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教育音楽5月号 「授業を生き生き」第2学年 (大タイトル) きれいなところ

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教育音楽5月号 「授業を生き生き」第2学年 (大タイトル) きれいなところ
教育音楽5月号 「授業を生き生き」第2学年
(2)「こぐまの三月」をそうぞうしてうたってみ
よう
(大タイトル)
前時の,
「夢見て眠る」こぐまの気持ちから歌の
きれいなところ みつけたよ!
続きをつくる活動に広げ,春を待つぷうさんにな
山梨大学教育人間科学部附属小学校
深澤啓太郎
って,
「こぐまの三月」をつくって表現します。
歌詞は即興的なもので,友だちの言葉を紹介し
合ったり,みんなで声を合わせたりして,それぞ
(小タイトル)
1 「音楽くらべ(歌いくらべ)
」から表現の工夫
れの描く三月の情景を歌って楽しみます。
下の写真は子どもたちの作成したメモです。
へ
(以下本文)
前回は音楽的諸要素の中の一つである音の強弱
を意識した
「歌いくらべ」
の事例を紹介しました。
今日は,
「音楽の速さ」を意識した歌いくらべの
指導から,子どもたちが感じ取ったことを自分の
表現に活かしていく実践例を紹介します。
『こぐまのニ月 わたしの何月』
この題材は,音楽の速さ(テンポ)の要素に着
目しながら,自分たちの歌をつくって表現する学
習活動として2年生の年間指導計画に位置づけた
ものです(5時間扱い)
。
中心となる学習材は,
『こぐまの二月』
(小学生
の音楽2 p.50 教育芸術社)です。この歌を学
習のもとになる素材として使い,曲の旋律に自分
自身の思いをあらわす歌詞をつくって歌唱表現し
ていく計画を立てました。子どもの願いから始ま
る創造的な学習を展開していくことで,個々の主
体性をより高めていくこともねらっています。
以下は,題材のおおまかな活動の流れです。
(1)ぷうさんになって「こぐまの二月」をうたお
う
メロディを聴いて曲の気分をつかみ,歌詞を朗
読して山の風景やこぐまの気持ちを想像します。
場面の様子を思いうかべながら,感じを出して
(3)「わたしの何月」のうたをつくろう
歌います。個のイメージを自由に表せるように,
こぐまの三月を創作した楽しい経験をもとに,
動作やせりふなども加えて,表情豊かに表現する
自分やクラスのことを表す「わたしの何月」の歌
ことができるようにします。
をつくろうとします。まず,印象に残っている行
事や季節の生活場面などから自分が表したいこと
この歌いくらべで感じ取ったことを活かして,
を選び,伝えたい内容を考えます。そして,その
自分(たち)がつくった歌の様子を聴き手に伝え
イメージを歌で表すための詞の言葉や,
表し方
(歌
るための「決め手」として工夫できるようにして
い方)を工夫していこうとするものです。個人や
いきます。
小グループなど,自由な単位の中で子ども主体の
活動の展開をはかっていきます。
◇子どもたちの作品例◇
*「はじめてのプール みんなではいって 水のわく
ぐって たのしいじかん」
(きもちいい七月)
*「スイートポテト つくってたべた あまくておい
しい もっとつくろう」
(ぽっかぽかの十一月)
*「ゆきがふって ゆきだるまつくった あしたにな
ったら とけてきえた」
(ぼくの一月)
*「みんなととった きねんしゃしん きんちょうし
たけど おもいでできた」
(みんなの三月)
例えば,入学してすぐ,まだ誰も友だちがいな
くて寂しかった頃を歌った「四月」の歌では,ゆ
っくりと歌ってその感じを出したり,運動会で優
勝してみんなで大喜びをした様子を伝える
「九月」
の歌では,速いテンポで始めて最高にハッピーな
気持ちを表したり,というふうに,音楽の速さの
違いによる曲の雰囲気の違いを感じながら歌って
いくことができます。子どもたちの中には,歌の
途中で速さを変化させて,気持ちが変わったこと
を表現しようとするグループも出てきました。
(4)歌の「はやさ」を考えてれんしゅうしよう
さて,歌い方の工夫といっても,子どもたちは
(5)友だちれんしゅう会をしてきき合おう
声の強弱ぐらいしか思いつきません。ここで,子
私は,児童相互の音楽的な関わり合いの場をミ
どもたちに一つの要素(児童向けには「決め手」
ュージック・セッション(児童向けには「友だち
と呼んでいます)を提示します。音楽のはやさ(テ
れんしゅう会」と呼ぶ)と名づけています。単な
ンポ)を意識させる音楽くらべ(歌いくらべ)で
る発表会ではなく,練習に聴き手が加わって互い
す。以下,指導例を示します。
に聴き合い,音楽を通じたコミュニケーションを
音楽のはやさをかんじてみよう!
学習材:
『スキップ』
新沢としひこ作詩/中川ひろたか作曲
『夕やけこやけ』
中村雨紅作詩/草川信作曲
しながらより効果的な表現へと高めていく場面で
す。ここでも速さに着目させて,感じたことを伝
え合ったり,
共感したりしながら学びを広げます。
このような交流活動からは,認め合う心や自己有
用感が生み出されるといった効果も生じています。
◎『スキップ』を歌う時の気持ちはどんな気持ち?
⇒ためしに「スキップ」をゆっくりとした
はやさで歌ってみよう。
【歌いくらべ1】
・ぜんぜんスキップしていない。歌詞に元気っ
てあるのに,かぜをひいたみたいで元気がない。
・春の歌なのに冬にもどっちゃったみたい。
↓
◎『夕やけこやけ』を歌う時の気持ちはどんな気持ち?
⇒ためしに「夕やけこやけ」をはやいはや
さで歌ってみよう。
【歌いくらべ2】
・きれいな夕やけがなくなってしまった。
・夕方や夜ではなくて朝の音楽みたい。
・眠った小鳥が目をさましてしまった。
↓
◎歌詞もメロディーも同じで音楽の速さを変えただけな
のに,2つとも曲の気分がかなり変わってしまったね。
気がついたことは?
*ゆっくりな音楽って(どんな感じをだすのかな?)
・・・静かな感じ,さみしい感じ,きれいな感じ
落ち着いている感じ,のんびり弱い感じ
*はやい音楽って(どんな感じをだすのかな?)
・・・楽しい感じ,元気な感じ,怒っている感じ
一生懸命な感じ,急いでいる感じ
(6)みんなで合わせてうたおう
題材の終末です。みんなでつくった「~の○月」
の歌を通して歌い,集団の中でのそれぞれの表現
したい思いや,工夫したことを感じ合います。リ
ズム楽器や鍵盤ハーモニカの伴奏も加えて楽しく
演奏しました。速さの工夫点は教師も確め,しっ
かりと認めていきます。このような教師の指導と
評価や,友だちとの学びの共有化によって,ねら
いを達成して続く学習への意欲づけをはかってい
きたいですね。
次回からは音楽科の「評価」について述べてい
きます。
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