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交通局(工事) (PDF形式, 377.96KB)

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交通局(工事) (PDF形式, 377.96KB)
1 監 査 種 別
定期監査(工事監査)及び行政監査
2 監 査 対 象
交通局
3 監 査 期 間
平成23年11月18日から
平成24年 4月23日まで
4 監 査 結 果
第1 監査結果の概要
1 監査の概要
今回の監査では、交通局における平成 22 年 4 月 1 日から平成 23 年 9 月
30 日までに完成した工事及び平成 23 年 9 月 30 日現在施工中の工事 786 件
から 56 件、並びに調査・設計及び保守管理委託 606 件から 21 件を抽出し
た。
監査に当たっては、工事の設計・積算・施工・検査及び委託業務などが
適正に執行されているかといった視点に加え、防災に関連した保守業務委
託が適切になされているかなどを重点項目として、書類審査及び現地調査
を行った。
監査の結果、一部に注意、検討、改善を要する事例が見受けられた。今
後の事務執行に当たっては、これらの点に留意するとともに、必要な措置
を講じられたい。また、措置を講じた場合は、その旨を通知されたい。
2 指摘事項の要点
(1) 設計について
視覚障害者誘導用ブロックの設計に当たり注意・改善すべきもの
(2) 積算について
昼夜 2 交替作業における施工費用の積算に当たり注意すべきもの
(3) 施工について
耐火構造の壁の施工に当たり注意・改善すべきもの
(4) 施設の維持管理について
消防用設備の維持管理に当たり改善すべきもの
(5) その他
消防用設備における点検委託の発注に当たり検討すべきものなど 3 件
3 実地検査
4 意
見
防火意識の高揚と管理体制の強化について
第2 指 摘 事 項
1 設計について
視覚障害者誘導用ブロックの設計に当たり注意・改善すべきもの
視覚障害者誘導用ブロックには、点状ブロックと線状ブロックの 2 種
類がある。本市の福祉都市環境整備指針では、バスターミナルのバスが
停留する場所などに接する部分には、視覚障害者がバスの停留する場所
などへ誤って入ってしまうことを防ぐため、点状ブロックや柵などを設
置することと定められている。また、主として誘導対象施設の方向を案
内する線状ブロックは、できるだけ曲がりが少なく、連続的に敷設する
ことと定められている。
「原バスターミナル安全対策工事」では、バスターミナルのバスが停
留する場所に接する歩道の部分に、点状ブロックを設置していた。また、
点状ブロックを必要とする範囲にある排水桝の蓋には、構造的に点状ブ
ロックが設置できないため、代わりに点状シートを貼り付けていた。一
方、今回施工を行った付近には、誘導用の線状ブロックが既に設置され
ていたが、排水桝の蓋には設置されておらず、連続的な誘導がなされて
いなかった。したがって、今回の工事にあわせて、線状ブロックが設置
されていない排水桝の蓋についても線状シートを貼り付けるなどして、
連続的な誘導が確保されるよう設計すべきであった。
また、
休止中の停留所においては、
視覚障害者の進入を防止するため、
仮設のバリケード柵が設置されていたが、さらに点状ブロックを設置し
ていた。この停留所の使用計画の有無について確認したところ、工事が
完了してから既に 9 か月が経過していたにもかかわらず、直ちには使用
する計画がないとのことであったため、今回の工事で点状ブロックを設
置する必要性があったか疑問がある。
排水桝の蓋に設置
されていない線状
ブロック
本工事で設置され
た点状ブロックと
点状シート
仮設のバリケード柵の設置箇所
に設置された点状ブロック
視覚障害者誘導用ブロックの設計に当たっては、福祉都市環境整備指
針に基づいて、欠落なく連続的に設置するとともに、停留所の使用計画
を十分検討した上で、設計を行うよう注意されたい。また、既設の線状
ブロックの欠落は、視覚障害者にとって使いやすい状態ではないため、
現状の不適切な状況を改善されたい。
( 自動車施設課 )
2 積算について
昼夜 2 交替作業における施工費用の積算に当たり注意すべきもの
国土交通省の土木工事標準積算基準書では、100 ㎡当たりなど一定規
模の工事を施工するのに必要な労務、材料、機械器具等の標準的な数量
である歩掛りについて定められている。そのうち、労務歩掛りについて
は、8 時間作業を行った場合の必要な数量となっている。また、昼夜 2
交替作業においては、8 時間は基準労務単価とし、深夜の時間には深夜
割増しを、8 時間を超える時間には時間外割増しを加算して労務単価を
算定することと定められている。
「高速度鉄道第6号線ほら貝工区土木工事」では、地下鉄桜通線の相
生山駅から神沢駅間においてトンネル工事を行っていた。
この工事では、
施工途中に発見された支障物件を早急に撤去するために、11 時間ずつ昼
夜 2 交替で薬液注入工を追加して施工していた。
薬液注入工の施工に必要な労務費の積算に当たって、11 時間作業にお
ける労務単価については、基準労務単価に深夜割増しや時間外割増しを
加算して算出している。一方、11 時間作業における労務歩掛りについて
は、11 時間作業が 8 時間作業に比べて、3 時間分の作業時間が増加し、
その分施工できる工事量も増加するため、同じ工事量を施工するのに必
要な労務歩掛りは減少することとなる。このことから、11 時間作業にお
ける労務単価を使用する場合には、積算基準で定められた 8 時間作業に
おける労務歩掛りに 8/11 を乗じて、11 時間作業に換算した労務歩掛り
を使用すべきところ、8 時間作業における労務歩掛りをそのまま使用し
ていたため、労務費が過大となっていた。
昼夜 2 交替作業における施工費用の積算に当たっては、労務歩掛りや
労務単価の内容を把握して、11 時間作業における労務単価を使用する場
合には、
労務歩掛りについても 11 時間作業に換算した労務歩掛りを用い
て積算するよう十分注意されたい。
( 土木課 )
3 施工について
耐火構造の壁の施工に当たり注意・改善すべきもの
鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準(平成 14 年 3
月 8 日国鉄技第 157 号)では、地下鉄駅の換気機械室は、耐火構造の壁
で他の部分と区画するよう定められている。
また、建築基準法では、耐火構造の壁は、国土交通大臣が定めた構造
方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものと定められてい
る。
当局は「高速度鉄道第6号線神沢駅建築工事」において、地下鉄駅の
換気機械室と通路の間に、間仕切壁を設置していた。この間仕切壁は、
前述の解釈基準に基づき、耐火構造としなければならない。このため請
負人は、施工計画書において、国土交通大臣の認定を受けた工法(以下
「認定工法」という)
(図 1)で間仕切壁を施工することとしていた。し
かしながら、実際の間仕切壁は、認定工法とは異なる工法(図 2)で施
工されていた。また、国土交通大臣が定めた構造方法とも異なる方法で
あった。
図 1 認定工法
図 2 認定工法とは異なる工法
監督員は、工事の各段階において、現場が施工計画書通りに施工され
ているかを確認するなど、適切な施工監理に努められたい。また、当該
間仕切壁については、耐火性能を有していることが保証できる構造とな
るよう改善されたい。
なお、当局は、指摘に基づき、平成 24 年 2 月に改善工事を実施した。
( 土木課 )
4 施設の維持管理について
消防用設備の維持管理に当たり改善すべきもの
消防法では、防火管理者は、消防用設備が火災時に正常に作動するよ
う定期的に点検し、維持管理することと定められている。
当局は「消防用設備等の点検委託(交通局分)」において、地下鉄駅、
変電所及び営業所等の施設について、消防法に基づく設備の点検委託を
行っていた。その点検結果報告書には、一部の感知器について、「未点
検」と記載されていた。
当局に詳細な状況を確認したところ、次表に示した通り、換気機械室
内にある送風機の稼働中は室内に入室できない、あるいは、高所に設置
されている、などの理由により感知器の点検が行われていなかった。な
お、浅間町駅及び矢場町駅の感知器については、少なくとも平成 21 年度
から点検が行われていなかった。
未点検の感知器
施設名称
点検
対象数
未点検
の数
設置場所
上前津駅
139
2
換気機械室内
御器所ステー
ションビル
703
1
1階油庫
高所に設置されているため
中川営業所
97
4
整備場
高所に設置されているため
浅間町駅
91
2
矢場町駅
48
2
ショーウィンド
ケース内
ショーウィンドケースが開け
られないため
藤が丘工場
419
3
配電室
高圧電線が近接しているため
未点検の理由
送風機稼働中のため
パイプシャフト内 高所に設置されているため
本件業務委託の契約上、感知器は、設置の状況や場所に関係なく、消
防法に基づいて全数点検し、適正に維持しなければならない。特に、不
特定多数の旅客が利用する地下鉄駅で、火災時に感知器が作動しなかっ
た場合、大きな被害につながる恐れがある。
このため、未点検の消防用設備については、危険が伴う点検箇所での
安全対策等を講じた上で、法令に基づき、確実に点検を実施されたい。
( 電気事務所 )
5 その他
(1) 消防用設備における点検委託の発注に当たり検討すべきもの
消防用設備の一つである自動火災報知設備は、煙感知器や受信機など
の機器から構成されている。その点検に当たっては、消防関連の法令等
に基づき、煙感知器の感度試験や機器点検などを行い、設備が確実に作
動するよう維持管理しなければならない。
当局の変電所では、自動火災報知設備などの消防用設備の点検が行わ
れている。その自動火災報知設備の点検状況を確認したところ、同じ変
電所において、「高速度鉄道変電所自動火災報知設備保守点検委託」で
は、煙感知器の感度試験のみを行っており、「消防用設備等の点検委託
(交通局分)」では、煙感知器の感度試験を除く、煙感知器の機器点検
など自動火災報知設備の点検を行っていた。そのため、同じ煙感知器に
ついて、別々の点検委託の受託者が、それぞれ異なる点検を行う状態と
なっていた。
一つの機器について、別々の受託者が点検を行うことは、非効率であ
り、維持管理上の受託者の責任も不明確となる。消防用設備の点検委託
に当たっては、効率的に点検が実施でき、また、受託者の責任が明確と
なるように発注方法の見直しについて検討されたい。
( 電気課、電気事務所 )
(2) 足場設置撤去工の施工単価の作成に当たり改善すべきもの
「高速度鉄道第 1 号線高欄改良工事」では、鉄道高架部分の老朽化した
高欄(注)を、新たな高欄に取り換える工事を行っていた。工事に必要と
なる作業用足場の設置撤去費用を算出するに当たり、当局では、労務費、
建設機械に係る費用等を組み合わせて、1 メートル当たりの工事費用と
なる単価を作成していた。そのうち、労務費については過去に行った高
欄改良工事実績を反映し、また、建設機械に係る費用は、25t吊ラフテ
レーンクレーンを使用することを想定していた。しかしながら、実際の
施工では、25t吊ラフテレーンクレーンより規格の小さい 2.9t吊クレ
ーン装置付トラックを使用しており、また、直近 3 箇年の高欄改良工事
の施工においても25t吊ラフテレーンクレーンの使用実績が認められな
かった。
高欄改良工事の足場設置撤去工の施工単価を作成するに当たっては、
工事実績を調査するなどして、適切なものとなるよう改善されたい。
( 軌道事務所 )
(注) 高欄
高架部分の両側に設置された壁
ラフテレーンクレーン
高欄
クレーン装置付トラック
(3) 建設工事保険の保険期間の設定に当たり注意すべきもの
当局の建築工事共通仕様書(総則)では、工事目的物や部分払の対象
となる出来高部分を建設工事保険に付する場合の保険期間は、工事目的
物等の引渡しの日までとするよう定められている。
ア 保険期間の設定
「亀島駅の施設改良及びバリアフリー整備工事(建築関係分)」
では、建設工事保険の保険期間について、工期末である平成 23 年 3
月 15 日までとしていたが、工事目的物の引渡し日は平成 23 年 3 月
28 日であった。こうしたケースでは、保険加入時に工事完了日から
工事目的物の引渡しの期間を見込んで保険期間を設定するか、ある
いは保険期間を延長する必要があった。
イ 工期変更に伴う建設工事保険の保険期間の延長
「笠寺駅バス回転場始め4箇所詰所及び便所設置工事
(建築工事)
」
では、工期末を平成 23 年 2 月 28 日から平成 23 年 3 月 22 日に延長
する変更契約を行っていた。当初加入した建設工事保険の保険期間
は、平成 23 年 3 月 15 日までであったため、工期変更に合わせて、
保険期間を工事目的物の引渡し日まで延長する必要があった。
建設工事保険の保険期間の設定に当たっては、
建築工事共通仕様書
(総
則)に基づき、適正に行うよう請負人を指導されたい。( 営繕課 )
第3 実 地 検 査
1 検査概要
「第 6 号線電路設備保守点検業務委託」及び「消防用設備等の点検委
託」において、地下鉄の駅構内の電気設備が、適切に維持管理されてい
るかを確認する目的で、絶縁抵抗計を用いた非常用照明回路の絶縁抵抗
測定、接地抵抗計を用いた電気設備の接地抵抗測定、非常用照明設備の
点灯確認及び照度計を用いた照度測定、加熱試験器を用いた警報設備の
作動確認を行った。
なお、検査を行う駅については、当局が管理する 87 駅の中から任意に
桜通線車道駅を選択した。
2 検査結果
(1) 非常用照明回路の絶縁抵抗測定
回路名称
非常灯 B1
1 番・4 番出入口
非常灯 B1
換気塔出入口
非常灯 B1 配電室
換気機械室(2)
非常灯 B2
弱電機械室、消火栓
測定値
基準値
合否判定
2000MΩ以上
0.1MΩ以上
合格
2000MΩ以上
0.1MΩ以上
合格
2000MΩ以上
0.1MΩ以上
合格
2000MΩ以上
0.1MΩ以上
合格
(注) 測定値は直流 500V における測定機器の測定範囲の上限 2000MΩを超えたた
め、数値としては表示されなかった。
基準値は電気設備に関する技術基準を定める省令(経済産業省)による。
(2) 電気設備の接地抵抗測定
接地の種類
測定値
基準値
合否判定
A 種接地
10.0Ω
10Ω以下
合格
(注)基準値は電気設備の技術基準の解釈(経済産業省)による。
(3) 非常用照明設備の点灯確認及び照度測定
検査場所 測定箇所
配電室
点灯状態
測定値
基準値
合否判定
測点 1
点灯
2.8 ルクス
測点 2
点灯
5.4 ルクス
1 ルクス
以上
合格
(注)基準値は鉄道に関する技術上の基準値を定める省令等の解釈基準(国土交通
省)による。
(4) 警報設備の作動確認
検査場所
警報設備の鳴動状態
合否判定
換気機械室
鳴動
合格
以上の結果、非常用照明回路の絶縁抵抗、電気設備の接地抵抗、非常用
照明設備、警報設備は適切に維持管理されていると認められた。
第4 意 見
防火意識の高揚と管理体制の強化について
当局では、地下鉄駅等の施設において、消防法に基づき防火管理者を定
め、火災の発生の防止や火災の被害を最小限にすることを目的として、施
設の防火管理を行っている。
今回の監査では、防火管理が適切に実施されているかといった視点に立
って、消防用設備の維持管理について重点的に調査した。その結果、消防
用設備の点検委託において、高所に設置されており点検が困難であるなど
の理由で、地下鉄駅等の一部の感知器の点検漏れの事例が見受けられた。
その点検状況を調査したところ、感知器は全数点検を行う必要があった
が、当局の担当監督員は、点検が困難な感知器については受託者に点検を
行うよう指示していなかった。このことは、担当監督員が、点検が困難な
感知器の設置場所は一部分に限定されており、施設の安全性に影響を与え
ることはないであろうとの独自の判断により指示をしていなかったものと
推察される。また、防火管理の状況を調査したところ、防火管理上の責任
者である当該施設の防火管理者は、担当監督員とは異なる課公所に所属し
ており、提出された消防用設備の点検結果報告書について押印していたも
のの、感知器が点検されていない理由や、それに伴う問題点等までは把握
していなかった。このことは、防火管理者が、防火管理上の施設への影響
を十分に意識して消防用設備の維持管理を行っていないのではないかと推
察される。
これらのことから、担当監督員や防火管理者は、防火管理について個々
の役割の重要性を必ずしも認識しているとは言えず、双方が連携を図って
防火管理を行うという意識が十分に浸透していないのではないかと思料さ
れる。
地下鉄等の施設は、公共交通機関として安全を最優先し、安心・安全で
快適に利用できるよう維持管理することが求められる。そのため、担当職
員は消防用設備一つひとつの点検の重要性を改めて認識し、さらなる防火
意識の高揚を図る必要がある。また、併せて防火管理者へ適切な情報を提
供し、不具合があった場合、防火管理者が必要な措置を講じるなど、防火
管理体制の更なる強化に努められたい。
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