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HLC News No. 48 (January 1,2012)

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HLC News No. 48 (January 1,2012)
HLC NEWS
No. 48
Handai Linguistic Circle
成田義光先生 傘寿・齊藤俊雄先生 叙勲 祝賀特集号
January 1, 2012
大阪大学文学部英語学研究室同窓会
英語学研究室のご報告
大庭 幸男
新年あけましておめでとうございます。同窓生の皆様にはお変わりございませんでしょうか。今年の干
支は辰ですので、洪水、台風など水関係に注意しなければならない年になるのではないかと思います。
今回は、成田義光先生の傘寿と齊藤俊雄先生の叙勲をお祝いして特集号を刊行することにいたしました。
両先生にお祝いの言葉を多くの方々からいただき、ありがとうございました。また、この特集号の編集作
業に尽力してくださった岡田禎之先生、助教の吉本真由美さんにもこころより御礼申し上げます。
さて、英語学研究室の現況報告をいたします。まず、英語学研究室のスタッフですが、昨年同様、私、
大庭、岡田禎之教授、吉本真由美助教です。そのほか、加藤正治教授、神山孝夫教授が兼任として英語学
の教育指導にご協力いただいています。
次に、授業の方は、田中裕幸先生(関西学院大学:通年)と大室剛志先生(名古屋大学:集中講義)に
担当していただきました。また、教職関係では、
「英語(英作文・英会話)」を初谷智子先生(姫路獨協大
学)に、
「英語科教育法」をローリーゼネック西出先生(神戸市外国語大学)にご担当いただいています。
学生の異動については、香本直子さんが石川工業高等専門学校に専任講師として就職しました。また、
村田和久君が本年4月より大阪学院大学に専任講師として務めることになっています。現在の在籍者数は
博士前期課程3名、博士後期課程8名、合計11名です。そのうち3名が MIT、コネチカット大学、マギ
ル大学に留学中です。また、今年1月に英語学の卒業論文を提出した4年生は13名となっています。
博士号については、留学中であった香本直子さんがワシントン大学で博士の学位を取得しました。また、
伊藤千鶴さんが課程博士号を、岩崎真哉君が論文博士号を取得しました。修士号、学士号については、そ
れぞれ2名と15名が取得しました。大学院生の学会発表・論文発表は、本冊子に掲載されている通りで
す。なお、OUPEL Vol.15 も12月に無事発送することができました。
以上が英語学研究室の昨年一年間の状況です。なお、毎年配布していますこの HLC News は、残念なが
ら住所不明で返送される件数が増えています。今年も本冊子に連絡不明者リストを添付しております。こ
のリストに掲載されている同窓生の住所をご存知でしたら、どうか英語学研究室([email protected])まで
お知らせくださいますようお願いいたします。
今後もこれまでの伝統を継承しつつ、少しでも向上すべく精進していく所存です。HLC 会員の皆様、
英語学研究室にますますのご支援とご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
- 1 -
八十にして . . . 我が道を行く
成田 義光
吾れ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして
耳順がう。七十にして心の欲する所に従って矩を踰えず。――『論 語』岩波文庫、28 ページ。論語のこ
のよく知られた章句には、八十にして. . . がありませんので、私は「八十にして我が道を行く」ことにし
ました。この八十路は、体力気力を温め醸成しながら自適に歩んで行くつもりです。
年が明けて文楽の新春公演を観に行きました。卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆら
い)を観て、強く印象に残ったことがあります。平太郎の女房お柳(りゅう)は、実は、柳の木の精なので
すが、その木が三十三間堂を建てるために伐られるというのです。お柳は平太郎と五歳になっているみど
り丸を残してこの世を去らねばなりません。「母は今を限りにて、元の柳に帰るぞや、必ず草木成仏と、
回向を頼む夫よ子よ、離れ難なや悲しや」と泣き叫びながらお柳は消えて行きます。この草木成仏という
お柳の願いは、悉皆成仏(しっかいじょうぶつ)という思想からすれば当然かも知れません。しかし私に
は驚きでした。
平家物語を、平幹二朗さんの朗読 CD を聴きながら読んでいて、女人成仏という仏教が抱えていた問題
に遭遇したときと同じ驚きでした。物語のエピローグともいうべき建礼門院の往生の段で、仕えていた女
房たちも竜女が男子になって往生した例にならい、皆往生の素懐を遂げられたという、と結ばれています。
竜女とは、八歳で悟りを開き、釈迦の前で男子に変成(へんじょう)して成仏した竜王の娘だそうです。
女人は男子に変成した上で成仏するという教理は今はどうなっているのでしょうか。
晴耕雨読から得た果実をもう一つお伝えして結びとします。私たちはよく和魂漢才とか和魂洋才という
謳い文句を耳にします。堀田善衞は日本文化の特長を本歌取り文化と呼んでいます。日本人は創造より伝
統を重んじる閉鎖文化集団だというのです(『方丈記私記』ちくま文庫、219 ページ)。一方、井筒俊彦は
二つの全く違った文化の接触対決によって新しい高次の文化構造の弁証法的誕生が可能となると述べて
います(『イスラーム文化』岩波文庫、16 ページ)。実は堀田善衞も鴨長明は本歌取り文化を否定し突き抜
けて新しい境地を拓いた、そしてこの弁証法が長明の「私」を成立させていると言っています。私たちの
学究とか求道とかいうのも同じように弁証法的に向上していくのではないでしょうか。

新しい出発
河上 誓作
私は昨年 3 月神戸女子大学を定年退職いたしましたが、あいにく後任人事が決まらないという事態が生
じたため、もう一年特任教授として残るよう求められました。この度後任の先生も決まりましたので、い
よいよこの 3 月をもって最終的に退職することになった次第です。
神戸女子大学には、阪大退職後 8 年間勤めたことになります。前半の 3 年半は、文学研究科長や学長と
して学内行政の中心部で働き、後半の 4 年半は、研究と教育の現場で忙しい毎日を送ってきました。その
他、地域貢献として須磨離宮公園森の倶楽部の代表を務めたり、学生の課外活動では、ローターアクトク
ラブの顧問も務めました。小さな女子大学だからこそできるいろいろなことを体験できたのは、何よりの
収穫であったと思います。
今、日本の大学はどこも学生獲得のために努力しています。特に中小の大学は一生懸命だと思います。
私の経験から言うと、大学運営にとって大切なことは、先ず理事会が教職員に対しやる気を起こさせるよ
うな環境や体制を整え、次いで、今度は理事会と教職員が一体となって努力し、今在籍している学生たち
に「この大学に来てよかった」と言わせるような大学作りを惜しまないことだと思います。つまり、教職
員と学生が共に満足できるような大学作りの視点を失わないことが、大学の生き残りには大切であると思
- 2 -
います。この 8 年間、私はそのような認識のもとに努力してきたつもりですが、なかなか現実にはうまく
いかないこともありました。
4 月からは、往復 4 時間の通勤時間からも、また長かったお勤め生活からも完全に解放されます。生活
のリズムが変わりますので、体調を崩さないよう注意し、できるだけ身体を動かすよう努めたいと思って
います。神戸女子大学の 8 年間の生活のうち、結果的に一番手を抜いたのが研究生活でした。これからは
その穴埋めもぼつぼつ始め、バランスのとれた毎日を楽しみたいと願っています。

近況報告
岡田 禎之
HLC 会員の皆様、御無沙汰しております。お元気にお過ごしのことと思います。現在大阪大学文学研
究科は,ヨーロッパの 8 大学および、ヨーロッパ域外の 4 大学の合計 12 大学がパートナー校となって運
営している、ユーロカルチャー修士課程に参加して 4 年が過ぎようとしております。この間、このプログ
ラム担当として準備段階からずっと国際交流の仕事を続けてきましたが、いつの間にやら、Academic
Coordinator of Osaka University, Erasmus Mundus Euroculture という職名を戴き、当該プログラムの運営
会議(management meeting)に参加するという経験もさせて戴きました。フランスのストラスブールやドイ
ツのゲッティンゲンでの会議に参加しましたが、これは各大学の coordinator や assistant が 30 名ほど集ま
って、教務や財政(奨学金の配分など)に関わる様々な協議を(非公式の部分も含めて)3 日にわたって行うも
のです。このような経験をしたことがないものにとっては、この会議期間というのは本当に怒濤のような
毎日です。また coordinator は Intensive Program に参加する義務がありますので、今年はゲッティンゲン
で「ヨーロッパの建築史」にまつわるパネルの司会を担当したりもしました(何が討論されているのかほ
とんど分かっておりませんでしたが。。。ちなみに各大学の coordinator 達はお互いに first name で呼び合
うので、私は Yuki と呼ばれています)。他にも、毎年ヨーロッパから来る学生の受け入れ、派遣教員の受
け入れ、大阪から派遣する学生の選抜、大阪から送り出す教員派遣の募集など、国際交流の仕事というの
は実に細々したことがたくさんあります。「英語の教員」である、ということが予想もしなかった仕事に
結びつくことがあるのだな、ということを痛感しています。と同時に、これからの「英語の教員」に求め
られるものが何であるのか、ということを考えさせられる毎日でもあります。まだまだ「英語の教員」に
はほど遠いものではありますが、少しずつでもその名にふさわしいものとなれるように努力していきたい
と思っています。

<キャンパス便り>
田中 秀治
初春のみぎり、皆様方におかれましてはますますご清祥の御事とお喜び申し上げます。今年度もまた研
究室の様子をお伝えする季節となりました。
研究室は今までと変わりなく先生方の院生達に対する指導で満ちています。
大庭幸男先生と岡田禎之先生は、ご自身の研究や大学運営上のお仕事でご多忙であるにも関わらず、院
- 3 -
生達の研究や将来に関わる活動を常にご指導して下さりました。研究指導の一環として、授業では、統語
論、意味論、語用論等、多岐に渡って院生各自の専門分野に関する論文を取り上げて頂き、より深い理解
のため様々な角度から議論すべき事柄を提示して頂いています。談話会でも、院生達の自主的な研究が深
まるよう有益なコメントを下さり、特に、大庭先生からは「言語学研究としてあるべき姿に仕上げるため
の議論の進め方」、岡田先生からは「多角的な視野から一つの現象を見つめる大切さ」を教えて頂いてい
ます。また、将来に関わる活動に関しても、機会を見つけては院生達に叱咤激励を含めご助言を与えて下
さり、院生達が「踏ん張る」ための源になっています。
談話会ではまた、前年度に引き続き、加藤正治先生、神山孝夫先生にもお忙しい中ご指導頂きました。
加藤先生は、きめ細やかな論理から院生達の研究の「穴」をご指摘下さり、更なる議論点に導いて頂いて
います。神山先生は、その幅広く深遠な言語の歴史的観点から院生各自のテーマに新たな発想を与えてく
ださり、「知の強さ」を教えて頂いています。また、研究室の枠を超え、集中講義では、名古屋大学の大
室剛志先生に概念意味論を概説して頂けました。大室先生は「意味の豊かさ」を熱く語ってくださり、刺
激的な学びの場を提供してくださりました。
研究室全体の運営は、今年度もまた、吉本真由美助教に支えて頂きました。院生達が快適に研究室を利
用できるよう整備して頂いているのは勿論、文献調査や研究発表の準備を常にサポートして頂いています。
また、ご専門の観点から後輩の院生達との議論にもお付き合い頂き、ご自身の貴重な時間を割いて頂いて
います。
このような先生方のご指導の下、院生達も自身の道を邁進しています。
今年度は博士前期課程に亀山里津子さん、研究生に西川貴子さんを迎えて始まりました。昨年度に引き
続き、院生達は自身の研究を積極的に進め、その成果を活発に学会にて発表しています。また、専門分野
が違っていても、互いの研究内容に関して議論し切磋琢磨しております。在外研究としては、今西祐介さ
んが MIT、山口麻衣子さんが McGill University、そして嶋村貢志さんが 8 月から University of Connecticut
にそれぞれ留学されて自身の可能性を最大限に引き出そうと奮闘している一方で、後輩達の留学に対する
認識も変えてくれています。
以上、これまでの研究室の様子をお伝えしてきましたが、研究室は、大庭先生のご配慮により PC 等の
ハイテク設備がより充実し、院生達の研究活動を支える場として、昔と変わらず今もここにあります。
今年も、研究室内外での積極的な議論を通し、より良い研究を目指して研鑽して参ります。諸先生方、
諸先輩方の皆様には今後ともどうぞ変わらぬご指導、ご鞭撻をくださいますよう、よろしくお願いいたし
ます。末筆ながら、今年も皆様のご多幸とご清栄を心よりお祈り申し上げます。
- 4 -
成田義光先生 傘寿お祝い寄稿
成田先生
傘寿おめでとうございます
長谷川 存古(昭和 47 年修了)
成田義光先生は、この度、満 80 歳の傘寿をお迎えになりました。心からお慶び申し上げます。
先生が阪大に着任されたのは 1968 年、まだ 36 歳の少壮のお歳でした。たまたま私も同じ年に大学院に
入学を許され、親しく教えを請うことができることになりました。それからはや 40 年を超す年月を経た
ことになります。
先生は研究室では寛大に時間を惜しまず私たち学生を受け入れてくださり、私たちは学問に限らず実に
多くのことを学ぶことができました。
先生は阪大に御着任になる前に、研究はもとより、人生的にも数多くの御経験を既に経ておいででした。
その中で最も重要なことは、沖縄戦を少年期に体験されたことと、早くにアメリカに留学されたことでは
ないかと思います。どちらも詳しくは『成田義光教授還暦祝賀論文集』(1992 年、英宝社)に寄せられた
「初心に還る」に詳しく述べられていますが、いかに少年期とは言え苛烈な沖縄戦の体験は、先生にとっ
て大きなものであったと思われます。また、復興未だ成らぬ沖縄からアメリカに渡られ、当時、主流を為
していた構造言語学の中心であったミシガン大学で学問の最前線に身を置かれたことは、先生の英語学研
究に新しい境地を開いたものと思われます。
先生の阪大御着任後まもなく、また新しい嵐が先生を襲うことになりました。全国の大学で湧き起こっ
た「大学闘争」です。大学封鎖が1年近く続き、文学研究科でも闘争委員会と教授会とが何回も団交で対
峙しましたが、成田先生は常に団交に出席された教官のお一人でした。私も闘争に参加したものの一人と
して、今も総括しきれぬ自分と向き合っている思いです。
先生は、毛利可信先生の定年退官の後を継いで教授に昇任されましたが、1989 年には関西学院に移られ、
そこで定年を迎えられてからは、神戸女子大で定年まで御在職になり、その後、KLS 会長をお勤めになっ
たことは皆の知るところです。
先生の歩まれた道を私なりに辿ってみますと、そこに見えるのは徹底した己への厳しさと、他への寛容
であると思われます。私などはその寛容を十二分に甘受させていただいて今の自分があると改めて痛感す
る次第です。その寛やかなお心で、これからも我々を永くお導きくださることを改めてお願い申し上げる
次第です。
傘寿を寿いで
堀田 知子(昭和 49 年修了)
成田先生
お元気に傘寿をお迎えになられましたこと、心よりお祝い申し上げます。
思い返せば、先生との出会いは大学 3 回生の時です。幸運にも(?)学園紛争と重なった大阪万博の仕事を
終えて、授業が再開された大学に戻り、久々に授業を受けられる喜びと緊張感をもって先生の授業に臨ん
だことを覚えています。それから長い年月が流れましたが、還暦を過ぎても、研究会などで先生のご指導
を受けられるという稀有な幸せに、心から感謝しています。指導と言っても決して正面からのものではな
く、先生はいつも自然に、そしてさりげなく、貴重な助言や示唆を与えて下さいます。
先生は、本来の学問研究を倦むことなく続けていらっしゃるだけでなく、常にそれ以外の幅広い分野に
もたゆまぬ好奇心や探究心を持って追求されています。その柔和で温厚な笑顔の奥に、研究者としての強
い意思や情熱が秘められているのを感じ、そうした先生の姿勢に接する度に、ぴんと背筋の伸びる思いが
します。ひるがえって私自身はというと、最近は何かにつけて年齢を感じ、果たして無事に定年まで勤め
られるのか、研究への意欲をずっと失わずにいられるのか、甚だ心もとない気がしますが、これからも先
生を人生のお手本として、その後ろ姿を見ながら歩んでいきたいと思いますので、いつまでもお元気で私
たちを導いて頂きたいと衷心より願っております。
- 5 -
家木 康宏(昭和 55 年修了)
成田先生、お元気で傘寿をお迎えになりましたこと、心よりお祝い申し上げます。
2011 年という年は、社会的にも個人的にも annus horribilis でありましたが、その中で成田先生が傘寿
を迎えられたことは、本当に嬉しい事でした。ここ何年かは、TAM研究会などで年に1、2回しかお会
いする機会がありませんが、いつも以前と変らず色々楽しいお話をして下さり、楽しいひと時を過ごさせ
ていただいております。
昨年TAM研究会でささやかなお祝いの会を設けさせていただいた時に、成田先生は「漸譲」という言
葉をお使いになりました。傘寿を迎えられても、いや傘寿を迎えられたからこそ、先を見据えていらっし
ゃるという印象を受けました。そう言えば、昔見た映画に「世の中は順番だよ」という台詞がありました。
確かにその通りで、人生には実に様々な「順番」が回ってきます。日々を惰性で過ごしているばかりの私
にとって、回って来て欲しくない「順番」も多いのですが、成田先生に教えていただいた多くの事を少し
でも学生たちに伝えるという「順番」だけは何とか務めたいものだと思っています。
成田先生にはいつまで経っても教えていただく事ばかりですが、もうそれは卒業したなどとはおっしゃ
らず、今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、お願いいたします。
成田義光先生の傘寿をお祝いして
柏本 吉章(昭和 56 年修了)
成田先生がお健やかに傘寿をお迎えになりましたことを心からお喜び申し上げます。
ご存知の方も多いかと思いますが、成田先生を代表者として、大学院出身者の専門の近い者が集まって
構成している TAM 研究会という研究グループがあります。Tense(時制)Aspect(相)Modality(法性)
という動詞に関わる文法・意味を共通のテーマとする研究会ですが、私も 20 数年前の発足時から参加さ
せていただいています。会員による論文集『TAM 研究論集』は第 8 号となり、昨年 8 月に成田先生の傘
寿記念号として発行されました。
この研究会も最近は会員の高齢化(?)もあって、年 1 回の開催となっていますが、例会に参加するこ
とで、阪大を離れてからも成田先生と絶えることなくお付き合いをさせていただく機会を得ています。私
の専門分野であるモダリティの研究は、成田先生の近年のご研究テーマである仮定法や助動詞 will/shall
の意味といった領域と重なるところの多い分野です。それは偶然の一致というよりは、学生時代より長き
にわたって成田先生に教えを乞うている者として、無意識の必然であろうと考えます。
研究テーマにとどまらす、学生時代から数えて 30 年以上に渡って成田先生のお近くで過ごさせていた
だくことができ、先生の生活のご様子や信条、信念といったことにも、知らず知らずに影響を受けている
ところが多いのではないかと思います。長年のお付き合いを通じて、飾りのない簡素で誠実な生活を信条
とされている先生のご様子に少しでも近づくことができたとすれば、この上なく幸せなことであるとあら
ためて感じています。
私たちの研究の師として、また人生のお手本として、成田義光先生のますますのご長寿、ご健勝を心よ
りお祈りいたします。
冨永 英夫(昭和 59 年修了)
成田義光先生 傘寿まことにおめでとうございます。
公私ともに最もお世話になった教え子の一人として、心からお祝い申し上げます。先生に初めてお会い
したのは、30 年以上も前の話ですが、私が2回生のときで、確か、英語科教育法の授業であったと記憶し
ております。その授業で、記憶力の悪い私が今でも鮮明に覚えておりますのは、なぜ英語を勉強しなけれ
ばならないかという、ある意味、自明の問いを投げかけられたことでした。かっこよいからといった低次
元な答えとか、将来役に立つからといったありきたりの答えを頭の中で考えていると、それを見透かされ
たかのように、社会のニーズがあるからだというようなことではいけないと言われました。先生は、断定
的な物言いは決してされず、ご自分の意見を学生に押し付けるようなことはされませんが、そのときも示
唆的にではあったと思いますが、それでは戦前の日本がやったことと同じになる、大事なのは、社会に合
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わせるのではなく、自分が英語を学んで社会を変えていくという姿勢なのだという趣旨のことを述べられ
ました。その後、英語を学び続け、今では教えるようにもなりましたが、果たして社会をいい方向に変え
ることにわずかでも寄与しているかと言われると、正直言って自信はありませんが、少しでもそうありた
いと思っております。
成田先生、ますますお元気で、今後もご指導ください。
傘寿のお祝い
岡田 禎之(平成元年修了)
成田先生、傘寿をお迎えになられましたこと、おめでとうございます。先生が、退職後もずっと研究を
続けて、TAM 研究会の論集を発行し続けておられるお姿には、常々敬服しております。言語学の研究を
続けていく情熱を、先生は決して派手に表に出されることはありませんが、静かに休むことなく続けてお
られることが、非常に強い動機に裏付けられたものであることをよく示していると思います。先生と同じ
年齢までそのような気持ちを持ち続けることができるかどうか甚だ心許ない教え子ではありますが(その
前に、その年齢までこの世に存在できないかもしれませんが。。。)、少しでも近づくことができればと願
っております。かつて藤井先生にも、継続していくことの重要性とその難しさを教えられたことがありま
したが、それを淡々とこなしていくことは、本当に難しいことだと思います。是非見習わなければならな
いことだと思います。
私が院生だった頃に先生は、「特殊講義が命を縮めるのだ」という趣旨のことを仰ったことがありまし
たが、その言葉の意味を痛感しています。いつも早朝に大学に出てこられて、新聞記事などから用例を取
って講義に活用したりしておられましたが、毎回様々な工夫を凝らして授業を展開しておられたことを思
い出し、反省させられることしきりです。自分のスタイルを確立することがなかなかできず、これで良い
のかと悩み落ち込むことも多いのですが、いつかは先生のように泰然自若とした態度で学生さん達に接す
ることができるようになれば、と思っています。
どうぞ今後もますますお元気で、私たち後進のものをお導き下さいますように、お願い致します。(そ
してご近所のよしみで、駅前のデパートではなく、お互いに普段着姿でスーパーで買い物をしているとこ
ろでお会いできればと思っています。)
齊藤俊雄先生 叙勲お祝い寄稿
今井 光規(昭和 40 年修了)
齊藤俊雄先生
この度の瑞宝中綬章のご受章を衷心よりお慶び申し上げます。先生の卓越した研究業績や学会運営およ
び教育へのご貢献からしますとご受章は当然のこととはいえ、今更のように先生の情熱溢れる先進性とグ
ローバルスタンダード志向を感銘深く思い起こしています。
長い年月を同じ研究グループや学会でご一緒させていただき、また、先生と同じ大学の部局で過ごさせ
ていただいたことはこの上ない幸運でございました。その間、エネルギーに満ちた先生を私はいつも富士
山の頂上を眺めるように仰ぎ見て、息切れしていました。どうかご自愛下さいまして、今後も末永くご指
導賜りますようお願い申し上げます。
日本も世界も今は試練の時代ですので、どこの大学も同じだと思いますが、最近は勤め先のスケジュー
ルが過密になっておりまして、先生に直接お目にかかるチャンスがなくなってしまい、たいへん残念に存
じております。遠くから先生のご健勝をお祈りしています。くれぐれもご無理をなさいませんようにお願
いいたします。
- 7 -
齊藤俊雄先生の「瑞宝中綬章」ご受章を祝して
河上 誓作(昭和 42 年修了)
齊藤俊雄先生、「瑞宝中綬章」のご受章、誠におめでとうございます。この度のご叙勲は、教育と研究
における先生の長年のご尽力とご功績が広く認められた証しであり、ご功績に深く敬意を表しますととも
に、栄えあるご叙勲を心からお祝い申し上げます。
齊藤先生のことを思うとき、私の心にはいつも2つのお姿がダブります。ひとつは、大阪大学文学部英
文専攻の大先輩としてのお姿です。先生は、阪大文学部第6期(昭和 33 年(1958 年)3 月)のご卒業で
す。残念ながら教室で直接教わる機会はなかったのですが、先生は私にとって常に大きな存在でありまし
た。学生の頃日本英文学会でご発表をうかがい、大きな刺激をいただいたことを今でもよく覚えています。
1982 年に私は九大から阪大に戻り、その頃言語文化部におられた先生から、英文の院生が授業や研究指導
で大変お世話になりました。英語史を専攻する学生は少なかったのですが、通時言語学やコーパス言語学
の知識は確実に学生たちに受け継がれ、その後の研究成果に反映されています。また、私自身も、先生の
学問に対する姿勢や後輩に対するご配慮等から、「こうあるべし」という範を教えていただき、多くのこ
とを学ばせていただきました。阪大ご退官後も、折にふれ励ましのことばをいただきましたことは、特に
うれしく、心に残っています。
齊藤先生のもうひとつのお姿は、英語コーパス学会の初代会長としてのお姿です。英語コーパス学会が、
大阪大学言語文化部で設立されたのが 1993 年。その 3 年後、1996 年に International Journal of Corpus
Linguistics が発刊されていますので、齊藤先生の学会設立のご判断は誠に時宜を得たものであったと言う
べきでしょう。設立間もなくして齊藤先生と「コーパス言語学はいずれ言語研究のどの分野にも必要とな
り、言語研究の常識的手法となるでしょうね。」といった内容のことばを交わしたことを思い出します。
学会設立以来 18 年。21 世紀も 11 年を経過し、言語研究は多岐にわたり益々盛んであります。その中で、
コーパス言語学と理論言語学はお互いに相補的な役割を果たしつつ、21 世紀の言語研究に大きく寄与して
いくことは間違いないと思います。
齊藤先生にはこれからもどうかご健康第一で、のびのびと学問研究を楽しまれ、そしてこれまで通り、
私たち後輩の行くべき方向と方法について適切なアドバイスをいただければと、心から願っています。
齊藤俊雄先生のご受勲を祝して
沖田 知子(昭和 51 年修了)
齊藤俊雄先生、瑞宝中綬章おめでとうございます。言語文化部部長、同研究科科長、日本コーパス学会
会長をはじめとするご活躍に鑑みても、当然のご受勲ではありますが、改めてお祝いを申し上げさせてい
ただきます。
齊藤先生は、大阪大学文学部に英語学講座ができる前に、英語学を専攻された大先輩であられます。名
簿でお名前を拝見することはありましたが、親しくお話をさせていただくことになったのは、私が言語文
化部に配置換えになった頃からと申せましょう。医療技術短期大学部が改組されるのに伴い、配置換えに
なったわけですが、海のものとも山のものとも分からない新参者に対して、いろいろご配慮くださいまし
た。一番の思い出は、言文の一階廊下にあるメールボックスのところで、お声をかけた頂いたことです。
この光景は、廊下の薄暗い照明のなかでありながら、鮮やかによみがえってまいります。当時、大学院の
授業を担当することになって頭を痛めていたのですが、齊藤先生から「アリスをやりなさい」とご助言を
頂きました。最近の院生は、とみに英語の読解力が落ちてきているので、授業でしっかり鍛えるように、
と仰いました。齊藤先生は、世の流れをしっかりと見定められたうえ、若輩者の私にできる貢献を示唆し
てくださいました。(実は、先日の祝賀会の折にも、コーパスを検索するだけでなく、原文を読む大切さ
を力説されましたが、文献学及びコーパス言語学の権威の先生が仰るだけに、本当にことばの重みを感じ
た次第です。)そんなこんなで、大手を振って、大学院の授業でアリスの購読を楽しく行うことができた
のが、とてもよい思い出となっております。ありがとうございました。
最後に、根を詰めたご研究で体調を崩されたと伺いましたが、今後も十分ご自愛のうえ、ますますご活
躍、さらには叱咤激励してくださいますことをお願い申し上げます。
- 8 -
齊藤俊雄先生の厳しい優しさ
由本 陽子(昭和 58 年修了)
齊藤先生、このたびは栄えあるご受賞おめでとうございました。私は、大学院在学中に先生の授業を通
して初めて体系的に歴史言語学を学ぶ機会を与えていただき、また、大阪大学言語文化部に職を得て後先
生がご退官になるまでの間、今度は同じ職場の先輩としてご教示いただくという幸せに恵まれました。私
が先生について抱いているイメージを表すなら、「厳しい優しさ」につきると思います。これは、学生時
代も就職して後も、変わることはありませんでした。授業においては、テクストをしっかり読み、そこか
ら生じた疑問について決してあいまいに終わらせずあくまで追求する態度を教えていただきました。厳し
いけれど、いつも温厚で優しい先生でした。職場においては、機会あるごとに「若いうちにしっかり研究
をしてくださいよ。」と言われ、校務が忙しいことを言い訳にして怠けてしまいがちな私は、常にお尻を
叩かれているようで少し煙たい思いでいたものです。しかし、今になって考えれば、あのお言葉は目をか
けてくださった上での有難い激励でした。そして、ご自身の研究生活が充実されている先生だからこそ発
せられるお言葉であったと思います。私事ながら、昨年は、先生の今も変わらぬ研究に対する情熱と後輩
への厳しい優しさに改めて感動する出来事がありました。拙著をお送りしたところ、ご病床にあられたに
も関わらず、手書きのお手紙をいただき、そこには感想やコメントまで書いてくださっていたのです。今
もお若い時と変わらぬ研究への情熱をお持ちの先生、これからもどうぞご健勝で研究生活を楽しまれます
よう、心からお祈りしております。
大森 文子(昭和 63 年修了)
齊藤俊雄先生には、このたびの叙勲、まことにおめでたいことと、心よりお慶び申し上げます。
齊藤先生の授業をはじめて受講したのは、大学 2 年生の後期でした。Charles Barber の The Story of
English をテクストとした英語の授業でした。当時は、難しい教科書と格闘して月曜 1 時限の授業までに
何とか予習を間に合わせる、ということの繰り返しでしたが、先生に鍛えていただけたことは今更ながら
ありがたく存じます。
次に先生の薫陶を受けましたのは、大学院に入学してからです。Fernand Mossé の A Handbook of Middle
English を読む演習の授業でした。2 年半前の厳格で少し怖い先生という印象とは異なり、穏やかな笑顔の
先生のもとで、私たち受講生は英語の歴史の厚みを興味深く学ばせていただきました。
修士論文を提出し、ほっと一息ついていた 1 月半ば、朝から石橋駅で齊藤先生とご一緒になったことが
ありました。阪大坂を登りながら、先生は、修士論文を書き終えた感想を尋ねてくださいました。何とか
無事に提出したものの、あそこは別の書き方があったのではないか、あそこも少し論じ足りないと、その
不完全さに日々気づかされます、と私は正直な気持ちを申しました。すると先生は即座に「それでいいの
です」とおっしゃいました。一つの論文を提出して、その出来に満足しているようでは、今後の進歩はな
い。自分の不完全さに対する自覚があればこそ、自分の学問を深めていくことができるのだと。静かで力
強い先生のあのお言葉は、決して忘れることはありません。研究者となる者の心構えの根本を、先生から
学ばせていただきました。深く感謝申し上げております。
齊藤先生には、これからもどうかお体をおいといになり、日々お健やかにお過ごしくださいますよう、
心よりお祈り申し上げます。
吉田 仁志(昭和 63 年修了)
「フィロロジー的研究」から「コーパス言語学的研究」へ。齊藤俊雄先生が常に目指されたのは、コン
ピュータの発達をみるずっと以前から、このことであったと拝察いたします。統計学的手法を用いた客観
的データに基づいて英語の発達の過程を有無を言わせぬ形で論証する―先生の長年にわたる一貫したご
功績に対するこのたびの叙勲と存じます。
齊藤俊雄先生、瑞宝中綬章受賞まことにおめでとうございます。
齊藤先生に初めてお世話になったのは、学部 4 年生のときでした。当時、私はチョーサーが古フランス
語の寓意詩『薔薇物語』の一部を中英語訳しているのを知り、大胆にも両テクストを比較対照し、チョー
- 9 -
サーが英語に初めて導入したと思われる語彙や表現法を調べようと考えたのでした。英語史の知識も初歩
的で、うまくいくだろうという見通しも立たないままにです。言語文化部の言語工学部門だったと思いま
すが、そこにお頼みして、当時のことですから大型汎用機で KWIC コンコーダンスを作成させてもらい
ました。齊藤先生の研究室にご相談に伺いますと、語形だけをみていてもだめだから一緒に一通り読みま
しょうとおっしゃっていただきました。週一コマ貴重な時間を割いてくださり、先生の研究室で個人授業
が始まりました。そればかりか現代語訳や関連論文まで用意してくださり、恐縮するばかりでした。そこ
までしてくださったにもかかわらず、できあがった論文はお恥ずかしい限りのもので、お見せするのもは
ばかられました。先生も、チョーサーだったら『カンタベリー物語』の「騎士の話」でも読んだらよかっ
たね、とおっしゃいました。
このように非常にたよりない指導生だったわけですが(今もあまり変わっていません)、先生の英語史研
究に対するお考えだけは常に念頭におきつつ、仕事をしていきたいと改めて思っている次第です。
齊藤俊雄先生、もうこれからはお体を壊されるほど没頭することがなきよう、いつまでもご健康でいら
っしゃいますように。
大庭 幸男
齊藤俊雄先生、この度は瑞宝中綬章を授与されまして、誠におめでとうございます。先生の長年の研究
業績、学生への教育指導、そして学会活動が高く評価されたことによるものと存じます。
私が齊藤先生とお会いしたのは、もう 30 年ほど前になりますが、 私が山口大学教養部に務めていた時、
当時、大阪大学言語文化部長をしておられたドイツ語の吉田先生と英語科の主任をされていた齊藤先生が
山口大学に割愛にこられた時でした。割愛のすべての手続きが順調に進んだ後、両先生を津和野にご案内
いたしましたが、お二人ともたいへんお喜びになられましたのを今でも思い出します。
翌年の 4 月には、大阪大学言語文化部に配置換えになりました。言語文化部では、文学部に配置換えに
なるまでの 7 年間、公私に渡り大変お世話になりました。齊藤先生について、今でも記憶に残っているこ
とが 2 つあります。1 つは、齊藤先生はご自身の研究分野だけでなく、関連する研究分野にも、また、学
会や研究会等にも、その動向に対して絶えずアンテナを貼っておられ、いつも新しい情報を入手しておら
れたことです。先生とのちょっとした話の中にも、あっと思うような貴重な情報を教えていただくことが
多くありました。
もう 1 つは、私が文部省の在外研究で MIT に留学していたおり、本来ならば、予定通り帰国しなけれ
ばならないところ、半年の延長を認めていただきましたが、その際には、齊藤先生にはたいへんお世話に
なりました。その当時、一日でも遅く帰国しますと、理由書や始末書を大学に提出しなければならない状
況でしたので、半年間、アメリカ滞在の延長を認めていただきましたことを考えますと、齊藤先生には、
事務方、英語教室の先生方、さらに教授会までも説得に奔走されたことと存じます。先生のお蔭で、貴重
な留学経験をさせていただきました。本当に有難うございます。
この度、齊藤先生は瑞宝中綬章を授与されました。この叙勲授与は先生にとってたいへん誉なことであ
ることはもちろんですが、私どもの英語学研究室にとってもたいへん栄誉あることと思っています。
どうぞ、お身体に留意されまして、これからも私たち後輩にご指導を賜りますようにお願い申し上げま
す。この度の叙勲授与、まことにおめでとうございます。
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<近況報告>
平成 23 年 10 月 22 日に行われた第 44 回阪大英文学会への出欠のお返事とともにい
ただいた会員の皆さまからの近況報告を掲載させていただきました。
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つつがなく過ごしております。
高橋 史子(昭和 40 年卒業)

『歴史街道』に連載中の「風船爆弾」が 12 月号で完結しますので、新年号からは「仮装巡洋艦アトランテ
ィスの冒険」を 5 回にわたって連載の予定です。
吉田 一彦(昭和 40 年修了)
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定年退職後、自適の生活を送っています。
島田 守(昭和 46 年修了)
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定年退職(2010.11)後、引き続き MBS(毎日放送)の同じ職場(制作局番組アドバイザー)に勤務してい
ます。
安江 俊明(昭和 48 年卒業)

相変わらず中学生に英・数を教えています。
小出 みち恵(昭和 51 年卒業)

なんとか仕事をこなしています。
前田 誠一郎(昭和 51 年卒業)

税理士として開業して 10 年目になりました。英語にはずいぶんご無沙汰しています。4 月から息 子 は 就
職し、娘が 5 月に結婚しました。五十肩でうでが上がらずに困っていましたが、少しずつ良くなっていま
す。健康のありがたさを痛感しました。
井口 利枝子(昭和 55 年卒業)

英会話講師業に加え、学生時代から好きだった現代国語や古典も教えたり、趣味→天職?!となりつつあ
ります。毎シーズンの学会のお便り、巡りがどんどん早くなる感じは、やはり歳を重ねたせいなのでしょ
うね。皆様のご活躍とご健勝をお祈りしております。
中村(新出) 千里(昭和 55 年卒業)

相変わらずやっています。
家木 康宏(昭和 55 年修了)

和歌山大学観光学部に大学院ができました。日本文化関連の科目も担当していて、準備が大変です。
竹鼻 圭子(昭和 55 年修了)

毎日 30 分は歩くように心がけています。今年の夏は英語ジョークの本を書きました。今は翻訳の研究を
しています。
東森 勲(昭和 56 年修了)
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何とか元気にやっています。
井崎 真理(昭和 59 年卒業)

英日翻訳で少しずつ頑張っております。
小早川(上川) 典子(平成元年卒業)

元気で過ごしております。長い間ご無沙汰していますが、皆さまお変わりございませんか。
仙木 佳奈子(平成元年修了)

最近パソコンを買い替え、インターネット環境を一新したのはいいですが、設定・接続に至る全ての過程
で、自分でやることを断念。デジタル化の波に確実に取り残されています。
小野又 純子(平成 3 年卒業)

今年は勤続 20 年、また息子が中学に入学する等、節目の年でした。社会を取り巻く情勢の変化と、息子
のテスト勉強やクラブ活動という身近な姿から、
「学ぶこと」
「学び続けること」の大切さや意義を感じる
今日この頃です。
永井 俊史子(平成 3 年卒業)

8 月に転居しました。
六反田 恵子(平成 3 年卒業)

早稲田大学で教え始めて 3 年が経ち、徐々に仕事も増えつつありますが、何とか健康で働いております。
乙黒 亮(平成 13 年卒業)

名古屋大学の理学部で事務をしております。
辰巳 順子(平成 14 年卒業)

関西に戻って 2 年半が経ちました。関西空港で働きながら夫婦 2 人で楽しく暮らしています。
田中 有希子(平成 15 年卒業)

韓国での学会と重なりました。同窓会に行けないような気分です。4 月より東京理科大学へ異動しました。
西口 純代(平成 15 年修了)

北の国で元気に忙しい毎日を過ごしています。
川原 功司(平成 16 年修了)

皆様、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。毎年、阪大英文学会のプログラムを届けて下さる時
期になりますと、河上先生、大庭先生と共に、熱い議論が繰り広げられていた談話会を懐かしく思い出し
ます。私事ですが、昨年度、中 1 から 6 年間持ち上がった学年を、高 3 で卒業させ、4 月に小学校に転職
しました。2 学期半ばにさしかかり、嵐の給食時間と、体育の授業にも、ようやく慣れてきた頃です。こ
れからも、いろんなことに挑戦し、経験を積んで、社会に貢献できれば…と思っています。
平松(宮崎) 依世(平成 16 年修了)

言語の楽しさを少しでも感じてくれればと、日々、受験生達と格闘しております。いつか、教え子が皆様
のお世話になれる日を楽しみにしております。
平松 佳二郎(平成 16 年修了)
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
皆様お変わりありませんか。この度、大阪に戻ってくることになりました。また折をみてご挨拶に伺いた
いと思っております。
小田 太郎(平成 21 年卒業)

現在の勤務校で 3 年目を迎えており、ようやく仕事のペースもつかんでこれたように思う今日この頃です。
南 佑亮(平成 21 年修了)

非常に元気です。
荻原 拓也(平成 23 年卒業)

大庭先生、岡田先生、そして英語学研究室の皆さん、お元気ですか?私は地元福岡で元気に過ごしており
ます。英文学会第 44 回大会の御開催おめでとうございます!!皆様の御健康をお祈り申し上げます。
道永 二葉(平成 23 年卒業)

私は今、中等教育学校(中高一貫校)の高 3 生を教えています。阪大に合格したいという夢をもった生徒
と、日々、一緒に勉強しています。
森本 彩(平成 23 年卒業)
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<平成 22 年度卒業論文要旨>
A Study of the Lyrics of the Beatles
大貝 拓也
本論文で私は音楽を通じて人々に大きな影響を与え続けているビートルズに注目した。そして、
「歌詞」
という観点からビートルズの特徴や魅力に迫っていった。
歌詞を見ていくと注目すべき2つの点があった。1つは、曲の題材の大きな変化である。当初は愛を語
るものばかりだったが、1966年以降、題材は多種多様になった。そこで活動期間を前期と後期に分け、
双方での曲の性質の違いなどを明らかにした。その際、曲中の人物に対する表現にも着目した。するとビ
ートルズの革新性に辿りついた。
もう1つは、非文法的な英語表現である。実例を挙げ、各々がどのような表現なのか述べた。そして、
前述したように前期と後期とで事例を分類し、こちらではビートルズの普遍性を導くことができた。また、
黒人英語とロックミュージックの関係性からも考察した。
このように、歌詞に着目することでビートルズが持つ相反する2つの特徴を導くことができた。
Similarities and Differences between English and Japanese Expressions of Sense of Taste
岡田 典子
「食」というものは、どこの国においても重要な生活の一部である。そのため、どの言語においても、
その食べ物の味を表す表現、味覚表現というものは少なからず存在する。味、味覚を言葉で表現すること
は母語を同じくする人々の間でも難しく、まして言葉が違えば尚更である。言語というのはそれを使って
生活している人がいる以上、その言葉の背後には文化的背景や人々の気持ちなどが必ず存在すると考える。
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そこで今回は、辞書の定義や実際の使用例などから、日本語と英語の味、味覚表現を比較することによっ
て、その類似点や相違点に着目し、それぞれの言語の特徴を分析し、比較することとする。語彙が多い英
語と修飾語を多数持つ日本語との間には、共通点もあるが、そこにはそれぞれの持つ概念の違いがみられ
る。当然、単純にどちらが優れているかと決めることは困難だが、これらを通して、お互いの文化に対す
る理解を少しでも深められたらと考えている。
On the Study of Expletive It and Its Counterparts in Japanese and Russian
小川 祐美恵
英語における特徴的な表現のひとつである「虚辞の(expletive)it」について考察する。
「虚辞の it」は、
統語上の必要性から存在するものであり、指示物や意味は有さないとされる一方で、単に文法的な穴を埋
めるための無内容のものではなく、指示物や意味をもっているとする主張も存在する。
「虚辞の it」に指示物や意味はあるのか?あるとすれば、それは如何なるものなのか?本論文では、日
本語・ロシア語との対照比較というアプローチで、これらの問題に関する考察を行いたいと思う。まず、
時間・距離・天候などを示す表現や外置構文、分裂構文といった「虚辞の it」が用いられる英語表現と、
日本語・ロシア語におけるその対応表現を比較し、各言語における表現の相違を明らかにし、その相違の
要因について考察する。そして、それらの言語間比較から得た考察を、英語における「虚辞の it」に関す
る考察にフィードバックして、一定の結論を導出することを目指す。
The Analysis of Puns in Their Japanese Translations
-- With Special Reference to “Harry Potter”-荻原 拓也
英語によるダジャレを分析し、さらにそれが日本語の翻訳にどのように反映されているのかを探る。英
語のダジャレといっても、その中にはいくつかの分類がある。発音の類似を利用したものや、語配列の類
似を利用したもの、さらには動作と状態変化の類似を利用したものがある。これらの分類が日本語ではど
のように扱われるのか。全て一様に訳すことができるのか。これらの観点から本稿では、英語圏の人々に
よって日々多数の英語のダジャレが投稿される大手ダジャレ投稿サイトを用いて、上記の 3 種類のダジャ
レの特徴や傾向を分析する。さらに、それらを踏まえて、ダジャレなどの言葉遊びが豊富にみられる物語
「ハリーポッター」シリーズを用いて実際の翻訳の在り方に迫る。翻訳には、英語と日本語という言語的相
違から様々な困難がつきまとうが、翻訳家がどのようにそれらを克服しているか、また、時には失敗して
いるかを「ハリーポッター」シリーズから探求する。
The Differences between Open and Remote Conditionals
小倉 里枝
学校文法では、if を使った条件節は仮定法的なものと、単純な条件節的なものの二種類に分けられてい
る。仮定法の用法では、その条件が実現されないという話者の認識のもとで発話され、文法的には if~の
節は動詞が back shift され、(then)~の節の動詞には法助動詞を使用する。一方で、条件法の用法の場合は、
条件が満たされるかどうかがわからないという心情のもと発話され、文法的には時制の一致を引き起こす、
と説明される。この二つは用法的にも分かれており、使い分けねばならないという認識がされているが、
実際に英語の歌詞や雑誌、TV のインタビュー等様々なものを見ていくうちに、この二つは完全に分けら
れたものではないということがわかった。仮定法で表現されるべきものが条件法で示されていたり、仮定
法と条件法が混合して使用されていたりと、様々な例外が見つかった。本論文では、このように使用され
るのは微妙な心情を緻密に表現したり、相手を思いやり丁寧さを示すためではないかと考える。このよう
に、学校文法で教えられたルールを頑なに守るだけでは表現できない心情もたくさんあり、私達は英語を
使用する上でもっと柔軟に表現を操る必要があるのだろう。
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Non-canonical Responses to Negative Questions in English, French and Japanese
亀山 里津子
本稿は、英語・フランス語・日本語の 3 言語における否定疑問文の応答のぶれについて検証する。否定
疑問文に対する応答の基本形から、一般的に、英語は命題が成立するかどうかを答え、日本語は質問者の
想定に同意するかしないかを答えると言われる。しかし、英語で質問者の想定に反応したり、日本語で想
定に反応しない応答をする場合がある。本稿ではこれを「ぶれ」とし、なぜぶれが起こるのか考察する。
まず、「否定疑問文には、①命題が成立するかどうかを問う機能、②命題を否定する機能、③質問者の肯
定的もしくは否定的想定を示す機能、の三つの機能があり、回答者はそのうちのいずれにも反応しうる。」
と仮説を立てる。次に、調査結果から、各言語とも反応する機能の優先順位はあるものの、反応できる機
能は一つに限られるものではないと主張する。最後に、回答の「ぶれ」は回答者が反応する機能のぶれに
よって生じるものであると結論付ける。
On the Transition of the Usage of American English
鈴江 惇一
英語は様々な地域で話されているが、本稿では、なかでもアメリカ現代英語をとり上げて、その用法を
分析する。最近の話し言葉や書き言葉から現代特有であるとされる用法を先行研究などからピックアップ
し、英語の使用がどのように変わってきているのか、その変遷を捉えることを目的としている。諸特徴は
雑多としているため、前置詞や動詞、助動詞、副詞、代名詞など品詞別に章を分けて考察していく。2つ
のコーパスを用いることでデータ検証し、先行研究が正しいのかも考える。さらにアメリカの歴史を述べ、
現在の状況も記述する。以上を鑑みるとアメリカは様々な民族によって昔から成り立っていることが分か
る。様々な影響を受けてアメリカ英語はできているのであり、受容的である必要があったと推測される。
各章を通して少しずつ提示しているが、現代の用法は伝統的な英文法から派生しながらも同時に単純化が
なされているのではないかと考えられることを結論部分で再提示している。
A Study of Japanese Titles of English Movies
髙倉 一浩
映画を吟味する際に、一つの判断基準となる映画のタイトル。映画のタイトルでその映画の内容を認識
できる場合もあり、観客の関心を引く上でいかに重要なファクターであるかが見て取れる。洋画タイトル
の日本語訳は、英語の原題をどのようにしたら観客を呼び込める日本語タイトルにできるかという翻訳者
の一連の知的作業である。私は、この一連の知的作業がどのような意識、またいかなる要素の中でなされ
ているかに興味を持ち、それを分析することを今回のテーマに設定した。また映画を含め、国際化による
人・文化の交流によって英語に対する認識も昔と比べ、大きく変化を遂げてきていることに注目し、2009
年と 1960 年に日本で公開された外国映画の日本でのタイトルを集め、どのように原題を日本語タイトル
に翻訳しているのかをそれぞれ分析し、またその2つを比較、対照して、この半世紀で生じた変化を見ていく。
Translational Conversions between Nominal and Sentential Expressions
髙田 真歩
英語の名詞表現は直訳しにくいことが多い。特に動詞派生名詞、形容詞派生名詞は、名詞に対応する動
詞、形容詞を見つけ、動詞的な、または形容詞的な表現に戻すとわかりやすいと言われている。また、名
詞表現が間接疑問文に変換できる「潜伏疑問文」、名詞表現が感嘆文に変換できる「潜伏感嘆文」という
構文についても紹介していく。名詞表現が、翻訳する際に結果動詞的な表現、形容詞的な表現、間接疑問
文、感嘆文に変化するように、直訳ではうまくいかないケースが他にも多く存在するので、この論文では、
Never Let Me Go という小説の中から名詞表現を見つけ、その訳本でその名詞がどのように表現されている
か調べることで、英語と日本語との間の差異を分析した。
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The Correlation between the English Teaching Policies and English Proficiency
in Asian Countries
寺田 麻佑子
経済のグローバル化が進む中で、アジア諸国においても国際競争の中で生き残るために英語教育に力を
入れる国が増えている。その一方で、日本人の英語力は未だに低いままであるという指摘がよくなされる。
そこで本論文では、TOEFL iBT と PBT のスコアの違いに着目し、シンガポール、中国、インド、タイ、
インドネシア、日本の英語運用能力を比較した。input が得意な国、output が得意な国、どちらもバラン
スよく身につけている国があるという結果を受け、さらにそのような英語運用能力の違いがどこに起因す
るのかを考察した。各国の英語教育政策について①言語政策(歴史的、社会的背景も含む)②教育制度③
教員養成制度、以上の三つの観点から考察を行った結果、主に教室内の教育においてどのような英語力に
焦点をあてているかが input・output の能力差に影響を与えている可能性が見受けられた。さらに英語の
総合的な点数差に関しては英語が公用語であるか否かなど身近さが最も大きな影響を与えているといえる。
On the Conversion between Prepositions and Conjunctions
板東 辰倫
この論文では、前置詞、接続詞に関して、これらの中のいかなる単語が品詞転換し他方の品詞へと変化
するのか、データをもとに仮説を立て検証していく。まず、前置詞から接続詞、また接続詞から前置詞へ
の品詞転換を扱う前提として、実際に両者の用法を併せ持つ単語の起源を明らかにすることで、前置詞接
続詞間の品詞転換が実際に起こっていることを確認する。次に、前置詞から接続詞への品詞転換を扱う。
その際、仮説を二種類用い、双方を満たす前置詞が接続詞になりうると考える。次の章では、接続詞を
SINCE type、THAN type、それ以外に分類し、SINCE type と THAN type が品詞転換すると考える。最後
に、前置詞と接続詞相互の品詞転換における関係をまとめ、結論とする。接続詞のイディオマティックな
表現は縮約され一語になると予測される。
A Comparison of English and Japanese Proverbs with Numeral Expressions
藤岡 久美
日本語にも英語にもことわざは非常に数多く存在しており、様々な教訓や警告を含んでいる。私はその
中でも、数字を含んでいることわざを取り上げ、日英それぞれの国の文化や考え方、数字観などが、こと
わざが成立する背景にどのように関わっているのかを考察する。同じ意味のことわざでも、日本語・英語
で数字を含んでいたりいなかったり、使われている数字が異なっていたりするものがいくつもある。この
ような違いには、それぞれの国の言語や文化の特徴が深く関わっているのではないかと思われる。
日英それぞれにおける数字観、好んで使われる修辞法なども考察するとともに、数字を含む表現を用い
ることでことわざにどのような効果がもたらされているか、そしてそのようなことわざがどのような要因
によって生み出されているのかを、日英語の違いに焦点を当てて分析する。また、数字を使うことによっ
て、ことわざが示す教訓や警告を、人々にどのように効果的に伝えているのか、ということを明らかにして
いく。
The Differences between Old and New Slang Expressions
松本 実果
近年、海外ドラマや洋楽が身近になる中で、私たちが学校の英語学習で習わないような特殊な言葉が頻
繁に使われていることに気づく。それが slang である。slang は俗語として若者などが使ういわゆる流行り
言葉であるが、その中でも昔から変わらず使われ、その用法や持つ意味がどんどん多様化しているのがタ
ブー語とも言われる swearword である。swearing はかつて口に出すのも憚られるような卑猥な意味や、神
聖な意味を持っていた言葉を用いて、話者の憤りや興奮を発話の対象に伝える効果を持つ。一見、動詞や
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形容詞に見える形態をとっていても、その機能はそれらに属さない特有のものである。
本稿では、swearword の代表的なものである fuck を取り上げ、その発話内における機能を映画のセリ
フを用いて考えていく。
Semantic Differences between To-Infinitives and Gerunds in Verb Complement Positions
森本 彩
目的語に to-不定詞や動名詞をとる動詞には、①to-不定詞のみをとる動詞、②動名詞のみをとる動詞、
③to-不定詞と動名詞の両方をとる動詞の 3 種類が存在する。そのうちの③は、さらに、③(A)begin のよう
に to-不定詞をとった場合と動名詞をとった場合で、意味に違いがないと言われる動詞と、③(B)remember
のように意味に大きな違いがあると言われる動詞の 2 種類に分けられる。
本論文では、③(A)の動詞に焦点を当て、本当に意味の差が存在しないのかということを考える。まず、
先行研究を整理し、③(A)の動詞は他にどのような動詞が考えられるのかを検討した上で、to-不定詞と動
名詞がそれらの動詞と結びついた時、どのような意味的特徴が現れてくるのかということを考える。特に、
本論文では、require + to-不定詞と require + 動名詞の意味の違いと特徴について、様々な観点から詳細に
検討する。
Subjective Factors and Cognitive Processes Underlying the Use of Metonymy
山形 優佳
本稿は、メトニミー(metonymy:換喩)という、近接性に基づく比喩表現について考察した。メトニミー
は、コミュニケーションや命名行為など日常のさまざまな場面に用いられ、私たちはそれを無意識的に使
用している。概念の関連や近接に基づいて、意味の拡張がなされるメトニミーの生成過程は複雑で、それ
は私たちの思考体系や主観的要因に深く関わっている。本論文は、身近なニュース・雑誌の見出しや、植
物に対する名づけに現れるメトニミーを具体的に挙げ、その主観的要因や認知的過程をテーマに置いた。
そして、対象と近接関係にある話者の知覚的・認知的な際立ちの直感認識が言語に投影されるときの構造
や、情報を受け取る側の認知的プロセスについて具体的に調べ、話者の伝達や命名行為における意識の重
点はどこに置かれているか、聞き手のメトニミー表現の受け取り方や理解の組み立て方はどのようである
か、などに注目して考察した。
Word-Formation Based on Prepositional “On” and “In”
吉野 彩
本稿は、前置詞の on と in が複合語を作る際、各前置詞の持つどの意味が複合語に反映されやすいの
かについて考察した。まずはそれぞれの意味ネットワークを形成して違いを明らかにし、その後 on か in
を含む複合語をいくつか挙げて特徴を探った。結果として、on はその中心義である「接触」と、
「方向」、
「状態」等の意味が、in については中心義の「位置」と、
「運動・方向」の意味が表れやすく、中心義や
早くから使用されていた意味が頻繁に反映される傾向があるということが分かった。また on は「衝突」
の意味合いを持つことがあるため、
「不利益」という派生的な意味も付加されやすいという特徴があると
分かった。よって、on と in は前置詞としては交換可能であっても、複合語に組み込まれた場合にはそれ
ぞれの主要なニュアンスが前面に出てくるため、それぞれの特徴的な意味を持った複合語が生まれると
いう結論に至った。
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<平成23年度 英語学講座講義題目>
<大庭幸男 教授>
大学共通教育(前) 英語学の基礎
学部/院演習(前) 同族目的語構文について
学部/院講義(後) 多重 wh 疑問文について
<岡田禎之 教授>
学部演習(前後)
学部講義(前)
学部/院講義(前)
学部/院講義(後)
Metaphor & Metonymy 研究
Introduction to English Linguistics 1
文法化現象について
前置詞の意味構造分析
<大庭幸男 教授・岡田禎之 教授>
院演習(前後)
英語学理論の動向
学部演習(通)
卒業論文作成演習
院演習(通)
英語の文法理論の研究
(修士論文・博士論文指導)
院演習(通)
英語学の諸問題
<加藤正治 教授>
学部/院講義(前) 英語の歴史的変遷の概説
学部/院演習(後) 英語の歴史的変遷の研究
<神山孝夫 教授>
学部/院講義(前)
学部/院講義(後)
学部/院講義(後)
院演習(前)
院演習(後)
<田中裕幸 講師>
院演習(前後)
与格要素の統語的性質を中心とし
た理論言語学的・通言語的考察
<Paul Harvey 教師>
学部演習(前)
Monday Songs in English 1
学部演習(後)
Monday Songs in English 2
<大室剛志 講師>
学部・院講義(後/集)
<吉本真由美 助教>
学部演習(前)
統語論の基礎
<初谷智子講師>
学部英語(通)
映画を利用したリスニング・
会話練習及び時事問題討論
(英作文・英会話)
<ローリー・ゼネック西出 講師>
学部英語(前)
英語科教育法 A
学部英語(後)
英語科教育法 B
英語史入門2
印欧語比較言語学入門2
英語音声学概論
印欧語比較言語学研究1
印欧語比較言語学研究2
<英語学研究室関係行事・学会発表ならびに個人消息>
(平成 23 年 1 月~平成 23 年 12 月)
【学会・研究発表】
○待兼山ことばの会
第 88 回 (2011 年 6 月 26 日 於:大阪大学)
宮川 繁氏(Massachusetts Institute of Technology) "Minimal Parametric Variation"
第 89 回 (2011 年 12 月 22 日 於:大阪大学)
大室 剛志氏(名古屋大学)
「意味と形のミスマッチ―動的文法理論の立場から―」
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○ 4th International Conference of Linguistics of Contemporary English (ICLCE4)
(2011 年 7 月 19 日-23 日 於:Osnabruck University, Germany)
<研究発表>
Okada, Sadayuki
“(Ir)regularity of conceptual expansion in adjuncts”
○The 42nd Annual Meeting of the North East Linguistic Society (NELS 42)
(2011 年 11 月 11 日-13 日 於:The University of Tronto, Canada)
<研究発表>
Imanishi, Yusuke
“How to Merge a Possessor WH in Kaqchikel (Mayan):
Non-Uniform Merge and Null Resumption”
○日本英語学会
ELSJ 4th International Spring Forum 2011(第 4 回日本英語学会国際春季フォーラム)
(2011 年 4 月 23 日-24 日 於:静岡大学)
<研究発表>
Shinohara, Hiroki
“Ly-Adverbs and the Acceptability of the it-Cleft Construction”
<ポスター発表>
Tanaka, Hideharu
“Negation, Focus and Inverse Scope”
○日本言語学会 第 143 回大会(2011 年 11 月 26 日-27 日 於:大阪大学)
<研究発表>
亀山 里津子
「英仏日語における、否定疑問文に対する応答のゆれ」
田中 秀治
「TP 領域内の Focus Phrase:日本語 Wa 助詞に関する一考察」
○関西言語学会 第 36 回大会(2011 年 6 月 11 日-12 日 於:大阪府立大学)
<研究発表>
田中 秀治
“Feature Inheritance to Inner Aspect”
○社会言語科学会 第 28 回研究発表大会(2011 年 9 月 17 日-18 日 於:龍谷大学)
<ポスター発表>
吉田 亜美
「討論における男女間のスピーチアクトの違い」
○The 12th Tokyo Conference on Psycholinguistics (TCP 2011)
(2011 年 3 月 11 日-3 月 12 日 於:Keio University)
<研究発表>
Shimamura, Koji
“That-trace Reconsidered: Definiteness and Complementizer Agreement”
○50th Anniversary of the MIT Graduate Program in Linguistics (Ling 50)
(2011 年 12 月 9 日-11 日 於:MIT)
<ポスター発表>
Imanishi, Yusuke
“How to Merge a Possessor WH in Kaqchikel (Mayan): Non-Uniform Merge and Null
Resumption”
- 19 -
○Syntax Square(2011 年 11 月 1 日 於:MIT)
<研究発表>
Imanishi, Yusuke
“How to Merge a Possessor WH in Kaqchikel (Mayan): Non-Uniform Merge and Null
Resumption”
○Mini-Syntax Meeting(2011 年 5 月 18 日 於:MIT)
<研究発表>
Imanishi, Yusuke
“On Q(-particle): A Case Study in Kaqchikel and Japanese”
○沖縄理論言語学研究会(2011 年 6 月 13 日 於:沖縄大学)
<研究発表>
Imanishi, Yusuke
“On Q(-particle): A Case Study in Kaqchikel and Japanese”
○関西学院大学総合政策学部研究会(2011 年 6 月 29 日 於:関西学院大学)
<研究発表>
Imanishi, Yusuke
“Universal Grammar and Language Diversity: Sound and Structure”
○Kobe Linguistics Club(2011 年 7 月 30 日 於:同志社大学)
<研究発表>
篠原弘樹
「-ly 副詞と it-Cleft 構文」
【学会誌・紀要】
○Osaka University Papers in English Linguistics (OUPEL)(英語学研究室)
Vol. 15 (2011)(2011 年 12 月発行)
Honda, Takahiro
“On Passivizability of Idioms in English and Japanese”
Iwahashi, Kazuki
“On the Shapes of Objects and Metaphorical Meanings”
Minami, Yusuke
“Appearances can Deceive You: A Cognitive Analysis of the ‘Subject Be
Adjective To Look At’ Construction”
Yamaguchi, Maiko
“A Preliminary Replication Study of the Properties of Contrastive Topic
Marking in Japanese”
○『待兼山論叢』(大阪大学文学会)第 45 号(2011 年 12 月 26 日発行)
篠原弘樹
「it-Cleft 構文の語用論 ―語用論的機能とその効果―」
○Proceedings of NELS 42(The North-East Linguistic Society)(to appear)
Imanishi, Yusuke
“A Non-Uniform Merge of Argument WH and Resumption: A Case Study in
Kaqchikel”
- 20 -
○JELS 28(日本英語学会)(2011 年 3 月 10 日発行)
篠原弘樹
「it-Cleft 構文:意味と談話のインターフェイス」
○KLS 31(関西言語学会)(2011 年 6 月 7 日発行)
本田隆裕
「知覚動詞構文の能動文と受動文について」
○The Proceedings of 12th Tokyo Conference on Psycholinguistics (TCP 2011)
(2011 年 11 月 11 日発行)
Shimamura, Koji
“That-trace Reconsidered: Definiteness and Complementizer Agreement”
【学位取得者】
◎岩崎 真哉(大阪国際大学)
平成 23 年 8 月 17 日付で大阪大学より博士(文学)の学位が授与されました。博士
論文の題目は The Mismatch Phenomena between Meaning and Form in Japanese and
English です。
◎伊藤 千鶴(大阪大学大学院)
平成 23 年 9 月 20 日付で大阪大学より博士(文学)の学位が授与されました。博士
論 文 の 題 目 は Existential and Possessive Constructions: Complex Predicates and
Argument Realization です。
【個人消息】(研究室関係分のみ掲載)
◎香本 直子氏 平成 23 年 10 月 1 日付けで石川工業高等専門学校に専任講師として着任されました。
◎今西 祐介氏(博士後期課程 3 年)
Massachusetts Institute of Technology に留学中です。
◎嶋村 貢志氏(博士後期課程 2 年)
University of Connecticut に留学中です。
◎山口 麻衣子氏(博士後期課程 2 年) McGill University に留学中です。
◎岡田 禎之は、執筆論文”Comparative Standards and the Feasibility of Conceptual Expansion” が Annual
Report of Osaka University Academic Achievement 2009-2010 において 10 papers selection に選ばれました。
(URL: http://www.osaka-u.ac.jp/en/research/annual-report/volume-11/selection/index.html)
◎OKADA Sadayuki は Marquis Who’s Who in the World 2012 に掲載されています。
- 21 -
あ と が き
皆様、いかがお過ごしでしょうか。今号は、成田先生と齊藤先生のお祝い号としてお送りいたしまし
た。お忙しいなかご寄稿くださった HLC 会員の皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。
今年度は大阪大学創立 80 周年ということで、阪大も「傘寿」を迎えました。この数年で豊中キャンパスの
あちこちで改装工事等が行われ、キャンパス内が綺麗になりましたので、一度またぜひ足をお運びください。
さて、昨年、皆様のご協力で、住所が不明であった会員の方々の新住所が多く判明致しました。今号
にも住所不明者リストを添えておりますので、ご協力賜りたく存じます。今後とも、ご住所やご勤務先
などが変更される場合は、下記の連絡先にお知らせ頂きますよう、宜しくお願い申し上げます。
〒560-8532
Tel/Fax :
e-mail :
大阪府豊中市待兼山町 1-5
大阪大学文学部 英語学研究室
06-6850-5115(研究室ダイヤルイン)
[email protected]
M.Y.
英語学研究室のホームページ
http://www.let.osaka-u.ac.jp/eigogaku/index.html
院生有志によって作成・管理を行っております。
研究室の活動状況をご覧ください。
皆様からのご意見・ご感想などもお待ちいたしております。
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以下のリストに掲載されている方の連絡先をご存知ありませんか?
この数年間、住所不明になった会員が増えており、HLC News が「宛先不明」で返送される件数が多くな
っています。そこで、住所不明の会員の方々のリストを作成しましたので、これをご覧いただき、リスト
に載っている方の連絡先をご存知の方がおられましたら、英語学研究室([email protected] もしく
は 06-6850-5115)までご連絡頂けないでしょうか。ご協力下さいますよう、何卒よろしくお願い致します。
卒業・修了年
S44
S50
S53
S54
S55
S58
S60
S61
S63
氏名
(大塚)
(縄田)
(藤井)
(小川)
(吹上)
(大西)
(河合)
(上田)
(辻野)
(園田)
H1
H2
H3
(天野)
(大西)
(城戸)
H4
(横山)
(新子)
H5
H6
H7
卒業・修了年
シヤン・ヴァン・ホイドンク
長谷川 三千子
広瀬 佳子
澤田 雅博
植田 眞由美
岡嶋 めぐみ
松尾 晃子
松林 孝治
入江 公子
南里 秀之
西芝 雅美
浅野 尚久
久保田 理佐
加藤 美佳子
山崎 美佳
武田 洋子
高辻 綾子
渡辺 晶夫
岩佐 久徳
中川 澄
古川 幸治
小林 智世子
吉田 有美
中桐 由美子
田中 真理
上田 優子
服部 良行
妹尾 敬子
上中 博未
新田 祥子
松村 めぐみ
渡辺 あづさ
全 明琇
岡村 信之
瀬合 達也
平井 京
藁田 智子
氏名
(荒川)
H8
(東村)
H9
(大類)
H10
H11
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(安部)
(泉宮)
片木 真生子
柿本 祥江
金子 昌弘
酒井 慈子
椿原 芳生
北村 昌美
後河内 育生
内谷 純子
田野 嘉裕
中村 奈津子
門井 友子
末宗 佐知子
小栗 美由起
中西 佳奈絵
林 恵理子
前山 麻衣子
有富 智子
東條 希美
西口 元子
山本 佳代子
吉田 亜希子
神吉 慶子
垂水 知佐子
野上 博史
吉 政恩
保田 あゆみ
上野 容加
三嶋 大志
橋川 景子
松田 宏美
桶谷 香奈
飯尾 貴之
貝谷 佳織
西村 嘉剛
本村 若菜
桑名 恵里
副島 沙由里
丸山 智子
南 大輔
大井 美紗子
櫨山 美幸
敬称略
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