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実践!校長塾 - EDURE LCA

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実践!校長塾 - EDURE LCA
Norio Yamaguchi
山口紀生
332
校長塾
実践!
週刊教育資料
●実践! 校長塾●
No.1373◆ 2016 年1月25日号
日本人のアイデンティティ持つ
国際人を育てる㊦
1953年生まれ。横浜国立大学卒業後、公立小学校の教員に。1985年に退職し、子どもが生き生
きできる教育を目指して、釣りやキャンプ、登山など達成感のある遊びも教える私塾「LCA」
を設立。その後、英会話学校や幼児教室を開設。2000年、すべて英語で指導する幼稚園「LCA
インターナショナルプリスクール」を開園。2005年にLCAインターナショナルスクール小学部
を設立。小学部は2008年4月に国(文部科学省)から正式な認可を受け「LCA国際小学校」に。
LCA国際小学校校長
幼小一体の校舎で連携進む
LCA国際小学校には、附属
プリスクール(幼稚園)があり、
以前から保育の100%を英語
で行う方式をとっている。本年
度から一つの敷地の中でプリス
クールと小学校の園舎・校舎が
一体となったが、それまでは、
幼稚園、小学校低学年、小学校
高学年で、距離は近いながらも
別々の校舎という環境だった。
幼稚園は、登園後自分でコー
ナーを選んで遊ぶフリープレー
で始まり、英語の単語や表現を
学んだり、ディスカッションや
ショウ&テル、絵本の読み聞か
せをしたりするサークルタイム。
日によって理科や算数などの教
科を五感を使いながら楽しく学
ぶ時間、広い園庭での体育など
楽しい活動が盛りだくさん。
希望者には延長保育も充実し
ていて、クラブ活動のように歌
やダンス、スポーツ、工作、料
理などの授業を行っている。
3カ所での保育・授業の場合
は、小学校と幼稚園の教員同士
が互いの授業を見る機会はあっ
たが、1カ所にまとまったこと
で、より指導の中味について連
携する体制ができていった。
例えば、幼稚園では、英語で
討論したり、時にはディベート
に近い活動まで園児が行うこと
がある。特に、年長の園児たち
が成長してきた姿を、小学校で
さらに伸ばしていくという視点
を重視して、小学校教師がプリ
スクールの授業・保育を見るよ
うにしている。まだまだ課題は
あるが、私としては、幼稚園で
育ってきた力を小学校でどう伸
ばすかを教員に考えてほしいと
願っている。
考えたことはやってみる子に
いろい
幼稚園や小学校では、
ろなことについて、自分の考え
を持つこと、そしてやってみた
いことがあれば、実現していく
意欲を持つことを重視している。
東日本大震災の後、小学校の有
志の児童4人が校長室にやって
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くこと―を子供たちに伝えたい
という思いで語ってきたが、こ
の校長の思いが子供たちにも確
実に伝わっているなと感じるこ
とができた。卒業式の時に保護
者 か ら も、「 英 語 や 勉 強 が こ こ
までできるようになりました」
と い う 感 謝 よ り も、「 校 長 先 生
の人生を見せていただき、感じ
させていただいた」ことを感謝
されることがあった。これは、
私立学校の創設者である私の思
いをしっかりと受け止めてもら
えた言葉であったと思う。
また、本校のホームページは
私個人の Facebook
などで、時々
自分の思いや考えを保護者だけ
でなく、広く社会に発信するよ
うにしている。
行政との連携が広がる
株式会社が運営する私立小学
校ということで、本校が設立さ
れるまでは、特区制度の活用な
どでさまざまな苦労もあった。
前 回( 1 月 日 付 1 3 7 2 号 )
述べたように、地元の自治体の
職員の定年退職者で、教育に意
欲的な人が本校の運営に加わっ
たことで、自然に本校の教育内
容などが地元の教育委員会など
にも情報として伝わっていった
ようだ。
こうした本校の教育内容への
理解が広がることが契機となっ
て、平成 年度に相模原市の英
語のキャンプの運営の委託を初
めて弊社が受けることになった。
現在、全国で、グローバル化の
時代に対応できる実践的な英語
力や広く考える力を持った人材
を育成することが、課題になっ
ているが、本校でもイマージョ
ン教育のノウハウを含めて、行
政との連携が進むようになった
のは、設立当初から思えば、隔
世の感がある。
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また、私自身は公立小学校の
教員を退職して、自分が理想と
する教育を私塾という形で実現
してきた。先日、当時の同僚の
教員で、教育委員会のOBでも
ある人と会う機会があった。そ
の人は、公立学校の現場や教育
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遊び心のある校舎
き て、
「自分たちはペットボト
ルのキャップなどを集めて被災
地の支援をしたい」と相談に来
た。そこで、私は、ペットボト
ルのキャップを集める活動もい
いけれど、もっと現地の人の顔
が見える活動をしてみたらどう
か、と提案した。その後、実際
に被災地の学校の子供たちと交
実践!
校長塾
流する活動が実現することとな
り、今も続いている。4人の子
供たちの提案がなかったら交流
はなかったのだ。その時の子供
たちが今春、卒業する学年にな
った。
私は月に1回、全校児童の前
で「朝礼」ではなく「アッセン
ブリー」の機会を作って話をし
ている。そこで、この被災地の
学校との交流の話をしたところ、
その後に3年生の児童が校長室
に1人でやってきて「私は今、
目が見えない人の不便さを体験
する学習をしているけれど、自
分だけでなく全校の子供も学ん
だほうがいいと思う」と話した。
そこで、友だちを誘って、児童
会に提案したらどうか、と話し
たところ、その児童はその通り
に活動して、全校で学ぶ活動が
実現することとなった。
校長としては1年から6年の
間に月1回、合計で 回の「ア
ッ セ ン ブ リ ー」 と い う「 授 業 」
ができるので、①夢を持つこと
②その夢に向かって実現してい
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No.1373◆ 2016 年1月25日号
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実践!
校長塾
ドリル教材
「メトロラーニング」
L C A 国 際 小 学 校 = https://
lca-elementary.com/
このような教材提供や、英語
キャンプ・英語村などのソフト
面での教育内容づくりの成果を
広く、アピールしていきたいと
考えている。
研修を行うと、その効果は大き
なることを目標にしたいと考え
特に、本校の教育の中で生ま
いことに気付いた。やはり、公
ている。
れた英会話テキスト教材は、「発
立学校で永年にわたって培って
話 力 を 鍛 え、 会 話 力 を つ け る 」
現場で生まれた英会話教材
きた指導のプロであるベテラン
ことをコンセプトに、生活する
( 株 ) エ ル・ シ ー・ エ ー は、
教員から学ぶことは多いのであ
環境を学校や家庭に特定して、
委員会などで活躍された人で、
る。
LCA国際小学校の運営、附属
学校で英語指導をしやすくする
その指導力を本校のような私立
プリスクールの運営のほか、土
工夫を盛り込んだ。どのような
本校の教員も英語教育やイマ
学校の若手教員にも学ばせたい
ージョン教育などの経験は積み
曜日に行う英語教育プログラム、 会話力を年間で付けていくのか
と感じ、研修などでの協力をお
重ねつつあるが、特に教科指導
スプリングスクール・サマース
を明確にしている点に特徴があ
願いした。
や学級経営などの面で、公立学
クールなどのビジターコースと
る。また、「メトロラーニング」
校のベテランと言われる教員の
いった教育事業、英語テキスト
というメトロノームのリズムに
本校の外国人教員が日本の教
育委員会などが主催する外部の
レベルから見ると、課題もある。 教材の出版や講演、英語教師研
合わせて単語や基本的な文章を
研修を受けても、現状では、日
校長としては、例えば、本校の
修、ALT派遣、教育コンサル
楽しく繰り返すことで会話力を
本語で話す内容が十分に理解で
外国人の教員の力量をさらに高
タントなどの教育サポート事業
トレーニングするドリル教材な
きていない面があるが、指導主
めて、教育委員会の現役の指導
を通して、2本の学校における
ども開発してきた。これは幼児
事のOBに本校に来てもらって、 主事に授業を見てもらって、「い
英語教育に貢献したいと考えて
から大人まで幅広い層を対象に
同時通訳も付けて本校で授業の
い授業だ」と評価されるように
いる。
したもので、本校でも、日本人
教員が使ったところ、授業外で
も英語会話が自然にできるよう
になるなど、効果が高かった。
英語テキスト教材
「Stream Talk」
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