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インターネット受験による BJ-CAT ビジネス日本語テストの開発

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インターネット受験による BJ-CAT ビジネス日本語テストの開発
インターネット受験による BJ-CAT ビジネス日本語テストの開発
―事前テスト実施に向けて―
赤木彌生(山口大学),今井新悟(筑波大学)
伊東祐郎(東京外国語大学),中園博美(島根大学)
1 はじめに
経済産業省、文部科学部省、厚生労働省は,高度外国人材の受け入れを促進するにあた
り,留学生の国内就業支援対策として大学と連携を図り,就職ガイダンスやインターンシ
ップを進めるとしている。これを受け,大学では,留学生のための就職説明会やインター
ンシップを実施し,留学生の就職支援に取り組んでいる。また,日本での就職を希望する
留学生はこれまで以上に多くなっており,彼らは大学の就職支援活動に期待を寄せている。
日本企業で働くためには,ビジネスに対応できる高度な日本語能力が求められており,多
くの大学で,
「ビジネス日本語」の授業が開講されるようになった。そして,一般的な日本
語能力だけではなく,ビジネス日本語能力を測定するツールの必要性が高まってきた。
一方で,インターンシップや研修生の受け入れ,留学生の採用,教育を行ってきた企業
の多くは,これまで日本語能力試験(JLPT)の結果を利用してきたが,近年,ビジネス日
本語能力を測定する BJT ビジネス日本語能力テストを利用する企業も増えてきている。
そこで,ビジネス日本語能力を,インターネット上でいつでもどこでも測定できれば,
就職や就業に役立てることができるのではないかと考え,BJ-CAT ビジネス日本語テスト
(Business Japanese Computer Adaptive Test; 以下 BJ-CAT)の研究開発を行うこととし
た。本発表では,BJ-CAT 構築のための事前テストの開発状況について報告する。
2 BJ-CAT の測定能力
BJ-CAT は,ビジネス場面におけるコミュニケーション能力を測ることを目的としている。
出題する問題項目は,ビジネス上の課題を遂行するためのタスクを設定したもので,語彙
や表現の単純な聞き取りやビジネス知識の有無のみを測る問題項目は出題しないこととし
た。一問一答形式とし,複問形式は取り入れない。聴解,聴読解,語彙・文法,読解の四
部門である。コンビュータテストであることから,その特性を生かした動画付き問題につ
いても検討を行っている。問題項目の作成は,作題者の素案について編集者による編集,
編集会議での検討,専門家チェックを経て完成となる。完成した問題項目を用いて,事前
テストを行う。
3 BJ-CAT 事前テストに向けて
BJ-CAT は,先行開発された J-CAT 日本語テスト(以下 J-CAT)の適応型システムを援用
して構築する,インターネット上で実施するコンピュータテストである。BJ-CAT の適応型
システムは,項目応答理論(Item Response Theory;IRT)に基づき,問題項目の特性を分
析し,測定の精度の高い問題項目を使用する。このため,本テスト構築に先駆け,分析デ
ータ収集のための事前テストを実施する必要がある。
BJ-CAT では,前川ほか(2008)で作成・実施されたビジネス日本語テストの 1128 名の
解答データを規準集団とし,これらの問題項目をアンカー項目として事前テストを実施す
る。ただし,BJ-CAT では,J-CAT 同様に識別力パラメータと困難度パラメータによる 2 パ
ラメータ・ロジスティックモデルによって項目特性を分析する予定であるが,アンカー項
目は当て推量パラメータを含む 3 パラメータ・ロジスティックモデルによって行われてい
るため,アンカー項目の解答データから 2 パラメータモデルに再分析する必要がある。新
規に作題した問題項目とアンカー項目を BJ-CAT システムに搭載し,国内外の日本語学習者,
研修生,就業者に受験してもらい,その結果を分析し,良質の問題項目を本テストに利用
していく計画である。
4 おわりに
2013 年度,事前テスト準備を終了し,2014 年度から世界規模で事前テストを実施する計
画である。信頼性の高いテストとしていくためには,
より多くのデータ収集が必要であり,
関係機関の協力が不可欠となってくる。
【参考文献】
前川眞一,加藤清方,越前谷明子,梅木由美子(2012)『ビジネス日本語能力テストの
信頼性と妥当性の連関に関する実証的研究』,2008~2010 年科学研究費補助金(基盤研
究(B)20401023)研究成果報告書
【謝辞】
加藤清方先生をはじめとするビジネス日本語テスト研究開発グループの先生方のご協力
に感謝申し上げます。
【付記】
本研究は,科学研究費補助金基盤研究(B)の助成を受け開発しているものである。
「コンピュータ適応型ビジネス日本語テストの開発と検証」
(課題番号: 24320095,H24~H27)
【BJ-CAT 研究開発問題項目班】
赤木彌生(山口大学)【代表】, 今井新悟(筑波大学),伊東祐郎(東京外国語大学)
堀井惠子(武蔵野大学大学院),中園博美(島根大学),小野塚若菜(東京富士大学)
【BJ-CAT 作題・編集・専門家チェック班(五十音順)】
小野塚若菜(東京富士大学),上田雄一(元 BJT ビジネス日本語能力テスト編集委員),
奥山貴之(帝京大学),篠﨑佳子(学習院女子大学),島恭子(都留文科大学),矢
島桂(中央大学),吉沢由香里(東京工業大学)
【BJ-CAT 研究開発システム班】
今井新悟(筑波大学),ファムターンソン (筑波大学大学院生),西村竜一(和歌山大
学),田藤千弘(和歌山大学学生),浅田岐依(BJ-CAT 研究補佐)
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