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「資金配分問題」と数理計画法 - Kyoto University Research Information

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「資金配分問題」と数理計画法 - Kyoto University Research Information
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「資金配分問題」と数理計画法 - 不可分性の下での最適
化-
浅沼, 萬里
經濟論叢 (1965), 96(6): 415-438
1965-12
https://doi.org/10.14989/133094
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
句号.~
音崎
額九十穴巷第穴読
ラノ品ーカーズの衰亡・
穂積文雄
・・・・
ベノレヌーイの効用指標-……......……・・鎌倉
「資金配分問題」と数理計画法・・・…
u
昇
・・浅沼高旦
1
2
0
白
書 評
イギリ λ 革 命 論 に お け る 反 対 者 た ち ・ ・ … ・ ・ 堀 江 英 一
経済論叢第九十五巻・第九十六巻総目録
昭和四十年十二月
東郡穴事経母努事曾
6
3
(415)
39
「資金配分問題」と数理計画法
一一不可分性の下での最適化←ー
浅 沼 高 里
まえがき
本稿は,投資決定の部面において生じる,ある型の最適化問題をとりあげ,数
理計画法適用の意義壱考察する。この問題の核心 I~ ,アクティピティの水準に
課される整数条件,したがって,投入産出にかんする不可分性 (
i
n
d
i
v
i
s
i
b
i
l
i
t
y
)
の下で,最適化をはからなければならないところにある。正確な解に到達する
ことは,意外にやっかいであって,整数計画法 (integerprograrnming) の開
発により,はじめて一般的な解法が確保された。
第 I節で,困難の所在を示し,それが解決されてゆく道すじをたどって,伝
統的な解法一一線型計画法 (
l
i
n
e
a
rprogramming)一一整数計画法,の発展関
係をあとづける。
第 E節では,観点争かえ,数理計画法の提供する双対価格 (dualprice) の
概念を媒介にして,不可分性の制約の存在する場合の,価格機構ないし分権的
決定機構の有効性を考察する九
1
I
資金配分問題」とその解決
A
. I
資金配分問題」
ある経済セクターについて,次のような場面を考える。技術的に実行可能な
複数個の投資プロジェクト P,
(
j=l,… ,n
) が立案ずみである。投資の総枠
は,これと独立に与えられる。この予算の枠内でどのようにプロジェグトをえ
らべば,経済的に最良の投資計画を構成できるか。
1
) 本稿は Weing
町 t
n
e
rの先行業績 (
1
5
)から多〈の素材をうけた。
4
0
. (
4
1
6
)
第9
6巷 第 6号
かんたん化のため
I
経済的に最良」ということの意味を限定しよう o プロ
ジェグト個々の収益性骨,正味現在価値めではかることにし,その値 bj は,各
P,につき既知とす 5。 そして,
大になることが
採用されたプロジェグトの現在価値の和が最
I
最適」だと約束しておし
資金面に制約がなければ,単純に,現在価値がE のものすペてを採用するこ
ξ で,この意味の最適を達成できるのだが,いま , Pjの実施には
T期にわた
る 資 木 費 支 出 向 (t=l,・
・, T)が必要で,他方,毎期の総投資が予算 C,でお
きえられ呂なちば,一般に , b
とはで
fが正のプロジェクト壱すべて採用するこ J
きなくなり,さらに選別をおこなうための方法が必要になるのである。
〉
前稿で ,
3
この問題を,定額資本予算の最適配分問題と名づけ
以下かん
たんに「資金配分問題Jとよぼうーー,伝統的なし、し試行錯誤法的な解法を考
察しておいた。その解法をふりかえってみるところから,はじめよう。
B
伝統的解法"
[1) 順位づけ法
1期しか考えないでよい単純なケース (T=l) では,投下資金 1単位当り現
,
在価値.芋
の大いさによって,プロクェグトを順位づけることができる。こ
0
巴
の順位の上のものから,予算 Cがつきるまで採用してゆくというのが,常識的
な解決である。
だが,ここで早くも,問題点が姿をあらわす。この方法は,はたして最適解
B
を保証するだろうかロフ ロジェグトが任意に細分できるものならば,しかり,
といえるはずである。しかし,
資金配分問題」においては , P,のおのおのが,
i
固有の,不可分 (indivisible)の大いさをもっと想定する。そして予算は採否決
定にさきだっ与件である。だから,上位からとっていったプロジェクトの集合
が,ちょうど予算を使いきることになるとはかぎらず,むしろ順位にこにわら
e
tp
r
e
s
e
n
tvalue 浅沼、 (
2
) then
!
J参照。
b
i
dな
3
) l
お 本稿では記号をすこし宜えた。
I
4
)
(
!Jは「従来からあった J手法であれ(2J
は,そうではないが, r
数理計画凄によらない」
手法である点が(1J
と共通している。便宜上,
伝統的」ということばを,適当に使う。
r
「資金配分問題 Jと数理計画法
(
4
1
1
)
4
1
ずに予算いっぱし、を使うような組合せをえらんだ方が,総現在価値が大き〈な
る場合がお己りう右町
すなわち,順位づけによる方法は,不可分性の条件をみたす,ある可能解を
示しうるが,かならずしも最適解に到達しえない。
C2J Lorie and Savage法
予算制約が 2期以上にわたるやいなや (
T
;
;
>
2
), いま見たような順位づけも
できなくなれ常識的に解決することがむずかしくなるの
前稿で
Lorie and Savage が,次のような巧妙な方法をくふうしたこと
を見た。
f各期の資金に乗じる 1組のノミラメタム,
の正負を,
・
,P
Tを導入し,
プロジェグト Pjの採否の基準とする。
ら出発し, C,が使いすぎなら
P
,の値を増し,
Pu
b
j
E
V
"
T
量
P
Tの任意の正値か
あまりすぎれば,
減らせ。こう
して,採用されたプロジェグト群が,予算をこえず,しかも資金をできるだけ
あまさないものとなるよう,
P
l
.
P
Tの適当な値を,試行錯誤的に決あよ 06)J
この方法を, Lorie and Savage 法〔以下 LS法と略記〕とよぼう。
LS法は,加重平均の考えを使って,
前記の順位づけ法壱多期間の場合に一
般化したものだが刊次の点に不満がのこる。
1
) 数値計算が非系統的で
2期の場合はグラフを使えるにしても
3期以
上のばあい,実にめんどうだ。
2
) 順位づけ法のー般化であるかぎり,同じように,最適解を保証しえない
はずで届うこれはヨリ根本的な難点である。
こうして,伝統的な方法は,壁にゆきあたる。他方,われわれの問題が,条
件っき最大化問題の形をそなえてし、ることは,数学的最大化手法適用の有望性
を示唆する。 1950年代に実用化した線型計画法[以下 LP と暗記〕は,どのよう
5
) 例題 1を見よロ
6
) L
o
r
i
eandS
a
v
a
g
e,(
10
,
]p
p
.231-5
7
) I
b
i
d
.,p
p
.233-4
p
..
ci
t
.,p
.2
3
2
8
) 考案者たち自身,このことに気づいていた。 o
4
2
第 96巷 第 6号
(
4
1
8
)
な前進をもたらすだろうか。
C. LP の適用
[1J
毛デノレ
「資金配分問題Jが,次のような LP問 題 と し て 定 式 化 で き る こ と は , 容 易
にわかる。
ら子山手 Cc,t=l,・",
0
:
:
;
;巧三三 1
,
T
(a)
j=l, ,仰
(b)
ー
(
1
.
1
)
の下で,
2jZ3を最大化せよ J
こ こ に 変 数 的 は , 第 y プロジェグト
数値計算のためには,
P,の採用水準を表わす。
jを導入して. (a)と
非負のスラック変数んおよび X
(b)壱等式に変換しておく必要がある。
沼山+ん =Ct,t=l,
均 十 九 =1
,
'
T
(
a
'
)
j=l,・・,仰
(
b
'
)
ん は , 第 t期 に 生 じ る 余 剰 資 金 量 と 解 釈 で き る 明 。 号 は , プ ロ ジ ェ グ ト の 採
用 水 準 の , 上 限 1からの差を示す。
[2J 数 値 計 算
ひとたび問題が (
I・1
)の 形 i
こ定式化され , bJl c
t
Jおよび C,の値がデータと
して与えられれば
.
;
.
;
yプレッグス法のような既存の数値計算法が,有限回の
I
*
(
f=l
,…,旬)と,目的函数(総現在価
逐 次 改 良 的 な 計 算 で , 最 適 採 用 水 準 X,
値)の最大値
X,
LTi
*とを与える U30
これが,制約 (a)(b)を み た す 解 の う ち 最
良のものであることは,数学的に保証される。
こうして LPは. LS法 の 第 ー
の難点を突破する。
9
) Weingartner,o
p
.c
i
t
.,p
.1
7
l
Q
) CU. C
! は,すべて現在価値で大いさが与えられるものとしておししたがって,んも,現在
価値を不すことになる。
以下,本稿を通じ.:!t数の最適値には右肩に離をつける。
1
1
)
(
4
1
9
)
「資金国分調題」と重量理計画法
43
(3) 分数解の発生
だが
LP解 が
i
資金配分問題Jの要求を完全にみたすものではない ιと
も,すぐわかる。前提により分割不可能な,各プロジェグトの,採用水準に許
o[不採用]のどちらかしかないが,
LPは , 叫 が Oと 1との聞の分数値をとることを排除できない。 r
不可分性の
i![は,止確には, 1 [採用〕または
される f
下での最適化」問題は,実は,解けていないわけである。
ただし,実際的な見地からすれば
LP解を近似解として活用しうる問。
し
I
I・
1
)においては,任意の基本解の中的,分数解の個数は,たか
かも,モデノレ (
だか T 値であるごとが証明されてい'.¥'九
したがって,
LPは,一般にかなり
よい近似解壱与えることができ,とくにプロジェグトの個数"が期の数 T にく
らべて相当多いとき,近似がよくなる。
[4J 非独立的な関係、の処理
LPの 1つのメリットは,本質的に個えのプロゾ
2
クトを切りはなして順位
づける伝統的解法では,処理能力の外にあった,プロジヱグト聞の非独立性を1
2
L
制約式の追加によって,機械的に処理できることである。たとえば,排反関係
のある場合,排反的なプロジェグトの添和集合を Iとすれば, #
"
,"
;
;
1 と川
う制約式を追加すればよい。
他面,こういったばあい,
LP解が分数解を排除できないことは,いよいよ
明白に欠陥となる。排反的な火力発電所案と水力発電所案について
t
r
火力
個 と 水 力 炉 J という答が出ても,選択の手引になり以いからである。
整数計画法〔以下 IPと略記〕の必要性は, プロジェグト聞の非独立性を考慮
に含めるばあい,いっそう大きくなる。
D. IP の適用
(1) モデノレ
田
"
.
1
2
) M
[
l
l
)
.p
p
.1
6
3
4
1
3
) Weingartner.0少 出 t
.,
p
p
.3
5
8 基本解に入りうる変数は町だけでなしんもあるから,
分数プロジェタ Fの個数は,さらに少なくなる。
1
4
) 排反関骨や補完関略。 BiermanandSmidt,(
2
J
.pp.6
6
8
44. (
4
2
0
)
第9
6巻 第 6号
「資金配分問題」を正確に表現するモデルを定式化すること自体は,むずか
しくない。
宮 山 王 Ct,t=l, .
"
, T
O三 XJ三 1, j=1,
n
(
1・
2
)
(b)
(c)
整数
内・
(a)
の下で,
宮内を最大化せよo
J1o)
これは一つの 1P問題にほかならない。
(2J 数値計算
しかしながら
1P問題を実際に解きうる手法が考案されたのは,
近年のこ
とである問。しぺつかの手法のうち,双対価格との関連性が研究されているも
Gomory の考案した
のは
Mcthod of IntcgerForrn
s
. C以下 MIF訟と略記〕
であるから,これを適用する。
(3J M1F 法
1P の計算法は L P の場合ほど常識化していないし
1P 双対価格の考察の
さいには,との計賞法の知識が前提となるから,ここでかんたんに M1F 法を
見ておく問。
a) 計算手順
M1F 法とは,
次のような手順によって
1P 問題の数値解を求める方法で
ある。
① 与 え ら れ た 1P問題から整数条件を除けば,ふつうの L P問題になる。
これを γ γ プ V ックス法で解く。
1
5
) Weingartner,o
p
.c
i
t
.,p
.4
6
年に. Gomoryや LandandDoig の仕事が現われた。いまも開尭が進行中であ
1
6
) 1958-60
る
。
1
7
) 主として Gomory and Baumol,(
7
) による。なお,根岸・浜田. (
13
J
. .章,および
Dantzig,(
4
)
.~ 2
6
2参照。
(
4
21
)
「資金配分問題」と数理計画法
②
45
この解が整数鮮でなければ,のちにのベるルーノレによって,いま解いた
LP問題のデータから新しい制約式を作り,この LP問題に附加する。
③
こうしてできた新しい LP問題を解く。
④
己の解が整数解でなければ,②⑧を反復する o
b) 追 加 制 約 式
⑧で導入される新しい制約式の作り方は次のとおりである。
タプロ-
V ソプレヅグス法で LP (最大化〕問題壱解( eき,計算表の任意の段階は,
次のような連な方程式壱表現している明。
(
仁
に
戸
一
〕
叫
a
一
'
耐
0
,九
F
h
f
仇 =a
山h
+2
亙
立
肝
叫
a
内
'
州
勾
e
"
,
(
勺
ト
一ω
) (
ぴ
$
=
戸
同
1.
雷
(
1・
3
)
,間)
・
ここ』こ,
z 目的函数,
t
九.ある段階の基本変数,
む:その段階の非基本変数,
叫 I その段階の係数。
γ
1回に 1個づっ基本変数を入れか
ンプレック λ 法は,一定の規則により
えてゆき,解のある場合,有限回で,すベての a'!l l (j' =l ,
・・,刑)が非負であるような状態に到達させるものである。
めと叫。(包 =1~
この状態で,ちを
すパて 0 とおけば, LP最適僻が次のように得られるわけである。
d ニ的。
r
t
'
t
*=a
'
i
O (
iニ 1, ・,刑)
lt, *~o
さて,
(j ~l ,
この解が整数解でなければ,
…,旬)
すなわち
a'io(i=l,
刑)の中に整
数でないものがあるときには,新しい制約式を,次のようにして作る。
(
1・
3
)の,間十 1個の等式のうち,任意の 1個をとり,その係数 a
'
i
J(
j
ニ 0,
1
8
) 正確には, いわゆる簡約シンプ νッタス衰の場合。
5
4
0
2 なお Vajda,(
1
4
,
) pp. 7
0
1事調。
Gomory and Baumol,o
p
.
c~t. , pp
46
第 田 巻 第 6号
(
4
2
2
)
泊)を,次のように分解する。
a'tJ=k~j+ 1
t
f
.
1>!
i
j
'
?
:
.
三O
こ こ に ん は .a
'
i
j壱超えない最大の整数。
いま,この f
りを係数とする,変数のら 1次結合について,む (
j=I. ...• n)
および仇が整数値をとるとき,不等関係,
(
1・
4
)
2
J
f
"
t,
,
;
;
,
,
.
J
,ω
が成り立つことが証明できる叫。
Jhp
︺
F
H
ι
均
(1
五
+
一
一
等式化すれば,
非負の旦ラック変数 s,を導入して
(
1・
4
)を
﹁
(
1・
5
)
これが,求める新制約式である。
c) MIF法の意味
この追加制約式は,次のような性質をもっている。
1
) はじめの LP最適解が,整数解でなければ,それは (
1・4
)をみたきない。
Jそこで制約式(I・
5
)を追加すると,従来の可能領域は縮小されることになる。
2
) (
1・
5
)のグヲフは,少なくとも 1個の整数格子点明を通る。ただし,そ
の点がもとの可能領域内のものとはかぎらない。
3
) (
1・
5
)は,もとの可能領域内にあった,
どの整数格子点も排除せず,新
しい可能領域内に残す。
MIF法のねらいは, 制約式を次々と附加してゆくことにより,
もとの LP
問題の可能領域を切り縮めてゆき,もとの可能領域に含まれていた整数格子点
の中で,目的函数をもっとも大きくするものに到達しようというものである。
この意味で. (
1・
5
)のグラフは,裁断平面 (
c
u
t
t
i
n
gplane) とよばれる。
d) 要 約
要点は,
MIF法 が
IP問題を LPに還元して解〈ということである。
1
9
) 根岸・浜田,前掲, 1
3
8岨 ペ ー ジ ;Dantzig,(
4
J
.~ 2
6
2
.p
p
.5
2
1
5
20) 座標がすべて整数である点。
己
(
4
2
3
) 4
7
「費金配分問題」と数理計画法
のことから,次の 2つの利点が生まれる。
1
) 既存の, LPの数値計算法が使える。
2
) IP最適解を得たとき,
双対問題の解にかんする情報も,
同時に得られ
ている。
C. 数値例
3つの例題を使って
LS法
LPおよび IP という 3種の解法の適用結果
を見る己とにしよう。別表をごらんいただきたい。
(1) 例題
1
前楠で登場した 1期問題一一ーそのかんたんな構造にもかかわらず
r
不可分
性」のために,順位づけ法や LS法では,直観的にはすぐわか志最適解に遣し
えない例U21) __である。
LS法は,いまいったとおり,あきらかに劣等な解しか示せない。
LPは
, %,に分数値些許すこ左によって,資金吾使いきり,総現在価値 1
4・
8
百万円に達してし、る。
IPにより,総現在価値は LPの場合より減るが,現実的意味をもっ整数解
が保証された。これが考えうる最良の解であることは,この場合,常識的にあ
きらかである。
[2) 例題
2
これも前稿で登場し, LS法考察の素材となった問。 LPは両期の資金を使い
きり,もっとも高い総現在価値に達するが, %,と均に分数値が許されること
によって,それが可能になっている。
さて,この場合,
としても, LS法は,
IP と LS法は全く同ーの結果を示す。計算はめんどうだ
結局は最適整数解に達しうる力をもっているように思え
る。しかし,次の反証が,これを〈つがえす。
[3) 例 題
3
2
1
) L
o
T
I
eandS
a
v
a
g
e
.o
p
.c
i
t
.
.p
.2
3
2
2Z) I
b
i
d
.,p
.2
3
4
第9
6巻 第 6号
4
8 (
4
2
4
)
例 題 2に,プロジェグトを 1個 (P,
,
)追加しただけのものである 2九
例 題 2の場合と同ーの最適解に達する。しかし今度は
IPは
,
LS法の手続でこの解
に達することは,どうしてもできな b。
、 LS法は,ヨリ劣等な解をしか示す己
とができないのである。
[
]r
資金配分問題」と価格機構
A. LS 法再考
IP の到達する最適解に
LS法が,
かならずしも到達できないという事実
は,たんに 1つの手法的限界を示すということ以上の,意味をはらんでいる。
LS法で,解をみちびくのに使われた助変数かは,第 t期の資金 1単位のウ
エイトであったが,これ巷価格左読みかえてみよう。プロジェグトの採否判定
指標 bj-a
争向は,収益と,
この価格で評価した投入(ここでは資金)の費
) の意味をもつことになる。そ
用との差額,すなわちいわゆる「利隅 J(pro長t
して,
LS法の手続全体は
r
利潤」の正負を唯一の行動基準とする個別主体
が,資金供給(ここでは一定)に対する需要の過不足に応じて上下する価格を
バロメーターとして,分権的に投資決定をおこなう機構を表現するものと読み
かえることができる。
ところで
LPの前提するような,アクティピティの可分性 (
d
i
v
i
s
i
b
i
l
i
t
y
)
と加法性 (
a
d
d
i
t
i
v
i
t
y
)の仮定のみたされる特殊な世界については, LPを解い
てい、わば集権的に)得られる最適計画じ価格機構による分権的行動とが,
結果として,同等になることが知られている問。
これに対し
IP解にくらべて LS法の解が劣ることは,
アグティピティの
不可分性の存在する世界では,価格機構が,かならずしも数理計画法による中
央計画と同等の結果に到達できない乙とを,例示するものである。このこと自
こ怠外なものではないのだが,第 I節で解いた問題の双対壱考え
体は,理論的 t
2
3
) W
e
r
n
g
a
r
t
n
e
r
,o
t
.c
i
t
.,p
.4
1
目
。
, (
5
),C
h
a
p
.1
3
.1
4
2
4
) Do
(
4
2
5
)
「資金配分間国」と数理計画法
49
ることによって,もうすこしたちいって,事態を眺めることができる。
B. LP双対問題の考察
[1) LP双対問題と資源評価
まず,一般的資源配分問題を対象に,双対性をめぐる既存の命題を整理して
おこう。
a) 数学的関係
毛デノレ (1 ・ 1) から,上限制約 .x:l ~l を除いた,次のような最大化問題を考え
る
。
ら守tJXr~Ct, t=l, "
'
, T
(
I
I・
1
)
XJ~O
の下で,
L
:
b
,
x,
を最大化せよ。」
J=l
1
) に対応して,同じデータを用いて定義される,双対問題 (
I
I・
2
)が
,
(
I
I・
数学的に,存在する。
「色。内三 bJo
j=
,
l
・ .
n
(
I
I・
2
)
p,
?O
の下で,
Z
P
c
eを最小化せよ。」
T
(
I
I
.
l
)と (
I
I・
2
)との聞には,次の関係がある o
2dz
詐 ,*C
T
①
一方に最適解があれば,他方にもあり,かっ,
②
双方の可能解は,次の関係をみたすとき,かっ,そのときにのみ,最適
解
。
=O
→p,
〔
1)EtedZjく C,
→会的 =C
οi) 戸 >0
t
t
第9
.巷 第 6号
50 (
4
2
6
)
また,
T
「
→η=0
O11)zvdej〉 b
(iv)
T
円 >0ー→~JfhClj =b
J
そして,一点の問題を γ ミ/プレツグ月法で解けば,他方の問題の最適解も同
時に与えられる。
b) 経済学的意味づけ
I
I・
1
)に
さて. (
1つの資源国分問題を担わせるとき, すなわち. C,を第
t資源の利用可能量. Ctj を投入係数,的壱第 1アクティピティの稼動水準,
ん を 稼 動 1単位当り収主主[産出価値〕として,総収益最大化をはかるとき,双
対問題 (
I
I・
2
) には,資源評価問題という意味を与えるのが,定説となってい
る冊。双対変数 p,を 第 資 源 1単位壱評価する,ー種の計算価格と解釈し,
(
I
I・
2
) を,次のように読むわけである。
「どのプロセスについても,
費用二三収益
の関係を保ちながら,利用可能な資源の総評価価値を最小にするような,非
負の資源価格を決定せよ。」
いまや,前記の関係Q)@は,次のような意味を担うことになる。
①
資源の最適配分が実現できれば,対応的に,資源価格が決定でき,かっ,
この価格で評価した資源総価値は,総産出価値の最大値にひとしい。
②
最適の必要十分条件は,次のとおり。
(
i
) 余剰の生じる資源は,価格ゼロと評価。
(
i
i
) 価格正の資源は使いきられる。
(
i
i
i
) 費用>収益
となるアグテ
f ピティは,稼動されない。
(
i
v
) 稼動されているアグティぜティにおいては,費用=収益。
e) 双対価格
2
5
)
Ib~ rJ.,
Chap.7
;Gale,
(
6
),pp. 1
2
2
1
ソ遺文献でも事情は同じ。 X叩
torovich,
(8)を見ょ。
「資金国分問題 JIc数理計画法
(
4
2
の
5
1
L P問 題 (II・
2)の 最 適 解 と し て 得 ら れ る 計 算 価 格 p,
*は , 潜 在 価 格 (shadow
price) または双対価格 (dual price) とよばれる町。
上記の諸関係から,この価格が,次のような性質のものであることがわかる。
(
1
) いま,各アグティピティを
1つ の 独 立 部 門 だ と 考 え る 。 各 ア ク テ ィ ピ
干 ィ の 産 出 1単 位 当 り 収 益 ( 製 品 価 格 ) め を 与 件 と し , 各 部 門 は , 自 部 門 の 利
潤 bJ-L
J
ptCtJ の長大化壱めざして,
おのおの独立に行動するものとする。経
済全体の資源 (T 種)の利用可能量 C,(t ~l ,ー
,
T) は一定。その価格 p, (t~
1, ・,
・ T
)は,競争によコて決る。この競争のはてに定まる競争均衡価格と,
双対価格とは,同じ値である町。
(
2
) L P問 題 (
T
I・
2
)を解〈か,部門間競争の均衡点への収束をまっかして,
最 適 価 格 p,
*が 得 ら れ れ ば 吹
との価格によって,各部門に分権的決定をおこ
仁 (II・
1)壱 i
直接解くのと同じく,経済全体に E。ての総産出価値
なわせると f
の最大化が達成される。
*には 3 分 権 的 決 定 の パ ラ メ タ と し て の 機 能 が , 期 待
こうして,双対価格 p,
ιれる。
[2)
I
資 金 配 分 問 題 Iと L P双 対
I
資金配分問題」にかえろう。
標準的なケースから,
a) モ デ ル
(
1・
1
) の双対問題は,次の形』こな志。
土
「PtCtj十戸 ?:..b
'
i
p
"
I-'-j~三 u
2
6
) KantoroV'"i
c
hは
,
,
J
j=l. …,旬
(II・
3)
これを数学的には解決乗数 (resolv四 g皿 u1
ti
p
l
i
e
r
) とよぴ. 経済学制
(
o
b
j
e
c
t
i
v
e
l
y conditioned r
a
t
i
n
g
) とよぷ。 KantoTovich,op
I~ は「客観的品熱的評冊 J
c
i
t
2
7
) ただし麗争の場合,どのような過程とテンポでとの価格に到達するかということは別問題。
Dosso
,o
p
.ot.,~ '
14
6,p
.4
0
a
2
8
) 草の市場競争をまつのではなし蹟争機構を模型ヒ Lて,能率よし分権化用自価格を計算す
るための原理が, いくつかの方向で探究されている。根岸浜田,前掲, 81-4ベージ;古瀬h
(9) 第 4章 z
にスケッチ。
5
2
第 96巻 舘 6号
(
4
2
8
)
の下で,
T
2
J
f
a
C
a
+許J
包
を最小化せよ問。」
(
1・
1
)は,むろん,一種の資源配分問題だから. (
I
1o3
) も,評価問題の意味
をもつはずだ。
(
1・
1
) のデータは現在価値タームで与えられているから,双対
変数 p
,および向も,現在価値タームで,資源 1単位を評価する。 p,は,第 t
期の資金コ見ト。あらたに登場した向は. (
1・
1
)の. ,,}の上限 1を評価する因
子であるロ
b) 双対価格
LPモデル(I1・ 3
)の最適解において得られる p
,
*および向*の機能と意味に
ついて考えよう o
p,
*は,ふつうの shadowp
r
i
c
e であって,第 t期の資金の限界収入生産か
を,現在価値タームで示す点だけがちがっている。
次に
μfだが,まず一連の推論で,その役割を確認する制。
)の制約式をとり出すと,
最適に達した段階で(1I・ 3
EpfC81十 μJ*?~.oJ
移項して,
T
MHj-zpfc
り
(
i
)
さて,周知の双対関係から,
的キ >0ー→μ:J*=bJ-~Pt*Cti
内町b
j-
:
l
]
/
h
*
C
tr→ ザ =0
(
i
i
)
(
i
i
i
)
μ戸>0
一一今 xJ*=l
(
i
v
)
%}*く 1
一 一+
μ戸=0
(
v
)
他方,原問題 (
1・
1
)の,叫に対する γ yプレッグ凡基準町を r
,*で表わせば
2
9
) WBing町 t
n
e
r
; 0全 日 t
.,p
. 24
3
0
) I
b
i
d
.,pp.24-7 の議論壱整理しなおす.
31
) ζ れは,じつは .
t
'
"
J:
:
:
:
:
:
;
;
Oの ス ラ ッ れ つ ま り 内 自 身 に 対 広 す る ,
1つの宜対価格。
p
(
4
2
9
)
「資金配分問題 Lと数理計画法
5
3
定義により,
r
(
v
i
)
TF=Ehfcej+M-bj
%
}
*
>0一+
r,
*=O
(
v
i
i
)
r/>O
一
一
→
円*=0
(
v
i
i
i
)
(
v
)(
v
i
)(
v
i
i
) 壱合わせると,
(
i
x
)
。〈町*く 1ー→r/=~pt*CtJ.......bJ=O
また, (
v
)(
v
i
)(
v
i
i
i
)から,
r
/
<
>ト → げ =0
寸
Z
P
F
匂 め >0
T
(x)
以上の結果をまとめると次のようになる。
「
I 採用
%
1
*
=
1
採用水準
(
x
,*>0
)
不採用 (x,
*=O)
L>x/
1
<>
o 退化の場合 1
非退化の場合
戸 町 全 商 採 用 問 採 用 1限 界 脚 下 │ 全 面 却 下
+
ロ
タ
プ
l接衰直わ の
る
も
o
にれ
,1 (~,*)
bJ-~Pt*CtJ
I
+
。
。
。
。
。
+
、
戸)
千 円*
I
I
)
I
(
=tJj
*
;-rJ*) (=-r
.0
0
つまり,原問題 (
1・
1
) を..y"/プレッグス法で解くとき,最終表の..y:/プ ν ッ
J
*,'
P
'
*
, 向キがならんで得られるわけだが,この r
,
*(の負
ク旦基準の行は ,T
値)と μ戸とがあいまって , bj-D~*Ctf の大いさを示し,その正負はプロジ
ェグトの採否と見あっているのである e
c)
μfの経済学的意味
さきにみたように,標準的な資源配分問題の場合,
T
呂Pt*C止 め,j=1, .'.,旬
がなりたち,双対価格は,利潤の発生を許さなかった。
5
4
(
4
3
0
)
第9
6巻 第 6号
「資金配分問題」では,いまみたとお h
T
%j*=1 のとき ,f
1
.
J*=b
J
詐九j>O
であって. I
刑判閏」の発生がみられる。この現象は,
%1* に課される上限制約に
もとづい立地条件の制約などにより優等プロジェグトの拡張がさまたげられ
るため,計画にはヨリ劣等なプロジェクトがとりこまれることになるのだが,
このとき,限界プロジェグトにくらベ,ヨリ優等なプロジェグ}が享受する超
過収益
(rent) の,将来にわたる流れを現在価値化したもの,すなわち,のれん
(goodwilJ)が, μf なのである問。
d) 分権的決定
「資金配分問題」の LPモデル (
1・
1
) は.
C1)で見ておいた標準的な資源
配分問題に〈らベ,形式的には上限制約が加わり,内容的には現在価値次元に
なって,変形をこうむっているが,なお,ある種の分権的決定で,ほぽ照応的
な結果を実現させることができる。
中央機関が利子率 p,
*壱決定して通告すれば,各プロジ
持のデータ bJ e Ctj を使って b
,
E
P
九
z
グト立案者が,手
T
g
の値壱計算し.:iEならば採用,負な
らば不採用を自主的に決めるという V ステムを考える。中央機関が,ちょうど
(
I
I・
3
)の解であるような p,
*をえらベば,水準 1で採用されるプロジヱグトと,
問題なくおとされるプロジェクトについては. (
1・
1
) を直接解いて実施するの
と同じ結果を問。ただし, b3-beahO と な る プ ザ J
トにるいては,
現状では,まるまる採用が許されないのだから,中央が介入して手をうたなけ
ればならなし、向。
本来,プロジヱグトの水準は,整数〔本稿の定式化では
1か O
J でなければ
1・
1
)は,分数解を許しているから. LP双対価格壱
ならないのに. L Pモデノレ (
使って決定を下すにしても.ボーダーライ γ ・ケースで問題が生じてしまうの
である。
3
2
) Weingartner.o
t
.c
i
t
.
.p
.5
5 また MasseandBessiere,(
12
J
.pp. 2
4
8
5
2参照⑫
3
3
) Weinga:
r
tncr,o
t
. dt,p
p
.
.5
5
6
「資金肥分問題』と数理計画法
(
4
31
)
.5
では,もっと直接に, 1Pモデル (
1・
2
)に対応して双対価格が得られないだろ
うか。
己の価格苦手引に分権的決定をおこなわせて, (
1・
2
)の解を直接実施す
るのと同じ結果に到達できないだろうか。
C. 1P双対価格
(1) 1P 双対価格
1Pには
LPの場合のように一義的で明確な双対価格が対応しない。
しか
し MIF法 が IPを LPに還元して解く手続であることを利用して接近がここ
ろみられている。
a) MIF法から得られる双対価格叫
MIF法は, IPを LPに帰着させて解く手続だから,整数最適解が得られた
とき
1組の LP双対価格を与える。この価格は,とうぜん,ふつうの LP双
対価格と共通の性質と役立ちをもっているが,次のような点が特殊である。
①
追加制約式のえらび方に依存していて,一義的でない。
⑧本来の問題の希少要素に対するばかりでなし追加制約式のスヲック変
数にも価格が対応し,最適段階でその制約が利し、ていれば,正の価格がっし
この価格は
i
t
の
I
小可分性の機会費用」としてーーーたとえば「倉庫にさいごの箱
キャパシティ
個を詰めこむことを許さないような,人為的な能力制限 1単位の存在が,
企業に負わせる損失」ーーとして,一応意味づけられうる。
③
この解釈は,双対価格イコ
ル投入財の限界収入生産力と見ているわけ
だが,じつは IPの場合には,投入を任意に細分できないので,投入財 X の限
JR.. ....... _.._..dR、
I
土,かならずしも,双対価格言玄にひとしくない。 これに関
界収入生産力
d
X
連して,絶対的にあ宣るわけではなし単に非整数値で存在するゆえにあまる
キャバ νティにもゼロ価格がついてしまう。
b) 再計算価格
IP解の直接的な副産物として得られる双対価格 (
t
h
ecomputedp
r
i
c
田)は,
「人為的」キャバ V ティに正値壱つける点で,すっきりしなし九
3
4
) G
omorya
n
dBau皿 01,Qt. d
e
.,p
p
.528-32
5
6 (
4
3
2
)
第9
6巻 第 6号
GomoryandBaumolは,次のようなくふうで,この点の解決をはかる冊。
7
追加制約式は,一般に,はじめの制約式の非負 1次結合から,定数を弓 1
¥、た
ものになっている。そこで,このウエイトを使って,追加制約式に連関する価
格を,はじめの制約式に配分しもどすとし、うことを考える。第 z追加制約式の
構成に,はじめの第 1制約式がウエイト g
'
tで入ってい呂とし,
r
人為的な財
iJの価格が n
" 本来の財 j の価格が町だとす志とき,次の式により,再計
算 価 格 (therecomputedp
r
i
c
e
s
) が を 得 Zのである。
町'=間十手品川
a
l
lg
i
j
;
;
:
:
:
O
π/=0
第 3財 の 価 格 を 聞 か ら 町 ' に か え る コ
〔人為的な肘
z の価格をゼロとおくコ
この価格体系は,本来的なキャパジティだけに価格を与え,しかも依然とし
r
任意のプロセ λ について利潤非正,稼動されているプロセスについて利
て
潤ぜロ」という, LP双対価格の重要な性質を保存す畠ことが主張される問。
しかしながら,この価格体系も,また,いくつかの特殊性をまぬかれること
ができなし
①
再計算価格の値は,追加制約式のえらぴ方に依存し,一般に,一義的で
ない n また MIF法以外の IP解法で得ちれた解には,再計算の手続が適用で
きない。
⑧
LP双対における基本関係
r
資源の総帰属価値=産出物総価値」が成
りたたない。
⑨
「人為的J制約式を構成しているはじめの制約式としづ場合,資源にか
んする制約式だけでなく,非負産出条件均二~O も含まれている。そこで,再計
算の結果,制約式列二~O に正の価格がわりつけられることがありうる。価格体
系としての解釈を保つためには,これを,第 y プロセス稼動 1単位あたり支給
される補場金と意味づけなければならない町。
3
5
) l
b
i
d
.,p
p
.5
3
2
3
3
6
) l
b
i
a
.,p
p
.5
3
3
.5
4
5
7
3
7
) I
b
i
d
.
.p
.5
3
3
(
4
3
3
)
「資金匝分問題」と数理計画法
(2)
5
7
資金配分問題」と再計算価格
第 I節で使った例題のおのおのについて
Gomory and Baumol の提唱す
る再計算価格を求めてみる。
登場する双対価格は 3種 類,pt*,TJ* および 1
'
,
* である。
第 t期の資金の評価 p,
*についても,かならずしも限界収入生産力を示すと
はいえず
I自由財言価格ぜロ」とはし、えない,といラような問題点が含まれ
1
*t.士山aの解釈壱めぐっては,事態は吉らに入り〈んでいる。
ているが. r
a)
r
j
*
_ の解釈
叫に対応する γ γ プレッグス基準であり,
一円三;
0に対応する双対価格であ
るT
戸の値を観察すると ,iXj*=O で T,*>O
Jになっている場合と ,[%J*=l で
J になる場合とを,ともに発見する。
7,*>O
まえの場合は, '/:/プ V ッグス基準の意味からいっても,
1資金配分問題」の
LPモデルのところでみたことからしても,ノーマノレな状況といえる。あとの
場合には
r,
*
"
"
)
b
,-2Jp
.
*
c
,,くO となり,直接的には損失が生じるのに,
(-
プロジェ F トが採用されているのだ。この場合価格体系の斉合性をすくうには,
T,
*だけの補助金が出ていると解釈しなければならなし、。
b)
μfの解釈
万
戸 =1 で 向 *>OJ と
,
的
三
二 l に対応する双対価格 μ戸の値を観察すると, I
fx
,
*=Q で μ
.
,*>O
J との 2つの場合がともに生じている。
LPそデノレについてみたように,向*は, μj
*
:
:
"
, bJ- :
2
J
戸勺旬つまり「のれん」
なのだか
ι,まえの場合に,ふしぎはない。しかし,あとの場合については,
ちょうど μ戸だけの大いさの罰金3町または税金が課されて,採用を抑制してい
ると解釈しなければ,価格体系の斉合性が保たれない。
[3) 分権的決定
整理しよう。 IPの場合の双対価格として, MIF法という特定の IP解法に
依存する I一種の計算価格が案出されている。この価格は一応形式的に,
I
すべ
3
8
) このような円棋を "penalty"と解釈すベきことについては.Weinga
r
:
t
n
e
r,
o
p
.c
i
t
.,
p
.1
0
4
.
5
8 (
4
3
4
)
第9
6巷 第 6号
てのプロセスについて利潤非正,稼動プロセスについて利潤ゼロ」という〔均
衡]条件をみたすが,吟味してみると,本来の資源の価格にかんする情報だけ
による分権的過程では,かならずしも有効生産量を達成できないことがわかる。
1・
2
)を解くのに必要な情報をもっていて,こ
いま,中央機関が, 1Pモデノレ (
れを解いた上で,事後的に,この解に対応す 5双対価格を算出したとしても,
この解を分権的に達成させるためには,ときには補助金,ときには罰金の発動
が必要であって,資源価格の公定・通告だけでは足らないのである c
補助金の必要性は,整数条件の存在に上。て,罰金の必要性は,
上限制約に
よる利潤発牛の可能性がつけ加わ Eことによって生じている。
む す び
投資決定の実務の中から生まれて〈る,ある型の問題を一般化して,
I
資金
配分問題」を考えることができるが,それは 1つの,不可分性の下での最適化
問 題 で あ れ 上 限 制 約 つ き の 整 数 計 画 問 題 に ほ か な ら な い 。 第 I節で, LS法
,
LP, 1Pの
3つの手法を比較した。 LS法はつねに可能解を示すが,最適解
を保証できない。 LPは,不可分性の制約を正確には,
みたさない。 IPが 解
を与える。
第 E節で,
この 1P解 色 分 権 的 機 構 で 実 現 さ せ る こ と が で き る か ど う か を
考え,一般に,資源価格の情報だけでは,かならずしも実現できないことを見
た
。 LS法の手続は,
資源価格のみを手引とする競争過程によって解を得よう
とするこころみだと解釈できるから,これがうまくゆかない理由も裏づけられ
たわけである。
技術的な問題から出発したが,われわれのたどってきた道は,資源の有効配
分機構という問題の平野に通じている。
(
4
3
5
) 5
9
>
「資金問分問題」と数理計画怯
例題
1
.
, P,
P
6
日
5
5
単位百万円
C , ~10
(1] 順位づけ法および LS法 %1*=1,%
2
宇 =0
,%3*=0
.6
7
'
2
:
:bJXj*=10
;Al*=4,ρ1*=1
[2J LP:%1キ ~1
王1*=0μ1*=2.8
x2*=O.8
正戸=且 2
μ2
本 =0
%3*=0
x s * = l μ計=0
il{=O
.2
ρ1*=1
n*=O
12*=0
Ts*=O
~bjlrj*=14.8
(3J IP: %1*=0
① IP解 内*=1
%1*=1
X2キ ~O
:
'
:
3
*
=
1
A
.1*=O
%3*=0
:
EbJ
X
j
*
=
;
=
1
2
@
IP 双対価格
a) MIF法が直接与えるもの
μ1*=0
μ"ド=0
μ汁=0
ρ1*=0.5
例題
b) 再計算価格
γ1*=0
的字国
2
,
8
γ円 ~O
μ2*=0
1
'2
*=0
μ3*=0γ3*=0
.2
ρ1*=1
T:!,'神 '~O
rs*=O
2
.
;Z
1
,
九
b
c
"
c
"
(1) LS法
%1*=1
X2*=0
%s*=l
14
1
2
3
, P, P.
P
17
5
4
7
17
6
6
1
5
6
2
, P, P, P, P,
P
4
0
3
0
3
5
1
2
6
6
(Lorieand Sa
v往 geの計算結果)
%4*=1
X
f
j
* o
x♂=1
閏
%7*=0
%8*=0
%0*=1
T
l*=0
.
3
3
P2*=1
~bJxJ*=70
1
4
48
4
1
0
3
6
3
1
2
18
3
予算
C1=50
C , ~20
6
0 (
4
3
6
)
第9
6巻 第 6号
,
(2J LP
%1*=1
%2*=0
%3*=1
.
x
.
.
*
c
=1
内
*=0
目
%*=0.970
%7*=0.045
.
1
18
*=0
%9*=1
て3J IP,
①
%1*=1
%,牢 ~O
%3*=1
%4*=1
Xl*=O
%2*=1
%3*=0
五*=0
.
ll*=O
*=O
A2
%,ホ ~1
%6*=0.030
.
1
'7
*=0.955
xB*=l
%9*=0
:
:
:
8b
P
.
'
"
J
*
=7
0
.
2
7
IP解
向精 ~1
五J*=1~Xj*
%7*=0
(j ~l" ・, 9)
.
:
¥
'
6
*
=
0
%9*=1
IP双対価格
a) MIF法が直接与える価格
μ♂ ~6
γ1*=0
ρ1*=0
,
μ*=0
μ3*=5
μ
4申 ー 10
μ11*=0
μ6*=0
μ7*=0
μ8*=0
μ9*=3
例題
γ1*=0
γ2*=3.
4
1
fa*=O
t
.
.
*
=
O
r
t
i
*
=
2
9
.
3
2
γ♂ ~O
γ戸 ~O
μ♂ ~6.77
μ2*=0
μ3*=5
.
0
μ4.*=10.45
μ
il}*=O
μ0*=0
μ円 ~O
T8*=0.5
γ
'
9
*
=
0
μ8*=0
μ♂ ~3.95
A1*=2
1
*=0
1
1
~bJxJ*=70
%,キ ~O
@
ρ1*=0.136
ρ2*-1
.8
64
T2*=3
γ3*=0
γ
'
4
*
=
0
T
/
i*
=29
γ
'
6
*
=日
γ
'
7
*
=
0
T8*=0
T9*=0
ρ2*=1
π1*=0
π!.I*=o
π3*=1
(~議!?)
b) 再計算価格
μ♂-6.77
μ2*=0
μ3*=5.0
ρ ♂ ~10.45
μ
u
誤信司 O
μ
,
*
目
。
μ円 ~O
μ
福*=0
μ
a本 -3.95
ρグ ~0.136
γ
'
1
*
=
0
γ2*=3.41 ρ2*=1.864
γ3*=0
γ
'
1
*
=日
T
I
I
*
=
2
9
.
3
2
γ
'
6
*
=
0
γ
'
1
*
=
0
T8*=0.5
γ
'
9
*
=日
3,
三竺ト
,
, P, P, P, P, P, P,
P
b
7 1
1
4 1
7 1
5 40 1
2
"
'
c
"
12
3
(1J LS法
5
4
7
6
6
6 3
0
2 3
5
6
6
14 10 12
48 36 18
4
3
3
1
5
6
7
手算
C1
=50
C2
=20
〔グラフによる)
%1*=1 %8*=1 %0*=0 %7*=0 %9*=0 Tl本国 2
0 ρF
,ρFはユユークでなし、
%2*=0 %
4
本=1 %0*=0 %8*=0 %
10*=1 ん = 伊 豆 b的 *-61
,
(
4
3
7
)
「資金四分問題」と数理計画法
6
1
(2J LP
,
x事 -1
%2*=0
%3*=1
.
x
市
-1
%
1
1
*
=
0
%0*=0
xi*=Q.936
%8*=0
%9*=1
%
1
0
*
=
0
.
8
2
1
γ1*=0
xJ*=l-xJ
ポ
(j~ 1
,
.
.
.
,1
0
)
T2~=3.846
ρ
グ_
0.122
A
*=O
1
A
*=0
2
ρ2*=2.038
~bJxJ*
γ
♂-0
γ
'
,,*=0
γ
♂-35.0
γ0*=0.962
γ
戸 _0
γ8*=0.5
γ
'
9
*
=
0
γ
'
"
事 _0
-71.205
μ汁 _6.423
μ計 -0
μ
1
1
*
=
4
.
0
3
8
μ汁 =10.192
:
μ計 -0
μ0*=0
μ戸 -0
μ0*=0
:
μ9*=3.692
向。市 -0
(3) IP
① IP解
.
:
¥
'
1
*
=
1
%(1
*=1
xJ*=l 町* λグ_2
x,*=0
%1*=0
(j=1,ー
,
10
)
A,
*-O
%3*=1
%
8
'
事-0
%4*=1
%9*=1
~bJXi*= 7
0
h本 =0
%10*=0
@ IP双対価格
a) MIF法が直接与える価格
b) 再計算価格
μ1
梅田6
.
423 r
本
,-0
μ1*=6
T1*=0
ρ1*=0
日市 3.846
ρ2*=0
n*=3ρ2*=1
μ2*=0
μ計_3
μ9*=4.038 T3*=0
γ
'
2
*
=
0
向 *-10
.
192 γ
♂-0
π1*=0
μ4*=9
T4*=0
μ
.
'
ド=日
πβ-0
To*=35.0
μ0*=0
γ6*=35
πs*=o
γ0*=0.962
μ0*=0
γ
'
(
1
*=0
μ(1*=0
πF 1
汁-0
γ
μ戸-0
μ7*=0
γ
汗 -0
r
牢
,-0.5
π11*=0
向 *=0
μR*=O
T9*=0
μ計_3
'
Q
*
=
O
μ
1
1
*
=
3
.
6
9
2 γ
γ
'
3
*
=
0
μ10*=0
γ19*=0
向。*=0
T10*=0
'
ρ1*=0.122
ρ~*=2.038,
置
両
院
キ
*
番考文献
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2
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第9
6巻 第 声 号
1
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lProgm明 問 問ga吋
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例" 1
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