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資料4 運転中保全(オンラインメンテナンス)の実施に係る規制上の要求

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資料4 運転中保全(オンラインメンテナンス)の実施に係る規制上の要求
資料4
第2回運転管理WG
運転中保全(オンラインメンテナンス)の
実施に係る規制上の要求事項について
平成21年7月24日
原子力安全・保安院 原子力発電検査課
1
1.運転中保全(オンラインメンテナンス)に対する規制当局の考え
個々の機器の保全を運転中に実施するか停止中に
実施するかは、安全確保を大前提としつつ、一義的に
は、当該機器の機能や作業性等を踏まえて事業者が
判断すべきもの。
国としては、安全が確実に確保され、かつ、それを国
が確認できる条件や仕組みを検討・整備する。
2
2.我が国における運転中保全(オンラインメンテナンス)の規制上の要求事項
【単一系統の運転中保全】
現行の保安規定において、受動的待機除外(突発的機能
喪失)に対応するため、AOT内での分解補修等(事後保全
事後保全)を含
めた復旧措置は許容。
LCOを逸脱した状態において、『運転時の異常な過渡変化』
または『事故』が同時に起こることが考えられないような時間を設
定すれば 監視を強化し運転を継続しつつLCOを逸脱した場合
定すれば、監視を強化し運転を継続しつつLCOを逸脱した場合
の回復措置を許容
また、能動的待機除外による分解補修等を実施する場合にお
いても、やむを得ない保全であれば既にAOT内での実施は許容。
受動的待機除外により分解補修等(事後保全
事後保全)を実施するこ
とも、監視を強化し能動的待機除外により分解補修等(やむを得
やむを得
ない保全)を実施することも、AOT内であれば許容
ない保全
3
現状の運転中保全の整理
計画的な保全
(現状、実施不可)
予防保全
やむを得ない保全
(実施可能)
LCO対象機器
への保全
待機除外を
伴う保全
(分解点検等)
原子力発電所
の全ての
運転中保全
待機除外を
伴わない
予防保全
(状態監視、
サーベランス、
巡回点検等)
事後保全
(LCO逸脱を宣言し実施可能)
実施中
非LCO対象機器
への保全(実施可能)
(※)第1回運転管理WG資料より抜粋
4
単一系統の運転中保全
「LCO対象機器・系統のうち、ある1つの系統内の機器・系統を待機除外して
実施する運転中の保全」
【単一系統の運転中保全の例】
ECCS
A系統
弁
B系統
ポンプ
弁
計測制御装置
原子炉
水位計
原子炉
水位計
原子炉
水位計
原子炉
水位計
水位
変換器
水位
変換器
水位
変換器
水位
変換器
同時には
実施しない
サプレッション
プ ル
プール
ポンプ
弁
原子炉へ
弁
原子炉へ
トリップ
ユニット
トリップ
ユニット
安全保護系動作信号
トリップ
ユニット
トリップ
ユニット
5
予防保全
事後保全
現行の保安規定で
許容される受動的
待機除外に対応する
ための分解補修等
甲社
低圧注水系統A系
水平展開
(同様の故障の防止
に必要な予防保全を
実施)
劣化兆候発見
予防保全
現行の保安規定で
許容される能動的
待機除外による
分解補修等
(やむを得ない保全)
ある箇所で
故障が発生
現行の保安規定で許容されない
能動的待機除外による分解補修等
(やむを得ない保全を除く計画的な保全)
待機除外
甲社
低圧注水系統B系
乙社
低圧注水系統A,B系
突発的な対応に
よる分解補修等
点検
計画的な分解補修等
計画的な分解補修等
AOT内でのやむを得ない保全を除く計画的な保全について、検討する必要がある。
6
現状の保安規定で許容されているAOTを超えない分解補修等について、
炉心損傷確率の増分を試算。
(試算結果の一例)BWR-5
炉心損傷確率の増分(ICCDP)=炉心損傷頻度の増分( CDF)×待機除外時間
1.0E-03
1.0E-04
1.0E-05
1.0E-06
1.0E-07
1.0E-08
1.0E-09
1.0E-10
1.0E-11
1.0E-12
直流電源母線
所内電源系統
蓄 電 池 ・充 電 器
D/G
HPCSS
HPCSC
EECW
RHRS
RHRC
RCIC
HPCS
LPCS
R H R+ L P C I
1.0E-13
炉心損傷確率の増分を試算した結果、最大でも約5×10ー7
・受動的待機除外の場合においても、能動的待機除外の場合においても点検対象を物理的
あるいは電気的に系統を隔離して点検を実施することから、隔離範囲、隔離期間が同じで
あれば、待機除外による両者のリスクの増分は一致
・受動的待機除外は、LCO逸脱を宣言して保全を行い待機状態に復旧させることにより、待機
除外に伴うリスクの増分を低減している
7
反復的なAOTの使用について
能動的待機除外による反復的なAOTの使用を制限するために、現在の保安規定に保全活動管
理指標として設定することとしているUA時間(機能を期待できない時間:非待機時間)による管理
が必要である。 例えば、AOTの反復使用が著しい能動的待機除外による計画的な保全を実施し
ている場合には、保全の有効性評価において、保全活動管理指標(UA時間等)の監視結果の評
価が行われ、これにより、保全の改善が行われる。このことから、能動的待機除外による反復的
なAOTの使用を制限するためには、UA時間を適切に管理する必要がある。
UA時間による管理
経営者の責任
品質方針
保全プログラム (JEAC4209-2007による)
品質保証
保守管理
MC-05
保守管理の実施方針及び目標
保 全
・文書管理
・記録の管理
・力量,認識及び
教育・訓練
・設計・開発
・調 達 …等
MC-08 保全重要度の設定
14
MC-11
保全計画の策定
MC-09
保全活動管理指標の設定
及び監視計画の策定
MC-12
保全の実施
MC-10
保全活動管理指標の監視
ー
・評価及び改善
・監視及び測定
・不適合管理
・データの分析
・継続的改善
・是正処置
MC-07 保全対象範囲の策定
MC
点検・補修等の
不適合管理及び
是正処置
・業務の計画
・業務の実施
*MC○○は規
定番号
UA(アンアベイラビリ
ティ)時間の管理
・保全の有効性評価するた
保全の有効性評価するた
めに、LCO対象機器・系統
に対しては、保全活動管理
指標としてUA時間等を設定
する。
・保全活動管理指標等から
保全の有効性評価を行い、
保全の継続的な改善につな
げる。
MC-13
点検・補修等の結果の確認・評価
MC-15
MC-16
保全の有効性評価
保守管理の有効性評価
8
運転中保全の安全性
【運転中保全の安全性】
<現状>
• 受動的待機除外については、保安規定においてAOT内で分解補修等を実
施することを許容
• また、能動的待機除外(やむを得ない保全)においても、既にAOT内で
分解補修等を実施することは許容
<安全性の検討>
• 作業管理上は計画的な保全である能動的待機除外の方が作業品質を高
める可能性がある
• ただし、能動的待機除外についても、受動的待機除外と同様にAOT内で
分解補修等を実施することについて、安全性を確認する方法を検討する必
要がある
• また、我が国においては、LCO対象機器・系統の能動的待機除外(やむを
得ない保全は除く)の計画的な保全の実績がないことを踏まえ、AOTを超
えないことを確実にする必要がある
• 更に、能動的待機除外による反復的なAOTの使用を制限するために、UA
時間を適切に管理する必要がある
9
【単一系統の運転中保全】
以上のことから、LCO対象機器・系統の能動的待機
除外による運転中保全については、以下の事項につい
て、許容出来る条件を明確にする必要がある。
○計画的な運転中保全の実施
○AOT内での実施
○UA時間の適切な管理
10
【複数系統の運転中保全】
単一系統のAOT内における運転中保全については、今回の運
転管理WGの検討対象であるが、複数系統の能動的待機除外
による運転中保全は、更に検討が必要。
複数系統の運転中保全は、個別に複数系統におけるリスク
情報を含めて評価する必要がある。このため、リスク情報の活用
情報を含
評価す 必要 あ 。
、リ ク情報 活用
については、今後検討する。
11
複数系統の運転中保全
「LCO対象機器・系統のうち、異なる機能を有する複数の系統内の機器・系統を
同時に待機除外して実施する運転中の保全」
【複数系統の運転中保全の例】
ECCS
A系統
弁
B系統
同時に実施
サプレッション
プール
ポンプ
弁
計測制御装置
水位計
水位計
水位計
水位計
水位
変換器
水位
変換器
水位
変換器
水位
変換器
弁
原子炉へ
弁
原子炉へ
ポンプ
トリップ
ユニット
トリップ
ユニット
安全保護系動作信号
トリップ
ユニット
トリップ
ユニット
12
複数系統の運転中保全の課題
複数系統の取り扱いについて
[米国の状況]
・複数系統同時待機除外については、決定論的な解析は行われていない。
(何らかの安全確認が必要)
・定量的方法(リスク評価等)、定性的方法による評価を事前に行うことで安全性を確認。
・しきい値以下であれば、運転中保全を実施。
[我が国での課題]
・複数系統待機除外については、実績がない。
(何らかの安全確認が必要)
・我が国では、確率論的安全評価結果を用いた規制については検討段階。
・しきい値についても検討段階。
リスク許容基準(しきい値)について
[米国の状況]
・Regulatory Guide1.174、Regulatory Guide1.177などにリスク許容基準に関する記載がある。
。
・保全作業に関する許容基準(しきい値)は、NEIがNUMARC93-01を策定し、NRCがエンドース。
[我が国での課題]
・原子力安全委員会より性能目標案が提示されている。
・原子力学会により、リスク情報活用に関する実施基準を策定中。
13
3.運転中保全(オンラインメンテナンス)の実施における規制の関与
事業者が単一系統の運転中保全を実施する場合は、規制当局とし
ては、安全性が確保されることについて適切に関与することが必要
である。例えば、規制の関与の例としては、以下の通り。
計画的な運転中保全の事前確認(保全計画により確認)
計画的な運転中保全の実施前確認
(個別の実施作業計画 実施の事前準備を保安検査・保安
(個別の実施作業計画、実施の事前準備を保安検査・保安
調査等で適宜確認)
計画的な運転中保全の実施状況の確認
(運転中保全の実施状況を保安検査・保安調査等で適宜確認)
全体的な保全の実施状況の確認
(保全の有効性評価を定期安全管理審査、保全計画確認作業
等により確認)
14
規制当局による単一系統の運転中保全に関する確認フロー
事業者
規制当局
計画段階
第Nサイクルの保全計画届出
(保全計画に運転中保全の対象機器・
系統、実施時期、安全管理等を記載)
実施段階︵
第Nサイクル︶
個別の実施作業計画、実施の事前準備
(個別の安全管理、運転中保全を中止する
個別の予防保全の実施計画
場合の判断基準及び復旧手順等の整備)
個別の予防保全の実施計画
運転中保全の実施
運転中保全の実施
運転中保全の実施
計画的な運転中保全の事前確認
(保全計画により運転中保全の対象機器・
系統、実施時期、安全管理等の内容確認)
計画的な運転中保全の実施前確認
(個別の安全管理(遵守すべき運転
上の制限等)、運転中保全を中止する
場合の判断基準及び復旧手順等の整備
状況の確認)
評価段階
第N+1サイクルの保全計画届出
第Nサイクル
保全計画
届出時
保安検査・保
安調査等によ
り適宜実施
(運転管理を
中心に確認)
計画的な運転中保全の実施状況の確認
(個別の運転中保全の実施状況(AOT
を超えない範囲での実施、運転上の
制限等の遵守等)の確認)
保全の有効性評価の実施
(第Nサイクルの保全の有効性評価(UA時間監視結
果等)による保全の改善(運転中保全の対象機器・
系統、実施時期、安全管理の記載改善)状況)
確認タイミング
全体的な保全の実施状況の確認
(保全の有効性評価(UA時間の監視結果
による同一系統の断続的な運転中保全
の実施状況を含む)を確認)
定期安全管理
審査又は第N
+1サイクル
保全計画届出
時
15
保全計画とは
保全サイクルごとに改善される、具体的な保守管理の実施に関する計画として、
原子炉ごと、保全サイクルごとに保安規程に定めて届出するもの。
保全の有効性評価の実施状況
(UA時間監視結果を含む)
○○発電所 第○号機
保全計画
(第N保全サイクル)
保安規程変更届出書
解列
最終検査
目
保全計画の始期及び適用期間
次
保全活動の成績を客観的に評価する
「ものさし」として活用し、保全活動の効
果と弱点を「見える化」 UA時間
Ⅰ 第N保全サイクル保全計画
の始期及び適用期間
Ⅱ 保全活動管理指標
Ⅲ 保全計画
1.点検計画
2.定期事業者検査の判定方法
3.補修、取替え及び改造計画
4.特別な保全計画
5.定期検査時、運転中保全
実施時の安全管理
解列
保安規程
変更届出
★ (初回)
3ヶ月前
最終検査
点検等の方法、実施頻度 等
定期事業者検査における技術基準適
合性についての判定方法(定期事業者
検査で設定する一定の期間を含む。)
点検等を実施する際に行う保安の確保
のための措置
解列
第N保全サイクル
★1ヶ月
第N-1回定期検査
最終検査
第N回定期検査
第N+1保全サイクル
第N+1回定期検査
保全計画書に運転中保全(オンラインメンテナンス)の計画を記載する。
16
○○発電所第○号機 保全計画(第N保全サイクル)の概要
1.保全計画の始期及び適用期間
第N回定期検査開始日から第N+1回定期検査開始の前日(第N回定期検査終了後13ヶ月)までの間
2.保全活動管理指標の設定
保全活動を継続的に改善するための「ものさし」として活用し、保全活動の効果と弱点の「見える化」を図るため、
プラントレベル及び安全上重要な系統レベル毎に合計約100の管理指標(予防可能故障回数やUA時間)を設定。
〔プラントレベルの例〕
・計画外原子炉自動停止回数:1回未満/7000臨時間
・計画外出力変動回数
:2回未満/7000臨界時間
〔系統レベルの例〕
・余熱除去系統の炉心冷却機能
予防可能故障回数の目標値:1回未満/サイクル
UA時間の目標値:1系統当たり、240時間未満/2サイクル
3.点検計画
原子力発電所の安全性を確保する上で重要となる保全活動の重要度を明確化するために、主要な機器等について保
全重要度を定めると共に、過去の運転経験(点検実績や高経年化技術評価結果等)から社内で定めている保全方式、点
検内容・頻度、実施時期(定期検査中、プラント運転中の識別)を整理。
〔非常用炉心冷却系高圧注入ポンプ(保全の重要度:高)の例〕
・ポンプを含めた系統機能試験:定期検査のつど実施(実施時期:定期検査中)
・ポンプモータの潤滑油入替:運転中13ヶ月ごと実施(実施時期:プラント運転中)
〔 蒸気タービンの蒸気加減弁体ボルト (保全の重要度:高) 【長期保守管理方針に基づく点検】 の例〕
・目視検査:今回の保全サイクルにて実施予定
第N保全サイクルにおける点検結果や最新知見、保全活動管理指標(運転中保全に伴うUA時間等)の実績などを踏まえ、
保全の有効性評価を行い、より高度な点検計画を第N+1保全サイクルへ反映する。
4.補修、取替え及び改造計画
第N保全サイクルにおいては、配管の高サイクル熱疲労対策として配管の取替え及び作業性改善のための弁取替え工事
及び溶接部が600系ニッケル合金である加圧器の管台取替え工事などを計画。
5.定期検査時、運転中保全実施時の安全管理
過去の臨界事故を踏まえ、停止時及び運転中保全実施時の安全管理の計画を整理。
17
4.運転中保全(オンラインメンテナンス)実施にあたっての原子炉施設保安規定
の変更の必要性の検討について
保安規定認可
(変更)申請
【保安規定審査内規】
能動的待機除外による予防保全は、やむを得ない
保全に限定することを記載。
原子炉等規制法 第37条
「(保安規定)
第37条 原子炉設置者は、主務省令で定めるところ
により、保安規定(原子炉の運転に関する保安教育につ
いての規定を含む。以下この条において同じ。)を定め、
原子炉の運転開始前に、主務大臣の認可を受けなけれ
ばならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」
申請書の
審査
【保安規定】
能動的待機除外による予防保全は、現状は、やむ
を得ない保全しか実施出来ない。
申請書提出
【保安規定認可基準】
原子炉等規制法 第37条
具体的な審査は、保安規定
審査内規を活用
「(保安規定)
第37条 第2項 主務大臣は、保安規定が核燃料物質、
核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による災害
の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしては
ならない。 」
認可通知
保安規定認可
災害の防止上十分で
あると認められる
場合
改正
【保安規定審査内規】
能動的待機除外による予防保全は、単一系統に
限り AOT内における計画的な保全であれば、実施
できることについて必要な条件を記載(やむを得ない
保全は、従来通り)。
【保安規定】
AOT内における単一系統での予防保全は、予め
計画し、その計画に従い実施することについての
必要事項を規定(やむを得ない保全は、従来通り)。
現状の保安規定で、既に、保全活動管理指標として
UA時間を設定することを規定
18
ま と め
1.単一系統のAOT内における運転中保全(オンラインメンテナンス)の検討
LCO対象機器・系統の能動的待機除外によるAOT内における
運転中保全について、許容出来る条件を明確にする。
2.運転中保全(オンラインメンテナンス)を実施する場合の規制の関与
事業者が単一系統の運転中保全を実施する場合は、規制当局
としては、安全性が確保されることについて適切に関与する。
3.複数系統での運転中保全(オンラインメンテナンス) の課題
複数系統の運転中保全については、個別に複数系統における
リスク情報を含めて評価する必要がある。このため、リスク情報
の活用については、今後検討する。
19
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