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総括コメント - 農林水産省

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総括コメント - 農林水産省
総括コメント
(末松関東農政局長)花岡市長。東御市では、玉村先生の影響で、新たなワイナリーが次々
と立地し、耕作放棄地がワイン用ぶどうに転換している。千曲川ワインバレー構想の
中核として、ワイン特区を進められているが、行政としての見解を聞かせてほしい。
(花岡東御市長)旧東部町は、巨峰の産地として 50 数年の歴史がある。だが、参入当時 30
代だった農業者が 70 代を目前にするようになる中で、里親制度を導入し、巨峰栽培
を引き継ぐ青年を受け入れ、8棟の研修所を建て、3年間安い家賃で居住させるとい
う制度を導入した。この制度を導入して 20 年経ち、そのときの青年は農業者の 14%
くらいだが、4割の生産を上げている。彼らの中に、玉村氏に共感してワイン用ぶど
うを作ろうという機運が盛り上がってきたというのが実態であり、玉村氏が突然舞い
降りてきたというわけではない。
ワイン用ぶどうを広めることは、荒廃農地がきれいになり、地域にとって価値のあ
る作業である。そこで、行政としても応援していこうということで、荒廃農地を復旧
する場合の国の 5/10 の補助を、ワイン用ぶどう、果樹にする場合には5割上積み
し、10 割補助としている。玉村氏の参入も追い風になり、ワイン特区によって、若い
人の間で、ワインなら東御に行ってみるかという動きが強まったように思う。
(末松関東農政局長)事務次官。ワイン造りは農業そのもの。農林水産省としても6次産業
化などを進めているが、関東地域にとどまらず、農林水産省としての今後の展開につ
いてコメントをお願いする。
(皆川農林水産事務次官)日本ワインが力強く動きはじめていることを実感した。また、国
税局、経済産業局が共催して、一緒に地域全体の起爆剤として、日本ワインを育てて
行くという点でも大きな意義があった。
消費者としてワインに接している立場から言うと、ワイン専門店の棚の構成が変わ
っている。フランス、イタリア、チリ等のワインに並んで、日本産の面積が広がって
いる。ワインを買ってテーブルで飲む飲み屋さんでも、日本ワインを選ぶ人が多い。
農林水産省だけでなく、政権として、2020 年に向け、都会と地方の関係を構築し直
すというのが大きな課題。一つのテーマとして、国外に行っている旅行客を国内にと
どめる、また外国人をインバウンドで迎えるということがある。外国人のほとんどは
電気街に行き、富士山を見て帰っているが、これを日本の各地を訪れ、土地の料理を
味わい、経験するツーリズムに転換しないといけない。そうすれば、都会と地方の関
係性が変わっていく。その意味で、農業としてのワインや6次化産業化としてのワイ
ンもあるが、それにプラスして、ワインを軸としたツーリズムも大きな課題。各省が
手を取って進めていく施策が必ず強化されていく。それらを受け止めるためにも、し
っかりこだわったワインを造ってほしい。
(末松関東農政局長)玉村さん。日本ワインへの参入を考えている方へのメッセージを。
(玉村豊男氏)ワイン用ぶどうを育て、ワインを造ることが日本でもできるとのは知らなか
ったという声を多く聞く。ワイン造りは大変だし、難しいこともある。だが、道楽者
か大金持ちがやることと思われていたことが、ビジネスとして成り立つ環境になりつ
つあることは大きな変化。アカデミーでも、栽培だけでなく、経営、運営も教える。
ワイン造りは夢ある話だが、現実のビジネスとして成り立つと強調することにしてい
る。行政の支援を受けている段階だが、企業の投資も呼び込むことで大きな発展がで
きる。これからの 5 年が、力強くも、もろい。このタイミングで行政の支援や企業の
投資を図ることが大事。
(末松関東農政局長)鹿取さん。日本ワインへの高まりを一時的なブームで終わらせないこ
とが大事。このシンポジウムをどのように次につなげていくか。地域ごとの強みや課
題を教えてほしい。
(鹿取みゆき氏)ワイン造りはぶどう作り。ぶどうがなければワインはできない。日本のワ
イン産業は農業者のぶどうに支えられている。農業者のモチベーションをアップする
のが課題。その意味で、農水省が今回シンポジウムを開催したのは意義あること。
ワイナリーには農家との長期的な関係を結んでほしい。過去に、これまで買ってい
たぶどうをキャンセルしたことがあるのを農家は忘れていない。今、ぶどうの生産を
増やして、5年後には買わないということがないように。ぶどう作りは、1週間収穫
遅らせたために、台風に遭ったということもある。余市町では、面積契約も行われて
いるが、アイデアだろう。ワイナリーには、地域と共に歩む覚悟をしてほしい。
行政に対しては、日本ワインの数字がないことは、何とかしてほしい。自国のワイ
ンの生産量をつかめない国があるのか。農林水産省でもぶどうの面積が分からない。
かつては品種別統計が行われていたが、18 年から調査が実施されなくなった。市町村
レベルで調査が進んでいるが、力を貸してほしい。
農業者と醸造家の育成も大事。研修制度、里親制度、新規就農者住宅など施策の充
実が大事。醸造家の育成は玉村さんが自分で学校を始めたが、公的なレベルでシステ
ムができれば。また、楠さんから話があったように、委託醸造費が高い。ぶどう栽培
している間の委託醸造費が経営の負担になっているという声も聞く。国が醸造所を造
れば助けになる。
とはいえ、日本ワインを取り巻く状況はよい。消費者が目を向けている。消費者の
価値観は多様化しており、高ければいいと言うのではなく、知っている何かにシンパ
シーを感じ、サポートするという世の中に変化している。関東甲信地域は首都圏から
近い。消費者との距離近づいており、追い風は来ている。
また、消費者の皆さんが1週間1回日本ワインを飲み、5人に勧めれば、5倍消費
量が増える。サントリーの渡辺さんは、5倍増えると世の中変わると行っている。消
費者の支援をお願いしたい。
(末松関東農政局長)会場から辰巳琢郎さんの意見を聞きたいとのことだが、感想を。
(辰巳琢郎氏)10 年間、ワインの番組をやっているが、このたび、ソムリエ協会の教科書
のトップに鹿取さんが書いた日本ワインが載った。画期的なことだ。時代が動いてき
た、あるいはようやくスタートラインに立ったと感じている。また、農水省が主催で
各省が加わって、シンポジウムが開催されたということも画期的。景色が変わったの
を目の当たりにした気がする。
ワインファンに好きなぶどうは?と聞くと、たいていピノノワールと答える。だが、
先日、サントリーの登美の丘ワイナリーを訪れ、渡辺所長に聞くと、自信を持って、
「甲州」と答えた。これも変わってきたという証。
日本のワインに対する飲み手としての愛情、覚悟も必要となる。私は、よりおいし
く食べるために、お酒、ワインがあると考えている。食のライト化により、嗜好も変
わりつつある。京料理にはシャンパン合うといわれるが、私は合わないと思う。サン
トリーの登美でさえ柔らかくなっている。アルコール度数に関しても、補糖してまで
高める必要があるのか。できるだけ 100%国産原料で造った国産ワインを目指すべき
ではないか。すぐにはできないが、そういうワインを造ろう、飲んでいこうという思
いによって、流れが上向いていくと考えている。
(末松関東農政局長)醸造用ぶどう、日本ワインの振興に関係省庁一緒に取り組んでいきた
い。
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