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【熊本市長によるトップセールスと『熊本ふぇあ』の開催】シンガポール 熊本

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【熊本市長によるトップセールスと『熊本ふぇあ』の開催】シンガポール 熊本
【熊本市長によるトップセールスと『熊本ふぇあ』の開催】シンガポール
熊本市では、去る 1 月下旬に、幸山政史市長以下、市関係者及び民間事業者等がシンガポー
ルを訪れ、アジア進出の拠点として位置付ける当地への地元食品関連企業等の海外進出及び販
路拡大を図るためのトップセールスを展開した。
2011 年 1 月 20 日(木)には、シンガポールの代表的な商業地域にあるマンダリン・オーチ
ャード・ホテルにおいて、在シンガポール日本国大使館等の日系政府機関や流通事業者、旅行
代理店、マスコミ等の関係者を招いたレセプションが開催された。このレセプションでは、み
かんやいちごといった熊本市の特産品がふんだんに
振る舞われ、訪日旅行先としての魅力も紹介された。
翌 1 月 21 日(金)には、今回、来星した熊本市と
その周辺の食品会社等 11 社が参加する商談会が行
われ、約 40 社のシンガポール国内の飲食店や卸売業
者等が来場した。
また、これに合わせ、1 月 21 日(金)から 28 日
(金)まで、シンガポールの北東部郊外セラングー
ンにある大型ショッピングモール「nex」内の日本食
レストラン街「SHOKUTSU 10」では、『熊本ふぇあ
レセプションの様子
(KUMAMOTO FAIR @ SHOKUTSU 10)』が開催された。
こ の 催 し は 、 同 レ ス ト ラ ン 街 を 経 営 す る RE&S
Enterprises 社と熊本市が共同で行い、名産の「い
ちご
ひのしずく」や「温州みかん
夢の恵」、甘藷
(さつまいも)に焦点を当てたものであった。会場
では、いちごを使ったシフォンケーキ、みかん、大
学芋等の試食販売が行われ、初日のオープニング時
には、幸山熊本市長が来場し、店頭で試食サンプル
を配る場面も見られた。
現在、日本の特産品を紹介する物産展は、シンガ
ポール国内において頻繁に行われているところであ
試食サンプルを配る熊本市長
るが、今回の『熊本ふぇあ』の特徴的な点は、会場
に郊外のショッピングモールを選んだところにある。
会場となった「nex」は、国内の中央部に位置するシ
ンガポール随一の商業地域であるオーチャードから見て、北東方向の郊外にあるセラングーン
地区に、2010 年 11 月にオープンした大型ショッピングモールである。セラングーンは、シン
ガポール国内を走る鉄道(MRT: Mass Rapid Transit System)の北東線と環状線が交差し、い
わゆる「ミドル・クラス」が多く集まる場所であり、週末ともなると、ショッピングモールは、
多くのシンガポール人で混雑する活況を呈している。
これまでの物産展は、日系デパートの食料品売り場や日系スーパーで行われることが多く、
シンガポールに在住する日本人やハイエンドの消費者層を主なターゲットとしてきた。それに
対し、今回のフェアは、ハイエンドから一段下がった所得階層のシンガポール人が足を運ぶ場
所で行われ、ミドル・クラスまで、そのターゲットを拡げたという意味では、画期的な試みで
あると言うことができる。
確かに、日本から輸入する食材は決して廉価ではないが、その味や品質は、高く評価されて
いる。
「熊本の味を体験してもらうことで、いわゆる普通のシンガポール人が、熊本を訪れるき
っかけにしたい」というねらいが示すように、500 万人を超える人口を擁するシンガポールに
おいて、食品も旅行も、購買層を在住の日本人や高所得層のシンガポール人以外に拡大するこ
とができれば、大きなビジネスチャンスが生まれるものと考えられる。今回の熊本市の取組み
は、日本の地方自治体等によるプロモーション戦略の新たな方向性を示唆する試みであったよ
うに思われる。
(2011 年 1 月 20 日 熊本市長主催レセプション参加、
2011 年 1 月 21 日 『熊本ふぇあ』会場視察等)
(片野田所長補佐 鹿児島県派遣)
(小松所長補佐 長野県派遣)
【チンゲイ・パレードに愛知県から「にっぽんど真ん中祭り」が参加】シンガポール
2011 年 2 月 11 日(金)、12 日(土)の 2 日間、シンガポール最大の国際パレード「チンゲイ・
パレード」が開催され、愛知県から「にっぽんど真ん中祭り文化財団」が参加した。
今年で 39 回目となる「チンゲイ・パレード」は、1973 年に始まったシンガポール最大のス
トリート・パレードで、シンガポール国内及び世界各国から踊り手が集まり、観客も毎年数万
人を数える。今年も 2 日間で 6 万人以上の観客を集め、テレビで生中継されるなど、例年以上
に華やかなパレードとなった。
今回は日本から、愛知県で毎年夏に開催されている「にっぽんど真ん中祭り」を主催してい
る「財団法人にっぽんど真ん中祭り文化財団」が参加し、躍動感のある踊りを披露した。
また、
「にっぽんど真ん中祭り」は「チンゲイ・パレード」同様の国際色豊かな祭りを目指し
ているとのことで、一緒に参加したスリランカ、台湾、
インドネシアといった国のグループと交流を深め、
「にっ
ぽんど真ん中祭り」への参加を呼びかける一幕もあった。
当事務所としては、例年、パレードの主催者であるシ
ンガポール人民協会(PA)からの参加団体推薦の依頼に
応じ、日本からの参加団体の募集、PA との連絡調整、現
地での支援等を行っている。
今後も「チンゲイ・パレード」への参加団体支援を通
じ、地域間の国際文化交流促進を図っていきたい。
「にっぽんど真ん中祭り」のパフォーマン
(「チンゲイ・パレード」参加同行時聴き取り、「チンゲイ・パレード」HP 等参照)
(片野田所長補佐 鹿児島県派遣)
【北九州市とタイ・チェンマイ市の協働事業について】タイ
2011 年 1 月 19 日(水)、北九州市とタイ・チェンマイ市が協働で実施する「タイ王国地方
自治体における環境保護と観光産業振興の両立を目指す政策立案能力向上のための人材育成事
業」の成果発表セミナーが、チェンマイ市で開催された。同事業は、都市化と昼間人口の増加
によって悪化したチェンマイ市の環境改善を目的として、当協会の「自治体国際協力促進事業
(以下、モデル事業という)」を活用し実施されたものである。今回、当事務所では、成果発表
セミナーに参加する機会を得たので、その概要について報告する。
チェンマイ市内には現在、約 14 万人が暮らしているが、その長い歴史や伝統に加え、恵ま
れた自然環境のおかげで、一年を通じて国内外から多くの観光客が訪れる。また、最近ではタ
イ政府の長期滞在(ロングステイ)推進計画、病院・スパ等の健康関連施設の整備計画により
中高年の長期滞在型旅行者の数も増加している。その結果、一日あたり 320 トン以上のごみが
排出され、その処理費用は同市財政の 15%を占めている。このような状況において、観光産業
振興と環境保護の両立を目指すためにどのような改善策を図ることができるか、また、その改
善策をいかに市民や観光客に効果的に周知していくかという啓発方法について、現地視察や関
係機関への聞き取り等を行いながら、北九州市とチェンマイ市とが協働で検討を行った。
チェンマイ市財政の 15%を占める廃棄物処理費用のうち、49%をごみ収集コストが占めてい
る。これは、各家庭から毎日ごみを収集し、市内から 100km 以上離れた最終処分場まで運搬
するという非効率的な収集方法に依るところが大きい。また、ごみの減量化に対する住民の意
識が低く、分別やリサイクルといった発想も十分に根付いていない。背景には、同市では各家
庭が出すごみの量にかかわらず、廃棄物処理費用を全家庭から一律に徴収しているため、住民
の間でごみ減量化の意識が芽生えにくいという現状がある。
こうした状況を踏まえ、成果発表セミナーにおいて北九州市は、ごみの分別やリサイクルの
必要性を訴えると同時に、効率的なごみ処理の運営方法についても提言を行った。具体的には、
ごみを分別して有価物を換価する、ごみ減量を呼びかける啓発ビデオを観光客向けに多言語で
制作する、ごみの毎日収集を隔日収集に変え、ごみを数日間、家庭で保管する習慣をつける、
等々といったものであった。各家庭から一律に徴収されている廃棄物処理費用についても見直
しを行い、例えば日本のようにごみ袋を有料化するなど、出すごみの量に従った負担にするこ
とも検討する必要があるとの提言がなされた。これに対し、セミナー参加者からは、ごみの隔
日収集の方法や、医療系廃棄物の処理方法、プラスチック
ごみのリサイクル方法等について質問が出され、活発な質
疑応答がなされた。
今回のセミナーでは、チェンマイ市長をはじめ、行政関
係者、観光産業関係者、NPO 等が一堂に会し、北九州市の
過去の経験を学びながら、それぞれの取組みの紹介を行っ
た。これまであまり無かった、官民を越えた各組織間の横
の繋がりが生まれ、各々が連携しながら環境改善に向けた
取組みを行っていく必要があるとの認識を新たにするきっ
チェンマイ市長(左から 4 番目)と
セミナー発表者
かけになったように感じる。
観光産業振興と環境保護の両立を目指すチェンマイ市の取組みは、タイ国内の他の自治体に
とっても先進的なものとなるであろう。住民の意識や習慣を変えるには時間と労力が必要であ
るが、粘り強い働きかけと対話によって、環境改善の活動が少しずつ広まっていくことを願っ
ている。
(2011 年 1 月 19 日 チェンマイ出張時聞き取り等)
(中村所長補佐 宮崎県派遣)
【東京消防庁職員による消防救助技術の指導訓練研修(自治体国際協力専門家派遣事業)】
タイ
2011 年 2 月 7 日(月)から 2 月 24 日(木)までの 3 週間、「自治体国際協力専門家派遣事
業」により、バンコク都消防救助局からの要望に基づき、東京消防庁から藤原消防司令、中山
消防司令補、遠藤消防士長の 3 名が専門家として派遣され、消防救助技術の指導訓練研修を実
施した。
この研修では、資器材の管理・点検整備、高所や狭い場所での都市型の消火救助技術等を修
得することを目的としたもので、バンコク都内の 35
の消防署から 2 名程度ずつ計 74 名の研修生を集めて
行われた。
また、今回の研修では、昨年 10 月に東京消防庁に
おいて実施した救助技術研修の修了者(バンコク都
消防救助局職員 6 名)も参加し、講師である東京消
防庁職員とともに研修生の指導にあたった。
訓練前半(2 月 7 日~18 日)はラヨン県にある民
間訓練施設で、ロープ結索、救護者の搬送法、三連
はしごを使った救助等の訓練を行い、後半(2 月 21
日~24 日)はペッチャブリ県の民間訓練施設に移動
全体写真
し、緊急教護法や消火訓練等を行った。
訓練最終日の 2 月 24 日(木)には、バンコク都消
防救助局副局長および当協会シンガポール事務所長
が出席し、3 週間に渡る訓練の成果発表が行われ、
研修生達の統率の取れた消火救助の様子からは、厳
しい訓練の成果が窺われた。
指導を行った東京消防庁職員によると、「バンコ
クでは、外食中心の食生活であることや冬がないこ
とから、日本に比べ火災が非常に少ないため、消防
救助技術が発達しておらず、消防士の安全に対する
意識も低い。また、消火救助に使用する資機材が古
成果発表
く、その仕様や扱い方に熟知していない消防士が多かったため、訓練開始当初は指導に苦労し
た。」とのことであった。
また、今回の訓練を通じて、「消防救助技術はもとより、資機材の使用方法の習熟や消防士
自身の安全を確保することの重要性を伝えることにより、研修生達の技術、意識ともかなり向
上したように思う。今回の研修を受けた消防士が、各自の署に戻り、他の消防士へ今回の訓練
の成果を伝える良き指導者になることを期待する。」とのことであった。
当事務所の所管する東南アジア・インド地域では、消防救助技術をはじめ、環境・衛生管理
など日本の自治体の有する技術を必要とする国々は未だ多く、当事務所としては、今後も専門
家派遣事業を通じて、自治体による国際技術協力及び地域間の交流促進を図っていきたいと考
えている。
(専門家派遣事業実施時 聞き取り)
(片野田所長補佐 鹿児島県派遣)
【インドネシア・日本
国際消防防災フォーラム】インドネシア
2011 年 1 月 13 日(木)、インドネシアの首都ジャカルタにあるホテルニッコー・ジャカルタ
において、日本国総務省消防庁とインドネシア国家捜索救助庁(BASARNAS)の共催、クレアシ
ンガポール事務所の協力支援により「インドネシア・日本
国際消防防災フォーラム
~都市
型捜索・救助活動に焦点をあてて~」が開催された。
フォーラムには、日本側から塚田桂祐 総務省消防庁国民保護・防災部長が、また、インドネ
シア側からは国家捜索救助庁の他、インドネシア国家防災庁(BNPB)、ジャカルタ特別州消防局、
民間の消防防災関係者など約 160 名が参加し、両国の災害時における救助体制や救助隊の教育
訓練制度など、消防・防災分野で幅広い意見交換が行われた。
総務省消防庁では、外国で大災害が発生した際に国際消防救助隊を派遣しているほか、平成
19 年からは、アジア諸国と消防・防災分野で協力することを目的に本フォーラムを開催してお
り、今回が 4 回目となる(第 1 回がベトナム、第 2 回がトルコ、昨年はタイで実施)。
フォーラムの冒頭、開会式では、インドネシア側より国家捜索救助庁のマックス・ルーラン
ド次官、日本側より塚田消防庁国民保護・防災部長が、次いで、来賓として前田徹在インドネ
シア日本国大使館公使、ムスタール・ジャカルタ特別州代表よりそれぞれ挨拶が行われた。塚
田部長は、2009 年 9 月に西スマトラ州で発生したパダン沖地震の際、日本から救助隊員が派遣
された例など、両国がこれまで人命救助の分野で進めてきた協力を説明、その上で、本フォー
ラムでは両国が人命救助体制や救助隊員の教育訓練制度を紹介し、それを互いに深く学び合う
なかで、活発な議論が行われることを願っている、と述べた。
開会式に続く講演では、日本側から、大澤
晃 総務省消防庁国民保護・防災部参事官付救
助係長が『日本の救助体制と救助事例』につ
いて、また、田井英紀 同庁消防・救急課課長
補佐が『日本の救助隊の教育訓練』について
プレゼンテーションを行った。大澤係長の講
演では、日本は全国に一定規模の救助隊を配
備し、地域の日常的な事案に対応する体制を
基本としつつ、大都市を中心に高度な救助隊
を整備しており、大災害時は各地域の救助隊
が連携する体制を構築していること、また、
災害発生時には地域住民の協力が不可欠で、
集合写真の様子
地域住民と救助隊との連携や、自助・共助が非常に重要であること等が紹介された。
対してインドネシア側からは、前述のパダン沖地震と、2010 年 10 月に西パプア州ワシオル
で発生した土石流災害時の救助隊の活動事例が、また、国家捜索救助庁の救助隊に対する教育
訓練制度等が紹介された。
講演後に行われた意見交換では、来場者からインドネシアでの災害現場における関係諸機関
の連携不足が指摘され、日本の救助体制を参考に、関係機関が一体となった総合訓練の実施等
により、災害現場での迅速な救助活動を求める声が挙がるなど、白熱した議論が交わされた。
インドネシアは地震多発地帯に属しており、近年では、2010 年 10 月にスマトラ島沖で大規
模な地震が頻発、また同月、ジャワ島中央部のムラピ山が噴火し、多数の死傷者が出るなど多
くの自然災害が発生している。急速な経済成長を続けるインドネシアでは、同時に都市化も急
速に進んでおり、従来にも増して都市部での災害に対する救助体制の充実が求められている。
本フォーラムを通じ、日本とインドネシアの救助分野における交流が深まったことで、両国
の人命救助体制の更なる発展につながることを期待したい。
(インドネシア・日本 国際消防防災フォーラム参加時聴き取り等)
(矢部所長補佐 宮城県派遣)
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