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こんなまちならいいのになぁ
ぁ ち ま な な ら い のにな ん い こ のネットワークづくり 人と自然 みどりの屋上をみんなの手で 屋上緑化ビオトープの事例 少しでも水辺があるとビオトープに多様さが加わり、小鳥やトンボなど訪れる生きも のたちの種類も増えます。陸地の部分は最初から植え込みすぎないで、いろいろな植 物が自然に増えていくことを待ちましょう。 マンションのベランダでのミニガーデン こうした小さな自然を自分の手で作り出すことも楽しみ のひとつです。小さな緑の空間が少しあるだけでも、ベ ランダやテラスの温度を下げることができます。 ▲やすらぎ効果の高い病院や福 祉施設のビオトープ。園芸療法 に活用されるところもあります。 [竹を使った植木鉢にチョウの 食草を植え込むと自然な感じが 出ます。 *食草:ハボタン・パンジー イタリアンパセリなど 京都府内の事例 詳しくはこちら http://www.pref.kyoto.jp/intro/21cent/kankyo/greenroof/index.html KTC京都機械工具` ガレリアかめおか たかつかさ保育園 来客のもてなしや社員の休息の場 として利用されています。 地上から屋上へと園路が連続し、広々 とした空間をつくり出しています。 テラスを利用した芝生広場は寝転 がって遊べ、子どもたちに好評です。 屋上シュミレーション 屋上緑化 ビオトープ 施工後 京都府ではまちなかの自然を自分たちの手で取り戻していくために、府民参画によるビオトープづくりを進めています。 屋上や学校、公園などで地域の皆さんや子どもたちと一緒にビオトープづくりを進めたいとお考えの方のために、「ビ オトープアドバイス事業」を実施しています。詳しい内容はホームページをご覧ください。 http://www.pref.kyoto.jp/intro/21cent/kankyo/biotop/index.html 発行:京都府環境企画課 〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町 TEL:075-414-4706 FAX:075-414-4710 編集協力:NPO法人ビオトープネットワーク京都・京都府保健環境研究所 古紙配合率100%再生紙を使用しています。 京都府広報印刷物 NO.1603019 屋上ビオトープ合同実験のデータから多くの生きものの生息とヒートア イランド現象の抑制に効果のあることが確認されました。 この実験では、太陽光発電による雨水循環システムを活用した池や小川のある「屋上ビオトープ」80㎡と竹のパ ウダーやセラミック活性炭を基盤材に使った「芝生実験区」40㎡を整備し、生物観察と温度計測を実施しました。 その結果、ビオトープ部分にはチョウやトンボなど63種類の生物が確認でき、都 市の中とはいえ、ヤゴやアマガエルも誕生するなど、多くのいのちのゆりかごをつ くり出すことができました。 芝生による薄層緑化では、夏期において大気中に放射される輻射エネルギーを抑 制し、室温を1∼2℃下げることができ、冬季においては逆に保温効果があるなど、 ヒートアイランド現象の抑制に効果があることも明らかになりました。 ウスバキトンボのヤゴの抜け殻 *実験結果の詳細 http://www.pref.kyoto.jp/intro/21cent/kankyo/biotop/index.html *屋上ビオトープ観察日記公開中 http://www.jca.apc.org/bionet/ 芝生を張った面と何もない面 (対照区) との温度比較 図1 調査期間の芝生試験区と対照区の温度比較 図2 最高気温記録日の芝生試験区と対照区の温度比較 自然循環型屋上緑化ビオトープのすすめ 私たちがめざすのは小さな自然の創出です。 屋上緑化ビオトープ整備をする上で注意をしたいのは、資材や管理などできるだけ環境に配慮した物や方法を工 夫するということです。 都市の環境は、空気や水など自然循環に大きなダメージを与えていますので、「緑」を創り出すだけでなく、施 工整備や管理においてもその負担をできるだけ軽くすることが求められます。施肥や散水ができるだけ少なくすむ よう、設計や施工を工夫しましょう。 グリーンリサイクル品の活用 ● ベ ン チ ● 排 水 シ ー ト ● 芝 生 の 基 盤 材 竹のパウダーを樹脂で固めた芝生の基盤材 間伐材を活用したセラミック活性炭の軽量土 自動車のバンパーのリサイクル品 ペットボトルのフタのリサイクル品 太陽光発電を使った雨水の循環システム (風力発電も可能です) 太陽光発電による発電電力量:1107kWH/年 発電電力量金額換算:21,600円 CO2削減量への換算値:199kg-c/年 年間石油消費削減量への換算値:269㍑/年 流れをつくり出したことで水温の低減 を図ることができ、せせらぎのある屋上 は心地よく、やすらぎの効果も十分です 太陽光パネルと風力発電(右) ※屋上緑化ビオトープでの荷重の問題について 荷重等の諸条件は建築物のタイプによって異なりますので、詳しくは専門家にご相談ください。 なかを ち ま う 交 車の行き いったいどこで 休むのかなあ 私たちの身近なところで見られる、チョウやトンボ、小鳥たちの小さなす みかが少なくなってきました。見渡せば、ビルや住宅、道路がひしめくまち なかに、 もう一度生きものたちを呼び戻すことはできないのでしょうか。 トンボの1日の飛行距離は約1キロメートルといわれています。 まちなかの田んぼはどんどん少なくなり、トンボが生息できる水辺空間が減っています。 まちなかでよく見かける鳥といえば、カラス、スズメ、ハトといった ところでしょうか。 でも、ツバキやウメモドキなど花や実のなる木を何種類か植え込むと メジロやジョウビタキなどの小鳥たちがやってきてくれます。 チョウに来てほしいなら、 蜜のある花々と幼虫が食べ る植物をいっしょに植え込 みます。 ミカンの木にはアゲハチョウ、 クスノキにはアオスジアゲ ハが産卵にやってきます。 ニンジンやパセリにはキアゲハ、 「雑草」とよばれるヨモギに はヒメアカタテハ、カタバミ にはヤマトシジミが卵を産み つけます。 プランターで定番のパンジーにもツマグロヒョウモンが、 アリッサムにもモンシロチョウがやってきます。 小さな生きものたちが生きることのできる空間は、 人間にとってもいい環境で あるはずです。 生きものの生息する空間をドイツ語で「ビオトープ」といいます。まちなかに生きものたちの生息空間 を取り戻すためには、小さなビオトープをチョウやトンボ、小鳥たちが行き交いできる距離に点在させ、 社寺林や公園、河川などとネットワーク化を図ることが大切です。 都市に自然を再生することが、本来の自然を守ることにつながっていきます。 屋上緑化ビオトープのねらい ●都市空間における自然の創出・周辺の環境に配慮した生きものの回廊(コリドー)としての生息空間づくり ●ヒートアイランド現象の緩和 ●緑や生きものにふれあうやすらぎと憩いの場づくり・手入れや観察などの生きがい、楽しみの場づくり ●環境学習の場づくり イラスト:「あおむしイモ くんの大好物は何?」紙芝居より NPO法人ビオトープネットワーク京都 表紙の写真:平成14年度環境を考える作品コンクール入賞作品 川端 芙由子さんの絵 福知山市立遷喬小学校 「緑」といえば木々の緑を思い起こしますが、木々の緑は人間にとって心地よいという だけではありません。庭の木や花々、社寺林や空き地の雑草の中にも、たくさんの生き ものたちの命が宿っています。 「でも、限られたまちなかのスペースの中に「緑」を増やしていくには どうすればいいの?」 ビルやマンションの屋上やテラスなど。 小さな空間を活かして緑の空間を少しずつ増やしていきませんか。 「でも、費用やあとの手入れが たいへんなのでは?」 環境が整えば植物は自分の力で成育していきます。 ある程度自然にまかせ、自分で楽しみながら手入れができる「屋上緑化ビオトープ」に取り組んでみま しょう。 まずは無理のない 「一坪ビオトープ」から 小鳥の好む木々:2 ∼ 3 本 (樹種の例:サザンカ・ナンテン・ムラサキシキブ) チョウの好む木や草花:5 ∼ 6 種類 (食草・食樹の例:ミカン・サンショウ・ アベリア・ツツジ・ナノハナ・パセリ・ハボタン・パンジー・クローバーなど) メジロ 収穫の楽しみもある 屋上菜園はいかがですか。 必要資材:防水シート・枕木や間伐材などのしきり 施工単価:㎡当たり2∼3万円 *荷重制限、防水や排水工事などは専門家のアドバイスを受けて下さい。 水辺空間があるとトンボなどもやってきてくれます。コンテナを使った トンボ池の作り方はビオトープミニブック①をご覧ください。 HPでも見られます。 http://www.pref.kyoto.jp/intro/21cent/kankyo/biotop/index.html 未来へ伝えたい京都の庭文化 いにしえより京都では暮らしの中に自然を取り入れ、「坪庭」や「借景」など、独自の庭園技術 と文化を今日に受け継いできました。 まちなかに自然を取り戻そうとする時、この先人達の智恵と技術に学びながら現代のニーズを 満たす緑化空間として、次の世代に伝えていける「庭文化」をつくり出していきたいものですね。 東山の借景を取り入れ た屋上日本庭園。 京都文化が生かされて います。 京都ホテルオークラ 京都第2地方合同庁舎 100㎡の屋上緑化ビオトープ みんなでつくる 地域の自然 京都府保健環境研究所での事例 (ビオトープ+芝生) 施工は専門家の指導により、延べ40人のボランティアで行いました。 スーパーや病院などまちなかの大きな施設は、屋上緑化ビオトープを つくる上で適した場所といえます。施設のオーナーや従業員、地域の 方もいっしょに作業することで、ビオトープへの愛着が深まり、自分 たちで小さな自然を見守っていこうという気持ちが生まれてきます。 広さ80㎡・施工費用約2,000千円・施工日数 3日間・荷重平均140∼180Kg (チョウや鳥を呼びこむ植栽・小川・池など) 施工費用㎡当たり2∼3万円 作 業 1 日 目 ①クレーン車で資材を屋上 に上げます ②防水シートの圧着作業 (専門家にお願いします) → ③防水シートを敷き詰め、排 水マットを置きます ④池と小川の位置を枕木で 決め、軽量土を運び入れます 作 業 2 日 目 ⑤池や小川の防水シートを 敷き詰めます ⑥食物の育成、水質の浄化 のため、池や小川の土に活 性炭を混ぜます ⑦植木が風で倒れないよう に下に張ったネットと植木 の幹を結びます ⑧全体の作り込みをします ⑨リサイクル製品のエコ京 レンガや縁石で修景を整え ます ⑩ヤシロールをおいて水辺 のエコトーン(池と陸地の生 物相の移行帯)を整えます ⑪池に水をためて水漏れが ないかチェックをします ⑫全体の形が整いました 作 業 3 日 目 芝生の薄層緑化で夏場の建物の温度上昇を抑制することができます。 芝生の施工作業 ・荷重平均60∼70Kg・施工費用㎡当たり2∼3万円 ①防水シートを敷き詰めた後、 ②基盤材と芝生マットがセッ 基盤となる軽量土を入れます トになったものもあります ③芝生マットを置いて目土を 敷き込みます ④芝生広場の完成です