土地の所有権や外国人技能者・専門家等の雇用・居住
IEATによる優遇
P.11
権等を認可
フリーゾーンにお フリーゾーンに指定された工業団地等において、地域内で輸出入される物品に対する関税・付加価値税を免除
P.11
ける優遇措置
(出所)タイ投資委員会(BOI)ウェブサイト、ジェトロウェブサイト
(注)国内を3つのゾーンに分け、地方への投資により厚い恩典を付与する制度。地方経済の振興を目的として導入され、タイの投資政策を象徴する制度として知られた。
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1.2 進出手続き「投資優遇- 認定基準」
Information Only
 BOIの投資優遇措置を受けるには以下の基準を満たすことが必要。
 タイ経済の持続的発展に資する高度な設備の使用、高付加価値または環境に配慮した事業が求められる。
BOI投資認定の基準
政策方針
競争力の促進
環境に対する配慮
最低資本
具体的な基準
• 収入の20%以上の付加価値(注1)があること(農業・農産品、電子製品・部品、コイルセンターの3分野に関し
ては10%以上)
• 近代的な製造工程を有すること
• 1,000万バーツ以上の投資では、2年以内にISO9000やISO14000に相当する国際認証を取得しなかった場合、
法人税の恩典期間は1年短縮される
• 新しい機械を使用すること。ただし、一定の要件を満たせば、輸入中古機械を使用することも可能
• 環境保護、環境への影響低減の措置及び計画を持つこと
• プロジェクト内容または関連事業により環境影響評価が必要とされる場合は、環境法または関連内閣決議に
従うこと
• ラヨン県に立地するプロジェクトは投資委員会事務局布告 第Por1.1/2554「ラヨン県における産業促進方針」
(2011年5月2日付)に従うこと
• 最低資本投資は100万バーツ(土地代及び運転資金を除く)(注2)
• 新規プロジェクトの申請時に、借入金は資本金の3倍を超えてはならない。追加投資の場合は個別審査となる
• 7.5億バーツ以上の投資は、プロジェクトの実行可能性調査(F/S)の報告書を提出しなくてはならない
(出所)タイ投資委員会(BOI) 「タイ国投資委員会ガイド2016」、BOIウェブサイト「プロジェクト認可基準」
(注1)付加価値=収入―原材料費―水道光熱費。
(注2)ナレッジベースのサービス業(電子設計、ソフトウェア、研究開発等)については、専門職従業員の給与が年間150万バーツ以上。
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1.2 進出手続き「投資優遇-① 業種(1)」
Information Only
 奨励対象分野(注)における業種ごとに、重要度に応じてA1~B2の6グループに分類し、より重要度が高いグループに
より厚い恩典を付与。
奨励対象業種に対する優遇措置
奨励対象業種
恩典
区分
A1
A2
A3
A4
B1
B2
優遇措置
税務面
概要
具体例
法人税
の免除
• 国の長期的な競争力向上の観点から • 研究開発事業
重要とされるナレッジベースの業種
• バイオテクノロジー事業
• ソフトウェア工業団地
• 高度な技術を使用し、極めて複雑な製 •
造工程を伴う資本集約型の業種
• 国の発展に重要なインフラ、基幹産業、•
環境保護に資する産業
•
• すでにタイに存在しているが、国の発 •
展に引き続き重要なハイテク産業
•
•
再生可能エネルギーに
よる電力事業
鉄道貨物・海運輸送
ハイテク医療用機器製造
食品の製造・加工
オートバイの製造
国際物流センター
• 産業サプライチェーンを強化し、グロー •
バルな生産拠点としてのタイの競争力 •
を高める業種
•
• ただし、A1~A3ほどの高度な技術は用 •
いず、複雑な製造工程も伴わない
• 高度な技術は用い ない が 、サプライ •
チェーンの中で重要な業種
•
• B1よりも重要性が低い業種
•
•
オーディオ製品の製造
機械及び備品の組立て
工業用化学品の製造
紙製品の製造
一般自動車の製造
ワイヤーハーネスの製造
ホテル経営
コイルセンター
非税務面
輸出用
外資 外資企業 ビザや労
機械輸入 原材料の
100%の の土地 働許可証
税の免除 輸入税の
進出
所有
の優遇
免除
8年免除
(上限額
なし)
●
●
●
●
●
8年免除
(上限額
あり)
●
●
●
●
●
5年免除
(上限額
あり)
●
●
●
●
●
3年免除
(上限額
あり)
●
●
●
●
●
×
●
●
●
●
●
×
×
●
●
●
●
(出所)タイ投資委員会(BOI) 「タイ国投資委員会ガイド2016」
(注)①農業及び農産物、②鉱業、セラミックス、基礎金属、③軽工業、④金属製品、機械、輸送機器、⑤電子、電気機械産業、⑥化学工業、紙及びプラスチック、⑦
サービス、公共事業。各分野における具体的な業種については、BOIの「投資奨励の方針及び基準」をご参照。
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1.2 進出手続き「投資優遇-① 業種(2) 」
Information Only
 特定の基準を満たす投資奨励対象事業に対しては、追加恩典が供与される。
追加恩典
恩典の対象
競争力向上に資
する投資
条件
恩典
• R&D(自社R&D/タイ国内外の研究アウトソース)
• 技術・人材開発基金や教育・研究機関/政府機関への寄付
• タイで開発された技術を商品化するための特許購入やライセン
シング
• 高度な技術トレーニング
• 高度な技術トレーニング及び技術援助におけるタイ資本比率
51%以上のローカルサプライヤーの開発
• 製品及びパッケージデザイン(自社・タイ国内のアウトソース)
• 最初の3年間の収入に対する投資金額比率、ま
たは投資金額に対し、法人税免除期間を設定
(R&Dのみ投資金額の2倍まで法人税免除)
投資金額比率または投資金額
免除期間
1%または2億バーツ以上
1年
2%または4億バーツ以上
2年
3%または6億バーツ以上
3年
• 一人当たり所得の低い、または投資の少ない20県に立地する
プロジェクト
• A1・A2の業種は基礎恩典の免除期間終了後、5
年間法人税を50%減税
• それ以外は法人税免除期間を3年延長
• 10年間輸送費、水道光熱費の損金を2倍で計上
• 設備の導入費用の損金を1.25倍で計上
• 工業団地または奨励された工業区に立地するプロジェクト
• 法人税免除期間の1年追加
産業地区開発及
び地方分散に資
する投資
(出所)タイ投資委員会(BOI)「タイ国投資委員会ガイド2016」、BOIウェブサイト「恩典付与の基準」
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1.2 進出手続き「投資優遇-② 機能」
Information Only
 タイを域内のハブとした事業展開を促進するため、従来のROHや国際調達事務所(International Procurement Office:
IPO)の認定要件を大幅に緩和したIHQや国際貿易センター(International Trading Center: ITC)を導入。
(ご参考)ROHとIHQの要件比較
項目
業務の提供先
関連会社の定義
業務の範囲
ROH(旧制度)
タイ国外の3カ国以上の関連会社または支店
IHQ(新制度)
タイ国外の1カ国以上の関連会社または支店
25%以上の株式を直接保有する法人(親会社・子会
社・兄弟会社)
事業統括、商品調達、研究開発など計10業務
25%以上の株式を直接保有するか、25%以上の管
理・監督権限を持つ法人
ROHの業務に加えて、完成品の販売及び財務セン
ター(Treasury Centers)業務を追加
IHQ及びITCに対する恩典
項目
IHQ
• タイ国内外の関連会社に対して下記①~⑪の業務を提供
①事業統括、②原材料・部品及び完成品の販売、③研究開発、
④技術協力、⑤市場調査・販売促進、⑥人事・人材開発、⑦財
務統括等のアドバイス、⑧投資分析・調査、⑨貸出管理、⑩財
務管理(Treasury Centers)、⑪その他国税局長が定めるもの
対象となる
業務の範囲
BOIによる
主な恩典
条件
内容
条件
国税局によ
る主な恩典 内容
ITC
• 製品・原材料・部品の販売・購入、国際貿易関連
サービスを提供
• 取引先には条件なし
• 1,000万バーツ以上の登録資本
• 1,000万バーツ以上の登録資本
• タイ国外の少なくとも1カ国に関連会社または支店を保有
(恩典区分B1に相当)(注1)
• 研究開発及びトレーニングに使用する機械の輸入税を免除
• 機械輸入税を免除
• IHQに関わる支出(注2)が年間1,500万バーツ以上
• ITCに関わる支出(注2)が年間1,500万バーツ以上
• オフショア貿易及び関連サービスの収入について法人税を免除
• IHQ/ITCで働く外国人駐在員の個人所得税を15%に減税
• 法人税免除の対象となる収入からの海外企業への配当金について源泉税を免除
(出所)タイ投資委員会(BOI)「地域のビジネスハブとしてのタイ」、「投資奨励策:国際地域統括本部(International Headquarters: IHQ)及び国際貿易センター
(International Trading Centers: ITC)」、タイ国税局「国際地域統括本部&国際貿易センター」
(注1)詳細についてはP.6をご参照。
(注2)IHQ、ITCに関わる支出は販売管理費(除く減価償却費)が対象。
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1.2 進出手続き「投資優遇-③ クラスター(1)」
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 クラスター形成を促進するため、指定対象業種に対する特定地域への投資に対して優遇措置を付与。
 対象地域は、南部地区4県及び国境付近の5県に立地するSEZ。SEZについては今後10県に拡大予定。
クラスターに付与される恩典
区分
対象地域
条件
恩典
南部地区
国境付近のSEZ
サトゥン県、パッタニー県、ヤラー県、ナラティワート県及び
ソンクラー県の一部
ターク県、ムクダハン県、サケオ県、トラート県、ソンクラー
県(注2)
• 最低投資額は50万バーツ
• 中古機器は1,000万バーツ未満まで。新設機械は中古
機械の1/4以上を導入する必要あり
• 対象地域に立地する工業団地への投資
• 8年間の法人税免除(上限なし)(注1)。以降5年間50%
法人税減税
• 機械の輸入税の免除
• 国内向けに販売される製品の材料費の輸入関税の
75%を5年間減税
• 10年間輸送費、水道光熱費の損金を2倍で計上
• 設備の導入費用の損金を1.25倍で計上
• 法人税の免除期間を3年間追加。A1・A2の業種は、既
に8年間分の法人税免除を受けている場合、さらに5年
間法人税を50%減税
• 機械及び輸出向け製品の材料費の輸入税の免除
• 10年間輸送費、水道光熱費の損金を2倍で計上
• 設備の導入費用の損金を1.25倍で計上
• 外国人非熟練労働者の労働許可等、その他の非税務
恩典
(出所)タイ投資委員会(BOI)「クラスター政策で躍進するタイ」2015年11月、各種報道
(注1)既存のBOI事業を有する場合、その既存事業についても、投資金額を上限として3年間法人税が免除。
(注2)第1フェーズにおける対象地域。第2フェーズとして、ノンカイ県、チェンライ県、カンチャナブリ県、ナコンパノム県、ナラティワート県の5県が対象地域に指定されてい
る。
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1.2 進出手続き「投資優遇-③ クラスター(2)」
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 2015年11月、クラスター形成に向けた時限的な優遇措置が導入された。申請期限は2016年末まで。
 高度な技術を要する産業や次世代産業のクラスターを「スーパークラスター」として位置づけ、9県を指定。
特定地域に付与される恩典
区分
スーパークラスター
対象地域
9県(注1)
対象業種(注2)
•
•
•
•
•
•
•
条件
•
BOIによる
恩典(注4)
•
内容
•
•
•
クラスター開発支援事業
ナレッジベース事業
ロジスティクス事業
その他のクラスター
26県
• 農産品加工(19県)
• 繊維・アパレル(9県)
自動車・部品(7県)
電子・電子機器(7県)
デジタル(2県)
環境にやさしい石油化学
及び化学品(2県)
フードイノベーション
メディカルハブ(注3)
クラスターに立地する教育機関・研究機関・中核的研究拠
点(Center of Excellence: CoE)との間に、人材開発または
技術向上のための協力があること(注5)
2016年12月30日までに奨励申請書を提出し、2017年12月
31日までに最初の収入が発生すること(注6)
8年間の法人税免除。以 • 3~8年間の法人税免除。以
降5年間50%法人税減税
降5年間50%法人税減税
機械の輸入税を免除
外国人に土地の所有権を許可
国際レベルの専門家に永住権の付与を検討
•
•
•
•
•
•
― (地域の指定なし)
研究開発
• 商業用空港
バイオテクノロジー
• 鉄道輸送
エンジニアリングデザ • 海上輸送のための積荷、
イン
積み下ろしサービス
理科学実験サービス • イ ン ラ ン ド コ ン テ ナ デ ポ
計測器校正サービス
(ICD)
職業訓練学校
• 国際物流センター(IDC)
• ―
• 8 年 間 の 法 人 税 免 除 • 5~8年間の法人税免除。
(上限額なし)。以降5
以降5年間法人税50%減
年間50%法人税減税
税
(出所)タイ投資委員会(BOI)「BOIの最新投資政策」、「クラスター政策で躍進するタイ」2015年11月
(注1)チェンマイ、アユタヤ、パトムターニー、チョンブリ、ラヨン、チャチェンサオ、プラチンブリ、ナコンラチャシマ、プーケット。
(注2)対象となる業種は地域によって異なる。
(注3)詳細は今後検討される予定。
(注4)国税局による恩典も検討中。
(注5)タレント・モビリティ、統合学習、産学協同教育での教育またはBOIが同意する人材開発または技術開発のための協力。
(注6)ただし、大規模な事業等については、BOIが操業開始期限の延長を検討する場合がある。
10
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1.2 進出手続き「投資優遇-その他」
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 国内には約80カ所の工業団地が立地。
 タイ工業団地公社(IEAT)の工業団地やフリーゾーンに入居した場合、一定の優遇措置が付与される。
入居する工業団地ごとの恩典
優遇措置の名称
条件
IEATが開発・運営する工業団地(注
2)に入居すること。
• 土地所有権の取得が可能(外資系企業も同様)
フリーゾーンに指定された工業団地
等において、所有権・占有権を持っ
ていること。
• 輸出入される製造設備・原材料等に対して、関税・付加価値税の免除等
IEAT(注1)による
優遇措置
フリーゾーンにお
ける優遇措置
恩典
• 外国人技能者、専門家及びその配偶者等の雇用・居住権の取得が可能(外国
人就業者には労働許可証を発給)
• 特に、IEATが開発・管理する工業団地のフリーゾーン(IEAT Free Zone)に入
居する場合、工場建設用資材、生産用機械設備、生産用原材料・部品の輸入
関税及び製品・半製品の輸出関税を減免
(出所)国際機関日本アセアンセンターウェブサイト「タイの工業団地リスト」、ジェトロウェブサイト「貿易・投資相談Q&A」「関税制度」
(注1)IEATは、土地を取得し、道路、排水設備、廃水処理場、電気、 水道等のインフラを敷設のうえ売却・賃貸する。また、民間と共同で工業団地の開発・運営を行う。タイ全
土の工業団地の中でIEAT管轄下の団地は56カ所存在する(2016年7月現在)。
(注2)IEATと民間企業が共同開発・運営する工業団地を含む。
11
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1.3 進出手続き「進出形態」
Information Only
 主な進出形態は、現地法人の設立(注)、現地駐在員事務所のいずれか。
 日本からの直接投資の多くは、「現地法人の設立」の形態。
進出の形態
形態
概要
• 日系企業の多くが進出する形態
現地法人の設立
現地駐在員事務所
• 規制業種(P.2)については、外資比率50%以上での進出は禁止または制約あり
• ただし、商務省が個別に許可した事業(P.2)やタイ投資委員会(BOI)が認可した事業(P.4)等については、
外資比率50%以上での設立が可能(外資比率100%も可能)
• 以下の5業務のみ行うことができる
 本社がタイで買い付ける商品の発掘
 商品検査・品質管理
 タイの代理店への助言やサービス
 新製品の情報提供
 本社向けのタイに関するレポート作成
• 営業活動や交渉を行うことはできない
• 金融業を除いて認可されるケースはほぼなく、事実上不可能
現地支店
• 外国人事業法の規制を受けるため、活動範囲が制限される
(出所)株式会社国際協力銀行「タイの投資環境」2012年10月、ジェトロウェブサイト「貿易・投資相談Q&A」
(注)現地企業への資本参加、タイ資本との合弁等を含む。
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1.4 進出手続き「会社設立の流れ-設立手続」
Information Only
 現地法人の登記申請は商務省事業開発局(Department of Business Development: DBD)に対して行う。
会社設立手続き
(ご参考)必要経費
社名の予約
新会社の発起人は、社名に類似のものがないことを確認し、予約
する(30日間有効)
基本定款
(MOA)の登記
3名以上の発起人により定款(Memorandum of Association: MOA)
を作成し、商務省に登記
設立総会の開催
株式引受け完了後、発起人は設立総会を開催し、会社規則、資本
金の金額と払込み時期等を決議
株式の払込
(資本金の送金)
労働許可証取得のために、最低資本金として200万バーツ(外国
人就業者1人当たり)が必要(注1)
会社設立登記
引受人(3名以上)による株式払込完了時、かつ設立総会から30日
以内に会社設立登記を行う
基本定款料
登記料(注2)
会社登記料
50バーツ
500バーツ
最低料金
500バーツ
5,000バーツ
最高料金
2.5万バーツ
25万バーツ
営業許可証の交付 商務省から営業許可証の交付を受ける
納税者登録
番号の交付
登記日または事業開始日より60日以内に、財務省に付加価値税、
法人税の支払登録を行い、登録証番号の交付を受ける
第一回株主
総会の開催
会社登記より6カ月以内に株主総会を開催する
(出所)ジェトロウェブサイト、タイ商務省ウェブサイト
(注1)外国人事業法で指定された事業活動に携わる会社の最低登録資本金は、最初の3年間の平均年間経費の25%または300万バーツのいずれか高い方。
(注2)登記資本10万バーツにつき。
13
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1.4 進出手続き「会社設立の流れ-優遇申請」
Information Only
 投資奨励法にもとづいて投資を行う場合は、タイ投資委員会(BOI)に申請する。
 それ以外の場合は、外国人事業法あるいは民商法にもとづいて商務省に申請する。
投資奨励法に基づく申請手続き
項 目
申請手続きにおける詳細・留意点
1
現地での準備(注)
フィージビリティ・スタディ(F/S)
• 排水処理・廃棄物処理を必要とする事業の場合には、申請書提出時に「申請事業の初期環境影響
調査結果報告書」を提出する義務があるので、事前調査が必要
2
事業計画・工程表の作成
• 工程表は申請書提出時に添付
• 工程表に記載されていない機械は減税輸入が認められないため、正確なものを事前に準備
3
申請書の作成
• 申請書はBOIの公式ウェブサイトからダウンロード。通常は個人名で申請
• 提出先は、日本国内のBOI事務所、タイBOI投資促進第1~4部、地方事務所のいずれか
• 添付書類に製品・製造カタログ、会社概要、工程表と、業態により「申請事業の初期環境影響調査
結果報告書」が必要
4
面接
• 書類提出後、10営業日以内にタイで審査担当官との面接(2時間程度)を行う
• 技術的な面も詳しく聞かれる
5
審査
6
奨励決定の通知に対する回答
• 通知の内容が申請した内容と合致しているかどうかを確認し、1カ月以内にBOI宛に回答
• 通知の内容に誤りがある場合には、文書にて問い合わせ
7
奨励証書発給の申請
• 回答後6カ月以内に奨励証書の発給申請を行う。現地法人の責任者名義で申請
• BOIの投資奨励認可を取得した企業の場合、操業開始までに認可プロジェクトの当該自己資本全
額を払い込むことが必要(先立って、現地法人設立時に最低4分の1の払い込みが必要)
8
奨励証書の発給
• 審査期間は、事業の投資額(土地代と運転資金を除く)により40~90日
• 申請後、10営業日以内に奨励証書が発給
(出所)タイ投資委員会(BOI)「タイ国投資委員会ガイド2016」、BOIウェブサイト「投資奨励申請の手続き」
(注)現地での準備に先立って外国人労働許可を取る。投資奨励対象の事業の場合、最大6カ月間の滞在許可を得ることが可能。
14
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1.4 進出手続き「会社設立の流れ-工場建設」
Information Only
 外国人(外国法人を含む)の土地所有は厳しく制限されている中、日系企業は優遇制度等を利用し、土地取得をする
企業が多い。
 主な工業用地は、IEATまたは民間ディベロッパーが開発した工業団地など。
工業用地の取得、賃借
区 分
概要
土地の取得
• タイ投資委員会(BOI)の投資奨励認可を取得した場合かタイ工業団地公社(IEAT)認定の工業団地に入居する場合に、
土地取得が認可される
• 特例として、4,000万バーツ以上の投資等の条件を満たす場合、居住用として1ライ(1,600㎡)以下の土地を取得可能
• 地上権の保護が日本と比較して弱いため、日系企業の場合、取得することが大半
土地の賃借
• 借地権の期間は30年間に限定される(延長は可能)
• 貸工場で2~3年操業した後、土地購入・工場建設に踏み切るケースも
(出所)ジェトロウェブサイト
工場の種類、基準
(ご参考)工業団地の価格目安(2015年)
基準
種 類
大気汚染
への影響
所持・操業
する機械
労働者数
第1種工場
影響なし
20馬力以下
20人以下
操業する際に許可や
地方行政体(注)
届け出の必要がない
第2種工場
ほとんど
影響なし
50馬力以下
50人以下
操業する際に届け出
地方行政体(注)
が必要
上記以外
操業する際に許可が
工業省工業局
必要
第3種工場
影響あり
上記以外
操業許可対応
(注)有害物質の発生や危険物の使用がない場合に限る。
所管
チョンブリ県内の工業団地(一般工業区)
購入価格
月額賃貸料
4,688バーツ/㎡
(130ドル/㎡)
230~250バーツ/㎡
(6.37~6.92ドル/㎡)
(出所)ジェトロウェブサイト
15
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(ご参考)進出手続き「主要作業チェックリスト」
進出スケジュールの目安
Information Only
(月)
約15カ月
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
進出先・進出形態の決定
物件情報収集・検討
現地視察
物件決定・賃借権契約
保証金支払
事業計画
投資総額決定
人事関連決定
資本金(払込、出資証明)
銀行口座の開設
取引金融機関の決定
取引口座開設
企業登記
現地企業仮登記
企業登記申請/認可
会社定款
財務報告書
営業許可証申請/取得
環境アセスメント
各種書類用印鑑の作成
コーポレートシール
代表者サイン登録
工場内装
工場設立申請・許可
内外装工事
安全管理対策
保険付保
什器・備品
現地社員の採用・研修
就業規則作成
公募
労務関係保険
労働契約書作成
社員研修(技術者派遣)
機械設備搬入
通関書類作成
運送業者への依頼
輸送・搬入
検収
開 業(操業)
設備の現地調整・試運転
本格操業
16
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2.1 税制「所得課税」
Information Only
 法人所得税率は20%。2016年に歳入法が改正され、基本税率が引き下げ。
法人への所得課税
項目
概要
課税対象
• 20%の一定税率
• ただし、払込済資本金が500万バーツを超えない及び年間の収益が3,000万バーツを超えないタイに所在する企業は、
0%、15%及び20%の累進税率が適用される
• タイ国内企業(注)は全世界所得が課税対象
• 外国企業のタイ支店は、タイ国内源泉所得のみが課税対象
納税義務者
タイ国内企業及び外国企業の支店
税率
特記事項
【税務上の恩典】
• BOI投資奨励対象業種(P.6)に対しては、恩典区分A1~A4のグループ毎に法人税免除期間が供与される
• 関連する条件に該当すれば、下記国際統括本部(IHQ) 及び国際貿易センター(ITC)の税務上の恩典が利用可能
 国際統括本部(IHQ):海外の適格関連会社に与えられた/譲渡された知的財産権などから生じるライセンスフィー
や適格サポートサービスからIHQが得た所得については、法人所得税が免除される。また国内の適格関連会社か
ら生じるこれらのライセンスフィーやサービスフィーは、低減された10%の法人所得税率が適用される
 国際貿易センター(ITC):タイ国外のサプライヤーから購入されタイ国外の顧客への物品販売(外-外取引)及び関
連するサービスから得られる所得は、法人所得税が免除される
【キャピタルゲイン】
• キャピタルゲインは法人所得税の対象となる通常の事業所得として取り扱われる
【繰越欠損金】
• 繰越欠損金の控除は、(それが発生してから)5年間の繰越控除ができる。しかしながら繰戻し還付は認められない
【連結納税】
• タイの税法には、グループ企業を1つの企業として取り扱う連結納税制度に関する条項はない
(出所)EY「Worldwide Corporate Tax Guide 2016」
(注)タイの法律に基づいて設立された企業。
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.1 税制「所得課税」
Information Only
 個人所得税は最大35%の累進課税。
 6万バーツを上限に、所得の40%まで控除可能。
個人への所得課税
項目
概要
税率
• 0%から35%の累進課税
課税対象
• 課税対象となる所得は以下の通り
 給与所得
 事業所得
 投資、利子、配当その他投資所得
納税義務者
• 全てのタイ居住者及び非居住者は、タイ国内源泉所得について個人所得税の対象となる
• タイ居住者は、国外の事業所得がタイに持ち込まれた場合も、個人所得税の対象となる
• 個人は、暦年ベースでタイに合計180日以上滞在した場合、タイ居住者とみなされる
特記事項
【所得控除】
• 基礎控除は、6万バーツを限度として所得の40%まで認められる
• タイで就労している駐在員の個人所得に対して、様々な控除が認められている
(出所)EY「Worldwide Personal Tax Guide Income tax, social security and immigration 2015–16」
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.2 税制「消費課税」
Information Only
 付加価値税の標準税率は7%。2017年9月末以降に引き上げが見込まれる。
付加価値税(Value Added Tax: VAT)
項目
概要
税率
• 標準税率:7%(2017年9月30日以降の引き上げが見込まれている)
 その他:ゼロもしくは非課税
 物品もしくはサービスの輸出:ゼロ
課税対象
• 以下の取引に課される
 納税義務者による物品の提供もしくはタイ国内で消費されるサービスの提供
 タイ国内への物品もしくはサービスの輸入
 タイ国外への物品もしくはサービスの輸出
納税義務者
• 以下のカテゴリーに属する全ての者
 タイ国内で事業として物品を販売する者
 タイ国内で事業としてサービスを提供する者
 物品もしくはサービスの輸入者
 海外の会社の代理人としてタイ国内で物品の販売もしくはサービスの提供を行う法律により貿易業者とみなされる
個人
特記事項
• 以下の活動は、付加価値税が非課税となる
 農産物や動物加工品の販売(缶詰め食品除く)
 動植物用の肥料、薬品または化学品、および動植物用の殺虫剤の販売
 魚粉、飼料の販売
 新聞、定期刊行物および教科書の販売
 医療、監査、法律の分野におけるサービスの提供
 病院によるサービス
 国内運輸及び陸上国際運輸
 不動産のリース
(出所)EY「Worldwide VAT, GST and Sales Tax Guide 2016」
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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2.3 税制「国際課税」
Information Only
 日本とタイとの間では租税条約が締結されており、二重課税が防止される。
 移転価格税制については事前確認制度あり。
国際課税の概要
項目
概要
関 税
• 世界貿易機関(WTO)の関税評価協定に準拠
• タイと自由貿易協定(FTA/EPA)を締結している国から輸入される物品には、関税の優遇措置が適用される
物品税
• 国産品か輸入品かに関わらず、ある特定の物品(タバコ、清涼飲料、車等)の販売に対して課される
源泉税
• 居住者が非居住者宛に送金する場合、源泉徴収税が賦課される
• 配当金、支店利益送金の場合10%。ロイヤルティ、利子の場合15%
租税条約
• タイ・日本間の二国間租税条約(日タイ租税条約)の締結により、二重課税を回避している。
• 日タイ租税条約により、金融機関への利子送金については10%の軽減税率が適用される。その他はタイ国内法と同じ。
国際的租税回避行動に対する対応
項目
概要
移転価格税制
• タイ歳入局により発行された移転価格ガイドラインによれば、全ての販売及びサービス取引は独立企業間価格で実施
される必要がある
• 納税者は価格を立証するために同時文書を作成し、保管することを要求されている。認められる独立企業間価格算定
方法は、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法その他国際的に認められている方法を含む
• 納税者が税務当局から指摘された取引が独立企業間価格により実施されたことを証明できない場合、追加的な税金が
課される。関連者間の取引は、特に厳密な調査の対象になる
過少資本税制
なし
(出所)EY「Worldwide Corporate Tax Guide 2016」、EY「Worldwide VAT, GST and Sales Tax Guide 2016」、EY「Worldwide Personal Tax Guide Income tax, social security
and immigration 2015–16」、タイ投資委員会(BOI)ウェブサイト、ジェトロウェブサイト、タイ国税局ウェブサイト
会計・税務面につきましては、会計士・税理士等の専門家と十分にご相談下さいますようお願い致します。
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3.1 貿易・為替管理制度「輸出入規制」
Information Only
 輸出規制品目は3分野・34品目。
 商務省による輸入規制品目は3分野・44品目。その他に工業省、国家通信委員会等による規制品目は10品目。
輸出規制品目
品目数
輸出禁止品目
一定の条件の下で輸出が認められる品目
輸出許可の取得が必要な品目
3品目
11品目
20品目
• 他人の商標権を侵害する製品
• 偽ブランド製品
• 砂
品 目
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
12種の果実及び野菜
22種の野菜
冷凍/冷蔵/生のエビ・イカ
台湾向け自動車
加工鶏肉
ツナ缶
パイナップル加工品 等
籾、玄米及び餅米
米(EUの関税割当対象となるもの)
キャッサバ製品
コーヒー及びコーヒー製品
大豆粕
石炭、金
木材及び木材製品 等
輸入規制品目
工業省等による規制
品目数
品 目
輸入禁止品目
輸入課徴金が課せられる品目
10品目
3品目
• 他人の商標権を侵害する製 • 魚粉(60%を超えるタンパク
品
質含有量の魚肉)
• ゲーム機
• トウモロコシ
• モーターバイクの中古エンジ • 大豆油かす
ン(~50cc)、部品及び備品
• CFC(注)が使われた冷蔵・
冷凍庫
• 中古車または中古のモータ
ーバイク、中古タイヤ 等
商務省による規制
WTO協定による市場
開放のための産品
輸入許可の取得が必要な品目
22品目
19品目
粉ミルク、生乳
ジャガイモ、たまねぎ
コーヒー豆、茶
胡椒
トウモロコシ
米(調理済みのもの及び米
製品を除く)
• 大豆油、パーム油、ココナッ
ツ油 等
• 中古車
• 中古バイク
• 中古の輸送用自動車(30人
以上の乗客用)
• 中古ディーゼルエンジン
• 違法コピー品製造用機械
• 凹版印刷機及びカラーコピ
ー機
• プラスティックのくず 等
•
•
•
•
•
•
(出所)ジェトロウェブサイト
(注)CFCはChlorofluorocarbonの略。フロン類の一つで、冷媒や溶剤として大量に使用されてきたが、オゾン層の破壊の恐れから使用が規制されている。
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3.2 貿易・為替管理制度「FTA/EPA」
Information Only
 各国・地域とのFTA/EPAの締結・交渉によって、貿易関連規制の緩和を積極的に推進。
貿易政策
区分
二国間協定
名称
締結国・地域
タイ・オーストラリアFTA
タイ・ニュージーランドEPA
タイ・日本EPA
タイ・チリFTA
タイ・インドFTA
タイ・ペルーFTA
タイ・バーレーンFTA
タイ・米国FTA
オーストラリア
ニュージーランド
日本
チリ
インド
ペルー
バーレーン
米国
中国
ASEAN・中国FTA
ASEAN・日本EPA
多
国 ASEAN+1
間
協
定
(
注
1
)
その他
ASEAN・韓国FTA
日本
韓国
ASEAN・インドFTA
インド
ASEAN・豪NZ・FTA
オーストラリア、
ニュージーランド
ASEAN・香港FTA
香港
AFTA(注3)
ASEAN加盟国
BIMSTEC(注4)
RCEP(注5)
BIMSTEC加盟国
RCEP参加国
EU加盟国
タイ・EU・FTA
締結状況
備考
2005年発効
―
2007年発効
2015年発効
交渉中
交渉中断中
2005年発効
2009年発効
税関、サービス、投資、人の移動を含む協定
輸出入品目ベースで約9割の関税を即時撤廃
アーリーハーベスト(関税先行引き下げ)を実施中
タイはGCC(注2)とのFTA交渉を優先する方針
2006年のタイにおけるクーデター以降、交渉中断中
2010年までに一部品目を除いて関税撤廃済み
インドネシアのみ国内手続き中
―
品目によって未実施分あり
2010年発効
交渉中
1993年発効
交渉中
交渉中断中
未発効国のカンボジア、インドネシアは2016年以降に発効
予定
2014年7月に交渉開始
2010年までに先発6カ国間で域内関税を撤廃済み
2004年に枠組み協定を締結済み
2015年8月に枠組み協定を締結済み
2013年から交渉開始するも、2014年から交渉中断中
(出所)タイ商務省「Fact Sheet」2015年5月、ジェトロウェブサイト、外務省ウェブサイト、各種報道
(注1)多国間協定の発効年は、タイとの間で協定が発効した年。
(注2)GCC(湾岸協力会議):アラブ首長国連邦、バーレーン、オマーン、カタール、サウジアラビア、クウェート。
(注3)AFTA(ASEAN自由貿易地域):インドネシア、タイ、カンボジア、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ラオス、ベトナム、ミャンマー、シンガポール。
(注4)BIMSTEC(ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアティブ):タイ、バングラデシュ、インド、ミャンマー、スリランカ、ネパール、ブータン。
(注5)RCEP(東アジア地域包括的経済連携):ASEAN加盟国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド。
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3.3 貿易・為替管理制度「為替管理」
Information Only
 1990年のIMF8条国移行を契機に、幅広く為替管理の規制緩和を推進。
為替管理(抜粋)
区分
概要
【標準的決済方法】
• 標準的決済方法は、①前払い送金、②輸入信用状、③取立手形(D/P、D/A)、④後払いの4種類
• 受取り、支払いとも決済に当たっての通貨の指定はない
貿易取引
貿易外取引
【輸入信用状(L/C)の開設】
• 企業による輸入信用状の開設は自由
• 信用状開設に際し、インボイス等の書類を添えて、銀行に輸入信用状の開設を申請
• 商務省の輸入許可が必要な貨物については商務省の輸入許可証を添付
【仕向送金(支払い)】
• 貿易外取引は、バーツ建・外貨建とも原則自由
• 一部取引については、タイ中央銀行(Bank of Thailand: BOT)への事前申請が必要
• 一部の資本取引額に上限が設けられている
• 5万米ドル相当額以上の外貨建支払いは、所定様式により外国為替銀行に提出することが必要
【被仕向送金(受取り)】
• バーツ建での外国からの受取りに制限はない
• 入金は公認銀行または外貨預金口座を通じて行う
• 5万米ドル相当額以上の外貨建受取りは、所定様式により外国為替銀行に提出することが必要
資本取引
• 外国投資は、直接投資、資産運用投資のいずれも自由
• 非居住者の居住者に対する外貨建貸付は無制限。資本や貸付は、定められた期間内に公認銀行または外貨預金口座
に入金することが必要
• 投資資金の本国送金や、海外からの外貨建の借入金返済は、証明書類を提出することで送金可能
(出所)株式会社国際協力銀行「タイの投資環境」2012年10月、ジェトロウェブサイト
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4. 金融動向
Information Only
 金融機関は、商業銀行、政府系金融機関。
 世界同時株安の影響により、2015年の株式指数(SET)は前年比14%下落。
金融機関
区分
概要
国内銀行
(19行、2016年10月時点)
商業銀行
• タイ国全土に拠点網を展開し、預金、貸出、内国為替、外国為替等通常の銀行業務をすべて
行う
• 原則として、1国、1行、1店舗主義
外国銀行
(12行、同上)
• 主に、農協・農業従事者に対して融資を行う銀行や、中小企業・新興企業に対して融資を行う
銀行等
政府系特殊金融機関
(出所)タイ中央銀行(BOT)「Commercial Banks registered in Thailand」、「Foreign Bank Branches」
株式市場の動向(年末値)
時価総額(注)
上場企業数
SET指数(株価)
債券市場の動向
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
8,471
11,923
11,644
14,161
12,557
545
558
584
613
639
1,025.3
1,391.9
1,298.7
1,497.7
1,288.0
• 債券市場は、財政赤字拡大に伴う国債の発行額が急増した
ことを背景に、急速に整備されている
• 民間企業の起債も増加傾向
• 日系進出企業の社債発行も増えており、資金調達の新たな
手段となりつつある
(出所)タイ証券取引所(SET)、World Federation of Exchanges「Monthly Reports」
(注1)時価総額と上場企業数は2015年12月現在。
(注2)10億バーツ。
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5. インフラ
Information Only
 天然ガスによる電力供給が約7割を占める。
 携帯電話の普及率は高い。
電力生産量(2015年)
通信の普及状況(2015年)
その他, 0.5%
水力, 2.0%
(%)
160.0
125.8
再生エネルギー,
5.2%
120.0
2000年
輸入, 7.5%
80.0
2015年
39.3
石炭, 18.0%
電力生産量
(2015年)
192,190GWh
40.0
9.0
4.9
3.7
0.0
固定電話
天然ガス, 66.9%
種類
• 天然ガスによる電力供給が約7割を占める
• 近年は、再生エネルギーの占める割合が拡大
携帯電話
インターネット
概要
固定電話
• 2015年の加入件数は531万件(普及率(注)7.9%)
• 加入件数は飽和状態にあり、2008年の739万件(普及
率11.2%)をピークに漸減傾向
携帯電話
• 2015年の加入件数は8,480万件(普及率125.8%)で、
極めて高い普及
• 主要な携帯電話サービス事業者(3G)は3社
インターネット
• 2015年のインターネット普及率は39.3%。対2000年比
で約11倍に急増
• 年間消費量(174,833GWh)を上回る電力が供給されており、
電力需給は安定的
(出所)タイ・エネルギー省「Electricity Statistic」
7.9
(出所)国際電気通信連合「TIME SERIES BY COUNTRY (UNTIL 2015)」
(注)人口100人当たりの加入件数。
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6. 労働事情
Information Only
 失業率は1%以下。分野別就業者の割合は、農業が低下、サービス業・その他が上昇の傾向。
 賃金水準は上昇傾向。2017年1月、ここ数年間据え置かれていた最低賃金が引き上げへ。
労働市場(2015年)
月額賃金(バンコク、2015年)
金額
被雇用者数
3,802万人
失業率
ドル
0.9%
製造業
(出所)タイ中央銀行、IMF「World Economic Outlook」2016年10月版
分野別就業者割合
0%
0%
20%
20%
40%
40%
60%
60%
80%
80%
100%
100%
ワーカー(一般工職)
344
12,425
エンジニア(中堅技術者)
651
23,500
中間管理職(課長クラス)
1,384
49,987
602
21,750
1,452
52,472
スタッフ(一般職)
非製造業
バーツ
マネージャー(課長クラス)
賞与支給額
3.08カ月分
割合
1997年
45%
14%
41%
社会保険負担率
雇用者
5%
被雇用者
5%
政府
2.75%
(出所)ジェトロウェブサイト
2014年
33%
農業
17%
製造業(鉱業を含む)
• 2013年以降全国一律300バーツ/日であった最低賃金が2017年1
月から69県で引き上げられる見通し(注)。
• 引き上げ幅は5~10バーツ/日で、地域グループ別に4通りの引
き上げ額が適用される。
• 日系企業の進出が多い地域では、バンコクで310バーツへ、チョン
ブリ、アユタヤ、ラヨーンで308バーツへ引き上げ予定。
50%
サービス業・その他
(出所)アジア開発銀行「Key Indicators for Asia and the Pacific 2015」2015年10月
(出所)ジェトロ通商弘報「中央賃金委が最低賃金の引き上げを決定」2016年10月25日
(注)2016年10月に中央賃金委員会が決定。2016年11月11日現在、閣議了承を待っている状況。
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