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九州工業大学学術機関リポジトリ"Kyutacar"

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九州工業大学学術機関リポジトリ"Kyutacar"
九州工業大学学術機関リポジトリ
Title
Author(s)
Issue Date
URL
Optimal Approach Towards Using Phasor Measurement Unit
(PMU) Data in Equal Area Criteria Based Systems for Power
System Transient Stability Assessment
Bessie, Baakanyang Monchusi
2010-03-24
http://hdl.handle.net/10228/4998
Rights
Kyushu Institute of Technology Academic Repository
氏
名
Bessie Baakanyang Monchusi (南アフリカ共和国)
学 位 の 種 類
博 士(工学)
学 位 記 番 号
工博甲第298号
学位授与の日付
平成22年3月24日
学位授与の条件
学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 目
Optimal Approach Towards Using Phasor Measurement Unit (PMU) Data
in Equal Area Criteria Based Systems for Power System Transient Stability
Assessment
(電力系統過渡安定度評価のための等面積法における
位相計測装置(PMU)データを用いた最適化手法)
論 文 審 査 委 員
主 査
教 授
三 谷 康 範
〃
匹 田 政 幸
〃
近 藤 浩
〃
小 森 望 充
准教授
渡 邊 政 幸
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
自然界にさらされた電力系統において、大きな擾乱に対する系統安定度の確保は非常に重要な課題
である。電力系統の広域計測を行うためには同期位相計測に基づく診断の適用が重要であり、これに
より正確で高速な評価が可能になる。一方、同期機モデルにおける係数は時変系となりフェーザ形式
で表現された電圧、電流、磁束に関して擾乱発生後の過渡応答時の解を求めることは非常に難しい。
本研究では、多機電力系統における等面積法を用いた電力系統の過渡安定度解析において位相計測装
置(PMU)による同期位相計測を適用して等価縮約系統を導出して評価する方法を提案している。
第 1 章では、電力系統の現状と将来、安定度問題に関して詳しく示し、本論文の目的を明らかにし
ている。
第 2 章では、本研究に関連する研究の現状を調査した結果をまとめている。
第 3 章では、研究の目的である、位相計測装置の情報を用いて電力系統の過渡安定度を評価するた
めの研究の方向性を示している。
第 4 章では、計算に必要な発電機内部の情報である発電機の回転子位置角と回転角速度の動的状態
変数を、PMU により計測した系統母線電圧の位相角から推定する方法として、ニューラルネットワー
クを用いる方法を提案している。
第 5 章では、等面積法における等価発電機を導出する際に必要となる発電機コヒーレントグループ
を見つけ出す方法としてモード解析とパワースペクトラム解析を適用している。モード解析は支配的
動揺モードの周波数領域におけるパワースペクトラム解析の結果や動揺モードへの寄与率やモードの
形状を確認するために用いる。発電機コヒーレントグループを検出するためにパワースペクトラムを
用いて同期位相計測データの解析を行っている。提案手法の効果は固有値、固有ベクトル、パワース
ペクトラム密度(PSD)、相互スペクトル密度(CSD)およびコヒーレンシーの二乗関数によって評
価している。開発したアルゴリズムは2地域4機電力系統モデルを用いて三相短絡事故を想定し試験
を行い、コヒーレントグループ分けの結果が正しいことを確認している。実用的な解析例としては、
西日本 60Hz 系統内の主要地域の大学キャンパスに設置した位相計測システム(キャンパス WAMS
と呼んでいる)での同期位相計測データを用いて、パワースペクトラム解析が正しく行えていること
を確認している。
第 6 章では、発電機コヒーレントグループ分けの結果を用いて等面積法に必要となる動的等価モデ
ルを導出している。同一コヒーレントグループに属する発電機は位相角中心(COA)に基づくアル
ゴリズムを用いて1機の等価発電機に縮約される。発電機電力(P)、慣性定数(H)、発電機角速度
(ω)と発電機位相角(δ)を用いて慣性中心を求める。解析の結果、本来慣性定数を用いて導出す
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べき COA であるが角速度を用いて計算できることを示している。その結果、本研究では計測が容易
な発電機角速度を用いて COA を計算する手法を適用し、より実用的な手法を提案している。
第 7 章では、導出したモデルを用いた過渡安定度の評価方法を示している。等価システムのパラメー
タは動揺方程式を用いて計算し、過渡安定度はファジーコントローラを用いて評価される。電力動揺
は位相角差と電力の差を用いて構成したメンバシップ関数により検出できる。発電機の同期外れの状
態は電力 - 相差角曲線上に描いた面積の変化から等面積法の考え方を用いて検出される。この結果は、
想定した擾乱の下でのルンゲクッタ法による時間領域解析を行い、臨界故障除去時間(CCT)を求め
ることにより結果の正確さを確認している。
第 8 章では、最後に、本研究の成果を結論として要約している。
学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
以上示したとおり、本論文は電力系統の過渡安定度を評価して系統崩壊を未然に防ぐ技術として期
待され、学術的かつ産業応用面から極めて高い価値を有し、博士学位論文として十分であると判定さ
れた。
また、審査会及び公聴会において、時変システムのパワースペクトラム解析の方法、必要な位相計
測装置の数、三相地絡故障のみを考慮したので十分であるか、ニューラルネットやファジーロジック
を適用した理由、ニューラルネットワークのトレーニング数、関数、今後の研究の方向性などについ
て多くの質問があったが、いずれも適切な回答がなされ、質問者の理解が得られた。
以上により、論文調査及び最終試験の結果に基づき、審査委員会において慎重に審査した結果、本
論文が、博士(工学)の学位に十分値するものであると判断した。
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