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意見募集:カウンターパーティ・リスク 格付導入の提案

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意見募集:カウンターパーティ・リスク 格付導入の提案
BANKING
JANUARY 9, 2015
REQUEST FOR
COMMENT
意見募集:カウンターパーティ・リスク
格付導入の提案
Proposal for Introduction of Counterparty
Risk Rating
概要
目次:
1
概要
カウンターパーティ・リスク格付を
2
決定するためのアプローチ
異なる破綻処理制度における格付の
3
位置付け
コンタクト:
東京
03.5408.4100
山本 哲也
03.5408.4053
VP-シニア・アナリスト
[email protected]
佐藤 俊作
03.5408.4159
VP- シニア・クレジット・オフィサー
[email protected]
レイモンド・スペンサー
03.5408.4051
ムーディーズは本意見募集において、カウンターパーティ・リスク(CR)格付を新
たに導入することを提案する。CR 格付は、一部の銀行シニア債務およびその他
の契約上のコミットメントのデフォルトの可能性に対するムーディーズの意見を表
すものである。ムーディーズは、この CR 格付を銀行グループ傘下の法人に付
与する予定である。一部のケースでは、銀行シニア債務に類似した債務を発行
するその他の規制対象機関も、ここで提案する格付手法の適用対象に含める場
合がある。
CR格付は、以下の点で、債務、預金、発行体格付とは異なる。(1) デフォルトの
可能性及びデフォルト時の期待損失の両方ではなく、デフォルトリスクのみを測
定する。(2) 債務証券や預金ではなくカウンターパーティ債務や契約上のコミット
メントに適用する。これらの点を除けば、CR格付を決定するためのアプローチは、
2014 年 9 月 11 日発行の「意見募集:銀行格付手法案」 1で述べたその他の銀行
証券の格付アプローチに基づいて構築される。CR格付は、長期格付および短
期格付の両方の投入値として用いられる可能性がある。
シニア・ヴァイス・プレジデント
[email protected]
グレム・ナウド
03.5408.4149
アソシエイト・マネージング・ディレクター
[email protected]
ムーディーズは、破綻処理が行われる銀行においても、一部の機能や業務は維
持され、シニア無担保債務や預金に損失負担が強要されても一部の支払いや
資金提供義務が引き続き履行されるケースもしばしば起こりうる、と予想している。
従って、そのような主要業務を継続できない可能性、あるいは支払い義務(カバ
ードボンド、デリバティブなど)のデフォルトが発生する可能性は、シニア無担保
債務格付や一部のケースでは預金格付が示唆する水準より低いとみられる。そ
のため、銀行の破綻処理時において、銀行業務の継続、一部の支払い義務の
履行、ならびにその他の銀行へのリスク波及の最小化のために規制当局が何ら
かの措置を講じる可能性を反映して、CR 格付はシニア無担保債務格付および
預金格付を上回る場合がある。
This Request for Comment is based on Moody’s Investors Service’s Request for Comment titled “Proposal for
Introduction of Counterparty Risk Rating, (January 8, 2015).” The rating approach described in the Moody’s
Investors Service report was adopted on January 9, 2015.
1
ムーディーズ・ジャパン版「意見募集:銀行格付手法の提案」(2014 年 9 月 11 日)参照。
ムーディーズ・ジャパン株式会社
BANKING
運用可能な破綻処理制度下でゴーイング・コンサーンとして破綻処理の対象となる銀行につ
いては、(他の格付対象の銀行証券と同様、)CR 格付を決定するための起点は調整後ベー
スライン信用リスク評価(BCA)である。調整後 BCA は、関係者からのサポートを考慮後の、銀
行が破綻する可能性についてのムーディーズの意見を示すものである。調整後 BCA に対す
る CR 格付の位置付けは、カウンターパーティ債務が資本・債務証券によって損失から保護さ
れる度合いに左右される。さらに、この保護の度合いは、ある国・地域の破産および破綻処理
に関する法制に左右される。換言すれば、一部の国・地域の CR 格付は、他の国・地域より相
対的な序列(債務のウォーターフォールにおける支払い順位)が高くなる可能性がある。また、
CR 格付には政府サポートの可能性を織り込むため、BCA からアップリフトされることがある。
運用可能な破綻処理制度の対象とならない銀行、あるいは運用可能な破綻処理制度の下で
清算あるいは売却されるとみられる銀行については、これらの債務のデフォルトの可能性が低
くなることを反映させ、CR 格付の起点を調整後 BCA に 1 ノッチ上乗せした水準とする。また、
政府サポートが得られるとみられる場合は、複合デフォルト分析に基づき、ムーディーズによ
る政府サポートの想定も CR 格付に織り込む。
ムーディーズは、意見募集に対する市場関係者からのコメントを 2 月 9 日まで募集しておりま
す。コメントは、ムーディーズのウェブサイト(www.moodys.com)上の Request for Comment のペ
ージにお寄せ下さい。ムーディーズは、寄せられたコメントを十分に検討した上で本信用格付
手法を導入し、公表いたします。
関連意見募集
次に挙げる意見募集は本意見募集に関連しており、CR 格付を格付への投入値として用いる
ことを提案するものである。
»
“Updates to Structured Finance Rating Methodologies Resulting From New Counterparty
Risk Measure” (Moody’s Investors Service, January 8, 2015) (ムーディーズ・ジャパン版 / ムー
ディーズ SF ジャパン版「意見募集:新たなカウンターパーティ・リスク指標の導入に伴う、ス
トラクチャード・ファイナンス格付手法のアップデート」(2015 年 1 月 9 日)):証券化取引に
おける金融機関へのエクスポージャーからみたデフォルトリスクの測定方法の変更を提案
»
“Update to Covered Bond Methodology Resulting from New Counterparty Risk Measures”
(Moody’s Investors Service, January 8, 2015): カバードボンド格付手法における銀行へのエ
クスポージャーの評価方法の変更を提案
»
“Application of Bank Counterparty Risk Ratings to Letter of Credit and Liquidity Facility
Supported Transactions” (Moody’s Investors Service, January 8, 2015) (ムーディーズ・ジャパ
ン版 / ムーディーズ SF ジャパン版「意見募集:銀行カウンターパーティ・リスク格付の信用
状・流動性ファシリティによる信用補完付き取引への適用」(2015 年 1 月 9 日)): 保証や信
用状等の信用補完付き取引における銀行へのエクスポージャーの評価方法の変更を提
案
カウンターパーティ・リスク格付を決定するためのアプローチ
本件は信用格付付与の公表で
はありません。文中にて言及され
ている信用格付については、
ムーディーズのウェブサイト
(www.moodys.com)の発行体の
ページの Ratings タブで、最新の
格付付与に関する情報および
格付推移をご参照ください。
2
JANUARY 9, 2015
本格付手法案は、銀行グループ傘下の法人および銀行規制に類似した規制の対象となる一
部の証券会社やその他のファイナンスカンパニーに対し、CR 格付をどのように付与するかを
規定するものである。
CR 格付は、業務継続のために、ベイルインやその他の破綻処理ツールが適用される可能性
が低いとみられる様々な業務上のシニア債務やその他の契約上のコミットメントにデフォルト
が発生する相対的な可能性に対するムーディーズの意見を表すものである。この格付が適用
される債務およびコミットメントは、カバードボンド(およびその他一部の担保付き取引)、デリ
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
バティブ、信用状、第三者保証、サービサーもしくはトラスティーとしての義務や、銀行が重要
な業務を遂行する上で生じるその他の類似した債務を含む。
従って、CR 格付は、発行体が業務上の債務のデフォルトを回避する能力に関するムーディ
ーズの意見であり、発行体の単独での信用力と関係者および政府からのサポートの可能性が
考慮され、債務のウォーターフォールにおける支払い優先順位を反映する。また、CR 格付は、
破綻処理において銀行の主要業務を継続させるために規制当局が講じることができるその他
の措置も考慮する。
この格付アプローチはグローバルに適用するが、金融機関の本国と海外拠点の所在国の破
綻処理制度を含む規制上の考慮事項や、法律上の支払い順位および予想される支払い順
位に基づいて、金融機関ごとに異なるアプローチが適用される。
CR 格付は、一般的には関連する政府債務格付により制約される。しかし、政府債務格付が
CR 格付の上限になるとは限らないとムーディーズは考えている。政府がデフォルトしても、そ
の結果生じる銀行のデフォルトは秩序を伴った方法で管理される可能性は十分にある。従っ
て、相対的に信用力の高い銀行の CR 格付は、政府債務格付を最大 1 ノッチ上回る可能性
がある。銀行の事業が高度に分散されており、政府への直接のエクスポージャーが少額であ
る場合、CR 格付は政府債務格付を最大で 2 ノッチ上回る可能性がある。
カウンターパーティ・リスク格付は、数字付き文字格付に(cr)を付加した記号(例:Baa2 (cr))で
表され、長期格付スケールの数字付き文字格付に対応している。CR 格付は、長期格付およ
び短期格付の両方の投入値として用いられる可能性がある。短期格付への投入値は、ムー
ディーズのクロス・セクター格付手法“Moody’s Global Short-Term Ratings”(Moody’s Investors
Service, October 24, 2012) (ムーディーズ・ジャパン版「ムーディーズのグローバル・スケール短
期格付」(2012 年 12 月 14 日))のガイダンスに基づいて CR 格付から導出する。
異なる破綻処理制度における格付の位置付け
運用可能な破綻処理制度‐ゴーイング・コンサーン
ムーディーズは銀行格付手法案において「破綻時損失(LGF)」という新たなアプローチを導入
した。これは、規制当局が破綻処理を行う権限の一部として、選択的な損失負担を強要でき
る破綻処理制度におけるリスクを評価し格付を決定する上で重要な要素として、より先進的な
債務分析を行うものである。この LGF アプローチは、銀行の債務構造において支払い順位が
低い証券による損失吸収と、当該証券の金額(「厚み」)によって損失が希薄化する度合いに
従って、負債と預金のリスクを認識するための枠組みを提供する。
運用可能な破綻処理制度の適用対象になるとムーディーズが考える銀行には、このLGFアプ
ローチを適合させ、調整後BCA 2に対する相対的なCR格付の位置付けを決定する予定であ
る。運用可能な破綻処理制度の特徴として、(1) 破綻銀行の秩序ある破綻処理を可能にする
具体的な法制度の存在、(2) 銀行の破綻および破綻処理が預金者およびその他の債権者に
与える影響が法制度によって十分明確に把握できる、(3) 発効済みの法制度を活用するとい
う政策および規制当局の明確な意思が存在し、政府からのサポートの可能性が低下するか、
場合によっては除去される、ということが挙げられる。ムーディーズは通常、これらの条件が満
たされていれば、銀行が運用可能な破綻処理制度の適用対象であると判断する。
ムーディーズは、運用可能な破綻処理制度の適用地域を、当初は EU(銀行再生・破綻処理
指令またはそれと同等の法制の導入を根拠として)、米国(ドッド・フランク法 Title I および II
を踏まえて)およびスイス(銀行インソルベンシー規制を反映して)に限定する予定である。
2
3
JANUARY 9, 2015
調整後 BCA には、関係者からのサポートが織り込まれている。
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
ムーディーズは、運用可能な破綻処理制度とみなされる破綻処理制度として、ゴーイング・コ
ンサーン(銀行の重要な業務を継続させる)としての破綻処理と、清算または売却による破綻
処理の 2 つのタイプを特定している。
ゴーイング・コンサーンとして破綻処理を行う運用可能な破綻処理制度では、LGF の枠組み
を適合させてカウンターパーティ・リスク格付を導出することを提案する。CR 格付の付与対象
となる業務上の銀行債務は、債務構造上、資本・債務証券による損失吸収の恩恵を受けると
ムーディーズは予想している。この見方は、支払い不能に陥った場合の形式上の支払い順位、
ならびに実際の破綻処理では清算時における支払い順位にかかわりなく一部の債務の支払
いが優先されるであろうとのムーディーズの判断、に基づいている。例えば、一部の銀行シス
テムでは破産法で規定されていなくとも、預金の払い戻しは破綻処理において「優先される」
可能性がある。
様々な銀行証券の格付に用いる破綻時損失の枠組みの提案で述べたように、ある証券クラス
に劣後する債務の金額によってデフォルトから保護される度合いが決まるため、CR 格付と調
整後 BCA の差は、当該債務を下回る劣後の水準とウォーターフォールにおける負債サイドの
分析によって決まる。しかし、調整後 BCA からのアップリフトは、業務上の債務に劣後する債
務の金額のみに基づいて判断され、支払い順位が業務上の債務と等しくなるとみられる債務
の金額は考慮しない。これは、デフォルトの可能性の指標である CR 格付は、関連する債務
の期待損失に対する見方を反映することは意図していないためである。図表 1 にアップリフト
のノッチングの考え方を示す。
図表1
ゴーイング・コンサーンとしての破綻処理の対象となる銀行の調整後 BCA に対する CR 格付の
アップリフト(政府サポートによるアップリフト考慮前)
x = 銀行格付手法案で定義した平均想定損失率(負債に対する比率、%)
ある証券クラスに劣後する証券(負債に対する比率、%)
調整後 BCA からのノッチング
≧0<0.5x
0
≧0.5x<1x
1
≧1x<1.5x
2
≧1.5x
3
出所:ムーディーズ
例えば、想定損失率が負債の 5%、恩恵を受ける劣後債務の比率が 2.5%未満である場合、
政府サポートを考慮する前の CR 格付は調整後 BCA と等しくなる。これに対し、恩恵を受け
る劣後債務の比率が 8%である場合、政府サポートを考慮する前の CR 格付は調整後 BCA
プラス 3 ノッチにアップリフトされる。
破綻処理における支払い優先順位や負債のウォーターフォールは、国・地域によって異なる
ことがある。本格付手法案においてムーディーズは、法的枠組みと予想される政策アプロー
チに基づき、CR 格付の付与対象となる業務上の債務の、その他の債務に対するウォーター
フォール上の適切な位置付けを判断する。現在の運用可能な破綻処理制度に対するムーデ
ィーズのアプローチは次の通りである。
欧州連合(EU)
銀行再生・破綻処理指令(BRRD)は、現在 EU 各国で制定されている多様な銀行破綻処理
の枠組みの統一化を進めることになろう。BRRD は、銀行が納税者の負担によるサポートを受
ける前に株主およびその他の債権者が損失を負担することを主要原則として掲げており、公
的資金が銀行破綻処理に用いられる前に負債(株主資本を含む)の最低 8%が償却またはベ
イルインの対象となることを想定している。
4
JANUARY 9, 2015
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
BRRDは、デリバティブやその他の業務上の債務をベイルインの対象から明確に除外しては
いないが 3、それらをベイルインの対象に含めれば金融の不安定化を招き、重要な銀行の機
能の維持に支障を来しかねないため、破綻処理を行う当局は大半のケースでそれらをベイル
インの対象から除外する権限を行使するとムーディーズは考えている。そのため実際には、
BRRDまたは同等の法制が適用される銀行のカウンターパーティ債務は実質的にジュニア預
金より支払い順位が高くなることから、ムーディーズはこれらの預金を劣後する債務金額の算
出に含める。
米国
ドッド・フランク法 Title II により、連邦預金保険公社(FDIC)は、納税者にコストを負担させず、
かつ金融の不安定化を防ぐことができるよう、システム上重要な金融機関を秩序をもって清算
するための幅広い権限を新たに与えられた。FDIC は、秩序だった清算権限の下でシング
ル・ポイント・オブ・エントリー戦略を用いて Title II を実施すると表明している。FDIC はシング
ル・ポイント・オブ・エントリーを用いて銀行持ち株会社を破産管財人の管理下に置き、銀行グ
ループ傘下のシステム上重要な銀行子会社の資本増強と業務継続(これにはデリバティブお
よびその他の業務上の債務履行が含まれるとムーディーズは考えている)のために、持ち株
会社の債務をベイルインの対象とするであろう。従って、これらのカウンターパーティ債務は同
一法人のシニア無担保債務より支払い優先順位が高いが、米国法では預金者への支払いを
優先することが明文化されているため、預金より支払い優先順位が高くなることはないとムー
ディーズはみている。
図表 1 は、運用可能な破綻処理制度において一定の負債のウォーターフォールを前提とし
た場合の CR 格付の位置づけを示している。
図表 2
負債のウォーターフォールにおける CR 格付の位置付け
米国
EU
(Title II)
優先預金
預金
CR格付
ジュニア預金
シニア無担保債務
(銀行)
劣後債務(銀行)
シ ニア 無担保債務(銀行)
CR格付
シニア無担保債務
(持ち株会社)
劣後債務(持ち株会社)
出所:ムーディーズ
運用可能な破綻処理制度‐清算/破産管理
銀行の中には、運用可能な破綻処理制度の適用対象となるが、債務のベイルインではなく秩
序だった清算または売却が行われる銀行もある。例えば、米国でドッド・フランク法 Title I に
基づく破綻処理の対象とされ、FDIC による破産管理の対象となる銀行である。こうしたケース
では、FDIC が負う義務の範囲は狭められ、最少コストで破産処理を行うことが義務づけられ
る。FDIC はこの義務を遂行する上で、破綻した銀行の業務上の債務の履行が、破産管理下
にある営業基盤の価値(および売却する場合に買い手が支払うであろう金額)をどの程度支
え、FDIC のコスト低減につながるかを考慮するとムーディーズはみている。
3
5
JANUARY 9, 2015
ただし、担保契約(credit support annex)または中央清算機関(central counterparty)の規則に基づき証拠金差し入れが要
請されるデリバティブ取引は、ベイルインから除外される。
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
ムーディーズは、FDIC が銀行の営業基盤の価値を維持し、FDIC の基金に生じる損失を最
小化するために業務上の債務を履行する可能性があるとの見解に基づいて、これらの業務上
の債務の CR 格付に銀行子会社の調整後 BCA から 1 ノッチのアップリフトを織り込む。
最後に、政府からのサポートの可能性を加味する。政府サポートの可能性は、銀行格付手法
案と同じ方法、すなわち現在の複合デフォルト分析の適用と類似した方法で決定する。
以下に、運用可能な破綻処理制度が適用される銀行の CR 格付に対するムーディーズのア
プローチを概説する。
»
BRRD または同等の法制が適用される欧州の銀行:調整後 BCA+資本・債務証券の劣後
を反映したアップリフト+政府サポート(該当する場合)。劣後に対するアプローチは、破綻
処理において業務上の債務は「ジュニア」預金者への支払いより優先するとのムーディー
ズの見方を反映している。従って、CR 格付がジュニア預金格付を下回ることはないであろ
う。
»
米国の Title II:調整後 BCA+資本・債務証券の劣後を反映したアップリフト+政府サポー
ト(該当する場合)。劣後に対するアプローチは、破綻処理において業務上の債務はその
他のシニア無担保債務に優先するとのムーディーズの見方を反映している。従って、CR
格付がシニア無担保債務格付を下回ることはないであろう。
»
米国の Title I:調整後 BCA+デフォルト確率が低くなることを反映した 1 ノッチのアップリフ
ト+政府サポート(該当する場合)。従って、CR 格付がシニア無担保債務格付を下回ること
はないであろう。
運用可能な破綻処理制度が適用されないシステム
ゴーイング・コンサーンとしての破綻処理が公共政策の枠組みに含まれない銀行システムは
世界に数多く存在するが、ムーディーズはそうした銀行システムには運用可能な破綻処理制
度が適用されないとみなす。破綻処理手続きが用いられるケースもあるかもしれないが、事前
に明確に定義されるのではなく、その場の状況に応じて決められる傾向がある。その場合、ゴ
ーイング・コンサーンとしての破綻処理よりも、政府サポートの提供あるいは破産手続きの方が
可能性としては高い。そのようなシステムの銀行については、破綻が異なる債務クラスに及ぼ
す影響を明確に見通すことはできないとみられる。そのため、ムーディーズは上述した負債サ
イドの分析を行わずに証券の格付を決定する。
このような事業体の CR 格付を評価する上で、ムーディーズは、全ての規制当局が破綻した
銀行の管理を行う上で、リスク波及の抑制、損失の最小化、ならびに重要な機能の停止の回
避を目的として、どのような基本方針をとるかを考慮する。ムーディーズは、通常、業務上の債
務はその他のシニア無担保債務より優先するであろうと考えている。従って、そのような業務
上の債務の CR 格付には、銀行子会社の調整後 BCA から 1 ノッチのアップリフトを織り込む。
最後に、政府から提供される可能性のあるサポートの評価を織り込む。この評価は、銀行格付
手法案と同一の方法、すなわち、現行の複合デフォルト分析の適用と類似した方法で行う。
以下に、運用可能な破綻処理制度が適用されない銀行の CR 格付に対するムーディーズの
アプローチを概説する。
»
CR 格付=調整後 BCA+デフォルト確率が低くなることを反映した 1 ノッチの追加
アップリフト+政府サポート
この格付構造により、CR 格付はシニア無担保債務格付より高い水準となる。
6
JANUARY 9, 2015
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
持ち株会社に CR 格付を付与するためのアプローチ
ムーディーズは銀行持ち株会社にも CR 格付を付与する場合がある。その場合、持ち株会社
の CR 格付は、CR 格付付与の対象となる業務上の債務を発生させる重要な業務上の機能を、
持ち株会社がどの程度提供しているかを反映する。CR 格付が付与される業務上の債務は、
一般的には銀行グループ傘下の銀行子会社や他の事業子会社が行う業務に関連している
ため、通常は持ち株会社の債務に CR 格付を付与することはないであろう。ムーディーズは、
持ち株会社には BCA を付与していないため、ほとんどのケースで CR 格付は持ち株会社の
シニア無担保債務格付と同じ水準になるであろう。シニア無担保債務格付からのアップリフト
を CR 格付に織り込むかどうかは、適用される破綻処理制度において業務上の債務の支払
いがシニア無担保債務より優先される可能性に対するムーディーズの見方によって決まる。
7
JANUARY 9, 2015
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
BANKING
ムーディーズ・ジャパン株式会社
〒105-6220
東京都港区愛宕 2 丁目 5-1
愛宕グリーンヒルズ MORI タワー 20F
Report Number:
著者
Ana Arsov
Meredith Roscoe
178467(Japanese)
178450(English)
プロダクション・アソシエイト
渡邉 エリ
著作権表示(C)2015 年ムーディーズ・ジャパン株式会社、ムーディーズ SF ジャパン株式会社及び(又は)これらのライセンサー及び関連会社(以下、総称して「ムーディーズ」といいます)。無
断複写・転載を禁じます。
ムーディーズ・ジャパン株式会社及びムーディーズ SF ジャパン株式会社(以下、それぞれ「MJKK」、「MSFJ」といいます。)により付与される信用格付は、事業体、与信契約、債務又は債務類
似証券の相対的な将来の信用リスクについての、ムーディーズの現時点での意見です。MJKK 及び(又は)MSFJ が発行する信用格付及び調査刊行物(以下「MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行
物」といいます)は、事業体、与信契約、債務又は債務類似証券の相対的な将来の信用リスクについてのムーディーズの現時点での意見を含むことがあります。MJKK 及び(又は)MSFJ は、
信用リスクを、事業体が契約上・財務上の義務を期日に履行できないリスク及びデフォルト事由が発生した場合に見込まれるあらゆる種類の財産的損失と定義しています。信用格付は、
流動性リスク、市場価値リスク、価格変動性及びその他のリスクについて言及するものではありません。信用格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物に含まれているムーディーズの意
見は、現在又は過去の事実を示すものではありません。信用格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物は、投資又は財務に関する助言を構成又は提供するものではありません。信用
格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物は特定の証券の購入、売却又は保有を推奨するものではありません。信用格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物はいずれも、特定の
投資家にとっての投資の適切性について論評するものではありません。MJKK 及び(又は)MSFJ は、投資家が、相当の注意をもって、購入、保有又は売却を検討する各証券について投資家
自身で研究・評価するという期待及び理解の下で、それぞれ、信用格付を付与し、MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物(のいずれか該当する方)を発行します。
MJKK 及び(又は)MSFJ の信用格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物は、個人投資家の利用を意図しておらず、個人投資家が何らかの投資判断を行う際に MJKK 及び(又は)MSFJ の
信用格付並びに MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物を考慮することは、慎重を欠く行為です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家にご相談する
ことを推奨します。
ここに記載する情報はすべて、著作権法を含む法律により保護されており、いかなる者も、いかなる形式若しくは方法又は手段によっても、全部か一部かを問わずこれらの情報を、ムーディ
ーズの事前の書面による同意なく、複製その他の方法により再製、リパッケージ、転送、譲渡、頒布、配布又は転売することはできず、また、これらの目的で再使用するために保管すること
はできません。
ここに記載する情報は、すべてムーディーズが正確かつ信頼しうると考える情報源から入手したものです。しかし、人的及び機械的誤りが存在する可能性並びにその他の事情により、ムー
ディーズはこれらの情報をいかなる種類の保証も付すことなく「現状有姿」で提供しています。ムーディーズは、信用格付を付与する際に用いる情報が十分な品質を有し、またその情報源が
ムーディーズにとって信頼できると考えられるものであること(独立した第三者がこの情報源に該当する場合もあります)を確保するため、すべての必要な措置を講じています。しかし、ムー
ディーズは監査を行う者ではなく、格付の過程で又は MJKK 及び(又は)MSFJ の刊行物の作成に際して受領した情報の正確性及び有効性について常に独自に確認することはできません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、いかなる者又は法人に対しても、ここに記載する情報
又は当該情報の使用若しくは使用が不可能であることに起因又は関連するあらゆる間接的、特別、二次的又は付随的な損失又は損害に対して、ムーディーズ又はその取締役、役職員、
従業員、代理人、代表者、ライセンサー又はサプライヤーのいずれかが事前に当該損失又は損害((a)現在若しくは将来の利益の喪失、又は(b)関連する金融商品が、ムーディーズが付与
する特定の信用格付の対象ではない場合に生じるあらゆる損失若しくは損害を含むがこれに限定されない)の可能性について助言を受けていた場合においても、責任を負いません。
法律が許容する範囲において、ムーディーズ及びその取締役、役職員、従業員、代理人、代表者、ライセンサー及びサプライヤーは、ここに記載する情報又は当該情報の使用若しくは使用
が不可能であることに起因又は関連していかなる者又は法人に生じたいかなる直接的又は補償的損失又は損害に対しても、それらがムーディーズ又はその取締役、役職員、従業員、代理
人、代表者、ライセンサー若しくはサプライヤーのうちいずれかの側の過失によるもの(但し、詐欺、故意による違反行為、又は、疑義を避けるために付言すると法により排除し得ない、その
他の種類の責任を除く)、あるいはそれらの者の支配力の範囲内外における偶発事象によるものである場合を含め、責任を負いません。
ここに記載される情報の一部を構成する格付、財務報告分析、予測及びその他の見解(もしあれば)は意見の表明であり、またそのようなものとしてのみ解釈されるべきものであり、これに
よって事実を表明し、又は証券の購入、売却若しくは保有を推奨するものではありません。ここに記載する情報の各利用者は、購入、保有又は売却を検討する各証券について、自ら研究・
評価しなければなりません。
ムーディーズは、いかなる形式又は方法によっても、これらの格付若しくはその他の意見又は情報の正確性、適時性、完全性、商品性及び特定の目的への適合性について、(明示的、黙
示的を問わず)いかなる保証も行っていません。
MJKK は、ムーディーズ・グループ・ジャパン合同会社(Moody's Corporation (以下、「MCO」といいます。)の完全子会社である Moody’s Overseas Holdings Inc.の完全子会社)が全額出資する信用
格付会社です。MSFJ は、MJKK が全額出資する信用格付会社です。MSFJ は、NRSRO(「全米で認知された統計的格付機関」として、米国SEC(米国証券取引監視委員会)の登録を受けた格
付機関)ではありません。したがって、MSFJ の信用格付は、NRSRO ではない者により付与された「NRSRO ではない信用格付」であり、それゆえ、MSFJ の信用格付の対象となる債務は、米国
法の下で一定の取扱を受けるための要件を満たしていません。MJKK 及び MSFJ は日本の金融庁に登録された信用格付業者であり、登録番号はそれぞれ金融庁長官(格付)第 2 号及び第
3 号です。
MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)は、同社が格付を行っている負債証券(社債、地方債、債券、手形及び CP を含みます)及び優先株式の発行者の大部分が、MJKK 又は MSFJ(のうち該
当する方)が行う評価・格付サービスに対して、格付の付与に先立ち、20 万円から約 3 億 5,000 万円の手数料を MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)に支払うことに同意していることを、ここ
に開示します。また、MCO、MJKK 及び MSFJ は、MJKK 及び MSFJ の格付及び格付過程の独立性を確保するための方針と手続を整備しています。MCO の取締役と格付対象会社との間、及
び、 MJKK 又は MSFJ(のうち該当する方)から格付を付与され、かつ MCO の株式の 5%以上を保有していることを SEC に公式に報告している会社間に存在し得る特定の利害関係に関する
情報は、ムーディーズのウェブサイト www.moodys.com 上に"Shareholder Relations-Corporate Governance-Director and Shareholder Affiliation Policy"という表題で毎年、掲載されます。
オーストラリアについてのみ:この文書のオーストラリアでの発行は、ムーディーズの関連会社である Moody's Investors Service Pty Limited ABN 61 003 399 657(オーストラリア金融サービス認可
番号 336969)によって行われます。この文書は 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「ホールセール顧客」のみへの提供を意図したものです。オーストラリア国内からこの文書に継
続的にアクセスした場合、貴殿は、ムーディーズに対して、貴殿が「ホールセール顧客」であるか又は「ホールセール顧客」の代表者としてこの文書にアクセスしていること、及び、貴殿又は
貴殿が代表する法人が、直接又は間接に、この文書又はその内容を 2001 年会社法 761G 条の定める意味における「リテール顧客」に配布しないことを表明したことになります。ムーディー
ズの信用格付は、発行者の債務の信用力についての意見であり、発行者のエクイティ証券又はリテール顧客が取得可能なその他の形式の証券について意見を述べるものではありませ
ん。リテール顧客が、ムーディーズの信用格付に基づいて投資判断をするのは危険です。もし、疑問がある場合には、ご自身のフィナンシャル・アドバイザーその他の専門家に相談すること
を推奨します。
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JANUARY 9, 2015
意見募集:カウンターパーティ・リスク格付導入の提案
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