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平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査 報告書

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平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査 報告書
平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査
報告書
テーブル状サンゴの大群落(田辺市沖島)
平成22年(2010)年12月
株式会社
串本海中公園センター
調 査 要 領
委託者
和歌山県
受託者
株式会社 串本海中公園センター
調査名
平成22年度和歌山県サンゴ分布状況調査
目的
サンゴやその他の海洋生物の分布現況の把握
対象海域
和歌山県みなべ町(千里浜)∼串本町(田並田の崎)
調査方法
マンタ法やスキューバを使用した直接観察
現地調査実施日
平成22年6月16日∼10月14日
調査および執筆担当者
計画・調整・調査(サンゴ類等)・最終評価
串本海中公園センター
学芸員 野村恵一
マンタ調査
同
学芸員 宇井晋介
調査(マンタ調査・魚類)
同
研究員 小寺昌彦
調査(マンタ調査・大型底生無脊椎動物類)
同
研究員 吉田
調査(マンタ調査・海藻類)
同
研究員 中村公一
- 1 -
徹
はじめに
紀伊半島南部の海岸線は、断崖、リアス式海岸、海食洞、海岸段丘、奇岩群などの変化
に富んだ特色ある自然海岸地形を有し、三重県紀北町海山地区から和歌山県串本町田並地
区に至る海岸は吉野熊野国立公園に、串本町田並地区から白浜町白良浜に至る海岸は熊野
灘海岸県立自然公園に、白浜町白良浜からみなべ町千里浜に至る海岸は田辺南部白浜海岸
県立自然公園にそれぞれ指定されている。
紀伊半島南部の沿岸海域は、黒潮の強い影響を受けてより温暖な環境が形成され、本州
では特異的に熱帯性生物が豊富に見られる。その代表が造礁サンゴ(以下単にサンゴと呼
ぶ)で、特に紀伊半島突端に位置する串本町浅海域ではサンゴの種多様性とバイオマスは
高く、最も卓越した底生動物群集として出現し、サンゴ礁域と同様に浅海生態系の根幹を
なす重要な役割を担っていると考えられている。串本におけるサンゴを中心としたこのよ
うな生態系は世界最北のサンゴの海として高く評価され、1970年に吉野熊野国立公園内に
海中公園地区が指定され、また、2005年にラムサール条約湿地が登録されている。
近年、吉野熊野国立公園内においては環境省により浅海海域の生物分布調査が実施され、
沿岸海域の自然資質の現況が明らかになっているが、それ以西の熊野枯木灘海岸県立自然
公園ならびにに田辺南部白浜海岸県立自然公園においてはこのような調査は乏しく、1989
年に和歌山県全域を対象に串本海中公園センターによって実施されたサンゴ調査(藻場も
同時に調査)以外では広範囲を対象とした調査は見当たらない。また、串本町内では、
1990年代初頭から継続する高水温現象により、サンゴなどの熱帯性生物が分布を広げる反
面、大型藻類などの温帯性生物が減少するといった生物相の変化が生じており、これは紀
伊半島南部の広域においても普遍的な現象であることが予想される。さらに、サンゴが増
加する一方で、サンゴを食するオニヒトデの増殖も串本のみならず紀伊半島南西岸の広い
範囲から情報が寄せられている。
このような背景を踏まえ、紀伊半島南西岸のサンゴ分布等の現況を把握する目的で、串
本町田並田の崎からみなべ町千里浜にかけて、すなわち、熊野枯木灘海岸県立自然公園な
らびにに田辺南部白浜海岸県立自然公園を対象に、2010年6月∼10月かけて調査を実施した。
本報告書はこの調査結果を取りまとめたものである。
末尾に、本報告書を作成するに当たり、情報の提供ならびに協力を賜った以下の諸機関、
諸氏に感謝申し上げる。環境省近畿地方環境事務所、和歌山東漁協、和歌山南漁協、紀州
日高漁協みなべ支所、ミスオーシャンダイビングショップ(白浜町)、ダイビングショップ
サンマリン(みなべ町)、玉井済夫、酒井卓雄。
- 2 -
目
次
調査要領......................................................................1
はじめに......................................................................2
目次..........................................................................3
調査方法......................................................................4
結果と評価
1. 概況調査
1-1. サンゴの分布概況............................................10
1-2. サンゴの量的変化............................................27
1-3. オニヒトデの分布............................................44
1-4. 大型藻類(藻場)の分布と変化................................47
1-5. 概況調査のまとめ............................................63
2. 詳細調査
2-1. 環境・景観的特徴............................................65
2-2. 生物的特徴
2-2-1. サンゴ................................................71
2-2-2. 海藻類................................................88
2-2-3. サンゴを除く大型底生無脊椎動物類......................98
2-2-4. 魚類.................................................112
2-2-5. 総合評価.............................................129
3.総括...............................................................131
写真
1. 概況調査
1-1. 概況調査における海中の状況.................................137
1-2. 概況調査における陸上景観の状況.............................138
2. 詳細調査地点の海中状況.............................................140
- 3 -
調査方法
紀伊半島南西岸のサンゴを主体とする浅海海産生物の分布現況を把握する目的で、熊野
枯木灘県立自然公園ならびに熊野灘海岸県立自然公園を含む串本町田並田の崎から白浜町
白良浜にかけての海岸(図1)を対象に調査を実施した。調査は、対象域内のサンゴ等の生
物分布概況を把握するための概況調査と、生物の詳細な分布を把握するための詳細調査の
2つを実施した。以下に、これらの調査方法を述べる。
和歌山県南部
みなべ町
新宮市
田辺市
白浜町
那智勝浦町
すさみ町
太地町
串本町
調査
対象域
熊野灘
枯木灘
潮岬
10 km
図1.調査対象域
A 概況調査
マンタ法を用いて、調査対象域内の海岸線に沿ったサンゴの大まかな被度や組成の分布
概況を把握した。また、サンゴとともに大型海藻類やその他の特徴的な生物の分布も把握
した。なお、マンタ法とは、海岸線に沿ってゆっくりと航行する船の船尾から曳航板を垂
らし、観察者はその板につかまり(図2)、水面もしくは水深2m程度潜行して水深10m以浅
の海底面の生物分布を観察し、船上の記録者に声や指信号(図3)によってその情報を伝達
する調査手法である。船上の記録者は、2万5千分の1の地形図に周囲の景色を重ねて位置を
目測で特定し、地図上に生物の分布情報を記録した。
- 4 -
図2. マンタ法による調査作業図
図3. マンタ法調査における指信号の解説
- 5 -
B 詳細調査
調査対象域内の中で、概況調査や報道、ダイビングショップ、漁師からの聞き取りによ
り、生物の分布特性の資質が高いと思われた海域の中から、以下の7地点を選出した(図4、
5)。各地点名と地点選出理由を以下に記す。
①白浜町権現崎:サンゴ群生地として知られる。
②白浜町四双島:サンゴ群生地として知られる。
③田辺市天神崎:エダミドリイシ(稀種)の群生が知られる。
④田辺市沖島:サンゴ群生地として知られる。
⑤みなべ町ショウガセ:オオカワリギンチャク(稀種)の最大の群生地として知られる。
⑥みなべ町目津崎:概況調査で新たなサンゴ群生地として確認される。
⑦白浜町高森:サンゴ群生地として知られる。
2 km
千里
南部
みなべ町
⑥
堺
芳養
元町
⑤
田辺市
③
④
新庄
②
瀬戸
①
湯崎
白浜町
鴨居
富田
⑦
図4.詳細調査地点:①権現崎、②四双島、③天神崎、④沖島、
⑤ショウガセ、⑥目津崎、⑦高森
- 6 -
- 7 -
調査は図4と5に示した各調査地点に船で赴き、船上から 100m の長さの側線を基本的
に岸と垂直になるように海底面に直線状に敷設し、スキューバを用いて環境、景観、生物
群集、生物群集撹乱の4項目について調査を実施した。各項目の調査方法を以下に記す。
①環境調査
環境は地形及び物理環境(水温、水平透視度)について調査し、地形は測線下の底質と
水深を 5m 間隔で記録した。水平透明度は目視で行い、水温と水深はダイブコンピュータ
等の計器により実測した。
②景観調査
船上からの陸域とスキューバ潜水による水中について写真撮影を行い記録を行った。
③生物群集調査
調査対象生物群はサンゴ類、サンゴ類を除く大型底生無脊椎動物類、海藻類、魚類の4項
目とした。資料収集は、基本的に海岸線と垂直に直線状に100mの測線を海底に敷設し、スキ
ューバを用いた目視観察によって行った。各生物群の調査方法は以下のとおりである。
ア)サンゴ類
ライントランゼクト法により調査を実施した。ライントランゼクト法とは、側線下にあ
るサンゴの長さを群体別・種別に記録し、組成・量を把握する手法である。また、測線周
辺に出現したサンゴの種名を目視記録するとともに、周囲に特徴的な群落が観察された場
合にはその概況も記録した。
イ)海藻類
ラインポイント法を用いて実施した。ラインポイント法とは、100mの測線下に20m間隔で
調査点を6ヶ所を設け、この点を中心とした半径3mの範囲を調査区とし(図6)、調査区内に
出現した生物の種別の量を目視記録する方法である。海藻類の定量においては、種別の被
度を目視記録し、被度10%未満に1ポイント、10∼19%に2ポイント、20∼49%に3ポイント、
50%以上に4ポイントを与えて集計した。なお、対象藻類は原則として肉眼でみられるもの
とし、微小なものは除外した。
ウ)サンゴを除く大型底生無脊椎動物
ラインポイント法を用い、個体性動物、群体性刺胞動物を記録集計した。なお、個体性
動物に関しては、出現個体数が1∼9個体に1ポイント、10∼19個体に2ポイント、20個体以
上に3ポイントを与えて記録集計した。また、群体性の刺胞動物については、被度1%未満
- 8 -
のものに1ポイント、1∼4%のものに2ポイント、5%以上のものに3ポイントを与えた。対
象となる生物は、目視観察できる大型の底生無脊椎動物とし、石の下や岩の割れ目の奥な
どに隠れて見えないものや微少なものは対象外とした。
0
20
40
60
80
100
(m)
調査区(半径3m)
図6. ラインポイント法における調査区の設定
エ)魚類
敷設した100m測線を用い、幅10m(ラインの左右5m)、長さ20mを1調査区として設定し、
合計5つの調査区内に出現した種ごとの個体数に、以下に示すポイントを与えて記録・集計
した。1個体:1ポイント、2∼10個体:10ポイント、11∼50個体:30ポイント、51個体以上
:50ポイント。
④生物群集の撹乱
生物群集調査時に、生物群集への目立った撹乱の有無について目視観察をし、記録した。
なお、詳細調査の評価にあたっては、環境省が今回調査と同様の手法で吉野熊野国立公
園内ならびにその隣接海域において、2009年に実施した調査「平成21年度吉野熊野国立公
園海域景観資質(サンゴ)調査報告書」から、串本町内の熊野枯木灘県立自然公園内の4点
(錆浦、名近崎、双島、安指)の結果も引用比較した。
- 9 -
結果と評価
1.概況調査
マンタ法によって調査を実施した日時と範囲を表1に示す。
表1.概況調査の日時と範囲
範囲
調査日
時間
備考
開始
終了
6月16日
10:20∼16:00
みなべ町千里
白浜町鴨居
6月17日
9:40∼15:30
白浜町富田
白浜町志原
6月21日
9:30∼13:40
白浜町笠浦
すさみ港
6月25日
9:30∼16:00
すさみ港
すさみ町江住
7月22日
9:30∼16:00
すさみ町江住
串本町田並
田辺湾内濁水の影響で通過、白浜町四双島西岸、
千畳敷∼三段壁は波浪のため通過
風雨が激しくなったため午後の作業を中断
マンタ法において、サンゴ、オニヒトデならびに大型藻類の分布概況について把握が行
えたが、他の生物については特筆すべきものは観察されなかった。以下に、上記の種もし
くは生物群の調査結果について項を分けて記す。
1−1.サンゴの分布概況
サンゴについては、生きたサンゴの被度と大まかな組成、死んだサンゴ被度やその状況
を観察した。観察はマンタ法によって連続的に実施したが、観察者から船上の記録者への
情報連絡は数分間隔で行った。また、連絡は被度階級や組成が変化した場合には必ず行っ
た。以下に海域別のサンゴの分布概況を述べる。また、図7にサンゴの分布概況を示す。図
7には基本的に観察者から情報連絡があった地点に被度階級記号をプロットした。記号の全
くない場所は、視界不良や波浪により観察できなかった海域である。なお、概況調査で情
報が欠落した海域の一部には、詳細調査における情報を補填し、本文や図7に反映した。
1−1−1.みなべ町(千里∼堺)沿岸:図7-1、7-2
目津崎周辺ならびに堺・森の鼻地先前はサンゴの生育は比較的良好で、サンゴの多い場
所での被度は20%に達した。全体的にエンタクミドリイシの出現が目立ったが、クシハダ
ミドリイシの混生も認められた。当該海域に生息するエンタクミドリイシとクシハダミド
リイシは、直径が共に50cm以下であり、この10年ほどの間に定着し成長した若い個体群で
- 10 -
あるとみなされた。
1−1−2.田辺市天神崎、沖島沿岸:図7-2
調査域全体においてサンゴの生育は比較的良好であった。特に沖島の北東岸∼南西岸に
かけてはクシハダミドリイシやエンタクミドリイシ群体を中心に被度が著しく高く(70%
以上)、美しいサンゴ景観が形成されていた。また、沖島北岸の岸近くではニホンミドリイ
シの群落も観察された。また、これらのミドリイシ類群体はどれも大型で、大きなもので
は直径200cmを越えており、かなり古くから生育している個体群であると思われた。
天神崎周辺はエンタクミドリイシの出現が目立ったが、部分的にクシハダミドリイシも
混生し、元島前では被度50%ほどの高密度群落が観察された。ただし、天神崎南西岸∼南
東岸にかけては死んだエンタクミドリイシが目立った。当該海域ではオニヒトデの疑似食
痕が散見されたため、サンゴの斃死はオニヒトデの食害の可能性が持たれる。当該海域に
生息するエンタクミドリイシとクシハダミドリイシは、直径が共に100cm以下であり、沖島
のものに比べると一回り以上小さいが、みなべ沿岸の個体群に比べると一回りどほ大きく、
みなべ沿岸よりも数年早く定着したやや若い個体群であると思われた。
1−1−3.白浜町瀬戸周辺沿岸:図7-3
四双島南西岸ではニホンミドリイシやエンタクミドリイシ群体を主とする被度70%以上
の高密度群落が観察された。ミドリイシ類群体はどれも大型で大きなものでは直径200cmを
越えており、老成した個体群であるとみなされた。また、権現崎北岸でクシハダミドリイ
シを、南岸ではエンタクミドリイシをそれぞれ主体としたやや被度の高い群落が観察され
たが、直径200cmを越えるような大型の老成群体は見られず、直径100cm前後のものが主体
をなしていることから、比較的若い個体群であると見なされた。
1−1−4.白浜町鴨居周辺沿岸:図7-4
全海域を通じて被度は1%未満で、サンゴの生育は不良であった。鴨居港600m沖には高森
と呼ばれる東西1500mほど続く細長い暗礁(最浅部で水深7m)があり、その上面にはかつて
高密度に密生していたテーブル状サンゴの斃死群体が死屍累々と続き、生きたサンゴはほ
とんど認められなかった。なお、鴨居西岸の八十磯前では、ハナヤサイサンゴの出現が目
についた。
1−1−5.白浜町富田周辺沿岸:図7-5
西谷地先前の湾内において、やや大型のクシハダミドリイシとエンタクミドリイシの密
度の高い群落が観察された。また、袋湾口ならびに袋湾内においてもやや被度の高いサン
ゴ群集が観察された。袋湾口西岸(袋崎突端)で約10分のスノーケリングによる観察を行
- 11 -
ったところ、以下の17種のサンゴが確認された。クシハダミドリイシ、ニホンミドリイシ、
エンタクミドリイシ、ハナガササンゴ、フタマタハマサンゴ、コブハマサンゴ、シコロサ
ンゴ、キッカサンゴ、フカトゲキクメイシ、キクメイシ、ゴカクキクメイシ、オオカメノ
コキクメイシ、パリカメノコキクメイシ(優占)、タカクキクメイシ、トゲルリサンゴ、ナ
ガレハナサンゴ、オオスリバチサンゴ(最大直径約2m)。短時間のスノーケリングでは正確
なサンゴ相の把握は困難であるが、それにも関わらずこのようなたくさんのサンゴが認め
られたことは、当該海域のサンゴの多様性の高さが窺われる。
1−1−6.白浜町椿周辺沿岸:図7-6
見草崎西岸前では大型のニホンミドリイシとエンタクミドリイシの高密度な群落が観察
されていたが、大量に繁殖したオニヒトデによって大きく食害を受けていた。特に見草崎
北西岸では、被度70%ほどのニホンミドリイシ・エンタクミドリイシ混成群落の大方が食
害されていた。見草湾以北では、被度の高いサンゴ群落は観察されなかったが、椿湾北岸
で直径約2mの大型のコブハマサンゴが観察された。
1−1−7.白浜町日置周辺沿岸(笠甫∼伊古木):図7-7、図7-8
被度の高いサンゴ群落は観察されなかったが、笠甫浦∼志原ならびに伊古木海域では、
被度10∼30%のテーブル状サンゴ(おそらくエンタクミドリイシ)の完全斃死群落が散見
された。群落の状況から死後5年前後と考えられ、斃死原因はオニヒトデもしくは2005年の
低水温現象と推察された。なお、笠甫湾の西隣に位置する小湾では直径約2mの大型のコブ
ハマサンゴが観察された。また、ここでは1989年の調査においてエダミドリイシ群落が観
察されているが、今回の調査ではこれは発見できなかった。
1−1−8.すさみ港周辺沿岸:図7-8
被度の高いサンゴ群落は観察されなかった。
1−1−9.すさみ町道の駅周辺沿岸:図7-9
被度の高いサンゴ群落は観察されなかった。
1−1−10.すさみ町江住周辺沿岸:図7-10
被度の高いサンゴ群落は観察されなかったが、江須崎以東の海域では被度10-50%のテー
ブル状サンゴ(おそらくエンタクミドリイシ)の完全斃死群落が散見された。これまでの
海域と同様に、群落の状況から死後5年前後と考えられ、斃死原因はオニヒトデもしくは
2005年の低水温現象と推察された。また、江須崎東岸中央付近にあった県下最大のサンゴ
群体であるコブハマサンゴ(目測での最大長径約8m、高さ約5m)の完全斃死も認められた。
- 12 -
本群体の斃死原因も、周囲のテーブル状サンゴと同様に、オニヒトデもしくは2005年の低
水温現象と推察された。
1−1−11.串本町和深周辺沿岸:図7-11
安指∼田子にかけての海域でクシハダミドリイシを主体とする被度50%以上の高密度な
サンゴ群落が観察された。また、安指地先前では高密度なスギノキミドリイシ群落ととも
に、大型のコブハマサンゴ群(長径5m、3m、3m)も観察されたが、このコブハマサンゴ群
は群体の半分以上で斃死が認められた。また、大浦では群体全体が完全に生きた大型のコ
ブハマサンゴ(長径約3.5m)が観察された。さらに、大浦∼安指に至る海域では多くのテ
ーブル状サンゴの斃死が認められた。この斃死原因は当該海域で2004年より増殖を続けて
いるオニヒトデの食害であるとみなされた。
1−1−12.串本町江田周辺沿岸:図7-12
田子∼田の崎にかけての海域は比較的サンゴの被度は高いが、特に田子地先前と双島北
東岸ではクシハダミドリイシの高密度な群落が観察された。また、田子地先の東岸ではス
ギノキミドリイシの高密度群落も認められた。なお、従来、当該海域は現在以上の被度の
高い海域であったが、2004年のオニヒトデ大量発生以降、被度の減少が続き、現在のサン
ゴ分布は、オニヒトデ駆除によって保全されたものである。
まとめ
図7を基に、各地点の被度階級を階級別・海域別に集計して表2に示した。また、被度階
級に便宜的に被度値を与え、海域別の平均被度を算出した(表2)。
海域によって海岸線の長さや地点数に大きな差があるので一概に比較できないが、サン
ゴの被度が高い海域は、平均被度が20%を越えた田辺、串本(和深)、串本(江田)の3海
域で、逆に被度が低いのは平均被度が1%に届かなかった白浜(鴨居)、白浜(日置)
、すさ
み(すさみ港)、すさみ(道の駅)、すさみ(江住)の5海域で、すさみ町沿岸は全ての海域
において低被度であった。平均被度の高い海域では、場所によって高密度(被度50%以
上)な美しいサンゴ景観が創出され、そのような場所としては田辺市元島前、田辺市沖島
北東∼南西岸、白浜町四双島南西岸、串本町安指∼田子沿岸(双島北東岸を含む)、串本町
田の崎南東岸が挙げられる。市町村別の平均被度を見ると(表2)、田辺市と串本町は被度
が高いが、白浜町とすさみ町は低い。
サンゴは熱帯性の動物群集であり、高い水温環境を好む。そのため、一般的には水温の
勾配に即した分布、すなわち水温の高い南域は被度が高くて水温の低い北域は被度が低い
といった被度勾配が想定される。しかしながら、実際には上述の結果からも分かるように、
このような勾配は認められない。ところで、サンゴは共生する微細な単細胞藻類である褐
- 13 -
虫藻の光合成生産物に栄養依存しているため、光が良く到達する浅い海域を好む。そのた
め、遠浅の海岸地形が分布する場所ではサンゴは生育し易く、逆に、急深な海岸では生育
し難い。調査海域の海岸地形を見ると、白浜町鴨居海域ならびにすさみ町沿岸海域におい
ては概して海岸は急深である。従って、これらの海域でサンゴの量(被度)が少ないのは、
この海岸地形の制約を受けている可能性が持たれる。
表2. 海域別・被度階級別の地点数組成と被度
海
被度
階級
被度
範囲
%
便宜 みなべ 田辺
的
被度
%
千里∼ 天神崎
堺
沖島
域
白
瀬戸
周辺
鴨居
周辺
名
浜
富田
周辺
瀬戸∼ 梶原∼ 才野∼
権現崎
鴨居 袋湾
す さ み
椿
周辺
日置
周辺
見草崎
目戸∼
∼
伊古木
市江崎
すさみ 道の駅
港周辺 周辺
串 本
江住
周辺
朝来∼ 口和深 長井∼
下地 ∼長井 里野
和深 江田
周辺 周辺
地点
数
合計
大浦∼ 田子∼
田子
田並
1
0-1
0.5
9
3
12
19
11
32
50
32
53
55
11
2
289
2
1-10
5.0
11
10
7
0
6
5
1
0
2
2
20
17
81
4
10-50 25.0
5
7
3
0
8
1
0
0
0
0
5
19
48
0
6
2
0
0
0
0
0
0
0
13
9
30
総地点数
25
26
24
19
25
38
51
32
55
57
49
47
448
平均被度(海域別) %
7.4
26.0
11.1
0.5
9.4
1.7
0.6
0.5
0.7
0.7
24.6
26.3
8.9
平均被度(市町村別) % 7.4
26.0
5
50<
75.0
3.9
0.6
25.4
注:本表に示した地点とは、図7に示した被度階級別の記号がプロットされている場所を表す。
- 14 -
1−2.サンゴの量的変化
今回の調査と同一の手法(マンタ法)で、今から約20年前の1989年に和歌山県県下全域
にわたるサンゴ調査(以降、前回調査と呼ぶ)が串本海中公園センターによって実施され
ている。そこで、両調査で共通した海域において被度の変化を比較し、図8に示した。また、
図8を基に、各地点の被度階級を階級別・海域別に集計し、表2の要領で海域別・市町村別
の平均被度を算出した(表3)。以下に海域別にサンゴ被度の変化を述べる。
1−2−1.みなべ町(千里∼堺)沿岸:図8-1、8-2
前回調査ではどの地点も被度は1%未満であり、海域平均被度は0.5%であった。一方、
今回調査では多くの地点で被度の増加が認められ、平均被度は8.0%で、7.5%の被度増加
となった。この被度増加は、10年程前から定着し始めた多量の新規加入個体の成長に伴う
ものである。加入群体数が多く、また、成長状態の良好な目津崎地先前や森の鼻地先前で
は、今後、サンゴが順調に成長を続けることができれば、この5年以内に被度50%を越える
美しいサンゴ景観の形成が期待される。
1−2−2.田辺市天神崎、沖島沿岸:図8-2
前回調査では天神崎周辺でしか調査が実施されていないが、当該海域でもみなべ海域と
同様に被度の増加が認められ、前回調査における平均被度は0.8%、今回調査における平均
被度は13.0%で、12.2%の被度増加となった。この被度増加は多量の新規加入個体の成長
に伴うものであり、今後、サンゴが順調に成長を続けることができれば、この5年以内に美
しいサンゴ景観が形成されるものと思われる。
なお、前回、沖島は調査が実施されていないが、地元の漁師の聞き取りによれば、田辺
湾では本島周辺にだけ、50年以上前からテーブル状サンゴが群生していたとのことである。
また、今から80年前に実施されたサンゴ調査においても、沖島にテーブル状サンゴ(エン
タクミドリイシ)が群生することが記されている(杉山 1937)。
1−2−3.白浜町瀬戸周辺沿岸:図8-3
前回調査の平均被度は0.8%、今回調査の平均被度は3.7%で、2.9%の被度増加となった。
みなべ海域や田辺海域に比べると被度増加率は高くないが、権現崎周辺のやや被度の高い
サンゴ群落は新しく形成されたものであると見なされる。なお、白良浜北岸には、東アジ
ア海域の固有種で日本が主分布域であるエダミドリイシ Acropora pruinosa が群生するこ
とが以前より知られていたが、この群落は近年の護岸工事によって消失したことが確認さ
れた。天神崎を除いて、前回調査で観察された本種群落の多くが、今回調査で確認されて
- 27 -
おらず、串本海域のみならず県下の広域で本種は減少傾向にあることが窺える。
四双島では地元の漁師により古くからテーブル状サンゴの群生が確認されており、今回
の調査でも大型の老成したサンゴの群生が確かめられた。しかしながら、当該海域では多
数のオニヒトデとその食害による多量斃死群体が観察され、今後、サンゴ群落の行方が危
惧される。
1−2−4.白浜町鴨居周辺沿岸:図8-4
前回調査の平均被度は1.0%、今回調査の平均被度は0.5%で、0.5%の被度減少となった。
海域全体を通してどの地点も被度は1%未満で、サンゴの生育は不良であった。鴨居港沖に
位置する暗礁(高森)上には、かつて高密度なテーブル状サンゴを主体とするサンゴ群落
が分布していたが、今回の調査ではほとんど全てのサンゴが斃死しており、その時期は死
んだサンゴ骨格の状態から死後5年ほどであると推察された(詳細調査参照)。
1−2−5.白浜町富田周辺沿岸:図8-5
前回調査の平均被度は0.5%、今回調査の平均被度は9.4%で、8.9%の大幅な増加となっ
た。増加が著しいのが西谷地先と袋湾口で、特にわずか5分程度のスノーケリングで17種も
のサンゴが記録された袋湾口のサンゴの種多様性の高さ(1-1-5参照)は特筆される。この
種多様性の高い群落は近年、新たに形成されたものであろう。
1−2−6.白浜町椿周辺沿岸:図8-6
前回調査の平均被度は0.5%、今回調査の平均被度は1.7%で、1.2%の微増となった。増
加は主に見草崎で認められたが、当該海域では近年形成された高密度なテーブルサンゴ群
落の大方がオニヒトデによって食害されており、また、現在、生残しているものもオニヒ
トデにより食害を受けている最中なため、近い将来にはサンゴ群落が消失する可能性が持
たれる。
1−2−7.白浜町日置周辺沿岸(目戸∼伊古木):図8-7、8-8
前回調査の平均被度は0.7%、今回調査の平均被度は0.6%で、0.1%の微減となった。被
度的には前回と変化がないようにみえるが、志原西岸一帯ではこの20年の間に被度20∼30
%のテーブル状サンゴを主体とするサンゴ群集が形成され、それが今回の調査では完全に
斃死しているのが観察された。骨格の状態から、死後5年ほど経過したものであると推定さ
れ、その原因はオニヒトデもしくは2005年に生じた異常な低水温現象と推察される(1-17参照)。
なお、笠甫湾の西隣に位置する小湾では前回調査でエダミドリイシの群落が観察されて
いるが、今回の調査では本種群落は発見できなかった。従って、本種群落は消失した可能
- 28 -
性が持たれるが、透視度が不良であったことが観察に影響したことも否定できない。
1−2−8.すさみ港周辺沿岸:図8-8
前回・今回の両調査共に平均被度は0.5%で、被度変化は認められなかった。
1−2−9.すさみ町道の駅周辺沿岸:図8-9
前回調査の平均被度は0.8%、今回調査の平均被度は0.7%で、平均被度値では変化はほ
とんど認められなかった。ただし、地点別にみると、口和深南西岸では若干の増加が、見
老津前では若干の減少が認められた。
1−2−10.すさみ町江住周辺沿岸:図8-10
前回調査の平均被度は2.0%、今回調査の平均被度は0.7%で、1.3%の減少となった。地
点別にみると、見老津港前、西津浦前、江住川河口前で被度の低下が目立った。また、西
津浦前や里野前の江須崎以東の海域では、この20年の間に被度10∼50%のテーブル状サン
ゴを主体とするサンゴ群集が所々で形成され、それが今回の調査では完全に斃死している
のが観察された。骨格の状態から、死後5年ほど経過したものであると推定され、その原因
はオニヒトデもしくは2005年に生じた異常な低水温現象と推察される。さらに、江須崎東
岸中央付近にあった県下最大のサンゴであるコブハマサンゴ群体も完全斃死していた(11-10参照)。これも、前回調査以降の出来事であり、斃死原因としてはオニヒトデの可能性
が持たれた。
1−2−11.串本町和深周辺沿岸:図8-11
前回調査の平均被度は9.8%、今回調査の平均被度は25.9%で、16.1%の増加となった。
被度の増加は全域で認められるが、特に安指港周辺での増加が著しい。また、安指港より
西側では、オニヒトデに食害されたテーブル状サンゴの斃死群体が目立った。
1−2−12.串本町江田周辺沿岸:図8-12
前回調査の平均被度は18.2%、今回調査の平均被度は26.5%で、8.3%の増加となった。
被度の増加はほぼ全域にわたって認められた。
まとめ
紀伊半島南西岸を①みなべ町(千里∼堺)、②田辺市天神崎・沖島、③白浜町瀬戸周辺、
④白浜町鴨居周辺、⑤白浜町富田周辺、⑥白浜町椿周辺、⑦白浜町日置(目戸∼伊古木)、
⑧すさみ港周辺、⑨すさみ町道の駅周辺、⑩すさみ町見老津周辺、⑪串本町和深周辺、⑫
- 29 -
串本町江田周辺の12の海域に区分し、それらの海域毎に平均被度値を算出し(表3)、それ
に基づいてサンゴ被度分布の変化を図9に示した。海域別にみると、20年前と比較して被度
減少が認められたのは白浜町鴨居周辺と日置周辺、すさみ町道の駅周辺と江住周辺の4海域、
被度増加が認められなかったか、増加率が5%未満のわずかに増加した海域は、白浜町瀬戸
周辺と椿周辺、すさみ港周辺の3海域、被度増加率が5%以上10%未満の大きく増加した海
域はみなべ周辺、白浜町富田周辺、串本町江田周辺の3海域、被度増加率が10%以上の著し
く増加した海域は田辺周辺、串本町和深周辺の2海域で、全海域では4.0%の増加となった。
また、市町村別にみると、20年前と比較して被度減少が認められたのがすさみ町、わず
かに増加したのが白浜町、大きく増加したのがみなべ町、著しく増加したのは田辺市と串
本町であった。紀伊半島南西岸では1990年代初頭以降、高水温現象が継続し、熱帯性動物
群集であるサンゴはこの環境変化に応答して増加したことが予想される。しかしながら、
実際に顕著に増加したのは、12海域中で半分以下の5海域に留まり、市町村別でも顕著な増
加は半数に留まった。顕著な増加とならなかった海域は、サンゴに対して何らかの攪乱原
因があったものと考えられ、その主要因としてオニヒトデが挙げられる。また、はっきり
とした割合は算出できないが、2005年の突発的な異常低水温現象もサンゴにかなりのダメ
ージを与えたものと推察される。
表3-1.今回調査と1989年調査との海域別サンゴ平均被度比較
海
調査名
白
みなべ 田辺
1989年調査
2010年調査
差
域
浜
平均
す さ み
瀬戸 鴨居 富田
椿
日置
すさみ港 道の駅
江住
和深 江田
被度
0.5
8.0
0.8
13.0
0.8
3.7
1.0
0.5
0.5
9.4
0.5
1.7
0.7
0.6
0.5
0.5
0.8
0.7
2.0
0.7
9.8
25.9
18.2
26.5
3.8
7.8
7.5
12.2
2.9
-0.5
8.9
1.2
-0.1
0.0
-0.1
-1.3
16.1
8.3
4.0
表3-2. 今回調査と1989年調査との市町村別サンゴ平均被度比較
調査名
みなべ 田辺
紀南
白浜 すさみ 串本 全体
1989年調査
0.5
0.8
0.7
1.2
13.9
3.8
2010年調査
8.0
13.0
2.7
0.6
26.0
7.8
7.5
12.2
2.0
-0.6
12.1
4.0
差
串 本
- 30 -
みなべ
田辺
和歌山県南部
白浜
すさみ
1989年
串本
10 km
みなべ
田辺
白浜
すさみ
2010年
串本
サンゴ被度
0~1 %
1~10%
10~50%
図9.概念的にみた今回調査と1989年調査とのサンゴ被度変化
- 43 -
1−3.オニヒトデの分布
概況調査において、オニヒトデが観察された地点と、直接観察できなかったもののサン
ゴ上にオニヒトデによると思われる食痕(疑似食痕:白いパッチ状の模様)が観察された
地点を図7に示した。以下に海域別にこれらの状況を述べる。
1−3−1.みなべ町(千里∼堺)沿岸:図7-1、7-2
オニヒトデならびに疑似食痕は観察されなかった。
1−3−2.田辺市天神崎、沖島沿岸:図7-2
天神崎周辺と沖島西岸で疑似食痕が観察された。前者では疑似食痕が特に目に付き、10
個体のオーダーでオニヒトデが分布している可能性が持たれたが、後者では疑似食痕数は
些少であり、オニヒトデは分布しても数個体程度と思われた。
1−3−3.白浜町瀬戸周辺沿岸:図7-3
四双島南西岸において多数のオニヒトデと多量の食痕が観察された。当該海域でのオニ
ヒトデは異常発生のレベルと判定された。
1−3−4.白浜町鴨居周辺沿岸:図7-4
オニヒトデは鴨居沖の暗礁(高森)で観察されたが、数は少なく数個体である。高森は
東西1500mにもわたる大きな瀬であり、その上面にはかつてテーブル状サンゴが高密度に群
生していたが、今は生きたサンゴはほとんど見られない。その原因は5年ほど前にオニヒト
デが異常発生したためであると推察された。
1−3−5.白浜町富田周辺沿岸:図7-5
西谷ならびに袋崎前で疑似食痕が観察された。いずれも食痕数が少ないことから、オニ
ヒトデの分布個体数は多くはないものと思われた。
1−3−6.白浜町椿周辺沿岸:図7-6
見草崎を中心にオニヒトデが観察された。見草崎西岸∼南岸にかけては、オニヒトデの
発見個体数が多く、異常発生状態であるとみなされた。また、サンゴの被食率も70%近く
と見積もられ、近い将来、当該海域のサンゴ群集は消失する可能性が持たれた。
- 44 -
1−3−7.白浜町日置周辺沿岸:図7-7、7-9
オニヒトデ、疑似食痕ともに観察されなかった。
1−3−8.すさみ港周辺沿岸:図7-8
すさみ港の東隣の小湾でオニヒトデ1個体が観察されたが、他の地点ではオニヒトデ、疑
似食痕ともに観察されなかった。
1−3−9.すさみ町道の駅周辺沿岸:図7-9
オニヒトデは高浜地先前で1個体のみが観察されたが、疑似食痕は口和深周辺で広く散見
された。
1−3−10.すさみ町江住周辺沿岸:図7-10
長井地先前でオニヒトデ1個体が観察されたが、他の地点ではオニヒトデ、食痕ともに観
察されなかった。
1−3−11.串本町和深周辺沿岸:図7-11
赤瀬地先前を中心に、安指∼田子にかけての複数地点でオニヒトデが観察された。また、
同海域のほとんどの地点で疑似食痕も観察された。安指西岸では2004年に突如としてオニ
ヒトデの大集団が出現し、サンゴを保全する目的で当該海域を中心に串本町内から6万個体
以上ものオニヒトデが駆除されてきた。安指西岸からすさみ町との境界付近にかけては、
オニヒトデの食害を受け、サンゴ被度は大きく低下した。
1−3−12.串本町江田周辺沿岸:図7-12
田子地先前ならびに双島沿岸でオニヒトデと疑似食痕が観察された。前項の和深海域と
同様に、当該海域もオニヒトデの発生域であり、食害域が散見された。
まとめ
オニヒトデは前回調査が実施された1989年当時は黒潮の強い影響下にある串本海域を除
いて、県下には分布していなかったと考えられる。また、串本においても観察されること
は極めて稀であった。ところが、1990年代後半から琉球列島で大発生が始まり、その発生
域は黒潮流域に伝播し、2004年には高水温現象を背景に串本で初めての現地繁殖集団が発
生した。その後、発生域は紀伊半島を北上し、今回の調査によって田辺市天神崎まで分布
していることが確かめられた。
環境省が実施している国内全域にわたるサンゴ礁調査「モニタリングサイト1000サンゴ
礁サイト」では、サンゴ礁域において15分のスノーケリングでの観察で発見されたオニヒ
- 45 -
トデの個体数に応じて、オニヒトデの発生を以下のように定義している。0∼1個体:通常
分布、2∼4個体:多い(要注意)、5∼9個体:準大発生、10個体以上:大発生。環境省の調
査と、今回調査とでは調査手法が異なるが、今回調査結果を環境省調査の発生基準に合わ
せると、白浜町の四双島と見草崎、串本町の赤瀬前と田子前は大発生域、天神崎は準大発
生域とみなされる。また、四双島と見草崎はオニヒトデの個体数が多く(個体群はおそら
く100のオーダー)て食害が大きく進行しており、サンゴ群落の消失が危惧される。一方、
串本海域では、オニヒトデは多いものの、計画的な駆除によって個体数と食害量が制御さ
れ、高密度なサンゴ群落の大方は維持されている。
今回の調査結果とこれまでの観察情報に基づき、串本から田辺に至るオニヒトデの発生
海域において、かつては比較的規模の大きな高密度なサンゴ群生域があったもののオニヒ
トデの食害に遭い、現在は極めて低密度のサンゴ分布状態になっている場所が確認された。
それは、白浜町鴨居沖にある大きな暗礁(高森)と串本町安指西岸である。また、すさみ
町沿岸の所々ではサンゴの死滅群落が散見され、その原因は特定されていないが、オニヒ
トデの食害の可能性が持たれた。
みなべ
和歌山県南部
田辺
天神崎
四双島
白浜
高森
見草崎
すさみ
串本
オニヒトデ
安指
発生域
赤瀬
田子
大発生域
10 km
サンゴ食害死滅域
図10.概念的にみたオニヒトデの分布と食害域
- 46 -
1−4.大型藻類の分布と変化
今回の調査と同一の手法(マンタ法)で、今から約20年前の1989年にサンゴ調査と併せ
て藻場の調査(以降、前回調査と呼ぶ)が実施されている。そこで、両調査で共通した地
点において藻場の変化を比較し図11に示した。また、表4に今回調査と前回調査との藻場出
現地点数の比較を示した。
1−4−1.みなべ町(千里∼堺)沿岸:図11-1、11-2
千里地先周辺、目津崎西岸、堺・森の鼻地先前でホンダワラ類の藻場が観察されたが、
カジメ・アラメの藻場は全く観察されなかった。
前回調査では、アラメ・カジメの藻場は9地点で、ホンダワラ類の藻場は6地点で観察さ
れている。従って、みなべ海域ではアラメ・カジメの藻場は消失、ホンダワラ類の藻場は
かなり減少したものとみなされる。
1−4−2.田辺市天神崎、沖島沿岸:図11-2
天神崎では1地点でアントクメとホンダワラ類の混成する藻場が観察されたが、他の地点
では全く観察されなかった。沖島では南東岸でホンダワラ類の藻場が観察された。
前回調査では天神崎しか観察されていないが、大方の地点においては顕著な変化は認め
られない。
1−4−3.白浜町瀬戸周辺沿岸:図11-3
番所の鼻北岸の5地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観
察されなかった。
前回調査では番所の鼻北岸の2地点でホンダワラ類の藻場が、1地点でホンダワラ類とア
ラメ・カジメの混成した藻場が観察されており、当該海域ではこの20年の間にアラメ・カ
ジメの藻場が消失した代わりに、ホンダワラ類の藻場が増えたことが窺える。
1−4−4.白浜町鴨居周辺沿岸:図11-4
鴨居港東岸の2地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観察
されなかった。
前回調査では鴨居港東岸の1地点でアラメ・カジメの藻場が観察されされており、ホンダ
ワラ類の藻場は観察されていない。従って、当該海域ではこの20年の間にアラメ・カジメ
の藻場が消失した代わりに、ホンダワラ類の藻場が増えたことが窺える。
- 47 -
1−4−5.白浜町富田周辺沿岸:図11-5
富田周辺の9地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観察さ
れなかった。
前回調査では富田川西岸の4地点でアラメ・カジメの藻場が観察されているものの、ホン
ダワラ類の藻場は観察されていない。従って、当該海域ではこの20年の間にアラメ・カジ
メの藻場が消失した代わりに、ホンダワラ類の藻場が大幅に増えたことが窺える。
1−4−6.白浜町椿周辺沿岸:図11-6
椿湾周辺の2地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観察さ
れなかった。
前回調査ではアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されておらず、当
該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場が増えたことが窺える。
1−4−7.白浜町日置(目戸∼伊古木)周辺沿岸:図11-7、11-8
志原海岸西岸の1地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観
察されなかった。
前回調査ではアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されておらず、当
該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場がわずかに増えたことが窺える。
1−4−8.すさみ港周辺沿岸:図11-8
すさみ港東岸の2地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観
察されなかった。
前回調査ではアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されておらず、当
該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場がわずかに増えたことが窺える。
1−4−9.すさみ町道の駅周辺沿岸:図11-9
道の駅周辺の3地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観察
されなかった。
前回調査ではアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されておらず、当
該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場が増えたことが窺える。
1−4−10.すさみ町見老津周辺沿岸:図11-10
江須崎南東岸の1地点でホンダワラ類の藻場が観察されたが、アラメ・カジメの藻場は観
察されなかった。
- 48 -
前回調査ではアラメ・カジメの藻場は観察されていないが、ホンダワラ類の藻場が長井
地先の2地点で観察されている。従って、当該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場
が若干減少したことが窺える。
1−4−11.串本町和深周辺沿岸:図11-11
全地点においてアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されなかった。
前回調査においてもアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されておらず、
当該海域ではこの20年の間に藻場の変化はみられなかった。
1−4−12.串本町江田周辺沿岸:図11-12
全地点においてアラメ・カジメのみならず、ホンダワラ類の藻場も観察されなかった。
前回調査ではアラメ・カジメの藻場は観察されていないが、ホンダワラ類の藻場が2地点で
観察されている。従って、当該海域ではこの20年の間にホンダワラ類の藻場が若干減少し
たことが窺える。
まとめ
前回調査においては、アラメ・カジメの藻場がみなべ町や白浜町内の15地点で観察され
ているが、今回調査では両町内からはまったく観察されなかった。従って、この大型藻類
の藻場は串本町田並∼みなべ町千里に至る紀伊半島南西岸からは消失したものと思われる。
一方、紀伊半島南西岸においてホンダワラ類の藻場が観察されたのは、前回調査では16
地点であったのに対し今回調査では32地点と倍増した。従って、ホンダワラ類の藻場に関
しては増加が認められる。なお、市町村別でみると、ホンダワラ類の藻場はみなべ町と串
本町は減少、白浜町は大幅な増加、すさみ町は増加となる。
- 49 -
表4.今回調査と1989年調査との海域別藻場出現地点数比較
カジメ類
海
調査名
白
みなべ 田辺
域
浜
瀬戸 鴨居 富田
合計
す さ み
串 本
椿
日置
すさみ港
道の駅
江住
地点数
和深 江田
1989年調査
9
0
1
1
4
0
0
0
0
0
0
0
15
2010年調査
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-9
0
-1
-1
-4
0
0
0
0
0
0
0
-15
差
ホンダワラ類
海
調査名
白
みなべ 田辺
域
浜
瀬戸 鴨居 富田
合計
す さ み
串 本
椿
日置
すさみ港
道の駅
江住
地点数
和深 江田
1989年調査
9
0
3
0
0
0
0
0
0
2
0
2
16
2010年調査
6
1
5
2
9
2
1
2
3
1
0
0
32
-3
1
2
2
9
2
1
2
3
-1
0
-2
16
差
注:本表に示した地点とは、図11に示した海藻類別出現記号がプロットされている場所を表す。
- 50 -
1−5.概況調査のまとめ
概況調査によって串本町田並からみなべ町千里に至る紀伊半島南西海岸線におけるサン
ゴとオニヒトデ、ならびに海藻類の現在の概要が明らかになった。また、およそ20年前に
今回と同様の手法で実施された調査結果と比較することにより、海中生物の分布に大きな
変化が起きていることが確認された。これらの結果を要約して以下に記す。
①サンゴの分布
田辺市沖島北東∼南西岸、白浜町四双島南西岸、串本町安指∼田子沿岸(双島北東岸を
含む)、串本町田の崎南東岸の4海域では大型のテーブル状サンゴ(クシハダミドリイシ、
エンタクミドリイシ、ニホンミドリイシ)を主体とする高密度なサンゴ群落が分布し、傑
出した海中景観が認められた。これらのうち、田の崎を除く海域では、20年以上前からサ
ンゴの群生が知られていたが、近年になり、サンゴの量はさらに増加したものと思われる。
みなべ町目津崎地先、みなべ町森の鼻地先、田辺市元島前、白浜町権現崎地先、白浜町
西谷地先の4海域では、小型のテーブル状サンゴを主体とするサンゴ群落が観察されたが、
これらのサンゴ群落は近年(ここ10年以内)になり新しく形成された若いサンゴ群集であ
り、今後、それらが成長して上記のような傑出したサンゴ群生地となる可能性が持たれる。
被度は著しく高くないが、白浜町袋崎南岸で観察された種多様性の高いサンゴ群集も特
筆され、このサンゴ群集も近年になり形成されたものと思われる。
白浜町鴨居沖にある大きな暗礁(高森)と串本町安指西岸では規模のある高密度なサン
ゴ群落が形成されていたが、近年(5年ほど前)になり、そのほとんどがオニヒトデによっ
て食害を受け、景観は荒廃した。
②オニヒトデ
20年前には串本海域で偶発的に定着した小型個体がごく希に観察される以外は、和歌山
県下ではまったく分布していなかった。しかしながら、今回調査では串本町田並から田辺
市天神崎に至る紀伊半島南西岸のほぼ全域で観察され、しかも、白浜町の四双島と見草崎、
串本町の赤瀬前と田子前では大発生域、田辺市の天神崎では準大発生域と判定された。こ
れらのうち、四双島と見草崎ではオニヒトデの食害が大きく進行しており、サンゴ群落の
消失が危惧される。一方、串本海域ではオニヒトデは多いものの、計画的な駆除によって
個体数と食害量は制御され、高密度なサンゴ群落の大方は維持されている。
- 63 -
③藻場
20年前にみなべ町や白浜町内の15地点で観察されていたアラメ・カジメの藻場は、今回
調査では両町内からまったく観察されず、この大型藻類の藻場は紀伊半島南西岸からは消
失したものと判断される。
④変化の原因
紀伊半島南西岸では1990年代初頭以降、高水温現象が継続し、この環境変化に応答して、
熱帯性生物群集の増加・繁殖、温帯性生物群集の減少といった生物分布の変化が起きてい
る。今回の調査で確認された上述の生物群の分布変化も、高水温現象を背景に生じたもの
であると推察される。
サンゴやオニヒトデは熱帯性動物群集であり、近年の高水温現象を背景に紀伊半島の南
西岸に沿って北上・増加したものと考えられる。しかしながら、実際に顕著なサンゴ増加
が認められたのは、みなべ町、田辺市(天神崎)
、串本町で、白浜町は微増、すさみ町は微
減であった。顕著なサンゴ増加とならなかった海域は、サンゴに対して何らかの攪乱原因
があったものと考えられ、その主要因としてオニヒトデの食害が挙げられる。
参考文献
串本海中公園センター, 未発表. 和歌山県下全域を対象としたサンゴと藻場の分布調査.
野村恵一, 2004. 紀伊半島のサンゴ群集. 日本のサンゴ礁, 252-256. 環境省.
野村恵一, 2006. 串本のサンゴ群集(15), 総括2:サンゴ相, 被度, 重要群落.マリンパビリオン
35: 26-27
野村恵一, 2009. 和歌山県串本海域における近年のサンゴ群集変化. 日本のサンゴ礁学会誌, 11:
39-49.
野村恵一, 2010. サンゴ類. 平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サンゴ)調査報告書,
17-43. 環境省近畿地方環境事務所.
野村恵一・福田照雄, 2000. 串本のサンゴ群集 (1)、串本のサンゴ群集の特異性.マリンパビリ
オン, 29: 62-63.
野村恵一・御前
洋・小寺昌彦, 2005. 串本海域のオニヒトデ調査. 平成16年度管理方針検討調
査(串本海中公園地区海中生物等生息状況調査)報告書:25-35. 環境省自然保護局.
杉山敏郎, 1937. 本邦沿岸産現棲造礁珊瑚に就いて.東北大学理学部地質学古生物学教室研究邦
文報告, 26, 1-60.
- 64 -
2.詳細調査
2−1.環境と景観的特徴
2-1-1.地点別の特徴
各調査地点の調査日時、物理的環境(水温、水平透視度)、位置を表5に、水深と底質を
表6に示す。以下に、地点別の環境と景観的特徴を述べる。
表5.各調査地点の調査日、環境、位置
調査日
①権現崎
調査時間
9月22日
13:45
∼
②四双島
9月22日
10:30
③天神崎
9月30日
9:55
④沖島
9月30日
⑤ショウガセ
9月29日
透視度(m) 水温(℃)
28∼29
基点 北緯
基点 東経
33°41′09.5″
135°20′25.7″
15:00
15
∼
11:45
15
28
33°41′28.4″
135°19′32.8″
∼
11:00
5
27
33°43′34.3″
135°21′7.7″
11:30
∼
12:50
15
27
33°43′8.3″
135°19′28.0″
10:25
∼
11:10
15
27
33°43′27.3″
135°18′29.0″
27
⑥目津崎
9月29日
13:20
∼
14:25
12
33°45′43.9″
135°17′43.2″
⑦-1 高森東
10月14日
10:00
∼
11:00
15
33°38′37.0″
135°21′43.5″
⑦-2 高森西
10月14日
11:30
∼
13:00
15
33°38′52.4″
135°21′15.3″
①権現崎(図4-5、表5-6、写真2-1)
白浜町権現崎北東岸地先前に調査地点を設定。地点への最短アクセスは瀬戸漁港から船
で約5分である。また、近接の海岸までは権現崎遊歩道北側入口から徒歩5分である。権現
崎は県下有数の観光地である白良浜に隣接し、周囲の海岸の開発は著しいが、権現崎は植
生が豊かで人工物は見られず、また、周囲は遊歩道となっており、本遊歩道から白浜の代
表的な景勝地である円月島や白良浜を眺めることができる。調査地点の北東側には瀬戸漁
港の防波堤が伸び、その奥は瀬戸漁港となる。陸域の景観は概して良好であるが、人工景
観の要素の比率がやや高い。
調査域の水深範囲は2.0∼9.5m,平均5.1m、底質は基本的に岩で、遠浅であるが起伏に
富む。透視度は良好である。浅所の岩礁上には小型のクシハダミドリイシを中心とした多
様性の高いサンゴ群集が認められ、これらとともにヌメリトサカが海中の景観を形成して
いる。大型藻類は生育しないが、植生は比較的豊かで、魚類の多様性も高い。密度の高い
サンゴ景観は疎らに分布し、現時点での海中景観の評価は高くはないが、今後、サンゴの
成長とともに景観の向上が大いに期待できる。
- 65 -
②四双島(図4-5、表5-6、写真2-2)
四双島は白浜町番所の鼻の西方約600m沖に位置、最短アクセスは瀬戸漁港から船で約10
分である。四双島は南北方向に細長い小島で、南北の長さは約500mである。調査地点は島
の西岸中央の大きな入り江の南側に設定。
四双島は高さが低く樹木の生育は見られず、島の陸上部の景観的価値は乏しい。また、
島にそびえ立つ灯台は四双島のランドマークになっている。ただし、陸域(白浜町)の遠
望は秀逸である。
調査域の水深範囲は0.5∼9.0m,平均5.5m、底質は岩で、遠浅でなだらかに傾斜する。
透視度は良好である。水深5m前後のやや浅い岩礁上にはニホンミドリイシを中心に大型の
テーブル状サンゴが群生し、美しい海中景観が認められる。一方、オニヒトデが大量発生
しており、食害部が目立った。
③天神崎(図4-5、表5-6、写真2-3)
天神崎丸山に隣接する入り江内中央部に調査地点を設定。地点への最短アクセスは隣接
する田辺港から船で約5分である。また、地点近くの岸までは遊歩道から徒歩で来られる。
天神崎は都市部(田辺市)に隣接するものの、独特な平磯の海岸地形を有し、海岸に大き
く突出した丸山は付近のランドマークとなっている。また、背後の山もナショナルトラス
ト運動によってよく保全されており、陸域の景観度は高い。
調査域の水深範囲は4.8∼11.7m,平均8.0m、傾斜はなだらかであるがやや深い。透視
度は5mしかなく、地点中で最低であったが、これは降雨の濁水の影響を受けたためである。
底質は基本的に砂質なため、生物の多様性も全般的に低く、景観的価値もあまり見出せな
かった。ただし、入り江西岸の岩礁上には多様性の高いサンゴ群集が認められ、特に、日
本を中心とした東アジア海域の特産種で、国内では衰退傾向にあるエダミドリイシの比較
的規模の大きな群落が観察された。
④沖島(図4-5、表5-6、写真2-4)
沖島は天神崎の西南西約2.5km沖合に位置し、最短アクセスは田辺港から船で約10分であ
る。沖島は大小の離礁群からなり、南北方向に長く、同方向の長さは約500mである。調査
地点は島の西岸中央付近に設定。沖島も四双島と同様に高さが低く樹木の生育は見られず、
島の陸上部の景観的価値は乏しい。また、島にそびえ立つ灯台は沖島のランドマークにな
っている。ただし、陸域(田辺湾)の遠望は秀逸である。
調査域の水深範囲は3.9∼17.1m,平均10.0mとやや深く、底質は基本的に岩である。海
底はゆるやかに傾斜し、透視度は良好である。水深5∼10mの間のやや浅い岩礁上には大型
のテーブル状サンゴが群生し、特に美しい海中景観が認められた。当該海域のサンゴ群落
は西崎サンゴと呼ばれる。
- 66 -
⑤ショウガセ(図4-5、表5-6、写真2-5)
ショウガセはみなべ町堺の南西約3km沖に位置する暗礁で、最浅部の水深は約13mで、先
端から水深40mまでは急傾斜して断崖様に切り立ち、水深40mから50mの間は緩やかになる。
ショウガセの上面は平たく、サンゴイソギンチャクやソフトコーラル類が目立つが、サン
ゴ類や他の底生動物は少なく、景観は殺風景である。しかしながら、水深30m前後の断崖に
はヤギ類やウミカラマツ類、ウミトサカ類が豊富でお花畑的景観が認められる。さらに水
深約40mの海底には蛍光黄色の体色をしたオオカワリギンチャクが群生し、幻想的な海中景
観を創出している。
なお、本地点においては深度が深いため、側線による調査は行わなかった。
⑥目津崎(図4-5、表5-6、写真2-6)
目津崎の南岸に調査地点を設定。アクセスは堺港から船で約15分である。目津崎は断崖
様の海岸面を持ち、海岸の自然度が高く、陸上景観は優れている。
調査域の水深範囲は1.8∼15.3m,平均6.5mとやや深く、底質は基本的に岩である。海
底はゆるやかに傾斜し、透視度は12mとやや低かったがこれは濁水の影響を受けたためで
ある。水深5m以浅の岩礁上には近年、新しく加入・生育した小型のサンゴ群体(30∼50
cm)の定着が目立ち、サンゴ景観の形成初期段階であることが確認された。サンゴを除く
と特徴的な生物は見当たらず、景観・生物相ともに比較的単調である。
⑦高森(図4-5、表5-6、写真2-7)
高森は白浜町鴨居南方約600m沖に位置する、東西およそ1500mにわたって連なる細長い暗
礁である。地点への最短アクセスは鴨居港から船で5分である。調査地点は高森の東西両端
に設定した。
高森は瀬の上部の水深は約10m,下部は約20mで、傾斜は比較的緩やかであるが、高森
西では海底の起伏は豊かである。底質は基本的に岩で、透視度は良好である。
暗礁の上部ではテーブル状サンゴを中心に高密度なサンゴ群生が認められたが、そのほ
とんど全てが既に斃死し、サンゴ骨格の状態から死後5年前後と推定された。景観・生物相
ともに極めて貧弱であり、サンゴ群落の消失とともに生物相が急激に荒廃した様子が窺え
た。
なお、本地点では補足的にサンゴのみ調査を行った。
- 67 -
表6.各調査地点の測線下の水深と底質
地点名
①権現崎
②四双島
③天神崎
④沖島
⑤ショウガセ
⑥目津崎
⑦-1 高森東
⑦-2 高森西
地点名
①権現崎
②四双島
③天神崎
④沖島
⑤ショウガセ
⑥目津崎
⑦-1 高森東
⑦-2 高森西
距離
0m
5m 10m 15m 20m 25m 30m 35m 40m 45m 50m 55m 60m 65m
水深
3.0
4.9
2.6
2
2.4
2.8
2.3
3.9
4.4
3.5
4.4
5.8
5.2
6.9
底質
岩
石
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
0.5
2.0
1.4
1.8
2.3
3.3
3.3
3.9
4.8
4.4
5.1
5.8
6.8
8.4
底質
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
5.5
5.8
6.3
6.6
6.9
7.0
7.3
7.1
7.0
4.8
6.6
8.1
8.7
8.9
礫
礫・砂
岩
岩
礫・砂
砂
砂・泥
底質
礫・砂 礫・砂 礫・砂 礫・砂 礫・砂 礫・砂 礫・砂
水深
3.9
4.3
4.2
5.8
6.2
9.3
8.0
7.2
6.7
6.6
7.9
9.8
10.8
12.8
底質
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
底質
水深
1.8
3.5
3.2
3.5
2.6
2.7
2.9
2.9
4.2
3.8
4.2
4.7
5.9
6.7
底質
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
13.2
13.4
13.0
12.3
12.0
11.5
11.7
底質
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
15.0
底質
岩
12.6
岩
岩
12.8
岩
岩
岩
12.5
岩
11.7
岩
岩
距離 70m 75m 80m 85m 90m 95m 100m
水深
7.2
5.3
7.3
7.2
7.4
8.5
9.5
底質
岩
岩
岩
岩
石
岩
石
水深
9.0
9.3
8.7
8.2
8.4
8.6
8.7
底質
岩
岩
岩
岩
岩
岩
岩
水深
9.2
9.3
9.5
10.0
10.5
10.9
11.7
底質
砂・泥 砂・泥 砂・泥 砂・泥 砂・泥 砂・泥 砂・泥
水深
13.8
14.1
14.2
14.4
15.5
16.4
17.1
底質
礫
礫
礫
礫
岩
礫
礫
水深
岩
岩
岩
15.0
岩
岩
岩
岩
平均
2.0-9.5
5.1
岩
0.5-9.0
5.5
岩
4.8-11.7
8
砂
3.9-17.1
10
10-40
27.5
岩
岩
8.0
9.1
底質
岩
石
水深
12.1
底質
岩
水深
10.2
底質
岩
11.2
12.5
石
石
11.0
岩
岩
岩
14.6
15.3
石
礫
礫・砂
10.9
岩
10.6
岩
14.1
岩
11.2
岩
11.0
岩
岩
11.4
岩
1.8-15.3
6.5
10.9-13.4
12.2
岩
岩
岩
10.2-15
岩
①泥:堆積物はシルト質
④石:堆積物の大きさがこぶし以上1m未満
②砂:堆積物の粒径が1cm未満
⑤岩:堆積物の大きさが1m以上
③礫:堆積物の大きさが1cm以上こぶし未満
- 68 -
13.0
岩
14.3
範囲
底質
水深
12.4
12.5
岩
岩
岩
12.9
岩
岩
岩
2-1-2.陸域景観と特性の評価
陸域景観と特性の評価を表7に示した。陸域の景観や特性の評価が特に高かった地点は、
③天神崎と⑥目津崎である。⑤ショウガセと⑦高森は暗礁のため陸域の景観評価ができな
かったが、両者ともに海面上からの眺望は秀逸である。
表7.陸域景観と特性の評価
調
- 69 -
⑦
目津崎
高森
◎
−
③
権現崎
四双島
天神崎
沖島
○
○
◎
○
目津崎は断崖様の海岸面を持ち、海岸の自然度が高く、陸上景観は優れている。
沖島も四双島と同様に高さが低く樹木の生育は見られず、島の陸上部の景観的価値は乏
しい。また、島にそびえ立つ灯台は沖島のランドマークになっている。ただし、陸域(田辺湾)
の遠望は秀逸である。
天神崎は都市部(田辺市)に隣接するものの、独特な平磯の海岸地形を有し、海岸に大き
く突出
した丸山は付近のランドマークとなっている。また、背後の山もナショナルトラスト運動によっ
てよく
四双島は高さが低く樹木の生育は見られず、島の陸上部の景観的価値は乏しい。また、島
にそびえ立つ灯台は四双島のランドマークになっている。ただし、陸域(白浜町)の遠望は秀
逸である。
県下有数の観光地である白良浜に隣接し、周囲の海岸の開発は著しいが、権現崎は植生
が豊かで人工物は見られず、また、周囲は遊歩道となっており、遊歩道から白浜の代表的な
観光地である円月島や白良浜を眺めることができる。調査地点の北東側には瀬戸漁港の防
波堤が伸び、その奥は瀬戸漁港となる。陸域の景観は概して良好であるが、人工景観の要
素の比率がやや高い。
基
準
海岸線には人為的構造物が多く、自然景観は損なわれる。海岸に顕著な特性は認められない。
海岸線には人為構造物は少なく自然度が高い。海岸に顕著な特性は認められない。
海岸線には人為構造物はなく優れた景観が認められる。もしくは、海岸に顕著な特性を有する。
記号
△
○
◎
⑥
⑤
ショウ
ガセ
−
②
陸上景観・特性の評価
備考(特記事項)
査
地 点
④
①
評価基準
2-1-3.海中景観の評価
海中景観と特性の評価を表8に示した。海中景観の評価が特に高かった地点は、②四双島、
④沖島、⑤ショウガセである。②と④は大型のテーブル状サンゴの群生するサンゴ景観、
⑤はサンゴ以外の刺胞動物が形成するお花畑様景観が秀逸である。
表8.海中景観と特性の評価
⑦
沖島
ショウガセ
目津崎
高森
△
◎
◎
○
△
底質は基本的に砂質でなため、生物の多様性も全般的に低く、景観的価値もあまり見出
せなかった。ただし、入江西岸の岩礁上には多様性の高いサンゴ群集が認められ、特に、日
本を中心とした東アジア海域の特産種で、国内では衰退傾向にあるエダミドリイシの比較的
規模の大きな群落が観察された。
水深5∼10mの間のやや浅い岩礁上には大型のテーブル状サンゴが群生し、特に美しい
海中景観が認められる。
ショウガセの上面は平たく、サンゴイソギンチャクやソフトコーラル類が目立つが、サンゴ類
や他の底生動物は少なく、景観は殺風景である。しかしながら、水深30m前後の断崖にはヤ
ギ類やウミカラマツ類、ウミトサカ類が豊富でお花畑的景観が認められる。さらに水深約40m
の海底には蛍光黄色の体色をしたオオカワリギンチャクが群生し、幻想的な海中景観を創
出している。
水深8m以浅の岩礁上には近年、新しく加入・生育した小型のサンゴ群体(30∼50
cm)の定着が目立ち、サンゴ景観の形成初期段階であることが確認された。サンゴを除くと
特徴的な生物は見当たらず、景観・生物相ともに比較的単調である。
テーブル状サンゴを中心に暗礁の上部で高密度なサンゴ群生が認められたが、そのほと
んど全てが斃死し、サンゴ骨格の状態から死後5年前後と推定された。景観・生物相ともに極
めて貧弱であり、サンゴ群落の消失とともに生物相が急激に荒廃した様子が窺えた。
権現崎
四双島
天神崎
○
◎
水深5m前後のやや浅い岩礁上にはニホンミドリイシを中心に大型のテーブル状サンゴが
群生し、美しい海中景観が認められる。一方、オニヒトデが大量発生しており、食害部が目
立った。
海中景観・特性の評価
備考(特記事項)
- 70 -
⑥
③
浅所の岩礁上には小型のクシハダミドリイシを中心とした多様性の高いサンゴ群集が認め
られ、これらとともにヌメリトサカが海中の景観を形成している。大型藻類は生育しないが、植
生は比較的豊かで、魚類の多様性も高い。密度の高いサンゴ景観は疎らに分布し、現時点
での評価は高くはないが、今後、サンゴの成長とともに景観の向上が大いに期待できる。
基準
海底地形は単調。生物相は貧弱で景観を構成する生物が少ない。
生物は特に豊かではないが、部分的に美しい景観が形成されている。もしくは、海底地形に変化がある。
高密度な生物群落によって特徴的な景観が形成されているか、特異な海底地形が認められる。
記号
△
○
◎
⑤
②
点
調
査
地
④
①
評価基準
2-2.生物的特徴
2-2-1.サンゴ類
ライントランゼクト法を用いた調査結果に基づき各地点のサンゴ群集の分布特徴を述べ、
その後に、サンゴ群集の資質を評価する。本調査では測線下に出現したサンゴの種別の長
さを記録したが、測線近傍で観察された種名も記録し、表9にはそれらを含めて示した。
群集評価においては、ライントランゼクト調査の集計値から算出した群集の指標値(種
数、被度、積算優占度SDR、種多様度指数H')とともに、高密度群集の規模や資源学的・生
態学的重要性をも考慮に含めた。なお、積算優占度 SDR(Summed Dominance Ratio)は種
の優占度を表す指標で、被度と出現頻度から、それぞれの最高値を100とした比数を求め、
それらを足して2で割った値で表され、この値が50以上のものを優占種とした。種多様度指
数H'は群集の種多様性を表す指標で、Shannon-Weaver の式(H'=−ΣPi log Pi)を用い
て算出した。この値は値が高いほど相対的に群集の種多様性が高いことを表す。
また、評価においては、環境省が今回調査と同様の手法で吉野熊野国立公園内ならびに
その隣接海域において、2009年に実施した調査「平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資
質(サンゴ)調査報告書」から、串本町内の熊野枯木灘県立自然公園内もしくはそれに隣
接する4地点(錆浦、名近、双島、安指)の結果も引用した。サンゴ類の同定は観察経験に
基づく水中での目視識別によったが、この経験は特に西平・Veron (1995)、Veron(2000)
に準拠した。
2-2-1-1.地点別の出現状況とサンゴ群集の特徴
①権現崎(表9-1、表10-11、図12、写真2-1)
測線下から24種、周辺を含めると39種が出現し、地点被度は25.4%、優占種は降順にク
シハダミドリイシ、ニホンミドリイシ、フカトゲキクメイシであった。本地点のサンゴ群
集の特徴としては、南方系種であるクシハダミドリイシが最優占種として出現すること、
アバタセンベイサンゴ、パリカメノコキクメイシ、ミダレカメノコキクメイシ、トゲルリ
サンゴ、タカクキクメイシなどの一般的な少産種が比較的多く出現すること、串本海域に
匹敵する著しく高い種多様性を有することである。
当該海域の最優占種であるクシハダミドリイシは、南方系種であるため温暖な環境を好
み、和歌山県では串本町西岸域で大規模で高密度な群落を形成しているが、串本町から北
に向かうにつれ本種の生育量は減少し、本種を優占種とするサンゴ群集はすさみ町以北で
- 71 -
はほとんど見られなくなる。20年前における当該海域のサンゴ概況調査においては、サン
ゴ被度は1%未満で、クシハダミドリイシも記録されていない。また、今回観察されたクシ
ハダミドリイシは直径1m未満の比較的小型群体であり、この大きさから近年(ここ10年以
内)になり加入・生育したものであるとみなされる。従って、本地点のサンゴ群集は、近
年になり形成された若いサンゴ群集であり、今後、大きな攪乱が起こらなければ、比較的
早期(5年以内)に串本海域と同様のクシハダミドリイシを主体とする美しいテーブル状サ
ンゴ景観が形成されるものと思われる。
②四双島(表9-2、表10-11、図12、写真2-2)
測線下から13種、周辺を含めると28種が出現し、地点被度は28.7%、優占種はニホンミ
ドリイシ1種であった。水深帯別にみると、水深2m以浅の浅所ではクシハダミドリイシや
ハナヤサイサンゴが卓越し、水深2∼7m帯においてニホンミドリイシとともにエンタクミ
ドリイシが多産し、水深8m以深では被度は極端に低下する。深所でサンゴが少ないのは、
サンゴの生育条件が浅所より劣るとともに、オニヒトデによる食害率が高かったためであ
る。
本地点のサンゴ群集の特徴としては、ニホンミドリイシが最優占種として出現すること、
テーブル状のサンゴ(ニホンミドリイシ、エンタクミドリイシ、クシハダミドリイシ)の
大型群体(2m級が散見)が多く、かつ、小型群体も多いことである。すなわち、年齢の古
い生産性の高い群体を主体に加入もあるという、安定性の高い理想的なサンゴ群集が維持
されていることである。しかしながら、本地点ではオニヒトデが大量発生しており、調査
中に直径20cm以上の大型個体が10個体程度観察された。また、オニヒトデに食害されたサ
ンゴの食害率は30%と見積もられ、当該海域のサンゴ群集は危機的な状況にあると判断さ
れた。
③天神崎(表9-3、表10-11、図12、写真2-3)
測線下から16種、周辺を含めると38種が出現し、地点被度は4.4%、優占種はイボサンゴ
1種であった。
本地点では湾中央を縦断するように測線を設置したが、底質が基本的に砂であったため
サンゴは少なく、出現は測線が岩礁上を通った40∼60m区間に集中した。測線の結果から
では、本地点のサンゴ群集の評価は極めて低いものになるが、湾西岸の岩礁上では表9-3に
示してあるように、種多様性の著しく高いサンゴ群集が観察された。
また、西岸中央の水深3∼5m帯で、エダミドリイシが1200㎡の範囲にわたって、比較的
密度の高い群落(中心部で被度50%)を形成しているのが確認された。エダミドリイシは
日本の内湾域を分布の中心とする東アジア海域の固有種で、国内では内湾域の開発と共に
衰退傾向にある希種である。本地点では20年前の概況調査の際に本種群落が観察され、そ
- 72 -
の後の生存が危惧されていたが、今回の調査によって本種の個体群は健全に維持されてい
ることが確かめられた。本種群落は種の存続が危惧される貴重種であり、本種群落の継続
的な存在は、当該海域の環境が良好に保たれていることを示すものであり、陸域の山林部
も含めた保全を推進しているナショナルトラスト運動の活動成果の現れであると推察され
る。
④沖島(表9-3、表10-11、図12、写真2-4)
測線下から19種、周辺を含めると44種が出現し、地点被度は44.0%、優占種は降順にク
シハダミドリイシ、ニホンミドリイシであった。水深帯別にみると、水深4m以浅の浅所で
はニホンミドリイシが、水深4∼6m帯ではクシハダミドリイシが、水深6∼9m帯ではエン
タクミドリイシがそれぞれ多産し、底質が礫となる水深9m以深(測線70m以遠)ではサン
ゴの出現量は大きく減少した。
本地点のサンゴ群集の特徴としては、クシハダミドリイシ・ニホンミドリイシ・エンタ
クミドリイシの大型で密度の高いテーブル状サンゴが群生し、しかも種多様性が著しく高
いことである。これらのテーブル状サンゴは直径2mを越えるものが少なくないことから、
歴史の長い群集と考えられ、当該海域の環境の安定性の良さがうかがえる。また、このよ
うな大型群体は資源生産性(卵生産量)が特に高く、当該海域がサンゴ群集の資源地の核
となって、周辺に幼生を供給し、みなべ海域や天神崎海域に新たなサンゴ群集を育んだも
のと考えられる。
概況調査の項でも述べたが、沖島のサンゴ群集は近年の高水温現象を背景にして形成さ
れたものではなく、50年以上前から田辺湾内唯一のサンゴの群生地として知られ、今から
80年前に実施された和歌山沿岸(由良、田辺、串本)のサンゴ調査においても、沖島にテ
ーブル状サンゴ(エンタクミドリイシ)が群生することが記されている(杉山 1937)。た
だし、この時の調査ではクシハダミドリイシは串本以外からは記録されておらず、当時、
クシハダミドリイシは沖島には分布していなかったとみなされる。従って、クシハダミド
リイシについては近年の高水温現象に伴い定着・成長したと考えられ、現在、エンタクミ
ドリイシと競合している可能性が持たれる。そして、将来的には浅所ではクシハダミドリ
イシが、それよりも深所ではエンタクミドリイシがそれぞれ排他的に優占して明瞭な帯状
構造を形成するようになることが予想される。
⑤ショウガセ(表9-5、表10-11、図12、写真2-5)
任意探索によって15種が記録されたが、景観を形成するような密度の高い群集は観察さ
れなかった。ただし、水深30m前後の崖様の岩礁面において、カービーエダサンゴの直径
1mを越える複数の大型群体が観察されたことは特筆される。本種は国内での産地が限られ
る少産種で、和歌山県では串本町の潮岬と有田沖の2ヶ所からしか見つかっておらず、今回
- 73 -
の発見は県下では3例目、串本以外では初めてとなる。
⑥目津崎(表9-6、表10-11、図12、写真2-6)
測線下から15種、周辺を含めると35種が出現し、地点被度は16.0%、優占種はニホンミ
ドリイシ1種であった。被度が高かったのは水深2∼5mの水深帯で、それ以深ではサンゴは
疎らであった。
本地点のサンゴ群集の特徴としては、ニホンミドリイシが最優占種として出現すること、
小型のテーブル状サンゴ(ニホンミドリイシ、エンタクミドリイシ、クシハダミドリイ
シ)が群集の主体をなすことである。これらの小型群体は直径範囲が5∼50cm、モードは
30∼50cmであり、複数の年級群によって構成されていることがうかがえる。このサイズ
組成から、本テーブル状サンゴ群集はこの10年以内に加入・成長した新規加入群で、また、
毎年のように加入が起きていることが推察される。今後、大きな群集攪乱が生じなければ、
各サンゴ群体は成長を続け、5年ほどで美しいテーブル状サンゴ景観が形成される可能性が
持たれる。
⑦高森(表9-7、表10-11、図12、写真2-7)
東西に細長い高森の両端で調査を実施したが、両地点ともに測線下から出現したのは1種
のみで、周辺を含めても20種には満たず、被度は1%未満であった。
瀬の上面には死後5年前後と推定された大型で高密度なテーブル状サンゴの斃死群体が広
がり、生きたサンゴはほとんど認められなかった。地元での聞き取りによれば、5年ほど前
に多量のオニヒトデが目撃されたとのことであり、当該海域の大量斃死の原因は、大量発
生したオニヒトデによる食害であると判断される。
高森のサンゴ群落は、沖島(田辺市)と並んで古くから地元では知られており、白浜町
内の観光商店で土産物として売られていたサンゴの多くは高森産であったとのことである。
- 74 -
表9-1.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ①権現崎
①権現崎
区
種
名
1
ハナヤサイサンゴ
2
クシハダミドリイシ
3
ニホンミドリイシ
4
スギノキミドリイシ
5
エンタクミドリイシ
6
ホソエダミドリイシ
7
コシバミドリイシ
8
モリスコモンサンゴ
9
フタマタハマサンゴ
10
キクメハナガササンゴ
11
ハナガササンゴ
12
アミメサンゴ
13
ベルベットサンゴ
14
ノマヤスリサンゴ
15
シコロサンゴ
16
アバタセンベイサンゴ
17
キッカサンゴ
18
コハナガタサンゴ
19
ハナガタサンゴ
20
ボンサイイボサンゴ
21
イボサンゴ
22
コトゲキクメイシ
23
ニホントゲキクメイシ
24
トゲキクメイシ
25
フカトゲキクメイシ
26
リザードキクメイシ
27
28
29
オオカメノコキクメイシ
30
パリカメノコキクメイシ
31
ウネカメノコキクメイシ
32
ミダレカメノコキクメイシ
33
ヒメウネカメノコキクメイシ
34
マルキクメイシ
35
タカクキクメイシ
36
トゲルリサンゴ
37
チヂミノウサンゴ
38
コマルキクメイシ
39
オオスリバチサンゴ
0-10
10-20
20-30
30-40
0.5
8.0
13.0
7.0
14.0
2.0
4.0
間
50-60
60-70
5.0
1.5
0.5
0.5
6.0
18.0
5.0
4.0
1.0
3.0
3.0
5.0
3.0
(m)
40-50
平均
70-80
7.0
80-90 90-100
3.0
1.0
1.0
38.9
1.0
5.6
85.0
2.0
3.8
73.9
1.5
33.4
0.4
13.6
0.3
12.2
0.5
9.5
4.0
1.0
2.0
0.5
5.0
2.5
2.0
2.5
5.0
1.0
2.0
2.0
1.0
7.0
3.0
2.0
3.5
4.0
キクメイシ
3.0
2.0
ゴカクキクメイシ
2.0
5.0
4.0
4.0
2.0
1.0
2.0
1.0
2.0
3.0
2.0
3.0
2.0
1.0
4.0
1.0
3.0
3.0
1.0
2.0
5.0
6.0
0.3
7.2
0.5
14.0
0.5
9.5
0.1
5.9
0.2
6.8
0.2
6.8
0.1
5.9
2.4
51.0
0.6
15.4
0.9
28.0
1.0
4.0
1.0
1.0
4.0
4.0
7.0
0.2
6.8
1.3
41.6
0.1
5.9
1.6
39.3
1.4
37.5
0.4
8.6
0.7
11.3
区間被度
14.0
15.0
29.5
39.0
32.5
32.0
38.5
20.0
19.0
14.5
25.4
区間種数
4
2
5
10
7
11
13
7
7
8
24
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 75 -
SDR
被度
表9-2.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ②四双島
②四双島
区
種
名
0-10
10-20
1
ハナヤサイサンゴ
2.5
2
クシハダミドリイシ
9.0
4.0
3
ニホンミドリイシ
3.0
8.0
4
エンタクミドリイシ
2.0
2.0
5
ホソエダミドリイシ
6
ノリコモンサンゴ
ミレポラコモンサンゴ
8
モリスコモンサンゴ
9
コモンサンゴ
10
フタマタハマサンゴ
11
キッカサンゴ
12
イボサンゴ
13
タバネサンゴ
14
コトゲキクメイシ
15
フカトゲキクメイシ
16
リザードキクメイシ
17
キクメイシ
18
ゴカクキクメイシ
19
パリカメノコキクメイシ
20
ウネカメノコキクメイシ
21
ミダレカメノコキクメイシ
22
ヒメウネカメノコキクメイシ
23
マルキクメイシ
24
タカクキクメイシ
30-40
間
40-50
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
1.0
1.0
36.0
2.0
(2.0)
(3.0)
20.3
85.0
8.5
6.0
15.5
4.0
3.8
39.4
0.2
5.5
(14.0)
(10.0)
(35.0)
(11.0)
(10.0)
(16.0)
2.0
2.0
1.0
2.0
1.0
1.0
1.0
1.0
2.0
トゲルリサンゴ
2.0
2.0
27
コマルキクメイシ
28
オオスリバチサンゴ
23.9
2.0
2.0
チヂミノウサンゴ
10.9
63.0
1.0
25
0.4
1.6
30.0
1.0
26
SDR
被度
61.0
2.0
死テーブルサンゴ(死後数年以内)
7
20-30
3.0
(10.1)
0.1
5.2
0.5
16.2
0.3
10.7
0.4
16.0
0.1
5.2
0.3
10.7
0.5
11.2
0.2
5.5
区間被度
18.5
15.0
42.0
71.5
41.0
80.5
8.0
7.0
2.0
1.0
28.7
区間種数
5
4
4
4
5
3
4
4
1
1
13
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 76 -
表9-3.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ③天神崎
L-3: 天神崎
種
1
ムカシサンゴ
2
ハナヤサイサンゴ
3
クシハダミドリイシ
4
ニホンミドリイシ
5
エダミドリシ
6
エンタクミドリイシ
7
ホソエダミドリイシ
8
コシバミドリイシ
9
センベイアナサンゴ
区
名
0-10
10-20
20-30
30-40
間
40-50
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
1.0
4.0
1.5
SDR
被度
0.1
10.9
0.4
28.5
0.2
13.8
10 モリスコモンサンゴ
11 フタマタハマサンゴ
12 キクメハナガササンゴ
13 アミメサンゴ
0.5
0.1
7.9
14 ベルベットサンゴ
2.5
0.3
19.7
15 ノマヤスリサンゴ
2.0
0.6
45.3
16 シコロサンゴ
4.0
0.4
28.5
0.1
10.9
0.9
65.0
0.4
33.5
0.1
10.9
0.1
10.9
0.1
10.9
0.3
27.6
4.0
17 アバタセンベイサンゴ
18 キッカサンゴ
1.0
19 ヒラタオオトゲキクメイシ
20 ハナガタサンゴ
21 イボサンゴ
2.0
5.0
25 フカトゲキクメイシ
2.0
2.0
26 キクメイシ
1.0
1.5
22 タバネサンゴ
23 コトゲキクメイシ
24 トゲキクメイシ
27 ゴカクキクメイシ
28 パリカメノコキクメイシ
1.0
29 ウネカメノコキクメイシ
30 ミダレカメノコキクメイシ
1.0
31 ヒメウネカメノコキクメイシ
32 タカクキクメイシ
33 キクメイシモドキ
34 トゲルリサンゴ
1.0
35 チヂミノウサンゴ
2.0
36 コマルキクメイシ
2.0
2.0
37 オオスリバチサンゴ
2.0
0.2
16.8
0.2
16.8
0.2
16.8
区間被度
0.0
0.0
0.0
0.0
24.0
17.0
3.0
0.0
0.0
0.0
4.4
区間種数
0
0
0
0
12
7
2
0
0
0
16
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 77 -
表9-4.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ④沖島(西崎サンゴ)
④沖島
区
種
名
0-10
10-20
3.0
0.5
20-30
1
ムカシサンゴ
2
ハナヤサイサンゴ
3
クシハダミドリイシ
8.5
36.0
25.0
4
ニホンミドリイシ
10.0
23.0
17.0
5
エンタクミドリイシ
3.0
6.5
24.0
6
ホソエダミドリイシ
7
コシバミドリイシ
8
センベイアナサンゴ
9
ノリコモンサンゴ
10
ミレポラコモンサンゴ
11
モリスコモンサンゴ
12
コモンサンゴ
13
フタマタハマサンゴ
14
ニホンアワサンゴ?
15
アワサンゴの一種
16
キクメハナガササンゴ
17
アミメサンゴ
18
ベルベットサンゴ
19
ヤスリサンゴ
20
ノマヤスリサンゴ
30-40
間
40-50
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
1.0
70.0
13.0
0.1
5.3
0.4
11.1
13.0
7.0
16.0
80.0
17.5
7.0
7.5
48.3
43.0
34.0
8.0
13.2
76.1
5.0
2.0
0.9
17.8
0.3
5.9
1.0
13.1
0.6
16.9
1.0
0.1
5.3
1.0
2.0
3.0
9.0
SDR
被度
1.0
21
アバタセンベイサンゴ
22
キッカサンゴ
23
ハナガタサンゴ
24
イボサンゴ
25
タバネサンゴ
26
コトゲキクメイシ
27
トゲキクメイシ
28
フカトゲキクメイシ
1.5
19.7
29
リザードキクメイシ
1.0
0.1
5.3
30
キクメイシ
1.0
0.1
5.3
31
カメノコキクメイシ
0.1
5.3
2.0
3.0
1.0
11.0
32
カメノコキクメイシの一種
33
オオカメノコキクメイシ
34
ゴカクキクメイシ
35
パリカメノコキクメイシ
36
ウネカメノコキクメイシ
2.0
37
ミダレカメノコキクメイシ
0.5
38
ヒメウネカメノコキクメイシ
39
タカクキクメイシ
40
トゲルリサンゴ
41
チヂミノウサンゴ
42
コマルキクメイシ
43
スリバチサンゴ
44
3.0
1.0
4.0
2.0
0.2
5.6
1.0
0.2
10.5
4.0
1.0
18.1
0.1
5.3
1.0
2.0
5.5
2.0
0.2
5.6
0.8
12.3
オオスリバチサンゴ
区間被度
39.5
70.0
69.0
83.0
75.5
56.0
30.0
10.0
7.0
0.0
44.0
区間種数
7
7
4
2
4
6
7
5
4
0
19
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 78 -
表9-5.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR)
⑤ショウガセ
種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
区
名
カービーエダサンゴ
ムカシサンゴ
ハナヤサイサンゴ
ミドリイシ属の一種(幼体)
モリスコモンサンゴ
フタマタハマサンゴ
コブハマサンゴ
アミメサンゴ
ベルベットサンゴ
ノマヤスリサンゴ
アバタセンベイサンゴ
キッカサンゴ
フカトゲキクメイシ
キクメイシ
コマルキクメイシ
0-10
10-20
20-30
30-40
間
40-50
⑤ショウガセ
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
SDR
被度
(水深30m付近で1mを越える複数の大型群体)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
(瀬の上面付近)
区間被度
区間種数
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
表9-6.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR)
⑥目津崎
区
種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
名
ハナヤサイサンゴ
クシハダミドリイシ
ニホンミドリイシ
エンタクミドリイシ
ホソエダミドリイシ
コシバミドリイシ
ノリコモンサンゴ
モリスコモンサンゴ
コモンサンゴ
フタマタハマサンゴ
アミメサンゴ
ベルベットサンゴ
ノマヤスリサンゴ
ヒラシコロサンゴ
シワシコロサンゴ
アバタセンベイサンゴ
キッカサンゴ
ヒラタオオトゲキクメイシ
ハナガタサンゴ
ボンサイイボサンゴ
イボサンゴ
フカトゲキクメイシ
キクメイシ
オオカメノコキクメイシ
ゴカクキクメイシ
パリカメノコキクメイシ
ウネカメノコキクメイシ
ミダレカメノコキクメイシ
ヒメウネカメノコキクメイシ
マルキクメイシ
タカクキクメイシ
トゲルリサンゴ
チヂミノウサンゴ
コマルキクメイシ
オオスリバチサンゴ
0-10
10-20
20-30
3.0
10.0
2.0
0.5
3.0
18.0
2.0
4.0
4.5
11.0
1.0
2.0
間
⑥目津崎
平均
(m)
30-40
40-50
50-60
17.0
2.0
10.0
7.0
5.0
1.5
2.0
60-70
70-80
80-90 90-100
2.0
1.0
4.5
2.0
2.0
3.0
1.0
1.0
3.0
7.0
6.0
2.0
1.0
1.0
1.0
3.0
1.5
2.5
3.0
5.0
2.0
0.1
1.8
6.8
1.7
1.1
5.4
37.9
80.0
47.5
22.7
0.2
6.5
0.5
13.7
0.1
0.8
1.2
5.7
20.9
23.8
0.1
0.1
0.3
0.2
5.7
5.7
7.2
6.1
1.3
29.2
区間被度
19.5
28.5
24.5
26.5
24.0
9.5
9.0
8.5
8.0
2.0
16.0
区間種数
5
6
6
3
6
4
4
2
2
2
15
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 79 -
SDR
被度
表9-7-1.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ⑦-1高森東
⑦-1高森東
区
種
1
ハナヤサイサンゴ
2
エンタクミドリイシ
3
モリスコモンサンゴ
4
コモンサンゴ
5
アワサンゴの一種
6
フタマタハマサンゴ
7
アミメサンゴ
8
ヒラシコロサンゴ
名
9
アバタセンベイサンゴ
10
ヒラタオオトゲキクメイシ
11
フカトゲキクメイシ
12
キクメイシ
13
リザードキクメイシ
14
アツキクメイシ
15
ゴカクキクメイシ
16
タカクキクメイシ
0-10
10-20
20-30
30-40
間
40-50
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
0.1
SDR
被度
+
区間被度
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
+
区間種数
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
表9-7-2.地点別のサンゴ類の出現量(被度)と積算優占度(SDR) ⑦-2高森西
区
⑦-2高森西
種
名
1
ムカシサンゴ
2
ハナヤサイサンゴ
3
エンタクミドリイシ
4
モリスコモンサンゴ
5
コモンサンゴ
6
アワサンゴの一種
7
フタマタハマサンゴ
8
アミメサンゴ
9
アバタセンベイサンゴ
10
フカトゲキクメイシ
11
キクメイシ
12
ナガレハナサンゴ
0-10
10-20
20-30
30-40
間
40-50
(m)
50-60
60-70
平均
70-80
80-90 90-100
0.1
被度
+
区間被度
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
+
区間種数
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
1
H'(地点)
* 表中に値が示されていない種はライン外の出現を表す
- 80 -
SDR
②:四双島
①:権現崎
ゴカ クキクメイ シ
チヂミノウサン ゴ
パリカ メノコキクメイ シ
ホソエダミドリイ シ
タカ クキクメイ シ
エン タクミドリイ シ
ゴカ クキクメイ シ
トゲルリサン ゴ
ハナヤサイ サン ゴ
ハナヤサイ サン ゴ
トゲルリサン ゴ
タカ クキクメイ シ
ミダレカ メノコキクメイ シ
ミダレカ メノコキクメイ シ
フカ トゲキクメイ シ
フカ トゲキクメイ シ
クシハダミドリイ シ
ニホン ミドリイ シ
エン タクミドリイ シ
クシハダミドリイ シ
ニホン ミドリイ シ
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
80.0
100.0
④:沖島
③:天神崎
エダミドリシ
ハナヤサイ サン ゴ
オオスリバチサン ゴ
コマルキクメイ シ
コマルキクメイ シ
フタマタハマサン ゴ
チヂミノウサン ゴ
イ ボサン ゴ
ベルベットサン ゴ
ホソエダミドリイ シ
トゲルリサン ゴ
タカ クキクメイ シ
シコロ サン ゴ
フカ トゲキクメイ シ
ニホン ミドリイ シ
ニホン ミドリイ シ
フカ トゲキクメイ シ
ノマヤスリサン ゴ
エン タクミドリイ シ
イ ボサン ゴ
クシハダミドリイ シ
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
0.0
100.0
20.0
40.0
60.0
表中の数値は積算優占度SDRで、値が高いほど優占
⑥:目津崎
度も高く最高値は100である。本文では、積算優占度
アミメサン ゴ
ウネカ メノコキクメイ シ
が50以上ある種を優占種とみなした。本図からは、
ヒラ タオオトゲキクメイ シ
測線調査を行わなかった⑤ショウガセと優占種がい
フカ トゲキクメイ シ
ホソエダミドリイ シ
なかった⑦高森は除いてある。
キクメイ シ
タカ クキクメイ シ
クシハダミドリイ シ
エン タクミドリイ シ
ニホン ミドリイ シ
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
図12.各地点における積算優占度上位種
- 81 -
2-2-1-2.サンゴ群集の地点間比較と評価
以下にサンゴ群集の特徴を表す指標値(被度、種数、種多様度指数、積算優占度)や群
集の貴重性について地点各比較を行う。その次に、群集量、種多様性、海中景観、貴重性
の観点から相対評価を行い、その結果に基づいて保全の重要性の高い地点の評価を行う。
地点被度(表10)
被度が10%未満を低被度域、10-39%を中被度域、40%以上を高被度域と分類すると、④
沖島はサンゴ被度の高い海域として挙げられる。この被度は串本海域に匹敵するものであ
る。
総種数(表10)
総種数が20種未満を低種数海域、20-29種を中種数海域、30種以上を高種数海域と分類す
ると、①権現崎、③天神崎、④沖島、⑥目津崎の4地点はサンゴの種組成が豊かな海域とし
て挙げられる。特に④沖島の種数(44)は串本海域と比較しても傑出している。
種多様度指数(H')(表10)
指数値が1.5未満を低指数値海域、1.5-2.4を中指数値海域、2.5以上を高指数値海域と分
類すると、①権現崎、③天神崎、④沖島、⑥目津崎の4地点はサンゴの種多様度指数値が高
い海域として挙げられる。
積算優占度(表11、図12)
積算優占度が50以上ある種を優占種とすると、各地点の優占種はいかのようになる。
クシハダミドリイシ:①権現崎、④沖島
ニホンミドリイシ:②四双島、①権現崎、⑥目津崎
エンタクミドリイシ:④沖島
イボサンゴ:③天神崎
ニホンミドリイシとエンタクミドリイシは分類の混乱はあるが、本土海域の固有種であ
ると認められ、これらの種の優占度が高い海域は資源学的に重要である。イボサンゴはど
の海域においても優占することは少ないが、天神崎ではよく目に付いた。なお、天神崎で
は場所によってエダミドリイシが優占する。クシハダミドリイシはインド・西太平洋に広
く分布する南方系種であり、串本海域では普遍的に見られるが、これまですさみ町以北の
海域では少なかった。このような種が優占種として出現するという事は、権現崎や沖島が
より温暖な環境に変化してきていることの現れであろう。
- 82 -
重要なサンゴ群集(表12)
重要なサンゴ群集が分布すると判定されたのは①権現崎、②四双島、③天神崎、④沖島
の4地点である。天神崎は稀少で資源学的に重要な固有種であるエダミドリイシの規模のあ
る群落が分布する。他の地点は栄養生産性や複雑な地形を形成する能力が高く、生態的学
的に重要なテーブル状ミドリイシ類が特に群生する海域である。また、これらの海域はニ
ホンミドリイシやエンタクミドリイシなどの固有種も豊富で、資源学的にも重要な群生地
である。なお、エンタクミドリイシはオーストラリアにかけての西太平洋に広く分布する
とされているが、最近の分類学的研究では複数種からなる種群を形成することが分かって
きており、本土海域のものは固有種である可能性が持たれている。
保全の重要性の高い地点(表12)
表12に示した評価基準によって、群集量の豊かさ、種多様性の高さ、群集の海中景観の
良好度に得点を与えて集計すると、最も総合点が高かったのは④沖島(12点:満点)、続い
て①権現崎、②四双島(10点)の順となる。これらの総合得点の高い地点は保全の重要性
が高いと評価される。さらに、前項で記した重要なサンゴ群集の分布域も保全の重要性が
高い。従って、以下に記す4地点が保全の重要性の高い海域として挙げられる。①権現崎、
②四双島、③天神崎、④沖島。
- 83 -
表10.サンゴ類の平均被度の地点間比較
調
今
種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
名
ムカシサンゴ
ハナヤサイサンゴ
クシハダミドリイシ
ニホンミドリイシ
スギノキミドリイシ
エダミドリイシ
エンタクミドリイシ
ホソエダミドリイシ
ミレポラコモンサンゴ
センベイアナサンゴ
フタマタハマサンゴ
ヤスリサンゴ
ノマヤスリサンゴ
アミメサンゴ
ベルベットサンゴ
アバタセンベイサンゴ
シコロサンゴ
キッカサンゴ
カクオオトゲキクメイシ
ヒラタオオトゲキクメイシ
アマクサオオトゲキクメイシ
イボサンゴ
ボンサイイボサンゴ
タバネサンゴ
コトゲキクメイシ
ニホントゲキクメイシ
トゲキクメイシ
フカトゲキクメイシ
リザートキクメイシ
キクメイシ
カメノコキクメイシ
オオカメノコキクメイシ
ゴカクキクメイシ
パリカメノコキクメイシ
ウネカメノコキクメイシ
ミダレカメノコキクメイシ
ヒメウネカメノコキクメイシ
トゲルリサンゴ
マルキクメイシ
タカクキクメイシ
オオナガレサンゴ
チヂミノウサンゴ
コマルキクメイシ
オオスリバチサンゴ
地点被度
回
①
②
③
④
権現
崎
四双
島
天神
崎
沖島
1.0
5.6
3.8
0.4
1.6
20.3
1.5
3.8
0.2
0.1
0.1
0.4
調
⑤
査
地
点
査
⑥
ショウ 目津
ガセ
崎
0.1
0.4
16.0
7.5
0.1
1.8
6.8
13.2
0.9
1.7
1.1
2009年調査
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
高森
東
高森
西
錆浦
名近
崎
双島
安指
30.0
1.9
1.6
8.3
0.7
36.6
34.1
7.0
0.1
10.3
3.8
77.9
0.2
2.4
0.2
0.1
0.1
0.3
1.0
0.4
0.2
0.6
0.1
0.3
0.3
0.5
0.3
0.5
0.6
2.9
0.2
0.4
0.1
0.5
0.2
0.1
0.9
0.6
0.5
0.1
0.4
0.1
0.3
2.6
0.1
1.3
0.1
0.2
0.2
0.1
0.2
0.1
2.4
0.5
0.4
0.1
0.6
0.9
0.2
1.3
0.1
1.4
0.3
1.5
0.1
0.1
0.1
0.1
0.4
0.4
0.7
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
0.8
25.4
28.7
4.4
44.0
0.1
1.2
1.1
0.3
0.7
1.0
0.1
0.1
0.1
0.3
0.2
0.2
0.2
0.3
1.3
0.1
0.1
0.5
0.1
0.3
1.6
0.8
0.1
2.2
1.2
0.5
0.5
0.4
0.2
0.1
1.4
0.1
0.4
0.6
0.1
0.1
1.0
1.3
1.0
0.3
0.1
40.3
50.7
0.9
0.2
2.4
0.3
61.5
93.6
4.4
−
16.0
0.1
0.1
地点種数
24
13
16
19
−
15
1
1
15
8
23
8
総出現種数
種多様度指数(H')
39
3.7
28
1.6
37
3.7
44
2.5
15
−
35
2.9
16
0.0
12
0.0
30
1.71
36
1.27
47
2.61
30
0.90
- 84 -
表11.サンゴ類の積算優占度(SDR)の地点間比較
調
今
種
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
名
ムカシサンゴ
ハナヤサイサンゴ
クシハダミドリイシ
ニホンミドリイシ
スギノキミドリイシ
エダミドリイシ
エンタクミドリイシ
ホソエダミドリイシ
ミレポラコモンサンゴ
センベイアナサンゴ
フタマタハマサンゴ
ヤスリサンゴ
ノマヤスリサンゴ
アミメサンゴ
ベルベットサンゴ
アバタセンベイサンゴ
シコロサンゴ
キッカサンゴ
カクオオトゲキクメイシ
ヒラタオオトゲキクメイシ
アマクサオオトゲキクメイシ
ボンサイイボサンゴ
イボサンゴ
タバネサンゴ
コトゲキクメイシ
ニホントゲキクメイシ
トゲキクメイシ
フカトゲキクメイシ
リザートキクメイシ
キクメイシ
カメノコキクメイシ
オオカメノコキクメイシ
ゴカクキクメイシ
パリカメノコキクメイシ
ウネカメノコキクメイシ
ミダレカメノコキクメイシ
ヒメウネカメノコキクメイシ
トゲルリサンゴ
マルキクメイシ
タカクキクメイシ
オオナガレサンゴ
チヂミノウサンゴ
コマルキクメイシ
オオスリバチサンゴ
地点被度
回
①
②
③
④
権現
崎
四双
島
天神
崎
沖島
38.9
85.0
73.9
10.9
23.9
85.0
33.4
39.4
5.5
5.2
10.9
28.5
調
⑤
査
地
点
査
⑥
ショウ 目津
ガセ
崎
5.3
11.1
80.0
48.3
5.4
37.9
80.0
76.1
17.8
47.5
22.7
2009年調査
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
高森
東
高森
西
錆浦
名近
崎
双島
安指
95.0
23.2
17.7
5.1
46.3 100.0 41.6
16.0 40.3 17.4
100.0
100.0
13.8
5.3
5.1
5.9
13.1
13.6
10.3
45.3
7.9
19.7
12.2
9.5
14.0
7.2
9.5
5.8
19.3
6.5
28.5
10.9
5.9
6.8
65.0
28.5
16.9
13.7
10.8
5.2
5.7
10.7
10.4
18.8
5.1
21.8
5.1
5.3
5.3
5.3
6.8
5.9
51.0
20.9
16.2
33.5
10.9
15.4
28.0
6.8
41.6
5.9
37.5
10.7
19.7
5.3
5.3
5.1
23.8
5.3
16.0
10.9
11.2
5.2
10.7
27.6
5.3
8.6
11.3
5.5
16.8
16.8
16.8
5.6
12.3
25.4
28.7
4.4
44.0
21.8
10.5
21.2
16.6
5.2
5.7
5.7
7.2
6.1
10.9
5.6
10.5
39.3
27.2
23.2
21.7
10.7
10.7
15.5
5.3
5.1
27.1
5.1
15.3
15.4
5.1
5.1
18.1
29.2
21.7
10.5
0.3
5.1
21.3
5.3
33.4
10.2
61.5
93.6
11.0
−
16.0
0.1
0.1
40.3
50.7
地点種数
24
13
16
19
−
15
1
1
15
8
23
8
総出現種数
種多様度指数(H')
39
3.7
28
1.6
37
3.7
44
2.5
15
−
35
2.9
16
0.0
12
0.0
30
1.71
36
1.27
47
2.61
30
0.90
- 85 -
表12.サンゴ群集の評価
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
高森
東
高森
西
錆浦
名近
崎
双島
安指
○
△
△
◎
◎
◎
◎
△
◎
△
△
◎
○
◎
○
◎
△
○
△
△
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
△
△
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
△
△
◎
◎
◎
◎
クシハダミドリイシをはじめとする大型で密度の高いテーブル状サンゴが群生し、しかも種多様性が著しく高
県下で3例目となるカービーエダサンゴの複数大型群体が観察される。
近年になり形成された若いテーブル状サンゴ群集が分布。多様性も高い。
オニヒトデにより高密度なサンゴ群落は消失。
オニヒトデにより高密度なサンゴ群落は消失。
クシハダミドリイシの国内有数の高被度群生域
スギノキミドリイシの群生域であるが、クシハダミドリイシも豊富。貴重種オオナガレハナサンゴの群落も分布
クシハダミドリイシの国内有数の高被度群生域、種多様性に著しく富む
スギノキミドリイシの本州最大の高被度群生域、近隣にはクシハダミドリイシの群生域も分布
③
④
権現
崎
四双
島
天神
崎
沖島
群集量の豊かさ
○
○
△
◎
△
種多様性の高さ
◎
○
◎
◎
群集の海中景観の良好度
○
◎
△
群集の重要性または貴重生
◎
◎
◎
総合評価(保全の重要性)
備考(群集の特性)
◎
◎
◎
サンゴ群集の種多様性が著しく高く、今後、クシハダミドリイシの美しい景観が期待できる。
ニホンミドリイシが最優占し、大型群体を中心に小型群体も混じり、安定性の高い理想的なサンゴ群集が維
種の存続が危惧される稀種エダミドリイシの群生域。長年にわたる群落の維持が確認されている。
- 86 -
ショウ 目津
ガセ
崎
②
H'
0-1.5
1.6-2.5
2.6<
総種数
0-19
20-29
30<
被度
0-10
10-39
40<
得点
1
2
3
評価
△ あまり優れていない、もしくはあまり重要でない
○ やや優れている、もしくはやや重要
◎ 特に優れている、もしくは特に重要
⑦
⑥
⑤
①
名
種
点
地
査
調
2009年調査
査
調
回
今
評価の基準
量の豊かさと種多様性の高さについては、各観察値に下表のような得点を与え、
量の豊かさは被度で、種多様性の高さは総観察種数と種多様度指数の合計
平均値で評価した。
参考文献
西平守孝・ J. E. N., Veron, 1995. 日本の造礁サンゴ類. 439pp. 海游舎, 東京.
野村恵一, 2003: サンゴ類. 串本海中公園地区資質調査. 平成14年度海中公園地区等保全
活動事業報告書. 43-66. 環境省自然保護局.
野村恵一, 2004. サンゴ類.平成15年度串本海中公園地区資質調査報告書:74-111. 環境
省自然保護局.
野村恵一, 2006a. 串本のサンゴ群集(14), 総括1:種数と代表種. マリンパビリオン
35: 10-11.
野村恵一, 2006b. 串本のサンゴ群集(15), 総括2:サンゴ相, 被度, 重要群落.マリンパ
ビリオン 35: 26-27
野村恵一, 2008. 串本のサンゴ群集(16).ビーチエントリーポイントで見られるサンゴ.
マリンパビリオン, 37,: 10-11.
野村恵一, 2009. 和歌山県串本海域における近年のサンゴ群集変化. 日本のサンゴ礁学会
誌, 11: 39-49.
野村恵一, 2010. サンゴ類. 平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サンゴ)調査報
告書, 17-43. 環境省近畿地方環境事務所.
野村恵一・福田照雄, 2000. 串本のサンゴ群集 (1)、串本のサンゴ群集の特異性.マリン
パビリオン, 29: 62-63.
野村恵一・小寺昌彦, 2004. 概況調査.平成15年度串本海中公園地区資質調査報告書:12
-17. 環境省.
野村恵一・小寺昌彦, 2005. 串本海中公園地区及びその周辺の重要海域の詳細調査(串本
海域におけるオオナガレハナサンゴの分布調査).平成16年度管理方針検討調査(串本海
中公園地区海中生物等生息状況調査)報告書:4-19. 環境省自然保護局.
野村恵一・小寺昌彦・宇井晋介・森
美枝, 2005. 串本浅海域の自然資質の概要. 平成16
年度管理方針検討調査(串本海中公園地区海中生物等生息状況調査)報告書:41-60.
環境省自然保護局.
野村恵一・内田紘臣・福田照雄, 2008. 串本産造礁性サンゴ類の変遷.南紀生物 50(2):
191-200.
杉山敏郎, 1937. 本邦沿岸産現棲造礁珊瑚に就いて.東北大学理学部地質学古生物学教室
研究邦文報告, 26, 1-60.
Veron, J. E. N. 2000: Corals of the world. 1, 463pp; 2, 429 pp; 3, 490pp. AIMS,
Townsville.
- 87 -
2-2-2.海藻類
群集評価においては、調査の集計値から算出した群集の指標値(ポイント、種数、積算
優占度SDR、種多様度指数H')とともに、景観や資源学的・生態学的重要性をも考慮に含め
た。なお、積算優占度 SDR(Summed Dominance Ratio)は種の優占度を表す指標で、被度
と出現頻度から、それぞれの最高値を100とした比数を求め、それらを足して2で割った値
で表され、この値が50以上のものを優占種とした。種多様度指数H'は群集の種多様性を表
す指標で、Shannon-Weaver の式(H'=−ΣPi log Pi)を用いて算出した。この値は値が
高いほど相対的に群集の種多様性が高いことを表す。
2-2-2-1.地点別の出現状況
①権現崎(表13-1)
今回出現した種は23種で、その内訳は緑藻類3種、褐藻類3種、紅藻類17種であった。ま
た、出現量は調査地点合計で95ポイントであった。出現種数、出現量共に今回の調査地点
の中では2番目であった。優占上位は降順でシワヤハズ、サンゴモの仲間(無節)、あとは並
んでコブシミル、カニノテの仲間、イワノカワ属の仲間、カイメンソウであった。高さ10
cm前後のシワヤハズが全調査区間において多く観察されたため最優占種となった。
②四双島(表13-2)
今回出現した種は31種で、その内訳は緑藻類6種、褐藻類5種、紅藻類20種であった。ま
た、出現量は調査地点合計で109ポイントとなり、出現種数と共に今回の調査地点の中では
1番であった。優占上位5種は降順でミツデソゾ、アミジグサの仲間、シワヤハズ、サンゴ
モの仲間(無節)、イワノカワ属の仲間であった。全体的に地這性の細かな海藻類が多く見
られ、中でも水深の浅い0m地点付近ではミツデソゾの被度が50%であった。また、40m地
点から100m地点まで背の低いシワヤハズも観察された。
③天神崎(表13-3)
今回出現した種は10種で、その内訳は緑藻類3種、褐藻類3種、紅藻類4種であった。出現
量は調査地点合計で22ポイントとなり、出現種数はショウガセと並んで最下位、出現量は
ショウガセに続いて下から2番目であった。しかし、ショウガセは調査地点が水深20m以深
と深いため、藻類が生えにくいのであると考えられる。よって実質では当地点が最も藻類
の貧相な地点であったと言える。泥質の底にたまに現れる岩などに海藻が少し生えている
といった様相で、景観的な価値もない。
- 88 -
④沖島(表13-4)
今回出現した種は21種で、その内訳は緑藻類4種、褐藻類4種、紅藻類13種であった。ま
た、出現量は調査地点合計で71ポイントとなり、出現種数は3位、出現量は4位であった。
優占上位5種は降順でサンゴモの仲間(無節)、シマオオギ(ヤレオオギ含む)、以下並んでコ
ブシミル、オバクサ、イワノカワ属の仲間であった。
当地点は非常にサンゴ類が多いため、これと競合する藻類は反比例して少なく、サンゴ
の隙間にわずかに細かい海藻が生えている様な状態である。しかし、サンゴが減った60m
地点からヤレオオギが多く見られるようになり、80∼100m地点付近では10cmほどのヤレ
オオギが見られた。
⑤ショウガセ(表13-5)
今回出現した種は10種で、その内訳は緑藻類1種、褐藻類2種、紅藻類7種であった。当地
点は水深10∼40mの暗礁になっており、水深ごとに出現した海藻類について調べた。他の
調査地点に比べて水深が深いせいか海藻は少なく、小型の藻類が所々で観察される程度で
あった。
⑥目津崎(表13-6)
今回出現した種は18種で、その内訳は緑藻類2種、褐藻類4種、紅藻類12種であった。ま
た、出現量は調査地点合計で77ポイントで、出現種数では4番目、出現量では3番目であっ
た。優占上位5種は降順でアミジグサの仲間、サンゴモの仲間(無節)、イワノカワ属の仲間、
シマオオギ(ヤレオオギ含む)、オバクサであった。
当地点は水深が浅い0∼40m地点の間では、アミジグサの仲間やミツデソゾなどの地這性の
小さな藻類が優先していたが、60m地点から徐々に深くなるにつれてヤレオオギが多くな
り、特に80∼100m地点の被度は高かった。またマクサ、タマイタダキ、キントキなどの紅
藻も混生していた。
2-2-2-2.評価
今回の調査結果において、総種数、出現量(ポイント)、多様度指数を指標値として地点
間を比較して評価を行う(表14、15)。また、この表には2009年に行われた環境省調査結果
(中村、2010)も比較対象として加えている。
総出現種数の最も多かったのが四双島の31種で、次いで権現崎の23種、沖島の21種であ
った。出現量についても最も多かったのが四双島の109ポイント、次いで権現崎の95ポイン
ト、目津崎の77ポイントとなっている。多様度指数では四双島、権現崎、沖島が高い値を
示しており、目津崎は標準、天神崎とショウガセは低い値を示している。特に深場で海藻
- 89 -
の生えにくいショウガセに匹敵するような値を示した天神崎は、非常に貧しい藻類相であ
ると言えるだろう。
串本周辺のデータと比較すると、比較的サンゴモの仲間(無節)の被度が少ないのが分か
る。これらのサンゴモの仲間は磯焼けの原因の一つと言われている。串本周辺の調査地点
では最優占種がサンゴモの仲間とされることが多く磯焼けが心配されるが、今回調査が行
われた中ではその様な地点は多くなかった。その他、串本周辺でよく見られるイワズタの
仲間を確認できなかったり、紅藻類の出現種について若干の違いはあったものの特に大き
な差異は認められなかった。
総合的な評価について表16に示した。群集量の豊かさ、種多様性の高さは上述のとおり
であるが、これらの出現藻類のうちのほとんどが小型であったり地這性の褐藻類、紅藻類
であるため、海中景観に対する貢献度については良い評価はし難い。また、各海域の固有
種や希少種などを観察することはできず、貴重性については評価できないが、これらの海
藻類はヨコエビなど微少な生物の棲息場所となっているのは間違いなく、またそれを餌と
するその他の生物にとっては重要なものであると考え評価した。保全の必要性などは上述
の通り、生態系の一部としてどこの海域でも海藻類というのは必要になってくると考える。
参考文献
千原光雄, 1990.学研生物図鑑・海藻, 改訂版.292pp.学習研究社, 東京.
中村公一, 2010. 海藻類. 平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サンゴ)調査報
告書, 66-78. 環境省近畿地方環境事務所.
瀬川宗吉, 1977.原色日本海藻図鑑, 増補版.195pp. 保育社, 東京.
宇井晋介, 2002. ミステリアスゾーン、特異な海藻植生を有する海域.マリンパビリオン,
31: 26-27.
宇井晋介・亀崎直樹, 1998.海藻・海浜植物.沖縄海中生物図鑑, 第6巻.
239pp. サザンプレス, 那覇.
吉田忠生, 1984∼1986. ホンダワラ類の分類と分布(1∼11). 海洋と生物, (34∼44).
生物研究社, 東京
-----, 1998.新日本海藻誌. 1222pp. 内田老鶴圃, 東京.
吉田忠生・吉永一男・中嶋泰, 2000. 日本産海藻目録(2000年改訂版). 藻類, 48:
113-116.
- 90 -
表13-1.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
①権現崎
0m
20m
40m
60m
80m
100m
ポイント合
計
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント
緑藻類
+
1
+
1 ミドリゲ
+
+
+
2 ハイミル
1
1
+
1
+
1
+
3 コブシミル
褐藻類
10
2
+
1
10
1 シワヤハズ
5
5
10
2 アミジグサの仲間
1
1
1
+
3 シマオオギ(ヤレオオギ含む +
紅藻類
1 ガラガラ
+
2 カニノテの仲間
+
1
+
1
+
3 サンゴモの仲間(無節)
+
1
+
1
10
4 ピリヒバ
+
1
5 モサズキ属の一種
+
1
+
1
6 フサカニノテ
+
1
7 マクサ
+
1
8 オバクサ
+
1
+
1
+
9 スギノリ
10 キントキ
+
1
11 イワノカワの仲間
+
1
+
1
5
12 エツキイワノカワ
13 カイメンソウ
+
1
+
1
+
14 アヤニシキ
15 ハナヤナギ
+
16 ソゾの仲間
+
1
5
17 ミツデソゾ
+
5
+
1
1
出現種数
13
16
15
ポイント
14
16
総出現種数23種 (緑藻類3種、褐藻類3種、紅藻類17種)
- 91 -
1
1
1
+
+
1
1
+
1
+
1
2
2
1
30
5
+
3
1
1
20
5
10
3
1
2
10
2
20
3
1
1
2
+
+
10
1
1
2
+
5
1
1
+
15
1
2
+
1
+
1
+
1
+
+
+
+
+
1
1
1
1
1
+
+
+
+
+
1
1
1
1
1
+
+
1
1
1
1
5
1
1
+
+
1
1
1
1
1
12
18
12
16
16
※5%未満は+で表す
2
4
6
24.4
48.7
73.1
13
6
8
100.0
64.7
72.4
2
6
9
1
4
1
3
4
1
3
6
1
6
3
1
2
3
24.4
73.1
84.6
12.2
48.7
12.2
36.5
48.7
12.2
36.5
73.1
12.2
73.1
36.5
12.2
24.4
36.5
13
15
SDR
95
表13-2.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
②四双島
0m
20m
40m
60m
80m
100m
ポイント
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 合計
緑藻類
1 アオサの仲間
+
+
2 キッコウグサ
1
1
+
3 タマバロニア
1
4 タマミル
+
+
5 ハイミル
1
+
6 コブシミル
褐藻類
+
10
1 シワヤハズ
1
5
5
5
2 アミジグサの仲間
1
1
+
3 アミジグサ
1
+
4 シマオオギ(ヤレオオギ含む)
+
+
5 ホンダワラの仲間
1
1
紅藻類
1 ソデガラミ
+
+
+
2 カニノテの仲間
1
1
+
+
+
3 サンゴモの仲間(無節)
1
1
+
+
4 ピリヒバ
1
+
5 モサズキ属の一種
+
+
6 オバクサ
1
1
+
7 スギノリ
+
8 キントキ
+
+
9 トサカマツ
1
10 ツカサアミ
+
+
+
11 イワノカワの仲間
1
1
+
12 エツキイワノカワ
+
13 ホソバナミノハナ
+
14 トゲキリンサイ
+
+
15 ワツナギソウ
1
+
16 カイメンソウ
+
+
17 アヤニシキ
1
18 ハナヤナギ
10
+
+
19 ソゾの仲間
2
1
50
10
+
20 ミツデソゾ
4
2
出現種数
12
14
21
ポイント
16
15
総出現種数31種 (緑藻類6種、褐藻類5種、紅藻類20種)
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
+
+
+
1
1
1
10
+
+
10
表13-3.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
+
1
1
2
1
1
3
3
13.3
26.7
13.3
13.3
40.0
40.0
9
8
2
7
2
86.7
90.0
26.7
68.3
26.7
3
5
6
2
2
3
1
4
5
1
6
1
4
1
2
4
5
1
4
10
40.0
66.7
80.0
26.7
26.7
40.0
13.3
53.3
66.7
13.3
80.0
13.3
53.3
13.3
26.7
53.3
66.7
13.3
45.0
100.0
+
1
2
1
1
2
10
5
2
1
10
30
2
3
+
1
20
3
+
+
+
1
1
1
+
+
5
1
1
1
+
1
+
1
+
1
+
1
+
+
+
5
1
1
1
1
+
+
1
1
+
+
1
1
+
1
+
1
+
1
+
1
+
1
+
+
+
1
1
1
+
+
1
1
+
+
1
1
+
20
1
+
15
1
+
13
1
22
22
16
18
※5%未満は+で表す
109
③天神崎
80m
100m
0m
20m
40m
60m
ポイント合
計
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント
緑藻類
1 アオサの仲間
+
1
2 ナガミル
3 コブシミル
褐藻類
1 シワヤハズ
2 アミジグサの仲間
3 シマオオギ(ヤレオオギ含む)
紅藻類
1 サンゴモの仲間(無節)
+
+
5
1
1
2 オバクサ
+
1
3 キントキ
4 イワノカワの仲間
+
1 +
1 5
出現種数
3
3
2
ポイント
3
3
総出現種数10種 (緑藻類3種、褐藻類3種、紅藻類4種)
- 92 -
+
+
1
1
2
SDR
+
+
1
+
1
+
3
1
3
+
4
1
1
1
1
SDR
+
1
1
1
3
+
+
+
1
1
1
1
1
1
16.7
16.7
16.7
+
1
+
+
7
1
1
6
1
1
6
100.0
16.7
16.7
100.0
4
7
※5%未満は+で表す
22
16.7
16.7
50.0
表13-4.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
④沖島
0m
20m
40m
60m
80m
100m
ポイント合
計
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント
緑藻類
+
1
1 アオサの仲間
+
1
+
1
2 ハイミル
3 タマミル
+
1
+
1
+
4 コブシミル
褐藻類
+
1
+
1 シワヤハズ
5
1
+
1
+
2 アミジグサの仲間
3 アミジグサ
+
1
+
1
4 シマオオギ(ヤレオオギ含む)
+
1
+
紅藻類
1 カニノテの仲間
+
1
2 サンゴモの仲間(無節)
+
1
5
1
+
3 ピリヒバ
+
1
4 モサズキ属の一種
+
1
5 オバクサ
+
+
+
1
1
6 キントキ
+
1
7 トサカマツ
+
1
8 イワノカワの仲間
+
1
+
1
+
9 ホソバナミノハナ
10 アヤニシキ
+
1
11 ハナヤナギ
+
1
12 ソゾの仲間
+
5
1
13 ミツデソゾ
+
+
1
出現種数
11
15
9
ポイント
11
15
総出現種数21種 (緑藻類4種、褐藻類4種、紅藻類13種)
+
+
1
1
+
1
+
1
1
1
1
2
5
+
+
30
1
1
1
3
5
1
1
5
+
+
15
15
2
1
+
1
15
2
15
2
1
+
+
+
+
+
1
1
1
1
1
+
+
1
1
+
+
1
1
+
1
+
1
+
1
+
1
1
1
1
1
1
1
12
9
表13-5.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
9
12
11
※5%未満は+で表す
⑤ショウガセ
∼20m 20m∼30m 30m以深 ポイント
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 合計
SDR
緑藻類
1 ハイミル
+
1
1 25.0
褐藻類
+
1
+
1
2 50.0
1 アミジグサの仲間
1
+
2 50.0
1
2 シマオオギ(ヤレオオギ含む +
紅藻類
+
1
1 25.0
1 カニノテの仲間
2 サンゴモの仲間(無節)
+
1
+
1
+
3 75.0
1
3 キントキ
+
1
+
1
2 50.0
4 トサカマツ
+
1
1 25.0
5 イワノカワの仲間
+
1
+
1
+
1
3 75.0
6 ユカリ
+
1
+
1
+
1
3 75.0
7 アヤニシキ
+
1
+
1
2 50.0
出現種数
8
7
5
ポイント
8
7
5
20
総出現種数10種 (緑藻類1種、褐藻類2種、紅藻類7種)※5%未満は+で表す
- 93 -
1
2
1
6
13.9
27.8
13.9
83.3
5
5
4
9
69.4
69.4
55.6
91.7
1
8
1
1
6
4
2
6
1
2
1
3
2
13.9
94.4
13.9
13.9
83.3
55.6
27.8
83.3
13.9
27.8
13.9
41.7
27.8
9
13
SDR
71
表13-6.海藻類の出現量(被度)と積算優先度(SDR)
⑥目津崎
80m
100m
0m
20m
40m
60m
ポイント合
計
被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント 被度 ポイント
緑藻類
1 ハイミル
+
+
1
2 コブシミル
+
褐藻類
1 シワヤハズ
30
3
20
3
30
2 アミジグサの仲間
+
1
+
3 アミジグサ
4 シマオオギ(ヤレオオギ含む)
紅藻類
1 サンゴモの仲間(無節)
5
1
5
1
10
2 ピリヒバ
+
1
+
3 モサズキ属の一種
+
1
+
1
+
4 フサカニノテ
15
2
5
1
+
5 マクサ
6 オバクサ
+
1
+
1
+
7 タマイタダキ
8 キントキ
+
9 イワノカワの仲間
+
+
+
1
1
10 ユカリ
11 アヤニシキ
+
12 ミツデソゾ
10
2
10
2
5
出現種数
8
9
13
ポイント
12
12
総出現種数18種 (緑藻類2種、褐藻類4種、紅藻類12種)
- 94 -
1
1
+
1
+
10
1
2
+
1
20
3
50
5
1
+
1
1
+
+
1
1
1
1
+
+
1
1
1
1
+
+
12
1
1
3
1
2
1
1
1
16
+
1
4
40
3
10
2
10
2
+
+
+
+
5
+
1
1
1
1
1
1
+
+
5
1
1
1
6
13
9
※5%未満は+で表す
2
2
25.0
25.0
2
12
2
10
25.0
91.7
25.0
66.7
9
2
4
4
2
5
2
4
6
1
2
6
87.5
25.0
50.0
41.7
25.0
62.5
25.0
50.0
75.0
12.5
25.0
58.3
9
15
SDR
77
表14.海藻類の出現ポイントの地点間比較
今回調査
2009年環境省調査
①
②
③
⑤
⑥
名近
権現 四双 天神 ④ ショウ 目津 出現 ポイ
錆裏
双島 安指
崎
崎
島
崎 沖島 ガセ 崎 st.数 ント
出現生物/調査st.
緑藻類
1 アオサの仲間 Ulva spp.
1
1
1
2 ミドリゲ Cladophoropsis zollingeri
2
3 キッコウグサ Dictyosphaeria cavernosa
2
4 タマバロニア Valonia aegagropila
1
5 ナガミル Codium cylindricum
1
6 ハイミル Codium lucasii
1
4
3
2
2
7 タマミル Codium mamillosum
1
1
8 コブシミル Codium spongiosum
6
3
3
6
2
ウキオリソウ Anadyomene wrightii
アオモグサ Boodlea coacta
オオバロニア Ventricaria ventricosa
ヘライワヅタ Caulerpa brachypus
コケイワヅタ Caulerpa webbiana f. tomentella
褐藻類
1 シワヤハズ Dyctyopteris undulata
13
9
1
5
2
2 アミジグサの仲間 Dyctyota spp.
2
6
8
1
5
12
3 アミジグサ Dyctyota dichotoma
2
4
2
4 シマオオギ(ヤレオオギ含む) Zonaria diesingian 8
2
7
1
9
10
5 ホンダワラの仲間 Sargassum spp.
2
ヘラヤハズ Dyctyopteris prolifera
イトアミジ Dictyota linearis
フクロノリ Colpomenia sinuosa
紅藻類
1 ソデガラミ Actinotrichia fragilis
3
2 ガラガラ Galaxaura fastigiata
2
3 カニノテの仲間 Amphiroa spp.
1
6
5
1
4 サンゴモの仲間(無節) Corallina sp.
3
9
6
6
8
9
5 ピリヒバ Corallina pilulifera
1
2
1
2
6 モサズキ属の一種 Jania sp.
4
2
1
4
7 フサカニノテ Marginisporum aberrans
1
4
8 マクサ Gelidium amansii
3
2
9 オバクサ Pterocladia capillacea
4
3
1
6
5
10 タマイタダキ Delisea fimbriata
2
11 スギノリ Gigartina tenella
1
1
12 キントキ Carpopeltis angusta
2
3
4
1
4
4
13 トサカマツ Carpopeltiscrispus
1
5
2
14 ツカサアミ Kallymenia perforata
1
15 イワノカワ属の仲間 Peyssonnelia sp.
3
6
6
6
6
6
16 エツキイワノカワ Peyssonelia caulifera
1
1
17 ユカリ Plocamium telfairiae
3
1
18 ホソバナミノハナ Chondrococcus hornemannii
4
1
19 トゲキリンサイ Eucheuma serra
1
20 ワツナギソウ Champia parvula
2
21 カイメンソウ Ceratodictyon spongiosum
6
4
22 アヤニシキ Martensia denticulata
2
3
5
2
2
23 ハナヤナギ Chondria armata
1
1
1
24 ソゾの仲間 Laurencia spp.
2
4
3
25 ミツデソゾ Laurencia okamurai
3
10
2
6
ヒメモサズキ Jania decussato-dichotoma
フイリグサ Halymenia dilatata
ヤマダグサ Sebdenia yamadai
キリンサイ Eucheuma muricatum
カラゴロモ Vanvoorstia coccinea
コブソゾ Laurencia undulata
総出現種数
23
31
10
21
10
18
総ポイント
95 109 22
71
20
77
4.18 4.62 2.83 4.02 3.21 3.83
H'
- 95 -
3
1
1
1
1
5
2
5
3
2
2
1
1
12
2
20
3
1
4
3
2
4
7
4
7
2
2
1
7
4
2
5
6
3
6
1
30
34
8
37
2
6
3
3
3
4
8
3
2
3
4
4
4
1
4
1
1
4
1
1
4
6
4
4
2
2
5
1
2
6
3
1
6
2
2
2
1
1
2
5
3
3
4
3
2
13
41
6
11
5
5
19
2
2
18
8
1
33
2
4
5
1
2
10
14
3
9
21
6
3
2
15
13
4
1
2
3
4
9
3
2
17
3
1
6
6
5
1
1
3
6
13
1
2
3
2
5
1
2
3
3
4
1
1
1
38
2
1
1
4
1
1
21
19
20
15
394 93
59
83
44
4.01 3.91 3.91 3.53
表15.海藻類の積算優占度トの地点間比較
今回調査
2009年環境省調査
名近
権現 四双 天神 ④ ショウ 目津 出現
錆裏
双島 安指
崎
崎
島
崎 沖島 ガセ 崎 st.数
出現生物/調査st.
緑藻類
1 アオサの仲間 Ulva spp.
13
17
14
2 ミドリゲ Cladophoropsis zollingeri
24
3 キッコウグサ Dictyosphaeria cavernosa
27
4 タマバロニア Valonia aegagropila
13
5 ナガミル Codium cylindricum
17
6 ハイミル Codium lucasii
49
13
28
25
25
7 タマミル Codium mamillosum
40
14
8 コブシミル Codium spongiosum
73
40
50
83
25
ウキオリソウ Anadyomene wrightii
アオモグサ Boodlea coacta
オオバロニア Ventricaria ventricosa
ヘライワヅタ Caulerpa brachypus
コケイワヅタ Caulerpa webbiana f. tomentella
褐藻類
1 シワヤハズ Dyctyopteris undulata
100 87
17
69
25
2 アミジグサの仲間 Dyctyota spp.
65
90
17
69
50
92
3 アミジグサ Dyctyota dichotoma
27
56
25
4 シマオオギ(ヤレオオギ含む) Zonaria diesingian 72
68
17
92
50
67
5 ホンダワラの仲間 Sargassum spp.
27
ヘラヤハズ Dyctyopteris prolifera
イトアミジ Dictyota linearis
フクロノリ Colpomenia sinuosa
紅藻類
1 ソデガラミ Actinotrichia fragilis
40
2 ガラガラ Galaxaura fastigiata
24
3 カニノテの仲間 Amphiroa spp.
73
67
14
25
4 サンゴモの仲間(無節) Corallina sp.
85
80 100 94
75
88
5 ピリヒバ Corallina pilulifera
12
27
14
25
6 モサズキ属の一種 Jania sp.
49
27
14
50
7 フサカニノテ Marginisporum aberrans
12
42
8 マクサ Gelidium amansii
37
25
9 オバクサ Pterocladia capillacea
49
40
17
83
63
10 タマイタダキ Delisea fimbriata
25
11 スギノリ Gigartina tenella
12
13
12 キントキ Carpopeltis angusta
37
53
17
56
50
50
13 トサカマツ Carpopeltiscrispus
67
28
25
14 ツカサアミ Kallymenia perforata
13
15 イワノカワ属の仲間 Peyssonnelia sp.
73
80 100 83
75
75
16 エツキイワノカワ Peyssonelia caulifera
12
13
17 ユカリ Plocamium telfairiae
75
13
18 ホソバナミノハナ Chondrococcus hornemannii
53
14
19 トゲキリンサイ Eucheuma serra
13
20 ワツナギソウ Champia parvula
27
21 カイメンソウ Ceratodictyon spongiosum
73
53
22 アヤニシキ Martensia denticulata
37
67
28
50
25
23 ハナヤナギ Chondria armata
13
14
12
24 ソゾの仲間 Laurencia spp.
45
42
24
25 ミツデソゾ Laurencia okamurai
28
58
37 100
ヒメモサズキ Jania decussato-dichotoma
フイリグサ Halymenia dilatata
ヤマダグサ Sebdenia yamadai
キリンサイ Eucheuma muricatum
カラゴロモ Vanvoorstia coccinea
コブソゾ Laurencia undulata
総出現種数
23
31
10
21
10
18
総ポイント
95 109 22
71
20
77
4.18 4.62 2.83 4.02 3.21 3.83
H'
- 96 -
3
1
1
1
1
5
2
5
34
12
47
42
28
45
89
56
71
23
31
15
100
30
28
5
6
3
6
1
70
42
34
34
62
77
18
23
42
45
37
62
14
34
12
11
47
1
1
4
6
4
4
2
2
5
1
2
6
3
1
6
2
2
2
1
1
2
5
3
3
4
70
35
23
100
93
47
15
23
46
56
100
33
23
100
34
15
93
85
69
11
14
35
83
88
14
23
35
23
77
15
23
34
34
47
15
14
12
38
28
15
14
47
14
15
21
19
20
15
93
59
83
44
4.01 3.91 3.91 3.53
表16.海藻類群集の評価
今 回 調 査
2009年環境省調査
①
⑤ショ ⑥
②
③
④
権現 四双 天神
ウガ 目津
沖島
崎
セ
島
崎
崎
錆浦
名近
双島 安指
崎
群集量の豊かさ
◎
◎
△
○
△
○
◎
○
◎
△
種多様性の高さ
◎
◎
△
◎
△
○
◎
◎
◎
○
海中景観の貢献度
○
○
△
○
△
○
○
○
○
△
群集の重要性または貴重性
○
○
△
○
△
○
◎
○
◎
△
総合評価(保全の必要性)
○
○
△
○
△
○
◎
○
◎
△
浅い岩場は地這性の細かな紅藻類で覆われている
量、種多様性が共に非常に低い
サンゴの少なくなる水深から海藻が繁茂する
水深12m以深からヤレオオギが多く繁茂する
潮岬以西では植生が最も豊かである
緑藻類の種多様性が高い。春には少産種であるカラゴロモが繁る。
植生は豊かで緑藻類の種多様性が高く、亜熱帯域を代表する藻類
群集が分布する。
備考(群集の特性)
評価の基準
量の豊かさと種多様性の高さについては、各観察値に下表のような得点を与え、
量の豊かさはポイントで、種多様性の高さは総観察種数と種多様度指数の合計
平均値で評価した。
評価
△ あまり優れていない、もしくはあまり重要でない
○ やや優れている、もしくはやや重要
◎ 特に優れている、もしくは特に重要
- 97 -
得点
1
2
3
ポイント
50未満
50-89
90以上
H'
2.9未満
3.0-3.8
3.9以上
2-2-3.サンゴ類を除く大型底生無脊椎動物類
群集評価においては、調査の集計値から算出した群集の指標値(ポイント、種数、積算
優占度SDR、種多様度指数H')とともに、景観や資源学的・生態学的重要性をも考慮に含め
た。なお、積算優占度 SDR(Summed Dominance Ratio)は種の優占度を表す指標で、被度
と出現頻度から、それぞれの最高値を100とした比数を求め、それらを足して2で割った値
で表され、この値が50以上のものを優占種とした。種多様度指数H'は群集の種多様性を表
す指標で、Shannon-Weaver の式(H'=−ΣPi log Pi)を用いて算出した。この値は値が
高いほど相対的に群集の種多様性が高いことを表す。
2-2-3-1.地点別の出現状況
①権現崎(表17-1)
本地点からは海綿動物1種1ポイント、刺胞動物7種24ポイント、軟体動物11種69ポイント、
棘皮動物6種32ポイントの計25種126ポイントが出現した。優占種は降順にナガウニ、ウラ
ウズガイ、ギンタカハマガイ、ヌメリトサカの一種、フトコロガイとなっている。本地点
の総出現種数と種多様性は調査地点中最下位であるが、他地点と比べソフトコーラル類
(ウミトサカ類)が豊富である。特にヌメリトサカ類が豊富で、色合い的にはやや地味で
はあるが他地点では見られない高い出現量で海中景観を形成している。またウニ類も豊富
である。
②四双島(表17-2)
本地点からは海綿動物1種1ポイント、刺胞動物10種12ポイント、軟体動物23種93ポイン
ト、棘皮動物7種27ポイントの計26種133ポイントが出現した。優占種は降順にフトコロガ
イ、タワシウニ、クロフレイシガイダマシ、ギンタカハマガイ、ウラウズガイとなってい
る。本地点は、出現総種数、総出現ポイント共に調査地点中最高値であり、種多様性も高
い値であった。小型の巻き貝類が豊富だが、大型種は少ないため底生動物による海中景観
形成の貢献度は高くない。また、本地点ではテーブル状サンゴの群落が目立つが、これら
にヒメシロレイシガイダマシやオニヒトデが取り付いているのが見られ、テーブルサンゴ
類の食害が散見された。
③天神崎(表17-3)
本地点からは海綿動物1種1ポイント、刺胞動物6種15ポイント、軟体動物18種58ポイント、
棘皮動物7種28ポイントの計32種102ポイントが出現した。優占上位5種は降順にナガウニ、
イガイ科の一種、ウラウズガイ、ラッパウニ、シロガヤとなっている。イガイ科の一種が
- 98 -
豊富に見られるが、大型の底生動物の出現量は少なく海中景観形成の貢献度は低い。
④沖島(表17-4)
本地点からは海綿動物1種2ポイント、刺胞動物9種19ポイント、軟体動物19種43ポイント、
棘皮動物6種26ポイントの計35種90ポイントが出現した。優占上位5種は降順にナガウニ、
カタベガイ、タワシウニ、サンゴイソギンチャク、ウラウズガイとなっている。本地点は
広い範囲にテーブル状サンゴが群生し、小型の貝類はあまり見られず、軟体動物類は本調
査地点中では最も出現量が少ない。一方、サンゴイソギンチャクは出現量が非常に高く、
高密度に生息するテーブル状サンゴの隙間を埋めているのが特徴的である。また、今回の
調査では唯一ミズガメカイメンが出現している。この種は底生動物類としてはかなりの大
型種であり、特異な形態をしているため非常に目立ち、サンゴ主体の海中景観に異彩を放
っている。
⑤ショウガセ(表17-5)
本地点からは海綿動物1種1ポイント、刺胞動物15種32ポイント、軟体動物7種14ポイント、
棘皮動物6種11ポイントが出現している。本地点は、水深40m付近から崖様に暗礁が立ち上
がり、礁上面は平坦で水深は13∼15mである。ここでは、礁上面から海底までおよそ10m
間隔の深度で調査を行った。
礁上面はサンゴイソギンチャクが豊富に見られ、ウネタケ類も多いが、これらは色彩が
地味なため景観的にはやや殺風景である。水深30mまではまばらにウミトサカ類が目に付
く程度で景観は貧弱であるが、水深30m付近からウミカラマツ類やヤギ類などの大型の刺
胞動物が崖様の岩表面に豊富に出現し、お花畑的な美しい景観を呈する。また、水深40m
付近の海底面ではこれらの大型の刺胞動物は見られない代わりに、オオカワリギンチャク
が群生する。本種の体色は蛍光黄色で、その群生する様は他の海域では見ることのできな
い特異で神秘的な海中景観を創出している。なお、本種は県下でも有数の海産稀少種であ
るので、以下に種の概要を特記する。
「オオカワリギンチャク Halcurias levis Uchida, 2001」
体長は5cmほどで、美しい蛍光黄色の色彩が特徴のカワリギンチャク科に属するイソギ
ンチャク類である。和歌山県みなべ町から伊豆大島にかけての水深35m∼100mの深度に分
布するが、これまで数カ所からしか知られていない稀種である。最近になり新種記載され
た種で、みなべ沖(刺し網に混獲)をホロタイプ産地とする。特にタイプ産地であるみな
べ沖ショウガセは本種の重要な群生地であり、貴重な自然資質として保全的価値が高い。
⑥目津崎(表17-6)
本地点からは海綿動物1種1ポイント、刺胞動物7種11ポイント、軟体動物16種60ポイント、
- 99 -
棘皮動物6種30ポイントの計29種102ポイントが出現した。優占上位5種は降順にクロフレイ
シガイダマシ、フトコロガイ、タワシウニ、イトマキレイシガイダマシ、ウラウズガイと
なっている。本地点では、大型種の出現が少ないため底生動物類の海中景観への貢献は余
り高くないが、0m地点から60m地点までの水深の浅いポイントではタワシウニの出現量が
非常に高く、辺り一面に黒い穴が観察できる。80m地点以降では海藻類が繁茂しており、
底生動物類はより目立たなくなっている。
2-2-3-2.評価
今回の調査結果において、総種数、出現量(ポイント)、種多様度指数を指標値として地
点間を比較して評価を行う(表18、19)。総種数が最も多いのは四双島、次いで沖島、天神
崎、目津崎、ショウガセ、そして権現崎となった。総出現量も四双島が最多で、次いで権
現崎、そして天神崎と目津崎が同数で続き、沖島、ショウガセの順となった。多様度指数
では沖島が最多で、ショウガセ、四双島、目津崎、天神崎、目津崎と続く。
表20に主要底生動物の出現結果から見た評価を示す。評価基準は本表下欄に示してある。
生物量が豊かなのは、権現崎、四双島、天神崎、目津崎の4地点である。種多様性が高いの
は、四双島、天神崎、沖島、目津崎の4地点である。底生動物群集による美しい海中景観が
認められるのは、沖島、ショウガセの2地点である。重要な群集が認められるのは、貴重種
オオカワリイソギンチャクが群生するショウガセと、豊富なサンゴイソギンチャク、大型
のミズガメカイメンが観察できる沖島の2地点である。よって、ショウガセ、沖島の2地点
は底生動物群集の観点から保全の必要性が高いと判定される。特にショウガセは重要度が
高い。
参考文献
波部忠重,1983.学研生物図鑑・貝Ⅰ.301pp.学習研究社,東京.
波部忠重,1983.学研生物図鑑・貝Ⅱ.294pp.学習研究社,東京.
益田
一他,1988.フィールド図鑑・海岸動物,補訂版.255pp.東海大学出版会,東京.
西村三郎他, 1992. 原色検索日本海岸動物図鑑 I. 425pp. 保育社, 東京.
西村三郎他, 1995. 原色検索日本海岸動物図鑑 II. 663pp. 保育社, 東京.
奥谷喬司, 1986. 貝類.決定版世界大図鑑8. 399pp. 世界文化社, 東京.
奥谷喬司, 2000. 日本近海産貝類図鑑.1173pp.東海大学出版会, 東京.
内海冨士夫,1975.学研中高生図鑑・水生動物.342pp.学習研究社,東京.
吉田
徹, 2010. 大型底生無脊椎動物類. 平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サ
ンゴ)調査報告書, 47-65. 環境省近畿地方環境事務所.
- 100 -
表.17-1 大型底生動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ①権現崎
出現生物 / 調査地点
海綿動物
1 オオパンカイメン
刺胞動物
1 イラモ
2 ウネタケの一種
3 カタトサカの一種
4 ヌメリトサカの一種
5 トゲトサカの一種
6 イソバナの仲間
7 ミノイソギンチャク
軟体動物
1 ニシキウズガイ類
2 ギンタカハマガイ
3 ウラウズガイ
4 コオニノツノガイ
5 ハナビラダカラガイ
6 クロフレイシガイダマシ
7 イトマキレイシガイダマシ
8 フトコロガイ
9 キヌカツギイモ
10 イガイ科の一種
11 カキ様二枚貝類
棘皮動物
1 クロウニ
2 トックリガンガゼモドキ
3 ガンガゼ
4 ラッパウニ
5 ナガウニ
6 タワシウニ
地点総種数
地点総ポイント数
種多様度指数(H')
0m
20m
40m
60m
80m
100m
1
1
1
1
1
2
1
1
2
1
1
1
2
3
1
1
2
3
1
2
3
1
3
2
2
2
1
1
1
3
2
2
2
3
1
2
2
1
1
1
3
3
3
1
3
1
1
2
1
1
1
1
3
3
1
1
1
1
1
3
3
10
22
3
3
11
22
- 101 -
3
3
18
30
3
1
3
1
3
11
19
12
20
8
13
合計
SDR
1
11.1
4
3
2
11
1
1
2
36.1
33.3
22.2
80.6
11.1
11.1
22.2
9
13
14
2
1
3
1
10
3
1
12
66.7
86.1
88.9
22.2
11.1
33.3
11.1
69.4
33.3
11.1
66.7
1
1
1
2
18
9
25
126
3.98
11.1
11.1
11.1
22.2
100.0
50.0
表.17-2 大型底生動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ②四双島
出現生物 / 調査地点
0m
海綿動物
1 カイメンの一種
刺胞動物
1 イラモ
2 ウネタケの一種
3 カタトサカの一種
4 トゲトサカの一種
5 マミレイソギンチャク科の一種
6 マメスナギンチャク
1
7 サンゴイソギンチャク
8 ミノイソギンチャク
9 シマキッカイソギンチャク
10 アジサイイソギンチャク
軟体動物
1 イボアナゴ
1
2 ニシキウズガイ類
3
3 ギンタカハマガイ
1
4 カタベガイ
5 コシダカサザエ
6 ウラウズガイ
7 ヨロイツノブエ
1
8 ハナマルユキダカラガイ
2
9 ガンゼキボラ
10 ヒシヨウラクガイ
1
11 ウネレイシガイダマシ
12 クロフレイシガイダマシ
2
13 イトマキレイシガイダマシ
2
14 ヒメシロレイシガイダマシ
15 フトコロガイ
1
16 マツムシガイ
17 キヌカツギイモ
1
18 サヤガタイモ
19 イモガイ科の一種
20 クロシタナシウミウシ
21 カキ様二枚貝類
22 イナミガイ
1
23 イタヤガイの一種
棘皮動物
1 ハナウミシダ
2 ミナミジュズベリヒトデ
3 クロウニ
1
4 ガンガゼ
5 ラッパウニ
6 ナガウニ
3
7 タワシウニ
3
地点総種数
15
地点総ポイント数
24
種多様度指数(H')
20m
40m
60m
1
1
80m
100m
合計
SDR
1
1
11.1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
11.1
22.2
22.2
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
2
6
8
3
1
9
4
3
1
3
1
11
4
7
16
2
5
1
1
1
1
2
1
22.2
50.0
63.9
33.3
11.1
58.3
44.4
25.0
11.1
33.3
11.1
72.2
36.1
44.4
94.4
13.9
38.9
11.1
11.1
11.1
11.1
22.2
11.1
1
2
1
2
2
3
16
41
133
4.68
11.1
22.2
11.1
22.2
22.2
16.7
94.4
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
1
2
2
1
1
3
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
3
3
2
1
2
1
3
3
2
2
2
1
3
3
2
3
1
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
14
24
3
19
31
- 102 -
1
1
13
19
3
12
17
3
13
18
表.17-3 大型底生動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ③天神崎
出現生物 / 調査地点
海綿動物
1 オオパンカイメン
刺胞動物
1 シロガヤ
2 イラモ
3 ヌメリトサカの一種
4 ムラサキハナギンチャク
5 サンゴイソギンチャク
6 シマキッカイソギンチャク
軟体動物
1 ニシキウズガイ類
2 ギンタカハマガイ
3 カタベガイ
4 ウラウズガイ
5 マガキガイ
6 ガンゼキボラ
7 ヒメヨウラクガイ
8 クロフレイシガイダマシ
9 イトマキレイシガイダマシ
10 ウニレイシ
11 ヒメイトマキボラ
12 キヌカツギイモ
13 イボウミウシ科の一種
14 アオウミウシ
15 イガイ科の一種
16 カキ様二枚貝類
17 ヒオウギガイ
18 イタヤガイの一種
棘皮動物
1 ガンガゼ
2 ラッパウニ
3 シラヒゲウニ
4 ナガウニ
5 タワシウニ
6 タコノマクラ
7 トラフナマコ
地点総種数
地点総ポイント数
種多様度指数(H')
0m
20m
40m
60m
80m
100m
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
2
1
2
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
1
1
2
2
1
1
1
1
3
2
3
3
3
2
3
2
1
1
1
1
3
1
1
15
22
1
3
5
2
1
1
1
1
1
1
3
1
3
1
1
12
17
1
1
10
11
12
14
21
33
- 103 -
合計
SDR
1
11.1
5
3
1
2
3
1
55.6
33.3
11.1
22.2
33.3
11.1
5
2
3
8
4
2
2
3
1
1
2
1
1
1
14
5
2
1
38.9
22.2
33.3
63.9
27.8
13.9
22.2
25.0
11.1
11.1
22.2
11.1
11.1
11.1
80.6
30.6
13.9
11.1
5
5
1
12
2
1
2
32
102
4.41
47.2
55.6
11.1
83.3
22.2
11.1
22.2
表.17-4 大型底生動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ④沖島
出現生物 / 調査地点
海綿動物
1 ミズガメカイメン
刺胞動物
1 シロガヤ
2 イラモ
3 カタトサカの一種
4 ヌメリトサカの一種
5 アカバナトサカ
6 オオトゲトサカ
7 ウデナガウンバチ
8 サンゴイソギンチャク
9 グビジンイソギンチャク
軟体動物
1 ニシキウズガイ類
2 カタベガイ
3 コシダカサザエ
4 ウラウズガイ
5 マガキガイ
6 ガンゼキボラ
7 ヒメヨウラクガイ
8 ヒシヨウラクガイ
9 シロレイシガイダマシ
10 ヒメシロレイシガイダマシ
11 クロフレイシガイダマシ
12 イトマキレイシガイダマシ
13 ウニレイシ
14 ヒメイトマキボラ
15 カキ様二枚貝類
16 ヒオウギガイ
17 イタヤガイの一種
18 イナミガイ
19 ウグイスガイ
棘皮動物
1 コアシウミシダ
2 オオウミシダ
3 ガンガゼ
4 ラッパウニ
5 ナガウニ
6 タワシウニ
地点総種数
地点総ポイント数
H'
0m
20m
40m
60m
80m
1
1
1
1
1
1
1
100m
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
2
1
2
1
1
1
1
3
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
2
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
3
15
21
2
1
1
2
16
19
1
1
2
9
12
- 104 -
1
1
1
1
1
17
21
1
1
1
1
1
10
10
1
7
7
合計
SDR
2
22.2
2
2
1
2
1
1
2
7
1
22.2
22.2
11.1
22.2
11.1
11.1
22.2
52.8
11.1
2
5
3
6
1
1
1
1
1
3
6
3
2
1
3
1
1
1
1
22.2
55.6
25.0
50.0
11.1
11.1
11.1
11.1
11.1
25.0
41.7
33.3
22.2
11.1
33.3
11.1
11.1
11.1
11.1
3
1
4
4
6
8
35
90
4.76
33.3
11.1
36.1
44.4
58.3
55.6
表.17-5 大型底生動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ⑤ショウガセ
出現生物 / 調査水深
海綿動物
1 カイメンの一種
刺胞動物
1 シロガヤ
2 ウネタケの一種
3 カタトサカの一種
4 チジミトサカの一種
5 ヌメリトサカの一種
6 オオトゲトサカ
7 ウミウチワ
8 イソバナの仲間
9 アカヤギ
10 ムチヤギの一種
11 ムチカラマツ
12 ウミカラマツ
13 ネジレカラマツ
14 オオカワリギンチャク
15 サンゴイソギンチャク
軟体動物
1 ニシキウズガイ類
2 カタベガイ
3 ウラウズガイ
4 ガンゼキボラ
5 ヒメヨウラクガイ
6 クロフレイシガイダマシ
7 ウニレイシ
棘皮動物
1 オオウミシダ
2 ミナミジュズベリヒトデ
3 ガンガゼ
4 ラッパウニ
5 ナガウニ
6 タワシウニ
地点総種数
地点総ポイント数
H'
0-15m15-20m20-30m30-40m
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
3
3
2
1
3
3
1
3
3
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
16
21
1
1
1
10
10
7
7
- 105 -
8
20
合計
SDR
1
16.7
2
2
1
1
1
3
3
3
2
1
3
3
1
3
3
20.8
33.3
16.7
16.7
16.7
50.0
25.0
25.0
20.8
16.7
25.0
25.0
16.7
25.0
25.0
3
1
3
2
1
2
2
37.5
16.7
50.0
33.3
16.7
33.3
33.3
1
1
2
1
2
4
29
58
4.71
16.7
16.7
33.3
16.7
33.3
41.7
表.17-6 大型底生無脊椎動物類の出現量(ポイント)と積算優占度(SDR) ⑥目津崎
出現生物 / 調査地点
海綿動物
1 オオパンカイメン
刺胞動物
1 ウネタケの一種
2 ヌメリトサカの一種
3 オオトゲトサカ
4 ヒメハナギンチャク
5 サンゴイソギンチャク
6 シマキッカイソギンチャク
7 グビジンイソギンチャク
軟体動物
1 イボアナゴ
2 ニシキウズガイ類
3 ギンタカハマガイ
4 カタベガイ
5 コシダカサザエ
6 ウラウズガイ
7 ハナマルユキダカラガイ
8 ガンゼキボラ
9 ヒメヨウラクガイ
10 クロフレイシガイダマシ
11 イトマキレイシガイダマシ
12 トゲレイシダマシ
13 ウニレイシ
14 フトコロガイ
15 マツムシガイ
16 キヌカツギイモ
棘皮動物
1 コアシウミシダ
2 クロウニ
3 ガンガゼ
4 ラッパウニ
5 ナガウニ
6 タワシウニ
地点総種数
地点総ポイント数
H'
0m
20m
40m
60m
80m
100m
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
3
2
2
3
1
1
2
1
1
1
3
1
1
1
3
3
1
1
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
3
13
20
2
3
16
22
2
3
16
22
3
13
20
- 106 -
1
1
2
1
1
1
11
12
5
6
合計
SDR
1
11.1
1
1
4
1
1
1
2
11.1
11.1
44.4
11.1
11.1
11.1
22.2
2
2
5
1
1
6
3
2
1
13
6
4
2
9
1
2
22.2
22.2
47.2
11.1
11.1
58.3
33.3
22.2
11.1
77.8
58.3
36.1
22.2
66.7
11.1
22.2
4
1
6
2
5
12
30
102
4.66
44.4
11.1
50.0
22.2
38.9
66.7
表.18サンゴ類を除く大型底生無脊椎動物類の出現量(ポイント)の地点間比較
今回調査
①
出現生物 / 調査地点
②
③
④
権現 四双 天神
沖島
崎
島
崎
海綿動物
1 オオパンカイメン Spirastrella insignis
2 ミズガメカイメン Xestospongia testudinaria
3 カイメンの一種 Demospongiae sp.
刺胞動物
1 シロガヤ Aglaophenia whiteleggei
2 イラモ Stephanoscyphus racemosum
3 ウネタケの一種 Lobophytum sp.
4 カタトサカの一種 Sinularia sp.
5 チジミトサカの一種 Nephthea sp.
6 ヌメリトサカの一種 Litophyon sp.
7 キバナトサカ Stereonephthya japonica
8 アカバナトサカ Stereonephthya rubriflora
9 オオトゲトサカ Dendronephthya gigantea
10 トゲトサカの一種 Dendronephthya sp.
11 ウミウチワ Padina arborescens
12 イソバナの仲間 Melithaea sp.
13 アカヤギ Echinogorgia rigida
14 ムチヤギの一種 Ellisella sp.
15 ウミカラマツ Antipathes grandiflora
16 ムチカラマツ Cirripathes anguina
17 ネジレカラマツ Cirripathes spiralis
18 オオカワリギンチャク Halcurias levis
19 ムラサキハナギンチャク Ceriantbus filiformis
20 ヒメハナギンチャク Pachycerianthus magnus
21 マミレイソギンチャク科の一種 Isophelliidae sp.
22 マメスナギンチャク Zoanthus erythrochloros
23 ウデナガウンバチ Megalactis hemprichii
24 ニチリンイソギンチャク Phymanthus muscosus
25 サンゴイソギンチャク Entacmaea actinostoloides
26 ミノイソギンチャク Heterodactyla hemprichii
27 シマキッカイソギンチャク Antheopsis maculata
28 アジサイイソギンチャク Antheopsis cookei
29 グビジンイソギンチャク Stichodactyla tapetum
軟体動物
1 イボアナゴ Haliotis uaria
2 ヒメクボガイ Omphalius nigerrimus
3 ニシキウズガイ類 Trochidae sp.
4 ギンタカハマガイ Tectus pyramis
5 カタベガイ Angaria neglecta
6 コシダカサザエ Marmarostoma stenogyra
7 ウラウズガイ Astralium haematragum
8 ヨロイツノブエ Cerithium lifuense
9 コオニノツノガイ Cerithium columma
10 マガキガイ Strombus luhuanus
11 ヘビガイ類 Serpulorbis sp.
12 ハナビラダカラガイ Erosaria annulus
13 ハナマルユキダカラガイ Cypraea caputserpentis
1
2009年環境省調査
⑤
⑥
ショウ
ガセ
目津
崎
1
錆浦
名近
双島 安指
崎
1
1
2
1
4
3
2
1
2
2
11
1
5
3
2
2
1
1
2
2
2
1
1
1
1
3
1
2
2
2
1
3
1
1
1
1
1
3
4
1
3
3
2
1
3
3
1
3
1
2
1
1
1
2
2
1
1
1
1
3
7
3
1
1
2
9
13
14
6
8
3
1
9
4
1
3
5
1
1
2
3
1
1
2
1
2
5
2
3
2
8
5
3
6
4
1
3
1
3
2
5
1
1
6
3
2
1
1
1
1
1
5
1
9
16
2
1
3
3
1
1
17
1
3
1
5
2
1
1
1
2
3
- 107 -
3
14 ガンゼキボラ Chicoreus brunneus
15 ヒメヨウラクガイ Ergalatax contractus
16 ヒシヨウラクガイ Favartia munda
17 クロフレイシガイダマシ Morula funiculata
18 イトマキレイシガイダマシ Morula iostoma
19 ウネレイシガイダマシ Cronia margariticola
20 ヒメシロレイシガイダマシ Drupella fragum
21 シロレイシガイダマシ Drupella conus
22 トゲレイシダマシ Morula spinosa
23 ウニレイシ Mancinella echinata
24 アッキガイ科の一種 Muricidae sp.
25 ヒメイトマキボラ Pleuroploca trapezium paeteli
26 フトコロガイ Euplica versicolor
27 マツムシガイ Pyrene testudinaria tylerae
28 キヌカツギイモ Conus flavidus
29 サヤガタイモ Conus miliaris
30 イモガイ科の一種 Cnidae sp.
31 アメフラシ Aplysia kurodai
32 アオウミウシ Hypselodoris festiva
33 クロシタナシウミウシ Dendroris nigra
34 イボウミウシ科の一種 Phyllidiidae sp.
35 イガイ科の一種 Mytillidae sp.
36 カキ様二枚貝類 Ostreidae sp.
37 ヒオウギガイ Chlamys senatoria nobilis
38 イタヤガイの一種 Pectinoida sp.
39 イナミガイ Gafrarium dispar
40 ウグイスガイ Pteria brevialata
棘皮動物
1 コアシウミシダ Comanthus parvicirrus
2 オオウミシダ Tropiometra afra macrodiscus
3 ハナウミシダ Comanthina schlegeli
4 ミナミジュズベリヒトデ Fromia indica
5 ノコギリウニ Prionocidaris baculosa
6 クロウニ Stomopneustes variolaris
7 トックリガンガゼモドキ Stomopneustes variolaris
8 ガンガゼ Diadema setosum
9 ラッパウニ Diadema setosum
10 シラヒゲウニ Tripneustes gratilla
11 ナガウニ Echinometra mathaei
12 タワシウニ Echinostrephus aciculatus
13 タコノマクラ Clypeaster japonicus
14 ニセクロナマコ Holothuria leucospirota
15 トラフナマコ Holothuria pervicax
地点総種数
地点総ポイント数
H'
1
3
1
3
11
4
1
7
2
2
3
1
1
1
1
6
3
2
1
2
1
2
13
6
1
1
1
1
2
3
1
1
2
2
1
2
4
2
1
10
3
16
2
5
1
1
9
1
2
1
1
4
1
1
1
1
12
1
1
2
1
14
5
2
1
3
1
1
1
1
3
1
1
2
1
1
1
2
1
18
9
3
16
2
2
4
4
3
1
2
1
7
2
4
18
16
4
4
2
1
6
2
6
8
2
4
5
12
9
4
2
5
2
32
25
41
126
133
102
3.98 4.68
4.41
- 108 -
1
2
2
1
2
4
1
1
5
5
1
12
2
1
3
35
29
30
90
58
102
4.76 4.71 4.66
10
3
1
12
8
1
19
2
15
26
91
49
87
3.89 3.21 4.22
1
1
1
4
3
3
9
11
1
2
20
52
3.83
表.19 サンゴ類を除く大型底生無脊椎動物類の積算優占度(SDR)の地点間比較
今回調査
①
出現生物 / 調査地点
②
③
④
権現 四双 天神
沖島
崎
島
崎
海綿動物
11.1
1 オオパンカイメン Spirastrella insignis
2 ミズガメカイメン Xestospongia testudinaria
3 カイメンの一種 Demospongiae sp.
刺胞動物
1 シロガヤ Aglaophenia whiteleggei
2 イラモ Stephanoscyphus racemosum
36.1
33.3
3 ウネタケの一種 Lobophytum sp.
4 カタトサカの一種 Sinularia sp.
22.2
5 チジミトサカの一種 Nephthea sp.
80.6
6 ヌメリトサカの一種 Litophyon sp.
7 キバナトサカ Stereonephthya japonica
8 アカバナトサカ Stereonephthya rubriflora
9 オオトゲトサカ Dendronephthya gigantea
10 トゲトサカの一種 Dendronephthya sp.
11.1
11 ウミウチワ Padina arborescens
12 イソバナの仲間 Melithaea sp.
11.1
13 アカヤギ Echinogorgia rigida
14 ムチヤギの一種 Ellisella sp.
15 ウミカラマツ Antipathes grandiflora
16 ムチカラマツ Cirripathes anguina
17 ネジレカラマツ Cirripathes spiralis
18 オオカワリギンチャク Halcurias levis
19 ムラサキハナギンチャク Ceriantbus filiformis
20 ヒメハナギンチャク Pachycerianthus magnus
21 マミレイソギンチャク科の一種 Isophelliidae sp.
22 マメスナギンチャク Zoanthus erythrochloros
23 ウデナガウンバチ Megalactis hemprichii
24 ニチリンイソギンチャク Phymanthus muscosus
25 サンゴイソギンチャク Entacmaea actinostoloides
22.2
26 ミノイソギンチャク Heterodactyla hemprichii
27 シマキッカイソギンチャク Antheopsis maculata
28 アジサイイソギンチャク Antheopsis cookei
29 グビジンイソギンチャク Stichodactyla tapetum
軟体動物
1 イボアナゴ Haliotis uaria
2 ヒメクボガイ Omphalius nigerrimus
3 ニシキウズガイ類 Trochidae sp.
66.7
4 ギンタカハマガイ Tectus pyramis
86.1
5 カタベガイ Angaria neglecta
6 コシダカサザエ Marmarostoma stenogyra
7 ウラウズガイ Astralium haematragum
88.9
8 ヨロイツノブエ Cerithium lifuense
9 コオニノツノガイ Cerithium columma
22.2
10 マガキガイ Strombus luhuanus
11 ヘビガイ類 Serpulorbis sp.
12 ハナビラダカラガイ Erosaria annulus
11.1
13 ハナマルユキダカラガイ Cypraea caputserpentis
2009年環境省調査
⑤
⑥
ショウ
ガセ
目津
崎
11.1
錆浦
名近
双島 安指
崎
11.1
11.1
22.2
11.1
11.1
22.2
22.2
16.7
55.6 22.2 20.8
33.3 22.2
33.3 11.1
11.1 16.7
16.7
11.1 22.2 16.7 11.1
33.3
11.1
22.2
22.2
22.2
11.1
25.0
11.1
11.1
11.1 50.0 44.4
11.1
25.0
25.0
20.8
16.7
25.0
25.0
16.7
25.0
22.2
11.1
11.1
11.1
22.2
11.1
11.1
11.1
11.1
33.3
52.8
11.1
11.1
22.2
50.0
63.9
33.3
11.1
58.3
44.4
11.1
33.3
33.3
55.6 11.1 22.2
11.1 22.2 11.1
11.1 11.1 11.1
22.2
33.3
25.0 11.1
22.2
11.1
11.1 11.1
55.6
33.3
11.1
11.1
75.0 94.4 97.2
22.2
11.1
33.3
11.1
63.9
22.2 37.5 22.2
47.2
55.6 16.7 11.1
25.0
11.1
50.0 50.0 58.3
27.8
11.1
11.1 33.3
11.1
11.1
38.9
22.2
33.3
22.2
25.0
- 109 -
11.1
33.3
47.2
14 ガンゼキボラ Chicoreus brunneus
15 ヒメヨウラクガイ Ergalatax contractus
16 ヒシヨウラクガイ Favartia munda
17 クロフレイシガイダマシ Morula funiculata
18 イトマキレイシガイダマシ Morula iostoma
19 ウネレイシガイダマシ Cronia margariticola
20 ヒメシロレイシガイダマシ Drupella fragum
21 シロレイシガイダマシ Drupella conus
22 トゲレイシダマシ Morula spinosa
23 ウニレイシ Mancinella echinata
24 アッキガイ科の一種 Muricidae sp.
25 ヒメイトマキボラ Pleuroploca trapezium paeteli
26 フトコロガイ Euplica versicolor
27 マツムシガイ Pyrene testudinaria tylerae
28 キヌカツギイモ Conus flavidus
29 サヤガタイモ Conus miliaris
30 イモガイ科の一種 Cnidae sp.
31 アメフラシ Aplysia kurodai
32 アオウミウシ Hypselodoris festiva
33 クロシタナシウミウシ Dendroris nigra
34 イボウミウシ科の一種 Phyllidiidae sp.
35 イガイ科の一種 Mytillidae sp.
36 カキ様二枚貝類 Ostreidae sp.
37 ヒオウギガイ Chlamys senatoria nobilis
38 イタヤガイの一種 Pectinoida sp.
39 イナミガイ Gafrarium dispar
40 ウグイスガイ Pteria brevialata
棘皮動物
1 コアシウミシダ Comanthus parvicirrus
2 オオウミシダ Tropiometra afra macrodiscus
3 ハナウミシダ Comanthina schlegeli
4 ミナミジュズベリヒトデ Fromia indica
5 ノコギリウニ Prionocidaris baculosa
6 クロウニ Stomopneustes variolaris
7 トックリガンガゼモドキ Stomopneustes variolaris
8 ガンガゼ Diadema setosum
9 ラッパウニ Diadema setosum
10 シラヒゲウニ Tripneustes gratilla
11 ナガウニ Echinometra mathaei
12 タワシウニ Echinostrephus aciculatus
13 タコノマクラ Clypeaster japonicus
14 ニセクロナマコ Holothuria leucospirota
15 トラフナマコ Holothuria pervicax
地点総種数
地点総ポイント数
H'
11.1 13.9
22.2
33.3
33.3 72.2 25.0
11.1 36.1 11.1
11.1
44.4
11.1 33.3 22.2
11.1 16.7 11.1
11.1
41.7 33.3 77.8
33.3
58.3
11.1
11.1
11.1
11.1
22.2
25.0
11.1
11.1
22.2
22.2
11.1
36.1
33.3 22.2
11.1
69.4 94.4
13.9
33.3 38.9 11.1
11.1
11.1 11.1
66.7
11.1
22.2
11.1
36.1
11.1
11.1
11.1
11.1
80.6
66.7 11.1 30.6
13.9
11.1 11.1
22.2
33.3
11.1
11.1
11.1
11.1
33.3
11.1
11.1
22.2
44.4
44.4
36.1
44.4
33.3
11.1
11.1
33.3 50.0
16.7 22.2
69.4
22.2
44.4
58.3 33.3 38.9
55.6 41.7 66.7
25
41
126
133
102
3.98 4.68 4.41
- 110 -
35
29
30
90
58
102
4.71 4.66
4.76
11.1
11.1
11.1
77.8 44.4
33.3 33.3
11.1 33.3
83.3 75.0
72.2 63.9
11.1
66.7
44.4
22.2
100.0
94.4
55.6
22.2
32
11.1
22.2
22.2
11.1
22.2
44.4
16.7
16.7
11.1 11.1
11.1
11.1 22.2 47.2
22.2 22.2 55.6
11.1
100.0 16.7 83.3
50.0 94.4 22.2
11.1
16.7
22
22.2
15
11.1
30
11.1
22.2
21
97
49
93
55
3.89
3.21
4.22 3.83
表20.サンゴ類を除く大型底生無脊椎動物類の評価
2010年和歌山県サンゴ分布調査
2009年環境省調査
ショウ
目津崎
ガセ
権現崎 四双島 天神崎 沖島
錆浦名近崎双島 安指
生物量の豊かさ
◎
◎
◎
○
△
◎
○
△
○
△
種多様性の高さ
○
◎
◎
◎
○
◎
○
○
◎
○
海中景観の貢献度
○
△
△
◎
◎
△
△
△
○
△
重要または貴重な群集
○
○
△
◎
◎
○
○
○
○
○
総合評価(保全の必要性)
○
○
△
◎
◎
○
○
○
○
○
備考
Iス
Iシ
Iス
ク
と
大
型
の
ミ
ズ
ガ
メ
Iシ
Iシ
源貴
的重
にな
もオ
景オ
観カ
的ワ
にリ
もギ
保ン
全チ
の
重ク
要の
性群
は生
高地
いで
Jf
カ豊
イ富
メな
ンサ
がン
特ゴ
徴イ
ソ
ギ
ン
チ
Iス
貝小
類型
に巻
よき
る貝
サ類
ンが
ゴ豊
の富
食な
害海
が域
見だ
らが
れ
特 るサ
に
ン
ヌ
ゴ
メ
食
リ
巻
ト
き
Jf
サウ
カニ
類類
がと
豊ウ
かミ
なト
海サ
域カ
で類
あが
る豊
富
で
種
資
評価の基準
量の豊かさと種多様性の高さについては、各観察値に下表のような得点
え、量の豊かさはポイントで、種多様性の高さは総観察種数と種多様度
の合計平均値で評価した。
評価
△ あまり優れていない、もしくはあまり重要でない
○ やや優れている、もしくはやや重要
◎ 特に優れている、もしくは特に重要
- 111 -
得点 ポイント
60未満
1
60-99
2
100以上
3
総種数
10未満
10-24
25以上
H'
3.9未満
4.0-4.4
4.5以上
2-2-4.魚類
地点別の出現状況
表21(1-6)に調査区別の魚類の出現ポイントを示し、表22に調査した6地点の出現種の
比較を2009年に環境省が実施した串本海域の調査結果と併せて示した。また、表23には積
算優占度による優占種の出現状況を示し、最後に表24に各地点の資質の相対評価を示した。
群集評価においては、調査の集計値から算出した群集の指標値(出現ポイント、種数、
積算優占度SDR、種多様度指数H')とともに、景観や資源学的・生態学的重要性をも考慮に
含めた。なお、積算優占度 SDR(Summed Dominance Ratio)は種の優占度を表す指標で、
被度と出現頻度から、それぞれの最高値を100とした比数を求め、それらを足して2で割っ
た値で表され、この値が50以上のものを優占種とした。種多様度指数H'は群集の種多様性
を表す指標で、Shannon-Weaver の式(H'=−ΣPi log Pi)を用いて算出した。この値は
値が高いほど相対的に群集の種多様性が高いことを表す。
①権現崎(白浜町)
本地点では74種335ポイントが出現した。ベラ科の出現種が最も多く(15種)、これにス
ズメダイ科(11種)、チョウチョウウオ科(8種)が続いた。積算優占度による本地点の優
占種はソラスズメダイ(100)、ニシキベラ(93)、カミナリベラ(88)、チョウチョウウオ
(85)、ナガサキスズメダイ(80)、ツノダシ(75)、オトメベラ(70)、クロホシイシモチ
とトゲチョウチョウウオとテンクロスジギンポとクロユリハゼ(68)、ホンベラとブダイ
(65)、セダカスズメダイとクツワハゼ(63)、オオスジイシモチとニザダイ(58)、タカノ
ハダイ(55)、ハコフグ(53)、ナガニザ(50)であった。調査したラインの平均水深は最
も浅く(5.1m)、水深範囲も狭いが、20m区間の平均出現種数とポイントが6地点中2位で
あった。
②四双島(白浜町)
本地点では81種306ポイントが出現した。権現崎と同様にベラ科の出現種が最も多く
(19種)、これにスズメダイ科(12種)、チョウチョウウオ科(10種)が続いた。積算優占
度による本地点の優占種はソラスズメダイ(100)、ニシキベラ(90)、チョウチョウウオ
(83)、ニザダイ(78)、クマノミとアカササノハベラ(75)、カミナリベラ(73)、ホンベ
ラ(70)、セダカスズメダイ(68)、オジサンとヤマブキベラとブダイ(60)、ホウライヒメ
ジとテンクロスジギンポ(55)、キンセンイシモチ(53) 、コガシラベラ(50)であった。
調査したラインの平均水深は浅く(5.5m)、水深範囲も狭いが、20m区間の平均出現種数
とポイントが6地点中3位となった。
- 112 -
③天神崎(田辺市)
本地点では42種136ポイントが出現した。出現種はベラ科(6種)が最も多く、ヒメジ科
とスズメダイ科とハゼ科(4種)がこれに続いた。積算優占度による本地点の優占種はダテ
ハゼとハナハゼ(100)、クツワハゼ(86)、ナガサキスズメダイ(71)、ヨメヒメジ(59)
であった。調査したラインの水深は平均的で(8.0m)、水深範囲は狭いこと、底質が砂地
主体であること、そして他の5地点と比べて濁りの強い内湾的な環境であることから、出現
種数やポイントが最も低かった。
④沖島(田辺市)
本地点では95種374ポイントが出現した。権現崎や四双島と同様にベラ科が最も多く
(25種)、スズメダイ科(12種)、チョウチョウウオ科(9種)がこれに続いた。積算優占度
による本地点の優占種はソラスズメダイ(100)、クロホシイシモチ(90)、クマノミとカミ
ナリベラ(83)、チョウチョウウオとナガサキスズメダイ(80)、ミナミハタンポとオトメ
ベラ(75)、オジサン(73)、ニシキベラ(70)、ヤリカタギ(65)、トノサマダイとセダカ
スズメダイとヤマブキベラ(63)、ホンソメワケベラとブダイとテンクロスジギンポ(58)、
カモハラギンポ(55)、コガシラベラとイトヒキベラ(50)であった。調査したラインの平
均水深はやや深く(10.0m)、水深範囲は平均的であった。出現種数とポイントは調査した
6地点の中で最も高かった。
⑤ショウガセ(みなべ町)
本地点では50種145ポイントが出現した(本地点は調査水深が深いために調査ラインを用
いず、水深別に3段階に分けた区間で出現した魚類を記録した)。他の地点と同様にベラ科
が最も多く(14種)、スズメダイ科(8種)が続いているが、出現した魚種は③天神崎を除
く他の4地点とは異なるものが多かった。積算優占度による本地点の優占種はキンギョハナ
ダイ(100)、コガネスズメダイ(92)、マツバスズメダイとナガサキスズメダイ(67)、コ
ガシラベラ(63)、クマノミとイトヒキベラ(58)、カミナリベラ(54)、シラコダイとホン
ソメワケベラ(50)であった。上述の通り、調査水深は最も深く(約30m)、水深範囲も広
い。このため、出現種数やポイントは低かったものの、③天神崎と比較すると高かった。
⑥目津崎(みなべ町)
本地点では83種287ポイントが出現した。ベラ科が最も多く(18種)、スズメダイ科(12
種)、ニザダイ科(9種)がこれに続いた。積算優占度による本地点の優占種はソラスズメ
ダイ(100)、カミナリベラ(97)、ニザダイ(92)、アカササノハベラ(78)、ニシキベラ
- 113 -
(73)、ナガサキスズメダイ(68)、チョウチョウウオとセダカスズメダイ(62)、ホウライ
ヒメジとホンソメワケベラとニセカンランハギ(57)、コガシラベラ(55)、タカノハダイ
(54)であった。調査したラインの平均水深と水深範囲は平均的で、出現種数とポイント
は調査した6地点中4位、両者ともに平均より少し高い値となった。
まとめ
今回調査した6地点の総出現量は187種1583ポイントであった。出現種別では、ベラ科
(38種)が最も多く、スズメダイ科(20種)、チョウチョウウオ科とニザダイ科(14種)が
これに続いた。出現種数は多い順に④沖島>⑥目津崎>②四双島>①権現崎>⑤ショウガ
セ>③天神崎となり、ポイントは高い順に④沖島>①権現崎>②四双島>⑥目津崎>⑤シ
ョウガセ>③天神崎となった。⑤ショウガセは調査区が3区画と他地点に比べて少ないが
(他は5区画)、区間平均値を比べた場合も同じ順位となった。さて、積算優占度が50以上
の優占種の出現状況を見ると(表23)、水深の深いショウガセではキンギョハナダイとコガ
ネスズメダイの優占度が高く、内湾環境の天神崎ではダテハゼとハナハゼの優占度が高か
った。他の4地点ではソラスズメダイやカミナリベラ、ニシキベラの優占度が高く、沖島で
はクロホシイシモチ、目津崎ではニザダイの優占度も高かった。これらの魚種は南日本の
太平洋岸に普通に見られる種だが、キンギョハナダイやコガネスズメダイ、ダテハゼ、ハ
ナハゼは温帯によく適応し、比較的低水温にも強い種であると言える。逆に、キンセンイ
シモチやチョウチョウウオ類、ニセカンランハギ、ナガニザなどは黒潮の影響を強く受け
た暖かい海に生息する魚種で、比較的低水温に弱い種であると言える。特にチョウチョウ
ウオ類(チョウチョウウオとシラコダイを除く)やナガニザのような熱帯性の魚種は冬の
低水温に耐えられない無効分散の代表的な例と思われる。また、チョウチョウウオやクマ
ノミ、ソラスズメダイ、カミナリベラ、ニシキベラなどは全ての地点に出現しており、優
占度も高いことから、紀南地方を代表する魚種と言える。
魚類の評価
魚類の評価を表25に示す。評価基準は本表下欄に示してある。魚類の種多様性が高いの
は①権現崎、②四双島、④沖島、⑥目津崎の4地点で、出現量も同様の結果である。これら
4地点の出現状況は、串本海域と比較しても遜色はなく、熱帯種が豊富な亜熱帯環境を代表
する魚類群集の生息域として高い評価が与えられるが、無効分散種も多く、また、特に資
源的に貴重な種は見当たらない。
- 114 -
参考文献
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福田照雄・御前 洋, 1992.串本海中公園センターで記録された魚類一覧 1-2.
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小寺昌彦, 2003.魚類. 串本海中公園地区資質調査. 平成14年度海中公園地区等保全活動
事業報告書. 66-87. 環境省自然保護局.
小寺昌彦,2004,2007-2010.海中展望塔に集まる魚27,30-33.マリンパビリオン,
32(2),35(2)-39(2).
小寺昌彦, 2004. 魚類.平成15年度串本海中公園地区資質調査報告書:112-150. 環境省自
然保護局.
小寺昌彦,2009.魚類.平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サンゴ)調査報告書.
79-102. 環境省近畿地方環境事務所.
参木正之,小寺昌彦,2008.串本で採集されたクロソラスズメダイ属魚類。マリンパビリ
オン,37(4).
中坊徹次編, 2000.日本産魚類検索, 全種の同定, 第二版.1748pp.東海大学出版会.
Nelson, J. S., 1994.Fishes of the world,3rd ed.600pp.John Wiley & Sons.
日本動物園水族館協会, 2000.1998-1999年, 飼育動物・水族リスト.126pp.
岡村 収 他, 1997.日本の海水魚.784pp. 山と渓谷社.東京.
吉野雄輔,瀬能宏,2008.日本の海水魚.543pp.山と渓谷社.東京.
- 115 -
表21-1.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ①権現崎(白浜町)
№
1
2
3
4
5
6
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8
9
10
11
12
13
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15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
科名
ウツボ科
ゴンズイ科
ヤガラ科
フサカサゴ科
テンジクダイ科
クロサギ科
イサキ科
ヒメジ科
ヒメジ科
ハタンポ科
チョウチョウウオ科
キンチャクダイ科
タカノハダイ科
スズメダイ科
ベラ科
ブダイ科
イソギンポ科
ハゼ科
クロユリハゼ科
アイゴ科
ツノダシ科
ニザダイ科
カワハギ科
カワハギ科
ハコフグ科
フグ科
ハリセンボン科
種名
ワカウツボ
ゴンズイ
アオヤガラ
カサゴ
オオスジイシモチ
クロホシイシモチ
キンセンイシモチ
クロサギ
コロダイ
イサキ
ホウライヒメジ
オジサン
ミナミハタンポ
トゲチョウチョウウオ
チョウチョウウオ
ゴマチョウチョウウオ
ミスジチョウチョウウオ
ハナグロチョウチョウウオ
スミツキトノサマダイ
トノサマダイ
ヤリカタギ
フウライチョウチョウウオ
サザナミヤッコ
タカノハダイ
クマノミ
アマミスズメダイ
スズメダイ
ミツボシクロスズメダイ
オヤビッチャ
ハクセンスズメダイ
メガネスズメダイ
ソラスズメダイ
ナガサキスズメダイ
セダカスズメダイ
フチドリスズメダイ
ブチススキベラ
スジベラ
クギベラ
ホンベラ
ムナテンベラ
タレクチベラ
ホンソメワケベラ
アカササノハベラ
アカオビベラ
カミナリベラ
コガシラベラ
ニシキベラ
セナスジベラ
オトメベラ
ヤマブキベラ
ヒブダイ
アオブダイ
ナガブダイ
ブダイ
ミノカエルウオの一種
カモハラギンポ
イナセギンポ
ミナミギンポ
テンクロスジギンポ
クツワハゼ
クロユリハゼ
アミアイゴ
ツノダシ
ミヤコテングハギ
ニザダイ
ニセカンランハギ
ナガニザ
サザナミハギ
アミメウマヅラハギ
カワハギ
ウミスズメ
ハコフグ
キタマクラ
ハリセンボン
区間出現種数
区間ポイント
種多様度指数(H’)
区 間 ポ イ ン ト
0-20m
20-40m
40-60m
60-80m
4
1
2
1
2
2
2
2
4
80-100m
1
4
1
2
3
3
2
1
1
1
2
3
1
1
1
2
2
1
3
1
2
1
2
3
3
1
3
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
2
2
2
1
2
3
1
1
2
1
3
1
2
1
4
1
2
2
1
2
2
4
2
2
2
4
3
3
2
1
4
3
2
4
3
1
1
2
2
2
2
3
3
1
1
2
1
2
3
1
3
2
2
1
3
3
3
3
1
2
1
2
1
3
1
3
3
4
2
1
2
3
4
2
2
2
1
1
1
3
2
2
1
3
1
2
1
1
1
2
1
2
1
2
3
2
1
1
1
1
2
3
3
1
3
3
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2
40
73
5.165
34
66
4.892
1
1
1
2
3
2
1
1
1
1
1
36
66
5.006
- 116 -
1
1
34
61
4.955
37
69
5.035
ポイント
合計
1
8
1
3
7
11
3
2
3
2
4
2
3
7
14
1
1
1
3
1
2
3
1
6
6
1
6
2
2
1
2
20
12
9
6
3
3
4
10
1
1
4
7
1
15
4
17
6
8
4
4
1
2
10
2
2
1
1
7
9
11
1
10
1
7
2
4
1
1
2
1
5
4
1
74
335
5.011
SDR
12.5
40.0
12.5
27.5
57.5
67.5
17.5
15.0
37.5
25.0
40.0
15.0
17.5
67.5
85.0
12.5
12.5
12.5
27.5
12.5
25.0
37.5
12.5
55.0
45.0
12.5
35.0
25.0
15.0
12.5
15.0
100.0
80.0
62.5
45.0
37.5
27.5
30.0
65.0
12.5
12.5
40.0
47.5
12.5
87.5
30.0
92.5
45.0
70.0
40.0
40.0
12.5
15.0
65.0
25.0
25.0
12.5
12.5
67.5
62.5
67.5
12.5
75.0
12.5
57.5
25.0
50.0
12.5
12.5
25.0
12.5
52.5
40.0
12.5
表21-2.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ②四双島(白浜町)
№
1
2
3
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11
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16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
科名
ウツボ科
ニシン科
ダツ科
ヘラヤガラ科
ヤガラ科
フサカサゴ科
ハタ科
テンジクダイ科
イサキ科
フエフキダイ科
ヒメジ科
チョウチョウウオ科
ゴンベ科
ゴンベ科
タカノハダイ科
スズメダイ科
ベラ科
ブダイ科
種名
ウツボ
キビナゴ
オキザヨリ
ヘラヤガラ
アオヤガラ
カサゴ
バラナガハナダイ
オオスジイシモチ
クロホシイシモチ
キンセンイシモチ
コロダイ
ムスジコショウダイ
イトフエフキ
ホウライヒメジ
オジサン
トゲチョウチョウウオ
チョウチョウウオ
ミゾレチョウチョウウオ
アケボノチョウチョウウオ
ハナグロチョウチョウウオ
スミツキトノサマダイ
トノサマダイ
ヤリカタギ
イッテンチョウチョウウオ
フウライチョウチョウウオ
ヒメゴンベ
ホシゴンベ
ミギマキ
クマノミ
シコクスズメダイ
スズメダイ
ミツボシクロスズメダイ
オヤビッチャ
ミヤコキセンスズメダイ
イワサキスズメダイ
ハクセンスズメダイ
メガネスズメダイ
ソラスズメダイ
セダカスズメダイ
フチドリスズメダイ
ブチススキベラ
ムシベラ
クギベラ
ホンベラ
ムナテンベラ
イナズマベラ
ホンソメワケベラ
ノドグロベラ
アカササノハベラ
アカオビベラ
カミナリベラ
コガシラベラ
ニシキベラ
セナスジベラ
ヤンセンニシキベラ
オトメベラ
ヤマブキベラ
ハコベラ
イトヒキベラ
イチモンジブダイ
アオブダイ
ブダイ
区 間 ポ イ ン ト
0-20m
20-40m
40-60m
1
4
60-80m
3
1
2
2
1
1
3
2
2
2
4
1
1
2
2
2
1
3
3
1
1
1
ハゼ科
アイゴ科
ツノダシ科
ニザダイ科
モンガラカワハギ科
カワハギ科
ハコフグ科
マダラトラギス
ミノカエルウオの一種
ニセクロスジギンポ
カモハラギンポ
テンクロスジギンポ
クツワハゼ
アカハチハゼ
アイゴ
ツノダシ
ミヤコテングハギ
テングハギ
ニザダイ
ニジハギ
ナガニザ
サザナミハギ
ツマジロモンガラ
アミメウマヅラハギ
ハコフグ
区間出現種数
区間ポイント
種多様度指数(H’)
3
1
2
2
2
3
2
1
1
2
1
2
1
2
1
2
1
2
3
1
1
1
1
1
2
1
2
2
1
3
1
1
1
1
1.000
1
4
3
1
4
3
2
1
2
2
2
4
3
2
1
2
1
1
4
2
1
1
2
2
1
3
4
4
1
2
2
1
2
3
4
2
3
2
1
2
1
2
1
2
2
2
1
2
2
2
2
1
2
2
1
2
2
1
2
1
4
1
1
1
2
1
3
2
2
2
2
1
2
4
2
3
2
1
1
1
2
1
1
トラギス科
イソギンポ科
80-100m
1
1
2
2
2
1
1
1
1
2
1
2
1
1
38
68
5.061
- 117 -
2
2
2
2
1
2
1
2
1
44
80
5.344
2
2
3
1
35
65
4.980
22
39
4.292
30
54
4.750
ポイント
合計
2
4
3
1
4
1
1
5
2
9
1
1
3
6
8
2
13
1
1
2
2
1
5
1
1
1
1
1
10
4
1
1
1
1
1
1
1
20
11
4
3
1
4
8
2
4
4
2
10
2
13
8
16
2
5
3
8
1
1
1
4
8
1
1
1
4
1
6
8
1
1
3
3
3
11
2
5
1
3
1
1
81
306
4.885
SDR
25.0
20.0
17.5
12.5
30.0
12.5
12.5
32.5
15.0
52.5
12.5
12.5
27.5
55.0
60.0
25.0
82.5
12.5
12.5
25.0
15.0
12.5
32.5
12.5
12.5
12.5
12.5
12.5
75.0
40.0
12.5
12.5
12.5
12.5
12.5
12.5
12.5
100.0
67.5
30.0
37.5
12.5
30.0
70.0
25.0
30.0
40.0
25.0
75.0
25.0
72.5
50.0
90.0
15.0
42.5
27.5
60.0
12.5
12.5
12.5
40.0
60.0
12.5
12.5
12.5
30.0
12.5
55.0
60.0
12.5
12.5
27.5
27.5
27.5
77.5
25.0
42.5
12.5
27.5
12.5
12.5
表21-3.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ③天神崎(田辺市)
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
科名
ゴンズイ科
ボラ科
ヤガラ科
フサカサゴ科
テンジクダイ科
クロサギ科
イサキ科
ヒメジ科
チョウチョウウオ科
メジナ科
スズメダイ科
ベラ科
ブダイ科
イソギンポ科
ハゼ科
クロユリハゼ科
ニザダイ科
カワハギ科
フグ科
フグ科
種名
ゴンズイ
ボラ
アオヤガラ
カサゴ
サツマカサゴ
オオスジイシモチ
クロホシイシモチ
クロサギ
コロダイ
オオスジヒメジ
タカサゴヒメジ
オジサン
ヨメヒメジ
トゲチョウチョウウオ
チョウチョウウオ
トノサマダイ
メジナ
クマノミ
ミツボシクロスズメダイ
ソラスズメダイ
ナガサキスズメダイ
キュウセン
アカササノハベラ
ホシササノハベラ
カミナリベラ
ニシキベラ
セナスジベラ
ブダイ
ニジギンポ
ダテハゼ
ミドリハゼ
クツワハゼ
オニハゼ
クロユリハゼ
ハナハゼ
イトマンクロユリハゼ
サザナミトサカハギ
ニザダイ
ヒレナガハギ
カワハギ
コモンフグ
キタマクラ
区間出現種数
区間ポイント
種多様度指数(H’)
区 間 ポ イ ン ト
0-20m
20-40m
3
1
40-60m
60-80m
1
1
1
1
1
3
3
2
4
1
1
80-100m
1
1
1
1
2
2
2
1
1
1
1
2
2
2
1
2
2
2
1
2
2
2
1
1
3
3
3
3
2
3
2
1
1
11
19
3.326
1
15
31
3.776
- 118 -
4
2
2
1
3
3
1
2
2
2
2
3
3
3
2
1
2
1
28
55
4.658
1
3
2
3
2
3
2
8
16
2.858
10
15
3.240
ポイント
合計
3
1
2
3
1
5
7
1
3
1
4
1
5
2
2
1
2
2
2
5
8
2
2
3
4
3
1
2
2
13
2
12
2
3
13
2
1
2
1
3
1
1
42
136
3.572
SDR
21.5
13.8
27.7
41.5
13.8
39.2
46.9
13.8
41.5
13.8
35.4
13.8
59.2
17.7
17.7
13.8
17.7
17.7
17.7
39.2
70.8
17.7
17.7
41.5
35.4
21.5
13.8
17.7
17.7
100.0
17.7
86.2
17.7
21.5
100.0
17.7
13.8
17.7
13.8
31.5
13.8
13.8
表21-4.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ④沖島(田辺市)
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
科名
ゴンズイ科
エソ科
ヤガラ科
フサカサゴ科
ハタ科
テンジクダイ科
フエダイ科
イサキ科
フエフキダイ科
イトヨリダイ科
ヒメジ科
ハタンポ科
チョウチョウウオ科
メジナ科
ゴンベ科
タカノハダイ科
スズメダイ科
ベラ科
種名
ゴンズイ
アカエソ
アオヤガラ
カサゴ
アカハタ
オオスジイシモチ
クロホシイシモチ
キンセンイシモチ
ヒメフエダイ
コロダイ
イサキ
イトフエフキ
フタスジタマガシラ
ホウライヒメジ
オジサン
リュウキュウヒメジ
ミナミハタンポ
チョウチョウウオ
ミゾレチョウチョウウオ
ミスジチョウチョウウオ
アケボノチョウチョウウオ
ハナグロチョウチョウウオ
スミツキトノサマダイ
トノサマダイ
ヤリカタギ
フウライチョウチョウウオ
メジナ
ウイゴンベ
タカノハダイ
クマノミ
アマミスズメダイ
シコクスズメダイ
スズメダイ
タカサゴスズメダイ
ミツボシクロスズメダイ
イシガキスズメダイ
ソラスズメダイ
アサドスズメダイ
ナガサキスズメダイ
セダカスズメダイ
フチドリスズメダイ
ブチススキベラ
スジベラ
ツユベラ
クギベラ
ホンベラ
キスジキュウセン
トカラベラ
アカニジベラ
ムナテンベラ
シマタレクチベラ
ホンソメワケベラ
ノドグロベラ
アカササノハベラ
区 間 ポ イ ン ト
0-20m
20-40m
3
40-60m
60-80m
80-100m
2
1
2
1
1
1
1
2
4
2
4
1
4
3
2
2
2
2
1
1
2
1
1
1
2
2
3
4
3
1
2
4
2
1
3
2
2
2
1
2
3
2
4
2
2
1
2
2
2
2
2
3
3
2
2
1
2
2
3
3
1
1
2
1
1
4
2
3
3
2
3
1
2
1
2
2
2
2
4
2
2
4
1
2
2
1
4
3
2
4
3
2
1
3
3
2
1
1
2
3
- 119 -
1
2
1
1
1
2
2
2
1
2
ポイント
合計
3
2
1
4
2
2
16
8
1
3
2
1
1
1
9
1
14
12
1
5
4
2
2
9
10
1
1
4
1
13
1
2
3
4
2
2
20
1
12
9
3
2
2
1
6
2
1
1
1
2
1
7
1
8
SDR
17.5
15.0
12.5
40.0
25.0
15.0
90.0
60.0
12.5
27.5
15.0
12.5
12.5
12.5
72.5
12.5
75.0
80.0
12.5
32.5
30.0
15.0
15.0
62.5
65.0
12.5
12.5
30.0
12.5
82.5
12.5
25.0
27.5
30.0
15.0
25.0
100.0
12.5
80.0
62.5
17.5
15.0
15.0
12.5
35.0
15.0
12.5
12.5
12.5
15.0
12.5
57.5
12.5
60.0
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
ブダイ科
トラギス科
イソギンポ科
ウバウオ科
ハゼ科
クロユリハゼ科
アイゴ科
ツノダシ科
ニザダイ科
カマス科
モンガラカワハギ科
カワハギ科
ハコフグ科
フグ科
ホシササノハベラ
アカオビベラ
カミナリベラ
コガシラベラ
ニシキベラ
セナスジベラ
ヤンセンニシキベラ
オトメベラ
ヤマブキベラ
クロヘリイトヒキベラ
イトヒキベラ
タコベラ
イチモンジブダイ
ナガブダイ
ブダイ
コウライトラギス
ミノカエルウオの一種
クロスジギンポ
カモハラギンポ
ミナミギンポ
テンクロスジギンポ
ハシナガウバウオ
クツワハゼ
タレクチウミタケハゼ
アカハチハゼ
クロユリハゼ
アイゴ
ツノダシ
ニザダイ
ゴマハギ
ニセカンランハギ
ナガニザ
コクテンサザナミハギ
サザナミハギ
アカカマス
クロモンガラ
ツマジロモンガラ
アオサハギ
シマウミスズメ
ハコフグ
キタマクラ
2
1
3
4
4
1
2
3
3
2
3
1
1
2
2
2
2
3
2
3
3
2
2
2
2
2
3
1
1
4
2
2
1
2
2
3
1
1
2
2
1
2
1
1
1
2
1
2
2
2
2
1
1
1
2
2
4
2
1
1
2
3
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
1
1
2
1
13
8
12
2
2
10
9
1
8
3
1
1
7
5
1
2
6
1
7
1
1
4
2
4
2
4
5
1
2
2
1
3
1
1
3
2
1
1
1
区間出現種数
42
41
37
35
37
95
区間ポイント
84
79
70
71
70
374
5.240
5.174
5.058
4.998
5.097
5.113
種多様度指数(H’)
- 120 -
15.0
12.5
82.5
50.0
70.0
25.0
15.0
75.0
62.5
12.5
50.0
27.5
12.5
12.5
57.5
32.5
12.5
15.0
55.0
12.5
57.5
12.5
12.5
30.0
15.0
20.0
15.0
40.0
42.5
12.5
25.0
25.0
12.5
27.5
12.5
12.5
37.5
15.0
12.5
12.5
12.5
表21-5.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ⑤ショウガセ(みなべ町)
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
科名
エソ科
フサカサゴ科
ハタ科
ヒメジ科
チョウチョウウオ科
イシダイ科
ゴンベ科
スズメダイ科
ベラ科
ブダイ科
イソギンポ科
イソギンポ科
ハゼ科
ツノダシ科
ニザダイ科
モンガラカワハギ科
カワハギ科
ハコフグ科
種名
ヒトスジエソ
オニカサゴ
キンギョハナダイ
サクラダイ
オオモンハタ
アカハタ
オジサン
チョウチョウウオ
シラコダイ
レンテンヤッコ
キンチャクダイ
イシダイ
オキゴンベ
ヒメゴンベ
クマノミ
コガネスズメダイ
キホシスズメダイ
マツバスズメダイ
シコクスズメダイ
ミツボシクロスズメダイ
ソラスズメダイ
ナガサキスズメダイ
イラ
クロフチススキベラ
ホンベラ
コガネキュウセン
ツキベラ
ホンソメワケベラ
アカササノハベラ
カミナリベラ
コガシラベラ
ニシキベラ
オトメベラ
ヤマブキベラ
イトヒキベラ
ヒメニセモチノウオ
ブダイ
ベニツケタテガミカエルウオ
ニラミギンポ
カモハラギンポ
ミナミギンポ
テンクロスジギンポ
ホシノハゼ
ツノダシ
ニザダイ
モンツキハギ
ツマジロモンガラ
ハクセイハギ
ウミスズメ
シマウミスズメ
区間出現種数
区間ポイント
種多様度指数(H’)
区 間 ポ イ ン ト
30-40m
20-30m
1
1
4
4
3
1
2
20m以浅
4
1
2
3
2
2
2
1
4
2
3
4
4
1
2
4
3
4
4
4
4
4
4
1
2
4
1
1
2
1
2
3
2
3
2
2
3
4
2
2
3
1
1
1
1
2
1
2
1
2
2
1
1
1
1
1
1
10
25
3.094
- 121 -
20
40
4.115
1
35
80
4.959
ポイント
合計
1
1
12
3
1
1
2
3
4
2
2
1
1
2
6
10
4
8
4
4
4
8
1
2
4
1
1
4
3
5
7
2
2
2
6
1
2
1
2
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
50
145
4.056
SDR
20.8
20.8
100.0
29.2
20.8
20.8
25.0
29.2
50.0
25.0
25.0
20.8
20.8
25.0
58.3
91.7
33.3
66.7
33.3
33.3
33.3
66.7
20.8
25.0
33.3
20.8
20.8
50.0
45.8
54.2
62.5
25.0
25.0
25.0
58.3
20.8
25.0
20.8
25.0
41.7
41.7
25.0
25.0
20.8
20.8
20.8
20.8
20.8
20.8
20.8
表21-6.各地点の魚類の出現量と積算優占度(SDR) ⑥目津崎(みなべ町)
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
科名
フサカサゴ科
ハタ科
テンジクダイ科
クロサギ科
イサキ科
タイ科
ヒメジ科
ハタンポ科
チョウチョウウオ科
メジナ科
カゴカキダイ科
イシダイ科
タカノハダイ科
スズメダイ科
ベラ科
ブダイ科
ヘビギンポ科
ハゼ科
クロユリハゼ科
アイゴ科
ツノダシ科
ニザダイ科
モンガラカワハギ科
ハコフグ科
フグ科
種名
カサゴ
クエ
アカハタ
スジアラ
オオスジイシモチ
クロホシイシモチ
キンセンイシモチ
クロサギ
コロダイ
イサキ
ヘダイ
オオスジヒメジ
ホウライヒメジ
オジサン
オキナヒメジ
ヨメヒメジ
ツマグロハタンポ
ミナミハタンポ
チョウチョウウオ
ヤリカタギ
フウライチョウチョウウオ
ムレハタタテダイ
クロメジナ
メジナ
カゴカキダイ
イシガキダイ
タカノハダイ
クマノミ
シコクスズメダイ
スズメダイ
オヤビッチャ
ミヤコキセンスズメダイ
イワサキスズメダイ
ハクセンスズメダイ
メガネスズメダイ
ソラスズメダイ
ナガサキスズメダイ
セダカスズメダイ
フチドリスズメダイ
ブチススキベラ
スジベラ
ホンベラ
ムナテンベラ
キュウセン
ホンソメワケベラ
アカササノハベラ
ホシササノハベラ
オハグロベラ
アカオビベラ
カミナリベラ
オニベラ
イトベラ
コガシラベラ
ニシキベラ
ヤンセンニシキベラ
オトメベラ
ヤマブキベラ
イチモンジブダイ
アオブダイ
ブダイ
ヨゴレヘビギンポ
ミノカエルウオの一種
テンクロスジギンポ
クツワハゼ
ハナハゼ
アイゴ
アミアイゴ
ツノダシ
ヒメテングハギ
テングハギ
ニザダイ
ニセカンランハギ
ニジハギ
ナガニザ
モンツキハギ
シマハギ
サザナミハギ
タスキモンガラ
クラカケモンガラ
ツマジロモンガラ
シマウミスズメ
ハコフグ
キタマクラ
区間出現種数
区間ポイント
種多様度指数(H’)
区 間 ポ イ ン ト
0-20m
20-40m
2
2
40-60m
60-80m
1
80-100m
1
1
2
3
3
2
1
1
3
4
1
1
2
1
1
1
1
1
2
1
1
1
3
1
1
1
1
2
2
2
1
4
1
1
1
2
1
1
2
2
2
2
1
2
1
1
1
1
2
1
1
2
4
2
1
2
2
2
1
2
2
4
3
2
1
3
2
2
2
3
1
1
4
4
4
1
2
1
3
3
2
1
4
1
2
3
3
2
1
2
2
1
2
1
3
3
2
2
1
2
1
2
1
4
3
3
1
2
3
1
2
1
2
1
1
1
1
1
2
3
2
1
1
1
3
3
1
1
4
1
1
1
1
1
1
2
2
1
1
2
4
2
1
2
1
3
2
2
27
50
4.648
22
41
4.290
1
1
1
1
2
1
1
1
2
44
76
5.271
41
72
5.173
- 122 -
2
27
48
4.554
ポイント
合計
3
2
1
1
2
3
3
2
2
7
1
1
6
3
2
1
1
6
8
2
2
1
1
6
2
1
5
4
1
4
4
1
1
3
2
18
10
8
1
2
2
5
1
2
6
10
1
1
3
17
1
1
9
12
4
5
2
1
1
6
1
2
3
1
3
3
1
4
1
2
15
6
2
4
2
1
1
1
1
3
1
3
2
83
287
4.787
SDR
28.3
15.6
12.8
12.8
15.6
18.3
18.3
15.6
25.6
39.4
12.8
12.8
56.7
38.3
25.6
12.8
12.8
36.7
62.2
25.6
25.6
12.8
12.8
46.7
15.6
12.8
53.9
41.1
12.8
31.1
31.1
12.8
12.8
28.3
15.6
100.0
67.8
62.2
12.8
15.6
15.6
43.9
12.8
15.6
56.7
77.8
12.8
12.8
28.3
97.2
12.8
12.8
55.0
73.3
41.1
43.9
25.6
12.8
12.8
46.7
12.8
25.6
28.3
12.8
18.3
18.3
12.8
41.1
12.8
15.6
91.7
56.7
25.6
41.1
25.6
12.8
12.8
12.8
12.8
28.3
12.8
28.3
15.6
表22.各地点の出現量の比較
種名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
ウツボ Gymnothorax kidako
ワカウツボ Gymnothorax meleagris
キビナゴ Spratelloides gracilis
ゴンズイ Plotosus japonicus
アカエソ Synodus ulae
ヒトスジエソ Synodus variegatus
ボラ Mugil cephalus cephalus
ムギイワシ Atherion elymus
オキザヨリ Tylosurus crocodilus crocodilus
テリエビス Sargocentron ittodai
ヘラヤガラ Aulostomus chinensis
アオヤガラ Fistularia commersonii
カサゴ Sebastiscus marmoratus
オニカサゴ Scorpaenopsis cirrosa
サツマカサゴ Scorpaenopsis neglecta
ハナミノカサゴ Pterois volitans
バラナガハナダイ Pseudanthias caudalis
キンギョハナダイ Pseudanthias squamipinnis
サクラダイ Sacura margaritacea
オオモンハタ Epinephelus areolatus
クエ Epinephelus bruneus
アカハタ Epinephelus fasciatus
スジアラ Plectropomus leopardus
メギス Ogilbyina cyclophthalma
ホウセキキントキ Priacanthus hamrur
オオスジイシモチ Apogon doederleini
クロホシイシモチ Apogon notatus
キンセンイシモチ Apogon properuptus
ヤライイシモチ Cheilodipterus quinquelineatus
ヒメフエダイ Lutjanus gibbus
クロサギ Gerres equulus
コロダイ Diagramma pictum pictum
イサキ Parapristipoma trilineatum
ムスジコショウダイ Plectorhinchus orientalis
ヘダイ Sparus sarba
マダイ Pagrus major
イトフエフキ Lethrinus nematacanthus
フタスジタマガシラ Scolopsis bilineata
モンツキアカヒメジ Mulloidichthys flavolineatus
オオスジヒメジ Parupeneus barberinus
ホウライヒメジ Parupeneus ciliatus
タカサゴヒメジ Parupeneus heptacanthus
オジサン Parupeneus multifasciatus
リュウキュウヒメジ Parupeneus pleurostigma
オキナヒメジ Parupeneus spilurus
ヨメヒメジ Upeneus tragula
ツマグロハタンポ Pempheris japonica
ミナミハタンポ Pempheris schwenkii
トゲチョウチョウウオ Chaetodon auriga
チョウチョウウオ Chaetodon auripes
ミカドチョウチョウウオ Chaetodon baronessa
ゴマチョウチョウウオ Chaetodon citrinellus
ミゾレチョウチョウウオ Chaetodon kleini
ニセフウライチョウチョウウオ Chaetodon lineolatus
ミスジチョウチョウウオ Chaetodon lunulatus
アケボノチョウチョウウオ Chaetodon melannotus
シラコダイ Chaetodon nippon
ハナグロチョウチョウウオ Chaetodon ornatissimus
スミツキトノサマダイ Chaetodon plebeius
トノサマダイ Chaetodon speculum
①
②
③
④
⑤
権現 四双 天神
ショウ
沖島
崎
島
崎
ガセ
2
1
4
8
3
3
2
1
1
2009年環境省調査
⑥
目津
錆浦 名近 双島 安指
崎
12
4
20
3
8
1
2
1
1
12
8
3
1
3
1
4
1
3
2
2
3
1
4
3
1
1
1
12
3
1
2
1
2
1
1
1
1
7
11
3
5
2
9
5
7
2
16
8
2
3
3
2
7
5
2
2
1
2
3
2
1
1
3
2
2
7
3
2
3
1
1
3
1
1
2
1
4
2
6
8
1
4
1
9
1
2
14
2
13
2
2
12
7
2
2
3
1
5
2
2
1
1
6
5
3
7
14
1
6
3
8
1
4
11
1
7
1
14
1
2
1
8
1
1
1
1
5
4
1
2
3
1
1
1
4
1
3
1
- 123 -
2
2
1
1
2
2
9
4
1
1
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
68
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
100
101
ヤリカタギ Chaetodon trifascialis
2
イッテンチョウチョウウオ Chaetodon unimaculatus
フウライチョウチョウウオ Chaetodon vagabundus
3
ムレハタタテダイ Heniochus diphereutes
レンテンヤッコ Centropyge interrupta
ナメラヤッコ Centropyge vrolikii
キンチャクダイ Chaetodontoplus septentrionalis
サザナミヤッコ Pomacanthus semicirculatus
1
クロメジナ Girella leonina
メジナ Girella punctata
カゴカキダイ Microcanthus strigatus
イシダイ Oplegnathus fasciatus
イシガキダイ Oplegnathus punctatus
オキゴンベ Cirrhitichthys aureus
ヒメゴンベ Cirrhitichthys oxycephalus
ウイゴンベ Cyprinocirrhites polyactis
ホシゴンベ Paracirrhites forsteri
ミギマキ Goniistius zebra
タカノハダイ Goniistius zonatus
6
クマノミ Amphiprion clarkii
6
コガネスズメダイ Chromis analis
アマミスズメダイ Chromis chrysura
1
キホシスズメダイ Chromis flavomaculata
マツバスズメダイ Chromis fumea
シコクスズメダイ Chromis margaritifer
スズメダイ Chromis notata notata
6
タカサゴスズメダイ Chromis weberi
ミスジリュウキュウスズメダイ Dascyllus aruanus
ミツボシクロスズメダイ Dascyllus trimaculatus
2
ロクセンスズメダイ Abudefduf sexfasciatus
オヤビッチャ Abudefduf vaigiensis
2
ミヤコキセンスズメダイ Chrysiptera brownriggii
イチモンスズメダイ Chrysiptera unimaculata
イシガキスズメダイ Plectroglyphidodon dickii
イワサキスズメダイ Plectroglyphidodon imparipennis
ルリホシスズメダイ Plectroglyphidodon lacrymatus
ハクセンスズメダイ Plectroglyphidodon leucozonu 1
メガネスズメダイ Pomacentrus bankanensis
2
ソラスズメダイ Pomacentrus coelestis
20
アサドスズメダイ Pomacentrus lepidogenys
ナガサキスズメダイ Pomacentrus nagasakiensis
12
セダカスズメダイ Stegastes altus
9
フチドリスズメダイ Stegasutes fasciolatus
6
イラ Choerodon azurio
ブチススキベラ Anampses caeruleopunctatus
3
ムシベラ Anampses geographicus
クロフチススキベラ Anampses melanurus
カマスベラ Cheilio inermis
カンムリベラ Coris aygula
スジベラ Coris dorsomacula
3
ツユベラ Coris gaimard
クギベラ Gomphosus varius
4
ホンベラ Halichoeres bleekeri
10
コガネキュウセン Halichoeres chrysus
キスジキュウセン Halichoeres hartzfeldii
トカラベラ Halichoeres hortulanus
アカニジベラ Halichoeres margaritaceus
カノコベラ Halichoeres marginatus
ムナテンベラ Halichoeres melanochir
1
- 124 -
5
1
1
10
2
1
2
1
4
2
1
2
2
1
6
2
1
2
1
5
2
2
5
4
1
9
1
1
1
2
1
4
1
1
10
2
1
13
6
10
5
4
3
7
1
4
1
2
3
1
4
1
1
2
3
4
2
2
4
8
4
4
1
1
4
1
3
1
3
1
1
3
3
2
8
3
1
2
1
3
1
1
1
1
20
3
2
18
1
20
20
10
8
1
12
5
1
1
2
20
3
10
10
2
2
4
4
4
5
8
11
4
20
1
12
9
3
4
8
20
13
2
1
3
1
2
2
2
1
4
8
2
1
6
2
4
1
5
1
1
1
2
2
6
1
12
12
2
1
1
5
6
2
2
3
1
4
1
1
2
1
2
1
102 イナズマベラ Halichoeres nebulosus
103 ツキベラ Halichoeres ornatissimus
104 キュウセン Halichoeres poecilopterus
ミツボシキュウセン Halichoeres trimaculatus
105 シマタレクチベラ Hemigymnus fasciatus
106 タレクチベラ Hemigymnus melapterus
ナメラベラ Hologymnosus annulatus
107 ホンソメワケベラ Labroides dimidiatus
108 ノドグロベラ Macropharygodon meleagris
109 アカササノハベラ Pseudolabrus eoethinus
110 ホシササノハベラ Pseudolabrus sieboldi
111 オハグロベラ Pteragogus aurigarius
112 アカオビベラ Stethojulis bandanensis
113 カミナリベラ Stethojulis interrupta terina
114 オニベラ Stethojulis trilineata
115 イトベラ Suezichthys gracilis
116 コガシラベラ Thalassoma amblycephalum
117 ニシキベラ Thalassoma cupido
118 セナスジベラ Thalassoma hardwickii
119 ヤンセンニシキベラ Thalassoma jansenii
120 オトメベラ Thalassoma lunare
121 ヤマブキベラ Thalassoma lutescens
122 ハコベラ Thalassoma quinquevittatum
123 クロヘリイトヒキベラ Cirrhilabrus cyanopleura
124 イトヒキベラ Cirrhilabrus temminckii
125 タコベラ Oxycheilinus bimaculatus
126 ヒメニセモチノウオ Pseudocheilinus evanidus
ニセモチノウオ Pseudocheilinus hexataenia
ナンヨウブダイ Chlorurus microrhinos
ハゲブダイ Chlorurus sordidus
ハゲブダイ属の一種 Chlorurus sp.
127 イチモンジブダイ Scarus forsteni
アミメブダイ Scarus frenatus
128 ヒブダイ Scarus ghobban
ブチブダイ Scarus niger
129 アオブダイ Scarus ovifrons
ニシキブダイ Scarus prasiognathos
オウムブダイ Scarus psittacus
スジブダイ Scarus rivulatus
130 ナガブダイ Scarus rubroviolaceus
オビブダイ Scarus schlegeli
131 ブダイ Calotomus japonicus
132 コウライトラギス Parapercis snyderi
133 マダラトラギス Parapercis tetracantha
ゴマフヘビギンポ Enneapterygius hemimelas
134 ヨゴレヘビギンポ Helcogramma nesion
135 ベニツケタテガミカエルウオ Cirripectes variolosus
136 ミノカエルウオの一種 Cirripectes sp.
カエルウオ Istiblennius enosimae
137 ニラミギンポ Ecsenius namiyei
138 クロスジギンポ Aspidontus dussumieri
139 ニセクロスジギンポ Aspidontus taeniatus taeniatus
140 カモハラギンポ Meiacanthus kamoharai
141 ニジギンポ Petroscirtes breviceps
142 イナセギンポ Plagiotremus laudandus
143 ミナミギンポ Plagiotremus rhinorhynchos
144 テンクロスジギンポ Plagiotremus tapeinosoma
145 ハシナガウバウオ Diademichthys lineatus
146 ダテハゼ Amblyeleotris japonica
4
4
1
2
2
4
1
1
4
7
4
2
10
1
15
2
13
4
17
6
8
16
2
5
3
8
1
8
4
1
1
2
2
3
7
1
8
2
4
1
13
3
1
8
12
2
2
10
9
1
8
3
1
4
6
3
7
2
10
1
1
3
17
1
1
9
12
2
2
4
5
2
5
4
2
8
9
2
3
4
14
3
2
16
3
6
15
5
3
7
8
3
15
10
6
6
2
1
7
1
3
1
1
13
11
15
5
1
6
8
1
3
11
13
20
13
4
6
7
1
1
4
4
8
2
1
1
2
8
2
4
1
2
10
1
8
1
1
2
7
5
5
1
1
4
1
1
2
1
1
1
2
6
10
6
8
5
4
6
2
1
3
3
1
1
4
2
2
4
1
1
1
1
1
2
1
1
2
2
2
2
2
2
4
1
6
2
4
3
4
2
1
1
7
- 125 -
1
1
7
1
6
13
2
2
3
3
1
5
1
3
1
ホシハゼ Asterropteryx semipunctata
147 ミドリハゼ Eviota toshiyuki
セアカコバンハゼ Gobiodon atrangulatus
コバンハゼ類 Gobiodon spp.
148 クツワハゼ Istigobius campbelli
9
ホシカザリハゼ Istigobius decoratus
149 ホシノハゼ Istigobius hosinonis
150 タレクチウミタケハゼ Pleurosicya labiata
151 オニハゼ Tomiyamichthys oni
152 アカハチハゼ Valenciennea strigata
カタボシオオモンハゼ Gnatholepis scapulostigma
153 クロユリハゼ Ptereleotris evides
11
154 ハナハゼ Ptereleotris hanae
155 イトマンクロユリハゼ Ptereleotris microlepis
156 アイゴ Siganus fuscescens
157 アミアイゴ Siganus spinus
1
158 ツノダシ Zanclus cornutus
10
159 ヒメテングハギ Naso annulatus
160 ミヤコテングハギ Naso lituratus
1
161 テングハギ Naso unicornis
162 サザナミトサカハギ Naso vlamingii
163 ニザダイ Prionurus scalprum
7
164 ゴマハギ Zebrasoma scopas
165 ヒレナガハギ Zebrasoma veliferum
オスジクロハギ Acanthurus blochii
166 ニセカンランハギ Acanthurus dussumieri
2
167 ニジハギ Acanthurus lineatus
168 ナガニザ Acanthurus nigrofuscus
4
169 モンツキハギ Acanthurus olivaceus
170 シマハギ Acanthurus triostegus
171 コクテンサザナミハギ Ctenochaetus binotatus
172 サザナミハギ Ctenochaetus striatus
1
173 アカカマス Sphyraena pinguis
174 クロモンガラ Melichthys vidua
175 タスキモンガラ Rhinecanthus rectangulus
176 クラカケモンガラ Rhinecanthus verrucosus
177 ツマジロモンガラ Sufflamen chrysopterus
178 アオサハギ Brachaluteres ulvarum
179 ハクセイハギ Cantherhines dumerilii
180 アミメウマヅラハギ Cantherhines pardalis
1
ノコギリハギ Paraluteres prionurus
181 カワハギ Stephanolepis cirrhifer
2
182 ウミスズメ Lactoria diaphana
1
183 シマウミスズメ Lactoria fornasini
184 ハコフグ Ostracion immaculatus
5
185 コモンフグ Takifugu poecilonotus
ハナキンチャクフグ Canthigaster coronata
186 キタマクラ Canthigaster rivulata
4
187 ハリセンボン Chilomycterus reticulatus
1
総出現種数
74
総ポイント
335
区間平均種数
36.2
区間平均ポイント
67.0
種多様度指数(H')
5.01
12
1
5
2
2
2
8
12
1
1
1
8
2
1
2
4
2
1
2
3
13
2
4
1
3
1
2
3
4
1
3
3
11
5
1
1
3
2
3
1
4
1
2
1
2
2
4
15
1
1
1
2
1
4
2
1
3
2
9
2
4
1
2
2
5
2
1
1
3
1
1
1
3
3
2
1
6
2
4
2
1
9
1
1
1
1
3
3
3
1
1
3
1
1
1
1
1
1
1
3
1
1
1
1
1
2
2
1
3
1
1
1
81
306
33.8
61.2
4.89
- 126 -
1
1
42
136
14.4
27.2
3.57
95
374
38.4
74.8
5.11
50
145
21.7
48.3
4.06
2
3
83
287
32.2
57.4
4.79
49
224
23.6
44.8
4.39
78
350
1
2
83
282
47
203
35.4
70.0
4.99
31.6
56.4
4.77
19.8
40.6
4.11
表23.各地点の優占種の出現状況と積算優占度(SDR)
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
種名
科名
キンギョハナダイ
ハタ科
オオスジイシモチ
テンジクダイ科
クロホシイシモチ
テンジクダイ科
キンセンイシモチ
テンジクダイ科
ホウライヒメジ
ヒメジ科
オジサン
ヒメジ科
ヨメヒメジ
ヒメジ科
ミナミハタンポ
ハタンポ科
トゲチョウチョウウオ
チョウチョウウオ科
チョウチョウウオ
チョウチョウウオ科
シラコダイ
チョウチョウウオ科
トノサマダイ
チョウチョウウオ科
ヤリカタギ
チョウチョウウオ科
タカノハダイ
タカノハダイ科
クマノミ
スズメダイ科
コガネスズメダイ
スズメダイ科
マツバスズメダイ
スズメダイ科
ソラスズメダイ
スズメダイ科
ナガサキスズメダイ
スズメダイ科
セダカスズメダイ
スズメダイ科
ホンベラ
ベラ科
ホンソメワケベラ
ベラ科
アカササノハベラ
ベラ科
カミナリベラ
ベラ科
コガシラベラ
ベラ科
ニシキベラ
ベラ科
オトメベラ
ベラ科
ヤマブキベラ
ベラ科
イトヒキベラ
ベラ科
ブダイ
ブダイ科
カモハラギンポ
イソギンポ科
テンクロスジギンポ
イソギンポ科
ダテハゼ
ハゼ科
クツワハゼ
ハゼ科
クロユリハゼ
クロユリハゼ科
ハナハゼ
クロユリハゼ科
ツノダシ
ツノダシ科
ニザダイ
ニザダイ科
ニセカンランハギ
ニザダイ科
ナガニザ
ニザダイ科
ハコフグ
ハコフグ科
区間平均出現種数
区間平均ポイント
種多様度指数(H’)
①
権現崎
②
四双島
③
天神崎
57.5
67.5
④
沖島
⑤
ショウガセ
100.0
⑥
目津崎
90.0
60.0
52.5
55.0
60.0
56.7
72.5
59.2
75.0
67.5
85.0
82.5
80.0
62.2
50.0
13.8
62.5
65.0
55.0
53.9
75.0
100.0
80.0
62.5
65.0
87.5
92.5
70.0
82.5
100.0
70.8
67.5
70.0
57.5
60.0
82.5
50.0
70.0
75.0
62.5
50.0
57.5
55.0
57.5
75.0
72.5
50.0
90.0
60.0
65.0
60.0
67.5
55.0
62.5
67.5
60.0
100.0
80.0
62.5
58.3
91.7
66.7
66.7
50.0
54.2
62.5
100.0
67.8
62.2
56.7
77.8
97.2
55.0
73.3
58.3
100.0
86.2
100.0
75.0
57.5
77.5
50.0
52.5
36.2
33.8
14.4
38.4
21.7
32.2
67.0
5.01
61.2
4.89
27.2
3.57
74.8
5.11
48.3
4.06
57.4
4.79
- 127 -
91.7
56.7
表24.魚類の評価
①
②
③
④
⑤
2009年環境省調査
⑥
権現 四双 天神
ショウ 目津
沖島
崎
島
崎
ガセ 崎
錆浦 名近 双島 安指
◎
◎
△
◎
○
◎
○
◎
◎
△
魚類の豊かさ
◎
◎
△
◎
○
◎
○
◎
◎
△
魚類の重要性または貴重性
◎
◎
△
◎
○
◎
◎
◎
◎
○
総合評価(保全の必要性)
◎
◎
△
◎
○
◎
◎
◎
◎
△
熱帯性魚類が豊富。種多様性が高い。
熱帯性魚類が豊富。特にスズメダイ科、チョウチョウウオ科の種数が多い。
熱帯性魚類が豊富。特にスズメダイ科、ニザダイ科の種数が多い。
熱帯性魚類が豊富。特にベラ科、スズメダイ科の種数が多い。
熱帯性魚類が豊富。ベラ・ブダイ類の若い個体が多く、魚類成育場として重要。
熱帯性魚類が豊富。特に種多様性が高い。
備考
熱帯性魚類が豊富。特にベラ科、スズメダイ科の種数が多く、種多様性も非常に高い。
魚類の種多様性の高さ
評価の基準
量の豊かさと種多様性の高さについては、各観察値に下表のような得点を与え、
量の豊かさはポイントで、種多様性の高さは総観察種数と種多様度指数の合計
平均値で評価した。
評価
得点
△ あまり優れていない、もしくはあまり重要でない
○ やや優れている、もしくはやや重要
◎ 特に優れている、もしくは特に重要
1
2
3
- 128 -
区間平均値
ポイント
41.0未満
41.0-50.0
50.0以上
種多様度指数
H'
3.9未満
4.1-4.4
4.5以上
2−2−5.総合評価
これまで、7つの詳細調査地点において、陸上景観、海中景観、生物資質(サンゴ、海
藻類、サンゴを除く大型底生無脊椎動物類、魚類)の項目別に評価を行ってきた。各項目
において、評価ランクに得点(表25参照)を与え、その平均値を表25に示した。平均値が
2.5以上あるのは、②四双島、④沖島の2地点で、これらは総合的に資質の高い地点である
といえる。また、重要な特性を持っている地点としては、③天神崎、⑤ショウガセの2地点
が挙げられる。総合的に資質が高い地点に、重要な特性を持った地点を合わせると4地点
(②四双島、④沖島、③天神崎、⑤ショウガセ)となり、これらは保全の必要性の高い重
要な資質を持った地点であると評価される(表25)。
- 129 -
表25.総合評価
○
◎
◎
◎
△
○
△
◎
◎
◎
◎
サンゴ類以外の無脊椎動物
○
○
△
◎
◎
○
−
○
○
○
○
海藻類
○
○
△
○
△
○
−
◎
○
◎
△
魚類
◎
◎
△
◎
○
◎
◎
◎
◎
△
6項目の平均点
2.2
2.5
1.8
◎
2.7
◎
1.7
◎
2.3
−
−
2.8
◎
2.7
◎
2.8
◎
2.0
○
◎
◎
◎
◎
○
△
◎
◎
◎
○
固有種ニホンミドリイシが最優占し、景観的にも優れている。
種の存続が危惧される固有種エダミドリイシの群生域。長年にわたる群落の維持が確認されている。
海岸には筆島の奇観や、大規模なサンゴ岩堆積地形、マイクロアットールが見られ極めて特徴
的。国内有数のクシハダミドリイシの群生地で、サンゴ類、熱帯性魚類、緑藻類が豊富である。
海岸線と大浦湾の眺めは秀逸。サンゴ景観が優れるが、サンゴ類、熱帯性魚類、緑藻類が豊
富。ベラ・ブダイ科魚類の成育場として重要。少産種であるカラゴロモ(紅藻類)が繁茂する。
陸域の景観は秀逸。対岸には特異な「さらし首層」の奇景。海中は変化に富み、浅所のサン
ゴ群生景観と深所の白砂底との対比は出色。サンゴ類、熱帯性魚類、緑藻類が豊富。
備考(傑出した特性)
総合評価
得点
1
2
3
評価
あまり優れていない、もしくはあまり重要でない
やや優れている、もしくはやや重要
特に優れている、もしくは特に重要
△
○
◎
固有種で当地がタイプ産地となるオオカワリギンチャクの国内最大の群生地。他の大型刺胞動
物も豊かで独特
な景観を創出。
大型で密度の高いテーブル状サンゴが群生し、景観が優良。サンゴイソギンチャクが特に多く群
生する。生物
の種多様性が著しく高い。
サンゴ類
重要な特性
- 130 -
安指
錆浦 名近崎 双島
ショウ
目津崎 高森
ガセ
権現崎 四双島 天神崎 沖島
⑪
⑩
⑨
⑧
⑦
⑥
⑤
④
③
②
①
点
地
査
調
2009年環境省調査
査
調
回
今
陸上景観
○
○
◎
○
−
◎
−
◎
◎
◎
○
海中景観
○
◎
○
◎
◎
○
△
◎
◎
◎
◎
3.総
括
今回の調査結果と、2004年と2009年に環境省が実施した串本海域における調査結果を総
合し、紀伊半島南西岸海域におけるサンゴを中心とした自然資質の全体像を要約して記す。
また、末尾にサンゴの保全について付記する。
①サンゴの分布
紀伊半島南西岸を①みなべ町(千里∼堺)、②田辺市天神崎・沖島、③白浜町瀬戸周辺、
④白浜町鴨居周辺、⑤白浜町富田周辺、⑥白浜町椿周辺、⑦白浜町日置(目戸∼伊古木)、
⑧すさみ港周辺、⑨すさみ町道の駅周辺、⑩すさみ町見老津周辺、⑪串本町和深周辺、⑫
串本町江田周辺、⑬串本町有田∼上浦、⑭串本町潮岬北西、⑮串本町潮岬南西、⑯串本町
潮岬波の浦周辺、⑰串本町潮岬東、⑱串本町大島周辺の18の海域に区分し、それらの海域
毎に平均被度値を算出し、それに基づいてサンゴ被度分布を図13に示した。なお、串本町
田並∼紀伊大島にかけては、環境省調査結果(野村・小寺、2004)を引用した。
平均被度が10%以上ある高被度海域は、田辺市天神崎・沖島、串本町和深∼潮岬北西、
潮岬波の浦周辺に分布し、多くは串本町内に位置する。また、被度50%を越える超高密度
なサンゴ群生域はこれらの区域の中にパッチ状に散在するが、平均被度が1∼10%未満のや
や低い白浜瀬戸周辺においても、四双島においてそのような群生域が観察される。
三重県紀伊長島から和歌山県みなべにかけての紀伊半島南部海域で記録されたサンゴ類
目録を表26に示した。当該海域からこれまで記録されたサンゴ類は124種に整理され、種多
様性の高いサンゴ群集の分布の中心は串本町西岸域にあり、ここからは112種が記録され、
今回の詳細調査海域(白浜∼みなべ海域:59種)の2倍に近い。なお、今回の詳細調査海域
とは、紀伊大島を主とする串本東海域の種数(61)と類似する。
②保全上重要な自然資質が分布する地点
今回の調査結果ならびに環境省が串本町海域で実施した調査(野村他、2005;野村,
2010)の結果を基に、紀伊半島南西岸で保全上重要なサンゴ群集が分布する地点を図13に
示した。重要地点は合計で19あり、2地点は田辺市(天神崎、沖島)、2地点は白浜町(四双
島、権現崎)、残りの15地点は串本町(安指、田子、双島、名近、有田湾、錆浦、高富、高
富湾、袋湾口、上浦、潮岬グラスワールド、住崎、通夜島、紀伊大島内浦、紀伊大島ゾウ
バナ)に分布する。
また、サンゴ以外の重要な生物が分布する地点として、串本町苗我島(ウミトサカ類・
ヤギ類・ウミカラマツ類の大型刺胞動物が群生)と、みなべ町ショウガセ(稀少種オオカ
ワリギンチャクの最大の群生地)の2地点が挙げられる。
- 131 -
参考文献
野村恵一, 2004. サンゴ類.平成15年度串本海中公園地区資質調査報告書:74-111. 環境
省自然保護局.
野村恵一, 2010. サンゴ類. 平成21年度吉野熊野国立公園海域景観資質(サンゴ)調査報
告書, 17-43. 環境省近畿地方環境事務所.
野村恵一・小寺昌彦, 2004. 概況調査.平成15年度串本海中公園地区資質調査報告書:12
-17. 環境省自然保護局.
野村恵一・小寺昌彦・宇井晋介・森
美枝, 2005. 串本浅海域の自然資質の概要. 平成16
年度管理方針検討調査(串本海中公園地区海中生物等生息状況調査)報告書:41-60.
環境省自然保護局.
- 132 -
表26.紀伊半島南部で記録された地点別のサ ンゴ類
県
和
名
歌
山
西岸
中部
出
現
種
回 調
査
範
地点名
西岸
南部
三重県
東岸
中部
東岸
北部
東岸
北部
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦ 白浜
那智
権 現 四双 天神 沖島 シ ョウ 目津 高森 ∼ 串本 潮岬 串本 勝浦
西
東
南部
町
崎
島
崎
ガセ 崎
二木
島
紀伊
長島
紀伊半島南部における位置
今
県
先端 東岸
部 南部
囲
ムカシサンコ 科 ASTEROCOENIIDAE
アサノエダサンゴ Madracis asanoi
カービーエダサンゴ Madracis kirbyi
ムカシサンゴ Stylocoeniella guentheri
ハナヤサイサンゴ科 POCILLOPORIDAE
ハナヤサイサンゴ Pocillopora damicornis
ショウガサンゴ Stylopora pistillata
ミドリイシ科 ACROPORIDAE
コユビミドリイシ Acropora digitifera
オヤユビミドリイシ Acropora gemmifera
クシハダミドリイシ Acropora hyacinthus
ニホンミドリイシ Acropora japonica
コエダミドリイシ Acropora microphthalma
スギノキミドリイシ Acropora muricata
エダミドリイシ Acropora pruinosa
エンタクミドリイシ Acropora solitaryensis
サモアミドリイシ Acropora samoensis
ホソエダミドリイシ Acropora valida
コシバミドリイシ Acropora willisae
センベイアナサンゴ Asteropora incrustans
デーナイボコモンサンゴ Montipora danae
シモコモンサンゴ Montipora efflorescens
トゲコモンサンゴ Montipora hispida
コモンサンゴの一種 Montipora incrassata
ノリコモンサンゴ Montipora informis
ミレポラコモンサンゴ Montipora millepora
モリスコモンサンゴ Montipora mollis
コイボコモンサンゴ Montipora monasteriata
イタアナコモンサンゴ Montipora peltiformis
カタコモンサンゴ Montipora spongodes
ウネコモンサンゴ Montipora undata
コモンサンゴ Montipora venosa
ヒラニオウミドリイシ Isopora cuneata
ハマサンゴ科 PORITIDAE
ニホンアワサンゴ Alveopora japonica
アワサンゴの一種 Alveopora cf. spongiosa
アワサンゴの一種 Alveopora sp. B
ミドリアワサンゴ Alveopora sp. C
ホソウデアワサンゴ Alveopora sp. D
キクメハナガササンゴ Goniopora djiboutensis
ハナガササンゴ Goniopora lobata
コハナガササンゴ Goniopora stutchburyi
マルアナハナガササンゴ Goniopora tenuidens
オオハナガササンゴ Goniopora sp. (sousima)
フタマタハマサンゴ Porites heronensis
コブハマサンゴ Porites lutea
ベニハマサンゴ Porites licken
ハマサンゴの一種 Porites sp.
ヤスリサンゴ科 SIDERASTREIDAE
ヤスリサンゴ Coscinaraea columna
ノマヤスリサンゴ Coscinaraea crassa
ヤスリサンゴの一種 Coscinaraea sp.
トゲアミメサンゴ Psammocora haimeana
アミメサンゴ Psammocora profundacella
ベルベットサンゴ Psammocora superficialis
ヒラフキサンゴ科
アバタセンベイサンゴ Leptoseris mycetoseroides
センベイサンゴ Leptoseris explanata
リュウモンサンゴ Pachyseris speciosa
サオトメシコロサンゴ Pavona cactus
シコロサンゴ Pavona decussata
ヒラシコロサンゴ Pavona explanulata
ハマシコロサンゴ Pavona duerdeni
シワシコロサンゴ Pavona varians
クサビライシ科 FUNGIIDAE
マンジュウイシの一種 Cycloseris cf . patelliformis
マンジュウイシモドキ Cycloseris vaughani
ワレクサビライシ Diaseris distorta
カワラサンゴ Lithophyllon undulatum
1
1
1
1
1
1
1
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- 133 -
1
1
1
1
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1
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1
紀伊
半島
南部
全体
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1
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1
1
ウミバラ科 PECTINIIDAE
キッカサンゴ Echinophyllia aspera
ヒラキッカサンゴ Echinophyllia echinata
キッカサンゴの一種 Echinophyllia sp.
ウスカミサンゴ Mycedium elephantotus
アナキッカサンゴ Oxypora lacera
ウミバラ Pectinia ayleni
オオトゲサンゴ科 MUSSIDAE
ヒラタオオトゲキクメイシ Acanthastrea hemprichii
オオトゲキクメイシ Acanthastrea hillae
カクオオトゲキクメイシ Acanthastrea lordhowensis
オオトゲキクメイシの一種 Acanthastrea sp.
ヒラサンゴ Australomussa rowleyensis
ヒラサンゴの一種 Australomussa sp.
オオタバサンゴ Balastomussa wellsi
コハナガタサンゴ Cynarina lacrymalis
パラオハナガタサンゴ Lobophyllia hataii
オオハナガタサンゴ Lobophyllia hemprichii
アマクサオオトゲキクメイシ Micromussa amakusensis
ヒロクチダイノウサンゴ Symphyllia agaricia
ダイノウサンゴ Symphyllia radians
ハナガタサンゴ Symphyllia valenciennesii
サザナミサンゴ科 MERULINIDAE
ボンサイイボサンゴ Hydnophora bonsai
イボサンゴ Hydnophora exesa
サザナミサンゴ Merulina ampliata
キクメイシ科 FAVIIDAE
バラバットサンゴ Barabattoia amicorum
タバネサンゴ Caulastrea tumida
コトゲキクメイシ Cyphastrea chalcidicum
ニホントゲキクメイシ Cyphastrea japonica
トゲキクメイシ Cyphastrea microphthalma
フカトゲキクメイシ Cyphastrea serailia
リュウキュウキッカサンゴ Echinopora lamellosa
リザードキクメイシ Favia lizerdensis
アツキクメイシ Favia rotundata
キクメイシ Favia speciosa
アバレキクメイシ Favia veroni
キクメイシの一種 Favia sp. (Takatomi)
カメノコキクメイシ Favites abdita
カメノコキクメイシの一種 Favites complanata
オオカメノコキクメイシ Favites flexuosa
マルカメノコキクメイシ Favites halicora
ゴカクキクメイシ Favites pentagona
カメノコキクメイシの一種 Favites sp.
パリカメノコキクメイシ Goniastrea aspera
ウネカメノコキクメイシ Goniastrea australensis
ミダレカメノコキクメイシ Goniastrea deformis
ヒメウネカメノコキクメイシ Goniastrea favulus
コカメノコキクメイシの一種 Goniastrea sp.
トゲルリサンゴ Leptastrea pruinosa
ルリサンゴ Leptastrea purpurea
マルキクメイシ Montastrea curta
タカクキクメイシ Montastrea valenciennesi
キクメイシモドキ Oulastrea crispata
オオナガレサンゴ Oulophyllia crispa
チヂミノウサンゴ Platygyra contorta
ヒラノウサンゴ Platygyra daedalea
シナノウサンゴ Platygyra sinensis
コマルキクメイシ Plesiastrea versipora
ヒユサンゴ科 TRACHYPHYLLIDAE
ヒユサンゴ Trachyphyllia geoffroyi
ハナサンゴ科 EUPHYLIDAE
ナガレハナサンゴ Euphyllia ancora
オオナガレハナサンゴ Catalaphyllia jardinei
キサンゴ科 DENDROPHYLLIDAE
ツツスリバチサンゴ Turbinaria irregularis
スリバチサンゴ Turbinaria mesenterina
オオスリバチサンゴ Turbinaria peltata
ヨコミゾスリバチサンゴ Turbinaria reniformis
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本表資料には今回の調査結果の他に、本文の引用文献に挙げた論文ならびに個人的な資料も含む。
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重要サンゴ群集分布地点名
①:白浜権現崎
②:白浜四双島
③:田辺天神崎
④:田辺沖島
⑤:串本安指
⑥:串本田子
⑦:串本双島
⑧:串本名近
⑨:串本有田湾
⑩:串本錆浦
⑪:串本高富
⑫:串本高富湾
⑬:串本袋湾口
⑭:串本上浦
⑮:串本潮岬GW
⑯:串本潮岬住崎
⑰:串本通夜島
⑱:串本大島内浦
⑲:串本大島ゾウバナ
A
④
みなべ町
③
②
①
田辺市
白浜町
和歌山県南西部
すさみ町
サンゴ以外の重要分布地点
A:南部ショウガセ
B:串本苗我
サンゴ被度
0~1 %
⑤
1~10%
⑥
⑦
⑧
10~50%
⑨
⑯
重要なサンゴ
群集分布地点
⑮
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭ B
串本町
⑲
⑱
サンゴ以外の重要
生物分布地点
⑰
10 km
図13.紀伊半島南西部海域における概念的にみたサンゴの被度分布
ならびに重要な生物の分布地点
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サンゴの保全について
サンゴは多量の単細胞藻類(褐虫藻)が共生することによって高い栄養生産力を持つ。
また、サンゴ群が造る複雑な空間は多様な環境を創出するとともに、熱帯域ではサンゴの
堆積骨格がサンゴ礁という巨大な地形を形成する。これらの働きにより、熱帯サンゴ礁海
域では、サンゴは浅海生態系の基盤をなす重要な動物群であると位置付けられている。
一方、サンゴ礁の形成が見られない串本においても、古くからサンゴが群生することが
知られ、サンゴ礁生態系と類似したサンゴを土台とする生態系が形成されていると考えら
れている。また、串本町海域ではこのようなサンゴ群集の生態学的価値が国の内外から評
価を受け、吉野熊野国立公園ならびにラムサール条約登録湿地として指定を受ける一方で、
重要な自然財産としてサンゴを保全する責務を担っている。さらに、串本では美しいサン
ゴ群集は景観的価値を創出し、観光資源として重要な価値を持っている。以上を鑑みれば、
串本海域においてサンゴを保全する必要性は高いと言える。
今回の調査によって、これまで串本海域で観察されていた高密度で多様性の高いサンゴ
群集は、高水温現象を背景にこの20年の間に紀伊半島西岸を北上し、みなべ町まで達して
きていることが確認された。そして、サンゴ群集の北上と共に、生態系の基盤も海藻から
サンゴへの移行が始ってきていることが予想される。そのため、新たに形成された高密度
で規模のあるサンゴ群集は、浅海生態系の重要動物群であると位置づけられ、サンゴのバ
イオマスの増加とともに保全の重要性も高まっていくことであろう。特に、今回、保全重
要海域として判定された地点は、サンゴの特性が高い地点が多く、保全に当たっては最優
占に検討されるべきである。
サンゴ保全を考える上で重要な対策は、サンゴが健全に生育できる環境を整えることで
ある。サンゴは清澄な海水を好み、濁水や汚染には敏感に反応する。従って、濁水の流出
防止や、水質に負荷を与えない環境整備が必要となる。また、緊急を要する対策としては、
サンゴ食生物への対応である。今回の調査結果に示されているように、サンゴを食害する
オニヒトデはサンゴとともに北上し、増殖する傾向にある。そして、大量増殖したオニヒ
トデを放置した場合、サンゴ群集の消失は免れない。従って、サンゴを保全する場合、オ
ニヒトデをはじめとするサンゴ食生物の増殖を常に念頭におく必要がある。
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平成22年度
和歌山県サンゴ分布状況調査
報告書
平成22(2010)年12月
和歌山県
〒640-8585 和歌山県和歌山市小松原通1丁目1番地
電話 073-432-4111
受託者 株式会社 串本海中公園センター
〒649-3514 和歌山県東牟婁郡串本町有田1157
電話 0735-62-1122
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