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開設の手引き 詳細版(PDF:328KB)
市民農園開設の手引き 平成23年8月 京都府農林水産部農村振興課 目 次 1 市民農園とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 市民農園の分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 (1)貸し農園タイプ (2)農園利用タイプ 3 市民農園開設の手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 (1)貸し農園タイプ (2)農園利用タイプ 4 市民農園の開設場所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 5 市民農園に係る相続税等の取扱い・・・・・・・・・・・・・9 6 市民農園開設に活用できる補助事業・融資制度・・・・・・・10 7 その他参考資料等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 1 市民農園とは 一般に「市民農園」とは、サラリーマンなど都市住民の方々が、レクリエーション 目的で、小面積の農地を利用して自家用野菜や花を育てるための農園のことです。高 齢者の生きがいづくりや児童の体験学習など、様々な目的に活用され、地域活性化の 役割も担っています。 市民農園を利用したい人は年々増加しており、地方公共団体、農業協同組合、農家、 企業、その他の個人または法人(任意団体は除く)など、誰でも市民農園を開設でき るようになっています。 市民農園の利用は、基本的に営利以外の目的で行われますが、趣味的な動機による 農作物栽培のために農作業を行う場合であれば、自家消費を超える余剰農作物を直売 所等で販売することができます。 2 市民農園の分類 市民農園の開設は、利用者に対する農地の貸付の有無や、附帯施設(トイレや駐車 場等)整備の有無によって適用法令が異なります。市民農園は、貸し農園タイプと農 園利用タイプにの2つの方法で分類することができます。適用法令別の開設方法につ いては、3 市民農園開設の手続きの項で詳しく述べます。 (1)貸し農園タイプ(農地の貸付あり) 特定農地貸付の要件を満たす場合に、農地法の特例として「レクリエーション 目的等のための小規模な農地の貸付け」を行う方式のことです。利用者は開設者 に賃借料を支払って農地を借り、利用者自らが計画して自由に作付けを行います。 法人や個人であれば誰にでも開設することができますが、集落営農組織などの 任意団体は農地貸付け等の行為ができないため、組織の構成員である個人の連名 で農地を借り受けて開設します。 <特定農地貸付の要件> ・10a(1,000m2)未満の貸付け ・相当数の者を対象とした定型的条件での貸付け ・営利を目的としない農作物の栽培 ・5年以内の貸付け (2)農園利用タイプ(農地の貸付なし) 開設者は利用者に農地を貸し付けず、農作業体験のみをサービスとして提供 する方式のことです。利用者は農業者等の指導・管理のもとで、営利以外の目 的で農作業を行います。農地所有者であれば自由に開設・運営することができ ます。 貸し農園タイプ 農園利用タイプ 開設方式 市民農園整備促進法 に基づく開設 概 要 市町村が市民農園区域を 指定し(市街化区域以外 の場合) 、開設者が市町村 の認定を受け開設する 開 設 主 体 地方公共団体、農協、農 業者、NPO、企業など 利用者に対 する農地の 貸借 あり (農地法の許可不要) 特定農地貸付法 に基づく開設 法律の適用なし 開設者が貸付規程を作成 し、農業委員会の承認を 受けて開設する 利用者は農業経営を行 う開設者の指定する区 域に入園し、農園を利 用する 地方公共団体、農協、農 業者、NPO、企業など 地方公共団体、農業者 など農地所有者 あり (農地法の許可不要) なし 可 施 設 整 備 (農機具収納施設、休養施 設等整備の農地転用の特 例あり) 不可 農地転用の手続きが 別途必要 相続税納税 猶予の適用 なし なし (市民農園整備促進法に基づ く場合あり) 適用の可能性あり <参考> クラインガルテン(滞在型市民農園) 都市農村交流の推進を目的とし、宿泊可能な施設等を備えた市民農園はクライン ガルテン(滞在型市民農園)と呼ばれます。利用者は施設に滞在しながら農作業を 楽しみ、地域住民らとの交流も楽しむことができます。 京都府では、平成23年現在2箇所のクラインガルテンが開設されています。 3 市民農園開設の手続き 市民農園を開設する場合、開設者が誰であるか、農地を所有しているか等の条件で 手順は異なりますが、一般的な流れは次の通りとなります。 開 設 企 画 ・・・市民農園の基本構想の作成 開設方法・利用方法の検討 開設場所の選定 ・・・立地条件等を考慮した開設場所の選定 農地所有者との交渉 ・・・開設地所有者の意向を把握、土地の権利取得交渉 市民農園の設計 ・・・区画の大きさ、施設の位置、利用内容の決定 管理・指導体制の決定 開 き ・・・各種関係法令の確認 申請書の提出 備 ・・・農地及び附帯施設の整備 利用者の募集・選定 開 設 設 手 続 準 市民農園の開園 ・・・開園後の管理・運営 利用者へのサービス等 (1)貸し農園タイプ(農地の貸付あり) ① 特定農地貸付法に基づく開設 利用者に対して農地を貸し付けるタイプの農園を開設する場合で、付帯施設の 整備を行わない場合は、特定農地貸付法に基づいて開設します。特定農地貸付法 による開設は、法人(任意団体を除く)や個人であれば、誰でも開設できますが、 開設者によって手続きは異なります。 1 地方公共団体及び農業協同組合が開設する場合 開設者は「貸付規程注1」を作成する。 開設者は①を添付し、農業委員会に「特定農地貸付けの承認申請書」を提出する。 ②の申請に対して農業委員会の承認を得る。 農地所有者は開設者に所有権または使用収益権 注2を設定する(農業協同組合は、組 合員からの借り入れに限定される)。 ⑤ 開設者は募集を開始。利用者に対して使用収益権を設定し(特定農地貸付け)、利用 契約を結ぶ。 ① ② ③ ④ 2 地方公共団体及び農業協同組合以外で農地を所有している者が 開設する場合 ① ② ③ ④ ⑤ 3 開設者は市町村と貸付協定注3(二者協定)を締結する。 開設者は「貸付規程」を作成する。 開設者は①と②を添付し、農業委員会に「特定農地貸付けの承認申請書」を提出する。 ③の申請に対して農業委員会の承認を得る。 開設者は農園利用者を募集し、利用者に対して使用収益権を設定し、利用契約を結ぶ。 (※①~④は市町村・農業委員会と事前調整が必要です。) 地方公共団体及び農業協同組合以外で農地を所有していない者が 農地を借り受けて開設者となる場合 ① 開設者は地方公共団体または農地保有合理化法人から農地を借り受け、市町村と農地 の借り受け先である地方公共団体または農地保有合理化法人等と貸付協定(三者協定) を締結する。(※借り受け先が市町村の場合は二者協定) ② 開設者は「貸付規程」を作成する。 ③ 開設者は①と②を添付し、農業委員会に「特定農地貸付けの承認申請書」を提出する。 ④ ③の申請に対して農業委員会の承認を得る。 ⑤ 農地所有者は地方公共団体または農地保有合理化法人 注4 に農地の所有権の譲渡また は使用収益権を設定する。 ⑥ 地方公共団体または農地保有合理化法人は、農園開設者に使用貸借による権利または 貸借権注5の設定をする。 ⑦ 開設者は農園利用者を募集し、利用者に対して使用収益権を設定し、利用契約を結ぶ。 (※①~⑥は市町村・農業委員会等と事前調整が必要です。) ◆注1 貸付規程 農園開設者が農園利用者に農地を貸し付ける際のルールを定めた規程。 ◆注2 使用収益権 地上権、永小作権、賃借権その他土地の使用及び収益を目的とする権利 ◆注3 貸付協定 農園開設者が、農地を市民農園として適正に管理・利用することを約束するため、農 地の所在する市町村と締結する協定。 ◆注4 農地保有合理化法人 農用地等の権利移動に直接介入することで、農業経営の規模の拡大、農地の集団化そ の他農地保有の合理化を図ることを目的とする公的な法人。 ◆注5 使用貸借による権利または賃借権 使用貸借による権利とは、使用及び収益をした後に返還することを約束して、相手方 から無償で物を受け取る権利。賃借権とは、賃貸借契約に基づき、借り受けた者が有償 で借りたものを使用収益できる権利。 農園利用者に対する貸付期間には制限(5年以内)がありますが、農園開設者に対す る貸付期間については、特に制限はありません。 ② 市民農園整備促進法による開設 農地以外に農機具収容施設や休憩施設、トイレ、駐車場等を備えた市民農園を 開設する場合は、市民農園整備促進法に基づいて開設します。 農園開設者は都道府県知事が策定した市民農園整備基本方針に適合する内容の 整備運営計画を作成し、市町村の認定を受ける必要があります。また、開設場所 が市町村が定める市民農園区域か市街化区域に限られるため、それ以外の場所で 開設する場合には、あらかじめ市町村による区域指定が必要です。 貸し農園タイプであれば、開設者ごとの開設の流れは特定農地貸付法の場合と 同じになります。 「市民農園整備運営計画書」認定までの流れ ① 開設者は、「市民農園整備運営計画書」を作成する。 ② 開設者は、「市民農園整備運営計画書」「市民農園開設認定申請書」及びその他参考資料 を農園所在地を管轄する市町村に提出し、整備運営計画書の認定を申請する。。 ③ 市町村は関係部局に連絡・調整したうえで、農業委員会に対して市民農園の開設決定を依 頼する。 ④ 農業委員会は必要に応じて現地調査等の審査を行い、③に対して回答する。 ⑤ 市町村は都道府県知事に対して「市民農園開設認定同意申請書」を提出し、同意の協議 を行う。 ⑥ ⑤に対して都道府県知事が市町村あて同意する。 ⑦ 市町村は、開設者に対して整備運営計画書を認定する。 市町村が市民農園整備運営計画書を認定すると、開設者にとって以下のメリッ トがあります。 ・農地の貸付について特定農地貸付法の承認があったと見なされ、農地法の権利移動の 許可等が不要。 ・農地の転用について農地法第4条第1項、第5条第1項の許可があったと見なされ、整備 運営計画に定める休憩施設等の整備2については農地法の転用手続きが不要。 ・市街化調整区域で開設する場合、都市計画法の開発行為等の許可が可能。 (2)農園利用タイプ(農地の貸付なし) 農園利用タイプの市民農園は、農地の利用について使用収益権等の権利を設定し ないので、適用法令なしで開設できます。 附帯施設を整備するときは、農地法上の農地転用許可手続きが必要になるため、 市民農園整備促進法に基づく手続きで開設します。市民農園整備促進法は、貸し農 園タイプ・農園利用タイプのいずれの場合にも適用できます。 ① 農園利用契約による開設 農園開設者は利用者との間で農園利用契約を締結し、賃借権使用収益権の設定 又は移転は行いません。利用者は、開設者に利用料を支払って農作業を行います。 開設場所の指定はなく、行政庁への書類の提出等は必要ありません。農地を所 有していない者が開設する場合、農地の所有権又は使用収益権の設定には農業委 員会の承認が必要です。 開設にあたっては、次の要件を満たす必要があります。 ・相当数の者を対象に、定型的な条件(利用期間や利用料金等)で行われること。 ・レクリエーションなど営利以外の目的で行われる農作業の用に供されるものであるこ と。 ・継続して行われる農作業に供するものであること。継続して行われる農作業とは、年 に複数の段階の農作業(植え付けと収穫等)を行うことをいうものであって、果実等 の収穫のみを行う「もぎとり園」は含まれない。 ② 市民農園整備促進法による開設 農園利用タイプでも、農地以外に附帯施設を設置する場合は、市民農園整備促 進法に基づく手続きが必要です。 4 市民農園の開設場所 (1)特定農地貸付法に基づく開設または農園利用タイプの農園 特に区域は限定されていませんが、交通事情や道路状況から見て利用者が来園し やすいか、周辺農用地に支障を及ぼさない位置であるか、水利の便、排水等その他 条件等を考慮して開設場所を選定します。特定農地貸付法に基づく場合は、農業委 員会の承認を受ける際に、農園が適切な位置にあるかを考慮して判断されます。 (2)市民農園整備促進法に基づく開設 市民農園区域または市街化区域(都市計画法第四条第六項 に規定する都市計画 施設の区域、同条第七項 に規定する市街地開発事業の施行区域その他の区域で政 令で定めるものを除く)に限られます。 市民農園区域とは、市民農園の開設を誘導する区域を指定することにより、農業 上の土地利用との調整を図るとともに、市民農園の効率的な整備を図ろうとするも のです。 区域指定は市町村によって行われます。府の市民農園整備基本方針に基づき、か つ市町村の農業振興地域整備計画や地域の実情を踏まえた上で、開設後も円滑な運 営の見込みが十分ある場合に行われます。 5 市民農園に係る相続税等の納税猶予の取扱い(平成23年度現在) (1)貸し農園タイプによる市民農園 納税猶予の適用を受けられない 利用者に農地を貸付している場合は、当該農地で自ら営農を行っていないと見な されるため、適用を受けられません。 (2)農園利用タイプによる市民農園 次の要件をすべて満たす場合、納税猶予が受けられる可能性がある ア イ ウ エ オ 農業経営は農地所有者が自ら行う。 入園者は健全なレクリエーションの目的として、その農作業の一部を行う ために農園に入園する。 入園者は入園料を支払う。 収穫物は入園者に販売する(入園料に含まれるケースもある)。 入園契約は1年以内程度の短期なものとする。 これらの内容は一般的な運用であり、必ずしもすべての事例にあてはまるもので はありません。詳細については、お近くの税務署にお問い合わせください。 6 市民農園開設に活用できる補助事業・融資制度 市民農園の開設にあたっては、農地や附帯施設の整備に必要な費用について、以 下のような国の補助を受けることができます(平成23年度現在)。 詳細については、各担当部局にお問い合わせください。 事業等名 実施主体 事業期間等 食 と 地 域 の 交 流 促 進 対 市町村、民間団体(N 事業実施期間:1年 策交付金 PO法人、JA等) 国の担当部局 農村振興局農村制作部 都市農村交流課 農 山 漁 村 活 性 化 プ ロ ジ 都道府県、市町村、 採択時期は秋以降 農村振興局整備部農村 ェクト支援交付金 JA (前 々 年 度 に ヒ ア リン 整備官活性化支援班 農業者が組織する団 グを開始) 体等 事業実施期間:3~5年 地域自主戦略交付金 都道府県、市町村等 採択時期は秋以降 農村振興局整備部農村 整備官 耕 作 放 棄 地 再 生 利 用 緊 農業者、農業者組織 採択時期は通年 農村振興局整備部農地 急対策交付金 地域耕作放棄地協議 事業実施期間は平成25 資源課 会等 年まで 農業近代化資金 農業者、JA、JA連合 採択時期は通年 会等 経営局金融調整課農業 近代化資金係 農業経営基盤強化資金 認定農業者等 〃 経営局金融調整課経営 改善促進資金係 中山間地域活性化資金 農業者等 〃 農村振興局中山間地域 振興課調査係 7 その他 市民農園の開設申請にあたって必要な参考様式例等は別紙様式集のとおりです。 ・特定農地貸付規程 ・特定農地貸付の承認申請書 ・貸付協定 ①自らが所有する農地で市民農園を開設する場合 ②借り受けた農地で市民農園を開設する場合 ・市民農園整備運営計画書 ・市民農園開設認定申請書 ・農園利用契約書 ・市民農園整備基本方針(京都府策定:平成4年12月25日)