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KPMGミャンマー通信 Vol.11/2015

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KPMGミャンマー通信 Vol.11/2015
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KPMG Global Japanese Practice
2015年4月
KPMGミャンマー通信 Vol.11/2015
【2015年税法改正-非居住者の税率を大幅に軽減】
2015年改正税法
2015年4月6日、2015年連邦所得税改正法(2015 Tax of Union Law)ならびに商業税改正法
(Law Amending the Commercial Tax Law)が国会で承認され公表されました。これらの法律
は、本年度(2015年4月1日に開始される事業年度)から施行されます。
今年度の改正で特筆すべき事項は、非居住者・非居住法人への所得税率が、居住者・居住
法人と同等の税率までに引き下げられたことです。
•
•
•
外国法人(の支店)への法人税率が、35%から25%に軽減された。
外国法人の獲得したキャピタルゲインへの法人税率が、40%から10%に軽減された。
外国人(個人)の所得税率は、35%一律から居住者と同等の累進税率(0~25%)に
軽減された。
法人税の改正事項
非居住法人の税率
法人税の税率は、以下の表のように変更されました。
このことにより、外国法人の支店と現地法人との法人税率の差異は解消されました。ただ、
当該法人税の前払いとして、売上代金回収時に源泉徴収される税金の税率は、現地法人が
2%、外国法人の支店(非居住法人)が3.5%のままです。いったん、納付された源泉税がな
かなか還付されない現実を考えると、依然として、支店のほうが結果的に割高な法人税を負
担することになるリスクは解消されていません。
キャピタルゲインへの税率は、居住者・非居住者ともに10%に統一されました。ただし、石
油・ガス事業を行う外国法人が獲得したキャピタルゲインへの課税の税率は40%のままなの
で、留意が必要です。
日本とミャンマーの間には租税条約がなく、租税条約の締約されているシンガポールを経由
する投資スキームが広く利用されていますが、その理由の1つであったキャピタルゲイン課税
の税率の相違は、今回の改正により解消されたことになります。
≪税率≫
事業所得
キャピタルゲイン
納税者
改正前
居住住人
改正後
改正前
25%
非居住法人
(外国法人の支店を含む)
35%
改正後
10%
25%
40%
10%
©2015 KPMG Advisory (Myanmar) Ltd. a Myanmar limited liability company and a member firm of the KPMG network of independent member firms
affiliated with KPMG International Cooperative ("KPMG International"), a Swiss entity. All rights reserved.
KPMG ミャンマー通信 Vol.11/2015
≪源泉徴収税≫ ※ 今年度の改正では変更はありません。
取引
居住者⇒居住者
居住者⇒非居住者
支払い利息
-
15%
配当金
-
-
ロイヤルティ
15%
20%
物品購入代金の支払い
2%
-
サービス料の支払い
2%
3.5% ※
※非居住者の法人税率は変更されましたが、源泉税率は依然として3.5%であることに注意が必要です。
個人所得税の改正事項
非居住者の税率
ミャンマー個人所得税法では、事業年度内の累計滞在日数が183日以上の者を居住者、そ
れ未満の者を非居住者と定義していますが、その税率が以下のように変更されました。
短期の出張者の二重課税の問題は、租税条約が締結されるまで悩ましい課税として残りま
すが、少なくとも税率については居住者と同等の取り扱いとなり、若干の負担軽減となると言
えます。
≪個人所得税の税率≫
給与所得その他の所得
キャピタルゲイン
納税者区分
給与所得
改正前
ミャンマー国民
国内に
居住する者
その他の外資収入
改正後
改正前
0%~25%の累進税率
海外に
非課税
居住する者
居住者
0%~25%の累進税率
非居住者
35%
外国人
0%~25%の
累進税率
改正後
改正前
10%
10%
改正後
10%
非課税
40%
10%
10%
35%
25%
40%
※課税年度(4月1日~3月31日)内の国内での滞在日数が183日以上の者が居住者と定義されます。
ミャンマー法人・個人が不動産等を取得した際の課税
ミャンマー現地資本の会社と合弁を行う場合、組織の再編とともに土地建物の不動産の移
動を伴うことがあります。ミャンマーの個人や法人が不動産等の高額資産を取得して、その
購入資金の源泉が証明できない場合、過去の所得税課税を回避した所得(いわゆる「ブラッ
クマネー」)とみなされ、遡及して課税される仕組みとなっています。昨年度までは、資産の取
得金額の多寡に係らず一律に30%の課税が行われていましたが、今回の改正で、次のよう
な累進税率が適用されることになりました。
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10%
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所得税率
不動産の所得に係り
過去に無申告であったとみなされた所得額
1 ~
100,000,000
100,000,001 ~
500,000,000
500,000,001 ~
1,000,000,000
1,000,000,001 ~
1,500,000,000
改正前
改正後
Kyat
3%
5%
30%
1,500,000,001以上
10%
20%
30%
商業税の改正事項
特別税率課税品目の税率の変更
昨年4月の改正により、一般の課税品目に対する商業税の税率は一律5%に変更されました
が、一部の品目については、特殊な税率が残されています。今般、これら品目の一部の税率
について、以下のような変更が行われました。
また、これらの品目の一部は、輸出の際にも課税されることになっていますので、その税率も
同様に変更されることになります。
商業税率
2014年度
2015年度
1
紙巻たばこ
100%
120%
2
その他のタバコ・シガーなどのタバコ製品、各種アルコール製品、ビール
50%
60%
3
ワイン
50%
50%
4
チーク材とその加工品、その他の硬材とその加工品
25%
25%
5
翡翠、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド、その他の宝石の原石
30%
15%
6
翡翠、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドなどの宝飾品
15%
5%
7
1800cc以上の車両(ヴァン、サルーン、セダン、ワゴン、クーペ)
25%
25%
8
ガソリン、ディーゼル油、航空機燃料
10%
10%
9
天然ガス
8%
8%
2014年度
2015年度
輸出品目に係る税率
1
原油
5%
5%
2
天然ガス
8%
8%
3
チーク材、その他の硬材とそれらの加工品
50%
50%
4
翡翠、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド、その他の宝石の原石
30%
15%
5
翡翠、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドなどの宝飾品
10%
5%
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国内産品への軽減税率の廃止
国内で生産される農産物、水産物、畜産物などの60品目には、2%の軽減税率が適用される
ことになっていましたが、今年度よりこの取り扱いは全廃され、通常税率5%で課税されること
になります。
非課税サービス項目の一部変更
非課税とされていたサービス項目の一部のものが削除され、非課税のサービス項目は以下
のように変更されました。
《非課税サービス》
No.
(以下、赤字のサービスが削除されます)
サービスの内容
1
Services consisting in renting out houses(借家の家賃)
2
Services consisting in renting out car parks(駐車場賃借料)
3
Life insurance services(生命保険料)
4
Microfinance services(マイクロファイナンス)
5
Health care services(健康保健サービス)
6
Education services(教育サービス)
7
Services consisting in the transportation of goods(運送サービス)
8
Services of employment agencies(人材紹介・雇用サービス)
9
Banking services(銀行サービス)
10
Customs clearance services(通関サービス)
11
Renting out objects such as tables, chairs or crockery for social functions(催事備品のレンタル)
12
Licensed slaughtering of animals(食肉処理サービス)
13
Contract manufacturing(委託加工サービス)
14
Funeral services(葬祭サービス)
15
Container transport services(コンテナ運輸サービス)
16
Child nursery services(保育サービス)
17
Myanmar traditional massage / massage performed by a blind person(伝統的マッサージ)
18
Moving services(引越しサービス)
19
Services for which a road toll is charged(道路通行料集金サービス)
20
Animal health care services(獣医サービス)
21
Services consisting in the provision of public toilets(公衆トイレに係るサービス)
22
Outbound air transport services(外国行きの航空旅客サービス)
23
Services concerning culture and art(芸術・文化サービス)
24
Information technology services(情報処理サービス)
25
Technology and management consultancy services(技術・マネジメント コンサルティング)
26
Public transport services (bus, railway and ferry boat)(公共交通サービス)
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非課税枠の引き上げ
商業税法では、一定金額の売上高までを非課税とする枠を設けています。その非課税額の
上限が15,000,000チャットから20,000,000チャットに引き上げられました。
当該非課税枠は、「非課税事業者」を規定する売上基準と混同されがちですが、この非課税
枠はすべての課税事業者に適用されるものです。年間の売上高のうち、上記の額まで商業
税の課税を免除するというもので、いわば、所得税計算の際の基礎控除と同じ性質のもので
す。商業税の課税業者登録は、原則、すべての企業が行う必要があります。
編集・発行
KPMG Advisory (Myanmar) Ltd.
ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に
対応するものではありません。私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、
情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りではありません。何らかの行
動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調
査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。
藤井 康秀/井上 浩三郎
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