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精華町まちづくりへの提言集

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精華町まちづくりへの提言集
精華町第5次総合計画策定基礎調査
精華町まちづくりへの提言集
平成24年5月
精
華
町
[
目
次
]
特別寄稿 吉川和広会長(精華町総合計画審議会) ··························· 1
1.調査の概要 ······················································ 4
(1)調査の目的······························································· 4
(2)提言者プロフィール······················································· 4
2.精華町のこれからのまちづくりに向けた共通キーワード
~ヒアリング結果から~ ·········································· 6
3.ヒアリング記録
①青山公三氏(あおやま こうぞう) ··········································· 7
②稲澤克祐氏(いなざわ
かつひろ)··········································· 8
③井上美智子氏(いのうえ みちこ)·········································· 11
④今川晃氏(いまがわ
あきら)·············································· 13
⑤岡田憲夫氏(おかだ
のりお)·············································· 14
⑥北川美宏氏(きたがわ
よしひろ)·········································· 16
⑦澤井勝氏(さわい まさる)················································ 18
⑧澤田茂氏(さわだ しげる)················································ 20
⑨高橋克忠氏(たかはし
かつただ)·········································· 21
⑩中原洪二郎氏(なかはら こうじろう) ······································ 22
⑪中村貴子氏(なかむら
たかこ)············································ 24
⑫西村一朗氏(にしむら
いちろう)·········································· 25
⑬橋爪紳也氏(はしづめ
しんや)············································ 27
⑭廣瀬明彦氏(ひろせ
あきひこ)············································ 28
⑮深尾昌峰氏(ふかお
まさたか)············································ 29
⑯藤田忍氏(ふじた しのぶ)················································ 31
⑰松村暢彦氏(まつむら
のぶひこ)·········································· 32
⑱宗田好史氏(むねた
よしふみ)············································ 34
⑲室田信一氏(むろた
しんいち)············································ 36
⑳渡辺好章氏(わたなべ よしあき) ·········································· 37
(五十音順)
特別寄稿
精華町のこれからのまちづくりへの期待
吉川和広氏(精華町総合計画審議会会長
京都大学名誉教授
関西空港調査会会長)
1
学研都市建設と精華町のまちづくりを振り返って
~クラスターと周辺地域の一体整備が基本方針~
元京大総長、奥田東先生の提唱により、京阪奈丘陵に関西文化学術研究都市の建設が構
想され、学研都市の建設整備が始まってから、既に 30 年が経過しました。
山紫水明の古都、そして、日本の学術・文化の中心として栄えてきた京都と奈良の中間
に位置し、豊かな自然と歴史、文化、風土に恵まれてきた京阪奈丘陵が学研都市の建設地
に選ばれたことは、わが国の文化首都をめざす関西にとって、真に意義深いものでした。
関西文化学術研究都市は、豊かな自然に抱かれたクラスターとして開発整備されること
となり、そして、精華町には、学研都市の中核となるクラスターが整備されることとなり
ました。
しかし、それまでの大規模ニュータウンの開発整備を振り返ってみると、ニュータウン
内での大規模で近代的な市街地整備が進められる一方で、周辺地域との一体整備について
は、ほとんど考慮されていないのが一般的でした。
単に、クラスター内部のみに学研施設を整備するのではなく、クラスターと周辺地域を
一体としたまちづくりを進めることにより、真の意味での学研都市の整備が可能になると
の認識のもとに、クラスターと周辺地域の一体整備が、基本計画の中に盛りこまれ、この
方針に基づいて学研都市整備が進められ、今日の学研都市の姿があります。
2
精華町の都市基盤整備に関する課題と期待
~クラスター間を結ぶ交通ネットワークの整備~
学研都市は、広範な京阪奈丘陵にまたがるため、クラスター間を結ぶ交通ネットワーク
の整備、これらと直結するコミュニティ道路の整備が極めて重要です。そのためにも、山
手幹線などクラスター間を接続する道路の整備を関係府県に強く働きかけることが重要と
なります。
~大阪、奈良、そして関西国際空港とのネットワークの整備~
また、学研都市は、京都への交通網は、比較的よく整備されていますが、大阪や奈良と
直結する交通施設の整備が著しく立ち遅れていることが課題となっています。
そこで、次の3つの取り組みが重要であると考えます。
1
・大阪と精華町を結ぶ国道 163 号の拡幅整備を進めるため、国や京都府に強く働きかけ
ること。また、近鉄けいはんな新線を早急に整備するよう、さらに、学研都市線の複
線化について、関係機関に働きかけること。
・精華町と奈良を直結するための、京奈和自動車道の木津からの延伸を、学研都市内の
自治体が一体となって、京都府や奈良県、国に働きかけること。
・世界の学術研究都市の中で、国際空港と直結した交通手段を持たないのは、関西文化
学術研究都市ぐらいであり、関空に直結する交通網の整備や、近鉄けいはんな新線を
早急に整備することによる関空への直結について、京都府に働きかけ、検討を進める
こと。
~ファシリテーターの育成と協働のまちづくり~
次に、精華町の旧市街地の中の都市基盤整備については、総合計画そして都市計画マス
タープランに基づいて、行政と住民のご努力により、着々と整備が進められていることは、
心強い限りであり、高く評価しています。住民と行政が一体となった 21 世紀型の新しい
都市づくりに大いに期待しています。そのために、今後もファシリテーターの育成に努め、
精華町ならではの“まちづくり”を進めていただきたいと思います。
精華町の行政及び町民の方々の努力が実を結び、新祝園駅前の土地区画整理事業が着々
と進められ、学研都市精華町の玄関としての顔が見えてきたのは喜ばしい限りです。この
駅前再開発こそが、クラスターと周辺地域の一体整備という学研都市建設の基本理念を実
体化した、一つのシンボルであると高く評価しています。
3
精華町の魅力や伸ばすべきところについて
~学研都市の積極的な PR を~
京都・大阪・兵庫の三府県が一体となって、国に要望した、国際戦略総合特区が国に認
められ、関西経済の再生に向けた力強い動きが始まっています。
理化学研究所の誘致に成功し、超高速大型コンピューター“京”を整備した神戸医療産
業都市、梅田北ヤードの新都市づくり、大阪府と大阪市が共同で進めている大阪湾ベイエ
リアの夢洲・咲洲地区の整備構想などが連日、新聞をにぎわしています。
これに対して、わが国の情報工学や電子工学の技術発展を支えた ATR や、第二国会図書
館(国立国会図書館関西館)の誘致など、関西の注目を一身に集めてきた関西文化学術研
究都市の影が薄くなってきているような気がしてなりません。
一方で、「私のしごと館」の再生について、住民の意識が高まっているのは望ましいこ
とです。住民と行政が一緒になって「私のしごと館」の再生に取り組んでいいただきたい
と思います。
精華町が、京都府と一緒になって、第二国会図書館を巻き込んで、関西の皆様に知って
いただけるよう、PR につとめるとともに、その有効活用の方法について研究していくこと
が必要であると考えています。
2
~国際交流拡大のための MICE の推進~
また、学研都市に蓄えられた優秀な頭脳の集積を生かして、国際交流拡大のための MICE
(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition/Event)の推進に向けた取り組みを進め
ることも必要と考えます。この場合、MICE の推進に向けて駅前から役場に向けてのモール
の整備や、「私のしごと館」の活用について考えられないでしょうか。
学会や行政や経済界レベルの会議場、企業の研修会、企業への見学会に加えて、展示会
や見本市会場、ホテル、ショッピングモールなどを一体的に整備することによって、関西
文化学術研究都市の再活性化に向けた取り組みを進めていくことも重要です。
~防災都市づくりや観光振興など~
このほか、住民の安全と安心を守るための防災都市づくり、精華町の豊かな歴史・文
化・風土と新しい文化・学術の中心を生かした観光振興、また、京都・奈良そして大阪と
結んだ広域観光のシステムづくりが必要であると考えます。
3
1.調査の概要
(1)調査の目的
本調査は、まちづくりに係る多様な分野の専門家などから、各分野における時代潮流や
これからの精華町のまちづくりに参考となるご意見・ご提案を頂戴し、記録にまとめ、総
合計画策定に係る基礎調査の一環として、本提言集を作成した。
(2)提言者プロフィール
(五十音順・敬称略、平成 24 年 3 月現在)
氏名
①青山公三
所属・役職等
京都府立大学公共政
策学部・教授
専門分野・研究テーマ等
都市及び地域環境政策
危機管理政策
地域社会
②稲澤克祐
関西学院大学専門職
大学院経営戦略研究
科・教授
地方政府会計制度の現状分析
政府間財政関係の国際比較
自治体における政策評価、予算・会
計改革、英国の政府会計
③井上美智子
奈良先端科学技術大
学院大学情報科学研
究科・教授
VLSI の設計とテスト、分散アルゴ
リズム等
けいはんな女性研究者ネットワーク
世話人
④今川晃
同志社大学政策学
部・教授
地方自治
行政学
行政苦情救済
⑤岡田憲夫
京都大学防災研究所
巨大災害研究センタ
ー・教授
土木計画学、災害リスクマネジメン
ト、社会システム工学、水資源計画
学、地域計画学、ゲーム理論
⑥北川美宏
SCSK株式会社
CSR推進室 大川
センター長
2001 年、精華町内に開設した大川セ
ンターにおいて、様々なこどもワー
クショップの開発実践に取り組む
⑦澤井勝
奈良女子大学名誉教
授
地方財政論
公共政策論
生活福祉論、福祉財政学
⑧澤田茂
前精華町総合計画審
議会公募委員
精華町第4次総合計画で初めての公
募委員に選出された3名のうちの1
名
合併問題を考える会代表
⑨高橋克忠
特定非営利活動法人
けいはんな文化学術
協会・理事長
生物物理化学、科学技術政策論
大阪府立大学名誉教授
文部科学省「サイエンス・メディエ
ーター制度の推進」調査研究代表者
4
⑩中原洪二郎
奈良大学社会学部・
准教授
国際社会学、文化社会心理学。マイ
ノリティ研究としての地域ブランド
戦略による地域活性化研究。斑鳩町
都市計画審議会委員
⑪中村貴子
京都府立大学生命環
境科学研究科・講師
農業経営学、地域づくりを支える地
産地消と地域資源保全ボランティア
の成立要因に関する研究
⑫西村一朗
奈良女子大学名誉教
授
郊外戸建住宅地の管理・運営システ
ムの構築に関する研究
けいはんな市民雑学大学・学長
⑬橋爪紳也
大阪府立大学 21 世
紀科学研究機構・教
授
建築史・都市文化論
都市観光研究
大阪府・大阪市特別顧問
⑭廣瀬明彦
相楽福祉会・理事長
障害者福祉
1981 年に精華町で無認可共同作業所
を設立、1992 年に社会福祉法人化
⑮深尾昌峰
龍谷大学政策学部・
准教授
公共政策、非営利組織論
きょうと NPO センター・常務理事
⑯藤田忍
大阪市立大学大学院
生活科学研究科・教
授
景観まちづくり、大阪型近代長屋ス
ポットの保全・利活用、地域 SNS の
社会実証実験
けいはんな地域 SNS 研究会代表
⑰松村暢彦
大阪大学大学院工学
研究科・准教授
モビリティ・マネジメントによる態
度・行動変容に関する実証的研究、
まちづくり・都市計画の公共受容に
関する研究
⑱宗田好史
京都府立大学大学院
生命環境科学研究
科・准教授
町家・町並み保存、コミュニティ計
画、環境保全計画、景観計画、中心
市街地活性化、ヨーロッパ都市計画
⑲室田信一
大阪大学大学院人間
科学研究科・研究員
社会福祉学
地域福祉
⑳渡辺好章
同志社大学生命医科
学部長・教授
精華町情報化基本計画検討懇話会・
会長
超音波エレクトロニクス、医用超音
波、非線形音響学
5
2.精華町のこれからのまちづくりに向けた共通キーワード
~ヒアリング結果から~
今回のヒアリングを通じて、精華町のこれからのまちづくりに向けた多方面での提案、
アイデア、応援メッセージを頂戴した。ここでは、いただいた意見をもとに、共通する3
つの柱(「学研都市づくり」「シビックプライド」「地域の力を高める」)について、主
なキーワードやコメントを整理する。
「学研都市精華町」として
学研都市づくり
シビックプライド
「わがまち精華町を「ふるさと」
として感じられるように、まちの
個性を語れるようにする」
クラスターと周辺地域の一体整備
「クラスターと周辺地域を一体とし
たまちづくりを進めることで、真の
意味での学研都市整備となる」
交通ネットワークの整備
「クラスター間、精華町=大阪・奈
良、学研都市=関西国際空港間を結ぶ
交通ネットワークの整備が重要」
*市民の誇り
「精華町民が、私は精華町に住んでい
るんだという意識を持つことが大切」
長期的視点のまちづくり
「30年後にどうなっているか長期を
見据えた学研都市づくりが必要」
「住民が学研都市に住んでいるこ
とを実感してもらえるように」
特徴的で抜きんでたまちづくり
「農あるくらし」
「子育てサービス水準が高
いと、女性研究者の定住促
進につながる」
職住近接
社会実験の積極的受入
「最先端技術を使った実証実験によって、住民に知って
国際交流の拡大
もらうことがシビックプライドにつながる」
「国際会議等MICEの推進が
必要」
科学技術を文化に
「住民にわかりやすく研究成
果を伝えること」
けいはんなの情報発信
広域連携
「住民生活に身近な“町”だからこそ、ラ
イフスタイル提案を発信することが可能」
「開発事業者もまちの魅力づくり
で大切なパートナーである」
「何が何でも求心力を持つと
いうことではなく、周りと連
携することも必要」
コミュニティ再構築
「地縁コミュニティは今後も続けていくべき」
「実家族が近くにいないので、“地域家族”
としての新しいつながりが求められている」
「地域の中で議論して解決策を 市民のエンパワーメント
考える仕組みも必要」
「組織化された住民が主役となり、行
政が地域に入っていく形の方がよい」
行政の熱意あるマネジメント
「情報化とは結局は人の顔が見えること」
「もっと深く情報が住民に行き届くように」
「地域 SNS はツールであるだけでなく、活動の
場であり、市民活動団体にもなりうるもの」
「まず行政が地域をよく分析して、気づきを
導くようなマネジメントを行うことが必要」
「職員の熱意を住民に伝えることも重要」
住民と行政の顔の見える関係性
地域の力を高める
「役場は、まちを“住民の力が活きる場 「地域力を高めることが脆弱
所”に創り上げていくコーディネーター 性を下げることにつながる」
であること」
6
総合計画、財政計画、行財政改革計
画の連動
「総合計画はいわば町のマニフェストである」
3.ヒアリング記録
①青山公三教授(京都府立大学 生命公共政策学部)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 13 日(月) 14:30~16:30
京都府立大学
精華町事業部都市整備課 松本[事務局]
精華町事業部都市整備課 大賀(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
1.アメリカのリサーチパークを活かした地域経営から学ぶこと
○30 年後の長期を見据えた学研都市づくりの視点が必要
・ けいはんな学研都市は建設のスピードが鈍化していると言われているが、ノースカロ
ライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(約 2,700ha)を見れば、1950 年代から
スタートして現在でも進行中である。
・ 当初、大企業中心の誘致であったが、80 年代後半からはベンチャー企業の進出も促し、
さらに 90 年代初頭には商工会議所や自治体も加わり、リサーチ・トライアングル・リ
ージョナル・パートナーシップを設置し、誘致のための環境整備に取り組み始めた。
このように、時代に応じて考え方を変えていく必要がある。
・ 米国は、20~30 年のオーダーで考えており、30 年後にどのような人口構造になってい
るのか、ここのコミュニティはどうなっているのかといった視点が必要である。
2.企業誘致や支援について
○地元自治体だからできるライフスタイル提案を行う
・ 新たに進出する企業の場合、米国などでは従業員のライフスタイルが一番合う場所は
どこかということを経営者は考える。
・ 例えば、自然に囲まれたライフスタイルや子どもの教育環境などをもっとアピールし
ていく必要がある。
・ 住民に近い立場の市町村職員の方がライフスタイルの提案ができる。
3.学研都市を活かしたまちづくりのポイント
○立地企業と研究機関とを結ぶ
・ けいはんなでも、立地企業のまちづくり協議会や異業種交流の取り組みがあるのであ
れば、その動きを大切にしたい。
・ このような動きをうまく育て上げて、大企業や研究機関との交流の場を作っていくこ
とは、精華町という自治体レベルでも可能な取り組みである。
4.世界のけいはんなになるために
○プロモーションのためのウェブサイト作成
7
・ 学研都市のプロモーション活動を行う場合、実際には府県レベルの大きな取り組みで
あり、精華町単独ではなく全体で取り組むべきことになる。
・ しかし、地元の町レベルでも、インターネットを積極的に利用して、ウェブサイトを
作り、情報発信をすることはできると思う。内容については、教育施設のほか、交通
機関や住まいなど従業員に係るライフスタイルに関係することや、法人に関すること
まで多義にわたる内容を網羅して、見やすくまとめておく必要がある。
・ そして、もっと大規模なウェブサイトを作ろうということを、町から府県に提案して
いってはどうか。
5.その他、精華町に期待すること
・ 府県でのモデル的に、エネルギーを意識した独自の住宅開発を手がけることは考えら
れないか。オーストリアでは地域バイオエナジーの村づくりということで、間伐材を
チップ化し、小規模単位でのローカルエネルギーを生み出している。間伐材のチップ
化を通じて、雇用にもつながっている。
・ 学研都市でもクラスターごとの戦略を決定し、リーディング企業を中心としたその関
連企業を誘致していくといった「アクションプラン」を作成すると、中長期的な計画
ができると思う。
・ リサーチ・トライアングル・パークでは、緑地率のハードルが高いなど景観重視の規
制となっている。
②稲沢克祐教授(関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科会計専門職専攻)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 29 日(水) 10:30~12:00
関西学院大学
精華町総務部企画調整課 西川[事務局]
精華町上下水道部上水道課 吉岡
精華町会計課 前川[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 田口
1.財政規律と中期財政計画について
○中期財政計画とは…財政の見通しと計画
・ 「見通し」は予測に過ぎないが故に、数値予測とのかい離に対してアクションは無いが、
「計画」には実施と行革計画(アクションプラン)が加わり、財政規律を堅持できる
ものに。
○中期財政計画の作成
・ 中期財政収支の見通しに基づき、フローとストックの視点から、健全な財政運営を目
指した数値目標を設定する。ただし、フローの視点における収支改善と財政弾力化は
相反する関係にあり、またストックの視点における後年度負担軽減と将来への備えは
8
相反する関係にある。そのためバランスを考える必要があるが、それらを総合的に考
慮できる指標として「債務償還可能年数」という指標がある。
・ 債務償還可能年数とは、経常経費を除いた現在の収入を全て借金の返済に充当したと
して、何年で借金が返済できるかという指標であり、具体的には、(債務残高+債務
負担行為-基金-実質収支)/(一般財源総額-経常経費充当一般財源+元金償還分)
の式になるが、この指標を類似団体の平均と比較して目標を定めるという方法がある。
(四日市市の例を参考にストック・フローの視点から数値目標の一例を確認)
○財政計画を連結環とした総合計画・行財政改革計画の連動
・ 歳入歳出見通しの内、歳出中の実施計画事業費とその財政対策中にある行革計画値と
の連動(トレードオフ)。この連動が財政目標から乖離した際のアクションとして機
能する。
・ 行革計画値を達成すれば、事業費が要求どおり予算化され、結果として計画の達成に
つながる仕組みづくり。
○総合計画と行財政改革計画との連動
・ 総合計画には、目的、指標、主要施策等に加え、必ず5年間の行革項目を入れ、総合
計画との連動を図る。これにより、三計画(総合計画、財政計画、行財政改革計画)が
完全に連動することになる。
2.行政評価の活用について
○秩父市型:事務事業評価と予算編成
・ 事務事業評価に、実行のしやすさ及び実行にかかる時間によって、3段階の改善内容
(「1.即実行可能なもの」、「2.短期的(1年)改善(「予算が必要なもの」)」、
「3.中長期的(3~5年)改善(「制度改革を要するもの」)を記述し、区分する。即
実行可能な内容については、サマーヒアリングにて確認を行うなど、実行を確実なも
のにする。
・ 改善案については、タイミングの不一致(例えば 25 年度予算編成時には通常 23 年度
の事後評価を用いるが、その場合1年間のズレが生じるようなこと)を考慮し、事中
評価、すなわち事後評価を行った以降予算編成までの間の変更を加味して、改善案を
修正し最新の内容に更新を行い、新年度予算に活用する。
・ 行政評価の改善案に基づかない予算要求は原則認めない(成果指向の予算編成)。
○茅野市型:総合計画に連動した細施策評価と予算編成~
・ 茅野市の総合計画=市民プラン(市民総参加を掲げる総計)市民による進捗管理も行
う。
・ 評価が可能なように総合計画策定を行う。
・ 細施策に対する構成事務事業の割合は、概ね1:4程度となっている。すなわち、細
施策内の事務事業間の重点付などを行える事務事業数。
・ 2段階の事務事業評価を行う。第1段階として、まず係長が事務事業評価の方向性を
「成果の方向性」と「コスト投入の方向性」で分類し、課長が責任者となって評価す
る。第2段階として、課長が細施策評価書の作成を行い、部長が責任者となって、細
施策内の重点化を評価する。
9
・ 部長および副市長による2次評価委員会を開き、細施策評価を行う。このとき、部長
は所属部門の説明者であり、他部門における評価者でもある。
・ このときの評価において内容に問題があればフィードバックし、再度事務事業評価を
行う。
・ このような流れを経て評価が行われた場合、細施策に対する方針が決定されるため、
予算においての議論が、重点化および方向性(増額・減額・原計)については終了してい
ることになる。結果として、予算編成時には、政策的経費の計数整理と経常的経費の
査定をすればよいことになる。
3.歳入確保、財源確保について
○自治体の財源確保の全体像
・ 歳出削減か歳入確保か
・ 歳入確保についてはフローからの確保とストックからの確保に分類
・ フローからの確保の例として適正な手数料・使用料にする。値上げする場合でも財政
難を理由にせず(財政が良くなれば値下げするのかという問題があるため)、例えば、
横軸に公的関与の度合い、縦軸に収益をとった、受益者の負担割合のグラフを作成し
決定するようにする。
○公有財産最適活用計画の事例
・ ストックからの歳入確保の例として、公有財産の処分、広告、ネーミングライツ、賃
貸、その他行政財産の使用許可に公募制度の導入など(自動販売機の設置など)があり、
歳出削減の視点では、財産の最適化、建物やインフラ資産の維持管理などがある。歳
入確保に向けてできる事を行わないという事は、単に歳入がゼロということではなく、
機会損失(費用)であるという職員理解が必要。
~各種事例紹介~
○インターネットオークションによる公有地の売却
○ネーミングライツ
・ 磐田市…道路にネーミングライツを導入
・ 大阪府…枚方市内の歩道橋に導入。また、横浜市の事例として、権利者が歩道橋の美
観維持にも協力(協働の事例)
○公共施設の目的外使用許可による使用料徴収
・ 大阪府…自動販売機の事例、H19 年度 539 万円が入札公募方式で約 3 億に
○公有施設の貸付
・ 新潟県南魚沼市:合併に伴い使わなくなったフロアをヤマト運輸㈱のコールセンター
として貸付
・ 未利用資産の有効活用に加えて、新規雇用の創出、周辺飲食街への影響等、地域経済
への効果も。
4.その他
・ 総合計画はいわば町のマニフェストである。確実に実行する為に数値目標を定め、財
政計画を入れ(数百万程度の細かいものではなく、大規模事業について事業別に)、
基本計画に織り込めれば良い。
10
・ 茅野市においては、毎年の評価と、市民の評価機会を持つ事で、実効性を確実にして
いる。
・ 職員のモチベーション、動機付けの一例として、評価が何かに反映される仕組みづく
りをすること。例)行革値達成で生じた予算残を次々年度の達成課の新規事業や既存の
事業に優先的に与えるインセンティブ予算など。
③井上美智子教授(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 21 日(火) 10:00~11:30
奈良先端科学技術大学院大学
精華町総務部総務課 岡田[事務局]
精華町住民部人権啓発課 小西(記録)[作業
部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
1.けいはんな女性研究者ネットワークの取り組み概要について
○けいはんな女性研究者ネットワークの概要
・ 平成 22 年 7 月、けいはんな学研都市にいる女性研究者のためのネットワークを構築す
るため、前年度の調査結果を受け、けいはんな女性研究者ネットワークが設立された。
・ 研究分野や世代を超えた女性同士の交流での情報交換は、研究についてだけでなく、
仕事と家庭生活の両立やキャリアアップについても行われ、精神的な支えにつながっ
ている。
・ 学研都市に立地する企業の女性研究者や奈良先端科学技術大学院大学の教員ら 50 人程
度で構成され、茶話会には、これまで毎回 15 人程度参加している。世話人は正式には
7人であるが、転勤もあり変動がある。
・ 会は、情報交流できるゆるやかなネットワークであり、井戸端会議のような感覚とし
て運営している。
○バーチャルな交流とリアルな交流
・ 共通する趣味や関心事、相談ごとなど、インターネット上でバーチャルな交流をして
いる「けいはんな地域 SNS」の中に、けいはんな女性研究者ネットワークのコミュニ
ティも立ち上げている。
・ リアルな交流では、所属している各研究施設の見学会や、けいはんなプラザで子ども
も一緒に集まって茶話会を行っている。
2.女性研究者ネットワークの現在の課題とこれからの活動方向
○ネットワークの運営
・ 情報の交換ができれば良いくらいの気持ちで続けいている。事務局を固定すると、中
心となる人に負担がかかるので、交流会のための打合せが楽しいと思えるようなペー
スで実施してる。
11
○お互いの職場環境や働き方の情報交流
・ 見学会では、自身の仕事のヒントにしたり、参加者同士で共同研究をしてみましょう
か、と連携をしている人もいる。
・ 他社の勤務体制や職場環境も参考になる。
○仲間づくり
・ それぞれの会社では女性研究者が少ないが、このようなネットワークでつながると仲
間ができて心強い。
・ 仕事と子育ての両立をどのようにしてきたかが多くの女性研究者の関心事である。継
続して仕事を続けるための情報交換が行われている。後進に対するロールモデルとも
なっている。
○課題と活動方向
・ これまでは、文部科学省の女性研究者支援モデル事業として事務局が大学にあり、そ
の一貫として、けいはんな女性研究者ネットワークも位置づけられてきたが、事業終
了後はこれまでどおりの体制で進むか未定なところがある。
・ (財)関西文化学術研究都市推進機構や市町の産業振興等の担当課にも支援してもら
えるとありがたい。
3.女性研究者ネットワークを活かして、地域住民や学校教育とのつながりの可能性や希
望
・ 奈良先端科学技術大学院大学のオープンキャンパスなどでは託児サービスを設け、地
域の大学や企業との間での情報交換等を促進している。
・ 女子中高生のための関西科学塾を年1回開催し、女子生徒が、科学技術に対して興
味・関心を持ってもらえるような活動をしており、女性研究者ネットワークでも応援
する取り組みを行った。
4.女性研究者にとって働きやすい環境にするには
○自治体の子育てに係るサービス水準が定住につながる
・ 話題になることが多いのは、保育園の入りやすさと高校進学について。自治体ごとの
サービスの比較に関心が高い。
・ それぞれの自治体によってサービス内容が異なる。ライフステージによって、どこに
住むかを決めて引っ越す人も多い。
・ 仕事や子育てをあきらめるのではなく、その時その時にベストなものを賢く選びなが
ら、住むところを決めている人が多い。
○居住地だけでなく、自治体の垣根を越えた支援ニーズが高い
・ 住んでいることがサービスを受ける条件となるのであるなら、サービスを受けずに税
金を払っている分を、別のことで補助を受けるとか、自治体の垣根を越えてサービス
が受けられるようにならないものか。
・ 国の研究費は、半年以上研究に従事しない期間があると応募資格がなくなるなど条件
が厳しく、また、実際の研究現場では、少ない人数の中で一人でも欠けると研究の質
が落ちてしまうので、子育てや介護のために休むことが難しい。
12
・ 子育ても仕事もどちらも満足がいくように取り組みたいと思っているが、個々の研究
者が社会のシステムを変えるための働きかけができるほど空いている時間はないのが
現状である。
5.学研都市精華町の印象や期待について
・ 学研都市の開発当初に比べ、交通機関や商業施設が充実してきたことは実感している。
・ 子育てしやすいまちになるように計画を作っていってほしい。
④今川晃教授(同志社大学 政策学部)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 15 日(水) 10:00~11:45
同志社大学
精華町総務部企画調整課 岩橋・安井
[事務局]
精華町住民部総合窓口課 石崎(記録)[作業
部会]
㈱地域計画建築研究所 廣部
1.「新しい公」と行政の果たすべき役割
○行政の熱意あるマネジメントが重要
・ 自治会や地区社協などの地域活動がしやすくなるよう、まず行政が、地域をよく分析
して、住民に課題への気付きを導くようなマネジメントを行う必要がある。地域がま
ちづくりを先導できるのは、余程のリーダー、カリスマが存在する場合などに限られ
る。また、「第三者を雇う」という手法もあるが、行政が主体として熱意を示すほう
がよい。
・ その上で、団体間のコーディネートや校区で話し合う場の設定などが求められる。
2.これからの計画づくりや政策の推進について意識すること
○パートナーシップを高めるために
・ 行政の悩みを住民にぶつけて課題を共有し、「みんなで考えて!」という呼びかけが
できるかどうかが重要である。
・ 職員の熱意を住民に伝えることも重要。住民に直接会いに行って話を聞いてともに考
えることや、職務外などインフォーマルなところでいかに公益的に行動するか、など
が求められる。
・ 住民を動かす働きかけの面で創意工夫することも重要である。例えば、窓口業務でも、
対応できる内容に該当しないのであれば、他の手につなげばよい。そこにパートナー
シップが生きる。
○具体的なテーマで、対話に基づく地域まちづくりを
・ 地域防災は、具体的に地域まちづくりを進める上で好テーマである。自主防災会は自
治会単位であるとのことだが、広域避難所は災害時に運営できるのか。「小学校区単
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位での自主防災活動」など、行政からテーマを明確に出して、防災に備えるストーリ
ーを住民と一緒につくるという流れにしていくなどが考えられる。
・ 例えば、大災害が発生したと想定して自治会として何ができるかを考えれば「独力で
は無理だ」となる。すると、隣の自治会との連携が要るのか。何が要るのか。民間企
業や病院など“固い”建物に避難できるよう協定を結ぶ必要があるのか。最終的に小
学校に避難するとなれば、学区としてはどのように備える必要があるのか、といった
展開が想定できる。
3.精華町の印象について
・ 「元気がいいまち」「成長の可能性があるまち」との印象を持っている。町としてま
だ力があるうちに、町外の大学や地域との交流を図って、町を軸にしたネットワーク
を構築し発信力を高めることが重要。課題をともにする地区や先進地などとの住民交
流の促進を図るべきだ。そうしたことで、観光にくる人を呼び込むことにもなるだろ
う。
⑤岡田憲夫教授(京都大学 防災研究所)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年2月 24 日(金) 10:00~12:00
京都大学宇治キャンパス
精華町総務部総務課 岩崎[事務局]
精華町消防本部予防課 太田(記録)
[作業部会]
精華町総務部危機管理室 下南
㈱地域計画建築研究所 高田
1.総合防災について
・ 災害リスク=「Hazard(H):災害を起こす引き金」×「Vulnerability(V)脆弱性:人
間側の抵抗力の無さ」×「 Exposure(E)暴露度:人口密度や集積した資産を空間的に
分散させることや同じ機能のものを固めないこと」。
・ 災害リスクを分解すると、この3つのかけ算になり、このマネジメントが良いほど、
災害リスクが小さくなる。
・ 「総合防災」とは、リスクマネジメントの考え方に立った防災といえる。
・ H も、V も、E も色々ある。例えば、最初の H が次の H を引き起こしたら複合災害に
なる。V については、建物の V もあれば、対策の V、避難の V、情報入手対策の V も
ある。E は、置き場所を変える、固めて置かないなどの対策が考えられる。
・ H については、自然災害なので直接はどうしようもないが、どのような H が起こるか
を上手に知り、的確に描いておくことが重要である。
2.総合防災を精華町で取り組むために
○求心力を高めること
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・ 精華町民がどこまで自分たちのまちのことを考え、私は精華町に住んでいるんだ、と
いう意識を持つことが大切である。
・ そのためにも、シンボリックな求心力を持たせる方法として、地域の祭りもあるし、
町内の各地区間の交流を促進するための交通体系・サービスの改善という視点で考え
ることも可能である。多様性も認めながら、求心力を高める必要がある。
○周りと連携すること
・ もう一つには、何が何でも求心力を持つということではなくて、「周りと連携する」
ことが必要である。近隣の市町と防災面で連携することで、被災後の対応に結びつく。
○学研都市の企業との連携
・ 学研都市の企業防災に対する考えを知り、町とどのように協力体制を築くかを考えて
いくことが重要である。
・ 企業エリアにおける「安全・安心なまちづくり」が重要で、その場合に、大学などの
研究機関の果たす役割も大きい。(事例:「京都フェニックス・パーク(宇治市)地
域企業防災 DCP モデル開発研究」において京都大学防災研究所が協力)
・ 新興地域と旧集落そして学研都市の各企業が連携して防災に取り組み、その触媒を行
政が担うことができれば、地域全体としての防災力向上につながる。
3.防災に対する行政の役割について
○あらゆるハザードの把握と重なり合い
・ まずは、町内にどのようなハザード(地震や水害など)があるかを考えるのが一つの
ポイントである。そしてそのハザードを重ねてみることが重要であある。重なるとこ
ろとそうでないところがあり、人口集中などによるリスクの検討や被害想定をシミュ
レーションし、対策を検討することが重要である。
・ 都市開発やまちづくりでどのようにリスク分散させるかで被害軽減を図る。
○ハザードごとの被害想定から対策を立てる
・ 全国で、これまで避難所や対策本部は、地震を中心に考えてきたが、今後は、ハザー
ドごとの被害想定によって避難所の指定や対策本部の設置を再検討する必要がある。
・ 姉妹集落協定などを結んで日常的な交流を進めておくと、いざというときに助け合え
るので、今後ますます必要になってくる。行政が世話を焼くのではなく、自発的な動
きを奨励していくことが大事である。
4.参加型方式によるまちづくりの進め方について
○地域力を高めることが V(脆弱性)を下げることにつながる
・ 被災時には各地区に行政の手が入るまでは、住民だけでしのぐことを知ってもらうこ
とが重要であり、その危機感が参加することにつながる。
・ 住民の防災意識向上と訓練などに参加するという意欲をかきたてるために、消防本部
として何をすべきなのか、どういう方法が有効なのかを検討する必要がある。
○日常的なことを結びつける
・ 住民が自ら防災を考えていくためにも、まずは、タウンウォッチングなどによって、
自分の住んでいるまちの様子を日頃から興味を持ってもらうことが重要である。
15
・ 防災だけでなく、防犯や交通事故対策の観点でもよい。普段から危ない場所を知った
り、誰と誰が誘い合って避難できるかを主体的に考えていくことが重要である。
・ また、非常食として乾パンだけでなく、日頃は地産地消となる「漬け物」を非常食に
も使えるようにすることなどは、日常的なこととの結びつきにおいて考えやすい。
・ 一次避難所の指定も、住民に主体的に考えてもらうということが大事であり、昼だけ
でなく夜の様子も異なるので、そういった観点でのまちの観察も必要である。
○ゲーム性を持たせる、子どもを巻き込む
・ 防災訓練などに住民が参加しやすく、訓練が身に付くように訓練自体にゲーム性を持
たせ、従来の形式化した訓練を見直す時期である。
・ 子どもを巻き込むことなども必要であり、例えば、乾パン早食い競争なども面白い。
5.その他
・ 今回の東日本大震災を見ると、たとえば工場団地全体で災害発生後に問題となる「災
害ごみ」をどう速やかに処理する仕組みを事前に整えておくかというテーマも大きな
課題となっている。
⑥北川美宏センター長(SCSK株式会社 CSR推進室 大川センター)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 28 日(火) 13:30~15:00
SCSK㈱ 大川センター
精華町総務部企画調整課 清田[事務局]
精華町事業部産業振興課 上原(記録)[作業
部会]
㈱地域計画建築研究所 渡邊
1.SCSK㈱大川センターの概要とけいはんなの立地魅力について
○大川センターの概要
・ こどもを対象とした新しい学びのスタイルであるワークショップ(CAMP)を開発・実
践し、全国への普及を目指している。
○けいはんな(精華町)の立地魅力について
・ 人口が増加しており、まちが若いため対象となるこどもが多いことから CAMP の活動に
とっては良い場所。
・ ATRやNEC(高山地区)といった周辺施設との連携によるワークショップ開発の
実績がある。
2.企業と地域住民の交流について
○企業と地域住民の交流の現状
・ 当施設は活動の特殊性から地域住民との交流の機会は多い。参加するこどもの5、6
割は精華町の住民である。
16
・ 他の研究所については交流の機会はほとんどなく、企業と地域住民の距離感は遠いと
思われる。
・ 企業間同士の交流も少なく立地はしているが一体感は感じにくい。
○職住近接のまちづくり
・ 研究者や従業員の何割かが地元に住んでいれば、企業と地域のハブとなって交流しや
すくなるのではないか。
・ 地域住民からしても、近所の○○さんが研究所に勤めている状況であれば親しみやす
く、距離感も変わってくる。
・ そのためには住んでみたいと思うまちづくりが大切で、引力となるような他のまちと
の違いや特色が必要。
・ 学研都市としての雰囲気、空気感の醸成が必要。大通りを歩いて楽しい、くつろげる
生活環境であることなど。けいはんな記念公園など各施設ごとに優れた環境が備わっ
ているが、施設間のアクセスが悪い、当該施設の周辺整備が不十分な点が課題。
○こどもとの関わり
・ 「科学のまちのこどもたち」や研究者の個人的な活動で非常に良い活動はあるが、も
っとまち全体をあげて最先端の科学技術などを分かりやすく伝える機会が必要。
・ 筑波研究学園都市では、他のまちと比較して研究者になりたいこどもの比率が高いと
聞く。これは、研究者が身近にいたり研究に触れる機会が多かったりするのではと考
える。
・ 次世代を担うこどもたちに対して科学技術、ひいては学研都市に興味をもたせるよう
な取り組みが必要。
・ キッズデザイン協議会への参画やイベント誘致などによってアピールすることも方法
のひとつ。
3.学研都市と精華町について
○これまでの 10 年間について
・ 個人的な感想としては、現状については満足している。
・ 10 年間で言うと、前半は国立国会図書館や私のしごと館のオープンなど活気あるイメ
ージであったが、後半は日本全体として景気が低下していたこともあり、活気が薄れ
てきている。
・ 研究機関や企業、研究者など個別では素晴らしい研究成果がある一方、けいはんな学
研都市内での成果として打ち出す力が弱いと感じる。
○今後の 10 年間について
・ 世界や日本経済が低迷する中でできることは、各企業や研究者が自らの研究に一生懸
命取り組んで成果を出すこと。
・ 行政や関係機関には、それを発信したり地域住民に分かりやすく伝えたりすることを
進めてもらいたい。
・ けいはんな学研都市は 12 のクラスターに分かれており、府県をまたぐ複数の自治体に
またがっているため、それぞれの繋がりが薄い。けいはんな学研都市で 1 つの広域都
市として連携することが必要。
17
・ 弊社施設を継続していくためにも、けいはんな学研都市の特性とともに、この地で立
地する根拠や意義を見出すことが必要。
4.その他
・ これまでは施設建設にかかる当初の理念に基づいて活動を行ってきたが、なぜこの地
で活動するのか、学研都市で活動を継続する意義を当センターとしても見出していか
ないと、と考えている。
・ 開所の当初にワークショップに参加していたこどもたちが成人となる年齢であり、ワ
ークショップのファシリテーター役として参加してくれたり、参加したワークショッ
プで映像や芸術に興味を持ちその道の職業を目指すといった話を聞くことは喜びであ
る。
⑦澤井勝名誉教授(奈良女子大学)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 3 月 2 日(金) 15:00~17:00
ホテル京阪
精華町総務部財政課 田原[事務局]
精華町総務部総務課 森山(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所
田口
1.「新たな公共」(市民が担っていく新しい公共性)について
・ これからは「人材」、市民のエンパワーメントが必要になってくる。
・ 100 人の集いは、議論に職員が入るべき。住民と職員が真剣に議論を交わすことが必要
で、住民目線で取り組むべき。ここは本気でやることが大切。
・ ヨーロッパでは、福祉国家を担う主体が多様性を持つ中で、今日、地域福祉の重要性
とそこでのこれまでの「官」に対する「民」における「新たな公共」の役割が論議さ
れてきている。地域福祉の分野では、ボランティアを含む各種団体、NPO、そして社会
的企業と呼ばれる事業体による「公共」の実現に果たす役割が益々大きくなっている。
2.精華町におけるコミュニティ再構築について
・ 精華町地域福祉計画をみると、既存地域、昭和の開発地域、学研開発地域という区分
けとなっているが、今後、このことを前提にどうコミュニティを再構築するかが課題
である。小学校区を基礎となるようにしたいが、これらの区分けが混じっているのが
興味深い。
・ 精華町の地域コミュニティについて、若い世代を巻き込むためにも、自主防災会を活
性化させるのも一つの手である。今後、東南海・南海地震などに備える必要があるが、
東日本大震災を援助した、または援助する職員を派遣した経験を生かしていかなけれ
ばならない。和歌山県あたりの自治体と相互援助協定を結ぶのも良い。さらに原子力
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発電所の対応も考えておかなければならない。リアルに考え、備えておくことが大切
である。
・ 生駒市では、自治基本条例を制定した。これは、市政運営の基本理念や市民と議会と
行政との協働によるまちづくりに必要な考え方や仕組みなどの基本的なルールを定め
たものである。少子高齢化をはじめ、人口減少、低成長時代の到来や地方分権が進展
するなか、生駒市のまちづくりに、市民一人ひとりがまちづくりの主権者として力を
合わせていくことが必要になってきている。より多くの市民ニーズに的確に対応する
ために、これまで以上に市民参画による合意形成を図る必要があるとの考えに基づき、
自治会やNPOの力を生かしていく方向で策定されたものである。
・ 福祉などをボランティアでやることについて、立ち上げの時からコミュニティビジネ
スを支援することが重要である。
3.事業仕分けや支出の抑制について
・ 事業仕分けは一定の成果が望めるが、廃止なり、縮小させるのは難しい。ただし、職
員の説明能力が決定的に向上するのは確かだ。
・ 予算配当で、一般財源の部等への配当は効果的で、職員のスキルアップにつながる。
・ 福祉費の増大を何とかするには、対象者に働いてもらって、税を入れてもらうように
工夫が必要。元気高齢者をどれだけ作れるかが課題。長野県の「PPK(ピンピンコ
ロリ)運動」なども参考に、要介護状態にならないようにする必要がある。
・ 障害者就労支援は国から財源がくるので活用してはどうか。
・ 予防(保健指導)に力を入れて支出を抑えていく。住民自身に勉強してもらって、ま
たは必要に応じて住民の中から、地域の健康指導を担う人材を養成していく。研修を
実施するなどもよい。これも新しい公共である。
4.その他精華町のまちづくりについて
・ 学研都市は今の状況では急激には良くならない。
・ 朝市の活性化を図った平群町の取り組みは参考になる。直売所なども欠品がでれば直
ぐに補充するなど、マーケットとしての魅力を保つ努力が必要である。何が売れるか、
誰が買うかなどの生きた情報を農家自身がつかめることが大きい。徳島県の上勝町が
実践している「葉っぱを売る」事業がそうだ。
・ 竹林が多いところは動植物が育たない。放置されている場合が多いと思うし、手入れ
が必要である。
・ 精華町の「里山形成事業計画」が必要である。
・ 祝園弾薬庫は自然の宝庫であるので、活用を考えたらよい。精華町を代表とするもの
として、この木、この鳥、この花といったものがあればよい。このとき、高校や中学
の生物の先生の力を借りることもあってよい。
・ 学研都市の建設に邁進するあまり、未来ばかりを見て過去を振り返らない傾向がある
が、今までのまちづくりの経過をしっかりと検証することと、これまでの資源を見つ
め、生かしていくことは非常に重要である。
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⑧澤田茂氏(元総合計画審議会委員、元合併問題を考える会代表)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 3 月 12 日(月) 15:00~16:30
精華町役場
精華町総務部企画調整課 岩橋[事務局]
精華町総務部財政課 浦本[事務局]
精華町総務部総務課 島川(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
1.初の公募委員の経験とその後のまちづくり活動について
・ もともと行政に対する関心は強いほうだったが、退職後、永住の地として選んだ精華
町のことをもっと知りたいと思っていたところ、平成 13 年に第4次の総合計画審議会
委員の公募記事を見て応募した。
・ 当時は、住民意識調査など十分な基礎調査も実施されていなかったし、会議も結論あ
りきの進行や、町内の主だった各種団体などからの委員構成に違和感もあった。そこ
に公募委員を加えただけで住民参加手法だと言われても、まだまだ課題は大きいと感
じた。
・ それでも、審議会委員の経験を通して行政に対する関心も広がり、元気なうちにもっ
と社会に役立ちたいという以前からの思いに加え、自らの健康管理のためにも、住民
参加のまちづくりを実践したいという思いが強まった。それがその後の活動の原点だ
ったと思う。
・ 今回の策定では、基礎調査段階で様々な住民参加の手法を取り入れていると聞いて嬉
しく思うし、十年の月日を感じる。より多くの住民が多様なまちづくり活動に関わっ
ていけるよう望んでいる。
2.合併問題を考える会の活動を振り返る
・ 総合計画審議会の後、間もなく合併議論が始まり、精華町では相楽郡7か町村での枠
組みで検討がなされていると聞いて驚いた。学研都市同士の合併なら理解もできたが、
率直に言って相楽郡での合併がわがまち精華町にプラスになるとはとても思えなかっ
たし、このままでは大変なことになると感じた。そして、我々住民にもできることは
ないかと思い立ったのが「合併問題を考える会」の活動だった。
・ 京都府や相楽郡内の各町村に足を運んで資料を収集したり、合併関連の会合にはほと
んど参加して情報を集めた。可能な限り中立的な立場から、住民の皆さんに考える機
会を提供しようと勉強会などを開いた。今から思えば私もまだ若かったと思うが、そ
うした活動を通じて多くの人たちとも出会うことができ、貴重な経験だったと思う。
・ 当面の単独町制を貫けたことは精華町にとって最善の選択だった思う。
・ しかし、今後を展望すれば合併は避けられないであろうし、より大きな権限を手に入
れ、自立できる行財政基盤を確立するため、精華町の場合は、学研都市の枠組みで7
0万人から100万人規模の都市づくりをめざすべきだと思う。
20
3.これからの精華町への期待
・ 第一には、やはりこれ以上、高齢者の負担を増やさないでほしいということである。
・ 第二には、今の高齢者の実態をもっと知ってほしいということ。孤独死の問題はその
最たるものだし、墓地あるいは納骨、引き取り手のない財産の問題などは待ったなし
だと思う。どうすればわがまち精華町で安心して最期を迎えることができるか、そこ
にもっと光を当ててほしい。
・ 第三には少子化対策である。国でも高校無償化など一部進められて議論もされている
が、全体としてはなかなか前に進まない。高校や大学などの高等教育への進学を保障
するために、例えば市町村が無利子奨学金制度を創設して応援するなどできないか。
それが子育て世代に対する大きな安心につながると思う。
・ 第四には防災対策である。原子力災害の影響やより詳しい活断層の情報、弾薬庫の安
全性、非常食の備蓄状況など、住民の安心につながる一層の情報提供が必要だと思う。
・ 第五には、学研都市の活性化を進めるなら、リニア新幹線の中間駅誘致を学研都市と
して強く働きかける動きがあっていいのではないか。
⑨高橋克忠理事長(NPO 法人けいはんな文化学術協会)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 9 日(木) 14:00~16:00
けいはんなプラザ
精華町総務部企画調整課 安井
[事務局]
精華町教育部学校教育課 村田(記録)[作
業部会]
㈱地域計画建築研究所 渡邊
1.学研都市・精華町ならではの科学教育にはどんなことができるか
・ 京都府の委託及び助成事業として NPO 法人けいはんな文化学術協会で取り組んでいる
「幼少期から科学的思考習慣を育てる取り組み」や、一般市民向け科学・技術コミュ
ニケーションの場「けいはんなサロン」などの取り組みを町として取り組んでいくべ
きだ。
・ 「けいはんな文化学術協会」が主催もしくは主管したもので、「国際」、「市民」、
「食・環境・健康」、「学術」、「次世代(子ども)」に係る主要なもののリストを
参照してほしい。
・ 行政は、環境教育に目を向けなければならない。世界を視野に入れながら身近な小さ
なことから行動することが大事。
2.「学研都市」の文化・学術の振興に求められているもの
・ 中核施設を擁する自治体として、他に先駆けて新しい文化を先導的に発信することが
重要である。
・ 行政がリーダーシップをとってやらなければいけない。そうでなければ町民に伝わら
21
ないし、市民は実行しない。
・ サード・ステージ・プランの理念の一つ、「新しい都市づくりは産官学にプラスして
地域住民との連携・協力が欠かせない」ということを意識していくことが重要。
・ 住民が主体的に取り組む意識を持ってもらうことが大事であり、そのためにもプロセ
スから参画してもらうことが必要である。
・ 科学・技術に対して、それを音楽や絵画と同じように、文化として向き合える市民の
育成が大事である。
3.文化学術の地元小・中学校や地域コミュニティーとの関わりについて
・ 15 程度の機関が関わって、「サイエンスエキスパート派遣事業」を実施しており、各
学校から要請により実施している。例えば、宇宙教育リーダーが中心となってロケッ
ト製作・発射等を行っている。
4.環境施策における行政の役割
・ ドイツの例にならい行政が率先して範を垂れる必要があり、たとえば、庁舎にごみ発
電・間伐材チップ発電装置を設置し、庁舎内のエネルギー自給率を住民に対して提示
することを提案する。里山を抱え人口 37,000 という精華町は、それに相応しい街であ
る。
5.精華町ブランドの農産物振興させるために
・ 精華町ブランドの苺について、遺伝子組み換え技術で付加価値をつけ、それを植物工
場で生産する方向性について提案したい。
⑩中原洪二郎准教授(奈良大学 社会学部)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年2月 23 日(木) 14:00~16:00
奈良大学
精華町総務部総務課 松井[事務局]
精華町健康福祉環境部環境推進室
録)[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
山口(記
1.大学と精華町との連携の可能性について
○具体的なニーズがわからなくても連携可能
・ 奈良大学は奈良県内に立地しているが、府県の枠組みによる限定は特にない。
・ 必ずしもニーズが具体的である必要はない。何かしたいけれども何をしたいか分から
ないということでもよい。
○主役はあくまでも地域
22
・ 基本的には、地域の活性化において、大学や自治体は主役になってはいけない。特に
大学は外部からの視点を提供することも重要。したがって、大学が地域に関わるとき
は、地域のキーパーソンを探すことを大事にしている。
2.地域振興の考え方と重要な視点
○住民が主役で役場は裏方
・ 地域振興は 50 年の単位で考える必要がある。役場では、人事異動もあってフォローし
きれないことが多く、その意味では、役場は主役になりにくい。組織化された住民が
中心となり、行政が地域に入っていく形の方がよい。
○住民対応窓口の一本化
・ 住民からの相談をたらい回しにしないように、住民対応窓口を一本化することが必要
である。
○町内の人的資源の把握
・ 町内にどんな人材がいるのか把握することが必要。何かプロジェクトを進める時には、
そのような人材に相談することが可能になる。
○人間関係が大事
・ 例えば大分県庁の商工労働部職員は、担当地域ごと日常的に御用聞きに回り、地域の
ニーズを持ち寄って戦略を作り、毎年改定している。県より市町村の方が、フェイ
ス・トゥ・フェイスの関係が作りやすいので、精華町でも、これまで見えていなかっ
た情報をいかに得るかが大事である。
3.新旧住民の調和や協働について
・ コミュニティは理由無く崩壊していくのではなく、社会生活の変化によって他人に頼
らなくても良くなった(他のものに変わってきた)結果といえる。
・ イベントなど参加目的を明確にすることで、住民に協働を十分理解してもらうことが
重要であり、今後、行政として、住民との対話や共に考えることなどについて積極的
にかかわっていくことが必要である。
4.連携の場の構築を進めていくための方法
・ アソシエーションとは、目的を共有する社会集団のことであるが、広すぎる目的に向
かって参加者すべてが進むのは難しいので、ある程度、目的を小さく区切る必要があ
る。
・ また、様々な活動をしている人をバラバラにしないことが重要であり、1人に2つ以
上の分科会に参加してもらって、「友達の友達は友達」的につなげていくことが必要
である。
5.その他
○奈良大学と精華町や学研都市とのこれまでの関わりについて
・ 山城教育局では、心理学科がメインになり、スクールカウンセラーをボランティア派
遣している。
・ 高大連携により、木津高校の新しいカリキュラムに参加する予定である。
23
・ 本学の教育プロジェクトについて、関西学研都市センター㈱には研修などのご協力を
いただいている。
○奈良大学社会学部社会調査学科について
・ 方法論として社会調査を取り上げており、調査の対象に大きな制限はない。アンケー
ト調査など量的アプローチと聞き取りなど質的アプローチによって取り組んでいる。
・ 社会体験実習や社会調査実習など、学外活動のカリキュラムがあり、企業・自治体・
NPO 等に学生を派遣し、多様なテーマで調査に取り組ませている。大学教員もかなり
積極的に関わっている。
⑪中村貴子講師(京都府立大学 生命環境科学研究科)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 13 日(月) 10:00~11:30
京都府立大学
精華町事業部都市整備課 松本[事務局]
精華町事業部都市整備課 大賀(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
1.京都府立大学精華キャンパスとの連携の可能性や地元側への期待について
○ダイショ芋などのブランド化
・ 過去、京野菜として万願寺とうがらしの出荷量が精華町は府内第二位になっている。
・ 現在、ダイショ芋といって山芋と長芋の中間的な芋の作付を推奨しており、地域と一
緒に取り組みを進めていけるとよい。
・ ダイショは、ゴーヤのように緑のカーテンとしても、遮光性がある。ぜひ、役場や学
校でも試してほしい。
○府大と役場の積極的な情報交換
・ 府立大学ももっと積極的に研究成果を地元へアナウンスする必要がある。一方、地元
も「華工房」のような商品開発施設を利用して活性化を図ってほしい。楽しいことを
することが、人材の活性化にも繋がる。
・ 精華町の産業振興課も、情報収集に努め積極的にブランド化に向けて取組んでいって
はどうか。場合によっては、農業改良普及センターの協力も得られるし、普及員の力
は必要である。
2.精華町における地産地消の促進や農作物の付加価値化について
○退職者の農作業ニーズに応える
・ 精華町では今はバラバラではあるが有効な資源が埋没しているだけで、市民農園や道
の駅の設置などが、退職者の生きがい対策、生産者の担い手不足の解消、荒廃地の活
用に繋がると思う。
・ 特に退職者の活用がポイントで、精華町は潜在的な働き手が多いまちであると思う。
24
これは福祉的な効果や癒しの効果も高い。
○生産者の支援にもつながる市民農園の取り組み
・ 作物の生産技術の指導も必要であって、以前からの町民である生産者と新たな町民の
交流も促進されるし、生産者の副収入にもつなげられるとよい。
・ 地産地消のモデルとして学校給食への卸が挙げられる。タマネギや人参、ジャガイモ
など給食で必ず必要な食材を作れば、栄養面や数量の管理が計画的で需要の把握がし
やすい。また、生産者にとっても意欲がでてくるだろうし、家庭でも話題になればさ
らに購買に繋がることが期待できる。
3.精華町の参考になりそうな先進地事例について
・ 千葉県南房総市では、生産者→集配業務→スーパーへといった流通を、既存の流通シ
ステムである農協とは別に、直売所を市が設置し、農作物卸業者に委託して、農作物
の販売促進を図っている。
4.その他
・
エコファーマー認証制度の中には、市町村認証の部分もある。土壌検査など消費者を
安心させる手法については学研企業との連携も有りうるのではないか。ぜひエコファ
ーマーは増やしていってほしい。
⑫西村一朗名誉教授(奈良女子大学)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 14 日(火) 14:00~15:00
つなねコーポラティブ住宅集会所
精華町総務部企画調整課 岩橋[事務局]
精華町総務部企画調整課 疋田(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 渡邊
1.総合的まちづくりについて
・ 昨年の東日本大震災を受けた今日、また 21 世紀を見通した時、総合的なまちづくりの
計画を立案する際には、1点目として大規模災害に対する「防災計画」、2点目とし
て長期スパンでの「人口減少」への対応、3点目として食料やエネルギーの「地産地
消」の取り組み、そして4点目としては住民参加の「民主主義」の4点が求められて
いると考えている。
2.住まいから見たまちづくりについて
・ これまでの住宅は、核家族を前提にした「庭付き二階一戸建て住宅」が主流であり、
広い土地を必要とする「庭付き平屋一戸建て住宅」は、手の届かない憧れのものであ
った。
25
・ 一方、今後の人口減少・高齢化社会では、特に高齢者への配慮から、住宅の間取りに
ついても、玄関から出入りしやすくバリアフリーな設計で、また「二階一戸建て住
宅」と比較して防犯機能が高い、「庭付き平屋一戸建て住宅」が求められつつある。
・ しかしながら、これまでの「庭付き二階一戸建て住宅」中心で閑静な郊外型住宅地形
成を目指してきた都市計画では、そうした「庭付き平屋一戸建て住宅」の建築は困難
であり、建ぺい率などの規制緩和が必要になってくる。
・ 実際に建ぺい率の緩和を考える場合は、地域全体での空き地の状況などを把握し、共
同の庭や公園、市民農園といった公共スペースを確保するとともに、防災上の観点か
らも十分な検証が必要であり、他市町村の事例を研究しておくことが望まれる。
・ もし「庭付き平屋一戸建て住宅」を中心とした住宅地形成が可能ならば、まち全体の
建物の高さが低くなることから、精華町の素晴らしい里山など、豊富な周辺の緑を見
渡せ、学研都市や精華町が目指している、緑と調和したまちづくりや景観形成を期待
できる。
・ 私はこれを手前の庭や並木の緑と奥の里山などの緑で住宅をはさんだ「グリーン・サ
ンドイッチ・ランドスケープ」と命名したい。
3.高齢者と子どもたちが交流することについて
・ 核家族化が進んでしまった現在、実家族が近くにいないケースが多くあるため、地域
の子どもや親、高齢者が言わば「地域家族」としての新しいつながりが求められてい
ると考えられる。
・ コミュニティの基礎的概念で考えた場合、第4次総合計画でも掲げていたように、や
はり徒歩圏にある小学校区でのコミュニティ形成を基本とし、小学校施設を地域の中
心的な公共スペースとして活用してもらう中で、「地域祖父母」と「地域孫」が交流
し、活動できる場を提供できればと常々考えていた。
・ 小学校区単位のコミュニティを中心とした行政運営にあたっては、例えば、小学校施
設を選挙投票所にする、コミュニティ内の生活利便性を高めるために小学校を中心と
したコミュニティバスを運行する、また、厳しい財政事情を考慮して、町の予算配分
についても、基本的な施策の予算は各小学校区一斉に措置するとして、重点施策につ
いては、数年かけて各小学校区を順繰りに整備する「循環開発方式」を導入する、と
いった方法などが考えられる。
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⑬橋爪紳也教授(大阪府特別顧問・大阪市特別顧問、大阪府立大学 21 世紀科
学研究機構教授・大阪府立大学観光産業戦略研究所長、大阪
市立大学都市研究プラザ特任教授、橋爪総合研究所代表)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 10 日(金) 12:15~12:45
橋爪総合研究所
精華町総務部企画調整課 岩橋[事務局]
精華町総務部企画調整課 疋田(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
1.都市間競争時代の総合計画策定意義
・ 今、私は大阪の再生に全力で関わっているが、大阪から見ていて、あるいは関西全体
で見て、学研都市とはいったいどんな都市なのか、いまひとつつかめないところがあ
る。
・ 大阪にとって学研都市が重要なパートナーかどうかという視点で見れば、残念ながら、
現状では一緒にやろうという事業は少ないと思う。
・ もちろん学研都市には既に多数の優れた研究開発の蓄積があると思うし、中心的なク
ラスターでは立派な街並みも形成されている。
・ しかしながら、都市としてのイメージが十分情報発信されていないとすれば、それは
学研都市の中枢機能が弱いからということになるだろうし、自ら都市像を十分語れて
はいないというところに行き着く。
・ 学研都市の各地元自治体も、これまでは都市建設に対する協力者の立場に甘んじ、受
け身でなかったか。
・ 人口減少・高齢化時代の日本では、都市としての魅力で輝いているかどうかで、まち
の将来の命運が別れるだろう。
・ 大切なことは、各自治体それぞれがまちの未来をしっかりと語れているのか、「わが
まちはこうだ」とまちの個性を自ら語れているか否かで、今後、大きな差が出てくる。
・ 都市としての魅力を積極的かつ内発的に情報発信できていれば、外から見てもその違
いは一目でわかるし、都市の規模の大小に関わらず、精華町のようなコンパクトなま
ちでも成長できる可能性は十分にあると思う。
・ そういった意味で、総合計画策定の今日的意義を考えた場合、こうした都市としての
魅力をどう描けるかということのウエイトは大きいと考える。
2.シビックプライドあふれるまちづくり
・ 一番大事なことは、いま、住民の皆さんにとって「わがまち精華町」が「ふるさと」
になりえているかである。
・ 例えば、精華町の都市軸を見れば、古い歴史を誇る祝園周辺と新しい精華大通り一帯
との連携はできていないのではないか。また、旧住民と新住民との交流も、今後、ま
すます重要になってくるだろう。
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・ 精華町では、シルバー人材センターに集う新旧住民による「ふるさと案内人」などの
活動も盛んだと聞くが、そうした皆さんはまさに「プラチナ人財」である。
・ 私の言う「シビックプライド(市民の誇り)」の「市民」とは、わがまちの魅力を高
めようと、楽しみながら運動を起こし、成し遂げようとする人々のことである。
・ 都市ブランドとは、そうした住民の皆さんが強い思いと愛情をもって動くことで波紋
のように広がり形成されていくものである。
・ 行政が周到に用意をして自ら仕掛けをしても良いだろうし、民間の自発的な運動を支
援する側に回るのでも良いだろう。
・ 「シビックプライド」は伝統的な祭礼だけとは限らない。ヨーロッパでは小さなまち
のフェスティバルでも世界的に有名になっているものもある。
・ 例えば、世界に名だたる研究機関などが集積し、町でも各種の子育て支援施策を講じ
ているのなら、「学研都市精華町の子育て環境は日本一だ」と子育て世代に強くアピ
ールできるではないか。
・ 「我々はこれで日本一だ、世界でも有名だ」と語れる精華町モデルをつくりあげてい
ってほしい。
⑭廣瀬明彦理事長(社会福祉法人相楽福祉会)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 22 日(水) 16:00~17:00
精華町役場
精華町総務部企画調整課 清田[事務局]
精華町健康福祉環境部福祉課 垣田(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 大河内
1.当事者主体の計画策定や推進をめざす場合の課題について
○今回の障害福祉計画策定では知的障害者と精神障害者が参加していない
・前回の計画策定時には委員に当事者が入っていた。当事者の参加を重ねていくことで会
議も平易になっていく。いろいろな方法で参加の場が用意される必要がある。
・1981 年に国際的に「完全参加と平等」の理念が打ち出されているが、日本では参加の保
障は権利である、という認識が足りない。
○当事者のリーダーを育てる力量が支援者側に求められている
・当事者と支援者が対等な関係であること、自己決定を尊重しつつ生命の危険があれば介
入することなど、その場で悩みながら一人ひとりにあわせた支援が求められている。
・当事者の参加促進するためには、当事者のリーダーを育てる必要がある。
2.障害者福祉や高齢者福祉が幅広い町民に支えられたものとするための方策について
○大規模な自治体ではないので、職員と住民の顔が見える関係が精華町のよさではないか。
28
・以前、町役場と福祉事業所の間で職員派遣を実施したことがあり、お互いの相互理解が
進んだ。若い職員の福祉研修が必要であり、官民間の職員派遣制度ができるとよい。
・里山のワークショップでは、町職員、相楽福祉会の職員、住民が交流している。障害者
の日中活動の場に、学研都市の住民がパソコンや書道などを教えにきてくれている。住
民へ情報発信、交流の場づくりによって、住民との関係づくりができる。
・人口とともに精華町職員も増加しており、障害者福祉への理解が求められているのでは
ないか。共通体験の場を積み上げていくこと、その中で相互理解を進めていく必要があ
る。
3.先進的な障害者福祉を進めてきた精華町がとるべき次の方策について
○相楽福祉会を設立してから、施設もできて職員も増えた。制度はできたが事務量が多く
なり、現場の職員にはゆとりがない。制度ありき、サービスありきでしか動けなくなっ
ている。困っているから新しいことに取り組もうという動きが弱くなっている。
○障害者の分野だけでがんばるのではなく、社協や高齢者福祉の事業所と連携しながら、
地域生活のしづらさを抱えている人のネットワークをつくり、新しいサービスを作り出
していく必要がある。顔が見える関係で、手作りでサービス資源の開発につなげていき
たい。
○精華町単独で新たな障害者施策に取り組むには限界がある。相楽郡の自立支援協議会は
責任主体が明確ではなく機能していない。精華町として考え方を示しながら、郡や京都
府に働きかけてほしい。
○専門職や住民が参加できる場、共通体験の場をつくり、お互いの相互理解を深めること
で新しい動きにつながっていく。総合計画の策定や障害者福祉計画の策定がそのきっか
けとなればよい。
⑮深尾昌峰准教授(龍谷大学 法学部)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 9 日(木) 16:00~17:30
龍谷大学
精華町総務部財政課 田原[事務局]
精華町総務部企画調整課 枡谷(記録)[作業
部会]
㈱地域計画建築研究所 廣部
1.「ローカルガバナンス」「新しい公共」といった視点から、精華町でのこれからの地域
自治の仕組みについて
○地縁コミュニティーを今後も続けるべき
・ 精華町は新興エリアと古くからのエリアを持つ特殊なまち。そのなかで、地縁コミュ
ニティーは今後も続けていくべきだ。地域交流の衰退が叫ばれているが、実際のとこ
29
ろ困っているのは行政だけである。ガバナンスの要素として考えてきた地域交流が弱
ると、住民との仲介役がなくなるからだ。
○住民が自己有用感を持って動けるように支援することが役場の新しい役割
・ 子育てを終えたある主婦が就職活動をしたが、ことごとく不採用に終わった。理由は
PC での文書編集などができないから。これといった特技もないという。その後、障害
者が働く作業所での勤務が決まり、昼食調理をすることになった。ここで主婦は大きな
感動を得たという。作業所の障害者らが口々に「おいしい」と言ってくれる。普段家庭
では、自分が作った料理を夫と息子が何も言わず食べる……それが普通の光景であり、
主婦が料理を特技と認識することもなかった。しかし、新しい環境で主婦は「自己有
用感」を得たのだ。
・ 今後はこのように、まちに埋もれた“宝”を吸い出していかなければならない。ハー
ドを中心とする新たなモノをつくる時代ではない。さらに、クレームがあればどんな
ケースでもすぐ飛んでいくような顧客主義は、ガバナンスにならない。住民が自己有
用感を持って動けるようにアシストするのが、新しい役割である。しかしこのスタイ
ルの導入は、大都市では不可能。精華町のような5万人未満の自治体だからこそ有効
だ。
○市民性が活きる地域づくりを進めること
・ NPO 法人についても、育てる必要はない。勝手に育っていく。それよりも市民性が活
きる地域づくりが求められる。
○役場と住民との関係を変えるチャンス
・ ゴミ焼却場の老朽化が進むある地域では「建て替え」という従来の考えを捨て、資源化に
取り組んだ。ごみは 20 以上に分別しているという。これも住民協働が生んだ取り組み
だ。今は、役場と住民の関係を変えるチャンスである。
○中山間地域の先進的なまちづくりを参考に
・ さらに、少子高齢化も自治のあり方を考える良い機会だ。人口推計上、中山間地域は、
しばらくすると高齢化に歯止めがかかる。その多くは、既に高齢化を見据えたまちづ
くりに取り組んでいる。一方、都市部の高齢化は今後も進んでいく。いずれは、中山間
地域をモデルにしたまちづくりを進めることになるだろう。少子高齢化対策に限らず、
先進的なまちづくりに取り組むのは、中山間が多い。
2.中間支援機能の必要性と行政との役割分担
○役場は「行ったら何とかなる場所」に
・ 中間的に支援する機能について、精華町では NPO などを想定する必要はないだろう。
中山間地域では、役場職員や議員、農協職員などが総がかりであたっている。
・ 役場は「何とかしてくれと要求する場所」ではなく「行ったら何とかなる場所」とな
るように方向づける。
○住民協働は、まず信頼を得ること
・ 住民協働を進めるためにはまず、住民からの信頼を得ることが不可欠。そのうえで、
現状の役場の業務を「すべき仕事」と「住民に任せるべき仕事」に分ける。
・ 課税など権力を伴う事務は役場で、障害者福祉などは住民主導で進めていく。事務事業
評価は“お手盛り”の目標と化している現状から、その必要性を再考すべきだ。
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○役場はコーディネーターとして機能すべき
・ 役場は、まちを「住民の力が生きる場所」に創り上げていくコーディネーターである
こと。
・ 情報開示は、言われて出す消極的開示よりも、積極的に開示することが好ましい。
・ まちづくりで「タダ乗りする人」の多さが言われるが、公益のデザインが不足してい
るのが原因。例えば「寄付しないのはなぜか」と聞かれて多い答えは「頼まれていな
いから」である。まちづくりに寄与してほしいことを、我々はまだ住民に依頼できて
いない。
⑯藤田忍教授(大阪市立大学大学院 生活科学研究科)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 4 月 18 日(水)10:00~12:00
つなねコーポラティブ住宅集会所
精華町総務部企画調整課 岩橋
精華町事業部都市整備課 松本・上野
[事務局]
㈱地域計画建築研究所 渡邊
1.「市民まちづくり」とは
○精華町のまちなみについて
・ 精華町には自然な感じで昔ながらのまちなみが残っている。それを 100 人のまち歩き
で多くの人と共有できたことは良かった。
・ 昔ながらのまちなみを残す、ニュータウンにおいて統一感のあるまちなみを形成する
など、まちなみを美しくするのは住民一人ひとりの気配りや日常の何気ない行動であ
り、美しいまちなみは生活を豊かにすることにつながる。
○「市民」の役割について
・ まちなみを維持するには「旦那衆」の果たす役割が大きい。昔の「旦那衆」は庄屋、
造り酒屋の主人、醸造家など地域の中心となる人達から成った。現在においてはこう
いった人だけでのまちなみ保存は難しく、ここに行政マンが関わることで「現代版旦
那衆」が形成され、まちなみの維持へと繋がっていく。
・ 「市民」とは「自分は首長である」という意識のもと、現在から未来へと続く時間軸
の展望と、個別利害を超えたグローバルな視点を持つ人のこと。こういった「市民」
が協働していくことでまちづくりができる。
・ 「まちづくり」の定義は一人ひとり異なるが、根幹は「まちを愛すること」「まちを
大切にすること」である。
・ 行政の「都市計画」は統治を目的としたものであるのに対し、私の言う「まちづく
り」とは住民が主体となり住んでいる地域を育てていくことであり、行政は「まちづ
くり」を支援する立場が望ましい。
31
2.新興住宅地(ニュータウン)におけるまちづくり
○合意形成の重要性について
・ 新興住宅地では合意形成が難しい。できた住宅に人が集まっただけで、お互いを知ら
ないことがその要因の1つである。
・ 地域コミュニティーは人が集まったらできるのではなく、何かをつくる過程でお互い
を理解し合うことで形成されていく。
・ イベントや祭りなど楽しさを共有するようなやわらかい取り組みを通じて、価値観や
環境などを共有し、合意形成を図ることがまちづくりには不可欠である。
・ また「パートナーシップ」とは単にお互い仲良くすることではない。自立性・自発
性・協調性を基本に、対等な立場で、いつでも手を差し伸べ、あるいはいつでも切れ
る緊張関係が求められる。
○地域 SNS などソーシャルメディアの活用について
・ いま様々なソーシャルメディアがあり、世代や目的によって使い分けていくことが大
切。
・ けいはんな学研都市の地域 SNS はうまくいっている。けいはんな市民雑学大学ともう
まくリンクしており、背後にリアルな人間関係があるためだと思われる。
・ 先日、震災復興のチャリティーコンサートを行ったが 200 人も集まった。また、別の
時に使い古したタオルを被災地におくるボランティアでも、一般の HP での募集よりも
多く集まった。
・ 地域 SNS はツールであるだけでなく、活動の場であり、市民活動団体にもなりうるも
のと確信している。
3.精華町のまちづくりへの期待
・ 今回の 100 人の集いは宝物である。意識の高いメンバーが集まっていて、既に多くの
事がらを共有してポテンシャルが高い。次につなげていってもらいたい。
・ 精華町の新興住宅地においても「市民」が生まれ始めている。精華町ふるさと案内人
の人たちは現段階では活動領域が歴史分野中心だが、意識が高く今後の活動が期待さ
れる。
⑰松村暢彦准教授(大阪大学大学院工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 29 日(水) 14:00~16:00
大阪大学
精華町事業部都市整備課 木村[事務局]
精華町事業部建設課 山本(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 高田
32
1.公共交通の考え方について
○公共交通は市場任せにできないもの
・ 公共交通は、一般の人にとっては不便で面倒くさいものである。普通は利用したがら
ないから公共交通が衰退し、買物難民等の問題も出てくる。
・ そこで公共交通のサービス向上とともに MM(モビリティマネジメント)の考え方が
必要になる。MMは、表面的には環境にやさしいということや渋滞がなくなるといっ
た表現を使っているが、真の目的は、豊かな生活と地域づくりにある。使わなければ
公共交通は無くなってしまうけれども、それでも豊かな地域づくりの観点から構わな
いのかという危機意識を住民に持ってもらうことにある。
○バス内はコミュニケーションが生まれる場
・ バス内は、コミュニケーションが生まれる場所というとらえ方が必要であり、その効
果もある。一方、福祉タクシーは、利便性や採算性は良いかもしれないが、特定の人
の移動だけになり、サービスの対価というとらえ方になってしまう。
○社会性を勉強する場
・ 子どもたちが社会との関わりを勉強できるのが公共交通の良さでもある。
・ 川西市や伊丹市、亀岡市、久御山町などでは、小学校教育の中でモビリティマネジメ
ントを取り入れ、大阪大学と連携して授業を行った。
2.公共交通への対応について
○行政の枠を越えて生活圏に応じた形で考える
・ 基本的に、公共交通は買い物や病院などの生活圏で考えるべきである。
・ 住民の移動を考えた場合、精華町内だけの対応には限界があり、市町あるいは府県を
越えてしっかり考えていくことをお願いしたい。
・ 地域公共交通会議の制度化の基は、生活圏と行政圏のミスマッチを解消することでも
ある。もうかる(需要のある)路線は民間バス事業者に任せ、そこからこぼれ落ちる
路線をコミュニティバス等で対応する考えが必要である。
○あらゆる部局で「交通」を考える
・ バス交通は、福祉的な視点や商業活性化の視点なども必要となることから、行政のあ
らゆる部局で「交通」のことを考えてほしい。基本は、その地域の暮らしがどうある
べきか、ということにある。
○地域の中で解決策を考える
・ コミュニティバスの場合、すべての意見に対応するのが唯一の解ではなく、地域の中
で議論して解決策を考える仕組みも必要である。行政が何もかもやらないといけない
というわけではない。
・ 例えば、今後、都市計画マスタープランを作るときには、もっと地域に入っていって、
そこの地域の豊かな生活と移動のあり方についても考えることが必要である。
○利用することによるインセンティブの付与
・ 箕面市では、営業収支によりコミバスの見直しを行うと明言して運行した。すなわち、
収支目標の達成度によって、減便したり、あるいはダイヤの維持・充実を行うと示し
た。このようにインセンティブの仕組みを最初に導入することが必要である。
○バス利用のためのワークショップ
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・ 通常、コミュニティバスのワークショップは、コミュニティバスを導入するための場
とすることが多いが、箕面市では、コミュニティバスが地区の住民生活にどのような
影響を与えるかといったことを、地域に入ってワークショップで取り組んだ。結論と
しては、困っている人のために地域ぐるみでバスに乗ろうとの意識改革になったが、
様々な意見の人がいるので、非常に難しいワークショップであった。
3.交通社会実験等への対応について
○国等によるシステム検証のための社会実験などは受け入れる
・ けいはんな学研都市ならではということで、世界の最先端技術を使った実証実験を精
華町でドンドン行い、住民に知ってもらうことが必要である。また、そのことが精華
町のブランド力アップやシビックプライドにつながる。
○カーシェアリングは市場に任せる
・ 現在行われているカーシェアリングを普及するにあたっては、ノウハウのある民間事
業者に任せておいたほうがよい。
4.精華町におけるモビリティマネジメントについて
○大規模事業所におけるモビリティマネジメント
・ 精華町には大規模な事業所が精華大通り沿いに立地しており、そういう地域では、モ
ビリティマネジメントの効果が高いので取り組みやすい。その場合、使いやすい時刻
表などグッズ製作も絡めて行うとよい。
○住宅地開発と車所有
・ 難しい問題である。以前、精華町の住宅地開発の検討で、車を持たないことを前提と
した住宅地の提案をしたことがある。それにより、本来、道路整備に使われる土地を
公共空間に回せることから、緑が多く出来たり、道路で子どもたちが安全に遊べたり
する。そろそろ、住宅地開発にもそのような選択肢があってもいいと思う。
⑱宗田好史准教授(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 9 日(木) 14:00~15:40
京都府立大学
精華町総務部企画調整課 岩橋[事務局]
精華町総務部企画調整課
[作業部会]
疋田(記録)
1.これからの都市近郊農業と農ある暮らしについて
・ 現在、自給的農家あるいは兼業農家が所有する農地は全自治体の農地のなお約 30%を
占めているが、今後、農業の集約化が進むと考えられる。
・ 都市近郊の平野部においては、将来的に、少数の農業法人や集落営農が構造改善され
34
た農地で農業を営む一方で、住民の5%~6%が市民農園を活用して農ある暮らしを
楽しむ状況が見込まれるものと考えている。
・ 引き続き、都市と自然との調和のとれたまちづくりを進めようとするならば、新たな
クラスター開発において魅力的な住宅開発を誘導するために、そうした都市近郊農業
の今後のあり方とも整合を図る必要があるだろう。
2.学研都市のクラスター開発について
・ クラスター開発にあたっては、学研都市や精華町におけるクラスターごとの整備誘導
方針を明確にしながら、適切に誘導することが求められている。
・ 一方で、まちづくりにおいて開発事業者は大事なパートナーである。開発事業者自ら
ブランド力のあるまちづくりを希望しているのであるならば、なおさらのこと、学研
都市や精華町の最大の魅力である、隣接市における教育機関の集積や良好な子育て環
境を含めた住環境などをはじめ、上記の農ある暮らしも含め、特徴的で抜きん出たま
ちづくりを進められるよう、町と開発事業者双方が協力、協働して進める必要があろ
う。
・ 産業集積の点でも、他の産業都市や工業団地との優位性を示すために、学研都市にお
ける重点分野をふまえ、精華町に集積したい産業分野を明確化し、競合する他地域や
周辺の土地単価やアクセスなども十分に比較、調査した上で企業誘致にあたることが
求められる。
3.相楽地域の発展に対して精華町が果たす役割について
・ 企業誘致や宅地開発においては、企業や住民がまちを選ぶものであり、その意味で、
「均衡のある地域発展」は困難である。
・ しかしながら、学研都市を活用したまちづくりとして今後も精華町が産業集積を進め
ることで、周辺地域も含めた雇用拡大や人口増加などの波及効果が生まれることから、
結果として相楽地域全体の広域市町村圏の発展につながるものであるし、堂々とその
ことを掲げていかれたら良いだろう。
4.新旧住民の交流と融和について
・ 精華町では、既存集落や既成市街地の住民と、学研都市のクラスター開発における新
市街地の住民との交流に努められてきており、そのことは、今後ますます重要となる
であろう。
・ 一般的に、新住民は過去からの歴史的経過や先人の様々な努力を知らずに、自らの地
域要望を主張する傾向があり、時にその論理的な主張を前に旧住民が黙してしまうと
いう場面も多々見受けられる。
・ そうなってしまうと、自治体全体の利益や、まして広域的な観点をふまえたまちづく
りなどは、たいへん困難なものになっていく。
・ 精華町では、行政がしっかりと情報提供やコーディネート機能を果たし、新旧住民の
交流をさらに進め、融和的で広域的コミュニティ形成が図られることを望む。
35
⑲室田信一研究員(大阪大学/日本学術振興会 特別研究員)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 20 日(月) 14:00~15:00
精華町役場
精華町総務部部財政課 浦本[事務局]
精華町健康福祉環境部健康推進課
録)[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 大河内
榎木薗(記
1.地域福祉コミュニティの圏域について
・ 精華町のコミュニティを考える際に、現在は3つの中学校区で進めているが、中学校
区によって温度差が生じているように思われる。
・ 「精華西中学校区」は、活動する人が比較的多く、円滑に運営されている。「精華南
中学校区」では、旧村を中心にまとまりがある。「精華中学校区」では、圏域が大き
すぎる傾向があり、難しい面もある。
・ 今後の方向性としては、効率性や時間軸(短期・中長期)を踏まえ、圏域を検討する
必要がある。
・ それが軌道に乗ってから、顔の見える生活圏域を検討することも必要になる。実績を
積んだ人たちが、小さな単位で運営し、最終的には自治会単位でのコミュニティ活動
が理想である。
・ そのためにも、どのようなステップを踏んで小さな単位に近づけていくか、住民主体
によってどれだけ担っていけるのかといったことの検討が必要であり、行政予算以外
にも、コミュニティでの自前予算の確保が求められる。
2.地域福祉コミュニティにおける人材育成について
・ 3つの中学校区では、人材育成についても違いがある。
・ 今後の方向性としては、「地域福祉計画」を通して自治会の活性化を図り、自治会活
動の中に福祉の視点を作っていくことが重要である。
・ キーとなる(コーディネートできる)人材の発掘と育成、とりわけ 20 代の人材発掘と
育成や若者文化の導入が大事であり、例えば、若者部会や女性部会の設置など仕掛け
ていくことが必要である。
3.地域福祉コミュニティにおける職員の支援体制について
・ 専門職や専門機関の役割が、今後、ますます重要になってくる。
・ 今後の支援策として、「若者ラウンドテーブル」や地域の人の「溜まり場」を設置す
ることなどが必要である。
4.地域福祉計画等の時期改訂に向けた策定方法について
・ 現在の事業のリスト化と目標設定、整合性の確保を図っていくことが重要である。
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・ 進め方については、3つの中学校区と若者部会・女性部会などの専門部会を設置し、
それらの併用によって推進することが必要である。
・ また、社会福祉協議会の活動との整合性も図ることが重要である。
⑳渡辺好章教授(同志社大学 生命科学部)
日 時
場 所
担当者
平成 24 年 2 月 13 日(月) 10:00~12:00
同志社大学
精華町総務部財政課 浦本[事務局]
精華町総務部財政課 藤本(記録)
[作業部会]
㈱地域計画建築研究所 渡邊
1.精華町が目指すべき情報化政策の方向性について
・ 「情報化」の定義が曖昧になっているために、方向性も見えてこないのではないか。
・ 精華町に住んでいて良かったと住民に実感してもらうために、何より重要なのは「安
心安全」である。有事には様々な情報が飛び交う中で、町からの情報への信頼と期待
は非常に大きい。それを意識してほしい。
・ 現在の自治体の情報発信は、一方的に情報を出すだけで良しとしている嫌いがある。
町民との信頼関係をより強固なものにするためにも、もっと深く情報が行き届くよう、
注意する必要がある。
2.有事における情報伝達インフラの方向性について
・ 現在様々なメディアが存在するが、それが有事にも有効に機能するかは疑わしい。や
はり、町が主導となってインフラを整備せざるを得ない。
・ 携帯電話では有事の信頼性が担保できない。テレビのような誰もが利用している機器
で、このチャンネルを見れば情報が得られるというような仕組みを整備しなければな
らない。
・ コンビニや集会所など、地域内の人が集まる場所に通信インフラを整備しておくこと
が必要。サービス普及への周知活動も重要。
3.平時における情報発信について
・ 広報誌は読まれている率が非常に高いようだが、これは町の方から配布しているため
という点が恐らく大きい。
・ 町からの情報は必ずここを見れば確認できる、というようなチャンネルを用意してお
く。その上で、町民に対して「見ない方にも責任がある」という意識付けをしていく。
4.地域の情報化について
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・ 町がどれほど情報化をアピールしても、住民は具体的な利益を感じられない限り、高
度な機器を利用はしない。誰でも利用できる最低ラインの機器としてテレビが考えら
れるので、そこに情報を出していく。
・ 安心安全など、具体的な施策を通じて情報化を進めていくという形が必要。施策を通
じて、情報化が住民にとって有益なものだという意識を刷り込んでいく。
・ ボランティアはその人にとって利益になることがあるから参加されている。それをく
すぐるような施策が必要。
・ ICT化という言葉に引き連られてはいないか。情報化とは、結局は「人の顔が見え
る」ということ。
・ 町にクレームを言う人に対しても、情報はここに出していますと言えるように。理解
を得るための啓蒙活動も町の大事な仕事である。
5.行政計画の評価について
・ 非常に難しい問題だが、適切なモニターを選んで、その方の声を聞くほかないのでは。
・ インフラ整備については、パートナー企業との協力関係が不可欠。公平性の問題もあ
るが、CATVなどと地域のために協働することは住民にとっても利益になることな
のではないか。
6.精華町に期待すること
・ 「学研都市」精華町とは非常に聞こえの良い呼び名だが、具体的にはどのようなこと
をしているのか。
・ 住民に学研都市を実感してもらえるような施策を行う中で、学研都市に住んでいると
いう意識付けをしていく。
・ 官学の連携という意味では、本学も協力したい。
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精華町第5次総合計画策定基礎調査
精華町まちづくりへの提言集
平成 24 年 5 月
精華町
〒619-0285 京都府相楽郡精華町大字南稲八妻小字北尻 70 番地
電話:0774-95-1900 FAX:0774-95-3971
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