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給付算定式基準による期間帰属

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給付算定式基準による期間帰属
年金コンサルティングニュース
みずほ総合研究所株式会社
年金コンサルティング部
03-3591-8990
CopyrightⒸみずほ総合研究所 2013
無断転載を禁ず
2013.6-②
新「退職給付会計基準」のポイント②
給付算定式基準による期間帰属
新しい退職給付会計基準では、退職給付債務等の計算方法について、期間帰属の方法と割引率の取り扱いが改正されまし
た。今回は、新しい期間帰属の方法である「給付算定式基準」について解説いたします。
■ 期間帰属の方法の改正
これまで退職給付見込額の期間帰属の方法は、原則、期間定額基準とされてきましたが、今回の改正で、国際
会計基準で採用されている給付算定式基準を選択できるようになりました。この選択について、いったん採用し
た方法は、原則として、継続して適用しなければならないとされています。したがって、期間帰属の方法を期間
定額基準とするか給付算定式基準とするかについて十分に検討することが望ましいと言えます。
(1) 給付算定式基準とは
給付算定式基準とは、退職給付制度の給付算定式に従って各期に帰属させた給付に基づき見積もった額を、退
職給付見込額の各期の発生額とする方法です。期間定額基準は退職給付見込額を全勤務期間で除した額を各期の
発生額とする方法であり、各期の発生額は一定となっていましたが、給付算定式基準の場合には給付算定式に従
って各期の発生額が増減することとなります。
(2) 給付算定式基準による期間帰属の例
給付算定式基準の期間帰属の考え方を3つの制度について例をあげて説明します。ここでは、当期末時点での
勤務期間は15年とし、勤務期間20年で5,000千円の給付を受け退職する方を想定します。この場合、期間定額基準
による当期末までに発生したと認められる額は、3,750千円(=5,000千円÷20年×15年)となります。
① 定額制(表1、図1)
定額制は、勤務期間等により給付が定まる制度です。
この例では、勤務10年までは毎年200千円、勤務10年以上は毎年300千円ずつ給付が増加するものとします。こ
の場合、給付算定式基準による当期末までに発生したと認められる額は、当期末時点の給付の額に等しい3,500
千円となります。
<表1>
勤務
期間
0
1
:
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
給付
0
200
:
1,800
2,000
2,300
2,600
2,900
3,200
3,500
3,800
4,100
4,400
4,700
5,000
期間定額基準
当期発生
当期末発生
(千円)
給付算定式基準
当期発生
当期末発生
<図1>
当期末までに発生したと認められる額(定額制)
(千円)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
250
250
250
250
250
250
3,750
4,000
4,250
4,500
4,750
5,000
300
300
300
300
300
300
3,500
3,800
4,100
4,400
4,700
5,000
1,000
0
0
1
2
3
4
5
給付
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
期間定額基準
給付算定式基準
(年)
※当期発生:当期に発生したと認められる額、当期末発生:当期末までに発生したと認められる額
② 最終給与比例制(表2、図2)
最終給与比例制は、退職時の給与に支給率を乗じて給付が定まる制度です。
この例では、支給率が勤務5年までは年0.5、勤務15年までは年1.0、勤務20年までは年1.5増加するものとしま
す。この場合、給付算定式基準による当期末までに発生したと認められる額は「予想退職時の給与×当期末時点
の支給率」で算出され、3,125千円(=250千円×12.5)となります。
<表2>
勤務 給与
期間
0
1
:
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
150
155
:
195
200
205
210
215
220
225
230
235
240
245
250
(千円)
支給率
0.0
0.5
:
6.5
7.5
8.5
9.5
10.5
11.5
12.5
14.0
15.5
17.0
18.5
20.0
給付
期間定額基準
当期発生 当期末発生
0
78
:
1,268
1,500
1,743
1,995
2,258
2,530
2,813
3,220
3,643
4,080
4,533
5,000
給付算定式基準
当期発生 当期末発生
<図2>
当期末までに発生したと認められる額(最終給与比例制)
(千円)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
250
250
250
250
250
250
3,750
4,000
4,250
4,500
4,750
5,000
250
375
375
375
375
375
3,125
3,500
3,875
4,250
4,625
5,000
1,000
0
0
1
2
3
4
給付
5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
期間定額基準
給付算定式基準
(年)
③ ポイント制(表3、図3)
ポイント制は、ポイントの累積により給付が定まる制度です。
ポイント制における給付算定式基準は、平均ポイント比例の制度として扱う方法と将来ポイントの累計を織り
込まない方法が考えられます。
この例では、勤務10年までは200ポイント、勤務10年以上は300ポイントを付与し(定額制の増分と同じ)、その
累計ポイントに単価(1,000円)を乗じた額を給付するものとします。
給付算定式基準による当期末までに発生したと認められる額は次のようになります。
(a) 平均ポイント比例の制度として扱う
この方法は、ポイント制を平均ポイントに基づく制度として給付算定式基準を適用する方法です。
当期末までに発生したと認められる額は3,750千円となり、この例では期間定額基準と同額となります。
(b) 将来のポイントの累計を織り込まない
この方法は、各期に付与されるポイントを当該各期に帰属させる給付を構成するものとして扱う方法です。
当期末までに発生したと認められる額は当期末時点の累計ポイントに単価を乗じた3,500千円となります。
<表3>
勤務
期間
0
1
:
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
累計
ポイ
ント
0
200
1,800
2,000
2,300
2,600
2,900
3,200
3,500
3,800
4,100
4,400
4,700
5,000
(千円)
給付
当期
発生
0
200
:
1,800
2,000
2,300
2,600
2,900
3,200
3,500
3,800
4,100
4,400
4,700
5,000
給付算定式基準
平均ポイント比例 将来織り込まない
当期末
当期
当期末
当期
当期末
発生
発生
発生
発生
発生
<図3>
期間定額基準
当期末までに発生したと認められる額(ポイント制)
(千円)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
250
250
250
250
250
250
3,750
4,000
4,250
4,500
4,750
5,000
250
250
250
250
250
250
3,750
4,000
4,250
4,500
4,750
5,000
300
300
300
300
300
300
3,500
3,800
4,100
4,400
4,700
5,000
0
0
1
2
3
4 5 6 7 8
給付
平均ポイント比例
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
期間定額基準
(年)
将来織り込まない
なお、給付算定式基準を採用した場合、
「勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が初期よりも著しく
高い水準になるときには、当該期間の給付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければならな
い」とされているため留意が必要です。
本件に関してご不明点、個別ご相談等ございましたら、ご遠慮なく下記電話番号までお問い合わせください。
みずほ総合研究所株式会社 年金コンサルティング部
℡.03-3591-8990(竹内)
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