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省エネルギーマーク(eマーク) 統一省エネルギーラベル
生活知識情報 環境と家計を考える目安に 第 7 回 知っておきたい 身の回りのマークのいろいろ 省エネルギーマーク(eマーク) 統一省エネルギーラベル 統一省エネルギーラベ ルの簡易版ラベル(例) 。 テレビ、エアコン、電 気冷蔵庫、電気便座、 蛍光灯器具(家庭用) 以外の、多段階評価を 行わない電気機器を対 象にしている。 春から始まる新生活。家電を買いそろえる機会 の多いこの季節、家電量販店の売り場や広告で よく目にする緑やオレンジの「e」と、星の数な どで表示された「省エネ性能」のマークには、 どのような意味があるのでしょうか。 重光 純 Shigemitsu Jun ライター・エディター。省庁発行の広報誌の編集に長年携わる。 *1を満たしているかどう 「トップランナー基準」 省エネ製品は「e」の目印を参考に かを示しています。緑色は目標を達成している 大気中に増え続けるCO2(二酸化炭素) 。地 製品、オレンジ色は未達成の製品です。このオ 球温暖化に「待った」をかけるためにも、暮ら レンジ色のマークは「使用頻度の少ない環境な しのなかの省エネ対策は積極的に考えたいもの ので、省エネ効率は低くても価格の安い製品を です。とはいえ、冷暖房を控えるなど「我慢の 図1 省エネルギーラベル(eマーク) 省エネ」だけでは限界があります。照明やテレ ビのスイッチをこまめに切るなど日頃の心がけ も大切ですが、長く使う電気製品や自動車を購 入する際にエネルギー効率のより優れた製品を 選ぶのも一案です。環境に良いだけでなく、当 初の購入価格が多少割高であっても、電気代や 燃料代の節約につながる場合もあり、長い目で みれば「お得」になることも考えられます。 そうした省エネ製品選びで目安になるのが、 緑色またはオレンジ色の「e」の入った省エネル ❶省エネ性マーク 緑色の「e」マークが省エネ性能に優れた製品を選ぶときの 目安となる(基準達成率100%以上の製品は緑、100%未 満はオレンジ色)。 ❷省エネ基準達成率 その製品がトップランナー基準の目標基準値をどの程度達成 しているかを%で表示。 ❸エネルギー消費効率 「年間消費電力量」など製品ごとに定められた測定方法によ って表示されるもの。 ❹目標年度 トップランナー基準を達成すべき年度。製品や製品の区分 ごとに設定。 ギーラベル(通称eマーク)です(図1) 。これ は2000年8月に日本工業規格(JIS)によって 導入された「省エネルギーラべリング制度」に のっとって、エアコン、照明器具など、家庭で 使用される製品を中心にメーカーなどが任意で 表示しているマークで、 省エネルギー法(以下、 省エネ法)で定めた省エネ性能の目標値である 18 2013 3 国 民 生 活 生活知識情報 選びたい」といったニーズにも応えるためのも され、状況に応 ので、メーカーは、トップランナー基準に達成 じて更新されま しない製品を販売しても、省エネ性能に優れた す。 その他の自社製品と加重平均し、企業ごとにそ 製品の使い方 の年に国内出荷した製品の種類全体として基準 や使用環境、地 値を超えればよいということになっています。 域の電力会社に なおこれらマーク対象の機器(特定機器)に よって電気代は ついては、トップランナーの基準とともに経済 異なるため、目 産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー 安電気料金はあ 調査会省エネルギー基準部会の中で、メーカー くまで参考値と の測定した計測値に基づいて適宜検討・決定さ なりますが、省 れます(2013年3月現在、26品目が対象*2) 。 エネ性能に関す る表示は、環境 のみならず家計 星の数でより分かりやすく表示 にもやさしい製 品を選ぶときの また、省エネ情報を消費者により分かりやす 図2 統一省エネルギーラベル ❶多段階評価 市販されている製品の中で相対的に 省エネ性にどの程度優れているか、 5段階で表示。 ❷省エネルギーラベル ❸年間の目安電気料金 (公社)全国家庭電気製品公正取引 協 議 会「 電 気 料 金 目 安 単 価 」か ら 1kWhあ た り22円( 税 込 )と し て 算 出(2012年度)。 ❹ノンフロンマーク ノンフロン電気冷蔵庫に表示。 く伝えるために、小売事業者を対象にした統一 目安になります。 省エネルギーラベルも導入されています(図2) 。 ただ、省エネ製品を選んだことで節約意識が薄 この星が並んだ表示は、小売事業者の努力義務 れ、かえって電気代などが増えてしまわないよ となっているため、必ず表示されているとは限 う心がけたいものです。 りませんが、家電量販店などの売り場でよく見 *1 1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議 (COP3)を受け、1998年に改正された省エネ法により、省エネ 性能の向上を促すために設けられた基準。スポーツの「今のト ップランナーの記録をいつまでに追い抜く」という考え方のよ うに、省エネ基準をその時点で最も優れている特定機器よりも高 いレベルに設定し、目標年度までにそのレベルをクリアしても らうというもの。 かけるマークになっています。この制度は正式 には「小売事業者表示制度」と呼ばれ、2006年 10月から始まりました。星印のほか前述の省エ ネルギーラベル、年間の目安電気料などを組み *2 従来の乗用自動車、エアコン、照明器具、テレビ、複写機、電 子計算機、磁気ディスク装置、 貨物自動車、VTR、電気冷蔵庫、 電気冷凍庫、ストーブ、ガス調理機器、ガス温水機器、石油温 水機器、電気便座、自動販売機、変圧器、ジャー炊飯器、電子 レンジ、DVDレコーダー、ルーティング機器、スイッチング機器、 に加え、2013年3月に複合機、プリンター、電気温水機器(エ コキュート)の3品目が追加され、対象品目は26品目になった。 なお、そのうち乗用自動車、複写機、貨物自動車、VTR、自動 販売機、複合機、プリンター、電気温水機器を除く18品目が、 省エネルギーラべリング制度の対象となっている(2013年3月 現在)。それらついて、販売されている機種名ごとに一覧が見ら れるものに「省エネ性能カタログ」がある。家電量販店などで無 料配布しているほか、インターネットでも閲覧できる。 http://www.enecho.meti.go.jp/policy/saveenergy/seinoucatalog_ 2012winter.pdf 合わせた統一表示で、エアコン、電気冷蔵庫、テ レビ、電気便座、照明器具(家庭用の蛍光灯器 具に限る)の5品目が対象です。 星の数は「多段階評価」といって、市販され ている製品の省エネ基準達成率の分布状況に応 じて決められており、5つ星から1つ星まで省 エネ性能の高い順に表示しています。例として 電気冷蔵庫の場合、2012年度基準では5つ星が 表示されている製品は省エネ基準達成率が198 %以上、4つ星なら165%~ 197%の達成率、星 1つなら100%未満です。この評価基準は、前 〈マークに関する問い合わせ先〉 述の省エネルギー基準部会の下に設置されてい 経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー対策課 ☎03 - 3501 - 9726 る小売事業者表示判断基準小委員会の中で見直 19 2013 3 国 民 生 活