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国家科学技術普及の十二
5.中国 ①国、地方レベルでの高等教育政策の動向 ●科学技術部:国家科学技術普及の十二五専門プロジェクトを公布 Science Times/科学時報(2012.5.9) 「中華人民共和国科学技術普及法」を一層確実に実施し「国家中長期科学技術発展計画要 綱」と「国家十二五計画科学技術発展計画」を徹底するため、科学技術部は「国家科学技 術普及十二五専門プロジェクト」を編成した。社会全体の科学精神の発揚、科学知識の普 及、国民の科学的素養向上、中国の科学普及事業発展の促進が目的である。 この計画の公布によって、地区と部門、部署単位が実情に沿って協力し、プロジェクト 作業が実施される。 ●中国の教育援助、就学前から大学までの経済支援体制が完成 China Education Daily/中国教育報(2012.5.26) 中国の学生に対する経済支援体制は、就学前から大学までのすべての段階で基本的に整 備されたことが明らかになった。 大学学生支援工作研究討論会が、25 日、北京大学で開催された。全国学生支援管理セン ターの馬建斌副主任は席上、 「2007 年 5 月に国務院が公布した一連の援助策によって新たな 支援策がスタートした。この5年間で我が国は就学前から大学に至るまでをカバーする支 援体制を整えた」と述べた。特に大学の段階では、国家助学金、国家奨学金、教育支援ロ ーン、学費補助や教育ローンの肩代わり、校内奨学金、無利子の校内教育ローン、勤労者 に対する学費補助、特殊な貧困世帯への補助、学費の減額、経済的に困難な家庭の学生へ の入学支援など多くの支援策が組み合わせ可能である。 また馬氏は、新しい支援の実施後、毎年中央と地方予算から教育支援に投入される金額 は 100 億元を超えたことを明らかにした。特に国家奨学金と助学金は大幅に増え、範囲も 拡大した。これは中国始まって以来の支援規模であり、毎年数百万の経済的に困難な家庭 の学生が恩恵を受けている。2011 年までに、全国での支援総額は 900 億元で、新支援策実 施前の 2006 年の 4.5 倍になり、援助対象の学生はのべ 7900 万人に及ぶ。 全国学生支援管理センター大学援助処・周春樹処長は、今後さらに大学生の支援体制を 改善していくため、以下のことが必要と述べた。 ・専門的機関を設立し、分類されていた大学ごとの支援作業を統一すること。 ・専門チームが介入する体制を整備すること。現代の学生支援情報管理のシステムとプ ラットホームを開設すること。 ・学生への援助作業の評価や奨励、監査、理論研究、宣伝を連動させる制度などを改善 すること。 29 ●教育部:大学院生、今年微増の 51 万 7200 人 Science Times/科学時報(2012.5.22) 教育部、国家発展改革委員会は、5 月 21 日午前、2012 年全国大学院生募集計画を発表し た。今年の大学院生の募集枠は昨年より増加し、うち碩士(修士)数がそれに比例して増 加している。今年の全国碩士課程での募集は 51 万 7200 人、昨年より人数で 2 万 2200 人、 率にして 4.5%の増加となる。うち学術型は 32 万 9700 人で、昨年より1万 7300 人、5%減 尐となる一方、専門学位大学院生が 18 万 7500 人で、人数、率それぞれ 3 万 9500 人、26.7% 増となる。博士課程では昨年より2千人多い 6 万 7200 人となる。 教育部は、国家の緊急課題である戦略的研究や、科学技術における最先端領域の将来を 見据えた研究や、国の民生計画の重大問題となっている公益性のある研究を模索していく と明らかにした。また、国家の中長期の科学技術、教育、人材計画要綱を確実に実行する ため、学科や専門分野のマッチングや調整に力を注ぎ、国の経済と社会発展の重点領域で 不足している専門人材のいち早い育成のため、新卒者の就職へのプレッシャー軽減と、社 会で不足する学科や専門領域での募集規模を拡大し、解決しなければならないとした。 ②中国の主要大学等の動向 ●オックスフォード大、中国との医学分野での共同研究に期待 Science Times/科学時報(2012.5.11) 5月9日、英オックスフォード大のアンドリュー・ハミルトン学長率いる代表団が中国 を訪れた。今回の訪問でハミルトン氏は、オックスフォード大の医学研究をアピールし、 中国の関連方面との医学分野での共同研究を一層強化したいと述べた。 ハミルトン氏は 11 日から 14 日まで香港と北京を訪れ、オックスフォード大の医学専門 家の学術報告と、中国の医学研究者との交流イベントを開催した。同氏は、オックスフォ ード大は人文科学方面で評価されているが、実際は医学方面での実力が傑出している。近 代免疫学の基礎研究やペニシリンの分離・浄化はオックスフォード大の貢献が大きい。最 近の「Times Higher Education」の医学部ランキング世界第 1 位はわが校であると述べた。 オックスフォード大と中国は医学方面での協力には実績があり、中国医学科学院などの 機構と 50 万件の中国人の疾病研究プロジェクトを展開している。このほかにも糖尿病やう つ病などの共同研究もしている。 「オックスフォード大と中国のこれらの共同医学研究は全世界の医療の様相を変えつつ ある」とハミルトン氏は話す。双方の協力によって、既に数万人の生命を救うなど全世界 的な影響が出ている。 ●中国大学出身者ランキング 億万長者輩出トップは清華大 30 Science Times/科学時報(2012.5.17) 中国校友ネットが 5 月 16 日、 「2012 年中国大学傑出校友ランキング」を発表した。 傑出した人材数では北京大がトップ 財力と能力の面において傑出した人材は、政界に 1,400 人以上、学術界に 3,600 人以上、 中国科学院・中国工程学院に 2400 人以上、人文社会科学で 1,200 人以上、ほか財界などに 2,600 人以上、合計 8,000 人近くいる。 北京大は 456 人でトップ。2位は、清華大 292 人。 億万長者輩出では、清華がトップ 改革開放以来、1,500 人以上の億万長者が誕生しており、2011 年の上位 800 人余りの総 資産の合計は約4兆 5000 億元。 うち、84 人が清華大出身で、合計額が 3,000 億元近く。この額はランキングトップの北 京大を超える。北京大の億万長者は 82 人。 両院の院士は、北京大がトップ 1955 年以降で中国科学院、中国工程院の院士となったメンバー中、北京大が最多の 144 人、清華大が第二位 141 人。 ③その他、高等教育に関する有用な情報 ●海外有名校への入学、中国の大学入試成績を活用 Science Times/科学時報(2012.5.16) オーストラリア・シドニー大が今年から中国の大学入試(以下「高考」)の成績を学生選 考の材料として採用すると発表した。シドニー大の基準成績は、昨年の北京大、清華大の 合格ラインより 100 点ほど低い。 31 オーストラリアで 10 以上の大学が高考成績を参考に。有名校は、第一ボーダーライン以上 現在オーストラリアで中国の高考を採用している大学は 10 を越え、オーストラリア上位 8大学ではシドニー大など3校が採用している。オーストラリアでは高考用のボーダーラ インを設定しているが、基準は、上位8大学では中国で「一本線」と呼ばれる第一ボーダ ーライン以上、その他の大学は本科の第二ボーダーライン以上が一般的だ。中国の受験生 はそれ以上の得点があれば、1年の予科での学習がなくても直接現地の本科大学へ進むこ とができる。英語は高考の成績ではなく、IELTS もしくは大学が認可する英語試験の成績を 参考にする。 オーストラリアでは中国人学生の留学熱に注目が集まっており、高考が世界の有名校の 選考基準として採用されるのであれば、優秀な高校生が直接有名校に進学するチャンスも さらに増えるだろう。 欧米などの大学の動向 一部の国が高考の成績を取り入れ始めている。 ・スペイン: 2008 年開始。高考の得点が 400 点を超えた場合、スペインの大学入試の得点に換算し、 スペイン国内の入試は免除される。 ・フランス: 高卒者のビザ申請時、高考の成績提出が義務付けられる。400 点以上が必要。 ・イタリア: 380 点以上が必要。 ・カナダ: 高考の成績証明または大学合格通知書が必要。高考の成績が良くなければ公立学校への 進学は難しい。一般に公立大学は、最低高考の第二ボーダーライン以上なければならな い。トロント大の予科課程には第一ボーダーライン以上の成績が必要。 ・アメリカ: ブリガムヤング大学(BYU) -高考得点 550 点以上。スタンフォード大‐高考の英語得点 99 点以上、TOFLE 成績は必要なし。ミシガン大など‐昨年から参考に。 ・シンガポール: シンガポール大、シンガポール管理大、ナンヤン工科大‐第一ボーダーラインから 20 点 以上が必要 ●留学帰国人員創業パーク、すでに100箇所以上 Science Times/科学時報(2012.5.17) 中国僑聯ニュース発表会が、5 月 17 日、開かれ、留学人材のための創業パークが、全国 ですでに 160 箇所余り開設され、8,000 以上の企業と、2万人以上の人材がそこで起業して いることが明らかになった。 32 改革開放以来、留学人材は中国の各業界発展の屋台骨となっている。統計によれば、1978 年から 2011 年までに中国の留学者総数は 224 万 5100 人に達し、帰国者は 81 万 8400 人に 上る。現在、81%の中国科学院院士、54%の中国工程院の院士、72%の 863 計画の主席科学者 らは海外留学からの帰国者で、各領域で重要な貢献を果たしている。 現在までに中国僑聯は「科学教育興国」「人材強国」の戦略から、同胞の要望をもとに二 年に一度新僑成果交流会を開催し、帰国創業と国へのサービス提供について突出した成果 を収めた人材 326 人と、創業の成果 100 プロジェクトを表彰した。また、科学教育興国モ デル基地 35 ヶ所、科学技術の先駆者 38 人、科学技術興業モデル企業 47 社も選出した。 中国僑聯副主席で、スポークスマン役の喬衛氏は、「海外の人材は中国の現代化を実現す る特別な資源であり、中国発展の特別な人材である。海外の高い技術を持つ人材の帰国・ 起業を支援するのは、国を強くする戦略のひとつだ。積極的に「科学教育興国」 「人材強国」 の戦略を支え、帰国人材の創業の成果をアピールするため、中国僑聯は今年7月末から8 月初旪まで「第四回新僑創新成果交流会」と「華生生物国際科学技術創新サミット」を開 催する。 」と発表した。 ●大卒者リポート:給与 1000 元減、2割は給与なしを容認 Science Times/科学時報(2012.5.27) 2012 年度中国大学生就職圧力調査報告が発表され、今年の大学生の就職への逆風がこの 4年で最も低いことが分かった。北京青年圧力管理サービスセンターによると、今年は昨 年に比べ、大学本科生、碩士(修士)学生、博士学生の給与の希望額は 1,000 元下回った。 今年は 2009 年以来、最も大学生の就職に対するプレッシャーが最も低かった」と北京青年 圧力管理サービスセンターの熊漢忠主任は話した。 発表された調査報告によれば、今年の大学生の就職へのストレス指数はこの4年で最低 だった。 この4年間では、2009 年が最も高く、2010 年に徐々に下降し、2011 年に再び上昇した。 「これまで選択の余地がなかったが、今年は選べるようになった」。先日開催された民間の 就職セミナーで、多くの大学生がこのように話した。このほか、1990 年代生まれの大卒者 の就職への意識には変化が見られ、政府機関、国営企業以外の、民間企業で働きたいと考 えている人が多いことが分かった。 2 割が無給に甘んじる 2010 年の調査によると、就職のプレッシャーを反映して2割の大学生が無給で勤務して いる実態が明らかになった。ところが昨年は物価の急激な上昇を背景に、1 万元以上を希望 するなど現実離れした給与を望む対象者も現れた。 今年の報告によると、本科生、碩士、博士の希望給与は昨年より 1,000〜3,000 元下がり、 3,000 元〜5,000 元の範囲に多く分布するようになった。それぞれの希望額の平均は、専門 大学専科生-2,890 元、大学本科生-3,480 元、碩士生-4,840 元、博士生-7,160 元。 33 半数以上が二級都市での就職を希望 就職地域については、一級都市、つまり直轄市を選択する大学生の数は減尐し、北京・ 上海・広州離れの流れが明らかになってきた。 昨年、5分の 1 の学生が一級都市での仕事を希望したが、今年はそれより 14.4%減尐し ている。 それとは対照的に二級都市、つまり省都を第一希望に上げる学生は増加し、55%、半数 以上が二級都市での就職を希望するようになった。 34