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海外安全対策情報(アルジェリア)
海外安全対策情報(アルジェリア)平成26年7月~9月 平成26年10月更新 1.治安情勢及び一般犯罪の傾向 (1)9月21日夜未明(現地時間) ,フランス人男性1名が山歩きのため訪れた当国カビ リ地方山岳地帯(ティジ・ウズ県及びブイラ県に跨がる地域)において,同行していたア ルジェリア人数名(十数時間後に解放)と共にテロリストに拉致される事件が発生しまし た。翌22日,イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」(ISIL)は米国を始めと する「連合」によるISILへの攻撃を批判するとともに,欧州,米国,豪州,カナダ, モロッコ,アルジェリア,ホラサーン(注:アフガニスタン等の地域の旧称),コーカサス, イラン等世界のスンニ派イスラム教徒に対して,米国,フランス,オーストラリア,カナ ダを始めとする対ISIL連合諸国の国民を軍人,民間人問わず攻撃するよう扇動する声 明を発出しました。上記声明の後,ISILへの支持を表明している「イスラム国」系と みられるアルジェリア所在のテロリスト(「イスラム国」に忠誠を誓うことを表明している 「カリフの戦士」と名乗るAQIMを離脱したテロリストのグループとみられます。)は, 21日に拉致したフランス人の解放と引き替えにISILに対する軍事作戦を停止するよ う,仏政府に要求し,その後人質を殺害すると共に斬首により処刑する光景をインターネ ット上で公開しました。 上記事件が発生したカビリ地方は山岳地が多く,治安機関の活動に制約が多いこともあ りテロリストの潜伏地域となっています。当国治安機関も積極的に同地域においてテロ掃 討作戦を実施しており,統計的にもテロの発生件数は低減傾向を示しているものの完全な 掃討には至っていない状況にあります。この状況から日本を含め多くの国は,カビリ地域 への渡航に警告を発しています。拉致が実行されたとされる現場については,ここ数年事 件が発生しておりませんでしたが,今回この様な事件が発生してしまいました。 本件事件につきましては,捜査が進められ実行犯の一部が特定されたと(10月6日現 在)当国捜査当局は発表していますが,依然全容は判明していません。今回の事件を受け, 当国政府は警備の強化,特に外国人への対応に万全を尽くすと表明しています。アルジェ においても事件以降実際に警備が強化されている様子が見受けられます。厳重な警備によ って建物を吹き飛ばす様な多量の爆薬をアルジェ等主要都市に持ち込むことはテロリスト にとって困難であると思われますが,手榴弾,自爆ベルト(小型爆薬を複数ベルトに装着 したもの)等小型の爆弾については持ち込むことを阻止することは難しいため,小規模な 自爆テロ,またナイフ一つで実行可能な誘拐については,引き続き厳重な警戒を行う必要 があります。アルジェリアに渡航される方は,訪問先の治安状況を現地の信頼できる関係 者より事前に入手して対策を立てる,現地の事情に通じた者を同伴する,単独での行動は 出来るだけ避ける等の対策をとって下さい。 (2)当国南部ガルダイア県における民族間の衝突が依然続いています。アルジェリア政 府は紛争収束ため種々の対応をとっておりますが,事態は好転していません。問題の根本 に先住民族ムザブ人と外部より流入したアラブ系住民との民族問題があるため深刻な対立 が存在しています。当面対立が解消する目処は立っていません。世界遺産ムザブの谷は, ムザブ人の居住区であることから不用意に近づかないことをお勧めします。 (3)アルジェリアには,多くの世界遺産他著名な遺産があります。当国においては,観 光産業が未だ発展途上の状況にあり,旅行者に対して治安及び医療他旅行者が必要とする サービスが十分に提供出来ない可能性があります。従って「待避勧告」,「渡航延期」地域 への渡航を控えることは勿論のこと, 「渡航の是非検討」地域についても,現地の状況を注 意深く観察して,渡航の判断は極めて慎重に行うことをお勧めします。 (4)市民暴動,デモ等に関しては,引き続きアルジェリア全土において住宅配分に関す るもの,失業,道路整備,上下水道他社会基盤の不整備に対する抗議活動が発生しており, 道路封鎖,役所の襲撃が引き続き発生しています。 (5)リビア等との国境付近及びカビリ地方他において当国治安当局はテロリスト掃討作 戦を前期にも増して展開しました。 (6)一般犯罪の動向に大きな変化はありません。 2.殺人・強盗等凶悪犯罪の事例 殺人,暴行,強盗とも日本人の被害は報告されていません。 3.テロ・爆弾事件発生状況 テロ及び掃討作戦による死亡者数(報道ベース)は,7月:4名,8月:2名,9月: 6名発生しています。アルジェリアにおいて発生したテロ事件(特に爆弾テロ)の大半は, 治安関係者及び治安関係施設が対象になっており,これらの事件に巻き込まれないために も不必要に治安関連施設や検問場所等に近づかないなどの注意が必要です。更に平成25 年1月には日系企業が関係するイナメナス・ガス・プラントに対するテロ攻撃が発生し, 邦人10名を含む多くの外国人が殺害されており,外国関連施設へのテロへの警戒も必要 です。 4.誘拐・脅迫事件発生状況 日本人が関係する誘拐及び脅迫事件の発生は報告されていませんが,本年9月にカビリ 地方においてフランス人観光客1名が拉致され,その後斬首処刑されました。アルジェリ ア人に対する事件の発生は引き続き報道があります。どの地域においても誘拐に対しては 細心の警戒が必要とされます。 5.対日感情 一般市民は友好的です。 6.日本企業の安全に関する諸問題 日本企業のみを標的とした事例は発生していませんが,平成25年1月に日本人犠牲者 を出したイナメナス事件が発生したこともあり,日本人,日本企業を対象とするテロ・誘 拐発生の可能性を否定できない状況にあります。今までにも増してより厳重な警戒を怠る こと無く,特に誘拐に対しては細心の警戒が必要とされます。 7.邦人の安全対策のためにとった当館の具体的措置 在留邦人向けに安全情報提供をメールにて行いました。定例の日本人会会合(原則とし て月1回開催)において当地治安情勢の説明を行っております。 (了)