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USMLE STEP 2 CS General Information
USMLE STEP 2 CS General Information ここではまず USMLE STEP 2CS の概要について説明し、続けて一つ一つ詳細な説明を加えていきま す。自分自身が 2015 年 2 月 24 日に LA で受験しているので、このマニュアルに記載する情報はその 当時のものになり、加えて受験場所や Kaplan（CS の対策講座を持つ唯一の予備校。詳細はあとで 後述します。）に関する情報は LA に偏ったものになっていることを留意して頂きますようお願いします。ま た非常に大事なことですが、このマニュアルに記載されている英文は全て他の参考書やネットからの転載に よるものです。自分の英語力が至らないことを自覚しているため、自作の英文は載せないことにしています。 ここに記載していくものは大半が FIRST AID や USMLE WORLD など既存の資料からの引用となって います。 ★概要 2CS とは何か？その overview を USMLE のサイトから以下に転用します。 Step 2 of the USMLE assesses the ability of examinees to apply medical knowledge, skills, and understanding of clinical science essential for the provision of patient care under supervision, and includes emphasis on health promotion and disease prevention. Step 2 ensures that due attention is devoted to the principles of clinical sciences and basic patient- centered skills that provide the foundation for the safe and effective practice of medicine. Step 2 CS uses standardized patients to test medical students and graduates on their ability to gather information from patients, perform physical examinations, and communicate their findings to patients and colleagues. つまり CS とは、受験生が指導医の監視下の基、基本的な医学知識を用いて最低限の医療を提供で きる技術を持っているかどうかを測る試験と言えます。その手法として、模擬患者（standardized patients: SP/ 以下 SP）と呼ばれる患者を用いて、問診から診察、そしてカルテまでの一連の流れを 行うことができるかどうかを見ていきます。実際には 1 日で 12 ケース行います。 17 ★重要事項 CS の詳細な情報の説明に移る前に、僕が考える CS 受験を準備するにあたっての最重要事項につい て一言述べたいと思います。それは、CS 合格に必要な知識・技術、その詳細の一切が全く公表されてお らず、そして誰もその真偽が分からないということです。この点について極めて慎重になる必要があると思い ます。何故なら、巷に溢れる CS に関する情報・意見の一つ一つが全く異なるからです。例えば、FIRST AID に記載されている情報と、Kaplan で学ぶ情報では大きく異なる部分があります。そして、CS は勉強 をすればする程、何が正しい情報なのかがわからなくなります。そして CS の勉強を難しくしているもう一つの 理由として、Step1 や 2CK と異なり、CS 用の模試が無く自分の能力を客観的に評価してくれるものが 何一つ無いのです。これが CS の一番の難敵と言えるでしょう。つまり、何を指標にしていいかわからず、か つその成果を量る術もない。これが CS なのです。では、どうしたらいいのか。それは自分自信の目で、その 真偽を取捨選択していくしかないのです。（もちろん僕としてはこのマニュアルを信じて欲しいのですが。） 具体的な例を挙げると、ある人は聴診をする前に聴診器を手で温めろと言います、その一方 Kaplan Pasadena の直前講習では聴診器は汚いから温めるなと言います。こんな情報の差異が大量にあり、直 前講習で僕は完全に辟易してしまいました。恐らく明確な答えを得ることは不可能ですが、僕の意見とし ては、常識的にどうすることで患者が喜ぶか、という視点で常に物事を考えるべきだと思うのです。Kaplan の問題点は全ての患者に対して常に同じことをするように要求している点にあると思います。Kaplan では どんな患者であろうと、How would you like to be addressed?と聞いたら 1 点なのです。何と意識 も朦朧として死にそうな患者にもそう尋ねないと 1 点もらえないのです。これは実際の現場で常識的にあり 得ることでしょうか？痛くてもだえ苦しんでいる人に、いきなり「何て呼んだらいいでしょうか？」って尋ねたこと はありますか？恐らく、殆どの人はないでしょう。僕は実際のテストで一応言われた通りに聞いてみました。 すると殆ど全員の SP がびっくりするか、または It doesn’t matter.と返してきました。聞いた話では自分 の first name すら忘れてしまっている SP もいたそうです。つまり、医療現場において本当に必要な知識、 技術が問われているのであり、Kaplan が提言しているような唯の点取り試験ではないと言えます。もちろ ん、一定の採点基準が存在していることは確かであり、それらは全症例全受験者で一律と思われるので 点取り要素があることは全く否定しませんが、本番では細々とした採点要素が合否を左右する程の重要 さはなく、そういう細々とした要素を含んだ採点基準、例えば「良好な医師患者関係を築くことができた か」等が大事な採点項目になっているように思います。大事なことなのでもう一度言いますが、詳細な採 点基準は誰もしりません。一部の人が、さもそれがまるで真実のように話しているだけです。ここに記載する 一切は、全て僕が経験で学び得た全てです。他者との意見に差異があるのは承知しています。でもこのマ ニュアルには僕にとっての真実で、その全てを書いていきます。 18 ★受験資格 詳しくは STEP 1 用のマニュアルを参照ください。2015 年現時点では医学生及び卒業生であれば誰で も受験することが可能です。2023 年に ECFMG が医学部に求める基準が変更になり、全員が受験資 格を得るということができなくなる可能性があります。医学部での実習期間や教授の出身大学率などに関 しての規定が厳しくなるためです。最近になって、各医学部で実習期間が延長される傾向がありますが、 その一部はこの ECFMG の影響が出ているとも言えます。少なくとも現時点では、STEP1, 2CK, 2CS を どの順番で受験しても大丈夫です。中には 2CS から受験する方もいます。1 つ目の試験の合格後から 7 年以内に 3 つ全てに合格する必要があります。同じ試験を 6 回まで受験することが可能ですが、1 回目 の挑戦から 12 か月間は最大 3 回までしか同じ試験を受けることができません。 ★受験会場 STEP1 や 2CK とは異なり日本で受験することができません。そのため以下に示す米国内の 5 つの受験 会場から選んで受験する必要があります。僕はロサンゼルスで受験しました。おすすめ順に上から下に並 べました。極めて客観性に乏しい主観的な順位です。 1, ロサンゼルス CSEC Center - Los Angeles Pacific Corporate Towers 100 N. Sepulveda Blvd., 13th Floor El Segundo, CA 90245 ・ホテル情報：僕の知る限りのホテルを 3 つだけ紹介します。どこのホテルが一番良いとは言い難いですが、 ロサンゼルスでは交通渋滞が頻発と聞きますので、少なくとも徒歩圏内のホテルをお勧めします。 Hacienda Hotel: 525 N Sepulveda Blvd, El Segundo, CA 90245 19 会場から恐らく一番近いホテルの内の一つです。会場まで徒歩 10 分程度です。CS 受験者の中では 定評のあるホテルです。立地条件に加えて料金も 1 泊 100 ドルでリーズナブルです。しかし以下、人気が あるために早く予約がいっぱいになってしまうことと、以下の 2 つのホテルと比較するとややホテル内の環境 などが劣る印象があることも付け加えさえて頂きます。残念ながら既に潰れたという情報もあります。 Double Tree by Hilton LAX: 1985 E Grand Ave, El Segundo, CA, 90245 このホテルも会場から非常に近く、徒歩で 10－15 分程度です。友人を含めて多くの受験者が滞在して いました。Free Wi-Fi やホテル内レストラン等も充実しており、おすすめなホテルではありますが、比較的 高額で 1 泊 200 ドル弱になります。 Courtyard Los Angeles LAX: 2000 East Mariposa Avenue El Segundo CA 90245 僕が宿泊したホテルです。会場まで徒歩 15－20 分程度です。価格は 1 泊 150 ドル程度です。設備も 充実しており申し分ありませんでした。 ・会場情報：ロサンゼルスを 1 番にした主な理由は、実際に多くの日本人の合格者がここロサンゼルスで 出ているためです。西海岸に位置するため日本から比較的近くアクセスが良いことが間違いなく受験者が 多い理由に関係していると思います。加えてロサンゼルスにはご存じのようにアジアからの移民が多く、住人 がアジア人系の英語に慣れているという噂も関係しているかもしれません。もちろん確証はありません。あと SP も比較的優しいと聞きます。シカゴで落ちてロサンゼルスで再受験し合格したという話もしばしば聞きま すし、実際にロサンゼルスで受験する IMG（外国の医学部を卒業した人達の総称）も比較的多いです。 上記の理由のため、ロサンゼルスを 1 番にしました。 2, ヒューストン CSEC Center – Houston Amegy Bank Building, 7th Floor 400 North Sam Houston Parkway Suite 700 Houston, TX 77060 ・会場情報：完全に噂でしかありませんが、最近米国ではヒューストンが 1 番人気な会場となっているよう です。どうやら患者さんが一番優しいとか。そのため 2 番にしています。 3, シカゴ CSEC Center – Chicago First Midwest Bank Building, 6th Floor 8501 West Higgins Road, Suite 600 Chicago, IL 60631 20 ・会場情報：正直 4 番のアトランタとの差はありません。殆ど情報はありませんが、近くで Kaplan を受講 できることを考えるとアトランタよりは立地の面で勝るかなと思います。SP の優しさは中程度らしいです。 4, アトランタ CSEC Center – Atlanta Two Crown Center 1745 Phoenix Boulevard, Suite 500 (5th Floor) Atlanta, GA 30349 ・会場情報：申し訳ありませんが何の情報もありません。ここで受験した日本人も一人も知りません。 5, フィラデルフィア: CSEC Center – Philadelphia Science Center 3624 Market Street, 3rd Floor Philadelphia, PA 19104 CSEC Center – Philadelphia 3700 Market Street, 2nd Floor Philadelphia, PA 1910 ・会場情報：会場人気ランキングでは何故か必ず最下位になるフィラデルフィア。東海岸であるため日本 から遠くはありますが、Kaplan をニューアークで受けることができるため立地がそこまで悪いわけではありま せん。何より SP が 1 番優しくなく、実際に合格率も低いとか。個人的にはフィラデルフィアの病院で見学を した際に英語で非常に苦しんだ経験があるため、何があってもここでは受けるものかと思っていました。観 光客も少ないため日本人の英語には全く慣れていない印象を受けました。 ★受験費用 2015 年 3 月時点で$1505 です。円安も相まって非常に高額です。しかも今後さらに値上がる傾向に あります。 ★申し込み方法 STEP1 のマニュアルをご参照ください。基本的には 1 年中受験することができます。 ★具体的な受験の流れ：申し込み～受験まで 3－6 か月前：STEP2 CS の申し込み。USMLE 自体初受験の人や、卒業後初受験の方の場合、紙 の提出書類も必要となり、その場合には手続き完了までに 1 か月程度必要であるため早めの申し込みが 21 お勧めです。（3－6 か月前：必要であれば Kaplan の申し込み。Pasadena で Kaplan を受講して から受験される方が多いため、Pasadena はすぐに定員に達してしまいます。Kaplan に関してはまだ後ほ ど説明します。） 1－2 か月前：飛行機やホテルの申し込み。飛行機は成田からのシンガポール航空がお勧めです。機内 も綺麗で設備も整っており、往復で 10 万円弱なのが嬉しいです。Kaplan を受講する場合、ホテルを最 低でも 2 種類予約する必要があります。1 つは Kaplan 用、もう 1 つは本番用です。Pasadena 以外 のことはわかりませんが、Kaplan と本番の受験会場が徒歩圏内でなければホテルは 2 つ予約しておいた ほうが良いと思います。Pasadena の場合は本番の受験会場からタクシーで 1 時間以上かかります。 Pasadena ではホテルのルームを借りて講習が行われるので、講習の 1 か月くらい前にホテルの紹介のメ ールが届き、受講生はそのホテルをディスカウント価格で予約することが可能です。朝食付きで 1 泊 110 ドル程度だったと思います。 1 週間前：必要な人は Kaplan 講習受講。 当日：試験本番。当日の詳細は下記。 上記は、Kaplan を受験直前に受ける場合を想定した 1 パターンに過ぎませんので、人によって様々なバ リエーションがあることをご留意ください。 ★具体的な受験の流れ：受験日当日 7:30：会場到着し当日の申し込み。多少遅刻しても問題なし。9 時過ぎると受験不可能です。 8:00：オリエンテーション開始。ここではオリエンテーション兼控室に案内され、テストに必要のないものを 全てロッカーに入れるように指示されます。ロッカーが閉じると試験終了まで取ることができません。次いで USMLE のホームページでも閲覧可能な STEP2 CS のオリエンテーションビデオを見ます。その後、控室に 設置されている各診察器具を手に取って使い方を確認する時間が与えられます。Kaplan で使うものと 大差ありませんが、壁に設置されている眼底鏡や耳鏡は壁から取り外した時点で自動的に on になるとい う程度の差はあります。是非、各自全ての診察器具を手に取って使い方を確認してみてください。 ※重要事項：オリエンテーション開始以降は英語以外の言語は話すことは許されません。他言語による 受験同士の試験情報の交換を防ぐためです。話している場合にはイレギュラーな行為として罰せられる可 能性があります。 9:00：いよいよ試験開始です。休憩時間が変更され 3 ケース毎に休みと昼休みがあります。Kaplan の 講習では何故か以前のスタイルである、5 ケース→4 ケース→3 ケースのという休憩スタイルのままになって いることがありますが、本番では間違いなく 3 ケースずつの休憩です。 10:30：10 分間の休憩です。 22 12:10：ここで 30 分間の昼食休みです。簡単な軽食が用意されます。一部の会場で豪華な食事も振 る舞われるところもあるという噂を聞きました。ロサンゼルスではサンドウィッチやフルーツ、クッキーなどが用意 されていましたが、食事は持参することができるので食事にこだわりがある人は自分で持っていきましょう。 14:10：10 分間の休憩です。 15:50：試験終了後に簡単なアンケートに答えて終了。大よその終了時刻は 16 時です。 ★当日の持ち物 必須な持ち物は上の 7 つです。 1. パスポート：これが無いと受験できません。最重要！ 2. scheduling permit：ECFMG のホームページの Online Service の一つである IWA( Interactive Web Applications)から print out できます。 3. conformation notice：同様に ECFMG のホームページの Online Service の一つである Step 2 CS Calendar and Scheduling から print out できます。 4. 白衣：無くても借りることができるようですが、数に限りがあるため持って行くことを強くお勧めします。 基本的には無地のものを持っていきましょう。ロゴや名前が入っている白衣も使用することはできます が、当日ガムテープでその部分を隠すように指示されます。 5. 聴診器：白衣同様です。音声増強機能などが付いたものは使用が許されません。 6. 食事・水分：持ち込めますので必要な方はどうぞ。 7. 歯ブラシ：口臭にも気を付けたほうがいいので昼食後に使えるように持って行ったほうがいいです。 ※試験会場に持ち込めないもの 時計：時計は診察室内に用意されています。腕時計は持参することができません。アナログなら OK とい う噂がありましたが嘘です。腕時計を付ける時は敢えて通常の反対向きに付けて（つまり時計盤が手首 の屈側ある状態）目を落とすだけで時間が見えるようにすることで時間を気にしてないように振る舞いなが ら時間をチェックしろ！とアドバイスをされたことがありますが、もちろん嘘です。何でこんなに嘘ばかり飛び交 うのでしょうか。 ペン：配布されます。自身のペンを使うことはできません。普通のペンでした。 紙：メモ用紙として青いパステルカラーの紙が 12 枚渡されます。1 ケース終わるごとに回収されシュレッダ ーにかけられます。何故青なのか全くわかりません。 23 ★当日の服装 基本的にフォーマルな格好をしていきましょう。口臭・体臭にも気を付けたほうが良いので、前日に臭いの 強いものを食べるのは避けましょう。 男性：スーツ、革靴、ネクタイ 女性：スーツ、パンツ、膝丈までのスカート、ワンピース、ヒールの高くない靴 ※推奨されない服装：jeans, sneakers, open shirts, spike heels, mini skirts ★試験内容：1 ケースの基本的な流れ USMLE STEP2 CS では 1 日で 12 ケースの症例の問診、診察、カルテ作成を行うと上記しましたが、 ここではさらにその 1 ケース内で行うことを詳しく説明していきます。12 ケースの中には電話対応をする telephone case が含まれる場合もあります。 1 ケースの基本的な流れは以下のようになります。 Patient encounter (Doorway information、History taking、Physical exam、Closing)： 15min →開始時、終了 5 分前、終了時にアナウンスがあります。 Patient note：10min（もし patient encounter が 15 分以内に終了した場合にはその余った時 間が patient note に追加されます。） →終了 2 分前、終了時にアナウンスがあります。 これを 12 ケース繰り返します。その詳細をさらに細分化すると以下のようになります。 24 ① Patient encounter 15min ・Doorway information 1min：診察室の前に立って開始の合図を待ちます。開始の合図を聞いた ら、診察室のドアに付いている小窓を開けます。そこに Doorway information（後に詳細を説明しま す）と言って患者の名前やバイタルサインなどが書かれた紙が貼ってあります。それを確認し、メモをとり、 必要であれば紙に語呂を書き写し、聞くべき質問や鑑別 疾患を考えるのにここで 1 分程度使います。アメリカ人等 は開始と同時に部屋に入っていきますが、日本人でアメリ カでの十分なトレーニングを受けていない場合には、焦って 彼らの真似をしようとしてすぐに部屋に入ろうとはせず、入 室前に十分な時間をかけてください。 本番はまさにこの写真と一緒です。 ・History taking 7-8min：問診です。患者の現病歴や既往歴などを聞いていきます。鑑別疾患を考 えながら入室前に聞くべき質問を決めて入室するとスムーズにいきます。英語が native 並みに話せる人 以外は英語での問診の仕方を事前にマスターしておく必要があり、アドリブを言って英語で減点されないた めにも事前にフレーズを暗記するなどの準備が必要です。このマニュアルには、想定しうる質問の英語での 受け答えをほぼ全部網羅しています。 ・Physical exam 3-4min：身体診察です。問診後に考えられる鑑別疾患の診断に必要な身体診 察を行います。診察前には必ず手洗いをするか、グローブをする必要があります。手洗いだけで少なくとも 30 秒は費やすことになることも覚えておきましょう。3－4 分という限られた時間で上から下まで全ての部 位の診察を行うことは非現実的なので、疾患にフォーカスした診察のみを行うべきです。様々な CS の参 考書のサンプルカルテに多くの部位の診察をしているかのような記載を良く目の当たりにしますが、完全に 真似る必要はありません。超高速の英語を話しながら超高速で診察を行えば不可能ではないかもしれま せんが、非常にリスキーです。例えば若い女性の右下腹部痛であれば、腹部の診察のみで OK です。問 診中に残り 5 分のアナウンスを聞いたらすぐに問診を切り上げて診察に移りましょう。また、CS では電話越 しに患者と話をするという telephone encounter もありますが、その場合は physical exam が無いの で、その時間を他に充てることができます。 ・Closing 3-4min：最後に今まで得た情報のまとめ、鑑別疾患や今後の方針について患者に説明し ます。この closing をやり切ることが非常に重要と考えられているようです。そのため、身体診察が不十分 だと感じても必ず最後までたどり着くようにしましょう。実際の試験で時計など見ている余裕などありません。 15 分という時間感覚は練習を重ねることによってのみ形成されるものです。慣れてくると時計もみなくても 25 時間調整ができるようになってきます。アメリカの医学生も何よりタイムマネージメントが大事だと思っている ようです。Closing の最後には必ず患者に質問が無いか聞いてから部屋を出ましょう。 ②Patient note 10min Patient encounter で得た情報を元にカルテを書きます。カルテは大きく 3 つのパートに分かれており、 History, Physical examination, Date interpretation です。Data interpretation はさらに Diagnosis と Diagnostic study の 2 つのパートに分かれます。USMLE のホームページの practice material から本番とほぼ一緒のフォーマットで練習することができるので、練習の際にはできる限りここで カルテの練習をするようにしましょう。実際に慣れるまで 10 分という時間は、書きたいことを書ききるには不 可能と思える程短く感じられると思います。後述しますが、カルテを書ききるコツは省略系の単語を多用し、 かつコピーアンドペーストを繰り返すことです。 ★試験の評価方法やスコアリングに関して USMLE STEP2 CS では以下の 3 つの評価項目を用いて評価が行われます。そして CS に合格する ためにはこの 3 つの評価項目全てで合格基準を満たす必要があります。 1. Communication and Interpersonal Skills (CIS) 2. Integrated Clinical Encounter (ICE) 3. Spoken English Proficiency (SEP) 上記の 3 項目を以下に 1 つずつ詳しく説明していきますが、USMLE が定義する CIS,ICE,SEP とは 如何なるものかを正確に把握するためにその定義を USMLE のホームページよりそのままその各冒頭部に 転載し、僕のスコアレポートを参考にしながらそれに筆者的解釈を加えていきます。 26 これが実際のスコアレポートです。Overall で PASS するためには、ICE,CIS,SEP 全てを PASS する 必要があります。さらにそれぞれの項目の成績は以下の様なグラフで表示されます。 皆様目を疑ったかもしれませんがこれでも ICE は PASS しています。本当は合格体験記の最後のオチと してスコアレポートをお見せしたかったのですが、説明するために仕方なくここで僕のスコアを公開することに しました。恐らく ICE に関しては合格最低点でしょう。ICE と CIS は 11 個の星でその能力値が表され、 SEP は 7 個の星で表されています。実はこの星の数は全員に共通しているようです。仮に能力が高すぎる または低すぎると星が右または左に振り切れるので、その場合は星の数が減ったように見えますが、基本 的には ICE と CIS は星 11 個、SEP7 個で構成されています。ここに着目した人は殆どいないと思います が、ここにも重要なヒントが隠されていると思っています。CS では 1 日 12 ケースが用意されていますが、そ の内 1 つがパイロットケースと言って試行中のものであり採点されないものが含まれています。つまり採点さ れるケースは 11 ケース、11 個の星の数と一致します。では SEP の星７つはどのように解釈するか。当然 ですが英語力というものはケース毎に変化するものではありません。ケース毎に評価が大きく違うわけがな いですし、違ってはいけないのです。しかし、僕が Kaplan で模擬試験を受けた結果から、残念ながら英 語の評価は SP の主観であるためか人によって極めて大きく違ってくることがあると分かりました。僕の場合 27 にはいたっては、人によっては 10 点満点で 9 点を付けてくれた SP もいれば、2 点をくれた SP もいました。 これでは正確な英語力は測れません。ここから導き出される仮説は、CS の本番においては SEP では評 価の高い上 2 ケースと、評価の低い下 2 ケースは採点対象外になっているのではないかということです。そ うすることで極端な評価を採点の対象に含めないようにしているのでしょう。そしてそこからさらにパイロットケ ース分を引くので 7 ケースが採点対象になっているということです。つまり SEP に関しては 2 ケースまでは大 失敗しても採点に影響を与えない可能性があるため、気を取り直して次のケースを迎えることができるとい うことです。そして恐らく表の見方ですが、ボーダー上の星の数がボーダー以下の星の数より上回ると合格 なのだと思います。僕の場合は、ICE ではボーダー上の星が 6 つで、ボーダー以下が 5 つでした。そうこれ が合格最低点なのでしょう。ホームページを見るたびに「あなたはやっぱり不合格です。」と言われないかい つも心配しています。合格ぎりぎりだったことは事実ですが、CS では STEP1 や 2CK とは違い合否のみが 重要となります。いい点で合格する必要性はないのです。逆に言うと 1 回でも CS が不合格になると、その 時点でインタビューに呼ばない病院はたくさんあるそうです。もしレジデンシーを希望される場合は何とか 1 発で合格することを目標にしましょう。そして英語が大の苦手な僕が SEP はボーダーにかからず、ICE で合 格ぎりぎりになった理由も明確に説明できます。それは以下の各項目でさらに説明していきます。 1, Communication and Interpersonal Skills (CIS) The CIS subcomponent includes assessment of the patient-centered communication skills of fostering the relationship, gathering information, providing information, helping the patient make decisions, and supporting emotions. CIS performance is assessed by the standardized patients, who record these skills using a checklist based on observable behaviors. →CIS では、受験者の患者中心のコミュニケーションスキルの評価を含みます。それは医師患者関係の 形成、情報収集、情報提供、患者の意思決定、感情を支持する能力から測定されます。そして、重要 なこととして CIS は SP によって評価されます。 Examinees demonstrate the ability to foster the relationship by listening attentively, showing interest in the patient as a person, and by demonstrating genuineness, caring, concern, and respect. →医師患者関係：傾聴の姿勢、一人の人間として患者に興味を示すことや、誠実さ、思いやり、関心、 尊敬の念を示す能力より測定されます。 Examinees demonstrate skills in gathering information by using open-ended techniques that encourage the patient to explain the situation in his/her own words 28 and in a manner relevant to the situation at hand, and by developing an understanding of the expectations and priorities of the patient and/or how the health issue has affected the patient. →情報収集：オープンエンドクエスチョンを使うことで、患者に患者自身の言葉で状況を説明してもらうこ とや、患者が期待していることや患者にとって大切なこと、そして患者の生活にどのような影響を与えている のか理解を示す能力を評価されます。 Examinees demonstrate skills in providing information by using terms the patient can understand and by providing reasons that the patient can accept. These statements need to be clear and understandable and the words need to be those in common usage. The amount of information provided needs to be matched to the patient’s need, preference, and ability. The patient should be encouraged to develop and demonstrate a full and accurate understanding of key messages. →情報提供：患者が理解できる言葉を使えるか、患者が納得できる理由を提供できるかという能力を 評価されます。これらは明瞭で理解できるものである必要があり、一般的に使われる言葉である必要があ ります。提供される情報量は患者が求める量や趣向、能力に一致している必要があります。患者はそれ らの重要な情報を完全に正確に理解できるように働きかけられる必要があります。 Examinees demonstrate helping the patient make decisions by outlining what should happen next, linked to a rationale, and by assessing a patient’s level of agreement, willingness, and ability to carry out next steps. →患者の意思決定：次に何を行うべきかを概説し、そして患者の同意や意志、次に行うことを遂行する 能力があるかどうか査定する能力が評価されます。 Examinees demonstrate the ability to support emotions when a clinical situation warrants it by seeking clarification or elaboration of the patient’s feelings and by using statements of understanding and support. →感情を支持する能力：患者の感情の理解することや、その理解や共感の姿勢を言語化する能力を 評価されます。 29 ※筆者的解釈 CIS は上記に示したように如何に良好な医師患者関係を築けるかという能力を見ています。普段の生 活で普通にコミュニケーションをとることが出来れば CIS で落ちることはまずありません。良好な医師患者関 係というものを細分化すれば、もちろん上記のように区別することができますが、果たしてこれらは一つ一つ が独立して存在するものでしょうか。Kaplan では CIS を細かく 40 項目に細分化し、各ケース CIS を 40 点満点で評価します。ちなみに合格に必要な点数は 87％（35/40）だと言っていました。それらの詳 細を書くことはできませんが、その項目があまりにも細分化されており、それぞれの項目を満たそうとすると明 らかに不自然さが生まれます。既に記載しましたが、Kaplan では死にかけの患者に「何て呼ばれたいです か？」と聞かないと 1 点減点されます。Kaplan は、CS は点取りゲームだと明言していましたが、点取りゲ ームだと完全に割り切ってしまうのは危険だと思います。一昔前まで CS は簡単で Kaplan さえ受ければ 合格確実と言われていましたし、一世代上の方に話を伺っても「Kaplan 受けるだけだよ。」とアドバイスを 受けることが多いです。しかし、USMLE は CIS の基準を厳しくしていることを発表していますし、コミュニケ ーションが苦手な人が落ちることが多いということを聞くと、「本番で」CIS で高得点を取るために重要なこと は、あれもやってこれもやってと点を取りに行くことではなく、SP を本当の患者さんだと思い自然に思いやる 気持ちを見せることではないでしょうか。評価するのは SP です。そして SP も人です。どの受験者をアメリカ の医者にしたいかという目線で評価すると思います。本番では、もちろん USMLE が定義する CIS に関し ては意識しつつも、何より目の前の患者を思いやる気持ちを一番に試験に挑んでほしいと思います。僕の 知人で非常に優秀で社交的な医師がいますが、彼は Kaplan を受講せずに受験したところ CIS は高得 点だったそうです。ちなみ Kaplan のテストで 87％の基準を満たしている人は殆どいませんでした。でも Kaplan は受講生の合格率は高いと声高らかに語っていました。さらに細かく述べますと、患者に布を掛け てあげる行為（ドレーピング）は恐らくすでに廃止されています。Kaplan では未だにドレーピングは大事 だといって重要視していますが、僕が経験した本番のケースでドレーピングが必要なケースは 1 ケースもあり ませんでした。入室時点で既に全員ドレーピングされていました。稀に入室時に立っている患者もいるので その際にドレーピングするのはありだと思いますが。Kaplan の模試を受けた際に、患者の足がすこし布から はみ出ていたことを理由に減点されました。そこでさらに「布を完全に広げて足を完全に覆うんだ！」という 有難いアドバイスを頂きましたが、本番の布は全部広げても完全に足を覆うことのできない大きさでした。 アメリカの医学生で CIS の点が足りなく落ちたため Kaplan を受講している人がいましたが、彼は「俺は一 度もドレーピングをしなかった！だからか！」と言っていました。彼、今元気でしょうか。もう一度言います、 普通にコミュニケーション能力があれば CIS では落ちません。対策すべきは SEP と ICE です。 2, Integrated Clinical Encounter (ICE) The ICE subcomponent includes assessments of both data gathering and data interpretation skills. Scoring for this subcomponent consists of a checklist completed 30 by the standardized patients for the physical examination portion of the encounter, and global ratings provided by trained physician raters. The patient note raters provide ratings on the documented summary of the findings of the patient encounter (history and physical examination), diagnostic impressions, justification of the potential diagnoses, and initial patient diagnostic studies. →ICE は情報収集能力と情報解釈能力の評価を含みます。SP が身体診察に関するチェックリストに記 入し、そして医師が全体の点数をつけます。そして、カルテは（記載はないが恐らく）医師が点数をつけま す。 Copies of the patient note template, sample patient note styles, and software to practice typing the note are available in the practice materials. Although it is not feasible to list every action that might affect an examinee’s patient note score, the descriptions below are meant to serve as examples of actions that would add to or subtract from the score. →USMLE のホームページでカルテの練習ができます。カルテに影響を与える全例を挙げることが不可能で すが、以下に示す例は加点、減点の対象となる例の一部です。 ●The following are examples of actions that would result in higher scores on the patient note: ・Using correct medical terminology ・Providing detailed documentation of pertinent history and physical findings For example: writing “pharynx without exudate or erythema” is preferable to stating that the pharynx is clear. ・Listing only diagnoses supported by the history and findings (even if this is fewer than three) ・Listing the correct diagnoses in the order of likelihood, with the most likely diagnosis first ・Supporting diagnoses with pertinent findings obtained from the history and physical examination 31 ●The following are examples of actions that would result in lower scores on the patient note: ・Using inexact, nonmedical terminology, such as pulled muscle ・Listing improbable diagnoses with no supporting evidence ・Listing an appropriate diagnosis without listing supporting evidence ・Listing diagnoses without regard to the order of likelihood ※筆者的解釈 ICE のみが医師と SP によって評価されます。それ以外の全てが SP によって評価されます。CS という試験 がアメリカの医学生を対象としているためか、診断能力などの医師としての技量を問う ICE では合格の為 にそこまでの高得点は求められないと言われています。この意見自体に関しては僕も大方賛成ですが、実 は現在の CS における最大の敵は ICE なのではないかと思っています。確かに診断や検査に関しては本 筋から大きく外れてなければ問題ないと思いますし、覚えるべき鑑別診断は、後述の First Aid の practice case や Mini case の中で殆ど過不足なくカバーできるものと思っています。しかし、実は ICE にも英語力が大きく関与しており、ICE が原因で落ちた日本人は数多です。米軍病院でエクスターンをし ている知人でも、その人の周りの方は全員 CS に合格しているものの ICE が全員合格ぎりぎりだったとも聞 きました。では何故日本人にとって ICE が大きな壁になっているのか。診断能力に大きな差がないと仮定 した場合に、アメリカ人と日本人との間に生まれうる差は、英語表記のカルテ作成能力とそして特に患者 からの情報収集能力ではないかと思います。人によって差はあれ、アメリカの医学生の様に英語でカルテを 書くことに慣れている人は殆どいないと思いますし、実際に病名などを完璧にスペルアウトするのは意外と 難しいと思います。このマニュアルの読者で CS に頻出の「尿管結石」や「老人性難聴」などの医学用語を、 自信を持って英語でスペルアウトできる人はどれくらいいるでしょうか。これらに関しては知らない単語に出 会う度に確認して覚えていくしかありません。またタイプするスピードももちろんアメリカ人には劣ります。10 分間で十分な情報を書ききるのは相当な練習が必要だと思います。そして僕が考える最大の問題点は、 CS では本番の患者の話すスピードが異常に早いということです。ネット上の情報も含めて、CS を受験した 数人の知人から話を聞きましたが、大半の受験生が本番では SP の話す言葉がとても速くリスニングが大 変だったと口を揃えて述べていました。早口と表現するよりは、より実生活に近いナチュラルな英語と言った 方が良いかもしれません。Kaplan では SP の話す英語はフレーズを暗記したようなものばかりであり、リスニ ングは非常にしやすかったもののナチュラルと言えるようなものではありませんでした。リスニングができないと いうことは、当然カルテ記載に大きな影響を与えます。必要な情報を聞き取ることができないために必然 的にカルテの内容も貧弱なものになってしまいます。情報量の欠如によりスコアは下がりますし、診断自体 にも影響は出てきます。僕が ICE で合格最低点を取った理由を鑑みると、それはリスニング力の欠如にあ 32 ると思います。相手が何を言っているのかわからないためカルテに十分な現病歴を書けない。そして何度も 聞き返すと、当時最も心配だった SEP に影響が出てしまうため、分からなくても分かったふりをして聞き返 さずに次に進むようにしていました。これは僕の戦略であり、ICE を犠牲にしてでも SEP で点を取るという 作戦が功を奏したとも言えます。後述する SEP はフレーズの暗記と発音の矯正で何とかなる部分が大き いですが、リスニングだけはごまかしがききません。これから受験される皆様は、英語は SEP だけに反映され るのではなく、ICE にも顕著に影響を与えるものであり、特にリスニングが苦手な場合は足元をすくわれうる ということを留意しておいてください。そして、このマニュアルを見た人たちでリスニングに不安がある人は今日 からでもリスニング対策をする必要があります。これといった指定の教材があるわけではありませんが、1 日の どこかで少しでもナチュラルな英語に触れる時間を作ってください。僕の悲惨な英語力に関してはまた後述 します。リスニング以外の面に関しては練習により補うことができます。このマニュアルを参考にカルテ作成を 繰り返し練習し、鑑別疾患は語呂を覚え練習をすることでその精度を高めることができます。 3, Spoken English Proficiency (SEP) The SEP subcomponent includes assessment of clarity of spoken English communication within the context of the doctor-patient encounter (for example, pronunciation, word choice, and minimizing the need to repeat questions or statements). SEP performance is assessed by the standardized patients using a global rating scale, where the rating is based upon the frequency of pronunciation or word choice errors that affect comprehension and the amount of listener effort required to understand the examinee's questions and responses. →SEP は医師患者の関係における英会話能力の評価を含みます。例えば、発音や言葉の選択、質問 や発言を繰り返す必要性を評価します。SEP は SP によって評価され、その評価は理解に影響を与える 程の、または質問や発言を理解するために努力をしなければならない程の発音や言葉の選択の間違い の頻度に基づきます。 33 ※筆者的解釈 SEP こそが日本人にとって、いや特に僕にとって最大の難敵だと思っていました。しかし蓋を開けてみると僕 のスコアレポートでは SEP はボーダーにすらかかっていませんでした。つまり USMLE は僕の英語力は全く 問題ないと評価したわけです。また同時期に受験した日本人で TOEIC990、TOEFL103 を取っている 明らかに僕より英語力のある先生が CS を受験し無事に合格しましたが、その方のスコアレポートを見せて もらうと SEP がボーダーにかかっていました。その方は「本番では早く話しすぎてしまったかもしれない。」と仰 っていました。ここから言えることは CS で求められているのは純粋な英語力ではなく、CS に特化した英語 力なのです。もはや SEP 力とも言えます。結論を急ぐと SEP で合格点を取る為に必要なことは基本的な 英語力に加えて、完璧なフレーズ暗記と発音矯正です。SEP で合格点を取るための戦術に関しては以 下でさらに詳しく説明していきますが、それらの戦術は基礎英語力によって大きく方針を変わります。さてこ こで、CS に求められる英語とは何かを考えてみましょう。上記の USMLE による SEP の定義を改めて見て みると、英語力には発音や文法的間違いを含むと書いています。しかし、その下に注意書きのように、「で もその英語の間違いが医師の質問や発言の理解にどれほど影響を与えるかが大事ですよ。」と書いてある わけです。つまり、発音やアクセントが完璧でなかろうと、たまに前置詞の使い方を間違えようと患者が医 師の英語を理解できればいいわけです。逆に言うと、患者に何度も聞き返されるようではいけないわけで す。僕自身も英語に関して非常に強い苦手意識があったため受験前に様々なサイトで受験体験記を閲 覧し、数人の合格者から体験談を聞き英語に関してのアドバイスをもらいました。残念ながら SEP で不合 格になった日本人が多数いる一方、帰国子女でもなくお世辞にも完璧な英語とは言えない日本人が SEP で非常に高得点を取っていたり、誰が聞いても日本語アクセントの強い英語を話す日本人が SEP で合格点を取っていたりするのです。つまり、求められている英語はミスのない完璧な英語ではないのはも ちろん、格好いいネイティブみたいな英語でもなく、流暢に聞こえるような英語でもなく、ただただ伝わる英 語だと思われます。ここ上記に挙げた基本的な英語力、フレーズ暗記、そして発音矯正が必要になります。 発音矯正に関しては上の文章と矛盾すると思われるかもしれません。しかし、understandable な英語、 つまり伝わる英語にはある程度正確な発音が必要になってきます。日本人が L と R の発音が苦手という ことは今更言うに及びませんが、実際に L 音と R 音が全く区別されずに発音されているとネイティブスピーカ ー的には理解に苦しむそうです。もちろん程度によりますし、僕も L と R の発音は大の苦手でしたので完璧 だったわけではありません。しかし、少なくとも自分が覚えたフレーズ内の単語の発音だけは完璧を目指せ るようにトレーニングを繰り返していました。完璧な発音は必要ありません。しかし、伝わる程度の発音は 必要です。よって発音矯正を意識してください。具体的には自分の声を録音し、また身近にいるネイティブ にお願いしてフレーズを読み上げてもらい録音し、自分の声と比較します。そして気付いたところを少しずつ 直していきます。英語が余程堪能な方以外はフレーズ暗記が不可欠になります。本番前に頻出のフレー ズを丸暗記し、暗記したフレーズであれば流暢に話せるレベルまでもっていく必要があります。アドリブを言う ことは極めてリスキーであることを肝に銘じましょう。アドリブを言うと英語自体の意味が不明だったり、自信 がなくなって声が小さくなったり、また意味は通じるが明らかに不自然な英語だったり等の理由で患者がこ ちら言っていることが理解できない場合があります。そのために何度も聞き返されたりするのは NG です。殆 34 どの質問はこのマニュアル内のフレーズで対応することができます。とにもかくにもフレーズを暗記していきまし ょう。順番が前後しましたが、最後に基本的な英語力に関して説明します。上で説明した文章だけ読むと、 「フレーズさえ暗記して発音を矯正するだけで十分じゃないか」と思われるかもしれません。しかしそれだけで は不十分なのです。基本的な英語力はこれらフレーズ暗記の土台となります。英語の基礎的な文法力 があればフレーズ暗記ももちろんスムーズになりますし、無ければ本当に丸暗記になります。またフレーズを いかに完璧に覚えたとはいえ、人間であれば言い間違えことも多々あると思います。言い間違えた時に、 英語力があれば最初から言い直すことなく言い切ることができます。英語の言い直しは英語力の無さを露 呈するので出来れば避けた方がいいです。大事なことなのでもう一度言いますが、大事なのは基本的な 英語力と完璧なフレーズ暗記、そして発音矯正です。そして最後にもう１つ超大事なことがあります。いく らフレーズを完璧に覚えたからといって調子に乗ってネイティブのように喋ろうと思ってはいけません。早く話せ ば話すほど相手はこっちの言っていることが理解できなくなる傾向があります。Kaplan の採点基準は本番 とは明らかに異なる採点基準を使っているものと思われます。そのため決して気取らず、本番では患者の 目をじっと見て、口を大きく開けて、ゆっくりはっきり話しましょう。少し遅すぎるのではないかと思うくらいが理 想です。 ★Kaplan に潜む SEP の罠 Kaplan は SEP に関する独自の 5 つの採点項目（Pronunciation、Word choice、Patient understood the doctor’s questions and responses、Listener effort、Doctor understood the patient’s questions and responses で構成し、各項目 2 点満点。）を持って おり、恐らく USMLE ホームページ上の SEP の定義からそれらを作り出したものと思われます。Kaplan の レッスンを受講する際に気を付けるべき事項として、Kaplan の内部で SP によって採点の厳しさが全く異 なるということです。CS のレッスンは Pasadena, Newark, Chicago で受けることができます。驚愕の事 実ですが、その各会場によって、教え方から教える内容、何と使用する教材すら違うのです。もちろん共通 する部分もありますが、例えば Newark は非常に教師が優しく丁寧で、パワーポイントの講義資料をプリ ントアウトして配布し教科書をあまり使わない授業をする一方、Pasadena は教師がやや高圧的で講義 資料は一切配布せず、教科書中心で授業が進みます。Pasadena でも、パワーポイントに書いてある内 容は大事だから覚えなさい、資料は後で配るよと言いますが、結局何も配らないということがありました。講 義内容に普遍性を持たせ真実味を帯びさせるために講義内容を全会場で統一すべきなのは明らかに必 要な企業努力だと思います。そして、採点の厳しさも SP によって大きく異なります。僕が Kaplan の模擬 試験を受けた時に、あるケースで SEP の点数が 9/10 点の時があったと同時に、あるケースでは 2/10 点 という半端なく低い点をもらったこともありました。僕の英語力が短時間でケース毎に大きく変わるわけもな く、その評価にこんなに大きな差があっていいわけがありません。知人のアメリカ人医師にこの件に関して伺 ったところ、「そういうことは Kaplan ではよくあることで、SP が十分にトレーニングされていない場合に起こり えることだから気にするな」とおっしゃっていました。Kaplan の模擬試験では、12 ケースの点数を合計し、 35 それを平均した得点率を最終的な点数とします。SEP の得点率は、84％以上で合格確実圏、 68-83％の範囲内で合格可能圏、68％未満で合格不可能圏のように 3 つのカテゴリーに分けられます。 僕は残念ながら 1 回目が 60％、2 回目が 64％と、両方とも合格不可能圏内でした。本番を直前にし てその事実を叩きつけられめちゃめっちゃへこんだことは言うまでもありませんが、僕は実際には合格しました し、SEP はボーダーにすらかかりませんでした。同時期に Kaplan を受講していた周りの日本人で SEP が 合格確実圏に達している人は誰ひとりいませんでしたが、殆どの方が合格しましたし、SEP で合格不可能 圏になって実際に不合格になった人は一人もいませんでした。Kaplan の言うことを鵜呑みにすると誰も受 からないことになってしまいますし、実際にアドバイスを求めると、本当に「受験を延期してもう一度 Kaplan の 1 day course を受けろ」と言ってきます。ビジネスであることは理解できますが、事実と大きく反するこん なアドバイスは鵜呑みにしてはいけません。僕はアドバイスすら求めませんでした。もう 1 つエピソードがあり ます。同時期に受講したスウェーデン人がいました。彼は非常に優秀で英語も完璧、模擬試験でも非常 に高得点でした。しかし ICE だけやや低めでした。といっても恐らく受講者の平均くらいでしょう。（Kaplan では明らかにカルテに記載したのに何故か採点されないこともある。）彼が Kaplan の先生に今後の方針 に関して相談したところ、3 週間後の試験をさらに延長したほうがいいと言われたそうです。さすがにびっくり しました。彼はもちろん合格しましたし、スコアレポートでは 3 つの全ての項目が右に振り切れていました。こ れはただの Kaplan 批判ではありません。皆さんの貴重な時間・お金・機会を潰しうる危険をはらんでいる のです。とっても大事なことなのでもう一度言いますが、Kaplan の言うこと、特に英語に関してはその評価 を真に受けるなということです。事実、Kaplan に厳しいことを言われて受験を諦める人がいっぱいます。も ちろん一度不合格になるとマッチングで不利になるので絶対に落ちたくない人の気持ちも分かりますが、そ の正確さに欠ける評価を鵜呑みにして今までの努力を水の泡にするのはもったいなさすぎます。 36 ★お勧め教材・活用方法 ここでは僕が CS 受験に向けて実際に使った教材とその活用方法を説明していきます。 ●FIRST AID USMLE STEP2 CS CS 受験に欠かせない必須本です。このマニュアルとこの FIRST AID（以下 FA）を使っていただくのが最も効果的な勉強方法か と思います。中身を載せることはできませんが、内容は大きく分け て、CS 自体の説明、フレーズ集、Mini Case、Practice Case に分かれています。ここでは Mini case と Practice case の利用 方法を説明します。CS 練習の要になるのがこの Practice Case です。もし、手元に FA があればその中身をご覧になりながら説明 を読み進めてください。Practice case では医者からの各質問に 対しての患者の受け答え方が載っています。こう聞かれたらこう答 えるというのが決まっているのです。これがとても役に立ちます。他の 本にも Practice case が載っているものはたくさんあるのですが、 FA のように受け答え方が載っている参考書はありません。日本人のように英語での受け答え方でここまで 苦しむ人は世界にはそういないのでしょう。FA では challenging question の受け答え方や、カルテの模 範解答などが載っており間違いなく一番クオリティの高い参考書と言えます。出てくる疾患も CS に頻出な ものに限られますし非常に high yeild です。練習する際には一人は医者役、一人が患者役をやり、時 間を測りながら問診→診察→カルテの 1 セットを通して行うのがいいと思います。タイムマネージメントの難 しさを痛感するでしょう。次に Mini case についてですが、ここでは鑑別疾患と検査を挙げる練習ができま す。1 ケース毎に患者の主要な情報のみが載っており、その情報をもとに鑑別疾患と、それを鑑別するた めの検査を挙げる練習ができます。Practice case では網羅できていない主訴も載っていますので、これ を練習することでより網羅的になると思います。また Practice case と Mini case の主訴それぞれに対 応した覚えるべき鑑別疾患と問診事項を語呂にしてこのマニュアルに掲載しています。語呂を覚えることで 主訴を聞いた途端に鑑別疾患と聞くべき問診事項が頭に思い浮かぶので、実際に問診、診察、カルテ 作成の全てがスムーズにいくようになります。 ●Kaplan USMLE Step 2 CS Core Cases 37 FA を 2-3 周してほぼ完ぺきした後に時間があればやってもい いかな程度のものです。FA には載っていない主訴がカバーされ ているので時間を持て余した人はやってください。Kaplan 独 特の癖がこの本にも強く出ています。何故か Kaplan は low yeild な枝葉末節な知識を好みます。この本の多くのケースは 頻出の主訴ではありますが、やはりこれはさすがにいらないでし ょといいたくなるようなケースも散在しています。そして、英語で の受け答え方は載ってないので非常に練習がしにくく、カルテの 解答もクオリティが低いのでお勧めしません。加えてこの本の中 には笑っちゃうようなミスが散見されます。例えば、主訴が fatigue のケースのタイトルに「CASE34 depression」（こ れは僕が即興で作ったケースであり実際の CASE34 とは異な ります。）と書いてあったりするわけです。「答え見えとる！」と思わず突っ込みたくなるほどのミスだと思いま す。何故 Kaplan はこういうとこに目がいかないのか不思議です。 ●USMLE WORLD STEP1 でおなじみの USMLE WORLD です。CS ではフレーズ集と数々の試験に関する Tips、身体診 察のビデオ、あと Practice case が載っています。ここに掲載しているフレーズの殆どはこのマニュアルに入 れ込んじゃいましたし、Practice case は非常に使いづらく役に立ちません。受け答えの仕方はもちろん載 っていませんし、鑑別疾患も載ってなく、カルテの模範解答もありません。正直言って敢えてここの Practice case を練習する必要性はないでしょう。この USMLE WORLD で役立つコンテンツと言えば身 体診察のビデオくらいです。ちなみに以下に掲載する身体診察の表はここのビデオを元に作っています。身 体診察は文字で学ぶよりも一度動画で確認したほうが頭に残るに決まっています。USMLE WORLD は 期間を決めて購入できますが、正直結構高価です。短期間だけ契約して身体診察のビデオだけ観るのも ありかもしれません。実際 Youtube でも色々な身体診察の方法を見ることができますけどね。 ●BATES’ Guide to Physical Examination and History Taking 38 身体診察は人によって診察方法が異なることが多く、何も信じ ていいのか分からなくなることがあります。また身体診察に苦手 意識がある人も多いと思います。この本は身体診察のバイブル とでも言うべきものです。もし身体診察に関して疑問点があれ ば、この本で調べてその通りに行えば間違いありません。少し高 価ですが、CS だけでなく一生使えるものなので、興味ある方は これを機会に買ってみてはいかがでしょうか。 ●CSE Video このサイトでは FISRT AID USMLE STEP 2CS の Practice case を、実際にアメリカのドクターが実 演してくれる動画を掲載しています。少々高額ではありますが、全体の流れを掴むには有効な動画だと思 います。しかし、この動画ではアメリカ人が物凄い早口で問診をしているので完全に真似をするには無理が あります。あくまで参考に留めておくべきでしょう。 ●Consocio このサイト http://consocio.jp/では Skype 上で CS 専用のレッスンを提供してくれます。講師は MD ではないネイティブスピーカーが担当するスタンダードコース（10 回 44650 円）と MD が講師を担当す るマスターコース（1 回 9800 円より。講師により異なる。）があります。僕は体験していないのでよくわか りませんが、知り合いの海軍病院でエクスターンされていた先生はこれを利用していたようです。その方も合 39 格していましたので、中々いいものなのかもしれません。身近でどうしてもネイティブスピーカーが見つからな いという方はこれも選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。 ●Handy 英辞郎 CS 準備に適した英語アプリです。あらゆる発音がこのアプリで聞けるの で、読み方の分からない、または発音に自信のない英単語はこの英辞 郎で調べるといいでしょう。 ●暗記帳＋ 暗記帳アプリです。CS では完璧を目指せば大量のフレーズや語呂を暗記 することになります。英語力に自信が無い方程暗記が必要になってくるの は間違いありませんが、暗記があまり得意でない方もいるはずです。僕はこ のアプリを使って暗記に役立てていました。このアプリでは、自分で暗記帳 が作れるので、覚えたいものを自分で暗記カードに書き込み、それを何回 も繰り返してやることで記憶に定着させます。カードが出てくる順番をランダ ムにもでき、より効率の良い暗記が可能です。 ●NYCS Prep 最近では Kaplan の直前講習以外にこちらを利用する方も増えてきているようです。これも Kaplan と同 様に短期間で集中的に CS について学ぶことができるコースを提供していますが、その違いは Kaplan より も圧倒的に安いこと、期間が短いこと、開催場所が NY に限られるということにあります。SP は基本的に Kaplan で SP 経験をしていた人を採用しているようです。期間は 3 日間で 999 ドルとかなり格安です。 1 日間の模試であれば 450 ドルとこれも Kaplan と比べると安いです。僕は実際には受けていないので 詳細は不明ですが、受講生の話を聞くと中々好評でした。また SP を時間単位で借りて練習することがで きるのも特徴なようです。模試は 12 ケースではなく 1 日 6 ケースのみと聞いています。 40 ●Metropolis Classifieds このサイト（http://classifieds.metropolis.co.jp/）は特に首都圏在住の方にお勧めです。このサ イトは東京周辺在住の外国人向けに作られています。このサイト内に language exchange と言うコー ナーがありますが、ここで English speaker を探すことができます。読んで字のごとく、言語を交換するの で、日本語を勉強していて英語を話せる外国人と知り合うことができます。もちろんただ出会いだけを目的 としている人もいるので注意が必要ですが、僕はここで知り合った外国人に CS の患者役になってもらいま した。4 人と知り合いましたが、その内 2 人は特に熱心で試験の直前まで練習相手をしてくれました。CS では練習相手を見つけることが非常に大切になります。特に単一民族国家である日本で練習相手にな ってくれるネイティブスピーカーを探すのは結構難しいです。お金を払えば英会話教室でも練習相手を作る ことが可能でしょうが、その場合時間も限られますし、お金もかかります。気軽に連絡することもできません。 そのためこのようなサイトを利用して、友達を見つけてしまえばいいわけです。この投稿する際のコツとしては、 思い切って「医者」だと言うことをアピールしましょう。本気で日本語を勉強したい外国人も質の高い日本 人を求めているなので、「医師」と書くことで、自分がそれなりの教育を受けていることのアピールになります。 是非ご活用ください。 ★Kaplan について ここで今まで幾度も名前の挙がってきた Kaplan についての説明をします。ご存じの方も多いと思いますが、 Kaplan は USMLE STEP 2 CS に対応した講座を持つアメリカの大手予備校です。USMLE では Step1, 2CK はもちろんのこと、USMLE 以外に TOEFL や SAT など様々な資格試験のレッスンを提供 しています。一昔前までは Step1 の対策と言えば Kaplan という時代もあったそうですが、現在では USMLE WORLD のほうが Kaplan より定評があります。僕も Kaplan の教材をいくつか使用しましたが、 どれもどこか時代錯誤な感じがあり、また low yield な部分にこだわる性質もあってあまりいい教材とは思 えませんでした。本番の試験に則していない傾向があり、CS のレッスンに関しても独占市場に近い状態に 41 なっているせいか、企業努力を怠っている印象があります、そのためこのマニュアルでも再三書いているよう に、Kaplan の言うことには常に注意する必要があります。以前 CS のレッスンで Kaplan に言われたよう に準備し、Kaplan で覚えたフレーズのみを使い、患者に対して事細かに病気の説明をした結果 SEP が 原因で落ちた人がいましたが、その SEP も左に振り切れていたそうです。また、どう考えても FIRST AID を 使って勉強している人が多いのにも関わらず、Kaplan の関係者と話をすると決まって「Kaplan の本は最 高だ。これに全てが載っている。FIRST AID は悪くはないけど大したことはない。Mini case くらいは鑑別 診断の練習になるから良いかな。」と答えます。実際に勉強すればわかりますが、FIRST AID のほうが Kaplan の教材より圧倒的にクオリティが高いです。でも、だからと言って Kaplan を一切利用するなとは 言っていません。現実的に Kaplan か NYCS prep でしか模擬試験をうけることができないのも確かであ るので、これを利用する以外に手はありません。具体的には以下のコースがあります。 ●Comprehensive courses (5 days): $2999 このコースでは 5 日間通じて CS 漬けの毎日を過ごします。本当に朝から晩までのコースで非常に疲れま す。定員は恐らく各会場 1 日 24 名です。申し込みは Kaplan のホームページからできます。非常に高価 ですが、秋口に 15%OFF キャンペーンをやることがあるのでその時期を狙うのも手です。1 年中開催して います。このコースの大よそのスケジュールは以下です。 Day 1:一日中講義 Day2 :一日中講義 Day3:午前講義、午後 2 ケース練習 Day4:試験日。12 ケースを通しで行う。 Day5:結果返却。フィードバック。 この中でも特に重要なのが day 4 の模擬試験です。12 ケースをぶっ通しで練習できる機会はこれと、以 下で説明する pactice exam 以外にはありませんので、余程自信のある方以外はこの機会を利用する と良いと思います。正直 day1 と day2 の講義はいりません。はっきり言ってここに行ってから問診の仕方等 を学ぼうとするのでは遅すぎます。フレーズを完璧に頭に叩き込み、身体診察もカルテ作成もできる限り完 璧にしてからこの模擬試験に臨み、その試験で得たフィードバックを参考に今まで覚えた内容を少し修正 して本番に臨むのが理想的です。一昔前までは CS は USMLE の中で最も簡単な試験と言われ、直前 に Kaplan のコースを受ければ誰でも受かると言われてきましたし、実際に 10 年くらい前までに受けた方 は今でもそう思われています。ですが、IMG（アメリカ以外の医学部を卒業した人達の総称）の流入に 歯止めをかけるべく、CS の合格基準をかなり上げてきていると言われており、現在の IMG の CS 合格率 は 8 割弱で、これがここ数年で 6 割程度まで下がるかもと言われています。ましてや英語が特に苦手な日 本人の合格率はこれを下回り、４～5 割程度でしょう。よって Kaplan のコースを受けるだけでは合格に は全然及ばず、それ以前の準備を完璧にすべきであり、実際に何回も不合格になっている日本人がいる ことも頭にいれておいてください。また先にフィードバックを参考にすると言いましたが、ここも注意が必要です。 42 Kaplan の評価はあてにしてはならないとも言ってきました。もちろん Kaplan の言うことは非常に厳しいこ と、また的外れなことが多いので鵜呑みにしてはいけません。ですが、SP 一人ひとりからのフィードバックには 目からうろこなことも書かれていたりするわけです。「発音のこういうところが気になる」「視線はもっと合わせ たほうが印象いい」などです。そのように自分では中々気づきにくいところを指摘してもらえるのは大変ありが たいです。また模擬試験では各項目に点数がつきます。SEP の説明でも記述しましたが、合格確実圏は 緑、可能圏は黄色、不可能圏は赤色の結果で却ってきます。直前に赤色をもらうと死ぬほどショックです。 人によってはオール赤になることもあります。しかしこの結果こそ気にしてはならないのです。もちろん点が高 いほうが良いに決まっていますが、あくまでこれは Kaplan による採点であり、本番の採点とは異なること、 そして赤点をとっても本番で受かる人がいること（僕の SEP はボーダーにすらかかっていませんでした。）を 考えれば、自分のやってきたことに自信がありさえすれば自分を信じてそのまま受験すべきです。Kaplan 一神教の世界で Kaplan という神に疑問を抱くことは難しいかもしれませんが、最後の最後は自分を信じ ることが何より大切です。最後に要点を纏めます。 要点 ・自信が無いものは Kaplan 5day course を受けるべし。お金や時間に余裕がない場合には NYCS prep で問題ない。 ・受ける前に全てを完璧に仕上げておくべし。 ・模擬試験の結果は気にしない。 ・役立つフィードバックを参考にして修正すべし。 ●Practice exam (1 day): $999 このコースでは 1 日かけて 12 ケースの模擬試験を受けることができます。定員は 12 名です。やることは 上の 5 day course と一緒ですが、もちろん症例は異なります。またこれを経験することでさらに 12 ケー ス練習できるのでお金に余裕のある方は是非うけるといいです。またある程度自信のある方は本番前にこ の practice exam だけでも受けるといいでしょう。しかし、このコースはアメリカ人も本番前に力試しで受け ることが多いので、IMG の多い 5 day course よりも受験生のレベルが上がり、相対的な評価が下がるこ とが多いです。より厳しい結果が返ってくることがありますが、これもあまり気にしないようにしましょう。 43 ※会場・日程について 上記のコースは Newark, Chicago, Monrovia(Pasadena)の 3 つの会場で受けることができます。 一般的に Monrovia がロサンゼルスに近く IMG に人気です。人気がある時期はすぐに埋まってしまうので 試験の半年前、遅くても 3 か月前くらいまでには抑えとくべきです。ちなみに噂でしかありませんが、2-3 月 頃は日本人を含めた IMG が時間を作りやすい時期であり、IMG の受験生が増えます。実際に僕は 5 day course を受けた時には 24 名中 6 名が日本人でした。この時期に合わせて受けると相対的に受験 生のレベルが下がり、相対評価が上がるという噂があります。これらのコースは毎月開催されていますので、 具体的な日程はホームページで確認してください。 ★合格のための具体的な戦略 ここでは USMLE STEP2CS 合格に必要なストラテジーに関して僕なりの意見を提案していきます。上記 で既に少し触れましたが英語力によってその方針を分けていきます。CS で必要な英語力とは、主に speaking 力と listening 力で、加えてカルテに特化した writing 力です。よく CS に必要な英語力はど れくらいですかと聞かれますが、正直明確に答えるのが難しい質問です。CS で求められる英語とは医療 現場に特化した英語であり、質問すべき内容もかなり限定されますし、その質問に対する返答の多くも経 験から大方予想することができてしまいます。例えば、心窩部痛を訴える女性が、食事や運動と痛みとの 関係性を訴えることは容易に想像されますし、それが予想できれば会話もよりスムーズにいくものと思いま す。CS では普段の日常会話に比べて使用される英語がかなり限定されるため、ここでいう英語力とは単 純な英語力ではありません。しかし裏を返せば、基本的な英語力がハイレベルとは言えないものであったと しても、その対策によって攻略出来うる可能性を秘めています。そうであっても、受験者の英語力によって 対策方法や準備にかけるべき時間が大きく異なることは明らかです。そして、ここではその CS 合格に必要 な英語力を区別化して、その各レベルに応じた対策方法を説明していきます。CS で必要な英語力を僕 44 の経験や、周りの受験者の英語力とその人達の CS における結果から独断と偏見でレベル 1，2，3 と 分けます。先ほど述べたように CS 合格に特に必要な英語力は speaking と listening です。その英語 力を世界標準の英語テストである TOEFL の点数によってレベル分けします。TOEFL という試験も、試験 という性質上対策によって点数が上がるということは承知していますが、現存する試験の中では英語力を 一番正確に評価してくれるテストだと判断したためこれを基準に使わせていただきました。 ※TOEFL iBT reading, listening, speaking, writing の 4 つの項目から成り各項目 30 点満点で合計 120 点 満点です。全受験者平均点は 80 点で、日本人平均は 70 点くらいです。最近、大学入試に TOEFL を導入しようする意見が出ており、そこで試験的に TOEFL iBT を高校生に受験させたところその平均点 は 30－35 点、東大を含む旧帝大を受験する高校生の平均点ですら 50 点だったそうです。しかも、これ らの点数は日本人の一番苦手とする speaking の点数を含んでいない状態で 120 点に換算したもので あるため、speaking を含めると前者は恐らく 25 点程度、後者は 40－45 点まで落ち込むと言われてい ます。TOEIC と比べても何倍も難しいため受験生自体のレベルが高いと推察され、単純に TOEIC の平 均と TOEFL の平均を比較してはいけません。上記のような情報や僕の経験から、恐らく日本の医学生の 平均点は 60 点程度（東大理系の平均点は 60 点くらいとの情報もあり。）だと思います。しかしこれも 大学間で大きな振れ幅があり、聞いた話では東大医学部の平均は 90 点程度である一方、医学部でも 大学によっては平均点が 40 点台まで落ち込むところもあると思います。ちなみに僕は大学 6 年生に STEP1,2CK を受けましたが、その時の英語力は散々たるもので、TOEIC では 600 点程度、TOEFL では 55 点程度でした。つまり医学生の平均以下だったのです。この状態で STEP1, 2CK とも 235 点 前後取っていたので、アメリカ人には奇人扱いを受けました。その後、研修医 2 年目から本格的に英語の 勉強を開始し、CS を受ける半年前くらいの英語力は TOEIC900 点、TOEFL90 点程度でした。しかし、 僕は日本人の典型例で、TOEFL では reading と writing では合計で 50 点以上取れるが、listening と speaking は全くダメダメで、合計で 40 点弱しか取れませんでした。そして、実際に CS 本番では listening で大変苦労しましたし、listening 力が大きく関係する ICE では合格点ぎりぎりでした。 45 ①レベル 3（listening + speaking: 50 以上）：帰国子女レベル、またはそれに準ずるレベル このレベルでは英語が大きな問題になることはまずないので、基本的には CS のために英語を勉強する必 要はありません。そのため CS のために英語の対策に時間をかける必要はないと思われます。ただ、英語力 はあっても医療英語に慣れている人と慣れていない人がいると思います。よってこのレベルをさらに 2 つに細 分化していきます。 A:レベル 3+：海外の病院での実習経験がある、または米軍病院でエクスターンをした経験があり英語 で問診すること、カルテを書くことに慣れている。かつ STEP1, 2CK を勉強した、または合格しており最低 限の医学英語も取得済み。 対策：アメリカ人と問題なくコミュニケーションが取れる人の場合、全く対策無しで受けても合格する可能 性があると思います。しかし折角受験のために大金を払うのであれば、対策を全くせずに受けるよりも、是 非このマニュアルを一読して流れを掴んでいただき、First Aid で少なくとも 10 例程、余裕があれば１周 （全 44 例）練習してから受験してほしいと思います。事前に Kaplan の 1day test を受けておくと本 番の雰囲気も掴むことができ、本番ではさらにスムーズにいくものと思います。鑑別診断に自信がない場合 は First Aids の Mini Case を読んで鑑別を考える練習をするのもいいですし、それらを完全に網羅した このマニュアルの mnemonics を覚えるのもいいと思います。つまりアメリカの医学生と同様の対策で十分 なレベルと言えます。 ～まとめ～ 推奨対策期間：1 週間～1 か月 推奨対策内容：First Aid を 10 例～1 周、必要があれば Kaplan 1 day course B:レベル 3：英語力は帰国子女レベルに達しているが上記のような医学英語に慣れていないもの。 対策；同様に英語の勉強をする必要はありません。しかし、基本的な医学英語に関する知識が欠如し ていますし、カルテも書いたことが無ければ 10 分という短い時間で書ききることは難しいと思います。このよ うな方は英語のフレーズを一生懸命覚える必要はありませんが、医学英語に慣れることとそれをカルテに 書く練習をする必要があるため First Aid を 1 周することをお勧めします。十分な準備をすれば Kaplan の 5day course は受講する必要が無いと思いますが、結局本番と似たシチュエーションで練習できるの は Kaplan と NYCS prep のみなので、試験前に 1 day test を受けることはお勧めします。 46 ～まとめ～ 推奨対策期間：1 か月～2 か月 推奨対策内容：First Aid1~2 周、Kaplan 1 day course ②レベル 2（listening + speaking: 35-50）：日本人の英語力としては十分だが、ネイティブス ピーカーと比べると明らかに劣るレベル このレベルの方は CS 合格に十分な英語力を持っていると思われますが、フレーズ暗記など CS に対して特 別な英語の準備が必要なレベルです。アドリブを言うと不自然さが出てしまいコミュニケーションに支障が出 てしまう危険性を持ち合わせています。そのためフレーズ暗記の徹底が求められるレベルです。とはいえ、 50 と 35 では大きな差があるのでさらに細分化していきます。 A:レベル 2+：listening + speaking: 40-50 かつ海外の病院での実習経験がある、または米軍病 院でエクスターンをした経験があり英語で問診すること、カルテを書くことに慣れている。かつ STEP1, 2CK を勉強した、または合格しており最低限の医学英語も取得済み。 この条件を満たしている場合、医療現場で必要な英語を基本的に網羅できているとは思いますが、多く の方が、普段使っている医学英語が本当に場にふさわしく自然なものかどうか自信が無いのではないでし ょうか。そのような英語は CS においてネガティブに働く可能性が高いので事前に使用するフレーズを確認し 使うものを決めておく必要があると思います。First Aid で練習しながら頻出の問診の仕方や、想定しうる 質問に対する返答の方法をしっかり覚えていきましょう。アドリブは厳禁です。カルテの書き方に関しては、 FA を繰り返す中で自分にとって一番真似しやすい書き方を決め、それを繰り返し練習するのみです。当 然、Kaplan 1day test は本番前の絶好の練習の機会になりますし、このレベルでは自分の英語に不 安を感じる人が多いと思いますので、Kaplan 5days course を受けてさらに練習の機会を増やし、英 語のフィードバックをもらうことで本番までに修正していくことも手だと思います。 47 ～まとめ～ 推奨対策期間：2 か月～4 か月 推奨対策内容：FA2 周、フレーズ暗記、Kaplan 1day course, (Kaplan 5days course) B:レベル 2：listening + speaking: 35-45 または医学英語に慣れていない、海外での病院実習経 験がない。 僕は CS 受験時にこのレベルに相当しました。このレベルの人は英語という面では非常に不利な位置にい ます。このレベルの人が最優先してやるべきことはフレーズの丸暗記です。もちろん FA を進めながらでも大 丈夫ですが、それと並行して基本的なフレーズから Challenging question の答え方まで完全に丸暗 記します。加えて、身近にいるネイティブスピーカーをつかまえて、またはオンライン英会話などを利用して、 患者役になってもらい練習をしましょう。出来れば、英語のミスを直してもらえればベストです。特に発音を 直してもらうようにしましょう。理想的にはフレーズをネイティブに読んでもらい、それを録音し、それを聞いて ひたすら真似をしていきましょう。カルテの練習の仕方はこのマニュアルを参考にしながら、First Aid で練 習を続けて自分の形を作ってください。Kaplan の 5days course, 1day test は、自分の英語力を試 す絶好の機会になりますし、英語の細かいフィードバックを受けることで本番前に修正することができる最 後の場になるので出来れば受けたほうがいいです。しかし、繰り返しになりますが Kaplan の評価は異常に 厳しいので、このレベルの人は SEP で合格不可能圏の評価をもらう可能性が非常に高いです。それでも 合格できることを僕が証明しているので、準備が万端であるならみなさんも勇気をもって受験に臨んでくだ さい。 ～まとめ～ 推奨対策期間：3 か月～4 か月 推奨対策内容：FA2 周、フレーズ丸暗記、Kaplan 1day course, Kaplan 5days course ③レベル 3（listening + speaking: 35 未満）：CS 合格に必要な英語力に明らかに足りていな いレベル このレベルの方は残念ながら基本的な英語力が足りていないと言わざるを得ません。もちろんテストの点 数で判断することは難しいのですが。この基準を下回る場合は Kaplan を受けることすら意味をなさない かもしれません。事実、多くの医学部で海外実習に必要な TOEFL の点数を 80 点（IELTS だと 6.5 く らいに相当）としているところが多く、この基準は「80 点を切っていると実習に行っても意味ないかもしれま 48 せん」という注意勧告のために設定されていると考えられます。日本人で 80 点を取った場合の内訳は、多 くの場合で reading と writing で合計 45、listening と speaking で合計 35 くらいになることが多い と考えられ、よって 35 点を切っていると海外の医療現場で活躍することはおろか実習する意義すら怪しい ということです。実際に僕自身も 83 点の時にトーマスジェファーソン大学の精神科でエクスターンをした時 には、精神科という要素も加わり、英語の面で非常に苦労しました。 このレベルの人達は長期的にプランを立てていき、まずは基本的な英語力を伸ばしていきましょう。学生で あれば長期休みを使って語学留学にいくのもいいですし、社会人でも時間を見つけてこつこつ英語の勉強 をしていきましょう。TOEFL を受ける必要は必ずしもありませんが、自分の英語力を客観的にみるために 受けてみるのも悪くないと思います。TOEIC は TOEFL と比べてかなり簡単であり、reading と listening しかない上に、ビジネス英語に特化している傾向が強いため受ける必要性はありません。英語の勉強方 法を教授出来るほどの力は僕にはないので、具体的な方法論を語ることはできませんが、付録として僕が 実際に使った教材やその評価を載せています。上のレベルに達したなと感じられたら CS の具体的な対策 に入られるのがいいかなと思います。 ～まとめ～ 推奨対策期間：半年～2 年 推奨対策内容：まずは基本的な英語学習 ★おまけ：筆者が実践した英語学習 英語が大の苦手で、どう考えても語学の才能がない筆者が実践した勉強方法を一応記載します。結局 苦手なままなので英語が得意な方には何の参考にもならないでしょうが、僕と同じように英語が大の苦手 な方には少しだけも役に立つかもしれないと思いましたので、記録に残します。恥ずかしいですがここで改め て僕の英語力を曝します。 49 ～高校時代～ センター試験の英語 116 点で全国平均以下。ほぼ何もしゃべれない。何故お前は医学部を目指したの か。 ～大学合格時～ センター英語は 190 取れたが、それ以上に難しい問題は解けない。山形大学医学部を受験した理由は 二次試験に英語が無いということだけ。 ～STEP1、2CK 合格時（大学 6 年生）～ TOEIC で 600 点程度しかとれない。簡単な自己紹介程度しか話せない。リスニングに至っては本当に 何も分からない。しかし、２CK を終えいよいよ 2CS を意識しだす。 ～受験 2 年前（研修医 2 年目）～ 英語での簡単な受け答えは可能だが相当不自由。CS なんてとても受かると思えない。研修医 2 年目よ り英語の塾に通いだす。 ～受験半年前～ TOEIC は 900 程度、TOEFL も 90 弱まで取れるようになり日常会話であれば可能。しかし、本場の英 語には全くついていけないし映画なんて何を言っているのかさっぱりわからない。発音が悪いことに始めて気 付く。そろそろ CS の準備を本格的にしたいと思いだす。 ～受験直前～ もう完璧！と言いたいところだが、実際は全然ダメ。CS の試験官の言っていることすら分からない。発音は かなり矯正したため幾分ましになり、フレーズ内であれば流暢には話せる。でもリスニングは相変わらずダメ。 それでも合格した。 簡単にまとめると以上のようになります。長い間英語に強いコンプレックスがあり、様々な勉強をしてきまし たが、少なくとも僕にとって転機となったのは塾に通いだしたことでした。東京の新宿になる NCC という英語 塾ですが、かなり熱血で有名で本当に親身になって教えてくれる塾でした。首都圏にお住いの方は通われ てみるのも一つの手だと思いますが、塾に行くことが大事という話になっては首都圏以外に在住の方にはこ の話には何のメリットもなくなってしまいます。そこで、僕が塾で学び得た英語上達（少なくとも CS にぎりぎ 50 り合格するレベル）メソッドを共有し、自宅での英語学習であっても役立つような情報を提供したいと思い ます。この塾では基本的に文法に力を入れ、和文英訳を行います。既に成人になってから英語学習を始 めるとどうしても経験だけで得られる部分は少なくなり、体系的に文法を学ぶ必要があるという理論のもと 授業が成り立っています。僕もあらゆる英語勉強方法を模索してきましたが、英語学習には近道はないこ とだけわかりました。そして、実際に僕は英語学習を改めて始める時には、思い切って中学英語から始め ることにしました。 この中学英語自由自在をマスターすることから始めました。本当の基礎中の基礎から土台を固めようと思 ったのです。ここに紹介する英語教材の殆どは NCC から紹介してもらったものです。この中学英語自由自 在の後には、以下の教材をこなしました。 まだ他にもあったと思いますが、この ような本をひたすら解き文法力をつ けていきました。成人になってからの 英語学習ではこの文法力が死活 的に大事だと僕は思っています。自 分の英語を客観的に改めて評価す るには正確な文法の力が必要だか らです。実際に僕はこの学習のおか げで CS でのフレーズ暗記もスムーズ にいきましたし、もし言い間違えても 最初から言い直すことなく他の言葉 で言い換えることができました。ちなみに読解は得意になり、TOEFL の Reading でも 29/30 点を取るま でになりました。僕と同じ教材をやる必要性はありませんが、英語に苦手意識があり、これから英語学習を 始めようとする方は文法をまずマスターしてみるのがいいと思います。 51 また発音に関しては以下の本をお勧めします。 発音に関する参考書の中ではかなり定評のある本だと思います。僕なりに 発音は気を付けてきましたが、それでも完全に日本人訛りの英語のままで した。ただ完璧な英語発音ではなく、understandable な英語を目指 せばいいのでそこまで気にする必要はありません。ただ一通り口の動かし方 は知っておくべきでしょう。ちなみ、最近巷で「○日間でマスター」系の本が 流行っていますが、こういう類のものに惑わされてはいけません。言語がそ んな簡単にマスターできたら誰も苦労していないのです。外国語の習得は 泥臭い努力のみによって叶うというのが、今回僕が得た教訓です。 リスニングは本当に苦労しましたし今でも苦労しています。一番時間を費やしたわりに一番伸びませんでし た。Dr. House というドラマがありますが、5-10%くらいしか理解できません。悲しいです。色んな教材を 試しましたが、結局リスニング上達に必要なことは静聴と大量の英語の曝露だと思います。静聴では、聞 いたものをそのまま書き取るディクテーションと、その後の聞いたものをすぐさま真似するシャドーイングをお勧 めします。大量に英語を聞くことも大事ですが、ずっと聞き流しているだけでは分からない部分を分からない ままにしておくだけなのでその部分は聞けるようになるわけがありません。巷で有名なあの聞き流し教材を 使って英語力が実際に伸びた人を僕は誰も知りませんし、実際に上達した人たちはとても努力しています し時間もかけています。といっても、絶対的な英語の曝露量が必要なこともまた事実で、上記のことを満た した上で各自好きな英語の教材、またはドラマ、映画などを利用してリスニング対策されるといいでしょう。 一つだけお勧めの教材を挙げるなら TOEFL 用のこの教材になります。 これは殆どの方が知らないでしょう。何故なら韓国本だからです。Hackers 出版の TOEFL listening で筆者は David Cho です。韓国や中国では 英語教育が日本よりも盛んであり、実際に中国人・韓国人の英語力にび っくりした経験のある方は何人もいるのではないでしょうか。実際に韓国では TOEFL 対策が盛んで参考書もかなり充実しています。韓国本の利点は 質の高い英文が 1 冊に大量に入っていることです。もちろん僕も韓国語は 一切読めませんが、英語のスクリプトさえあれば関係ありません。これはリス ニング用の問題集で 500 ページ以上あったと思いますが、しっかり 2 周やり ました。日本からでも容易に入手できるので、興味ある方は試されてもいい と思います。どうしてこのような本にたどり着いたかというと、CS を本格的に準 備する前に CS を受験された日本人のブログを読んでいた時に、そこの TOEFL では韓国本が非常に役に 52 立つと書かれている記事を見つけ、実際にそのような目線でネットをサーフィンしていると、韓国本で TOEFL120 点を目指すブログを見つけました。その方が主催されている勉強会に参加し、この本の購入 に至ったわけです。行動力ってほんと大事だと思います。 簡単ではありますが、僕が英語学習に使った教材・勉強方法は以上になります。英語は僕のように苦手 な方はまずは、TOEFL80 を目指して勉強してみてください。健闘をお祈りしています。 53