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詳細版 - GEC
平成 25 年度 環境省委託事業 平成25年度 JCM実現可能性調査(FS) 「民生部門向け省エネガラスの導入事業」 (ベトナム) 報 告 書 詳 細 版 平成 26 年3 月 旭硝子株式会社 <Ⅳ.詳細版 目次> 1. 調査の背景 ........................................................................................................................... 4 ホスト国の JCM に対する考え方 .............................................................................................. 4 2. 調査対象プロジェクト ............................................................................................................ 9 プロジェクトの概要 .................................................................................................................... 9 企画立案の背景 ..................................................................................................................... 10 ホスト国における状況 ............................................................................................................. 16 プロジェクトの普及 .................................................................................................................. 27 3. 調査の方法 ......................................................................................................................... 31 調査実施体制 ......................................................................................................................... 31 調査課題 ................................................................................................................................. 35 調査内容 ................................................................................................................................. 36 4. JCM 方法論に関する調査結果.......................................................................................... 46 JCM 方法論の概要 ................................................................................................................ 46 用語の定義 ............................................................................................................................. 47 適格性要件 ............................................................................................................................. 48 対象 GHG 及びその排出源 ................................................................................................... 52 算定のための情報・データ ..................................................................................................... 52 デフォルト値の設定 ................................................................................................................ 53 事前設定値の設定方法 ......................................................................................................... 56 リファレンス排出量の算定根拠 .............................................................................................. 57 リファレンス排出量の算定方法 .............................................................................................. 59 プロジェクト排出量の算定根拠 .............................................................................................. 59 プロジェクト排出量の算定方法 .............................................................................................. 60 モニタリング手法 ..................................................................................................................... 60 GHG 排出量及び削減量 ....................................................................................................... 61 5. JCM PDD 作成に係る調査結果 ....................................................................................... 63 プロジェクト実施体制及びプロジェクト参加者 ....................................................................... 63 プロジェクト開始時期及び実施期間 ...................................................................................... 64 方法論適格性要件との整合性確保 ...................................................................................... 64 プロジェクト排出源とモニタリングポイント ............................................................................... 65 モニタリング計画 ..................................................................................................................... 66 環境影響評価 ......................................................................................................................... 66 利害関係者のコメント.............................................................................................................. 76 6. プロジェクト実現化に係る調査結果 ................................................................................... 81 プロジェクト開発状況 .............................................................................................................. 81 2 資金計画 ................................................................................................................................. 82 MRV 体制 ............................................................................................................................... 83 プロジェクトの許認可 .............................................................................................................. 84 日本製技術の導入 ................................................................................................................. 84 ホスト国への貢献 .................................................................................................................... 92 環境十全性の確保 ................................................................................................................. 93 その他の間接影響 .................................................................................................................. 93 今後の見込み及び課題 ......................................................................................................... 93 7. その他 .................................................................................................................................. 96 参考文献 ................................................................................................................................. 96 3 1. 調査の背景 ホスト国の JCM に対する考え方 2013 年 7 月 2 日(現地時間同日)、ベトナム社会主義共和国のハノイにおいて、同 国を訪問中の茂木敏充経済産業大臣とグエン・ミン・クアン(H.E. Mr. Nguyen Minh Quang)天然資源環境大臣との間で、二国間クレジット制度に関する二国間文書の署 名が行われた。これにより、二国間クレジット制度が正式に開始される国としては、モ ンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブに続き 6 か国目となる。 http://mmechanisms.org/document/20131004_JCM_goj_jpn.pdf より ホスト国の JCM に対する期待や考え方としては、非常に JCM に期待していると考 えられる。2013 年 11 月 11 日(月)から 11 月 23 日(土)にかけて、ポーランド・ワルシャ ワで COP19 が開催された。その期間中の 11 月 21 日に日本と JCM 導入に署名した 8 カ国の代表が一堂に会し、JCM プロジェクトを精力的に推進していくことが確認され、 ベトナムを含む各国からは JCM を活用した優れた低炭素技術の移転や投資の促進 に対して高い期待が表明された。 各国からの参加者は以下の通りである。 4 日本 インドネシア エチオピア ベトナム モンゴル バングラデシュ ケニア モルディブ ラオス 石原環境大臣 ウィットラー大臣・気候変動担当大統領特使 チァウィチャ環境森林大臣 ハー天然資源・環境省副大臣 トルガグリーン開発環境省副大臣 チャウデュリー環境森林省次官 コーディア環境鉱物資源省次官 アブドラ環境エネルギー省気候変動局長 ルアングシャイサナ天然資源環境省災害気候変動局長 特に COP 閣僚ステートメントにて、ベトナムからは温室効果ガスの削減に対して以 下の意見が表明された。 「ベトナムは、国際的な支援を得ながら、温室効果ガスの 2010 年比 8~10%削減、 GDP 当りエネルギー消費量の毎年 1~1.5%削減、エネルギー期限温室効果ガスの BaU 比 10~20%削減を目指す。この目標の達成には、CDM、REDD+、NAMA、 JCM、その他国内の取組みを活用していく」 図 1-1 ベトナム ハー天然資源・環境省副大臣(Joint High Level Segment, COP19 にて) http://unfccc4.meta-fusion.com/kongresse/cop19/templ/play.php?id_kongresssession= 7054&theme=unfccc ベトナム ハー天然資源・環境省副大臣が COP 閣僚ステートメントの中で JCM に ついて言及する(図 1-1)などホスト国 ベトナムにおける JCM への期待は高く、早期に 良い案件を組成したいと考えていると判断できる。 5 参考 低炭素成長パートナーシップに関する日・ベトナム間の協力覚書(仮訳) 1.経済産業大臣を署名者とする日本側及び天然資源環境大臣を署名者とするベト ナム側(以下「双方」という。)は,国連気候変動枠組条約(以下「条約」という。)第 2 条に言及される条約の究極的な目的及び持続可能な開発の達成を追求し,ま た 2013 年以降も協力して,引き続き気候変動に取り組むため,次のとおり低炭素 成長パートナーシップを推進する。 2.双方は,低炭素成長に向けた国連の下並びに地域的及び二国間枠組みでの協 力のため,様々なレベルで緊密に政策協議を行う。 3.双方は,ベトナム側における低炭素成長を実現するための投資並びに低炭素技 術,製品,システム,サービス及びインフラの普及を促進するため,二国間クレジ ット制度(以下「JCM」という。)を創設し,それぞれの国の関連する有効な国内法 令に従って実施する。 4.双方は,JCM を運営するため,合同委員会(Joint Committee)を設置する。 (1)合同委員会は,双方の代表者から構成される。 (2)合同委員会の委員の構成を含む合同委員会運営規則は,双方の協議を通じ て定められる。 (3)合同委員会は,JCM に関する規則及びガイドライン類,排出削減又は吸収量 の定量化のための方法論,第三者機関の指定に関する要件並びに必要に応じ てその他の JCM の実施及び管理に関する事項を策定する。 (4)合同委員会は,定期的に会合を招集し,JCM の実施状況を評価する。 5.双方は,JCM の下での緩和事業における認証された排出削減又は吸収量を,国 際的に表明した日本側の温室効果ガス緩和努力及びベトナム側の国として適切 な緩和行動(NAMA)の一部として使用できることを相互に認める。 6.双方は世界的な温室効果ガスの排出削減又は吸収に向けた具体的行動を促進 するために,JCM の堅固な方法論,透明性及び環境十全性を確保するとともに, JCM を簡易で実用的なものとする。 7.温室効果ガスの排出削減又は吸収量のダブルカウントを回避するため,いずれの 側も,JCM の下で登録された緩和事業を,他の国際的な気候緩和メカニズムの目 的のためには使用しない。 8.双方は,JCM を実施していく上で必要な資金,技術及びキャパシティビルディン グ支援の円滑化のため,緊密に協力する。特に,JCM の実施のため,日本側は ベトナム側を支援する。 9. JCM は取引を行わないクレジット制度としてその運用を開始する。双方は, JCM の実施状況を踏まえつつ,取引可能なクレジット制度への移行のための協議を継 続し,可能な限り早い段階でそうした協議の結論を得る。 6 10.双方は,JCM が取引可能なクレジット制度に移行された後,JCM を通じ,途上国 の適応努力を支援すべく,具体的な貢献を目指す。 11.本パートナーシップは,本文書の署名から 2020 年に想定されている条約の下 での新たな国際的な枠組みが効力を生じ得る時点までの期間を対象とする。双 方は,とりわけ,国連の下での気候変動に関する交渉の進展を踏まえつつ,あり 得る本パートナーシップの延長につき検討し,本パートナーシップの期限までに 結論を得る。 12.本文書の各内容は,双方間の相互の書面による同意によってのみ修正され得 る。 13.本パートナーシップの解釈,適用及び実施に関するいかなる相違も,双方間の 協議によって解決する。 (了) http://mmechanisms.org/document/JCM/vietnam/JCM_VN_bilateral_document_jp.pdf その他の JCM 案件 本件を含む平成 25 年度の地球環境センター(GEC)における JCM 採択案件は以 下の通りである。国別に見てもベトナムは、6 件あり上位から 2 番目に多い。 表 1-1 H25 年度 二国間クレジット制度の GEC 実証案件組成調査 採択案件 国名 件数 インドネシア 3件 ベトナム モンゴル 2件 1件 表 1-2 H25 年度 二国間クレジット制度の GEC 方法論実証調査 採択案件 国名 件数 タイ ベトナム モンゴル ラオス 1件 1件 1件 1件 7 表 1-3 H25 年度 二国間クレジット制度の GEC 実現可能性調査 採択案件 国名 件数 インドネシア インドネシア&ミャンマー ケニア スリランカ タイ バングラデシュ ベトナム ミャンマー モンゴル 3件 1件 1件 1件 1件 2件 3件 1件 3件 モンゴル 19% インドネシア, 22% ミャンマー 9% ケニア 6% スリランカ 6% ベトナム, 19% タイ 6% バングラデ シュ 13% 図 1-2 平成 25 年度 GEC JCM 実現可能性調査 国別割合 (インドネシア及びミャンマーにまたがる案件は両国に 0.5 件ずつとして作成) 8 2. 調査対象プロジェクト プロジェクトの概要 技術の概要 地球温暖化対策として使用エネルギー量削減が求められる昨今において、省エネ ガラスは建物の温度出入りの多くを占める開口部である窓へ設置することにより、室 内の温度調整を行い、空調の電力使用量の削減をもたらす省エネルギー技術である。 遮熱タイプと断熱タイプがあり、冷房電力の約 30%の削減(1 枚ガラスとの比較)、日 射量を約 60%削減することが可能である。導入には初期コストがかかるのみで、追加 の維持管理費用がなく、工期も建物の建設期間中に施工できることから、非常に適 用可能性の高い低炭素技術であると言える。 ベトナムでは近年の急激な経済成長を背景に、エネルギー消費量がこの 10 年で 約 3 倍に増加しており、省エネルギー推進に向けた取り組みが求められている。日本 では 2008 年より積極的に同国へ省エネルギー普及促進のための普及啓発や設備 投資、技術移転等の取組を行なってきた。これらの成果を受け、ベトナムでは具体化 な省エネ施策が動き始め、2011 年 1 月には省エネ法の施行に至った。2012 年 12 月 の JICA とベトナム商工省共同主催による日本の省エネ技術の海外普及を図る「世界 省エネルギー等ビジネス推進協議会」ワークショップにて、ベトナム商工省エネルギ ー総局のレー・トゥン・フォン副総局長は、ベトナムではエネルギー消費量とコストの 削減は喫緊の課題であり、日本の経験や技術は非常に参考になると述べている。本 技術は両国の協力体制に添い、ベトナムに日本の省エネルギー技術を導入し、二酸 化炭素排出削減を図るものである。 特徴 日本では断熱タイプが比較的多く使用されているが、ベトナムの温暖な気候で、最 高気温 30 度を超える期間が長い国や地域では、太陽エネルギーをカットする遮熱タ イプ(図 2-1)が望ましい。本事業は、熱還流率の低い省エネガラスを業務部門および 家庭部門の建築物に導入するための FS 調査を行うことで、当該部門の主要な排出 活動である空調のエネルギー消費による GHG 排出を削減するものである。なお、普 及促進にあたり、ベトナムの省エネ政策との連携および日本政府の JCM/BOCM の 設備補助活用を想定している。 9 図 2-1 高性能 Low-E ペアガラス 遮熱タイプ (出典: https://www.asahiglassplaza.net/wps/wcm/connect/gplib/navi/p_pro/type/g02/001gl2sn blcb?key=001GL2SNBLCB&qn=pro) 企画立案の背景 本事業をベトナムで展開する経緯 ベトナムは約 9 千万人の人口の過半数が 30 歳未満という成長余力の大きい市場 であり、年率 5%以上の安定した経済成長が見込まれる。同国の塩ビ市場は、東南ア ジアでインドネシア、タイに次ぐ規模であり、経済発展に伴う需要拡大により、2020 年 には現在の 5 割増の規模となる見込みである。 ベトナムの経済は、2011 年での実質 GDP 成長率が 5.9%と高く、政府は 2013 年の 実質 GDP 成長率を 5.5%、インフレ率を 8%以下と設定、景気減速感があるもマクロ 経済は安定の見込である。2010 年度の民間住宅建設投資は 13.7 兆円(対前年度比 0.1%増)、住宅着工戸数は 85.9 万戸(同 10.8%増)と予測している。2011 年度は、 14.4 兆円(同 5.2%増)、住宅着工戸数は 90.5 万戸(同 5.4%)と見込まれ、都心部を 中心に底堅い需要がある。2010 年度の民間非住宅建設投資は 11.8 兆円(対前年 度比 2.2%増)、2011 年度は 13.1 兆円(同 10.7%)と予測されている。したがって、建 物由来の二酸化炭素排出量の増加が見込まれることから、省エネルギー技術適用の 必要性が高い。 ベトナムでは近年の急激な経済成長を背景に、エネルギー消費量がこの 10 年で 約 3 倍に増加しており、省エネが喫緊の課題となっている。2011 年 1 月には省エネ法 10 の施行に伴い、省エネルギーの更なる普及促進が求められている。省エネガラスの 導入はこのベトナムの省エネ政策に一致するものである。 建物の熱の出入りの大半は窓ガラスからであり、建築物の省エネを図るには、窓ガ ラスに断熱・遮熱機能を付加することが最も効果的である(図 2-2)。本技術は既に実 用化されており、設備の導入に伴って他の環境側面や社会側面に悪影響を及ぼす ことがないことから、特に欧州では省エネガラスの導入が進んでいる(図 2-3)が、ベト ナムでの建物への普及は進んでいない。これは建物の部材調達時にはイニシャルコ ストが評価対象となることが多く、省エネ等のランニングコスト削減効果が見落とされ がちであることが要因の一つと考えられる。2013 年にはベトナムの電力価格が 10% 上昇する見込であることから、省エネ効果によるコストメリットは今後さらに大きくなるこ とが予想される。したがって、建築部材の評価は、イニシャルだけでなく、ランニングも 含めたトータルコストにて評価されることが望ましい。なお日本においては、住宅エコ ポイントや新築住宅の省エネガラスの義務化等により普及率の向上が図られている。 本技術は最高気温が 30℃を超える期間の長いベトナムには適した省エネ技術で あることから、ベトナム都市部での建築物に対して省エネガラスを導入することで、ベ トナムの省エネを促進し、二酸化炭素排出量削減に寄与する。 ( 図 2-2 建物の熱の出入りの割合(窓が透明単板ガラスの時) 出 典 11 : http://www.meti.go.jp/policy/jyutaku/jyutaku_vision/files/080531_shouene04-3.pdf) 表 2-1 各国の省エネガラスの普及率 (2007 年) (出典: http://www.meti.go.jp/policy/jyutaku/jyutaku_vision/files/080531_shouene04-3.pdf) ベトナムの人口分布 ベトナムの人口分布は、若い層が中心となっている。25 歳以下の人口に占める割 合が 40%程度となっており、今後結婚等を機会に新たな住宅についての供給も増え ると予想される(図 2-3)。 12 図 2-3 ベトナムの人口分布 (出典:JETRO ホーチミンスタイル(2011) https://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000758/vn_all.pdf) ハノイ、ホーチミンの気候 ベトナムは南北に長い S 字型の国土を有している。ハノイとホーチミンでは気候の 特色が異なる。ハノイでは、一年間の寒暖の差があり、冬季では気温が 10℃以下とな るが、一方夏季は 32℃近くになる。また、日照時間も一年間の変動が激しい(図 2-4)。 ホーチミンでは、一年間を通して平均気温が 32℃程度であり、年中温暖な気候であ る。また、日照時間も一年間を通して月当り平均 170 時間であり、ほぼ一定している (図 2-5)。 13 図 2-4 ハノイの気象条件 図 2-5 ホーチミンの気象条件 14 現地とのコネクション 2013 年 5 月に行われた東アジア低炭素成長パートナーシップ対話にて、省エネガ ラスに関してプレゼンテーションおよびデモ機の展示を行った(図 2-6)。ベトナムから も、クアン天然資源環境大臣以下関係者が出席した。またこの対話には、東アジア関 係各国の他 ADB、ESCAP、OECD、UNDP、UNIDO、世界銀行、JBIC、JICA 等多数 の国際機関等も参加している。後日、ベトナム大使館を訪問し再度省エネガラスの重 要性の説明を行い、デモ機を用いて通常のガラスとの違いを体験して戴いた。 図 2-6 東アジア低炭素成長パートナーシップ会合での省エネガラスの紹介(2013 年 5 月) 他製品を含めた当該地域での展開状況 AGC 旭硝子株式会社は、2013 年にベトナムの塩ビ事業会社フーミー・プラスチッ ク・アンド・ケミカルズ社(PMPC 社) の持分 78% を取得することについて、同社親会 社であるペトロナス・ケミカルズ・グループ社と合意した。PMPC 社は、成長するベトナ ムの塩ビ樹脂(PVC)市場で 3 割を超えるシェアを有しており、この買収により当社グ ループはベトナムでの事業展開を本格的に始動することになる。また、本件により、 当社グループの PVC グローバル生産能力は、先に発表したインドネシアにおける増 強と合わせて現行の倍増以上の 65 万トン/年となる。 今後、重化学工業などの立ち上がりとともに、苛性ソーダや塩酸など塩ビ以外のク ロール・アルカリ製品の需要伸長も期待される。 当社グループは、現在、インドネシアとタイに生産拠点を持ち、苛性ソーダ・塩素か 15 ら塩ビまでを一貫生産する東南アジア地域最大級のクロール・アルカリメーカーでも ある。また、同地域の旺盛な需要に応えるため、インドネシアでは 2015 年末までに苛 性ソーダおよび塩ビの生産能力を大幅に増強することを決定している。このインドネ シアの投資に続き、成長余力の大きいベトナム市場に新たに拠点を持つことで、東南 アジアにおけるクロール・アルカリ事業のさらなる拡大を目指す。 以上のように化学製品においても当該地域において展開を行っている。 http://www.agc.com/news/2013/1106.pdf ホスト国における状況 エネルギー関連政策およびその実態 天然資源・環境省は、20 年までに低炭素経済に相当する水準に移行するには、 水力、太陽光エネルギー、風力、バイオガス、およびバイオマスを含む再生可能なエ ネルギーの利用を拡大する方針である。その一方で、エネルギーを 効率的に利用 することも重要な課題となっている。 ベトナムにおける電力生産量は毎年高い割合で伸びている(図 2-7)。また、一人当 りの電力消費量も伸び続けており(図 2-8)、スプリット型のエアコンの普及率も 2 割程 度となってきている(表 2-2)。家電製品の効率化については、下記のような動きとなっ ている。 ベトナムでは 2006 年 4 月、省エネルギー及びエネルギーの効率的利用に関す る首相決定書が発効されたことを受け、省エネに関する国家目標が設定された。また、 同年 11 月 16 日付の商工省(Ministry of Industry and Trade,以下 MOIT)通達 08/2006/TT-BCN 号により、省エネ認証ラベルと省エネ比較ラベルの 2 種類が規定 された。 その後、ベトナムでは 2006 年 4 月、省エネルギー及びエネルギーの効率的利 用に関する首相決定書が発効され、以下①~⑦の目標が設定された。 ① 2006~2015 年省エネ数値目標の設定 (a) 2006~2010 年の間に全国で 3~5%のエネルギー削減 (b) 2011~2015 年の間に全国で 5~8%のエネルギー削減 ② 2010 年までに省エネ法(案)および関連法的枠組みを作成 ③ 2006~2010 年の間、指定工場の 40%にエネルギー管理システム(DSM)を 導入し、 2015 年までに は 100%を達成する ④ 2006 年以降に新築されたビルへの省エネ基準の適用の強制化 ⑤ 2010 年までに、省エネ推進に向けたエネルギー料金メカニズムを構築 ⑥ 省エネ高効率機器の導入促進(2006~2010 年の間に 5 機器の最小エネ 16 ルギー効 率基準を公表、2013 年までに更に 5 機器について同基準を公表) ⑦ 運輸部門の省エネ推進(能力の最大利用、燃料消費の最小化、代替燃料試 行) 上記の省エネルギー及びエネルギーの効率的利用に関する国家目標(以下、省 エネ国家目標。)を、社会全体に定着させる為、奨励・促進活動、住民啓発活動、科 学研究活動などの対策プログラムが設定された。同プログラムは 2006~2015 年まで の間に 2 つのフェーズに分けて実施される。 フェーズ 1(2006~2010 年-2010 年):本プログラムのすべての内容を積極的に展 開 フェーズ 2(2011~2015 年-2015 年):フェーズ1の成果を踏まえ、その内容をさら に集約的に幅広く展開 省エネ国家目標プログラムは、以下の 6 グループ分かれた 11 のプロジェクトを平 行して実施するものである。 ① 省エネルギー及びエネルギーの効率的利用に関する行政管理を強化し、省 エネルギーに関する管理体制を構築すること プロジェクト 1:工業生産、建築物の運営管理、家庭、その他のエネルギーを消 費する設備における省エネルギー、及びエネルギーの効率的利用に関する法 制度を整備 ② 省エネルギー、エネルギーの効率的利用、環境保全を促進するための情報 共有、住民啓発、意識向上などの推進プロジェクト 2:省エネルギー、及びエネル ギーの効率的利用に関する住民意識の向上 プロジェクト 3:国家教育制度における省エネルギー、及びエネルギーの効率的 利用の教育を導入 プロジェクト 4:「家庭における省エネルギー、及びエネルギーの効率的利用」の モデル構築のための運動の展開 ③ 高効率・省エネの設備を開発し普及させ、低効率の設備を段階的に排除す る プロジェクト 5:特定製品に対する省エネ基準の開発、及びラベリング プロジェクト 6:最小エネルギー効率基準を遵守する国内製造者に対しては、技 術 支援を行う ④ 工業分野における省エネルギー、及びエネルギーの効率利用 17 プロジェクト 7:企業内において、省エネルギー、及びエネルギーの効率的利用 のための管理モデルを構築 プロジェクト 8:企業に対する省エネルギー、及びエネルギーの効率的利用を目 的と する生産技術の更新、改善、合理化のサポート ⑤ 商業ビルにおける省エネルギー、及びエネルギーの効率利用 プロジェクト 9:省エネルギー、及びエネルギーの効率利用に関するビルの設計、 建設、運営管理の能力向上 プロジェクト 10:商業ビルにおける省エネルギー、及びエネルギーの効率利用の モデルの構築 ⑥ 交通運輸分野における省エネルギー、及びエネルギーの効率利用 プロジェクト 11:交通機関・交通設備の能力を最適に活用し、燃料消費量を削減 し、 CO2 排出量を削減 また、2010 年 6 月 17 日に制定された省エネ法(Law on Energy Efficiency and Conservation、50/2010/QHIZ)が 2011 年 1 月 1 日に施行され、国家機関、企業、家 庭における省エネ対策の実施が定められた。 同法においては、建設省が省エネ建設設備設計基準をまとめ、建設許可の規定 を発効する。また、国内生産(又は輸入)される設備は、製品の消費エネルギーを明 記したシールを貼付しなければならず、規定違反には、製品が没収されるなどの罰 則がある。他方、省エネ製品の生産に投資する者には税や銀行融資での優遇が与 えられる。 2011 年 12 月 12 日には、国の予算を使用する政府機関に、省エネ製品の購入 を義務付ける首相決定 68 号(68/2011/QD-TTg 号)が公布され、2012 年 2 月 1 日 より施行される。これにより、省エネ製品の購入が義務付けられる品目は、電球型蛍 光灯、直管蛍光灯、蛍光灯用整流器、扇風機、エアコン、冷蔵庫、分配変圧器、公 共照明設備、太陽熱温水器、テレビ、コンピューター・ディスプレー、プリンター、コピ ー機の 13 品目で、省エネ認証マークまたは省エネ比較マークの5つ星が貼付され た製品を購入しなくてはならない。 (「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機 構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 18 図 2-7 ベトナムの電力生産量(10 億 kWh) (出典:「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 図 2-8 ベトナムでの一人あたりの電力消費量の推移(kWh/人) (出典:「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 19 表 2-2 ベトナムにおける家電製品の普及率 (出典:「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 20 図 2-9 電力の普及率 (出典:「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 図 2-10 ベトナムの平均電力価格の推移 (出典:「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2012)) 21 気候変動関連の政策およびその実態 1986 年のドイモイ(刷新)政策導入以降、ベトナムでは急速な経済成長により、エ ネルギー需要(最終消費量)の増加が続いている。 ベトナムは近年の急速な経済成 長により,エネルギー需要(最終消費量)が 1990 年から 2006 年の 16 年間で約 5 倍 に増加しており,温室効果ガスの増加率(1995 年から 2005 年まで)は,アジア主要国 の中で最上位となっている。 このような背景から、ベトナムではエネルギー分野からの温室効果ガス(GHG)排 出量が増大しており、GHG 排出量の年間平均増加率(1990 年-2006 年)はアジア主 要諸国の中で最上位となっており、GHG 排出削減に向けた、再生可能エネルギー 開発・利用の促進、省エネルギーの振興、森林面積の減少抑制等の対策の具体化 が急務となっている。 一方、ベトナムは約 3,400km に及ぶ長い海岸線、広大なデルタ地帯を有しており、 気候変動の影響を最も受けやすい国の一つに挙げられている。今後、仮に 1m の海 面上昇が起こると人口の約 11%が影響を被り、また GDP の約 10%を失うと予測され ており、将来の気候変動に伴う災害の発生頻度の増加・深刻化は、同国の持続的な 開発にとっての重要なリスク要因となることが懸念されている(図 2-11 から図 2-14)。 ベ ト ナ ム 政 府 は , 2008 年 に 「 気 候 変 動 対 策 に か か る 国 家 目 標 プ ロ グ ラ ム 」 (NTP-RCC)を策定し,天然資源環境省を主管省庁として首相を議長とする運営委 員会を設置し,省庁横断的に気候変動対策のための各種政策形成を指示している。 また,2011 年 12 月に「国家気候変動戦略」が策定されたほか,2012 年 1 月には首 相を議長とする「国家気候変動委員会」(NCCC)が立ち上げられ,今後 NTP-RCC の 運営委員会,執行委員会の権限・機能 が同委員会に一元化されることとなってい る。 22 図 2-11 東アジア各国の海面上昇 5m の時に影響を受ける人口比率 (出典:World Bank 2007) 23 図 2-12 ベトナムでの海面上昇時の浸水地域 (出典:Word Bank 2007) 24 図 2-13 海面上昇による東アジアにおける影響(人口) 図 2-14 海面上昇による東アジアにおける影響(GDP) 住宅・建築政策 ベトナムにおける建設計画への投資を促すため、政府は「建設計画への投資計画 の 管 理 に 関 す る 2009 年 2 月 12 日 の Decree 12/2009/ND-CP ( Nghị ðịnh 12/2009/NÐ-CP về quản lý dự án ðầu tý xây dựng công trình)」を出した。これは、建 設計画への投資の準備、評価、および承認、投資計画の実行および建設作業に従 事する組織と個人の能力に関する 2003 年の Construction Law の規定を遂行するこ とを目的としている。 25 この法律には建設許可を取得するための環境の影響に関する評価を含む実現可能 性に関する調査報告書を作成する義務、および建設現場における健康、安全、およ び環境に関する問題の管理に関する必要条件などの環境、健康、安全に関する諸 問題についての様々な規定が含まれている。 ベトナム・グリーン建物評議会(VGBC; Hội Đồng Công Trình Xanh Việt Nam)は、 ベトナムで環境に配慮した建物の建設を促進することを目的とした非営利団体である。 この団体は、公共の利益のために活動する国際的な非政府組織であるグリーン・シ ティーズ・ファンド社(GCF)の計画の一つとして組織された。VGBC は、09 年 3 月に MOC によって正式に法人として認められた。VGBC の目的には、学界、政府、およ び民間部門と共同で持続可能な環境に配慮した建物の環境を作り、環境に配慮した 建物の実践内容を計るための能力を実現することなどが含まれる。 この団体が生み出した成果の一つとして、米国の LEED、英国の BREEM、オース トラリアの Green Start などと同様のシステムを基盤とする LOTUS 評価ツールがある。 LOTUS の概要は次の通りである。 1) LOTUS 暫定認定書の有効期間は 2 年間で、計画の策定が完了し、環境に配慮 した建物としての必要条件が満たされる場合に発行される。この認定書を取得した 者は、建設の早い段階で環境に配慮した計画であることを表示することができる。 2)LOTUS 正式認定書の有効期間は 3 年間で、竣工後の運営・管理が 18 ヶ月続い た後に発行される。この認定が与えられた計画は、設計段階から建設と運営の最 終段階に至るまで環境に配慮した建物に関するあらゆる必要条件と戦略が遂行さ れたものと見なされる。計画には、環境に配慮した建物が、環境上の利点をどのよ うに発揮するのかが示されなければならない。 LOTUS 正式証明書を取得するには、計画に対して LOTUS 暫定証明書がすでに発 行されている必要がある。 Decision 67/2009QD と Resolution 18/NQ-CP of 2009 は、都市部に暮らす学生、労 働者、および低所得者のための住居の開発に関する政策とメカニズムを定めている。 ベトナムでは急速に都市化が進んだ影響で都市の住人が増えたが、それに見合った 住宅環境の改善は遅れをとっている。 政府は、都市部の住宅のおよそ 25%が基本的な標準を満たしていない水準である か、仮設的な住宅であると見積もっている。経済発展に取り残されている低所得者に とって生活環境は悪化している。建設省の住居・不動産事務局は、社会学協会、住 居の権利に関する社会科学学会アジア同盟(ACHR)、国連計画基金Ⅱなどと協力 関係を築き、社会住宅供給計画を策定している。 ハノイはこの計画の試験運用を行った最初の都市の一つである。この計画に沿っ て、10 年末までに 7,000 軒の集合住宅が建設されたと推測されている。 他の都市部も同様の住宅供給計画に乗り出しているが、存続している計画の数は、 26 当初申請された計画の数を下回っている。建設省によれば、82 万 1,000 人の低所得 者のために 20 万 5,000 軒以上の集合住宅を供給する 527 の社会住宅供給計画が 着手され、132 兆ドン(1 ドン=0.007 円)を充てたという。 しかし、10 年に入った時点で、実際に着手されたのは 55 の計画のみであった。 社会住宅供給計画への投資者は、土地、税金、および貸付に関するインセンティブ を受けることができるが、補助金の支払いが滞っていることが原因で、計画が十分に 機能していないものとみられている。 ベトナムの環境に対する市民意識と環境関連政策 日本貿易振興機構 海外調査 部(2011 年 2 月) プロジェクトの普及 ・省エネガラスの展開ポテンシャル ベトナムにおける現時点での省エネガラスの普及状況は極めて低い。ハノイにお いては、断熱のため複層ガラスは一定以上のホテル等には採用が見られるが、遮熱 のための省エネガラスはほとんど見ることが出来なかった。しかしながら、今後都市化 が進み、人口の増加が見込まれるため住宅等を中心に建物の着工が増えていくと考 えられる。 特にハイエンドやミッドエンドと呼ばれる高級、中級のマンションには、日射を防ぎ 室内の快適性を向上させる省エネ(遮熱)ガラスが浸透していくと思われる。また、事 務所ビルにおいても外資系をはじめとして高級化が進んでおり、住宅と同様に省エネ (遮熱)ガラスが浸透していくと思われる。特に 2013 年に建設省が発行した「エネルギ ーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD) には、窓ガラスの遮熱性能等についても規定されており、法制度の充実および遵守 の強化 と相まって、今後益々省エネガラスが普及していくと考えられる。 またタイ王国やインドネシア等他の東南アジア諸国においても、省エネガラスの導 入はベトナムとほぼ同様の状況であり、他国への展開の可能性は高い。 特にタイ王国について注視すると、2011 年の APEC Economy Update – Thailand: Compliance Activities on Energy Efficiency in Thailand の資料では、建築物全体の 電力消費における空調が占める割合は住宅で約 2 割、業務用建築物で 5 割から 6 割を占めると発表されており、建築物における電力消費を大きな課題と捉えている。 27 図 2-15 タイ王国における建物での電力消費割合等 (出典:APEC Economy Update – Thailand: Compliance Activities on Energy Efficiency in Thailand(2011)) Thailand Greenhouse Gas Management Organization (TGO)が 2013 年 3 月に報告した 資料によると、今後の省エネ・低炭素推進において建物が重要と述べられている。タ イ王国における自主的排出権取引制度である T-VER においても建物が重点政策と なることが予測され(図 2-15、図 2-16)、本プロジェクトは非常に有意義なものと考えら れる。 28 図 2-16 建築分野における自主的排出権取引パイロットプロジェクト(タイ王国) (出典:Voluntary Emission Trading Scheme (TVETS) and Voluntary Emission Reduction Program (T-VER) in Thailand) 29 図 2-17 T-VER 適合プロジェクト(2013 年現在) さらに DEDE(Department of Alternative Energy Development and Efficiency)による と、タイにおいてエネルギー消費の 23%は建物で使用され、特に住宅用では 2 割、 商業用では 5 割が冷房に使用されているため、建物に対する省エネが急務であると されている。 なお、現時点では省エネガラスによる削減は、T-VER 適合プロジェクトに登録されて いないが、Others として TGO が認めたプロジェクトは対象となり得る(図 2-17)。 30 3. 調査の方法 調査実施体制 本調査の実施主体は、旭硝子株式会社であり調査全体を統括し報告書の取りまと めを行った。下記のように MRV 方法論の策定支援等に関して株式会社レノバに、ま た省エネ効果のコンピューターシミュレーションに関して AGC アメニテック株式会社 に依頼した。現地政府機関に対するヒアリング先として、天然資源・環境省、建設省、 商工省、外国投資庁、省エネルギーセンターを訪問した。 下記に旭硝子株式会社、株式会社レノバおよび AGC アメニテック株式会社の役 割について示す。 旭硝子株式会社 調査統括 方法論案構築 PDD 作成 実施体制、MRV 体制の立案 資金計画、工事計画、運営計画の立案 株式会社レノバ 現地基礎情報調査支援 MRV 方法論策定支援 報告書作成支援 AGC アメニテック株式会社 省エネ効果のコンピューターシミュレーション 31 プロジェクト実施者 途上国政府機関 天然資源・環境省 建設省 商工省 外国投資庁等 AGC 旭硝子株式会社 ベトナム現地団体等 省エネセンター VGBC ガラス協会等 外注 レノバ株式会社 AGC アメニテック株式会社 翻訳、その他 図 3-1 調査実施体制 訪問先の役割(ベトナム環境保護法による) 天然資源・環境省 政府に対し、国の環境保護管理に関し、以下の責任を負う。 a) 権限に従い、環境保護に関する法律文書を政府に提出する、又は公布する。 b) 環境保護に関する政策、戦略、国家計画の決定を政府に提出する。 c) 2 省以上にまたがる環境問題の解決を主管する、又は解決のため政府及び政府 首相に環境問題を提出する。 d) 政府の規定に従い、環境基準システムを構築し、公布する。 e) 国の環境観測データシステムの構築並びに管理及び環境観測データの統一的 管理を主管する。 f) 国の環境の現状評価を指導し、環境保護に関する主張及び解決方法を提示す る。 g) 審査・決定の統一的な管理、戦略的環境評価報告の承認、環境負荷評価、全国 的な環境保護保証書の登記、戦略的環境評価報告審査・決定の組織化、権限内の 環境負荷評価報告の審査・決定並びに承認の組織化、環境に優しい事業所並びに 32 天然製品の登記に関する指導、及び環境基準合格証明書の発行を行う。 h) 環境保護に関する法律違反の指導、検査、処理を行い、関連法律の規定に基づ き環境保護に関する紛争、提訴、告訴、建議を解決する。 i) 政府に対し、環境に関する国際組織への参加、国際条約の調印又は加盟を提議 し、各国及び国際組織との環境保護に関する国際協力活動を主管する。 j) 各レベルの人民委員会による環境保護に関する法律の実施を指導し、検査する。 k) 全国における土地利用計画、国家資源に関する戦略、及び 2 省以上にまたがる 河川流域総合計画、における環境保護要求を保障し、鉱物資源の基盤調査、測定、 開発、加工に関する国家全体戦略を策定する 建設省 資源環境省、省、省同等機関、政府所属機関及び省レベルの人民委員会と協力し、 環境保護に関連する法律、及び都市、集中的サービス区、生産区、建設資材生産 事業所、集中的農村居住区における上下水道基礎施設の建設、固形廃棄物並びに 都市廃水処理施設の建設に関する規定の指導、検査を主管する責任を負う。 商工省 資源環境省、省、省同等機関、政府所属機関及び省レベルの人民委員会と協力し、 工業分野の環境保護に関連する法律並びに規定の実施、及びその管理権限に属す る、重大環境汚染をもたらした工業事業所の処理、及び環境産業の開発の指導を主 管する責任を負う。 外国投資庁(計画投資省) 省、省同等機関、政府所属機関及び省レベルの人民委員会と協力し、国会、政府、 政府首相の決定権限に属する、戦略、総合計画及び国の経済・社会発展計画、重 要プロジェクトにおいて環境保護要求を保障する責任を負う。 省エネルギーセンター その他の省、省同等機関及び政府所属機関は、本法律に具体的に規定される任務 を実施し、資源環境省と協力して、自己の管理範囲において、環境保護に関する法 律を指導、検査する責任を負う。 (http://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/business/pdf/pdf/VN_20051018.pdf より) また現地団体に対するヒアリング先として VGBC、JBIC、JICA、JETRO 等を訪問し た。 訪問先の役割 33 Vietnam Green Building Council (VGBC) VGBC は、2007 年にベトナムにおけるグリーンビルディングの発展のための認知度の 向上とキャパシティビルディングを目的として設立された。VGBC の目的は、より持続 的な環境を構築するため、政府、学術、民間セクターの協力を円滑にするよう行動す ることである。 JBIC ハノイ駐在員事務所 JBIC は、日本企業の海外での製造・販売事業や機械・設備や船舶等の輸出への支 援、日本企業の海外でのインフラ事業参画への支援等を行っており、日本の産業の 国際競争力の維持・向上に貢献する。ハノイ駐在員事務所は、ベトナムにおける JBIC の海外事務所である。 JICA ベトナム事務所 JICA は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国 への国際協力を行う。「すべての人々が恩恵を受けるダイナミックな開発」というビジョ ンを掲げ、多様な援助手法のうち最適な手法を使い、地域別・国別アプローチと課題 別アプローチを組み合わせて、開発途上国が抱える課題解決を支援する。JICA ベト ナム事務所は、ベトナムにおける JICA の事務所である。 JETRO ハノイ事務所及びホーチミン事務所 「我が国の貿易の振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施すること並びにアジ ア地域等の経済及びこれに関連する諸事情について基礎的かつ総合的な調査研究 並びにその成果の普及を行い、もってこれらの地域との貿易の拡大及び経済協力の 促進に寄与することを目的とする。」(独立行政法人日本貿易振興機構法(第 3 条)よ り抜粋) JETRO ハノイ事務所及びホーチミン事務所は、ベトナムのハノイ及びホーチミンにお ける JETRO の事務所である。 ベトナムガラス協会 (Vietnam Glass Association)(1/24) ベトナムガラス協会に加盟しているガラス製造会社は 8 社、板ガラス 7 社、1 社は電球 用ガラス。事務局は、加盟会社、建設省関係者が担当。政策提言や技術普及などの 活動を行っている。 BITEXCO ベトナムには、大きなプライベートなゼネコンとして Bitexco と Vin group (Vincom)の 2 社がある。また政府系として Viglacera と Vinceconex (Vinata) がある。今回は、その 34 内 Bitexco を訪問した。 ホーチミン工科大学 ベトナム国家大学の一つホーチミン市校に所属する工科大学。1957 年 土木大学、 電力大学、国家海洋大学を含む Phu Tho National Center of Technology として設立さ れた。1995 年の大学統合で、ホーチミン市国家大学の傘下に入り、2000 年の国家大 学再編では Dai Hoc Bach Khoa(ベトナム語では百科大学)に改めた。南部ベトナムの 工学大学の中心で、国際的な提携を積極的に進めている。 http://www.jasso.go.jp/study_a/documents/vietnam7_2.pdf 調査課題 ・ベトナムにおける関連政策と政府姿勢について ベトナム政府における環境政策、エネルギー政策や住宅整備政策等を調査し、民 生部門における省エネガラスの普及の可能性を調査した。また、建設省より 2013 年 11 月より施行となった「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術 的基準」(QCVN 09:2013/BXD)についても入手・翻訳を行い方法論の作成等へフィ ードバックを行った(詳細は、本報告書の日本製技術の導入を参照)。 ・ベトナムにおける省エネガラス導入の実態について 現地調査等を活用し、ハノイおよびホーチミンにおける省エネガラスの導入の状況 について調査を行った。実態調査は、特に商業ビルおよび住居用ビルについて焦点 を絞って行う(詳細は、本報告書の調査内容 現地視察によるベトナムの建築物の状 況を参照)。 ・省エネガラス導入可能性と実現可能性について 省エネガラスによる省エネ効果をベースとして、経済的な観点から導入可能性に ついての評価を行った。炭酸ガスのクレジット価格を変数として、投資回収年数につ いてシミュレーションを実施する(詳細は、本報告書の資金計画を参照)。 ・方法論案策定に関して ベトナムにおける省エネガラスについての方法論を策定する(詳細は、本報告書 JCM 方法論に関する調査結果を参照)。 ・当該活動の間接影響その他について 関係省庁とのヒアリング等により、省エネガラスの推進による間接影響その他につ いて調査を行う(詳細は本報告書利害関係者のコメント及びその他の間接影響を参 35 照)。 調査内容 下記(1)~(3)に記載した調査を実施した。 (1)JCM 方法論作成に関する調査 方法論作成ガイドライン(方法論フォーマットを含む)及び関連 JCM 文書等を参照 し、方法論開発を行うこと。その際、特に以下の 1)~4)に留意して調査を実施するこ と。 1) 適格性要件 当該プロジェクトが JCM プロジェクトとして登録されるための要求事項(可能な限り、 ポジティブリスト又はベンチマークとして設定すること)と、方法論をプロジェクトに適用 するための要求事項によることとし、プロジェクト登録時の妥当性確認の時点で客観 的に評価可能な適格性要件をリスト化する。また、適格性要件の設定に係る根拠を 明らかにする。 ・技術的追加性(希少性)を根拠として追加性を担保することを想定していることから、 省エネガラスの普及状況を明らかにし、技術的条件について検討する。このため、現 地の建築管掌省庁および業界団体、省エネ管掌省庁および研究機関等へのヒアリ ングないしは建設統計等の文献調査から技術の希少性を明らかにする。 ・シミュレーションのベースとなるホスト国における主要な窓の導入状況および今後の 省エネ政策を加味した導入見込みを、現地政府ヒアリング等による調査する。 2) リファレンス排出量・プロジェクト排出量の算定 当該プロジェクトのリファレンス排出量及びプロジェクト排出量の算定方法を設定 する。その際、唯一の算定方法が方法論で規定されるように留意する。また、リファレ ンス排出量及びプロジェクト排出量の算定方法の設定根拠、及びリファレンス排出量 算定に利用するパラメータ・係数・変数の根拠を明らかにする。 ・建物の月次稼働時間、ガラス面積当たりエネルギー削減量原単位、省エネガラスの 面積、電力排出係数等を加味した上で、リファレンス排出量・プロジェクト排出量の算 定式を検討する。 ・プロジェクト排出量の算定のバウダンリを検討する。 ・デフォルト値を活用した算定を実施することから、デフォルト値を適用可能な建物の 分類(既存、新築)、建物のセクター(住宅、事務所、病院等)の条件を検討する。 ・モニタリング対象を省エネガラスの導入面積とすることを想定しているため、モニタリ ングする文書の種類および保有状況について条件を設定する。 ・窓ガラスや建物の断熱性能・省エネ性能に関して、既存の省エネ法の改正等により 性能基準の導入等がなされた場合はリファレンスシナリオに反映する必要があるため、 36 現地政府ヒアリング等により政策動向を調査する。 3) プロジェクト実施前の設定値 当該プロジェクトの GHG 排出削減量の算定に必要なパラメータに事前設定値(デ フォルト値を含む)を利用する場合の、その事前設定値の内容及び設定根拠・出典 元を明らかにする。また、その事前設定値が保守的な計算結果を導出することを立 証する。 ・省エネガラスの導入面積あたりの GHG 排出削減原単位をデフォルト化する。最も 導入ポテンシャルが大きいと考えられる建物区分を市場調査から特定し、当該建物 区分について省エネガラスのホスト国における窓面積あたりの GHG 排出削減原単 位をコンピューターシミュレーションにより算出する。 ・電力排出係数について、政府公表値を基に設定する。 4) 方法論スプレッドシート(Methodology Spreadsheet) 方法論作成ガイドラインに従い、方法論に添付される方法論スプレッドシート(入力 シート(Input Sheet)及び計算過程シート(Calculation Process Sheet))を Microsoft 社 Excel ファイルを利用して作成する。 上記 1)~3)を基に、方法論スプレッドシートを作成する。 (2)JCM プロジェクト設計書(PDD)の作成に関する調査 PDD 及びモニタリングレポート作成ガイドライン及び関連 JCM 文書等に従い、ま た(1)で作成する方法論の内容に沿い、当該プロジェクトの PDD を作成する。その 際、以下 1)~4)に留意して調査を行う。 1) 環境影響評価 ホスト国(又は当該地域)における環境影響評価に係る法制度を踏まえ、当該プロ ジェクトに関する環境影響評価の要否を明らかにするとともに、環境影響評価が必要 である場合には、その対応策について検討する。 ・本技術の導入が、環境保護法における環境影響評価(EIA)の対象となるかについ て、資源・環境省に対しての確認を行う。EIA の対象となる場合には、EIA 実施スケ ジュール、関係者(申請者、コンサルタント等)について整理を行う。 2) 現地利害関係者協議 当該プロジェクトの実施に当たって行うべき現地利害関係者協議の対象範囲及び 実施方法(利害関係者からのコメントとその対応策)について明らかにする。 ・本技術の導入にあたって利害関係者となりうる業界団体、工事事業者等に対して、 資材購入のポイント、施工についての留意点、導入の決定要因等についてヒアリング を行う。本技術は、建物に省エネ部材を導入することによってエネルギーを削減する 技術であるため、導入サイトの周辺住民等に対して新たな負荷を与えることはないと 考えられる。 37 3) モニタリング計画 現地カウンターパート(当該プロジェクト実施主体や協力団体等)と協力し、当該プ ロジェクトのモニタリング計画を立案し、モニタリング計画シート(Monitoring Plan Sheet)及びモニタリング体制シート(Monitoring Structure Sheet)にまとめる。 ・モニタリング対象は、建物の稼働時間、省エネガラスの導入面積、実際の窓の稼働 状況等を想定している。これらモニタリング対象に関するデータの種類および保有状 況等について、現地事業者等へのヒアリングにより確認する。 4) 計測機器の校正 実測が必要な場合、モニタリング対象パラメータの計測機器の校正にかかる規制 について明らかにする。 (3)プロジェクトの実現可能性に関する調査 当該プロジェクトの実施に向け、資金計画、工事計画、運用計画、プロジェクト実 施体制及び MRV 体制等について、検討する。その際、以下 1)~5)に留意して調 査を行う。 1) プロジェクト計画 当該プロジェクトの資金計画について、現地側事業実施主体の投資の可能性と利 用可能な公的支援・融資のオプションを踏まえて、立案する。同時に、当該プロジェク ト実現化スケジュールを策定し、それに則した工事計画及び運用計画を立案する。ま た、当該プロジェクトの運用段階における実施体制の計画を作成する。 ・省エネガラス導入のための資金計画立案のための基礎情報の把握 ・現地政府、JBIC 等のファイナンススキームの活用の可能性検討 ・省エネガラスの需要量予測(建物群別の建築着工統計データ、競合部材の市場シ ェア や価格競争力等) ・現地で省エネガラス導入可能となる部材調達の選定基準の把握 2) MRV 体制 1)のプロジェクト実施体制と(2)3)のモニタリング計画を踏まえ、当該プロジェクトの JCM 下での MRV 体制の計画を立案する ・MRV 実施は、施工主、ゼネコン/設計会社、及び第三者審査機関が該当する。こ れらの関係者の役割分担と提供するデータについて整理する。 3) 日本の貢献 当該プロジェクトの実施による日本の貢献について、例えば、将来的に日本製技 術・製品等による優れた技術の移転、ホスト国への投資額の増加(投資の促進)、雇 用効果(日本及び現地における新規雇用者数)が考えられる。また、可能な限り、当 該プロジェクトに必要な技術・製品等に関する経済性分析(日本と他国の技術・製品 38 等の性能及び価格の比較と、日本製技術・製品等が導入されるための条件)を行い、 (1)の方法論による日本製技術・製品等の導入促進効果を明らかにする。 ・当該プロジェクトの実施により、省エネガラスを導入した場合の、現地での雇用創出 効果について検証する。 ・本技術による経済性分析を行い、施工時における部材調達、施工工数費用、施工 後の維持管理における費用効果等について、経済性を試算・分析する。 ・クレジット化を活用した省エネガラスの導入促進による、ホスト国の省エネルギー促 進効果について検証する。 ・省エネ技術導入企業への補助や税制上の優遇措置等の政策連携による省エネガ ラス導入の可能性について、現地政府等へのヒアリング調査により検証する。 4) 環境十全性の確保 当該プロジェクトの実施による環境面での影響(好影響・悪影響の双方)(実施地 域とその周辺地域に加え、越境的影響も含む)と、特に悪影響を回避するための対 策について検討し、好影響の担保及び悪影響の回避のための措置を明らかにする。 ・本技術の導入が、環境保護法における環境影響評価の対象となるかについて、資 源・環境省に対しての確認を行う。EIA の対象となる場合には、EIA 実施スケジュー ル、関係者(申請者、コンサルタント等)について整理を行う。 5) ホスト国の持続可能な開発への寄与 当該プロジェクトの実施がホスト国の持続可能な開発にどのように寄与するかにつ いて明らかにする。 ・資源・環境省、科学・技術省、商工省、計画・投資省等へのヒアリングを行い、ベトナ ムの開発政策・戦略等との整合性や、本プロジェクト実施による環境改善効果を確認 する。 ・また、経済性評価において、本プロジェクトを実施することによる経営的なメリットを 明らかにする他、本プロジェクトを国内において水平展開していく方策を検討する。 39 現地視察によるベトナムの建築物の状況 ハノイ市 ハノイ市は、亜熱帯性の温帯夏雨気候にあたる。年間の平均湿度は、75%程度で ある。平均気温は、24.1℃であり、ホーチミン市よりも 3.5℃低い。しかしながら、ホーチ ミンと異なり、年間を通しての変動は大きい。夏季には、32℃まで上昇し、冬季には 10℃を下回ることもある。日照時間は、ホーチミンより短く特に 11 月から 3 月の冬季に かけては短い。 下記のスケジュールにより、ハノイ市の建築物の状況を確認した。一般的な建物の ほとんどは単板の透明なガラスであったが、高級な建築物においては省エネガラスが 確認された。 図 3-2 訪問スケジュール(ハノイ) 40 図 3-3 DMC Tower 概要 図 3-4 DMC Tower 内装 41 図 3-5 CMC Tower 概要 図 3-6 CMC Tower 内装 42 ホーチミン市 ホーチミン市は熱帯気候である。平均湿度は、75%程度である。気候は、一年間を 通してあまり変化はない。平均気温は、28.3℃である。また月間の平均日射時間は、 170.4 時間となる。 下記のスケジュールにより、ホーチミン市の建築物の状況を確認した。一般的な建 物のほとんどは単板の透明なガラスであったが、高級な建築物においては省エネガ ラスが確認された。 図 3-7 訪問スケジュール(ホーチミン) 43 図 3-8 Artex Saigon Building 概要 図 3-9 Artex Saigon Building 内装 44 図 3-10 Somerset Chancellor Court Ho Chi Minh City 概要 図 3-11 Somerset Chancellor Court Ho Chi Minh City 内装 45 4. JCM 方法論に関する調査結果 JCM 方法論の概要 ① 当該プロジェクトによる GHG 排出削減効果の理由・根拠 本プロジェクトは、建物の温度出入りの多くを占める開口部である窓へ省エネガラ スを導入することにより、室内の温度調整を行い、空調の電気使用量の削減を通じて GHG 排出削減を行うものである。また、省エネガラスの導入により自然採光を効率よ く取り入れることによる照明の電力使用量の削減を通じても GHG 排出削減を行う。 下表に、エネルギー効率改善に資する技術ごとの概要を示す。 表 4-1 技術の概要と GHG 削減効果 技術 概要 省エネガラス 省エネガラスのうち、Low-E 複層ガラスとは、複層 ガラスの間に特殊な金属膜をコーティングしたガ ラスのことを指し、すぐれた断熱性能と遮熱性能 によってガラスからの熱の出入りを防ぐものであ る。 ・建物の温度出入りの多くを占める開口部である 窓へ導入することにより、室内の温度調整を行 い、空調の電力使用量の削減を行う。 ・熱のみを遮り、光は通すことから、自然採光を効 率よく取り入れることにより、照明の電力使用量の 削減につながる。 GHG 削減効果 エネルギー投入量 の適正化による電 力削減により GHG 削減 ② 排出削減効果を定量評価するための考え方 省エネガラス導入による建築物のエネルギー排出削減効果を定量評価するに当 たり、既存の類似方法論を参照した。特に、東京都環境確保条例における都内中小 クレジット算定ガイドライン、J-VER 制度「屋上緑化による空調の省エネルギー (.E026)」を参考とし、導入する窓面積単位での原単位法を活用したアプローチを採 用した。 表 4-2 参考とした MRV 方法論 参考方法論 東京都環境確保条例における都内中小クレジット算定ガイドライ ン、J-VER 制度「屋上緑化による空調の省エネルギー(.E026)」 参考とした箇所 適格性要件 46 モニタリング方法 参考方法論を踏まえ、本方法論においては次のように反映した。 適格性要件 プロジェクト実施前のエネルギー使用量のデータ要求は、原則 1 年間の累積値と する モニタリング方法 モニタリング方法例及びモニタリング頻度を参考 用語の定義 本事業の用語の定義と効果を表 4-3 に示す。 表 4-3 JCM 方法論中で設定する用語の定義及びもたらす効果 用語 省エネガラス 定義 もたらす効果 省エネガラスのうち、Low-E 複層 ガラスとは、複層ガラスの間に特 殊な金属膜をコーティングした ガラスのことを指し、すぐれた断 熱性能と遮熱性能によってガラ スからの熱の出入りを防ぐもので ある。 ・建物の温度出入りの多くを占 める開口部である窓へ導入する ことにより、室内の温度調整を行 い、空調の電力使用量の削減を 行う。 ・熱のみを遮り、光は通すことか ら、自然採光を効率よく取り入れ ることにより、照明の電力使用量 の削減につながる。 Low-E 複層ガラス 省エネガラスの種類の一つで、 同上 ガラス業界で一般的に使用され ている名称である。 原単位 窓面積あたりのエネルギー消費 リファレンスにおけるエネルギー 量。 消費原単位として、リファレンス 本方法論では導入対象となる窓 排出量の算定に用いる 面積 1 ㎡あたりのエネルギー消 費量となる。 47 適格性要件 本事業の適格性要件を表 4-4 に示す。 要件1及び要件 2 について、本事業で導入を想定している省エネガラスは、ガラス の間に特殊な金属膜をコーティングした Low-E 複層ガラス等である。このような省エ ネ ガ ラ ス の 普 及 状 況 に つ い て 、 ベ ト ナ ム ガ ラ ス 協 会 ( VIETNAM GLASS ASSOCIATION)にヒアリングを行なったところ、ベトナムではガラスの種類別の普及 状況を示す統計データはないが、省エネガラスの使用は一般的ではない。一部の建 物では使用されているケースもあるが、多くの建物ではシングルガラスが使用されて いるとのことであった。 MOC より 2013 年 11 月施行となった「エネルギーを効果的に使用する建設工事に 関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)にて、新築、改築ともに延床面積 2,500 ㎡以上の建築物についてガラスの省エネ基準が設定された(図 4-1 参照)。今 後は、2,500 ㎡以上の建築物については、同基準を満たすガラスを使用することが義 務付けられる。 しかしながら、延床面積 2,500 未満の建築物は、同基準は適応対象外となっている。 ベトナムでは建築物における省エネ基準は初であり、まだ対象は大規模建築物に限 られ、小規模建築物には省エネガラスの導入義務や推進制度、優遇措置のいずれも 定められていないとのことであった。このため、ガラスの選択はオーナーの予算や環 境への意識に左右される。ベトナムでは、コストが最も大きな決定要因であり、省エネ ガラスは導入コストが他のガラスと比較して高額であるため、採用事例は少ないとのこ とであった。 実際にハノイ及びベトナムのオフィスビル、サービスアパート、ヴィラ、ホテル等の現 地確認及びビル管理会社にヒアリング調査を行なったところ、既存建築物のうち、高 所得者向けのヴィラにて一部省エネガラスが導入されている事例を確認したに留まっ た。ガラスを対象にした省エネ対策の有無を確認したところ、ガラスに関する対策は 取っていないとする回答が多く、省エネガラスはサッシから付け替える必要があり、工 事期間やコストがかかるため、導入は厳しいとの回答が得られた。 以上の状況より、新築の延床面積 2,500 ㎡未満の建築物については、ベトナムで は省エネを推進するための具体的な建材導入に関する政策はなされておらず、省エ ネガラスは普及していないとの見解であることから、当該技術は追加的であると考えら れる。 一方で、改築については、12 月のベトナムの省エネルギーセンターとの面談にて、 同基準は延床面積 2,500 ㎡以上の既存建築物を強制的に改築させるものではないこ と、JCM によって改築が促されると思われることから、延床面積 2500 ㎡以上の場合も 本方法論に含めても良いのではないかとの意見を受けた。DNA にも意見を求めたと ころ、異論がなかったため、本方法論では、改築については、規模を問わずすべて 48 の物件を対象とした。 要件 3 について、冷暖房を行っていない建築物については、省エネガラスの導入 によって断熱性や遮熱性が向上したとしても冷暖房需要の削減にはつながらず、 CO2 削減にはならない。このため、省エネガラス導入前の建築物において、空調を行 っていることが要件となる。 要件 4 については、現地調査の結果、空調設備及び照明設備に使用されているエ ネルギーは電力のみであったことから、電力エネルギーの消費量がモニタリング可能 であることを要件とした。 表 4-4 方法論案 Ver3.0 における適格性要件 要件 内容 設定理由 要件 1 プロジェクト実施により、以下の省エ ネガラスが導入されること。 【必須技術】 Low-E 複層ガラス、高性能熱線反 射複層ガラス、熱線反射複層ガラ ス、熱線吸収複層ガラス、熱線反射 ガラス、熱線吸収ガラス 現在のベトナムにおいて導入が 進んでいない技術であることを 現地調査により確認しており、こ の条件を満たすことで自動的に 技術的な追加性が証明されるた め 要件 2 対象となる建築物は、以下の規模 の事務所ビルであること。 新築:延床面積 2,500 ㎡未満 改築:規模を問わず、すべて 対象業種を設定するため MOC より 2013 年 11 月施行とな った「エネルギーを効果的に使 用する建設工事に関する国家 技 術 的 基 準 」 (QCVN 09:2013/BXD)にて、新築、改築 ともに延床面積 2,500 ㎡以上の 建築物についてガラスの省エネ 基準が設定されたことから、本 プロジェクトでは新築について は、同基準適用対象外の建築 物を対象とした。 改築については、ベトナム政府 機 関 よ り、 同 基 準 は 延 床 面 積 2,500 ㎡以上の既存建築物を強 制的に改築させるものではない こと、JCM によって改築が促さ れると思われることから、改築に 49 要件 内容 設定理由 ついては延床面積 2500 ㎡以上 の場合も本方法論に含めても良 いのではないかと の意見を受 け、規模を問わずすべての物件 を対象とした。 要件 3 対象となる建築物に空調設備が存 在し、冷暖房を行っていること。 冷暖房を行わない建築物につ いては、省エネガラスによって 断熱性が向上しても、冷暖房需 要の削減にはつながらず、CO2 削減にはならないため。 要件 4 プロジェクト活動実施後に空調設備 及び照明設備にて消費される電力 エネルギー量が把握可能であるこ と。 プロジェクト排出量の算定に電 力の消費量データが必要となる ため。 要件 5 省エネガラスを導入した建築物の窓 面積が建築図面などで確認出来る こと。 リファレンス排出量算定のため。 50 図 4-1 建築物に使用されるガラスの省エネ基準(ベトナム) (出典:QCVN 09:2013/BXD “National Technical Regulation On Energy Efficiency Buildings” 和訳) 51 対象 GHG 及びその排出源 本方法論で考慮すべき GHG 排出源及び GHG 種類は表 4-5 の通りである。 GHG 排出源としては、建築物にて使用される電力が対象となる。これらの使用量 は、建築物の電気使用量としてモニタリングされており、伝票等によって確認すること により GHG 排出量の算定が可能である。 表 4-5 対象とする GHG 排出源 GHG 排出源 電力由来 GHG 種類 CO2 算定対象 リファレンス排出量及びプロジェクト排出量 算定のための情報・データ 対象 GHG のリファレンス排出量及びプロジェクト排出量を算定するために必要とな る情報・データを以下に示す。 リファレンス排出量は、モニタリング困難であることから、プロジェクト排出量、省エ ネガラスを導入する窓面積、省エネガラス導入窓面積あたりの削減された使用電力 量、系統電力の CO2 排出係数を元に算出する。 プロジェクトにおける CO2 排出量は、省エネガラス導入後の建築物にて使用される 電気量と系統電力の CO2 排出係数を元に算出する。 また、モニタリングすべきデータに関しては、窓面積は建築物の設計図面にて確認 でき、建築物の使用電力量も操業において必ず収集するものであることから、当該国 において適用可能性が非常に高いといえる。リファレンス排出量の算出についても、 窓からの入熱は窓ガラスの面積に比例することから、「省エネガラス導入窓面積あたり の削減された使用電力量」を用いて算出することは合理的である。 表 4-6 対象とする GHG 排出源 No. 情報・データ モニタリング/デ フォルト値/事 前設定値 備考 1 リ フ ァ レ ン ス に お け る モ ニ タ リ ン グ 、 プロジェクト排出量(t-CO2/年)、 CO2 排 出 量 ( t-CO2/ デフォルト値よ 省エネガラスを導入する窓面積 年) り算出 (㎡)、単位窓面積あたりの削減 さ れ た 使 用 電 力 量 ( kWh / ㎡ / 年)、系統電力の CO2 排出係数 (t-CO2/MWh)を元に算出。 2 省エネガラスを導入す モニタリング 52 建築物の設計図面等を元に算 No. 情報・データ モニタリング/デ フォルト値/事 前設定値 備考 る窓面積(㎡) 出。 3 単位窓面積当たりの削 デフォルト値 減された電気使用量 (kWh /㎡/年) 本方法論にて、シミュレーション により設定。 4 プロジェクトにおける電 モニタリング 力使用量(kWh/年) 電力会社からの請求書等をもと に算出。 5 系統電力の CO2 排出 デフォルト値 係数(t-CO2/MWh) ベトナム天然資源環境省が公表 する最新の値を利用。 デフォルト値の設定 本方法論におけるデフォルト値の設定に関しては、 プロジェクト実施者の負担を最小化する 過去データの欠損または新設により過去データが入手できない場合にも対応 できるようにする との狙いから、リファレンス排出量は、省エネガラス導入窓面積あたりの削減された 使用電力量をデフォルト値として設定し、プロジェクト排出量、省エネガラスを導入す る窓面積、系統電力の CO2 排出係数を元に算出することを試みた。 なお、本方法論では、適格性要件 2 に示したとおり、事務所ビルのデフォルト値の 設定を行う。建物の稼働条件等が異なる病院やホテル等の場合は、別途前提条件を 見直し、デフォルト値を設定する必要がある。 表 4-7 デフォルト値の作成を試みたパラメータ パラメータ 省エネガラス導 · 入窓面積あたり の削減された使 · 用電力量 · 設定方法と保守的である理由 単位窓面積あたりの削減された電気使用量の原単位をデフォル ト値とし、リファレンス排出量を求める デフォルト化を行う際に建築物モデルや建築物の稼働条件を設 定し、シミュレーションツール「EnergyPlus」により算定を行った。 BaU とリファレンスの設定としては以下のとおり。シミュレーション によってデフォルト値を求める上で、リファレンスシナリオの設定を より保守的な条件に設定することで保守性が担保される。 53 パラメータ 設定方法と保守的である理由 【BaU】ベトナムで標準的なシングルガラスを使用。空調設定温度 は 20℃前後。空調設備は竣工時のものを継続使用(建築物寿命 は約 20 年あり、その間付替工事は殆ど行われないため、COP 値 が低い)。(ビル管理会社 10 社ヒアリングより) 【リファレンス】同じくシングルガラスを使用。空調設定温度は 24℃。冷房効率(COP)は 2.6(ベトナム省エネルギー基準より、リ モートコンディショニングユニット型空調機の値を引用))を想定。 系統電力の CO2 · 排出係数 · CDM と同様の方法で排出係数を調査しデフォルト値とする 本デフォルト値は算出を実施する主体が異なるのみで、算出する 手法は CDM と同様の手法をとることが想定され、値をさらに保守 的にする必要はないと考えられる ① 単位窓面積あたりの削減された電気使用量原単位 単位窓面積あたりの削減された電気使用量の原単位をデフォルト値とし、リファレ ンス排出量を求めるにあたり、シミュレーションツール「EnergyPlus」により、建築物モ デルや建築物の稼働条件等を設定し、デフォルト値の算定を行った。 なお、デフォルト値は、導入地域の気候区分別に、ケッペンの気候区分から、ハノ イ(温暖冬季少雨気候)とホーチミン(サバナ気候)の 2 種類に分けて算定した。 ■建築物モデル 基準階(4 階層)+最上階、計 5 階層のモデルとする。 基準階床面積:480m2、延床面積:2,400m2 窓面積:872.3m2、外壁面積:1,743.8m2、WWR:50% 窓開口部から 5m までの範囲をペリメータゾーンとする。 図 4-2 基準階平面図(左)、断面図(右上)、立面図(右下) 54 ■ガラス種類 窓 開 口 部 の ガ ラ ス 改 修 を 想 定 し 、 ベ ト ナ ム 省 エ ネ ル ギ ー 基 準 (QCVN 09:2013/BXD)の WWR とガラスの SHGC 上限値および可視光透過率下限値を参 考に、リファレンス:透明単板ガラス(基準に非準拠)、プロジェクト:Low-E 複層ガラ ス(基準に準拠)として、エネルギー消費量の差分の検討を行った。 表 4-8 窓ガラスの設定 種類 U値 [W/m2K] SHGC 可視光 透過率 可視光 反射率 日射 透過率 日射 反射率 リファレンス 透明単板ガラス FL6 5.8 0.85 89.5% 7.9% 81.5% 7.1% プロジェクト Low-E 複層ガラス Low-E6+Air12+F L6 1.6 0.31 60.4% 16.7% 26.1% 39.5% ■その他、建築物の稼働条件等 デフォルト値(α)を保守的な数値設定とするため、各条件の設定は標準的 な数値を引用した。 居住者一人あたりの床面積 :8m2/人(外部機関報告資料参照) 就業時刻 :月~金 8:00~18:00、土 8:00~13:00(保守性として定時時間帯を設定。 外部機関報告資料参照) 空調・照明稼働時刻 :月~金 7:00~19:00、土 7:00~13:00(保守性として定時時 間帯を元に最小限の時間帯を設定。外部機関報告資料参照) 空調設定温度 :24℃(外部機関報告資料参照) 機器発熱 :40W/m2(空調関連書籍より引用) 照明発熱 :10.8W/m2(シミュレーションツール EnergyPlus の解析モデルより引用) 換気 :事務室 5m3/h・m2、EV コア・天井裏 0.1 回/h(空調関連書籍より引用) 照明制御 :ペリメータ中央位置の水平面(机上高さ 75cm)が自然光と照明を合わ せて 300lx 以上となるように、照明による照度を調整した。(照明・暖 冷房連成計算にあわせて仮定) 自然光による照明制御を行う範囲は、ベトナム省エネルギー基準より、 窓面から窓面上端の床面からの高さ(2.9m)の 1.5 倍までの範囲(4.3m) であり、空調のペリメータ領域(窓面から 5m までの範囲)と異なる。この 差異を吸収するため、ベトナム省エネルギー基準に対応するように、エ ネルギー消費量算出値の補正を行うことで対応した。 部材仕様:床、天井 コンクリート 200mm、内壁 ボード+中空層+ボード(外部機関 55 報告資料参考) 空調効率:2.6(保守的な数値設定として、ベトナム省エネルギー基準より、リモート コンディショニングユニット型空調機の値を引用) 導入地域の気候区分:ハノイ:温暖冬季少雨気候、ホーチミン:サバナ気候 (ケッペンの気候区分より) ② 系統電力の CO2 排出係数 系統電力の CO2 排出係数についても、MRV プロセスを簡素化することを目的に デフォルト値を設定した。 値については、方法論では国が公表する最新の値を用いることした。現時点では、 ベトナム天然資源環境省が 2011 年 12 月に公表したコンバインドマージン(0.5408 t-CO2/MWh)が最新である。 事前設定値の設定方法 本方法論では、リファレンス排出量を計算式により算出するため、経年的に把握す べきデータはないが、リファレンス排出量を算出するためのデフォルト値を使用する。 デフォルト値を設定するのは、表 4-9 のとおりである。 デフォルト値の設定にあたっては、シミュレーションツール「EnergyPlus」を用い、建 築物モデルや建築物の稼働条件等を設定し、算定を行う。 なお、デフォルト値は、導入地域の気候区分別に、ケッペンの気候区分から、ハノ イ(温暖冬季少雨気候)とホーチミン(サバナ気候)の 2 種類に分けて算定する。 表 4-9 対象とする GHG 排出源(再掲) No. 情報・データ モニタリング/デ フォルト値/事 前設定値 備考 1 リ フ ァ レ ン ス に お け る モ ニ タ リ ン グ 、 プロジェクト排出量(t-CO2/年)、 CO2 排 出 量 ( t-CO2/ デフォルト値よ 省エネガラスを導入する窓面積 年) り算出 (㎡)、単位窓面積あたりの削減 さ れ た 使 用 電 力 量 ( kWh / ㎡ / 年)、系統電力の CO2 排出係数 (t-CO2/MWh)を元に算出。 2 省エネガラスを導入す モニタリング る窓面積(㎡) 56 建築物の設計図面等を元に算 出。 No. 情報・データ モニタリング/デ フォルト値/事 前設定値 備考 3 単位窓面積当たりの削 デフォルト値 減された電気使用量 (kWh /㎡/年) 本方法論にて、シミュレーション により設定。 4 プロジェクトにおける電 モニタリング 力使用量(kWh/年) 電力会社からの請求書等をもと に算出。 5 系統電力の CO2 排出 デフォルト値 係数(t-CO2/MWh) ベトナム天然資源環境省が公表 する最新の値を利用。 リファレンス排出量の算定根拠 本プロジェクトのリファレンス排出量は、直接計測することが困難であるため、プロ ジェクト排出量とデフォルト値や窓面積等を用いて省エネガラス導入により削減され た排出量から算出する。 リファレンスシナリオの設定に当たっては、①クレジット化を行わない場合の国の規 制や地方自治体、業界団体による自主的な規制の影響、②現状で一般的な設備の 導入状況を勘案する必要がある。 まず、①に関しては、ベトナムでは 2011 年に省エネ法が施行された他、2013 年 11 月に施行された MOC による「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国 家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)にて、新築、改築ともに延床面積 2,500 ㎡以 上の建築物についてガラスの省エネ資材基準が設定された。しかしながら、本方法 論で対象としている延床面積 2,500 ㎡未満の建築物には削減義務や目標、資材の 使用義務等はなく、罰則等も課されていない。したがって、①の観点は、想定される ガラスの種類において特にリファレンスに影響を及ぼすものではないと考えられる。 一方、②については、「デフォルト値の設定」で述べたとおり、一般的に使用される ガラスは、ビル管理会社等へのヒアリングによるとコストの観点からシングルガラスであ ることが多い。このため、BaU とリファレンスの設定において、ガラスの種類は同様とな ったが、シミュレーションによってデフォルト値を求める上で、リファレンスシナリオの設 定をより保守的な条件に設定することで保守性が担保した。 57 表 4-10 BaU とリファレンスシナリオの設定 内容 使用するガラス の種類 空調の設定温度 ベトナムで標準 的なシングルガ ラス (透明単板ガラス FL6) 20℃前後 (ビル管理会社 10 社ヒアリング、物件 の目視確認より) 冷房効率(COP)は低い(竣 工時のものを継続使用する ため(建築物寿命は約 20 年)(ビル管理会社 10 社ヒ アリングより) リファレンス ベ ト ナ ム で 標 準 24℃ 的 な シ ン グ ル ガ (外部機関報告資 ラス 料参照) (透明単板ガラス FL6) 冷房効率(COP)は 2.6(ベト ナム省エネルギー基準よ り、リモートコンディショニン グユニット型空調機の値を 引用)) BaU 空調設備の冷房効率 以下に、リファレンスシナリオの考え方に関する概念図を示す。 BaU GHG排出削減量の計算方法 リファレンス排出量 省エネガラスを導入する建物物の窓面積 (m2) × 省エネガラスの導入によるエネルギー削減効果 (kWh/m2) GHG排出量 プロジェクト排出量 モニタリング 省エネガラスのエネルギー削減効果に関するデ フォルト値を設定する。 プロジェクト実施期間 図 4-3 リファレンスシナリオの考え方 58 リファレンス排出量の算定方法 以下に、リファレンス排出量の算定式及び式中のパラメータの内容を示す。なお、α はシミュレーションにより算定する。なお、本方法論の α は、事務所ビルに適用され る。 REy=PEy+μ*α*EFelectricity REy y 年次のリファレンス排出量(tCO2/y) PEy y 年次のプロジェクト排出量(tCO2/y) μ 省エネガラスを導入する窓面積 (㎡) α 省エネガラス導入窓面積あたりの、省エネガラスの導入によ って削減された建築物の使用電力量(kWh/㎡/y) EFelectricity電力の GHG 排出係数(tCO2/kWh) 補足説明 α は、ケッペンの気候区分により、温暖冬季少雨気候(ハノイ)とサバナ気候(ホー チミン)別に 2 種類設定し、リファレンス排出量を算定する。 表 4-11 リファレンス排出量におけるモニタリング項目と手法 情報・データ μ モニタリング方法 省エネガラスを導入す 設計図面等によって確認する。 る窓面積(㎡) プロジェクト排出量の算定根拠 プロジェクト排出量は、「適格性要件」にも述べたとおり、適格性要件 4 において 「プロジェクト活動実施後に消費されるエネルギー使用量が把握可能であること」と要 求しており、これらのモニタリング結果をもとに算定を行う。 59 プロジェクト排出量の算定方法 プロジェクト排出量は、建築物の消費電力量をモニタリングすることで実施する。以 下に、プロジェクト排出量の算定式及び式中のパラメータの内容を示す。 PEy=PECy*EFelectricity PECy プロジェクト電力消費量(kWh/y) EFelectricity 電力の GHG 排出係数(tCO2/kWh) 表 4-12 プロジェクト排出量におけるモニタリング項目と手法 情報・データ モニタリング方法 PECy プロジェクトにおける電 電力会社からの請求書等をもとに算出する。 力使用量(kWh/年) モニタリング手法 モニタリングが必要なパラメータに関しては「算定のための情報・データ」で述べた が、これらについて妥当なモニタリング手法を検討した。 ① 省エネガラスを導入する窓面積 省エネガラスの導入面積のモニタリングについては、入手した建築図面等を元に 確認する(モニタリングオプション B)ことを想定している。通常、建築物の建設の際は、 設計図面を起こすことから入手可能であると思われるが、万が一、完成物と設計図が 異なる場合は、窓面積を直接計測する(モニタリングオプション C)ことも想定される。 ② プロジェクトにおける電力使用量 本プロジェクトにてモニタリング対象とするエネルギーは電力のみである。省エネガ ラス導入後の建築物において使用された電力消費量(kWh/年)のモニタリングにつ いては、電力会社からの電気料金請求伝票等を元に月次にて直接投入量を確認す る(モニタリングオプション B)。 60 GHG 排出量及び削減量 ① リファレンス排出量 REy=PEy+μ*α*EFelectricity REy y 年次のリファレンス排出量(tCO2/y) PEy y 年次のプロジェクト排出量(tCO2/y) μ 省エネガラスを導入する窓面積 (㎡) α 省エネガラス導入窓面積あたりの、省エネガラスの導入によ って削減された建築物の使用電力量(kWh/㎡/y) EFelectricity電力の GHG 排出係数(tCO2/kWh) 本プロジェクトにおいては、以下の値を用いる。 パラメータ μ(ハノイ) μ(ホーチミン) α(ハノイ) α(ホーチミン) EFelectricity 値 単位 備考 339 ㎡ モデル建築物の設計図面によるモニタリン グ値 350 ㎡ モデル建築物の設計図面によるモニタリン グ値 56.2 kWh/㎡/y シミュレーションによるデフォルト値 100.1 kWh/㎡/y シミュレーションによるデフォルト値 0.5408 t-CO2/MWh ベトナム天然資源環境省公表値(2011 年) ② プロジェクト排出量 PEy=PECy*EFelectricity PECy プロジェクト電力消費量(kWh/y) EFelectricity 電力の GHG 排出係数(tCO2/kWh) 61 本プロジェクトにおいては、以下の値を用いる。 パラメータ 値 PECy(ハノイ) PECy(ホーチミン) EFelectricity 単位 備考 77,697 kWh/y シミュレーションモデルによる算出値 112,115 kWh/y シミュレーションモデルによる算出値 0.5408 t-CO2/MWh ベトナム天然資源環境省公表値(2011 年) ③ CO2 排出削減量 ERy=REy – PEy ERy REy PEy y 年次の排出削減量(tCO2/y) y 年次のリファレンス排出量(tCO2/y) y 年次のプロジェクト排出量(tCO2/y) 本プロジェクトにおいては、以下の値を用いる。排出削減量は、ハノイの事務所ビ ルで 10.30t-CO2/年、ホーチミンの事務所ビルで 18.95t-CO2/年と算出された。 パラメータ 値 単位 備考 ERy(ハノイ) 10.30 t-CO2/y 上記算出式参照 ERy(ホーチミン) 18.95 t-CO2/y 上記算出式参照 REy(ハノイ) 52.32 t-CO2/y 上記算出式参照 REy(ホーチミン) 79.58 t-CO2/y 上記算出式参照 PEy(ハノイ) 42.02 t-CO2/y 上記算出式参照 PEy(ホーチミン) 60.63 t-CO2/y 上記算出式参照 62 5. JCM PDD 作成に係る調査結果 プロジェクト実施体制及びプロジェクト参加者 プロジェクトの実施体制を以下に示す。 施工主 発注 ゼネコン/設計会社 設計、施工監理 工事下請会社、その他 現場工事、資材(省エネガラス等)調達 図 5-1 プロジェクト実施体制 プロジェクト参加者 下記にプロジェクト参加者の一般的な役割等を記す。プロジェクトの規模等により、 役割や名称等は流動的であり、下記に固定されるものではない。 施工主 プロジェクトの対象となる建物に対しての省エネガラス導入工事を依頼する発注元。 一般的には、建物の所有者となる。 ゼネコン/設計会社 施工主からの発注を受け、対象となる建物への省エネガラスの導入工事を行う。工事 の規模にもよるが、大規模な場合は工事については他の工事下請会社に請け負わ せることが多く、自らは工事監督を行う。 工事下請会社、その他 ゼネコン等のもとで、実際に建物への現場工事を行う。また、省エネガラスをはじめ、 63 サッシ等の省エネガラスの導入工事に必要な資材を調達する。 プロジェクト開始時期及び実施期間 プロジェクトの開始期間は、省エネガラスの導入後からとなる。実施期間は、建物の 稼働期間と同一になる。新築の場合は、省エネガラスの寿命は、一般的に 30 年と言 われている。 方法論適格性要件との整合性確保 下記に方法論の適格性要件と整合性の確保について述べる。 適格性要件 1 建物に以下のポジティブリストのうちいずれかの技術が導入されること。なお、性能と しては、「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的基準」 (QCVN 09:2013/BXD)を参考とする。 Low-e 複層ガラス 高性能熱線反射複層ガラス 熱線反射複層ガラス 熱線吸収複層ガラス 熱線反射ガラス 熱線吸収ガラス 実際の施工の発注書、図面、現場確認により省エネガラスが使用されている事を確 認する。 適格性要件 2 対象となる建築物は、以下の規模の事務所ビルであることとする。 新築:延床面積 2,500 ㎡未満 改築:規模を問わず、すべて 延床面積については、設計図面等を元に確認を行う。 適格性要件 3 対象となる建築物に空調設備が存在し、冷暖房を行っていることとする。冷暖 房を行わない建築物については、省エネガラスによって断熱性が向上しても、 冷暖房需要の削減にはつながらず、CO2 削減にはならないためである。 空調設備の有無については、設計図面や現場視察等によって確認を行う。 64 適格性要件 4 プロジェクト活動実施後に空調設備及び照明設備にて消費される電力エネルギー量 が把握可能であることとする。現地調査の結果、建築物の空調設備で使用されるエ ネルゴーは電力のみであった。 電力料金の領収書等により、グリッドからの電力供給を確認する。 適格性要件 5 省エネガラスを導入した窓の面積が建築図面等で確認できること。設計図面や現地 確認により整合性を担保する。 プロジェクト排出源とモニタリングポイント レファレンスシナリオは、省エネガラスを使用しなかった場合の想定排出量とし、削減 量は、省エネガラスの面積(m2)×省エネガラス導入による省エネ量(kWh/m2)にて算 定する。 Method 1 (Default values) REy = ( aj* PAy + bj ) * EFe,y ERy=REy – PEy Method 2 y+μ*α*EF (Project specific values) REy = RECy * EFe,y REy=PE electricity PEy=PECy*EFelectricity Parameters ERy REy PEy μ α PECy EFelectricity M M D M D Description Emission reduction in year y (tCO2e/y) Reference emissions in year y (tCO2e/y) Project emission in year y (tCO2e/y) Area of energy saving windows (m2) Saved energy with energy saving windows (kWh/m2) Project electricity consumption (kWh/y) GHG emission factor of the grid in year y (tCO2e/kWh) M Monitoring parameters D Default values 図 5-2 プロジェクト削減量の計算式 算定を簡素化するため、省エネガラス導入による省エネ量(kWh/m2)については、デ フォルト値を用意する。 65 BaU GHG排出削減量の計算方法 リファレンス排出量 省エネガラスを導入する建物物の窓面積 (m2) × 省エネガラスの導入によるエネルギー削減効果 (kWh/m2) GHG排出量 プロジェクト排出量 モニタリング 省エネガラスのエネルギー削減効果に関するデ フォルト値を設定する。 プロジェクト実施期間 図 5-3 プロジェクト削減量の考え方 リファレンス排出量は、保守的に数値を設定するため、窓ガラスにはベトナムで最 も広く普及しているシングルガラスを、空調機器は「エネルギーを効果的に使用する 建設工事に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)を参考とし、照明につい ても同様とする。プロジェクト排出量として、省エネガラスを想定し、効果の差分を求 めるためのシミュレーションを行い、削減量を試算する。 REy=PEy+μ*α*EFelectricity REy y 年次のリファレンス排出量(tCO2/y) PEy y 年次のプロジェクト排出量(tCO2/y) μ 省エネガラスを導入する窓面積 (㎡) α 省エネガラス導入窓面積あたりの、省エネガラスの導入によ って削減された建築物の使用電力量(kWh/㎡/y) EFelectricity電力の GHG 排出係数(tCO2/kWh) モニタリング計画 モニタリングパラメータとしては、省エネガラスの導入面積および建物の電力使用量 がある。省エネガラスの導入面積は、工事完了時に確認することとし、建物の電力使 用量は一年に一回、電力使用量の領収書等により測定、確認を行う。 環境影響評価 下記に該当するプロジェクトは事前の環境影響評価が求められるが、本事業活動の 有無により影響を受けるものではない。 66 6. 食料品店及びスーパーマーケットの建設事業(売店 200 以上) 7. スポーツセンターの建設事業(10ha 以上の面積) 9. ホテル及びゲストハウスの建設事業(100 部屋以上) 10. 観光及びレクリエーション施設の建設事業(10ha 以上の面積) (番号は表 5-2 の事業リストによる) 2006 年 8 月 9 日付政令 No.80/2006/ND-CP 環境保護法の実施に関する細則およ び指針では、環境影響評価報告書が必要とされる事業として、102 の事業がリストアッ プ さ れ て い た 。 そ の 後 改 訂 が な さ れ て お り 、 2008 年 2 月 28 日 付 政 令 No.21/2008/ND-CP 環境保護法の実施に関する細則および指針では対象となる事 業は大幅に増え 162 の事業がリストアップされているが、2006 年のリストで掲載されて いた病院建設に関する事業(患者用ベッド 50 以上が削除されるなど内容の見直しが 図られている。 ベトナム環境保護法 第 6 条 環境影響評価報告書の作成義務を負っている事業の一覧表ならびに環境 影響評価報告書の作成、審査および監視の各活動に適用される財政制度について の指導 1. 環境評価報告書の作成義務を負っている事業の一覧表は本政令の付表Ⅰに一 覧表示されている。(以下略) 環境影響評価報告書が必要とされる事業は、下記の通りである。 表 5-2 環境影響評価報告書の作成が必要な事業リスト 番号 事業 規模 1 2006 年 6 月 29 日付け国会決議(No. 66/2006/NQ11) すべて において規定された、承認をえるために国会に提出 することを要求される国家事業およびプログラム 2 自然保護区、歴史的文化遺産、世界遺産、生物圏 すべて 保護区、登録又は未登録であるが地方省/中央直轄 市の決定に基づき保護されている有名な景勝地の すべて又は一部を使用する事業 3 河川地域、沿岸地域、保護されている生物多様性 すべて 地域における水資源に深刻な影響を与える恐れの ある事業 建設事業(8 は欠番) 67 4 都市部及び住宅地域のインフラ建設事業 50ha 以上の面積 5 工業区域、高度最新技術区、工場密集地、輸出加 すべて 工区、工芸村密集地のインフラ建設事業 6 食料品店及びスーパーマーケットの建設事業 すべて 7 スポーツセンターの建設事業 10ha 以上の面積 9 ホテル及びゲストハウスの建設事業 売店 200 以上 10 観光及びレクリエーション施設の建設事業 10ha 以上の面積 11 沿岸地域や島嶼における観光サービス施設(インフ 計 画 排 水 ラを含む)の建設事業 1,000m3/日以上 12 ゴルフコースの建設事業 18 ホール以上 13 墓地の建設事業(埋葬、火葬及びその他慣習) すべて 14 地下工事の建設事業 すべて 15 地下フロアがある建設事業 地下フロアが 10m 以上の深さ 16 軍事基地、軍隊の訓練施設、射撃場、軍港の建設 すべて 事業 17 武器・弾薬庫(Military treasures)の建設事業 すべて 18 軍隊の経済特区の建設事業 すべて 19 留置施設の建設事業 すべて 建設資材の製造に関する事業 20 セメント生産に関する事業 年間生産能力 300,000 トン以上 21 セメント生産用のクリンカの粉砕に関する事業 年間生産能力 1,000,000 トン以上 22 レンガ及びタイルの生産に関する事業 年間生産能力 10,000,000 トン以 上 23 その他建設資材の製造に関する事業 年間生産能力 10,000 トン以上 24 地下鉄及びトンネル建設に関する事業 全長 500m 以上 25 高速道路、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ級道路の建設事業 すべて 26 高速道路、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ級道路の改修及び改善に関 全長 50km 以上 する事業 27 Ⅳ級道路の建設事業 運輸事業 全長 100km 以上 68 28 鉄道の建設事業 全長 50km 以上 29 高架鉄道の建設事業 すべて 30 ケーブルカー線路の建設事業 全長 500m 以上 31 道路や線路に架ける永久的な橋の建設事業 全 長 200m 以 上 (橋のアプローチを 除く) 32 交通施設の建設事業 1,000 人以上の移 転の必要があるも の 33 河川港や海港の建設事業 積載重量 1,000 ト ン以上の船舶向け 港 34 漁港の建設事業 1日の漁船の入出 港が 100 回以上 35 空港の建設事業 すべて 36 バス停の建設事業 0.5ha 以上の面積 37 アスファルトの製造に関する事業 年間生産能力 30,000 トン以上 エネルギー及び放射エネルギーに関する建設事業 38 原子炉の建設事業 39 放射性物質を使用する、又は放射性廃棄物を発生 すべて させる製造、ビジネス及びサービス施設の建設事業 40 原子力発電所及び熱核融合発電に関する事業 すべて 41 火力発電事業 30MW 以上 42 風力発電事業 100ha 以上の面積 43 太陽光発電事業 100ha 以上の面積 44 水力発電事業 ダムの貯水容量 300,000m3 以上 45 高電圧送電の建設事業 全長 10km 以上 46 送電線及びケーブルの製造に関する事業 年間 2,000 トン以 上のアルミニウム からの生産 すべて 電気通信に関する事業 47 ラジオ局の建設事業 2kw 以上 48 電気・電子機器の製造に関する事業 年間生産能力 69 10,000 以 上 の 機 器部品 49 電気部品の製造に関する事業 年間生産能力 500 トン以上 50 通信網設備の建設事業 全長 100km 以上 51 通信ケーブルの製造に関する事業 すべて 水資源及び森林開発、植林に関する事業 52 貯水池、貯水ダムの建設事業 容量 300,000m3 以 上 53 水資源開発の建設事業 対象面積 200ha 以 上 54 海面埋め立ての事業 すべて 55 河川及び沿岸堤防の建設工事 全長 1,000m 以上 56 源流保護林、防波堤森林及び特別な目的のある森 5ha 以上の面積 林の開発、又は利用目的の変更に関する事業 57 天然林地域の開発、又は利用目的の変更に関する 20ha 以上の面積 事業 58 植林及び森林伐採に関する事業 59 ゴム、キャッサバ、さとうきび、コーヒー、ココア、お茶 100ha 以上の面積 及び胡椒の集中栽培地域の建設事業 60 野菜や花卉の集中栽培地域の建設事業 植林; 1,000ha 以 上の面積 森 林 伐 採 : 200ha 以上の面積 100ha 以上の面積 鉱物採掘事業 61 建設資材のための内陸での鉱物採掘事業 年間 50,000m3 以 上 62 地中の鉱物採掘事業 年間 100,000m3 以 上 63 河床からの建設資材(砂・砂利)の浚渫及び採取に 年間 50,000m3 以 関する事業 上 64 固形鉱物の採掘(化学薬品を使用せず)に関する事 年間採掘量(鉱物 業 及び発生土を含 む) 100,000m3 以 上 70 65 有害物質を含む、又は化学薬品を使用する固形鉱 すべて 物の採掘に関する事業 66 固形鉱物加工に関する事業 年間生産能力 50,000 トン以上 炭鉱事業は、年間 発生土 500,000 ト ン以上 67 地下水の開発に関する事業 1 日 10,000m3 以 上 68 容器用天然ミネラル水の開発に関する事業 1 日 120m3 以上 69 入浴又は医療サービスとしての天然ミネラル水、天 1 日 の 揚 水 量 然温水(地下水及び地表水の両方を含む)の開発事 500m3 以上 業 70 地表水の開発事業 1 日 50,000m3 以 上 石油・ガスに関する事業 71 石油・ガスの開発事業 72 石油精製に関する事業(ガスの抽出及び充填、潤滑 すべて 油の混合に関する事業を除く) 73 石油化学製品(界面活性剤、可塑剤、メタノール)に すべて 関する事業 74 石油・ガスパイプラインの建設事業 すべて 75 ガソリンスタンドの建設事業 貯蔵量 1,000m3 以 上 76 石油・ガスの積替施設の建設事業 すべて すべて 廃棄物処理に関する事業 77 廃棄物の処理・リサイクルに関する事業 すべて 78 産業廃棄物・有害廃棄物の埋立処分場の建設事業 すべて 79 家庭廃棄物の埋立処分場の建設事業 500 世帯、又は県 レベル以上の規 模 80 工業区域、輸出加工区、工芸村密集地以外におけ すべて る産業廃棄物の集中処理施設の建設事業 81 生活排水の集中処理施設の建設事業 71 1 日の処理能力 1,000m3 以上 82 廃棄物(輸入された廃棄物を含む)の購入及び事前 年間量 3,000 トン 処理に関する事業 以上 83 船舶の清掃に関する事業 すべて 84 船舶の解体に関する事業 すべて 機械修理及び冶金に関する事業 85 鉄鋼及び非鉄金属の冶金に関する事業 年間生産能力 3,000 トン以上 86 鉄鋼の圧延に関する事業 年間生産能力 5,000 トン以上 87 造船及び船舶の修理に関する事業 積載重量 1,000 ト ン以上の船舶 88 自動車及び機関車の製造及び修理に関する事業 年間 500 台以上 89 オートバイの組立て及び修理に関する事業 年間 10,000 台以 上 90 機械修理、設備の製造に関する事業 年間 1,000 トン以 上 91 金属めっき・研磨・被覆の関する事業 年間生産能力 1,000 トン以上 92 成形加工されたアルミニウムの製造 年間生産能力 2,000 トン以上 93 軍隊の装備品及び武器の製造に関する事業 すべて 木材加工、ガラス・陶器製造に関する事業 94 木材加工事業 年間生産能力 5,000m3 以上 95 合板製造事業 年間生産能力 100,000m2 以上 96 家庭用木製品の製造事業 年間生産能力 10,000 品以上 97 美術品の製造事業 年間生産能力 1,000,000 品以上 98 ガラス・陶器の製造事業 年間生産能力 1,000,000 品以上 99 衛生陶器の生産事業 年間生産能力 10,000 品以上 100 エナメルタイルの生産事業 年間生産能力 72 1,000,000m2 以上 101 魔法びん・蛍光管の製造に関する事業 年間生産能力 1,000,000 品以上 食品加工、飲料製造に関する事業(107 番は欠番) 102 食品加工に関する事業 年間生産能力 5,000 トン以上 103 食肉解体に関する事業 1 日の解体が家畜 1,000 頭以上、家 禽 10,000 羽以上 104 水産加工に関する事業 年間生産能力 1,000 トン以上 105 砂糖の生産事業 年間生産能力 20,000 トン以上 106 ワイン及びアルコールの生産事業 年間生産能力 100,000 リッター以 上 108 原材料の生産事業 年間生産能力 5,000 トン以上 109 牛乳の製造事業 年間生産能力 10,000 トン以上 110 食用油の生産事業 年間生産能力 10,000 トン以上 111 菓子の生産事業 年間生産能力 5,000 トン以上 112 氷の生産事業 1 日の生産能力が ア イ ス バ ー 3,000 本 以 上 (50g/ 本 ) 、 又は氷 150,000kg 以上 農作物加工に関する事業 113 タバコの生産事業 年間生産能力 30,000 箱以上 114 タバコ原料の生産事業 年間生産能力 1,000 トン以上 115 シリアル食品の加工事業 年間生産能力 10,000 トン以上 73 116 米の加工事業 年間生産能力 20,000 トン以上 117 キャッサバのでんぷん加工事業 年間生産能力 1,000 トン以上 118 カシューナッツの加工事業 年間生産能力 10,000 トン以上 119 紅茶の加工事業 年間生産能力 10,000 トン以上 120 コーヒーの加工事業 年間生産能力が 水洗式 5,000 トン 以 上 、 乾 燥 式 10,000 トン以上、 コーヒー粉の加工 1,000 トン以上 養殖、畜産及び養鶏に関する事業 121 畜産、魚の養殖に関する事業 年間生産能力 5,000 トン以上 122 水産副産物の加工に関する事業 年間生産能力 1,000 トン以上 123 魚粉の加工事業 年間生産能力 1,000 トン以上 124 養殖の事業 水域面積 10ha 以 上 125 広範囲にわたる養殖の事業 水域面積 50ha 以 上 126 砂の上の養殖に関する事業 すべて 127 中央集権的な家畜農場に関する事業 家畜 1,000 頭以上 128 中央集権的な養鶏場に関する事業 家禽 20,000 羽以 上、だちょう 200 羽 以 上 、 う ず ら 100,000 羽以上 化学肥料及び農薬の製造に関する事業 129 化学肥料の生産事業 年間生産能力 2,000 トン以上 130 化学肥料及び農薬の保管事業 保管能力 2 トン以 上 74 131 農薬の生産事業 すべて 132 農薬の梱包及び容器詰めに関する事業 年間生産能力 1,000 トン以上 133 堆肥の事業 年間生産能力 1,000 トン以上 化学薬品、製薬及び化粧品に関する事業 134 製薬の生産事業 年間生産能力 50 トン以上 135 ワクチンの生産事業 すべて 136 動物用医薬品の生産事業 年間生産能力 50 トン以上 137 化粧品の生産事業 年間生産能力 50 トン以上 138 凝固剤及び凝固剤から作られた製品の生産事業 年間生産能力 500 トン以上 139 プラスチック容器の生産事業 年間生産能力 2,000,000 品以上 140 塗料及び化学製品の生産事業 年間生産能力 500 トン以上 141 洗剤及び添加剤の生産事業 年間生産能力 1,000 トン以上 142 爆発物、圧縮不活性ガス、防火用具の生産事業 すべて 143 産業用爆発性商品の生産事業 すべて 144 塩の生産事業 100ha 以上の面積 紙及び文房具に関する事業(148 番は欠番) 145 パルプ及び紙製品(材料から)に関する事業 年間生産能力 1,000 トン以上 146 パルプ紙及び再生紙の生産事業 年間生産能力 5,000 トン以上 147 文房具の生産事業 年間生産能力 1,000 トン以上 織物及び衣類に関する事業 149 染色繊維に関する事業 すべて 150 漂泊洗濯による衣類の製造及び加工に関する事業 年間生産能力 50,000 着以上 75 151 漂泊洗濯をしない衣類の製造及び加工に関する事 年 間 生 産 能 力 業 200,000 着以上 152 大型ランドリー及びアイロンサービス 年間生産能力 50,000 品以上 153 シルク糸及び合成糸の製造に関する事業 年間生産能力 1,000 個以上 154 ゴムの生産事業 年間生産能力 5,000 品以上 155 ゴムの加工事業 年間生産能力 1,000 品以上 156 靴及びサンダルの製造事業 年間生産能力 100,000 足以上 157 ゴムタイヤの生産事業 年間生産能力は 自動車 50,000 台 以上、自転車・オ ートバイは 100,000 台以上 158 バッテリー生産事業 年間生産能力 50,000kWh 以上、 又は 100 トン以上 159 革なめしの事業 すべて 160 CO2 液化ガスの生産事業 年間生産能力 3,000 トン以上 161 消火設備の製造事業 すべて 162 その他の修繕、拡張及び改良の事業 本表の 25 番と 26 番を除く 1 番~ 162 番に挙げた事 業と同様の特徴、 規模及び能力を 有する事業 その他事業 (出典:環境保護法 2005 年の施行規約(2006 年)の改正(2008 年) http://www.env.go.jp/air/tech/ine/asia/vietnam/files/law/V03.pdf) 利害関係者のコメント 商工省(7/22) 76 二国間クレジットの日本とベトナムの合意は知っており、合意文書(英文)を持参して いた。是非、二国間クレジットを進めていきたいとの発言があった。省エネガラスを進 めいていく方法として、省エネの観点から推進する方法とラベリングやビルディングコ ードを作成する二つの方法が考えられるとのことであった。建材としては、官庁として は商工省よりは建設省の方がより適切に対応できると思われる。 建設省(10/23) 政策について、10 月 23 日の午前中に報道関係者および大手不動産向けに「エネル ギ ー を 効 果 的 に 使 用 す る 建 設 工 事 に 関 す る 国 家 技 術 的 基 準 」 (QCVN 09:2013/BXD)を発表した。引き続き、デベロッパーやゼネコンにも説明していく。 2013 年 11 月 15 日から発効。2500m2 以上の建物を対象にしており、規定の一項目に 開口部の基準もあり、方角別の SHGC などが要素となっている。設計段階でチェック して建設認可を出す。現在のところ少なくとも大型の物件については完工段階でチェ ック確認する予定。 AGC 旭硝子株式会社の省エネガラスであれば本基準を満たすだろうからこれに倣っ ての製品を紹介すればよい、AGC 旭硝子株式会社のような企業が参入することを期 待している。 ベトナムでは、Low-E ガラスは作れないことは承知している、国営企業系のビグラセラ が技術検討している。当面は、Low-E ガラスについては輸入に依存することになる。 方法論については、コメントする立場にないので所管官庁と話をしてほしい。 天然資源・環境省(10/24) JCM についてはよく承知している。ベトナムの省エネの政策動向、APEC の動向(10 月 31 日にバンコクにおいて、”高層ビルの省エネ”が議論する予定であり、政策面の 方向性と一致している。 23 日に発表された「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的 基準」(QCVN 09:2013/BXD)には、関与していた。科学技術庁がデータを提供してい た。 実証試験先は、天然資源環境省の建物も使用できる可能性がある。必要であれば検 討に入れても良い。 導入のバリアについて ・導入時は、建設省の基準を満たすことが必要 ・その後、商品の供給性、利便性などアフターサービスの体制が必要 ・価格の問題 ・普及時には、商工省も関係するので協力すべき 方法論ドラフトについてのコメント 77 ・1フロアのみのバウンダリでは正確性が低い。少なくとも、低層階、中層階、高層階 での検討が必要。 ・予備電源のディーゼルを除外することは OK。最近は、ベトナムでも停電が減少した ため使用が少ないはず。 ・リファレンスについて、建設省の「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関す る国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)が出たのでこれを基準として検討する必 要がある。 外国投資庁(10/24) 政策的には省エネルギーはベトナム政府として重要なので AGC が省エネガラスを紹 介することや関連する投資が進むことは望ましい。ただし、製品面や規制の所管官庁 は建設省であるので建設省とコンタクトして実施すべき。 建設省の発表した「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的 基準」(QCVN 09:2013/BXD)に関する情報は持っていない。 DNA(2014/2/18) 1 月に訪問予定であったが、先方都合により中止となり、別日での訪問調整がつかな かったため、方法論に関する資料をメールにて送付し、意見確認を行った。その結果、 当方法論の内容について、特に異論は得られなかった。 VGBC(9/13) VGBC は 、 近 い う ち に Vice General Secretary Vietnam Association of Civil Engineering (VACEE)に吸収される予定である。ベトナムでの建物建築は、本来はガ ラスは建物の表面積の 50%以下であるということになっているが、外資系のビルでは ほぼ全面ガラスのものもあり、これを改訂する予定である。省エネガラスの普及の障害 としては、コストが高いこと及び省エネガラスの認識度が低いことが大きい。省エネガ ラスの認知度を上げるためにワークショップ等を開催する手がある。 ベトナムガラス協会 (Vietnam Glass Association)(1/24) LOW-E ガラスやコーティングガラスなどの省エネガラスは普及していない。それらは 国内で製造されておらず輸入している状況。 今回の新基準「建物のエネルギー効率に関する技術基準」、QCVN09 については MOC の建設研究所も関与しており(ガラス協会には、建設研究所のメンバーも所属) 今後、ガラス協会としては MOC とともに技術基準の適用を促進する。 適合するガラ スは国内で製造していないので当面輸入に依存して対応する。 新技術基準が有効となるのは、通例、通達がでてから。通達は、現在作成中であり、 78 本年第2四半期に発行予定との情報を得た。 ハノイ省エネルギーセンター(9/16) 主に企業の省エネ診断等を行っている。省エネガラスの重要性を理解した。省エネ 効果の技術的な資料を送付して欲しい。JICA の支援で、2015 年にエネルギー管理 担当者教育センターを建設予定あるので、この建物に省エネガラスを採用することが 可能であると思われる。 ホーチミン省エネルギーセンター(9/17) 主に企業に対する省エネ診断を行っている。JCM についても理解が高く、実際に他 の JCM 案件を手掛けている。もし、モデル実証が必要な場合は、レジェンドホテルで 一室はそのまま、他の一室を省エネガラスに交換してエアコンのエネルギー負荷を比 較することを提案された。レジェンドホテルは単板透明ガラスが採用されているので、 省エネガラスに交換することが出来れば方法論実証調査としての有望な案件候補と なる可能性がある。 JBIC ハノイ駐在員事務所(9/16) JCM プロジェクトに関してベトナムでのファイナンスサポートについて意見交換を行っ た。JBIC としては、CDM にも絡んでおり、二国間スキームでも一定の役割を行うこと を政府から求められている。超々臨界の石炭火力発電等輸出金融でサポートしてい る。ベトナムは、電気不足、省エネ政策があるのでこの面で JBIC は関与できる。JBIC としては、輸出金融、海外投資金融がある、環境投資なら優遇できる。既に AGC に は各種利用してもらっている。海外拠点からの第 3 国融資制度もある。ただし、いず れも AGC に対する制度。ベトナムについては現地企業向けの 2 ステップローン「グリ ーン」はまだないが、今後は可能性がある。現状は、現地企業への優遇した融資は 難しい。 JICA ベトナム事務所(9/13) 建築物や建材に特化した資金援助プログラムは現状ではない。JICA は ODA に繋が る支援を担当しているため、建材は当てはまらないのではないかとのことであった。投 資環境で言えば、ベトナムは過去に上昇していたが、今は下降し、特に不動産関係 は厳しい状況にある。諸外国からの進出も、ベトナム政府が資金難であることから、外 資系企業から税徴収する制度により、撤退や停滞が見受けられる。 JETRO ハノイ事務所(7/22) 省エネビジネスの推進には、電気代が安いのがネックである。政府として、庶民の生 79 活を守るため、原価以下で電力を供給していると思われる。また、経済の成長は減速 気味である。金利が 10~11%なので便益だけではビジネスが成立しない。内需は弱 く、安い労働力で海外でお金を得るモデルでないと成功は難しい。その中で、二輪 車は内需が大きくなった例である。土地の所有等についても不明確な部分が多い。 JETRO ホーチミン事務所(7/22) 二国間クレジットで色々な省エネを推進している。バイオマス等をやっているが、太陽 光発電はまだまだ普及していない。電気代が安いので、省エネは難しい。電気代の 価格は社会安定の政策的な面もある。また国としては、免税、減税で税収が不足して いる。貸出規制によるインフレ抑制策をとったが、経済が減速してしまった。昨年の倒 産は 55,000 件程度である。また、建物についても富裕層向けの建物を建設してきた ため入居者がいないものも多数ある。ビル建設はスローダウンしているのが現状。た だ、将来的には、グリーンビルディングの計画もあり、海外の投資家を募っている。 ホーチミン工科大学 (9/17) 省エネガラスの普及の障害としては、省エネガラスに対する認識が低いことが挙げら れる。今後このプロジェクトに関して、是非協力出来ることがあればしたい。 BITEXCO (9/16) 省エネガラスについては、存在を承知していた。通常ゼネコンが建物を発注し、サブ コンが予算に応じて、ガラスを含めた建材のメーカーを決めるが、BITEXCO から建 材を指名することも可能であるとのこと。BITEXCO は、ハノイの郊外に 2018 年完成予 定の The Manor Central Park の建設プラン等を持っている。 80 6. プロジェクト実現化に係る調査結果 プロジェクト開発状況 本プロジェクトの開発状況は以下の通りである。 ハノイ省エネルギー研修センター ハノイ市にて、省エネルギー研修センターの設立が計画されている。建物の建設 工事のタイミングは下記の通りであり省エネガラスの導入においては十分な時間があ ると考えられる。またハノイ省エネルギーセンターからは省エネガラスの導入について 前向きな意見が得られている。省エネルギー研修センターの概要を下記に示す。 2010 年 8 月に副首相による決議(No. 216/TB-VPCP)が発令され、ハノイ及びホーチ ミンに省エネルギー研修センターを設立するための検討指示が出された。この指示 を受けて、ハノイ市商工局(DOIT-HN)はハノイ省エネルギーセンター(ECC-HN)の 協力を受けて、ハノイ市郊外の数か所の候補地において用地使用権の移転を図った が、ハノイ人民委員会の都市計画との重複等が判明したことから、検討は振出に戻り、 計画は大幅に遅れた。しかし 2012 年に入り、ハノイ市の北西 30km の Hoa Lac ハイ テク工業団地が候補地として検討され、同工業団地内の教育研修ゾーンに 1.7ha の 土地を確保する方向で、Hoa Lac ハイテク工業団地側と交渉し、2013 年にハノイ市人 民委員会の承認を取り付けている。 ECC ハノイが実施した、フィージビリティ調査では次の予定が定められていたが現 状は概ね 1 年間遅れて土地造成が開始されている。 1)土地造成開始:2013 年 2)ビル建設工事:2013 年~2015 年 6 月 3)ビル内装工事:2015 年 6 月~2016 年 6 月 2014 年 1 月時点のハノイ省エネルギーセンターによる情報では、研修センターの 工事は、行政の事務手続きが終了したので 2014 年第一四半期から車両用道路など 土地造成工事に着工するとのことであった。 ハノイ省エネルギー研修センターの予定地と完成予想図を以下に示す。 (ベトナム社会主義共和国 省エネルギー研修センター設立支援プロジェクト詳細設 計策定調査報告書 JICA(2013)より) 81 図 6-1 ハノイ省エネルギー研修センター予定地 (Hoa Lac ハイテクパーク内) 出所:(写真)調査団撮影、(完成予定図)ECC-HN 提供資料 http://libopac.jica.go.jp/images/report/12122172_01.pdf 図 6-2 ハノイ省エネルギー研修センター完成予想図 (Hoa Lac ハイテクパーク内) 出所:(写真)調査団撮影、(完成予定図)ECC-HN 提供資料 http://libopac.jica.go.jp/images/report/12122172_01.pdf このハノイ市省エネルギー研修センターに省エネガラスの導入をするプロジェクト を開発している。 資金計画 原則、施工主の自己資金または建築物のファイナンスに準ずる予定である。 ただし、建築部材において、調達する部材の選定時に重視されるのはイニシャルコス 82 トであることが多く、ランニングコスト削減効果である省エネ(ランニング)効果は見落と されやすいため、省エネガラス普及の課題となっている。そこで、他の部材との競争 力を持たせるため、本技術に補助事業(JCM/BOCM プロジェクト)を活用し、価格競 争力をもたせることを想定している。 省エネ研修センターにおける資金連携の可能性 ベトナム省エネルギー・再生可能エネルギー促進事業(ツー・ステップ・ローン)と 省エネルギー研修センター設立支援プロジェクトとの連携可能性は、以下のとおりで ある。 1)2012 年 9 月現在で 40 億円の内、22 億円分のサブプロジェクトが未確定。 2)円借款は 40 億円を 40 年間貸し付けるが、個別のサブプロジェクトの返済期間は 最長で 10 年(通常はより短期間で返済)であるため、回収された資金はリボルビン グファンドとして活用可能。 3)エネルギー管理制度や診断制度は、年間エネルギー消費量が 1000TOE 以上 の指定事業者を対象としており、エネルギー診断も義務づけることから、現在の審 査方法の 2 項目をカバーしている。 4)研修センタープロジェクトで、模擬診断等を実施し、指定事業者のなかから 20% の省エネ効果が期待される省エネ設備・技術の案件発掘ができれば、VDB(ベトナ ム開発銀行)のツー・ステップ・ローンの申請につながる可能性がある。 (ベトナム社会主義共和国 省エネルギー研修センター 設立支援プロジェクト詳細 計画策定調査報告書) MRV 体制 当該プロジェクトの実施段階における MRV 体制に関する現地側との調整状況は、 以下のとおりである。 1) 排出削減プロジェクトの実施体制 排出削減プロジェクトの実施体制は、施工主、ゼネコン/設計会社、及び工事下請 会社や部材供給会社が該当する。旭硝子は部材供給会社に該当する。 2) MRV 実施体制 MRV 実施は、施工主、ゼネコン/設計会社、及び第三者審査機関が該当する。 83 施工主 発注、測定 報告 第三者機関 検証 ゼネコン/設計会社 省エネガラス導入工事 図 6-3 MRV 実施体制と役割 プロジェクトの許認可 対象国への部材供給については、AGC 旭硝子株式会社の既存供給体制で問題 なく供給可能である。しかし日本からの輸出は関税が 40%であることから、インドネシ アもしくはタイからの供給が現実的と考えられる。本省エネ技術のベトナム政府からの 期待は大きく、今後経済成長が本格的に進み、建設ラッシュとなることが予想されるこ とから、本技術の拡販活動を積極的に進めるよう求められている。省エネガラスの導 入のために必要な特別な許認可はない。但し、窓ガラス等の仕様について床面積 2500m2 以上の民間建造物(事務所、ホテル、病院、学校、商業・サービス施設、マン ションなど)の設計・新設・改造の際には、「エネルギーを効果的に使用する建設工事 に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)に従う必要がある。 日本製技術の導入 法規制 法規制が日本技術の導入促進方策のひとつになり得る。ベトナム建設省は、2013 年に「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)を公布し、2013 年 11 月 15 日から実施されている。この規制は、下記 の一般規定にあるように、床総面積が 2500m2 以上の民間建造物(事務所、ホテル、 病院、学校、商業・サービス施設、マンションなど)の設計・新設・改造の際に適用さ れる。技術基準には、壁、屋根、照明、空調の他に窓ガラスに関する記載もあり、現 在ベトナムのガラスメーカーではこの基準に対応出来る省エネガラスの製造は出来 ず、輸入をする必要がある。当然、日本以外の海外メーカーでも対応可能な製品は 84 開発・供給可能と考えられるが、少なくとも海外製品の導入を促進することとなる。 参考 「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)の概要 I. 一般規定 1.1. 調整対象範囲 1.1.1. 「エネルギーを効果的に使用する建設工事」に関する国家技術的基準は、 床総面積が 2500m2 以上の民間建造物(事務所、ホテル、病院、学校、商業・サー ビス施設、マンションなど)の設計・新設・改造の際に必須な技術的要件を規定す る。 1.1.2. 本基準における諸規定は下記の対象に適用される。 1) 空調設備を設置しない倉庫、保管用スペースなどを除いた建造物の外殻 2) 下記の建造物の内装設備 a) 室内照明システム b) 換気・空調システム c) 給湯装置 d) エネルギー管理装置 e) エレベーター、エスカレーター 1.2. 適用対象 本基準は、効率的なエネルギーを使用する工事建設にかかわる、すべての個人と 組織に対して厳守が必須の技術的要件を規定、適用される。 II. 技術的基準 2.1. 建造物の外殻 2.2. 換気・空調 2.3. 2.4. 2.5. 2.6. 照明 エスカレーターとエレベーター 電力使用 給湯システム III. 管理に関する規定 3.1. 建設規模が QCVN 09:2013/BXD の調整対象範囲に属する建造物の新規建 設、改造などに関する設計書は、本基準の規定の厳守に関する説明内容を含む 必要がある。 3.2 審査、設計精査、建設工事の受入検証などは、この基準の調整対象範囲に属 85 する建設工事に対する QCVN 09:2013/BXD の規定の厳守に関する内容を含む現 行法律の規定に従って実施される。 IV. 実施展開 4.1. 科学技術環境局(建設省)は、関係対象に対して QCVN 09:2013/BXD の規 定の内容の普及や指導を担当する。 4.2. 地方における政府の建設管理当局は、現行法律の規定に従って当該地域に おける工事建設や設計作業において QCVN 09:2013/BXD C の規定への厳守の チェックを担当する。 4.3. 本基準の展開プロセスにおいて、諸意見があったら、指導・説明を受けるため に科学技術環境局(建設省)までに連絡すること。 付録(計算例など) 表 6-1 WWR 比率に対する窓ガラスの SHGC 係数 SHGC: Solar Heat Gain Coefficient 86 VLTmin: 最低の Visible Light Transmission WWR: Window to Wall Ratio ラベリング 2011 年 11 月施行に施行された「省エネラベリング、最低エネルギー消費効率基準 (MEPS)対象機器リストおよび実施ロードマップ」(首相決定 51/2011/AD-TTg 号)にお いて、家庭用機器と工業用機器の 2013 年 1 月 1 日からのラベリング義務化が明記さ れた。その後の実施については、紆余曲折があるがラベリングは一般大衆に向けて 認知度を向上する重要なツールであることは間違いない。現在は、ベトナムでは電化 製品については下記のようなラベリングがある。ラベリングについては、政府機関、業 界、個別の民間企業等様々な組織、期間から提案・実施されている。 図 6-4 ベトナムにおける省エネ認証ラベル(省エネ製品) (省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)に関する調査) 日本貿易振興機構海外調査部(2013) 87 図 6-5 ベトナムにおける省エネ比較ラベル (省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)に関する調査) 日本貿易振興機構海外調査部(2013) 一方、日本においては、エコガラスについて下記のようなラベルがある。エコガラス は、板硝子協会で管理されているものである。 図 6-6 日本におけるエコガラスのマーク http://ecoglass.jp/s_about/mark.html ※ エコガラス: エコガラスは、板硝子協会の会員である旭硝子(株)、日本板硝子(株)、 セントラル硝子(株)の3社が製造する Low-E 複層ガラスの共通呼称 88 この他、経済産業省では、平成 18 年 4 月施行の改正省エネ法に基づき策定した 住宅の「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」を平成 22 年 5 月 24 日に改正した。その背景には、地球温暖化防止に対する生活者の省エネへの意識 高揚を目指し、生活者の目線でわかりやすい性能表示へのニーズの高まりがあり、 「省エネ建材等級ラベル」を既存のラベルから「窓ラベル」表示に一本化されることに なった。 図 6-7 「窓等の断熱性能に係る情報提供に関するガイドライン」による 省エネ建材等級表示区分 http://www.ecoglass.jp/s_about/mark.html ベトナムにおいても、家庭用機器等と同様に省エネガラスについてもラベリング制 度を導入することにより、認知度の向上と日本製品の導入を促進することに寄与する と思われる。 資金支援 本プロジェクトの導入は基本的には、施工主の資金によって行われることを前提と している。しかしながら、現在ベトナムにおける電力単価は他の先進国と比較して低く、 他の省エネプロジェクトと同様に省エネ効果のみで短期間での資金回収は難しい。 下記に、電力のみのメリットでの回収期間と炭酸ガスのクレジットによる利益を想定し た場合のケースについて試算を行った。ハノイ省エネ研修センター(事務所)を例に 資金支援(クレジットによる収入)について、シミュレーションを行った。 89 諸元 場所 建物概要 建物面積 窓ガラス面積 リファレンス 省エネガラス種類 省エネガラス係数 電力原単位 電力単価 省エネガラス導入費用 ベトナム ハノイ市 Hoa Lac ハイテクパーク ハノイ省エネルギー研修センター 2,400m2 (推定) 400m2 (推定) 透明単板ガラス (厚み 6mm) Low-E 複層ガラス(Low-E6+Air12+FL6) 56.2kWh/m2/年 0.564 t-CO2/MWh (IGES グリッド排出関連データ(2013/11)より) 1,242 ドン/kWh (図 2-10 より) 800,000 ドン/m2(推定 リファレンスとの単価差) 省エネによる電力メリット等 電力削減メリット 56.2 kWh/m2/年×1,242 ドン/kWh=69,800 ドン/年 削減 CO2 56.2 kWh/m2/年×0.564 t-CO2/MWh÷1000=0.0317t-CO2/ m2/年 一般的な製品寿命 30 年では、 0.0317t-CO2/ m2/年×30 年=0.95 t-CO2/ m2 窓面積 400m2 では、 0.95 t-CO2/ m2×400m2=380 t-CO2 となる。 表 6-2 投資回収期間の試算結果 ケーススタディ CASE 0 CASE 1 CASE 2 CASE 3 CASE 4 投資回収期間(年) 省エネによる電力メリットの みの場合 1,000 円/t-CO2 の場合 2,000 円/t-CO2 の場合 3,000 円/t-CO2 の場合 4,000 円/t-CO2 の場合 90 11.5 10.5 9.7 9.0 8.4 結果 省エネによる電力メリットのみでは、投資回収期間は 11.5 年である。クレジットの効 果を加味した場合、4,000 円/t-CO2 としても 3 年程度しか短くならない。しかしながら建 物寿命および省エネガラスは一般的に 30 年以上の製品寿命があり、投資回収期間 が 11.5 年としても、その後約 20 年はメリットを享受することが出来る。 省エネガラスは、可動部分が無く清掃の他は通常はメンテナンスが不要である。建 物に一度窓ガラスを入れれば、破損した場合を除きほとんどの場合は窓ガラスを交換 することは無い。よって、建物の建設時に省エネガラスを導入することが、今後建物 需要が伸びると予想される途上国では重要になる。早急に省エネガラスを備えたグリ ーンビルディングを普及させて、省エネ効果が低い建物が長期にわたり存在すること になるロックイン効果を防止することが必要である。投資の判断はイニシャルコストや 投資回収期間が重要であるが、省エネガラスの投資回収期間は家電製品や自動車 と比較して長い。よって、投資回収年/製品寿命の考え方等を導入することにより、投 資回収期間が長い製品についてもその採用が合理的な評価・判断であることを事業 者等にアピールすることが必要であると考える。 認知度向上 日本製技術の導入には、相手国に対する認知度の向上が必要である。これには、 セミナーや展示会の等の活用が挙げられる。例えば、2013 年 5 月に行われた東アジ ア低炭素成長パートナーシップにおいて、省エネガラスについてのプレゼンテーショ ンを行い、また体感器の展示を行った。特に体感器については、省エネの効果を実 感できるため非常に効果的であった。今後もこのような機会を積極的に捉えて、特に 東南アジア地域の省エネガラスの認知度向上に努める必要がある。 91 図 6-8 展示会による省エネガラス等のアピール (左下のボックスが省エネガラスの体感器) ホスト国への貢献 2013 年に建設省から、「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国家 技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)が出されたことにより、省エネガラスの普及促進 への道が開けたと考えられる。しかしながら現在のベトナムのガラスメーカーでは、こ の基準に該当する省エネガラス(主に複層 Low-E)を生産することが出来ない。このた め、現地のメーカーに対する技術的な支援等、ホスト国への貢献が考えられる。 現地化順位については、下記の図のとおりである。事業性規模拡大に伴い、ホスト国 での投資促進や雇用創出にも貢献できる可能性がある。 図 6-9 現地化生産における工場・拠点の設置順位例 92 環境十全性の確保 当該事業・活動の実施及び普及拡大によってもたらされる好影響 本事業活動は、窓ガラスからの熱の侵入を削減し、建物における冷房の負荷を減 らすことにより省エネを行い温室効果ガスの削減をすることを目的としている。他の省 エネプロジェクトによく見られる可動部分があるモーター・ポンプ等のメンテが不要で あり、特別なオペレーションやメンテナンスを要することが無く長期にわたり効果の持 続が期待できる。 当該事業・活動の実施及び普及拡大によってもたらされる悪影響 本事業活動を行うことにより、新たな環境汚染につながるような懸案事項は特にな い。また、廃棄される場合も供給を予定している省エネガラスには重金属等の人体や 環境に対して有害な物質は使用されていない。 その他の間接影響 環境以外の悪影響については、本プロジェクトは持続可能な社会の構築につなが るものであり、社会的・経済的観点からも特に見当たらない。 今後の見込み及び課題 基準の遵守状況の見極め ベトナム建設省から、2013 年に「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関す る国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)が公布され、11 月 15 日から施行となった。 これは床総面積が 2500m2 以上の民間建造物(事務所、ホテル、病院、学校、商業・ サービス施設、マンションなど)の設計・新設・改造の際に必須な技術的要件を規定 するものである。この技術的基準には、窓ガラスの省エネ基準も規定されている。レフ ァレンスとしては、床総面積が 2500m2 以上の民間建造物となる可能性もあるが、現在 この基準を満たす省エネガラスはベトナムでは生産出来ず、また省エネガラスの普及 もこれからであるため、この基準がレファレンスとなるかという観点からも遵守状況を確 認することが必要である。 方法論検証 本プロジェクトでは、方法論の作成を行った。今後、この方法論の有効性等を確認 するため、次のステップである方法論の検証のフェーズに進める必要がある。 方法論の拡張 民間の建物の種類は多く、今回作成した方法論を拡張して他の建築物への適用 93 が可能となるようにパラメータを増やしていく必要がある。またその他の方法として、建 物の種類によらず稼働条件により建物種別を切り分ける方法も考えられる。 自主的取り組みの推進 床総面積が 2500m2 未満の民間建造物(事務所、ホテル、病院、学校、商業・サー ビス施設、マンションなど)には、前述の「エネルギーを効果的に使用する建設工事 に関する国家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)は適用されない。しかしながら、実 際の建物件数はいわゆる中小のものが多く、これらの建物にも省エネガラスを導入し ないと効果的な低炭素社会の構築は難しいと考えられる。このため、規制等の手段と 合わせて JCM を用いて、インセンティブを与えつつ自主的な取り組み(省エネガラス の導入)を推進する必要がある。 途上国(ベトナム)の産業の育成 現在、建設省から出された「エネルギーを効果的に使用する建設工事に関する国 家技術的基準」(QCVN 09:2013/BXD)を満たす省エネガラスを生産できる途上国(ベ トナム)のメーカーは存在しない。自主的取り組みを推進する意味からも、途上国(ベト ナム)産業の育成が必要である。途上国(ベトナム)の産業の育成には、原料から最終 製品の生産まですべてを一度に行うのではなく工程ごとに育成・移管していく等、 色々な方法が検討可能である。 利害関係者への省エネ効果のアピール 省エネガラスの導入には、追加のイニシャルコストが必要である。建物寿命を考え れば省エネガラスの導入は合理的な判断であるが、どうしてもイニシャルコストを重視 しがちである。このため、利害関係者へのアピールを行い省エネガラスに対する理解 を深める必要がある。 省エネ以外の効果のアピール 省エネガラスには省エネ効果の他に結露防止、ヒートショック防止や紫外線のカッ ト等の効果がある。これらのノンエネルギーベネフィット(コベネフィット)についても、ア ピールが必要である。快適性はなかなか定量的に表すことは出来ないが、実際の購 買行動においては重要なファクターである。 94 図 6-10 省エネガラスのノンエネルギーベネフィット(コベネフィット) http://www.meti.go.jp/policy/jyutaku/jyutaku_vision/files/080531_shouene04-3.pdf 95 7. その他 参考文献 1. 2011~2020 年 社会経済開発戦略, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部 (2011) http://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/business/pdf/pdf/VN_20111108.pdf 2. AGC レポート 2012 http://www.agc.com/ir/library/2012/pdf/2012j_complete.pdf 3. Energy Efficiency in Buildings Scale up implementation, WBCSD(2013) http://www.wbcsd.org/Pages/EDocument/EDocumentDetails.aspx?ID=15380&No SearchContextKey=true 4. The Impact of Sea Level Rise on Developing Countries: A Comparative Analysis, World Bank(2007) https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/7174/wps4136.pdf? sequence=1 5. VGBC ホームページ http://www.vgbc.org.vn/en/organization/history 6. Vision 2050: The new agenda for business, WBCSD(2010) http://www.wbcsd.org/pages/edocument/edocumentdetails.aspx?id=219&nosearchc ontextkey=true 7. エコガラスホームページ、板硝子協会(2013) http://www.ecoglass.jp/ 8. ハノイスタイル、日本貿易振興機構海(ジェトロ)海外調査部(2013) http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001301/1_outline_rev.pdf 9. ホーチミンスタイル、日本貿易振興機構海(ジェトロ)海外調査部(2011) http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000758/vn_pro.pdf ベトナムにおける企業の環境対策と社会的責任 CSR in Asia, 財団法人 地球・ 人間環境フォーラム(2007) http://www.env.go.jp/earth/coop/oemjc/H18_csr_asia/H18_all.pdf 10. ベトナムの気候変動戦略及び関連政策 http://www.mmechanisms.org/event/details_121126COP18sideevent.html 11. ベトナムの環境に対する市民意識と環境関連政策, 日本貿易振興機構海(ジェト ロ)海外調査部(2011) http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000523/vietnam_kankyoseisaku.pdf 12. 「ベトナム第 7 次国家電力マスタープラン(邦訳)」, 日本貿易振興機構(ジェトロ) ハノイセンター(2011) http://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/business/pdf/VN_20110721.pdf 13. ベトナム社会主義共和国 省エネルギー研修センター 設立支援プロジェクト詳 細計画策定調査報告書 http://libopac.jica.go.jp/images/report/12122172_01.pdf 96 14. ベトナム電力調査、日本貿易振興機構(ジェトロ) ハノイセンター(2011) http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001271/vietnamelectricity2013-2.pdf 15. 改正環境保全法, 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部(2011) http://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/business/pdf/pdf/VN_20051018.pdf 16. 「省エネ意識と購買行動(インドネシア・ベトナム)」に関する調査, 日本貿易振興 機構(ジェトロ)海外調査部(2012) http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000957/idn_saving_energy.pdf 17. 二国間クレジット制度 (JCM) http://www.mmechanisms.org/initiatives/index.html 18. 日・ベトナム間二国間クレジット制度(JCM) http://www.mmechanisms.org/initiatives/vietnam.html 97