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第 1 回 AB 級インストラクター・ABC 級検定員 実技検定会
2014 – 第 1 回 AB 級インストラクター・ABC 級検定員 実技検定会 2015.2.21(土)-22 日(日)米沢スキー場(山形県) 検定員:下河内 要 ◆スライドターンミドル ミドルターンという設定の中で、ボードのズレ幅のコントロールが上手く出来ていないために、一連の動きのスムーズさに欠ける受験者が 多かったように思います。 もう一度、ターン中の体とボードの動かし方を確認してみて下さい。 ◆ベーシックカーブロング 片斜面という事もあり、切り替え部分で体が遅れ適切なターン弧をつくる事が出来ない方が多かったようでした。適切な上下運動とポ ジショニング、体軸の入れ替えについて、もう一度確認してみて下さい。 ◆ダイナミックカーブショート すべてのターンに共通していますが、谷まわりからの脚の運動とボードのコントロールを意識して下さい。そのためにはフォールライン方向 への重心の落下とポジションが必要になると思います。 ◆エア とにかく慣れて下さい。 そうすれば今回のように徐々に変わっていく助走スピードの変化にも対応できると思います。 ◆ベーシックカーブショート テールスウィング気味で谷まわりをつくってしまう方が多かったと思います。しっかりと谷からの弧を意識する事によって山まわり部分のカー ヴィングも行ないやすくなると思います。 ◆フリーライディング フリーライディングでは、スピード、積極性、演技構成が重要になってきます。特に今回のように最後が緩斜面になるようなバーンではい かに最後までスピードを落とさずにカーヴィングをしてこられるかと、それにあった演技構成が出来ているかが点数の分かれ目だったと思い ます。 ◆総評 検定会お疲れ様でした。スノーボードは自然の中で行なうスポーツです。ゲレンデやコースが変われば、色々な斜面があり、また気温 や、風などによってゲレンデコンディションも変わります。そこを楽しみながら、様々な状況で滑って練習してください。そして今回の検定で 感じた事を今後のインストラクターとしての活動に役立てて下さい。 検定員:鈴木 励至 ◆総評かつ、カービング 3 種目の「ズレ/切れ」についてはまとめてコメント致します。 まずは土日に検定会にバーンをお貸し頂き、セパレートなどのご協力を賜りました米沢スキー場様に改めてお礼申し上げます。 今回は合格率としては厳しい検定となりましたので「説明及び記録」の意味合いもあり、全コメントは長いです… こちらで「A/B 検」を行うのは初めてだったのですが、「二日間に渡りピーカンの好天」と言うのは、視界不良での中断など無い為に運 営側としては大変有り難いものでした。 但し 2 月下旬ともなると結構太陽も高いので「この直射が色々と影響」したな、と記憶に残る検定でした。 雨上がりのアイスバーンではないので「ドギツイ」物ではないのですが、前日までも好天である程度融けてから放射冷却で凍って「固 い」訳です、当然朝イチの練習滑走で、その固さを実感した上で、スタートの待機位置に集合となります。 (受験者以外の方がこのページを見る事もあるかと思いますので「地形」を説明しておきます、出だしはやや急で受験者は「山」を背負っ た待機位置、距離と共に除々に緩やかになって行くレイアウトで、スタート側から見てバーン中盤から「やや右下がり」、検定員側は正 面の「受験者裏山」の際(ギワ)からの逆行に眩みながら見る状況で、受験者のスタートラインから 20~5m 位の距離まで「時間経つに つれ短くはなるが結局は終始裏山の日陰で」、そこから先のコースは陰が切れて直射が当たる…です) 時間が少し経っても受験者の「朝イチの固いイメージ」が払拭しないまま(「前走者 1 ターン目」とかは事実固い音が聞こえて来る訳で して)、文字通り「固い…イメージに固執」し過ぎて消極的になってしまったのかも知れません。 技術的には固いバーンである程にノーズの入り=始動期(俗に言う「捉え」)から積極的に荷重も角付けも頑張って、「そのノーズで刻 んだライン(溝)に→センター→テールと同じラインを通る過程でズレない強固な溝を"雪面に対して自分で作る"訳でして」、その肝心の 捉えで怖がってしまい「踏めない/角立てられないまま」の状況から、ターン中盤以降で板を立てようとしても、流れ続けている中で序々 に立てて行こうとする訳ですから、例の溝「つまりカービングライン」が決まるまでの間に盛大な音と共にズレが必然的に出ます。 B 級の女子で「初めて受験の方とかに怖がるな」とかは多少無理もありますし、皆様共に先週末までアイスバーンの状況は少なかった と思いますので、「いざ本番が今シーズン初のアイスバーン」の方とかも含め、少々気の毒な気も致しましたが、「インストラクター=お客 様から指導料を頂戴するに値する技術を持った人、つまり大なり小なりプロ」ですので、厳格な基準を崩さず採点させて頂きました。 (決して検定員同士でも「ブレ」はありません、それが証拠に A 級検定員受験者は全員合格、B 級検定員受験者も高い合格率でし た、つまりこの状況下で、検定員受験者も含めて「この位に腰が引けた滑りでは、80・90 の基準に達しない」の判断だった訳です、少し 厳しいですが…) ここからやっと各種目のコメントです。 ◆ベーシックカーブロング 先の説明の通り、中盤が右下がりですが、コースアウトすると「1m 位の段差から落ちる形ですぐ林の立ち木、しかもネット無し」なので高 速の斜滑降で出てしまうと大事故です、事前に注意も促したのですが、レギュラーの方のトゥ側のターンの脱出ラインが甘く(切り上げら れない+オーバースピードの両方が原因)結構ヒヤヒヤさせられた方が幾人か…、そう言う状況って、滑走者側は目測から「ヤバッ」って 判断はしてるのでしょうが、そう思いつつも、気付いた瞬間はローテーション他運動が「止まります」、本当は次のターンに飛び込むしか選 択肢は無いのですが、「ヤバッ」の瞬間に思考も止まって際まで行ってしまってる訳です…コース際で「ヤバッ」で尻餅とかも多 少ありまし たが、 事故が起 きなくて本当に良かったです。 総括の通り進入から腰が引けてズレズレの方と、元気良くスタートしても制御しきれずに 2・3 ターン目~膨らんで危ない転倒とか「両 極端」でした、テク戦でも似た状況(一種目めは朝早いので固い…)はありますが、プレターンから 1 ターン目終了まで「探りながら弧を作 れる調整能力」は鍛えて頂きたいです(特に A 級は)…これが口で言う程易しくは無いのですが。 ◆ベーシックカーブショート ズレ/切れの点は総括の通りです、面接でも申し上げましたが「運動の表現に限定すればほぼ最高」の環境になります。 正面から採点しておりますので、トゥ側/ヒール側のズレの「差」は一発で判ります、因みにヒール側ばかりズレる(雪が上がる)方は、停 止ゾーンでも尻餅が多い傾向があります、営業的コメントになりますがスクールの受講を頂き、手順を追って「どうしてそうなるの?」は、 ご説明をさせて頂きます(活字の説明だと「実感」が沸かないので…)。 ◆ダイナミックカーブショート 「ズレ/切れ」の点は総括と同じくで、A 級受験の方でボードをパタパタ返す「エッジトゥエッジ」のみの方は一見スピードもあり上手く見 えるのですが、JSBA では「運動要素」でショートを 2 種目わざわざ分けているのですから「規定種目をやって無い判定」になるので評価 が下がってしまいます。 B 級受験の方は初めて触れる運動になるのですが「パット見で不自然」な方に多いパターンは「足首での回旋」(A 級レベルなど発展 的に言えば「螺旋」の動きも要る)の仕事量が足りない為に、フォローで「上体」を使うので、ボードを回す反動(オツリ)を貰って、「ドン」と 定位置から動いて欲しく無い骨盤が動いて(捻りも含めて)、益々崩れて悪循環…の印象があります。 ベーシックの「踏み込み期」は脚部の「各」関節は書き方は何ですが「耐える」使い方(ジャンケンで言えば「グー」)、切り替え期は関節 は「弛緩」させる(同じく「パー」)でして、ベーシックの名の通り「取っ付き易い」のですが、ダイナミックは切り替え期に股関節・膝関節は畳 んで(曲げて)、足首は弛緩させるし、押し伸ばし荷重期は各関節は「伸ばしたまま緊張させて、同時に足(「フット」の部分ね)は大きく 移動する…」(当方のレッスン時は比較用にこれを「チョキ」と表現するのですが…)、の様に「やや器用さ」が求められます。 ですので、例え事前講習があったとしても、ご自身のイメージが確定しない状態で「習ったから、ぶっつけ本番」はまず上手く行かないと 思います、日頃からリフトから降りる時に「この一本は"長い距離ダイナミック"で行く」位にして頂いたりして、「検定用の特別な滑り」では 無く「自然体」で出る位に「慣れて」欲しいのです。 (押し伸ばし荷重でターン前半「積極的な谷回りの捉え」を、わざわざ意識しなくてもオートマチックに出る位に自身に染みこませると、A 級どころか「テク戦の全日本出場」も現実的に手の届く物になって来ます、あくまで私見ですけども…) ◆フリーライディング いつもの事ですが、基本カービングの 3 種目が終わって、やっとエンジンが掛かって来て、皆様「本来の滑り」が出て来るのです。 スタート位置は若干下げられ、「日陰」から抜けます、但しそれでも「出だしのやや急」の所は消極的な滑りの方がいらっしゃいました… また「直射」の話になりますが、日差し自体は「不変」な存在ですが、受験者の背中方向側からですから「斜度が緩い程に、日がより 当たります」ので、ある程度のスピードを乗せた状態で後半の緩斜面に入らないと「思ったより軟い?」と気が付いた時には、もう取り返 しが付きません。 後半の緩斜面で「アピールすべきネタが当人も見付けられない」まま滑ったな?、的な受験者の方もいらっしゃいました…バーンレイア ウトを計算しておく必要があります。 ◆フォールスライドミドル ムーン/フォール両方 特に A 級の方の場合「事前講習」は無いので、「完成品」のイメージが整って無いまま実施している方をお見掛け致しました(極端な例 でしたが、意図的に始動は順捻りなのに、途中から「サッと」同じく意図的にカウンターローテーションに変わって…の「2段操作」とか)、 検定員全員「えっ?」って固まりました…直角の交差点で蛇行しながら曲がっているような物です。 もっとシンプルに考えましょう、A のムーン/B のフォール共に面接でも申し上げたのですが、「どっち向きに制動掛けてるのか?」です、言 い換えれば「制動方向に対応姿勢取っている自然な動き」と考えられると少し取っ付き易くなります、つまり「斜め横滑りから停止」の動 作がムーンスライド の「起点の姿勢」です(現実の連続ターンだとやらない状況ですが、まずは「完全停止」まで行く姿勢で考えて下さ い、その場合だと視線も外、カウンターローテーションも「ごく普通」ですよね)、その上で停止まではせずに、三日月型の弧に合わせた体 軸の同調移動や進行変化と視線の同調、全体操作のスムーズさ、規定の 6~8 の連続ターンの中でサイズを合わせる調整能力など 「技術」を見ている訳です。 フォールスライドは同じく面接でも申し上げましたが「ノーズドロップから停止の時期にサイドスリップで制動を掛ける」ですから、「正面向 き」のサイドスリップ(トゥ側ならカウンターローテーションが入る)でそれはそれで自然体で、やはり「1 ターンで終了」では検定にならないの で、ムーン同 様に規定の 6~8 ターンして頂いて、トゥ・ヒールで苦手な側が無いかなどなどをムーン同様に見てます、極端な言い方で すが「初心者相手のノーズドロップから停止のレッスン状況のデモンストレーションを、検定員が脇で見ている」位に考えて貰えるとより 「現実的」かと。 別の表現ですが「制動向き=実際重心が移動して行っている向き=視線(顔面)の向き」です、特にトゥ側で多いのですが視線等は 次の斜滑降向いてて、手だけカウンターって…当方的には「有り得ない」だろと(ムーン音頭かフォルスラダンスか…)、特に録画されてたグ ループの方は見返してみて下さい「あーなってるなってる」って判りますから。 あと技術的な面ですがノーズドロップでもたついて落差を必要以上に喰っ てしまう方…ダイナミックショートにも影響しますが「足首固 い」です、実際のレッスンで受講者相手にワンフット多用すると自然に慣れますが、前後荷重のコントロールは勿論のほか、「これがもた つく方」はカービングなども含めて「始動期」に後ろ足の振り出し/若しくは上体の捻りに依存している割合が高いです、今回検定の肝 であったカービングターンの「捉え」にも悪影響が出るので、なのべく早い内に前足首での角付けの調整能力は高めて言って欲しいで す。 あとアルペンのトゥサイドのスムーズなズラシが辛いの重々承知しております(当方もアルペン出身ですので)、アルペンで軸が入る(傾く) と「角付けを甘くしたダメカービングでズレを表現する」しか出来なくなり、教本の通り「体軸 が付いて行く」は出来なくなります、先程の ムーンのトゥ側の斜滑降から停止を長ーい距離「完全停止」までじんわり制動掛けてみたりして、「ボードの移動に重心移動も付いて 行くイメージを習得下さい、体を中心にボードを回すカービングのイメージとは対極」とかを実感頂ければと…。 また小技の領域ですが、ハードブーツのフォワードリンのロックを外したり、アッパーシェルのバックルを全部外したりして、当方は低速系 の検定を受けておりました。 ◆エア 試し飛びの時間はまだバーンも固く、受験者の方から「飛びすぎて危ない」とのお声もあり、安全第一が最優先ですのでスタートは下げ る事となりました、ただ何度も書きますが、この度の検定は「直射」によ る環境変化が大きく、時間経過と共に段々と助走の平均速度 が遅くなるので、飛距離達せずの減点は同様に徐々に甘くしております。 (途中からスタート位置を上げる事は、「平等」で無ければならない検定の趣旨上出来なかったので…) 今回は「有り得ない」位に前転転倒が多く、「何故だ?」と自分なりに推測したのですが、今思えば ①受験者待機位置の背中側 から直射=反り上がったリップ付近が一番早く融けて抵抗が大きくなる(つまり「加速してる」助走時のイメージよりも「急激」に失速する) ②リップで踏み切らずに「スピードで抜けて合格点まで届けばいい」考えの受験者が案外多かった この 2 つが相乗して生じた事態と今 は結論付けております。 (総括と同様に、その場に 居なかった方の為にリップの形を説明します、アプローチで登って「ドギツイ」リップでは無く、テーブル面より 10 ~15 センチ高い位です、テーブルは完全平面では無く距離と共に緩徐に下がって行くタイプです) しかし、10 センチ程度の段差で「空中に浮いてすらいないグラトリ前転」が多発しました…極短距離の助走ですら「ビビッてチェック入 れた方」は勿論、そのほか①の理由で完全失速して、②で踏み切らないから、(極々短時間の話ですが)リップを越えた後で雪面(足場) の無いノーズが下がり始める、極端な方はテールがリップにまだ残ったままノーズがテーブルに付いてしまい「前転」が生じた…訳です 検定開始直前及び終了後もスタート位置を下げて当方は一本ずつ飛びましたが、正 直「前転」は想像付きませんでした…、厳し い言い方ですが「踏み切り無し」はエアとは言えないので、小さいポコジャンでいいのですから、練習して「踏み切りをやって」貰わないと… 検定どうこうは別にして、それはチョットまずいかな?と。 失速で気になったのがもう一点、ノーチェック同士の助走で、時々「明らかにこの人の遅い?」方もいらっしゃいます、つまり手入れ 「WAX・ブラッシング」です、①の変化もより強く影響を受けてしまいます(検定の昔話ですが、制限滑走と言ってポールのスラローム競技 のタイムで規定時間内で滑る必要がある種目がありました、その時なんてスタート位置でレース並のパウダーWAX の手入れしたり、空 気抵抗まで考えて競技用のワンピース着て受験してた方も いらっしゃいました…それは極端かも知れませんが、インストラクター目指す 訳ですから、グレードは別にしてマメなホット WAX・ブラッシング仕上げなど「そこそこの手入れ」はして下さい) あと他の検定員の方も書くと思いますが、グラブは曖昧なのは「タッチ」と判断し加点しません、まずグラブを「見せられる滞空時間」が 必要なので、前記の通り「踏み切り動作」が無いと、その点のアピールも出来ない訳です。 検定員:高橋 功治 ◆A 級検定員 受験される皆さんが B 級検定員の受験経験があるためか皆さん検定員検定の理解度が高いと感じました。ジャッジの目線にうまく合 わせて点数を付けることができたようで結果にそれが表れて良かったと思います。 ◆B 級検定員 B 級インストラクターの受験者が少なく目合わせから本番までの時間が取れず落ち着いてジャッジが出来なかった方もいたかと思いま す。そうした中でジャッジとの目線に合わせることができた方に結果がついてきたと思います。 ◆C 級検定員 インストラクター資格保持者の滑走による模擬検定に戸惑ってしまっていた方が多かったように感じます。着眼点に基づいて滑りを点数 付けできればよかったのですがその点数の加減と合格ラインの基準が自分の中でうまく設定できないでしまったのではないでしょうか。な かなか検定の練習というのは機会がないとは思うのですが、だれかの滑りを見て自分なりに分析してみるようにするとその練習の代わりに なるかと思います。 ◆総評 受験級が異なっても実際に検定を行っているジャッジに目線を合わせ点数を付けるということでは同じことを行います。これは検定員検 定受験者の合否を決めることはもちろんですが今回受験された皆さんが実際にジャッジをする立場になった時に他の検定員と同じ目 線で検定を行うことができるようになるためでもあります。どうしても資格取得前には自分の中での合格ラインを引いてしまうことが多いの ですが着眼点に基づいて厳正公正な判定ができるようになるためのものでもあると考えます。 良い結果が得られなかった皆さんは点数の付け方はもちろんですがバッジテストも含めジャッジ経験のある方にその点数が出る過程を 聞いてみてはいかがでしょうか。 また今回資格を取得できた皆さん、それぞれの新たなる第一線で教育部の活動を盛り上げていきましょう。