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河川流解析の役割と適用範囲(中央大学研究開発機構 機構准教授 内田

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河川流解析の役割と適用範囲(中央大学研究開発機構 機構准教授 内田
特定課題OS:「河道計画・管理のための流れ・地形変化の解析技術向上に向けて」話題提供
2014年度河川技術に関するシンポジウム,東京大学農学部弥生講堂, 2014.6.5
河川流解析の役割と適用範囲
中央大学研究開発機構
内田龍彦
様々な流れの解析法に用いられている
モデル化と簡略化
一次元解析法(断面平均流) 定数:断面流速分布
モデル開発
↓
準二次元解析法
モデル化:断面流速分布
↓
二次元解析法(水深平均流) 定数:流速鉛直分布
↓
静水圧準三次元解析法
モデル化:流速鉛直分布
↓
定数:圧力鉛直分布(静水圧分布)
洪水流・河床変動 非静水圧準三次元解析法
解析の最前線
↓
三次元解析法
モデル化:流速鉛直分布,圧力鉛直分布
(水深スケールより小さい三次元流れ)
モデル化:乱流運動
↓
乱流シミュレータ
モデル化:格子スケール以下の乱流運動
BVC法に基づく水深積分モデルの分類
平面二次元解析法
流速分布
(水面と底面の流速差)
dui = e ij 3W j h +
渦度分布(流速)の影響評価
¶Wh
¶z
¶z
- ws s + wb b
¶xi
¶xi
¶xi
圧力分布の影響評価
鉛直方向流速の方程式
水深平均渦度方程式
水表面流速の方程式
流速分布・渦度分布に関する追加方程式
底面圧力の方程式
非平衡粗面抵抗則(NWL)
水深平均圧力の方程式
渦層の運動方程式
圧力分布・鉛直流速分布に関する方程式
(水面圧力の方程式等)
粗度層の運動方程式
BVC-NWL法(非静水圧準三次元解析法+非平衡粗面抵抗則)
大スケールの現象(広域)
中スケールの現象
小スケールの現象(狭域)
川幅スケール
リーチスケール
横断流速分布,湾曲二次流
水深スケールのらせん流,
圧力鉛直分布
縦断水面形,洪水流伝播
BVC法
底面近傍と河床表層
の流速分布
2D
静水圧準3D
(渦度変形)
NWL法
モデル化とシミュレーション
解析モデル=
基礎方程式
簡略化)
+ モデル(
検討可能範囲の境界
検討可能範囲
シミュレーション可能範囲
(流れの支配方程式を
モデルの影響範囲
計算できている部分)
解析範囲
モデル常数等
運動方程式から見た各種モデルの
適用範囲
小スケールの現象(狭域)
大スケールの現象(広域)
対象スケール
0.01 < e s < 0.1
h
es = 0
L0
対象スケール
e s < 0.001
小
大
対象スケール
es >1
浅水流パラメータ
h0
es =
L0
:代表水深
:対象スケール
(水平スケール)
W0
»
U0
: 代表鉛直流速
: 代表流速
運動方程式の各項の大きさ
水深積分された運動方程式
æ ¶U i h ¶U iU j h ö
æ ¶rgh 2 / 2 ö æ ¶hdp
¶
z
¶zb ö ¶ht ij
b
ç
÷
ç
÷
ç
÷÷ +
rç
+
= - rgh
- t 0i - ç
-ç
+ dpb
÷
÷
¶x j ø
¶xi
¶xi ø ¶x j
è ¶xi
ø è ¶xi
è ¶t
重力項,底面
せん断応力項
移流項
非静水圧項
最も大きい項を1としたときの
各項の大きさ
1.0
u*
= 0.1
U0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
10-3
10-2
10-1
非静水圧
1
es =
3D
2D
準三次元解析法
h0
L0
底面流速の方程式
Y面でストークスの定理(渦度の積分=循環)を考えると,底面流速の方程式が得られる.
z
底面流速の方程式
ubx = u sx - W y h -
¶Wh
¶z
¶z
+ ws s - wb b
¶x
¶x
¶x
流線
渦線
usx
usy
¶hDwij
¶W i h
= ERsi + Pw i +
¶t
¶x j
h
Ux
水深積分渦度方程式
¶u s i
¶u
¶z
+ u sj s i = - g ' s + Psi
¶t
¶x j
¶xi
構造物
Wx
Uy
uby
y
水表面の運動方程式
Dy
W
x
ubx
Wy
Dx
流線
渦線
(
底面流速場)
=
(
水深平均流速場)
+(
渦度分布の影響:水面流速,渦度の移流項)
+…
+(
圧力分布の影響:鉛直方向流速の場所的変化)
底面流速の方程式
底面流速の決定要因
(
底面流速場)
=
(
水深平均流速場)
+(
流速鉛直分布の変形:水面流速,渦度の移流項)
+…
+(
鉛直方向流速の場所的変化)
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1.0E-03
-3
10
1.0E-02
-2
10
2D
[水深平均流速場の場合]
1.0E-01
-1
10
鉛直流速
準三次元解析法
1
1.0E+00
es =
1.0E+01
3D
非静水圧
3D
2D
準三次元解析法
h0
L0
従来の抵抗則から求まる 底面せん断応力は
河床に作用する力か?
~底面極近傍の流れの非平衡性の影響~
z
等流
z
底面流速
u
河床極近傍
を拡大
wb
主計算領域
tt
wst
ur
t
底面せん断応力 b
wsb
uv
ub
tb
ub
不等流
渦層
粗度層
u
流体力
D
渦層の運動方程式の各項の大きさ
¶uvi
¶u
¶h
+ uvj vi = - g
¶t
¶x j
¶xi
-
水深変化項
移流項
1 ¶dpb
r ¶xi
-g
非静水圧項
¶z b
t
t
+ bi - ti
¶xi rdzb rdzb
重力項・せん断応力項
重力項,せん断力項に対す
る各項の大きさ
(平衡粗面抵抗則で考慮される項)
2D for ub
2D for U
3D
2D for ub
3.0
2D for U
3D
3.0
2.5
2.5
2.0
2.0
1.5
1.5
1.0
1.0
重力項と底面せん断力項
重力項と底面せん断力項
0.5
0.0
1.0E-03
0.5
10-2
1.0E-02
10-1
1.0E-01
ks/h=0.01
1
1.0E+00
h
es = 0
L0
1.0E+01
0.0
10-2
10-1
ks/h=0.1
e
0
.
1:渦層内の流れの非平衡性は無視できない.
s>
相対粗度が小さいほど渦層内の非平衡性は大きくなる.
⇒渦層内の非平衡流れは砂河床の局所洗掘の解析において特に重要となる.
(洗掘部では水深が大きく,流れスケールは逆に小さいため)
1
es =
h0
L0
粗度層の運動方程式の各項の大きさ
¶uvi
¶u
¶h
+ uvj vi = - g
¶t
¶x j
¶xi
-
水深変化項
移流項
1 ¶dpb
r ¶xi
-g
¶zb
t
D
+ ti - i
¶xi rdzr rdz r
重力項・せん断応力・流体力項
非静水圧項
重力項,せん断力項に対す
る各項の大きさ
(平衡粗面抵抗則で考慮される項)
3D
2D for ub 2D for U
3D
2D for ub
3.0
3.0
2.5
2.5
2.0
2.0
1.5
1.5
1.0
1.0
重力項と底面せん断力項
重力項と底面せん断力項
0.5
0.0
1.0E-03
0.5
10-2
1.0E-02
10-1
1.0E-01
ks/h=0.01
1
1.0E+00
h
es = 0
L0
1.0E+01
0.0
1.0E-03
10-2
1.0E-02
10-1
ks/h=0.1
1.0E-01
es>
0
.
1:渦層内の流れの非平衡性は無視できない.
渦層とは逆に相対粗度が大きいほど粗度内の非平衡性は大きくなる.
⇒粗度層は通常河床と定義される面より下であるため,
礫床河川の局所流解析では非平衡粗面抵抗則が必要であることが分かる.
1
1.0E+00
es =
h0
L0
1.0E+01
礫床河川の水衝部三次元流れの解析における
非静水圧準三次元解析法と非平衡粗面抵抗則の応用例
ADCP
巨石
低水路
2011常願寺川現地実験
(m)
水衝部の三次元流れの比較
-2
10.2 10.4 10.6 10.8 11 11.2 11.4
2 (m/s)
(m)
11.6
11.4
11.2
11
10.8
10.6
10.4
Revetment
0
Large
stones
2
4
2D
5
6
4
3
2
1
0
2
1
0
流速分布の変形無
(m)
8
10
G
110
F
105
E
D C
100
B
A
95
90
(m)
11.6
11.4
11.2
11
10.8
10.6
10.4
5
2 m
/s
0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2 2.1 2.2
B
V
C
E
W
L
S
ec
t
io
n
E
4
3
電磁流速計
11.6
11.4
11.2
11
10.8
10.6
10.4
Mean water level
revetment
(m)
(m)
二次流は計算されるもその強度はかなり弱い
Electromagnetic
current meter
Section E
計測結果
5
4
3
2
1
11.6
11.4
11.2
11
10.8
10.6
10.4
5
0
(m)
ADCP
を応用することで現地スケールの局所三次元流
が計測できるようになった.
S
ec
t
io
n
E
B
V
C
N
W
L
4
3
2
1
0
実験と同様に断面中央部に二次流中心が確認され,
実験と同程度の二次流強度が再現された
まとめ
流れの解析では,広域の流れを解析できる枠組みの中で,
流速鉛直分布を決定する渦度の変形と圧力効果を考慮できる非静水圧準三次元モデル(BVC法)と
底面極近傍と河床表層の流れの非平衡性が解析できる非平衡粗面抵抗則(NWL)
が開発され,
洪水流伝播の解析をする中で,構造物近傍の局所三次元流れや河床表層の流速分布を同時に計算
できるようになった.
運動方程式を無次元化して各項のオーダーを比較することにより,流れの三次元性,非静水圧分
布及び非平衡粗面抵抗則がどの程度の流れのスケールから重要となるかを明らかにした.
そして,非静水圧準三次元解析法と非平衡粗面抵抗則を組み合わせたBVC-NWL法は,礫床河
川の水衝部の三次元流れをよく説明できることを示した.
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