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「IT化推進事業」による 業務のシステム化

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「IT化推進事業」による 業務のシステム化
秋田県公立小中学校事務職員研究協議会 広報誌
2011 年 2 月発行 第 46 号
「IT化推進事業」による
業務のシステム化
秋田県教育庁給与・旅費センター長
畑 中 厚
情報通信技術の進展によるインターネットの急速な普及とともに、コンピュータは私共の仕事や日
常生活にとって必要不可欠なツールとなりましたが、県教育委員会においては、
「IT化推進事業」に
基づいて平成21年度から市町村立小中学校における給与等事務処理のシステム化を図りました。
この事業は、ITを活用した業務システムを構築し、教育委員会の人事管理及び給与・旅費支払事
務の効率化・集中化を目指したもので、知事部局で導入済みの既存システムと重複しない部分、及び
これまで手作業や独自処理で行っていた業務をシステム化の範囲としています。また、財務会計シス
テム等知事部局システムとデータ連携が可能なシステムとして構築しており、県教育委員会にとって
初めて大規模システムを導入するモデルプロジェクトとして庁内外から注目を集めた事業です。
会員各位がユーザーである給与・旅費支払システムは、従来、各教育事務所・出張所で行われてき
た給与・旅費支払事務を一括集中処理するもので、インターネット回線を通して情報を送受信する方
式を採用した全国的にも先駆的な開発事例です。また、システムの本格稼働に合わせて設置された「給
与・旅費センター 」は、予算執行業務と出納審査業務(支払審査)を併せ持つ組織となり、県教育委員
会において自己完結できる体制を整備した画期的な取り組みでもあります。
このことにより小中学校教職員の旅費は口座振込となり、現金取扱いが解消されたことで安全性は
飛躍的に向上し、年間6万件を超える出納審査業務は効率化が進むなど大きな効果が現れております。
業務移行当初は、仕組みが変わったことによる混乱等もありましたが、会員各位の協力や関係機関
の適切な対応により、その後は順調に推移しております。今後も関係各位と緊密な連携を図りながら、
システムの安定稼働、業務の効率化に努めたいと考えております。
学校事務職員を取り巻く環境は、ここ数年間に学校事務のセンター化や共同実施、市町村への手当
認定権移譲、業務のシステム化など過去に例がないほど急激に変化してきました。
児童・生徒の減少や財政状況の脆弱化などにより今後も大きな変動が予想され、業務の複雑化・高
度化が進むことは必至です。
事務職員の皆様には、相互の ネットワーク を有効活用するとともにスキルの向上に努め、学校で
唯一の行政職員として学校の活性化や学校教育活動の推進に努めて欲しいと願っております。
− 1 −
秋田県公立小中学校事務職員研究協議会
会長 館岡 彰氏 退職記念インタビュー
「仲間の支えがあったからできた」
歴代で最も長く「会長」を務めた館岡彰氏が、今年
度末で退職を迎えます。この長かった6年間を振り返
りながら語ってもらいました。
PROFILE
【氏 名】館 岡 彰 【生 年 月 日】S25年8月16日 【採用年月日】S53年4月1日
【血 液 型】O型 【趣 味】庭いじり・スポーツ観戦
【所 属 校】太田東小(4年)、豊岩小(3年)、飯島小(1年)、浜田小(3年)、五里合中(1年)、船川第一小(2年)、
大久保小(5年)、土崎南小(5年)、明徳小(2年)、石沢小(2年)、羽後中(2年)、雄和中(3年)
《12校 33年勤続 小学校9校(27年) 中学校3校(6年)》
【事務研役職】男鹿支部幹事長、秋田支部研究部長、秋田支部幹事長、秋田支部副会長、県事務研広報部長、県事務研会長
長く会長をやったからこそ
やりたいことができた。
また、昨年度は給与・旅費センターができて混乱し
会長をやっていて一番大変だったのは、40周年事
まとめ役として、今後、事務研は大いに重要な立場に
業。20周年も30周年もやってこなかったから、過去
なっていくものと感じている。
の歴史をたどる作業はほんとに大変だった。進める
以前、事務研では職務標準表の作成にも力を入れて
上で反対意見もあったが、事務研の50周年に向けて、
きたが、事務センターや共同実施で事務職員が組織化
今の若い人たちのためにも、ここで歴史を振り返る機
されたことにより、職務内容も変化してきている。今
会がなければ、と思った。
後は50歳代の事務職員が大量に退職することで、急
あとは、キザな言い方をすれば改革をしてきたとい
激に人が入れ替わり、初めて学校事務に携わる人も増
うこと。部の名称を変えたり、会費の値上げをしたり、
えるだろう。それに伴い共同実施が重要視され、事務
旅費を支給することにしたり。臨時職員からも会費を
職員の研修の強化と権限のある事務長の配置に方向性
集めることにした。会費の値上げは結局、今年の総会
を高めて行くのではないかと思う。
た1年だったため、事務研から情報を発信したり、取
りまとめたりした。他団体からの受け皿や事務職員の
までひっぱって3年がかりになった。
時間がないとやりたいことができないが、自分の場
偉大な先輩との出会い。
良い人だけど怖かった。
合は長く会長をやったからこそ、ここまでできたと思
う。
改革は大変だったが、何をするにも協力してくれる
大学卒業後、東京の民間企業に就職したもののリス
方々がいて、世代を超え、たくさんの人と出会えたこ
トラに合い、秋田市に帰ってきてからはタクシー会社
とが良かった。
に勤務した。しかし、会社の先輩からは「若いんだか
らもっと将来を考えてみろ」と言われ、学校事務の試
験を受けた。1年目に1次合格、2年目は全滅。採用
新たな事務研、新たな職務。
研修の強化と権限を。
枠が大きくなった3年目にようやく合格することがで
きた。
事務研として良かったことと言えば、この何年かで
当時、学校事務は「夏休みも冬休みもあって、ゆっ
事務研に対する他団体の理解が増えたことだと思う。
くりできるのでは」と甘い考えを持っていたが、仕事
昔の事務研は小中学校だけの閉ざされたものだった。
を始めたら、そんな余裕はないことに気付かされた。
良くも悪くも、そういう時代だったから。現在は小・
私は大曲仙北の学校に採用になったが、印象に残っ
中学校と高校の交流だけでなく、教育庁・知事部局へ
ているのが、故 佐藤祐康氏の存在。彼は私たちを厳
の人事異動も珍しくなくなったことで、どんどん開か
しく指導してくれ、良い人だったけど怖かった。「こっ
れた事務研に変わってきている。
ちにこい!」と呼び出されたこともある。仕事に対す
− 2 −
る心構えや人に対しての接し方など、いろいろと教
わった。私の他にも、彼を覚えている人は多くいると
思う。
今の時代、そのような人は少なくなったのではない
だろうか。本当に偉大な先輩だった。
仕事に対する期待感から
悩み・葛藤へ。
採用された頃は、時間がゆったり流れていて仕事は
雄和中学校事務室でインタビューを受ける館岡会長(左)
アバウトだった。教頭と仕事を共有していて、
「これ
やっておくよ」と教頭が言ってくれることも多かった。
恥ずかしい話だが、昔は仕事ができず体当たりでやっ
う機会が多く、学校は温かかった。この頃は学校事務
二 胡 の 音 色、 中 国4000年
の歴史への憧れ。
職員が全県に配置されようとしていて、この仕事に対
この6年間は休日も事務研について考えることが多
する期待感や高揚感が拡がっているときだった。
かった。常に頭の中で事務研のことを考えていたよう
しかし、30代になってからは、ずっと同じ仕事を
に思う。
やっていくことに不安や葛藤を覚えるようになった。
現在は、退職後の人生設計をわくわくしながら考え
年齢と共に、管理職が年下になる等、周囲の環境が変
ている。退職したら、中国に行ってみたい。中国の二
わっていくのに、自分は同じことをやるしかない。若
胡という楽器が好きで、その音色を聴くと胸がキュン
いときは書類を管理職に持って行くときも、自然と丁
とする。二胡を習いたいし、中国語も習って、四千年
寧にやれていたが、年を取るにつれて態度が横柄にな
の歴史に触れてみたい。できれば、住んでみたい。
ていたと思う。行事にもかりだされ、子どもと触れあ
らないよう心がけた。
このようなことから、事務職員の立場について管理
特化されていく学校事務。
仕事の喜びを持って。
職的な地位があった方がいいのではと考えるように
なった。センター化や共同実施を通して全県に権限の
ある管理職の事務長を配置し、組織化していく必要が
今後、学校事務の仕事は組織としての共同実施が進
あるのではないかと感じている。
み、業務も特化されて変わっていくと思う。事務職員
が子どもと関わる時間は減り、学校そのものも大きく
変わっていくだろう。
これまでは「良い事務職員」「悪い事務職員」等と
不本意な評価をされてしまう部分があったが、組織化
により、みんなが正しい評価を得られるようになるこ
とを望んでいる。
個々としては、仕事に喜びを見つけてほしい。そし
て、物事を変えるときは、長い時間をかけて話し合う
という労力を惜しまないでほしい。そして、みんなの
心が1つにならなければいけない。1人でできないこ
とも、みんなでやればいつかは叶う。
左奥から 四ツ小屋小 大石奈穂子、 泉小 髙橋すみか
左手前から 太平中 赤川悠子、 雄和中 館岡 彰
事務研以外の方々の理解も得ながら、「仕事を見せ
る」努力をし、みんなで協力して進んでほしい。
普段は触れることのない館岡会長の思いに接して、インタビューを担当した広報部員3人は刺激を受けること
だらけでした。とても穏やかに質問に答えてくれて、笑いありの楽しい時間になりました。ここに紹介しきれな
いエピソードもありますので、会長にお会いする機会があればぜひお話を伺ってみて下さい。(広報部)
− 3 −
研修報告
能力開発研修「企業と自治体の財務の見方」
行政における「数値化」
「可視化」の重要性を学ぶ
八峰町立八森中学校
主任 中村 由香
自治研修所にて11月11日∼12日の2日間、「企業と自治体の財務の見方」という
研修を受講しました。
1日目は手始めに経済用語についてどれだけ知っているのかのテストを行いまし
た。日経新聞のネット版が好きでよく目を通しているので簡単にできるだろうとタカ
をくくっていましたが、これがなかなか難しく、自分の知識の浅薄さを思い知りまし
た。それからテキストとワークシートを使って、日本経済の現状と先行き、財政・金
融政策の潮流、地方自治体の財政状況と評価・分析についての概要を学びました。午
後からは地方自治体の会計と企業会計手法の特徴、財務諸表4表の関係について学ぶ
とともに、貸借対照表(バランスシート)の見方と分析について演習を行いました。
実際に電卓を叩いて数式に当てはめ、出た数値からその自治体の財政状況を自分な
りに分析・評価するのですが、使用したデータが、秋田県・青森県・岩手県の北東北
3県と、鹿角市・能代市・横手市の県内3市が平成20年度末に実際に公表した数値
だったので、それぞれの自治体の財政状況(特に危険度)がはっきりと表れ、非常に
驚きました。
2日目の午前は、前日のデータからさらに損益計算書と行政コスト計算書を、午後
はキャッシュフロー計算書と資金収支計算書、純資産変動計算書を読み解き、そこか
ら得られた情報を基に各自治体の財政状況や今後の課題などをグループで話し合い、
各々の考えを発表し合いました。
この研修をとおして、財務諸表を読み解き、自治体の現状を把握する力が今後学校
事務職員にも必要になるであろうと感じました。また、公表された数値で自治体の強
弱や政策の善し悪しが判断されてしまう怖さも同時に感じ、行政における「数値化」
「可
視化」というものの重要性を改めて考えさせられた研修でした。
第42回全国公立小中学校事務研究大会(徳島大会)
地域に根ざし、連携して日々の取り組みを
美郷町立仙南中学校
主事 阿部 智也
7月28日からの3日間、徳島市(主会場 アスティとくしま)で行われた全国大会
に参加してきました。四国の暑さを覚悟していましたが、大会期間中の天気は雨まじ
り…傘を買っての参加となりました。
文部科学省行政説明では200頁をこえる資料提供があり、予算獲得の背景、事業の
見直しや削減の状況など、国レベルの話を聞くことができました。分科会は、全事研
本部がおこなった、本部研究分科会に参加してきました。名城大学の木岡教授、宮崎
県五ヶ瀬町の日渡教育長を助言者とし、地域との協働による学校づくりと学校事務観
の転換をテーマとし協議が行われました。全事研としては、配置校だけではなく各校
の事務職員が連携・共同で地域全体を視野に入れて業務を行う、「地区学校事務室」
の形を目指しているということです。助言者からは、共通したゴールをしっかりと見
定め、それに向けて一歩一歩進んでいくことが大事といった話がありました。
最終日、大会の締めくくりとして記念講演が行われました。講師は株式会社いろど
りの代表取締役社長 横石知二 氏。過疎化と高齢化が進む徳島県上勝町のおじいちゃ
ん、おばあちゃんに「居場所」と「出番」をあたえ、つまものビジネスを大きく成長
させた方です。講演の中で人間力といった話がありました。人は出番を与えられ、そ
れが評価されれば自信につながり元気になる。マイナス思考の人間もプラス思考に変
わり、人間力も向上していくといった内容でした。
地域連携や共同実施の推進というのが全国的な流れとなっている中、自校を中心と
したセンター化、隣校の共同実施加配を活用した連携など、現在の自分の環境はそん
な流れの中にいるんだと強く感じました。理想の形が何なのか自分には分かりません
が、地域に根ざし、連携して日々取り組むことによって、少しでも近づいていければ
よいと思います。
− 4 −
第18回東北地区公立小中学校事務研究大会
秋田県からは,2つの分科会で発表がおこなわれました。発表したのは、第1分科会Aが花輪二
中 主任 児玉寛紀 氏・八竜中 主任 杉本豪 氏、第5分科会が東由利中 主任 安倍留美 氏です。
それぞれの分科会に参加された方から,感想を織り交ぜてご報告いただきました。
平成22年10月28日(木)∼ 10月29日(金)
学校間連携、専門性の発揮、
考えさせられた2日間
大仙市立刈和野小学校
主査 木元 香苗
隔年で開催される東北大会、4年ぶりに参加させていただきました。1日目はあい
にくの雨でしたが、山形の皆さんの温かさに心が和みました。
「学校経営に資する学校事務を創造しよう」という大会テーマの基、勝山浩司氏に
よる文科省特別講演では、事務職員の定数改善や配置のあり方についての話があり、
中でも学校で唯一の行政職員として、専門的視点でアドバイスできる事務職員であっ
てほしいという言葉がとても印象に残りました。
午後は第1分科会Aに参加しました。この分科会では、山形・青森・秋田の3県か
ら発表がありました。山形県からは、共同実施を核としての連携・協働の進め方につ
いての実践例が紹介されました。また、青森県の共同実施は全国に先駆けて始められ
たと思っていましたが、実際は全県的な動きというよりも、限られた地域での共同実
施という印象を受けました。秋田県からは、にかほ市・鹿角市・大館市の共同実施の
事例が紹介されました。他県ではなじみのある共同実施ですが、今年度正職員の複数
配置による共同実施が始まったばかりということで、私自身が興味を持って秋田の発
表を聞くことができました。各県の発表とも「学校間連携」という言葉がキーワード
として使われていたのが印象的でした。
2日目は、長谷川邦義氏による記念講演「学校経営における学校事務職員の役割」
を拝聴しました。専門性を発揮した学校経営への支援や参画が必要であるということ
を強く話され、受け身の仕事をしていてはいけないと強く感じました。今何ができる
のか、これから何をしなくてはいけないのかを考えさせられた2日間でした。
∼心をつなぐ・気持ちを結ぶ∼
「絆」を大切にし、学校事務を全うしたい
秋田市立外旭川中学校
主任 石田 清志
10月28日∼29日に山形市で行われた研究会に参加しました。
私が参加した第5分科会は、東北6県の各代表者によるさまざまな研究の発表とい
う事で、学校事務職員サイドから見た研究実践が提示されました。
山形県の発表では、少子化に伴う「学校の統廃合」における学校事務の関わり方と
して、ある村の統廃合について具体的な事例を交えての発表でした。
宮城県では、教育現場を取り巻く環境が大きく変化している中、そこで勤務する職
員(学校事務職員のみならず宮城県職員全体)の意識改革を目指すために「キャリア
デザイン研修」という研修制度が確立され、40代後半までに一人ひとりが「今、不
足しているスキルは何か」を考え、目指す キャリアビジョン に向かってしっかり
した地図を描く取り組みが行われているようです。本県(秋田県)の発表は、全国初
の市立と県立の「中高連携校」(矢島中学校・県立矢島高等学校)での事務室における
日常業務の紹介がありました。物的共有・人的共有といった連携校でなくては実践で
きない事例を拝聴する事ができました。
日常の業務から離れ2日間の研究大会に出席し、改めて学校現場に働く行政職員と
しての自覚と誇りを持たなければと思いました。実りある研究大会に参加させていた
だいた事を今後の仕事に生かしていきたいと思います。
今大会のシンボルマ−クは、 ∼心をつなぐ・気持ちを結ぶ∼ 6つのハ−ト(学
校・児童生徒・教職員・保護者・地域・教育委員会)にし、それらを協力・連携(つ
なぐ・結ぶ)という意味で表現したようです。 「絆」を大切にし、学校事務という仕事を全うしたいですね。
− 5 −
今年度も多くの方々が永年勤続表彰を受け
られました。その中で、30年勤続表彰を受け
られたみなさまより、仕事を通して感じてこ
られたことや今後の意気込みを書いていただ
きました。
私の出発点
北秋田市立合川中学校 統括事務長補佐 佐々木 仁
昭和56年4月1日に大館市立矢立小学校に採用され、学校事務職員としてスタートしてから30年も経ったのか
と思うと短いような不思議な思いです。採用当時を振り返ってみると様々な思い出が溢れてきます。
赴任当初は、前任者と引継ぎをしたものの、聞くこと見ることが初めてのことばかりで、先生方からの要望に
も「大丈夫だと思います」という根拠もない受け答えをするだけで精一杯だった気がします。また、学校事務の
仕事を充分理解していなかったため、2週間くらいは文書の受け付けとキャビネットの保存文書とにらめっこし
ていたような毎日でした。給料日が近くなり、隣の事務職員Hさんから銀行へ提出する書類など給料支給につい
て教えていただき、最初の給料を無事に支給できたと記憶しています。分からないことがあると隣のHさんや大
館市内の事務職員に聞いたり、同僚の先生方に教えていただいたりで、仕事に対する不安を特に感じませんでし
た。仕事に慣れてくると若さだけを買われてか春から秋は野球部、冬はスキー部の手伝いを当たり前のようにやっ
ていました。今と違って時間にゆとりがあって、自分なりに充実した毎日だったと思います。
矢立小での5年間は、私にとって忘れることのできない思い出であると同時に、仕事に対する姿勢や考え方を
教えていただいたり、事務職員として何ができるのかを考えたりした時期でもありました。
一昨年から再び大館北秋田地区に勤務して勤続30年を迎えることができたのも不思議な縁を感じます。これか
らも、学校事務職員として出発した時の気持ちを忘れずに頑張っていきたいと思っています。
ネットワークこそが事務職員の命綱
潟上市立出戸小学校 主任主査 櫻 田 憂 子
過日、30年を祝う採用同期会にお呼びいただきました。あんなにやんちゃだった皆がそれぞれに貫禄もハクも
付き、あっという間だと思っていた30年の歳月の重みを改めて感じたところです。ある会で「皆さんは学校事務
職員の仕事が好きですか」と問われ、どきりとしました。若い頃は、この仕事をあまり好きになれずミスも多く、
一人で悶々としているよりは教員の先輩と一緒になって何かを作ったりしている方が楽しかったので、さほど真
剣にこの仕事に向き合ってこなかったように思います。
それが、30年選手にもなると何でも頼まれるような容姿でもなくなり、さらには経験とともに減ったミスに代
わり、経年とともに増える不思議ミスにただただ唖然とする日々。「もはや『ミスさん』とは一生のお友達だと思っ
て、上手につきあっていくしかないなあ」と開き直りつつも、
「今後もこの業界でお世話になっていくのだから、
年の功を生かして味のある学校事務職員にならんとなあ」などとボチボチ考える今日この頃です。最近は、会計
管理の整理や保護者負担軽減などに及ばずながら取り組んでいます。
30年のほとんどを故郷である大曲仙北で過ごし、今年度から初めての地域である潟上市にお世話になっていま
す。所違えば仕事や学校生活でも色々な違いがあり、先生方も地域もわからず、何とも心細く戸惑うことばかり
でした。でも、事務研や組合活動を通じて知り合うことができた諸先輩や仲間たちがいたから、何とかやってく
ることができました。
このネットワークこそが、私たち小中学校を渡り歩く事務職員の命綱だと思います。皆さん、定年までよろし
くお願いいたします。
− 6 −
願 い
大仙市立東大曲小学校 主任主査 藤 嶋 良 子
先頃、同期会有志のメンバーが秋田市でワイン会を開いたそうだ。残念ながら参加出来なかった私も、なぜか
同じ日、秋田市にいた。ワイン会に参加したくて幽体離脱をした訳ではない。
「死刑を考える日」をテーマに映画
「休暇」の無料上映会があったのだ。参加費無料の効果もあってか会場は満員。この難しい問題に向き合おうとす
る真摯な思想者達?で満ち溢れていた。去年夏の東京拘置所の刑場公開以前から、私はなぜかこの制度について
少なからず関心を持っていた。私の前世と何か関わりがあるのかもしれない。
さて、私が尊敬する人物の一人に、イギリス史上に名高いトーマス・モアがいる。彼の晩年を描いた映画「わ
が命つきるとも」は、1967年にアカデミー作品賞を受賞している。彼は、カトリック教徒としての信仰と法に基
づき、時の国王ヘンリー8世の離婚を最後まで認めなかったため処刑されている。いつも根無し草のように揺れ
ている私にとって、彼の確固たる崇高な生き方は憧れだ。最近になって、死刑廃止論が初めて提唱されたのは、
彼の著書「ユートピア」だと知って驚いている。
この度、勤続30年表彰受賞者とはいえ、私のような者が寄稿する事となり大いに恐縮している。しかしその実、
私は文章を書くのが嫌いではない。自治研修所主催の能力開発セミナー「文章力向上Ⅱ」の講座や、公民館の「文
章教室」に参加したりしている。文章を書くには左脳を使うらしい。左脳はネガティブになり易いという。私が
暗いのはそれゆえんか?これから先、幾とせ勤められるか不安ではあるが、「今、この瞬間からポジティブに生き
よう!」と自分を元気付ける毎日である。
★30年勤続表彰者紹介
北 村 こずえ(大館市立田代中学校)
北 村 和 則(北秋田市立鷹巣西小学校)
五十嵐 良 薫(北秋田市立鷹巣中学校)
佐々木 仁(北秋田市立合川中学校)
鈴 木 正 英(秋田市立戸島小学校)
櫻 田 憂 子(潟上市立出戸小学校)
藤 嶋 良 子(大仙市立東大曲小学校)
斉 藤 透(大仙市立刈和野小学校)
★20年勤続表彰者紹介
佐々木 和 彦(鹿角市立八幡平中学校)
鈴 木 真 樹(大館市立下川沿中学校)
飛 田 正 人(大館市立比内中学校)
唐 土 慎 弘(能代市立二ツ井中学校)
小 野 博 昭(秋田市立外旭川小学校)
戸 澤 さつき(秋田市立秋田東中学校)
佐 藤 稜 翁(由利本荘市立道川小学校)
仙 道 一 彦(由利本荘市立川内小学校)
伊 藤 順 子(大仙市立大川西根小学校)
木 元 香 苗(大仙市立刈和野小学校)
大 野 謙 一(横手市立吉田小学校)
佐 藤 睦 子(横手市立睦合小学校)
齋 藤 昭 則(横手市立鳳中学校)
小 林 直 樹(横手市立雄物川中学校)
大和谷 恵 美(羽後町立三輪小学校)
小 塚 誠(湯沢市立稲川中学校)
※敬称を略させていただきます
− 7 −
第8回秋田県公立小中学校事務職員セミナーで研修を深める!
平成23年1月18日に行われたセミナーでは、共同実施の報告や年金・医療・介護セミナー等、充実した内容で行
われました。
その中でも、全事研会長 檜山幸子氏からの講演の内容をまとめましたので、参加できなかった会員の皆様も、
今後の学校事務職員の在り方を考える一助としていただきたいと思います。
「これからの学校事務の在り方と事務組織について」
全国公立小中学校事務職員研究会
会長 檜山 幸子 氏
PROFILE
秋田市立秋田東中学校、
秋田県立秋田高校、宇都宮
大学卒業後、栃木県内の公
立小中学校の事務職員を歴
任。
現在は、宇都宮市立御幸
小学校事務長。平成21年度
より全国公立小中学校事務
職員研究会会長を務める。
平成10年中教審答申で学校事務の共同実施が取り上げられ、学校事務が注目され
るようになった。しかし、学校事務は見えにくい、分かりにくい時代が長く続いて
いた。事業仕分けなどで見直しをしている時代になった現在、見えにくいことが課
題となってきた。そのため、
全事研では可視化に取り組むことが急務になっていった。
事業仕分けでは「子供と向き合わない、時間になったら帰る、そんな事務職員を
増やす意味はない」という意見が一部から出たが、そのような過ったイメージをさ
れているということを認識しなければならない。今、
学校事務はルーチンワーク(作
業事務)からマネジメント(経営管理)への過渡期にきている。学校全体がチーム
として運営しているのに、事務職員がデスクワークだけではいけない。教職員の一
員としてマネジメントに関わっていくことが大事である。
課題は学校だけで取り組んでも解決しにくく、地域全体が関わって初めて解決さ
れる。学校事務としてそのようなカリキュラムマネジメントを作っていきたい。学
校評価は、学校が元気になるためのツールとして活用していかなければいけない。
それも学校の悪いところを探すのではなく、
「良いところ見つけ」として活用したい。
評価をしてもらうためには正しい情報を伝えなければならない。ただ量を押しつけ
て情報を伝えることは自己満足である。情報の質も考えなければならない。
昨年度、秋田市を視察に訪れた。秋田市では修繕箇所をデータベース化し、どの
学校でも誰でもその箇所を知ることが出来るという教育委員会と学校との連携が図
られていた。学校事務は、事務職員によって期待値の振れ幅が上下する不安定な存
在である。人によって変わるため、学校自体が不安定になる。5年後、10年後の
安定性を図るため共同実施という手段がある。今後、地区学校事務室へ展開してい
くだろう。
学校の課題は、支援して下さる方々と共に解決していなければならない。学校が
どれだけ出来るかを明確にし、それを理解してもらえて初めて支援を得られる。事
務職員は、学校と支援者とを接続する存在になりたい。学校事務が重要になればな
るほど、責任を引き継ぐポストのリーダーが必要になる。それがなければ、共同実
施も上手くいかない。これからの事務職員は、ルーチンワークではなく、教員や地
域や保護者と共に子どものため学校全体を見渡せる存在にシフトチェンジできるレ
ベルに高まっていかなければならない。そうなることで、元気な学校になることが
出来ると思っている。
シンボルマーク を作りませんか?
共同実施の必要性が叫ばれている中で、私たち学校事
務職員はますます協力し、連携を深めていかなければい
けません。また、それに伴い事務研の活動も盛り上げて
いく必要があります。
そこで、秋田県の学校事務職員を象徴するシンボル
マークやシンボルキャラクターを作るのはどうでしょう
か。
来年度に向けて前向きに検討していきますので、皆さ
んもアイデアを膨らませてもらえたらと思います。
新潟県事務研
島根県事務研
福島県事務研
早いもので今年度も残すところ、あと2ヶ月です。
3月には館岡会長や畑中給与旅費センター長など、多
くの先輩達がご退職を迎えることとなります。ご退職
の皆様、長い間本当にお疲れ様でした。退職後も、ま
すますご活躍されることをお祈りしています。
残された私たちは、先輩達が大事にしてきた事務研
とそこで育まれた会員同士の絆を守っていきたいもの
です。
さて、今年は平成18年豪雪以来ではと思うくらいの
大雪となっています。雪対策に追われている方々も多
くいることと思いますが、これから年度末に向けて、
ますます忙しい毎日になりますので、くれぐれもお体
にはお気をつけてください。
− 8 −
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