...

仮に提案内容

by user

on
Category: Documents
13

views

Report

Comments

Transcript

仮に提案内容
別添<規制>1
国際戦略総合特区「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」
平成 24 年3月 22 日
(整理番号355) 航空機製造に係る輸入品の関税フリーゾーン化について
規制355 別紙
(アジアNO.1航空宇宙産業クラスター形成特区)
【現行の規制・制度の概要 ~航空機部品等に係る関税の仕組み~】
(航空機部品等に係る関税)
○ 航空機用の輸入部品・素材については、関税定率法の別表「
(実行)関税率表」において、
「第 17 部 車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品」の「第 88 類 航空機及び宇宙飛行体並びにこれら
の部分品」の中で、
「88・03 部分品」に分類され、そこに分類される物品はすべて、税率は「無税(Free)
」とされている。
A 卑金属製あるいはプラスチック製の汎用性の部分品(鉄鋼製のボルト、
○ ただし、第 17 部及び第 88 類に係る関税率表の「注」や関税率表解説により、航空機に使用する部品・素材であっても、○
B 航空機の物品に「専ら又は主として使用されるもの」であり、航空機の物品に使用するものであっても、○
C 他の類や項におい
ナット、ねじ、プラスチック製の管、ホースなど)等でなく、かつ、○
て、
「より特殊な限定をして記載をしているものでないこと」の3条件を満たす場合に限り、第 88 類に分類されるとされており、それに分類されない物品については、現在、
「無税」とされていない
もの(
「有税物品」
)も少なくない。
○ こうした有税物品について、関税暫定措置法第4条では、
「航空機に使用する部分品」や「航空機及びこれに使用する部分品の製作に使用する素材」のうち、
「本邦において製作することが困難と
認められるもの」
(※)については、その関税を免除する旨、規定されている。
※ 「本邦において製作することが困難」とは、次のいずれかに該当する場合をいう(関税暫定措置法基本通達4-3による関税定率法基本通達 15-1(6)の準用)
。
・輸入品と同程度の性質又は性能を有する国産品がなく、かつ、①技術的水準から見て、また、②特許権その他の技術に関する権利・ノウハウ等の関係から、生産できない。
・一般的には、輸入品と同程度の性質又は性能を有する国産品があるが、国産品が当該輸入品の使用目的上不可欠の①形状、寸法又は重量を有していない、②規格認定を受けていない、③性質又は性能を有しておらず、
国産品を当該輸入品に代替して使用することができない。
・我が国の技術水準からみて、技術的には輸入品に代替しうる物品を生産することは可能であるが、生産するとした場合、①輸入品の価格より著しく割高となる、②生産に要する期間が当該輸入品の輸入に要する期間
より著しく長期となる、③生産設備を新設しなければならない、需要数量が少ないこと等のため、企業採算に合わないので生産しようとする者がいない、などの理由のため、我が国においては、一般的に生産されて
いない。
(開発・試験用に用いる部分品の扱い)
○ 開発・試験用に用いる航空機の部分品(例えば、我が国初の国産ジェット機として開発が進められているMRJの製造に不可欠な試験機に使用する物品等)は、それが、
「航空機の部分品」に当た
らない限り、現行制度では、免税措置が適用できないこととされている。
※ 関税関係法令では、
「航空機」の定義がされていない。
(航空法等では、
「航空機」は、
「人が乗って航空の用に供することができる飛行機」等と定義されている。
)
(免税申請後の管理)
○ 免税輸入品が適正に管理され、目的外使用等が行われていないことを確認するため、関税の免除を受けた物品を使用する者は、事業場に所定の帳簿を備えなければならない(関税暫定措置法施行
令第9条、関税暫定措置法基本通達4-4)とされるとともに、税関長は、当該物品の使用の状況に関する報告書の提出を求めることができる(施行令第 10 条)とされている。
【企業における現在の対応状況と問題点】
○ 航空機に使用する部品・素材については、基礎となる設計製作・製造の各段階で欧米の航空機メーカーの認定品・同スペック品を使用せざるを得ず、国内でも一部に欧米航空機メーカーの認証を
得て製造するメーカーはあるものの、多くは輸入品に頼らざるを得ない状況にある(輸入品の占有率は、部品・素材のうち5割程度)
。こうした航空機の部分品に係る関税については、上記のとおり、
無税とされているものもあるが、有税となっているものも少なくない。
○ 当地域の航空機メーカーは、有税物品について、主に、関税暫定措置法第4条による免税措置を受けている(航空機に使用する部品・素材全体の調達状況・関税の有無等については次ページの概
念図参照)が、部品等を輸入するたびに行わなければならない免税申請に係る諸手続、免税書類作成、物品管理等に係る負担が大きくなっている(※)
。とりわけ、
「国産困難等の確認申請書」の添
付が必要な「素材」については、海外の航空機メーカーから、国産品では事実上対応困難な「現用の航空規格に合致するもの」を要求されているにも関わらず、国産困難性の立証や税関側の判断基
準とのすり合わせ等に時間・労力を要するなど、負担が大きい。
○ また、帳簿の備付けに関しても、品目、型式及び数量、関税の課税標準価格又は数量、関税免除額、事業場搬入日及び用途に供した日等を記載した帳簿として備える必要があり(輸入許可書を備
える場合には、一部の項目の記載を省略することができるとされているが、その場合でも、輸入許可書と帳簿を備え付けなければならないことに変わりはない)
、これら帳簿記帳(通関部品毎での受
払い管理)に係る作業は膨大なものであり、間接業務の効率化の阻害要因となっている。
○ 航空機製造において、国産品部品の占有率を高めることも課題である一方で、海外からの輸入品に頼らざるを得ない現状において、国内機体メーカーがボーイング 787 などのティア1/Tier1(第
1次の大手部品メーカー)としての競争力を維持・向上するためには、関税に関する手続きの簡素化により、企業の事務負担の軽減を図り、経営資源を他の有効な業務に投じることができるように
する必要がある。
○ また、国産初のジェット旅客機としてMRJの開発が進められ、我が国航空機産業が新たなステージに立った今、開発・試験用に用いる航空機の部分品等も新たに免税措置の対象とすることによ
り、海外からの部品調達コストを下げ、国内機体メーカーがインテグレーターとして価格・技術競争力のある機体を開発・製造できるようにすることが課題である。
航空機に使用する部分品・素材の調達状況・関税関係概念図
航空機に使用する部分品・素材
輸入品
その他の措置
による免税
「
①
で
」
無
税
の
対
象
と
す
る
範
囲
国産品
無税
関税定率法
別表「実行関税率表」第88類
有税
有税
↓
免税
国内調達
可能なもの
関税暫定措置法
第4条
国産品
有税
(関税なし)
国内調達
不可能なもの
有税
↓
納税
有税
(開発・試験用)
国産困難であることを確認する手間と、部品を輸入しなければ
ならない緊急性を天秤にかけ、止むを得ず、免税申請を見送り、
関税を支払って輸入するケース
無税
(その他の類)
関税暫定措置法第4条による免税措置の対象
無税
※ 各項目の面積はイメージであり、実際の物品調達に占める割合を示すものではない。
※企業の事務負担(ボーイング 787 等に係る3重工の合計)
(実績と想定)
現在(B787 月産2~3機)
本格量産時(月産 10 機)
免税手続きに要する経費
3,000 万円以上
5,000 万円
- 2 -
書類分量
5万枚
10 万枚
【改善提案の具体的内容】
① 航空機部品・素材の無税範囲の拡大
国際戦略総合特区「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定された当地域の航空機産業の競争力を維持・向上させるため、関税の特例措置を図ることにより、海外からの部品調達コ
ストを下げるとともに、関税に関する手続きの簡素化による企業の事務負担の軽減を図る。具体的には、総合特区内に立地する工場又は事業場等が総合特別区域法上の「特定国際戦略事業」である
「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入した部品・素材について、現在、免税対象となっているものは「無税」とするとともに、無税・免税対象とな
っていないものについても「無税」とする。
[実現するための具体的な措置(案)
]
(案の1)関税定率法の別表(関税率表)において、
「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入する部品等すべての品目の税率を「無税」とする。
(案の2)関税暫定措置法において、
「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入する部品等すべての品目について暫定税率(
「無税」
)を設定する。
品目については、総合特区内の企業(三菱重工業、川崎重工業、富士重工業)によるこれまでの輸入実績や要望により選定していく。
総合特区内の工場又は事業場等が当該部品等を「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」に使用することは、
「輸入(納税)申告書」に、当該部品等の「用途」及び「使
用場所」を記載させることで担保する。
* なお、この①が実現するなら、以下の②③④の措置は必要ない。
<上記①の実現が困難な場合の代替案または①の実現に時間を要する場合に、①と並行して検討を進め、段階的に実現を図ることも想定できる個別案>
② 免税手続きの簡素化
当地域の国際戦略総合特区は、航空機の開発・製造に関する事業を行っている企業が立地しているエリアを中心に区域を設定しており、当該特区内に立地する工場又は事業場が輸入部品等を扱う
場合、航空機の開発・製造以外に使用されることはなく、また、現状では、航空機に使用する輸入部分品・素材のほとんどが国産困難品に該当し、かつ、航空機がインテグレーターを頂点とした国
際分業体制の下で生産されている中で、世界の企業が競争を行っている実態に鑑み、現在、免税申請によって関税を免除されている品目について、免税手続きの撤廃又は緩和を行う。
こうした措置が実現した場合、国産困難等の確認に時間を要する等のため、やむを得ず関税を納税して輸入している場合の関税納税額分は今後支払う必要がなくなり、その分、企業のコスト削減
につながる。
(案の1)
現在、免税対象となっている航空機部分品・素材について、国際戦略総合特区「アジア№1航空宇宙産業クラスター形成特区」の区域内に立地する工場又は事業場等が総合特別区域法上の「特定
国際戦略事業」である「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入した場合は、関税を「無税」とすることにより、現行の免税申請手続きを要しないこと
とする。
[実現するための具体的な措置(案)
]
関税暫定措置法において、現在、免税対象となっている航空機部分品等に該当するすべての品目について暫定税率(
「無税」
)を設定する。
品目については、総合特区内の企業(三菱重工業、川崎重工業、富士重工業)によるこれまでの輸入実績や要望により選定していく。
総合特区内の工場又は事業場等が当該部品等を「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」に使用することは、
「輸入(納税)申告書」に、当該部品等の「用途」及び「使
用場所」を記載させることで担保する。
* なお、この案の1が実現するなら、下記③の措置は必要ない。
- 3 -
(案の2)
国際戦略総合特区内に立地する工場又は事業場等が総合特別区域法上の「特定国際戦略事業」である「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入した航
空機部分品等については、現行の免税申請手続きに代わる簡易な仕組みを構築する。
[実現するための具体的な措置(案)
]
関税暫定措置法施行令の改正(第8条の特例(※)の創設)及び関税暫定措置法施行規則の改正(第1条の4、第2条、第3条の特例(※)の創設)
、あるいは関税暫定措置法基本通達(第4節)
の改正
※ 現在、免税対象となっている部品・素材について、品名、品番、型式等を記載した包括的なリストを作成するとともに、
「輸入(納税)申告書」に、当該部品等の「用途」及び「使用場所」
(総合特区内の工場又は事業場等)等を記載することとし、リストと申告書の内容を照合することにより、
「機械類等免税明細書」
、
「国産困難等の確認申請書」の添付を省略できることとする。
(案の3)
国際戦略総合特区内に立地する工場又は事業場等が、総合特別区域法上の「特定国際戦略事業」である「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入した
航空機部分品等については、国産困難確認手続きとして実施している「国産困難等の確認申請書」の作成を免除し、輸入書類(
「輸入(納税)申告書」及び「機械類等免税明細書」等)のみで対応可
能とする。
[実現するための具体的な措置(案)
]
関税暫定措置法基本通達4-3においては、
「本邦において製作することが困難」の意義として、関税定率法基本通達 15-1の(6)を準用しているが、国際戦略総合特区内に立地する工場又は事
業場等が、
「複合材料からなる航空機の機体の研究開発又は製造に関する事業」を行うために輸入した航空機部分品等については、
「本邦において製作することが困難」に当たるとみなし、
「国産困
難等の確認申請書」の提出、税関長の「国産困難等の確認書」による確認、税関への確認書の提示を省略できる旨、規定する。
③ 免税輸入品に係る帳簿の備付け・使用状況管理に係る事務手続きの簡素化
免税物品が航空機以外に利用されることがないこと、企業活動として物品管理システムが確立していることを要件に、税関長が法人及び事業場(総合特区内に限る)を指定した場合には、税関長
の権限で実施される、免税物品に関する帳簿、物品受入・払出帳票等の備付け状況や現品の確認を免除し、企業の自主管理に委ねる。
[実現するための具体的な措置(案)
]
関税暫定措置法施行令第9条及び第 10 条の改正(又は特例条項の新設)
④ 開発・試験用に用いる航空機部分品等の免税化(免税範囲の拡大)
現在は、免税の対象とされていない開発・試験用に用いられる航空機の部分品等も、関税暫定措置法第4条で関税を免除するとされている「航空機部分品等」と同様に、関税を免除する。
ここでいう「開発・試験用に用いられる航空機の部分品」とは、
「開発・試験用に用いられる航空機」=「開発機」
「試験機」の一部を実際に構成する部品・素材という狭義の意味ではなく、将来、
完成機(関税暫定措置法上の「航空機」のこと)の部分品として使用可能かどうかを試験・試作する段階(各種地上試験を含む)で用いられる「試供体」
(それを構成する部分品、それらの製作に使
用する素材を含む)という意味。
なお、関税暫定措置法第4条に、
「試験機」に使用する部分品等についても免税対象とする旨、規定する方法も考えられるが、
「試験機」を定義することが困難であることが予想されるとともに、
必ずしも試験機を実際に構成する部品等のみでなく、その前段階の各種地上試験を含め、試行錯誤して使用可能性を探る段階で使用する部品等も含めることとしたい。
[実現するための具体的な措置(案)
]
関税暫定措置法第4条の「航空機に使用する部分品」
(第1号)及び「航空機及びこれに使用する部分品の製作に使用する素材」
(第2号)には、
(案の1)
「試供体」も含む旨、
(案の2)総合特別区域法上の「特定国際戦略事業」である「複合材料からなる航空機の機体の研究開発(又は製造)に関する事業」のために使用するものを含む旨、
規定する。
- 4 -
Fly UP