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毎と台地 V
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2(
2
0
0
0
) 27~35
2
7
キトサン処理が数種作物の生育とキチナーゼ活性に及ぼす影響
千 布 寛 子*
1・芝山秀次郎 *
1・光富
勝*
2・有馬
進叫
引佐賀県唐津市松南町 1
52-1 佐賀大学海浜台地生物生産研究センター
*2
佐賀県佐賀市本庄町 l 佐賀大学農学部
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sofChitosanApplicationonGrowthandChitinaseActivityinSeveralCrops
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噌
2
要 約
数種の作物を供試し,土壌混和あるいは葉商散布によるキトサン処理を行った後,それらの生脊経過
とキチナーゼ活性の調査を行った。イネでは,生脊に差異は見られなかったが,苗移植後 2週日の鵠体
0,
9
0及び120B自の調査でも増加傾
からキトサン処理によるキチナーゼ活性値の増加が見られ,移植後6
向が認められた。その他の作物では種類により差異が見られ,ダイズではキトサン処理により生育に差
は見られなかったがキチナーゼ活性値の増加がみられ ハツカダイコンでは処理により生育は促進さ
れたがキチナーゼ活性値は低下し,コムギ及びオオムギでは生育に差異は見られず¥キチナーゼ活性植
には変動傾向が見られた。
Summary
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fc
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.
司
緒 首
キチンやキトサンは,自然界に広く存在する天
tα1
.,1
9
6
5,駒田ら, 1965,
阻害効果 (Buxtone
M
i
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c
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l
landAl
exander
,1
9
6
1,孫工・野村, 1
9
8
8
)
9
9
8
) であり,海産物から得
然の多糖類(平野, 1
などが報告されている.そして作物体の地下部の
られたキチン質を農業分野に利用する研究は,す
生育については,キチン質処理によりダイズで生
でにいくつか行われている.マメ類やダイコン類
ie
tα1
.,1
9
9
7
)
育後期の根粒菌形成促進効果(Al
などの作物では,キチン質の粉末を土壌中に混和
が明らかにされており,一方著者らは,キトサン
処理したり,あるいはその溶液を植物体への直接
粉末を土壌混和処理したハツカダイコンを用いて
散布や種子塗布などの処理をすることにより,葉
地下部の生育を中心に詳細な観察を行った結果,
i
面積や乾物重等の地上部生育への促進効果(Al
根数には影響は見られなかっ
主根の長さや 1次官1
e
tα1
., 1
9
9
7,福井ら, 1989,原田ら, 1995,1996,
たが,処理区では太い 1次側根数が多く,それら
9
9
5
),植物体内キチナーゼやファイトア
次田, 1
に形成される 2次側根数が著しく多くなることを
989,
レキシン等の活性物質増加作用(福井ら, 1
9
9
9
)
. さらに,キチン
明らかにした(千布ら, 1
9
9
5
),ブザリウム等の植物病原菌の生育
次回, 1
やキトサンは,塩基性の性質を有し酸性土壌を中
2
8
千 布 寛 子 ・ 芝 山 秀 次 郎 ・ 光 安i
1
長・有潟
進
和する効果や,土壌粒子を団粒化して臨場の通気
値の変動,あるいは作物の種類によるキトサン処
性や保水性を改善し,作物の毛細根の発達を促進
理の影響の差異等について調査した。
9
8
9,次
することも報告されている(福井ら, 1
回
, 1
9
9
5
)。しかし,キチンやキトサンの作物へ
材料および方法
の施用効果は必ずしも一定した結果が得られてお
9
9
9年 6月から 2
0
0
0年 7月にかけて数
実験は, 1
らず,効果の発現程度やその要因に関しては明確
自の反復により仔った。まず佐賀大学海浜台地生
に解析されていない。
物生産研究センター画場の畑土を採取し,パット
高等植物は構成成分にキチン質は含まないが,
(46X31X13hcm),1/5000aワグネルポット及
それを加水分解する酵素(キチナーゼ)は存在し
びプランター (
1
2X2
4X1
1
hcm) 内 に そ れ ぞ れ
9
9
4
)。この酵素の植物における
ている(吉賀, 1
0
k
g, 4kgあるいは 2kgずつ充填し
新鮮重で、約 1
機龍は未だ充分には明らかにされていないが,病
0
た。キトサン処理は,土壌混和の場合は分子量 1
害虫に対する植物の自己防衛機能を高めていると
~15万のキトサン粉末(九州キトサン社製)を,
9
8
8
)。また,植物種子をキ
されている(平野, 1
土壌新鮮重当たり 0.1%あるいは 0.5%の割合で混
トサン被覆することにより種子発芽過程において
和処理し,また葉面散布の場合は分子量 10~15万
キチナーゼ活性が誘導されることや,キトサンが
のキトサン溶液(1.5%含有で 6%食 酢 に 溶 解 し
植物カルス形成を促進するとともにキチナーゼ活
0
0
倍に希釈し,
たもの,九州キトサン社製)を 1
性を誘導すること,さらに,ダイコンの種子をキ
mz当たり 11
)ットルの割合で苗移植持,子葉展
トサン被覆することにより収量が高まったという
開期あるいは第 l葉抽出期に噴霧器を用いて散布
1
(
0
ッ
,zas
a
t
i
v
α
9
9
8
)。そこでこのように,
報告がある(平野, 1
処理を行った。供試作物は,イネ
キトサン処理によりキチナーゼ活性が高まり,外
L
.
) (品積:コシヒカ 1
)
),ダイズ (
G
l
y
c
i
n
e mαx
敵に対ーする植物の自己防衛機能が作用し,細胞の
M
e
r
r
.
) (品韓:フクユタカ),赤丸ハツカダイコ
生理活性を高めて生長が促進されるというメカニ
ン (
R
α
ph
αnuss
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品
ズムが,若干の研究者により推測されている(平
種:チェリーメイト),コムギ (
T
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mαe
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m
9
9
8,次回, 1
9
9
5
)。
野
, 1
L
.
) (品種:シロガネコムギ)及び二条オオムギ
一方植物は,病原菌の感染あるいは接触により
(Hordeum d
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s
t
i
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h
u
mL
. emand. Lam.) (
品
キチナーゼが誘導されるが,この酵素は病原菌の
種:ニシノチカラ)を用いた。イネは,商をパッ
細胞壁のキチンを加水分解する溶萄酵素,すなわ
ト及び~
1/5000aワ グ ネ ル ポ ッ ト の 潅 水 土 壌 に
ち生体妨御酵素であることが解明されている
1
9
9
9年 6月 1日
, 2
0
0
0
年 5月2
3日及び 6月 8日に
9
9
4
)。植物ではメロンの芭,
賀
, 1
トマトの葉及
移植し,その他の作物は 1/5000aワグネルポッ
び根,エンドウのさや,ニンジンの培養細胞にお
トあるいはプランターの畑土に 1999年 ~2000年に
いて,ウイルスや病原菌の感染あるいは種々の化
播種した。 1/5000aワグネルポットに移植した
学物質の処理下でキチナーゼが誘導されることが
イネについては,
N成 分 量 で 3kg/10aの 元 肥
9
9
5
),またジャガイモ
報告されており(古賀, 1
(NPK 1
4
:1
6:1
4
化成) (高移植前日に施用)
の塊茎やオオムギなどの種子中にキチナーゼが多
0日日頃)に追肥(元肥の
と生育期間中(移植後3
9
8
8
)。
に存在することも報告されている(平野, 1
しかし健全に生背中の植物体の場合,ダイズの葉
(
B
o
l
l
e
re
tαl
.,1
9
8
3
) やキャベツの葉 (Chang
を行った。その他の作物は無施肥で生育さ
せた。作物の栽培は麗外で、行ったが,冬期につい
てはイネ,ダイズ及びハツカダイコンは自然光型
0
e
tαl
.,1
9
9
2
) などでキチナーゼ、活性の測定が行
2
5C一定, 2
4時間明条件)で,コ
人工気象器内 (
われ,存在するという結果は得られているが,そ
ムギ及びオオムギはガラス温室内(l 5~200C 位)
うした報告は少ない。
で生育させ,栽培期間中は土壌が乾燥しないよう
そこで本研究では,数種の作物を供試し,土壌
に適宜潅水を行った。
混和あるいは葉面散布によるキトサン処理をして
キチナーゼ活性の測定は,イネは苗移植後 1~
生育させた後にキチナーゼ活性の測定を行い,生
4週間自まで毎週,移植後3
0,4
0及 び5
0日自ある
育促進への効果や生育時期によるキチナーゼ活性
いは 2, 3及 び 4ヶ月日の個体について行い,ダ
2
9
キトサン処玉虫が数種作物の生脊とキチナーゼ活性に及ぼす影響
(N-アセチル -D
0日自あるいは 4
0,5
0及び6
0目白,
イズは播種後約 3
グルコサミン)に相当する
0日 1
3,コムギ及びオ
ハツカダイコンは播種後約 3
還元糖を生成する酵素量を 1u
n
i
t(
u
n
i
t=μmol
/
オムギは播種後約 2
0日目の倍体について行った。
min) と定義した。吸光度から算出したキチナー
測定は,まず粗酵素溶液の調製から行ったが,各
ゼ活性値は,各作物茎葉部の新鮮植物重 1
0
0
g当
作物の茎葉部を用いて精秤した新鮮試料を細かく
たりの u
n
i
t値 (
u
n
i
t
s
/
m
l
) として算出し,キト
切断し,
4Cに 冷 却 し た 緩 衝 液 (0.05M1
) ン酸
0
サン処理による影響を比較した。
緩 衝 液 pH6.8あ る い は M
c
l
l
v
a
i
n
e緩 衝 液 pH
5
.
0
) を加えてホモジナイズ(ポ 1
) トロン, KINE
実験結果
司
1)キトサン処理がイネの生育とキチナーゼ活性
MATICA社製)した後,さらしで搾り抽出液を得
2,000rpm,3
0
分間の遠心分
た。摘出液は 4Cで 1
0
に及ぼす影響
離を行い,得られた上澄み液を 20%及び80%飽和
無施肥条{牛下で実験したイネについて,茎葉部
濃度で硫安塩析し,遠心分離で沈殿物を得た。生
の生育へのキトサン処理の影響をみると,高移植
じた沈殿物は,少量の経衝液(上記と同一)に溶
後 4遇自の個体は,草丈,葉齢ともに処理の有無
解した後,透析チューブに入れて同じ緩衝液中で
による差異はほとんど見られなかった(第 1図)。
0
0
4Cにて 1晩透析した。透析後,不溶物を 4 Cで
しかし,イネ茎葉部のキチナーゼ活性は,無処理
1
2,
000rpm,2
0
分需の遠心分離で除き,得られた
個体においても l週日から測定され,
上澄み液を粗酵素溶液とした。抽出液は,活性測
増加したが,キトサン処理による活性値の増加は
l
l
v
a
i
n
e経
定に使用するまで 4Cで保存した。羽c
移植後 1週目の個体から若干見られ,
街液 (
pH3.0,pH5.0あるいは pH7.0) に0.05%
土壌混和区及び葉面散布註において大きな増加が
となるように溶解したグライコールキチンを基質
認められた。そして 3週日以蜂は 0.5%処 理 匿 で
に用いた。恭質溶液1.4mlに(抽出した各)酵素
増加が見られ,葉面散布区では若干減少する{頃向
港液O
.lmlを加えて 3
7Cで6
0
分間反応させた後,
となったが,無処理区よりは高い活性値であった
0
0
2遇自には
2週目では
S
c
h
a
l
e
s試薬 (0.05%フェリシアンイヒカリウムを
(
第 2図)。つぎの実験におけるキトサン処理・
含む 0.5M炭酸ナトリウム溶液) 2
.0mlを加えて
移植後 6
0日目のイネ儒体は, 0.1%及び0.5%処 理
反応を停止させ, 1
5
分間煮沸した。冷却後は
区 で 無 処 理 阪 よ り も 草 丈 及 び SPAD債 が 有 意 に
420nmに お け る 吸 光 度 の 減 少 を 測 定 (
S
p
e
c
t
r
o
高くなっており(第 3臨),茎葉部のキチナーゼ
photometer, 日 立 製 U-1500
型レシオピーム分
活性鑑も無処理区より高く,増加傾向は 9
0日目及
光光度計)し ,3TCで 1分間に lμmolの GlcNAc
2
0日目の調査でも認められた(第 4図)。
び1
8
60
9
5
0
︿
10
ε U ) U門州問
︿
8
40
7
30
6
20
5
10
。
.5
.
h凶向山OOF¥的判定コ)担制高山中!?引け恥骨
70
鐙
I
総
2週日
3週日
4週目
イネの初期生育への影響
0
0
0
年 5毘2
3日)
(苗移植田:2
キ:丈(白印)及び梁齢(よ~\~[J)は,無処理|玄:口,題
土疑j
託
手
L
10.1%区 :
0
.蓄
量
二!こ JJì~ìn 'ffJ o. 5%区:ム.A.
楽部 j孜布区~
:V
.番
多
2
1週尽
移績後日数
第 1密
4
。
4
1返思
6
第 2詔
2返目
3週 1
3
4週日
イネの初期生膏におけるキチナーゼ活性の
推移(苗移植日:2
0
0
0
年 S克2
3日)
ロ:無処理区 .0:二i
ニ淡混和 0.1%区
,
ム :二
i
二淡 i
WHIO.5%1
玄
く):業関散布区
寛子・芝山秀次郎・光富
千布
30
ド比比山辺副川
l
ι
叩
I
山
1*
大
1州
→
→
無処理区
.
1%区 1
:
:
:
:
.
.
.
.
.
土壌混和0
土 壌 混 和 0.5%区 に 二 ヱ ヱ
OOF¥323g詔将山中izh
ホ df
︿額田辺壌山総)出桝鱈お剖同凶削間足
(60日目)
80
60
土壌割自 0.1% 区民泌以以~..j
土 壌 混 和 0.5%区
にd
40
ー与斗
司~
.
﹀
﹀
.
比
閉
山
無処理区
草 丈 (cm) 及びSPAD
値
2o
進
-
。
!勝・有馬
,
々
*
(90回目)
1
2
.
5¥
-
1
0
1
-
7
.
5
1
可
ー寸
無
処
理
区
郎
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,
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1寸
土 壌j
昆和 0
.
1%区
山山初日守
土 壌 混 和 0.5%区
2
2
→
-1**
干百石
(120民自)
5
60日目
90日目
120回目
移植後お数
第 3函
イネの草丈及び SPAD値への影響
(苗移植日:1999年 6月 1臼)
* * 無 処 理i
玄に対して 5%
水準で有 j
立差あり。
第 4関
イネにおけるキチナーゼ活性の推移
(苗移植自:1999年 6月 1日)
口 :19~ 処理区, 0: 二U1U昆手L1 0.1% 区,ム:土疑混キ110.5% 区
口 : 草 丈 , 図 :SPAD依
茎数
2
.
5
2
3
.
5
3
@
卦
<
:
:
トイ
発事
@
@
※
トイ
昔号ト寸
8
円
¥2-5﹀担割随一如ipmdm怜
(30日目)
無処理区
土壌j
昆和 0
.1%区
土犠;箆和 0
.5%区
築面散布区
(40B自)
無処理区
土壌混和 0
.1%区
土議混和 0
.5%区
葉面散布区
(50B目)
10
4
.
5
4
ト叶
5.h-000
(︿
(議凶巡擦総)思綱穏冶吋同凶殿内攻
終処理区
土壌混和 0
.1%区
.5%区
土壌混和 0
葉面数布区
※
@
ト→
@米
ト斗
1
1
1
@
芳
そ
@
←→
※ @
ト→
@
ト斗
う長
@
主
党
。
※
6
4
ヌ史→
ト寸
@
2
」
25
50
75
100
3
草丈 (cm) 及びSPAD
伎
第 5函
施肥栽培したイネの草丈,~数及び SPAD
値への影響(菖移植担:2
0
0
0年 6月 8自)
口 本 丈 , e:;
芸数, ※
:SPAD{:政
30B毘
40B目
移植後
50目白
a
数
施把栽培したイネにおけるキチナーゼ活性
0
0
0年 6F
.
l8日)
の推移(苗移植民:2
口:無処理区, 0:土壌混手[10
.1%1
玄,ム:こ│二段混手[10
.5%区
第 6図
く>:楽部散布[三
また元肥及び追把を行ったイネについての実験
による生育の差異は見られなかった(第 7歯)が,
結果をみると, 0.5%キトサン処理区では SPAD
キトサン 0.5%土壌混和処理区で SPAD11
患の有意
値が大となっていたが,草丈及び茎数については
な増加が認められた。そしてダイズ茎葉部のキチ
大きな差異は認められず(第 5罰),キチナーゼ
ナーゼ活性測定値を見ると,無処理広でも若干の
活性値についてもキトサン処理による増加等の傾
活性が認められており,さらにキトサン処理に
向は認められなかった(第 6図
)
。
よって活性値が増加し,土壌混和 0.1%,0.5%区
倍の数
及び葉面散布註すべてが無処理区の約1.5
2)キトサン処理がその他作物の生育とキチナー
ゼ活性に及ぼす影響
値になった(第 8国)。さらにつぎの実験におい
て播種後40,50及び60日目と生育経過を追って調
ダイズについては,播種後3
0日呂の個体の茎葉
査すると,ダイズの生育量についてはキトサン処
部生育量をみると,主茎長及び葉位(子葉,初生
理の影響は認められなかったが(第 9図入 キチ
葉を除いた本葉の葉位)についてはキトサン処理
ナーゼ活性については,無処理区にも若干の活性
キトサン処理が数種作物の生育とキチナーゼ活性に及ぼす影響
5
.
5
40
10
4
.
5羽
(εU)蛸州側
出
*
!
E
i
20
縦
*
4
10
3
.
5
。
無処理区
第 7鴎
土壊j
箆和
土壌混和
0
.
1%区
0.5%区
7
.
5
h持
一
5
) 担割照中 iiホ
(.3400OF¥β
躍。︽弘山 ueOM同
5
30
5
2
.
5
。
3
葉海散布区
無処理区 土 壌 混 和 土 壌 混 和 護 菌 数 布 区
0.1%区 0.5%区
第 8図
ダイズの主茎長及び糞位(播韓後約 30自
由)への影響(播種目:2000年 1月26日)
ダイズにおけるキチナーゼ活性
(播種後約30日目)
(播種目:2000年 1月26日)
**無処翌日区に対して 5%水準で、有意表あり。
ロ
::
=
i
=
.i
長長,図:SPAD佑,塁審:本業の梁 1
)
1
:
1
2
8
7
1
0
9
1
1
※→
間ピ己コ)接説純一平lhホサ
(議回泌総轄)回総需冶州問凶隣家
無処理区
.1%区 @
土草案混和 0
土壌混和 0
.5%区 @
禁酒散布区 @
(408e
!
)
予
詞4
米
1
1
1
ト※
然処理l2S:
主
主
;
昆
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.1%区
土i
@
米ト叶
@
土~;箆和 0.5% 区
当
壬
3
寵商散布区
(508目)
1
1
1
豆予4
@
@
;)jC叶
無処理区
土漆混和 0
.1%区
土 壌j
昆和 0
.5%区
奨i
i
i
i散布l2S:
(
6
0回目)
1書
量
l
当4
米
ト寸
2
0
30
8
6
4
E
I
5
0臼混
40回目
@
40
5
0
60
主茎長 (cm) 及びSPAD
値
ダイズの主菜長,葉位及び SPAD値へ
の影響(播種自:2000年 5月23日)
己:主菜長,盤整:本菜の'ii
H立,※:SPAD{
直
第 9函
ダイズにおけるキチナーゼ活性の推移
(播種目:2000年 5月23毘)
第 10密
ロ
:1!lfi 処理区,
日
30
(
/
)
10国
)
。
1
0
2
@
ハツカダイコンについては,茎葉部の生育最は
4
q
d
下
2
2
0「
主
謹
5
相粗削開
は無処理区との大きな差異は見られなかった(第
6
40
ー
一
凡
?
高い活性値が得られており,その後50日目以経で
0: 二l~)Jj~i.f~キ110.1% 区,ム:二仁淡 ifHII0.5%1三,
<:>:業問散布区
が認められるとともにキトサンの土壌混和区及び
葉面散布毘では, 4
0日目の錨体で無処理区よりも
60臼自
矯穫後回数
ト│叶@
請
を
1
0
10
2
トーi
L
O
-﹀﹀・比四()OF¥
本事芝の菜位
6
3
1
キトサン処理により著しい増加が見られ, SPAD
01
f
直,葉齢(子葉を除く)及び葉面積等の有意な増
0.1%区 0.5%区
1国)が,キチナーゼ活性は
加が認められた(第 1
無処理区で大きな{直となり,一方キトサンの土壌
混和 0.1%区 及 び0.5%区では活性値が低下する場
合 ( 第 12菌), あ る い は 活 性 鰻 が 増 加 す る 場 合 も
11
然 処 理 区 土 壌 混 和 土I
譲渡手口
第1
1図
ハツカダイコンの SPAD値 及 び 葉
齢への彰響(播種後約 30日自)
(播種目:1999年 12月 7日)
**:
!
I
告処刻!区に対して 5%水準で有意:笈あり。
口 :SPAD値
,
護
霊 :祭i
総
i
主
!除・有馬
寛子・芝山秀次郎・光富
千布
3
2
6
8
も 00 戸¥的5
g
.
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判一) 寝起照明ーホホバザ
(︿
54000F¥
(︿
5
明恒三コ)担割終川市│ホホけす
4
3
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6
4
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。
無処理区土壌混和土壌混和
無処理区
0
.
1
%を
$
:0
.
5
%区
第1
2密
ハツカダイコンにおけるキチナーゼ活性
(播種後約3
0民自)
(播種目:1
9
9
9
年1
2月 7罰)
第1
3函
5400OF¥
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30
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) 料冊
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幻一広三場製作間山中ih恥 サ
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1
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ム
3
1
0
1
2
3
2
0
0無 処 理 区 土 壌 混 和 土 壌 混 和
無処理区土壌混和土壌混和
0
.
1%区 0.5%区
0
.
1%区 0.5%産
第1
4国
コムギの草丈及び葉齢への塁手饗
(播種後約2
0臼巨)
(播種罰:1
9
9
9年 1
2毘2
8日)
口:SPAD値, 種審和市;
2
0
.
5
%区
4
ム
20
土i
l
l
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箆和
0
.
1
%区
ハツカダイコンにおけるキチナーゼ活性
0日目)
(播種後約 3
(播種目:2
0
0
0年 1月 1
6日)
5
40
土壌混和
第1
5罰
コムギにおけるキチナーゼ活性
(播種後約 2
0臼巨)
(播種目:1
9
9
9年 1
2月 2
8日)
あるなど(第 1
3図), イネやダイズとは異なる結
播種後日数が同時期で生育様相が同程度であって
果となった。
も,ハツカダイコン,コムギ及びオオムギ、のキチ
またコムギについては,本実験の範囲内では草
ナーゼ活性には変動が見られた。
丈,葉齢などの茎葉部生育にはキトサン処理によ
る影響は全く見られず(第 1
4閤),キチナーゼ活
性についてもハツカダイコンと同推に処理により
考 察
植物ではメロンの苗,
トマトの葉及び根,エン
活性値が無処理医より低下する結果(第 1
5図)が
ドウのさや,ニンジンの培養細抱において, ウイ
克られ,オオムギについても類似する傾向が得ら
ルス及び病原菌の感染,あるいは種々の化学物質
れた(第 16-A密)。しかし,イネやダイズと同
の処理によりキチナーゼが誘導されることが報告
様にキトサン処理によってキチナーゼ活性舗が増
されている (古賀, 1
9
9
5
)。一般に生背中の植物
6一自国)もあり,
加する傾向が見られる場合(第 1
体のキチナーゼ活性の測定はあまり仔われていな
キトサン処理が数稜作物の生育とキチナーゼ、活性に及ぼす影響
A
8r
3
3
B
10
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無処理区土壌混和土壌混和
0
.
1%区
0.5%区
無処理区ゴニ滋混手口土i
哀j
毘和 E
草笛散布区
0.1%区 0.5%区
第1
6図 オオムギにおけるキチナーゼ活性(播撞後約2
0日間)
A:'
実
験1(
i
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I
J
定
日2
0
0
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1
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1
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0年 1)n5
E
I
), (
:
t
i
l種目 2000i
:
f1月 6D)
B:実験 2 (
いが,キャベツやダイコンについては 0.1~2.0
調査でも認められた(第 4盟)。一方施肥栽培し
units/100gF.W. の活性値が報告されている(平
0,
40
たイネでは,キトサン 0.5%処理区は移植後3
9
8
8
)。本研究では,数種類の供試作物につ
野
, 1
日 目 で も 他 区 に 比 べ る と SPAD値 が 高 か っ た
いてキチナーゼ、活性の測定を行い,いずれの作物
が
, 5
0日目には 0.5%霞を除いて他毘は肥料切れ
においてもキトサン無処理匿の作物にも O
.5~9.0
による葉色の減退で SPAD値の著しい低下が見
units/100gF.W. 程度の活性値が得られており
られ,差異が大きくなっており(第 5圏),また
(
第 2, 4, 6, 8,1
0,1
2,1
3,1
5及び 1
6図) ,
キチナーゼ活性値も減少していた(第 6図)。こ
これはすべての作物において,正常な生育下でキ
の点についても,キトサン分子のアミノ基による
チナーゼ活性値が高まることを示している。また
窒素成分の施用効果等を含めて,キチナーゼ活性
無施肥栽培したイネの場合,移植後日数が経過す
への影響を再検討する必要がある(千布
るとともに無処理区のキチナーゼ、活性も高まって
いる(第 2及び 4閤)ことから,活性値はイネの
生育とともに増加するのではないかと考えられた。
ら
, 1
9
9
9
)。
ダイズについては,本研究ではキトサン処理に
よりキチナーゼ活性は高まった(第 8関)が,
1/5000aポットを使用して
茎長及び葉位には差異が認められなかった(第 7
2
0日目の個
無施肥でイネを生育させ,苗移植後 1
及び 9図)。また播種後60日目に活性値の減少が
体まで測定しており,水田で普通に成長するイネ
見られ(第 1
0図),施肥栽培したイネ(第 6図)
と比較して生育不十分で、あったと考えられるため,
と類似した傾向があり,土壌中の窒素量との関係
今後は十分に生育する個体を用いて時期による変
も検討する必要がある。一方キチン及びキトサン
化を詳細に調査する必要がある。
の土壌混和処理あるいは葉顎散布処理により,ダ
しかし本研究では,
つぎにキトサン処理の茎葉部の生育への効果と
イズの根粒形成が増加すること (
A
l
ie
tαl
.,1
9
9
7
)
茎葉部のキチナーゼ活性への影響の調査を行った
や茎葉部の生育や子実収最が促進されること(原
が,土壌混和あるいは葉面散布によりキトサン処
田ら, 1
9
9
5
) が報告されている。今後さらに,ダ
理をして無施肥でイネを生育させ,その影響を調
イズの生育への影響について確認していく必要が
査した結果, 0.1%及 び0.5%キトサン土壌混和処
ある。ハツカダイコンについては,キトサンの干重
理により,イネの生育が促進されて SPAD値 が
子被覆あるいは土壌混和処理により,綾部及び葉
くなるとともに,苗移植後 2遇目頃から茎葉部
部におけるキチナーゼ活性が賦活することが報告
のキチナーゼ活性値が高くなり(第 2図),その
されている(福井ら, 1
9
8
9
) が,本研究では地上
増加傾向は移植後60日目, 9
0日白及び1
2
0日目の
部の生育量はキトサン処理により大きく増加した
3
4
千 布 寛 子 ・ 芝I
lJ秀次郎・光富
(
第1
1盟)が,キチナーゼ活性は減少(第 1
2図)
勝・有馬
進
)
。
齢 及 び SPAD値に大きな差異がある(第 3閣
3国)とぱらつく傾向が
あるいは増加したり(第 1
しかし,茎葉部すべてを採取して測定に用いるた
見られた。またコムギ及びオオムギについては,
め,無処理区とキトサン処理区では供試した個体
茎葉部生育量はキトサン処理による促進効果はな
の葉齢に若干の違いがあり,そのことがキチナー
4図)が,キチナーゼ、活性については
かった(第 1
ゼ活性の値に影響を与えることもあると考えられ
ハツカダイコンと間様に低下あるいはばらつく傾
る。ハツカダイコンについても,葉齢や本葉の葉
向が見られた(第 1
5及び訪問)。これらの点につ
面積には大きな差異があり, 0.5%混和処理区では
いては,実験条件,とくに実験を行った季節や気
本葉の葉面積が無処理区の約 2倍に増加すること
象,栽培条件と作物のキチナーゼ、活性との関係に
をすでに報告している(千布ら, 1
9
9
9
)。また,
ついて, さらに十食言すを行う必要がある。
キトサンの処理効果は子葉よりも本葉で大きく現
以上のごとく,本研究では作物へのキトサン処
れており,子葉と本葉との開でもキチナーゼ活性
理によりキチナーゼ活性が増加する場合と条件に
の値が異なることも考えられる。ダイズについて
より増加あるいは減少する結果が得られた場合と
は第 2本葉のみを採較したが,コムギ及びオオム
があり,イネのように生育量の増加とともに活性
ギについては,草丈及び葉齢に大きな差異は見ら
値が増加するもの,ダイズのように生育量には差
3国),葉身及び葉鞘部すべてを測定に
れず(第 1
がないが活性鑑は増加するものなど,作物の種類
用いている。生育調査では草丈や葉齢等に処理の
によりキトサン処理の影響に差異が見られた。本
影響は認められなかったが,植物体内の生理活性
実験では,イネとダイズのような夏作物とハツカ
面では何らかの影響が生じているとも考えられる。
ダイコン,コムギ及びオオムギのような冬作物で
したがって,粗酵素抽出液を調製する際に葉位別
はキトサン処理の影響の現れ方に違いがあるので
に採取し,同処理区需で比較し,これら各作物の
はないかと考えられ,この点についてもさらに検
生育段階や葉位とキチナーゼ活性との関係もさら
討する必要がある。またハツカダイコンでは,調
に検討する必要がある。
査時の播種後日数や生育様相は同じ程度であって
また各実験は数聞の反複を行っているが,実施
もキチナーゼ活性に変動が見られたため(第
時期が年聞を通じてかなり異なっており,実験条
1
2, 1
3図),実験条件,とくに実験を行った時期,
件における温度,日長,海水などの点が種々異なっ
場所,方法の他,気象条件や土壌条件などの生育
ていたこともキチナーゼ活性値に影響を与えたと
環境の違いが活性にも影響を与えることが考えら
考えられる。今後は一定の実験条件下で正常に生
れ,今後,自然環境下を含めて生育やキチナーゼ
育させた個体について生育や活性値の測定を行う
活性を調査する必要があると思われる。またイネ
必要がある。
は,施肥を行って生育させ,キトサンを土壌混和
本研究ではイネ及びダイズについてのみ生育経
処理あるいは葉面散布処理した場合は,処理によ
過及びキチナーゼ活性の推移を調査したが,生育
り草丈や茎数, SPAD値の増加が見られた(第 5
時期によりイネの活性値に変動が見られるため,
図)が,キチナーゼ活性値に対するキトサン処理
今後は他の作物についても生育経過とキチナーゼ
の影響は現れなかった(第 6国)ことから,施肥
活性との関係をさらに調査する必要があると考え
の有無との関係も比較検討する必要があると思わ
られる。
れる。
キチナーゼ、活性を i~1j定する場合,作物試料から
語 辞
粗酵素を抽出する際は,茎葉部すべてを採取する
本研究を進めるにあたり,九州キトサン存浪会
が,個体が小さく測定が関難であるため,いくつ
社(長崎県佐世保市)からキトサン粉末及びキト
かの試料を合わせて酵素活性を求め,新鮮植物重
サン溶液の提供をいただいた。ここに記して感謝
100g当たりの u
n
i
t催として算出している。イネ
の意を表する。
については,苗移植後 4週日程度の個体では草丈
及び葉齢にそれほど大きな差異は見られない(第
l図)が,移植後6
0日呂以上の個体では草丈,葉
キトサン処理が数種作物の生育とキチナーゼ活性に及ぼす影響
引用文献
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. Ali
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6
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. 千布3
2子・芝 1
1
1秀次自s
r・有馬進 1
9
9
9
. キトサンのごt淡 混
和処理がハツカダイコンの成長に及ぼす影響. E
l作 紀 6
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に対する自己防護機能. E
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13. 平野茂博 1988. 員~
6jな・植物キチナーゼと病三~~:に対す
る純物自己防護機能.キチン・キトサン研究会編一段後
のバイオマスーキチン,キトサン. f
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H版,東京.
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. キチン,キトサンのはなし.技報堂出版,
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