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第5章 削減目標の達成に向けた取り組み

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第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
1. 各主体の役割
地球温暖化は、温室効果ガスの「発生抑制(削減)」と植物による「吸収」を促進する
ことで対策が図れます。温室効果ガスの排出量のほとんどは二酸化炭素ですが、これは日
常の社会生活・事業活動に伴い、発生するもので、すべての人に関わりがあるものです。
地球温暖化対策は、区民・事業者・区等のすべての主体が自ら積極的に取り組むととも
に、連携・協働によってさらに大きな効果を生み出すことができます。
地球温暖化が暮らしに及ぼす影響を理解し、
環境に配慮した暮らし=エコライフを営みます。
【例えば温室効果ガスの削減のために】
・省エネ・省資源を心がける。
・公共交通機関を利用する。
【例えば温室効果ガスの吸収のために】
・庭に植物を植える。
・緑のカーテンや、屋上緑化*に取り組む。
【こんなことも】
・太陽光発電*や太陽熱温水器*を利用する。
・区や事業者などが催すイベント等に参加する。
・環境配慮型商品を積極的に使用する。
区 民
事業者
事業活動に伴う温室効果ガスの
排出抑制に努めます。
協 働
(パートナーシップ)
区
地球温暖化対策に率先して
取り組みます。
【例えば温室効果ガスの削減のために】
・事業活動に伴う温室効果ガス削減が、経営コ
ストの削減につながることを認識し、省エ
ネ・省資源や、従業員への環境啓発等に取り
組む。
・環境負荷の少ない製品・サービスの開発や製
造・購入に努める。
・業務用冷凍機器等に含まれるフロンを
廃棄の過程で回収・破壊する。
【例えば温室効果ガスの吸収のために】
・事業所内の緑化に努める。
【区民・事業者が取り組みやすいように】
・区民、事業者が温暖化対策に取り組むために必要な
仕組みを整備するとともに、情報提供・意識啓発を
行う。
【こんなことも】
・再生可能エネルギー機器を導入する。
・地域の温暖化防止活動に参加・協力する。
・エコ通勤の奨励や、業務で使う車を買い
換える際に、電気自動車等を選ぶ。
【区民・事業者に率先して】
・区内最大規模の事業者として、率先して温暖化対策
に取り組む。
12
第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
2. 施策体系
オールかつしかでつくるコンパクトで低炭素なまち
基本目標1
●施策
1.再生可能エネルギーの導入促進
2.エネルギーセキュリティ対策の促進
3.燃料のクリーン化促進
基本目標2
●施策
かつしかエコスタイルの構築
< くらし・意識・まちをかえる >
4.エコライフの普及促進
5.事業者の環境行動の推進
6.低炭素まちづくりの推進
7.生物多様性の保全
8.緑化の推進
9.環境に配慮した消費行動の推進
10.ごみの減量・リサイクルの促進
11.雨水利用の促進
12.環境に配慮した自動車利用の普及促進
13.自転車利用の促進
基本目標3
●施策
再生可能エネルギーの普及拡大
< エネルギーをつくる >
オールかつしかで取り組む「活・かつしか」の創造
< 学び・広がる協働の“わ” >
14.実践行動のための環境教育・環境啓発
15.地域一体で取り組む省エネ
16.温暖化防止に関する“葛飾発”エコ製品等の開発支援
17.環境活動のための拠点の充実
●短期目標
平成 29 年度(2017)までに平成 21 年度(2009)比で
葛飾区の温室効果ガス総排出量 8%削減
(京都議定書基準年注比で 19%削減)
●中期目標
平成 42 年度(2030)までに平成 21 年度(2009)比で
葛飾区の温室効果ガス総排出量 30%削減
(京都議定書基準年注比で 40%削減)
●長期目標
平成 62 年度(2050)までに平成 21 年度(2009)比で
葛飾区の温室効果ガス総排出量 77%削減
(京都議定書基準年注比で 80%削減)
削減量 223
8%相当=
116千千
t-CO
t-CO
2 2
東京ドーム 47
48 杯分
注)基準年は、温室効果ガスのうち CO2、CH4、N2O は平成 2 年度(1990)
、HFCs、PFCs、SF6 は平成 7 年度(1995)
です。また、基準年の温室効果ガス排出量は、平成 2 年度(1990)の CO2、CH4、N2O の値と、平成 7 年度
(1995)の HFCs、PFCs、SF6 の値との合算値となります。
13
3. 施策の内容
基本目標 1 再生可能エネルギーの普及拡大
1.
再生可 能エネルギーの
導入促進
施策番号
再生可能エネルギーの導入に対して、現時点では設備の初
期コストが高いことや、設置や維持管理等に関する情報の不
足等から、区による積極的な支援と働きかけが必要です。
また、再生可能エネルギーの出力安定などに必要な蓄電池
等の蓄エネルギー*設備の導入を支援します。
具体的施策名
新規施策/継続施策
1-1
施策の内容
所管課
水と緑の再生可能エネルギーの導入
新規
[環境課]
水と緑豊かな葛飾区の特性を活かし、小水力発電や河
川水の温度差エネルギー利用、剪定枝葉等を活用した
バイオマス * 発電および熱利用等の導入を検討しま
す。
[環境課]
地中熱を利用した効率的な冷暖房設備等の導入を推
進します。
1-2
新規
地中熱の効率的な利用促進
1-3
継続
再生可能エネルギーの普及促進
[環境課]
1-4
継続
< エネルギーをつくる >
地球環境保全融資のあっせん(ソー
ラーエネルギーシステム設備資金・
風力発電設備資金)
[環境課]
太陽光発電システムや太陽熱温水器などの再生可能
エネルギー設備や蓄エネルギー設備の設置に必要な
費用の一部を、かつしかエコ助成金による補助または
融資あっせんをします。また、他のエネルギーへの支
援についても検討します。
コラム 【市民共同発電所と共同出資】
市民共同発電所とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した発電所を、
地域の施設・屋根の提供を受けながら、地域住民の出資を中心として設置するもの
です。発電所の運営形態は、株式会社、NPO、任意組合など、様々な形態があります。
近年、市民の環境意識の高まりから再生可能エネルギーを利用した発電に対す
る関心が増えている一方で、「自分でも持ちたいが高額の費用がかかる」や「マ
ンション住まいである」等、様々な制約から個人では実現できない方が多く、そ
のような方々による「共同出資」によって、市民共同発電所を設置することがあ
電力会社
電力
市民共同発電所
・発電設備設置
・維持管理、運営等
ります。
配当
共同出資による市民共同発電所の設置は、地域に再生可能エネルギーの導入を
進める有効な一手法として全国で普及しつつあります。例えば、庁舎や公民館、
保育園等の公共施設、民家の屋根や空き地に、太陽光パネルや風力発電、小水力
発電を設置し、電力を自家消費するほか、売電して出資市民に還元したり、地球
温暖化対策のための基金として積み立てを行うなどの取り組みが
あります。
14
買取料金
出資、
場所提供など
市、 市民
市内事業者
その他賛同者
市民発電所のしくみ
(イメージ)
第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
2.
エネルギー
セキュリティ対策の
促進
災害時の被災者支援・応急復旧活動に欠かせない電気や熱
エネルギーを確保するエネルギーセキュリティ対策注として、
再生可能エネルギーや蓄エネルギー*による自立・分散型の
エネルギー供給システムを構築し、エネルギー源の多重化を
図ります。
注)ここでは「災害時におけるエネルギー源の確保対策」の意で
用いています。
2-1
新規
自立・分散型エネルギーシステムに 災害時の避難所となる学校等に太陽光発電システム
よる災害時のエネルギー確保
や蓄電池および太陽熱利用システム*を計画的に導入
します。再生可能エネルギーを利用した自立・分散型
エネルギーシステムによる避難所の電源および熱源
確保や、電気自動車・電動自転車の導入による移動型
電源の確保を行い、災害に強いまちづくりを推進しま
[環境課・防災課] す。
3.
燃料のクリーン化促進
化石燃料の使用抑制と同時にバイオ
マス資源の利活用推進につなげるため、
家庭等から排出されるバイオマス資源
である廃食用油(植物油)をバイオディ
ーゼル燃料(BDF*)として再生・利用す
るなど、燃料のクリーン化を推進します。
BDF の普及促進
3-1
新規
バイオマス燃料、特に廃食用油精製の BDF について普
及促進します。また、
「エコステーション(p.30 参照)」
等を活用した廃食用油の回収の仕組みづくりを進め
[環境課] ます。
コラム 【バイオマスの可能性について】
バイオマスとは、生物資源(bio)のかたまり(mass)を表し、動植物による有機性の資源
のことです。バイオマスエネルギーは、バイオマスを直接燃やすほか、ペレット(固体燃料)
や、メタン(気体燃料)やエタノール(液体燃料)などの燃料に変換して、熱や電気エネルギ
ーとして利用します。バイオマスエネルギーのメリットは主に以下の点にあります。
1.利用による CO2 の増加がない
2.気象条件に左右されない
3.循環型社会の進展
4.産業創出など地域の活性化
バイオマスエネルギーは生物由来のため、その使用によって CO2 を
排出するものの、大気中の CO2 総量は変わらないとされています。
(詳しくは p.22 コラム参照)
太陽光発電や風力発電等が気象条件で発電量が下がるなどの不安
定さがあるのに対し、バイオマスエネルギーは気象条件に左右され
ません。
製材残材や建築廃材、家庭の生ごみや廃食用油等の食品廃棄物など
を資源として有効利用でき、循環型社会の促進に寄与します。
木質バイオマスは、林業の活性化につながるとともに、
森林再生など豊かな自然創出につながります。
15
基本目標 2 かつしかエコスタイルの構築
< くらし・意識・まちをかえる >
葛飾区では、人口、世帯数ともに増加傾向にあり、今後も
当面は増加すると推計されています。一方で、世帯当たりの
エコライフの普及促進 人口は減少しており、世帯当たりのエネルギー消費が増加す
ることも懸念されます。
そのため、葛飾区の温室効果ガス排出抑制には、各家庭で
のエコライフ(環境に配慮した生活)や、環境負荷が少ない
製品やサービスを選択していくことが大切です。「かつしかエコファミリー」への参加を
促すとともに、区民の環境への意識づけや取り組みやすい環境の整備を進めます。
4.
区民の省エネ行動の推進
4-1
継続
[環境課]
「かつしかエコファミリー」を中心に、環境家計簿を
つけることで毎日の暮らしを見直す取り組みを推進
します。また、
「かつしか CO2 ダイエットチャレンジ事
業」として、家庭における電気使用量等をリアルタイ
ムで表示できる機器「省エネナビ」を貸与し、「見え
る化*」による省エネ行動を促進します。
コラム 【エコライフによる二酸化炭素の削減効果】
環境に配慮した生活によって、1 年間で削減できる CO2 排出量と節約費用を紹介します。
ここに紹介したことを行うだけでも年間 350kg の CO2 を削減でき、2 万円ほど節約できます。


削減効果の大きさを★の数で示しています。
削減排出量、節約費用については、使用機器の性能、地域や時期によって異なります。
参考値としてご覧下さい。
■照明器具
電球型蛍光ランプに取り替える ★★★
54W の白熱電球から 12W の電球型蛍光ランプに交換
した場合。
点灯時間を短く
CO2 削減量 29.4kg、約 1,850 円節約
★
白熱電球(54W)/蛍光ランプ(12W)1 灯の点灯時間
を 1 日 1 時間短くした場合。
白熱電球の場合 :CO2 削減量 6.9kg、約 430 円節約
蛍光ランプの場合:CO2 削減量 1.5kg、約 100 円節約
【こんなことも省エネに!】
・家族が1つの部屋で過ごすと照明、冷暖房など節約になります。
・電球は LED*に替えると、さらに省エネできます。
■ガス・石油ファンヒーター
室温を 20℃に温度設定
★★★
外気温 6℃の時、設定温度を 21℃から 20℃に。
使用時間は 1 日 9 時間とした場合。
必要な時だけつける
★★★★
設定温度 20℃で、運転時間を 1 日 1 時間短くした場合。
ガスファンヒーター:CO2 削減量 18.6kg、約 1,130 円節約
石油ファンヒーター:CO2 削減量 25.4kg、 約 820 円節約
ガスファンヒーター:CO2 削減量 30.2kg、約 1,830 円節約
石油ファンヒーター:CO2 削減量 40.9kg、約 1,360 円節約
【こんなことも省エネに!】
・重ね着やひざかけの使用により、体感温度が 2℃以上も上がります。
・「外出する 20 分前には暖房を消す」といったことも、省エネ効果が大きいです。
・熱い食べ物・飲み物は体を内側から温めます。手足を伸ばす、首を回すといったスト
レッチ運動も、血行を良くし、冷えを防ぎます。
16
第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
■エアコン
夏は 28℃に。冬は 20℃に温度設定
★★
夏、外気温 31℃の時、冷房設定温度を 27℃から 28℃に。
冬、外気温 6℃の時、暖房設定温度を 21℃から 20℃に。
使用時間は 1 日 9 時間とした場合。
必要な時だけつける
夏の場合:CO2 削減量 10.6kg、 約 670 円節約
冬の場合:CO2 削減量 18.6kg、約 1,170 円節約
★★
冷房(設定温度 28℃)/暖房(設定温度 20℃)の運転時間
を 1 日 1 時間短くした場合。
フィルターをこまめに掃除する
夏の場合:CO2 削減量
冬の場合:CO2 削減量
6.6kg、 約 410 円節約
14.3kg、約 900 円節約
★★
CO2 削減量
フィルターを月に 1、2 回掃除した場合。
11.2kg、約 700 円節約
【こんなことも省エネに!】
かくはん
・扇風機やサーキュレーター(空気を攪拌する機具)を使って、部屋の温度を均一に。
・室外機は直射日光をさけ、風通しのよい日影に置く。
・カーテン等により、夏は日差しをカット、冬は暖気を逃がさないように。
■冷蔵庫
ものを詰め込みすぎない
★★
詰め込んだ場合と、半分にした場合の比較。
設定温度は適切に
CO2 削減量
15.3kg、約 960 円節約
★★
周囲温度が 22℃で、設定温度を「強」から「中」にした場合。
壁から 5cm ぐらい離して設置
CO2 削減量 21.6kg、約 1,360 円節約
★★
冷蔵庫の上と両側が接している場合と片側が壁に接してい
る場合の比較。
CO2 削減量
15.8kg、約 990 円節約
【こんなことも省エネに!】
・さつまいも、しょうが、ピーマン、きゅうり、なす、かぼちゃ、冬場のじゃがいも、にんじん、
りんご、みかんは、切らなければ冷蔵庫にいれなくても、直射日光の当たらない涼しい場所で
保管できます。
■ガス給湯器
食器を洗うときは低温に
★★
65L の水道水(20℃)を使い、給湯器の設定温度を 40℃から
38℃にし、1 日 2 回手洗いした場合。
(冷房期間を除く 253 日間)
入浴は間隔をあけずに
CO2 削減量
20.0kg、約 1,210 円節約
CO2 削減量
87.0kg、約 5,270 円節約
CO2 削減量
29.1kg、約 2,760 円節約
★★★★★
2 時間放置により 4.5℃低下した湯 200L を追い炊きする場合。
シャワーは流したままにしない
★★★
45℃のお湯を流す時間を 1 分間短くした場合。
【こんなことも省エネに!】
・給湯器はエネルギー効率が高いため、お湯を沸かすときに水からではなく、
給湯器のお湯を使うと省エネです。
・入浴は、3 人までならシャワー入浴が、4 人以上なら湯船入浴がお得です。
他にも、テレビの設定や電気ポットのプラグを抜くことなど、エコライフには様々な取り組みが
あります。ここで紹介した取り組みの出典元である省エネルギーセンター「家庭の省エネ大事典
2012 年版」
(http://www.eccj.or.jp/dict/index.html)等を参考にして下さい。
17
業務部門や産業部門の温室効果ガス排出量の削減には、事
業者とその従業員の積極的な取り組みが必須です。事業者に
事業者の環境行動の
よる地球温暖化対策には、地域貢献や社会貢献としての側面
だけでなく、排出量取引、規制対応等、ビジネスと直結する
推進
面もあります。
そこで、事業者に対する補助等を通じて環境への意識づけ
や、確実な削減行動を支援し、取り組みやすい環境の整備を進めます。
5.
事業者の環境経営推進
5-1
継続
[環境課]
5-2
継続
区の環境経営の推進
エコアクション 21・グリーン経営等の認証取得につい
て、セミナーの開催などにより支援します。また、認
証の継続と関連事業者へ向けた啓発、区全域への PR
のため、勉強会・講演会等を開催します。さらに「か
つしか CO2 ダイエットチャレンジ事業」として、事業
所における電気使用量等をリアルタイムで表示でき
る機器「省エネナビ」を貸与し、
「見える化*」による
省エネ行動を促進します。
「葛飾区地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」を
推進します。
[環境課]
継続
環境経営推進事業者連絡会の
活動支援
[環境課]
環境経営認証取得企業およびその意欲のある企業が
登録団体となり、区内の環境経営のリーダーシップを
とる団体として活動ができるよう支援を強化します。
5-4
オゾン層保護対策の推進
オゾン層破壊の元となる、フロンガスを使用する機器
から特定フロン等を回収するための機械の貸し出し
を行います。
5-3
継続
[環境課]
コラム 【事業所での省エネルギー対策】
中小規模事業所で取り組める省エネルギー対策が、東京都環境局発行の「中小規模事業所
の省エネルギー対策テキスト」に導入効果も含め詳しくまとめられています。
ここではその一例を紹介します。
照明
 調光機能や人感センサーなどの制御技術を活用する。
 老朽ランプを LED などの高効率ランプに取り替える。
空調
 室内の温度分布を把握し、温度ムラを
改善する(右図参照)。
 空調機の更新時は高効率空調機を
導入する。
→設置後 15 年以上経った空調機で
あれば、最新型でエネルギー消費
が半減する機種もあります。
OA 機器
 使用環境に応じ省エネモードをフルに活用する。
→パソコンは 1 時間半以内であれば電源を切るよりも、スリープ機能の方が
省電力です。
制御装置
 デマンド監視装置は最大電力の抑制に効果的。
→基本料金や電力量料金の見直し、電気代の抑制にもつながります。
出典・資料:東京都環境局「中小規模事業所の省エネルギー対策テキスト 基本編」
「中小規模事業所の省エネルギー対策テキスト 実践編」
18
第5章 削減目標の達成に向けた取り組み
地球温暖化対策の推進には、環境配慮行動のみならず、省エ
ネルギー機器の導入や、建物やまちの基盤への対策が必要です。
低炭素まちづくりの
まちづくりにおいては、建物のエコリフォーム、土地利用
や施設の配置、地域内でのエネルギー融通等、エネルギーを
推進
効率的に使うための工夫が重要です。
また、ヒートアイランド現象*等を抑え、生活の快適性を
確保することも省エネルギーにつながります。
今後の人口動態や社会構造の変化を見据え、長期的な視点を持ってエネルギー効率の良い
まちづくりに取り組み、葛飾区の魅力アップを目指します。
6.
6-1
エコハウス・エコ事業所の普及促進
新規
省エネ型住宅や事業所を「エコハウス」
「エコ事業所」
として認定・支援する制度を検討・実施します。
[環境課]
省エネルギー機器等の普及促進
6-2
継続
6-3
新規
6-4
かつしかエコ助成金制度により、住宅や事業所におけ
る省エネ機器等(燃料電池*、ガス発電給湯器、遮熱
塗装*、断熱改修、空調設備、LED 照明等)の設置に
要する費用の一部を助成します。また、省エネラベル
の周知を図り、トップランナー基準*を達成した省エ
[環境課]
ネ機器について情報提供を行います。
家庭・ビル等へのエネルギー管理シ 区民に対し、家庭への HEMS 導入に対する啓発を行い
ステム(HEMS*・BEMS*・FEMS*等)の ます。区内事業者に対し、省エネルギー講習や省エネ
診断*のあっせんを行い、事業所の省エネ化を進める
普及促進
とともに、BEMS や FEMS について、国の補助金制度活
[環境課] 用の情報提供などにより普及促進します。
緑のカーテン等の普及
継続
6-5
継続
6-6
継続
窓の開口部を覆い、葉の蒸散効果により涼しさを生む
「緑のカーテン」等、区民が身近にできる取り組みを
[環境課] 普及します。
公共施設において、ESCO 事業*の導入を視野に入れつ
つ、電灯・冷暖房などを主な対象として省エネ改修を
[各施設所管課] 実施します。
公共施設の省エネルギー改修
環境舗装の整備促進
[道路建設課・道路補修課]
ヒートアイランド現象の緩和策の一つとして、透水性
舗装*等の環境舗装の整備を促進します。
コラム 【こんな暮らしをどう思いますか?】
例えば、以下に紹介するようなまちの暮らしをどう思われますか?
一読後、次ページのコラムをご覧下さい。
夕方(突然の雷雨)
朝(起床)
*
天気は晴れ。スマートメーター で、屋根にある太陽
光発電の発電量が上がるのを確認する。
停電があったが、太陽光発電からの電気と電気自動車
の蓄電池から電気が使えて困らなかった。
スマートメーターに電気事業者から届いたメッセージ
では、今日は昼下がりに電気代が上がるらしい。お昼
は買い物に出かけて、電気を使わないようにしよう。
隣のデイケア施設は、普段から近くの工場のコージェ
ネレーション*から熱を分けてもらっているが、非常
時には電気も融通する約束になっているそうで、電気
がついていた。
お昼過ぎ(買い物へ)
夜(入浴)∼就寝前
電動自転車で買い物に行く。お店は太陽光発電の屋根
貸しをしていて、パネルが輝いている。
太陽熱でわかしたお風呂。気持ちいい。
そうそう、買い物の間に電動自転車のバッテリーを街
かど充電器で充電しておこう。
お風呂を出たら、スマートメーターの
サブ機能で、デマンドバス*の予約をい
れておこう。
重い荷物の買い物もあるが、電動自転車は楽に移動で
きるので安心だ。
19
コラム 【新しいまちの概念「スマートコミュニティ」】
先のページで紹介したまちの暮らしは、「スマートコミュニティ」と呼ばれる新しいまちの
一日をイメージしたものです。
先のコラムの主人公は、家で再生可能エネルギーの太陽光発電を使用しています。また、既存の商用
電力も使っていますが、今の暮らしと異なるのは、スマートメーター*という従来の電力メーターにと
って代わる高機能型のメーターの使用です。主人公は、スマートメーターのメッセージで、電力単価の
変動をあらかじめ知り、電気代が高くなるお昼に買い物に出かけています。スマートメーターで、バス
の予約もしています。
街なかに目をむけると、主人公は買い物している間に街なかにある充電器を用いて電動自転車の充電
をしています。太陽光発電の屋根貸し事業といった新たな産業がおこっています。また、工場の排熱や
電気といったエネルギーを近くの施設と融通したり、災害時に被害を小さくするための助け合いをして
います。いずれも、これまでにあまり見られない新しいまちの姿です。
このような、電力や交通、情報などの社会基盤を「統合的に管理する」「効率よく使う」まちを賢い
まち=スマートコミュニティと呼びます。ここで、スマートコミュニティを、エネルギーを賢く『つく
る』『蓄える/送る』『使う』といった、エネルギーの構成要素でみると次のようになります。
エネルギーを賢く「つくる」
エネルギーを賢く「ためる/おくる」
エネルギーを賢く「つかう」
■地域の需要に必要な分をつくること、
■蓄えること
■電気や熱を無駄なく使うこと
身近なところでつくること
➠エネルギーの自立、分散化(多重化)
■二酸化炭素の排出量が少ないように
つくること
➠再生可能エネルギーの導入
➠蓄電池、貯湯槽
➠省エネルギー
■効率のよいエネルギー網を整えること
➠スマートグリッドやスマートメーター
■既存の発電所の電力と再生可能エネルギ
ーによる電力との連携をとること
➠天然ガス等の利用
■効率よく使うこと
➠需要と供給のバランス
➠既存のエネルギーと分散型電源の
ベストミックス
➠省エネ機器等の利用
スマートコミュニティが必要
とされる背景は次の 3 つです。
東日本大震災では、多くの被
災地で「自立したエネルギー源が少ない」ことが
明らかになりました。また、電力不足に対し「ど
う節電を図るか」「ピーク電力をいかに抑え、停
電を防ぐか」が課題になりました。さらに、発災
前から我が国は、地球温暖化対策に取り組んでお
り「地球温暖化に伴う気候変動をいかに抑制する
か」が従来からの姿勢です。
電気のグリッド(網)
熱のグリッド(網)
エネルギーの構成要素のイメージ
これらの背景を受けて、注目されているのがスマートコミュニティの構築です。
二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの利用の促進、省エネルギーや情報通信
技術によるエネルギー利用の効率化により「エネルギーの自立・分散」「エネルギー需
給の平準化」「温室効果ガスの排出削減」を実現するのがスマートコミュニティです。
葛飾区においても、中長期的にスマートコミュニティの構築に取り組んでいきます。
20
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