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チョウの物語を読み解く

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チョウの物語を読み解く
チョウの物語を読み解く
チョウは一生の間に、卵→幼虫→蛹→成虫と形態も生活の仕方も食べ物も大きく変えます。 世代交代を何度もくり返しながら、長い時間をかけて種に分かれてきました。
仲間はどのようにして増えたのだろう。
世界に12万種と言われているチョウ達は共通の祖先種から分かれてきました。チョウの進化の特徴の1
つは食草を変えてきたことです。アゲハチョウのなかまで、食草と関連しながらの進化を読み解くことが
BRHのテーマの一つです。
ウマノスズクサ
ミカン
クスノキ
ジャコウアゲハ
アオスジアゲハ
ミカン
シロオビアゲハ
ナミアゲハ
セリ
キアゲハ
→
→
食草転換
多様化
→
食草転換
祖先種
身近なアゲハチョウのなかまを見てみましょう。この図で一番祖先種
に近いのがジャコウアゲハ。現存のジャコウアゲハの祖先の中にクスノキを
食べるチョウが現れ、それがアオスジアゲハになり、そこから次々と
食草を変えては分かれるをくり返して、多様になってきたと考えられます。
→
チョウは植物をどうやって選ぶのだろう
チョウの特徴は幼虫が特定の食草をもつことであり、その変化が進化につながりました。成虫はどのようにして 食草を見分けているのか。研究はまずここから始まりました。
食草を見分ける方法
チョウの前脚にはふ節と呼ばれる味を感じる組織があり、 そこにたくさんの感覚毛が生えています。
チョウの前脚にはふ節と呼ばれる味を感じる組織があり、そこにたくさんの感覚毛が生えています。
チョウが葉を前脚でたたく(「ドラミング」と呼ぶ)と、葉の表面にある化合物が、感覚毛の先端にあ
る小さな穴から中に入ります。これが味覚神経細胞の細胞膜に並ぶ受容体に結合し情報は脳へ
と送られます。こうして、適切な食草を見分けて産卵しているのです。
このしくみは私たちの舌と同じ。生きものの研究をしていると必ずどこかに人間とのつながりが見
えるのが興味深いことです。
メスチョウの前脚部分
味を感じる組織
身近な生きものチョウから生命誌を考える
「チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ」では、ナミアゲハが食草を見分けるための味覚受容体遺伝子を
発見しました。食草に含まれる10種の産卵刺激物質の一つシネフリンを認識する受容体です。 ろ紙に産卵刺激物質を含ませ、 人工的に産卵させる実験のようす
ミカン科食性のアゲハの産卵刺激物質 シネフリンとスタキドリンが3種のアゲハに共通した産卵刺激物質である。
シネフリン受容体遺伝子の働きを阻害したナミアゲハは、シネフリンとカイロイノシトールを混ぜた溶液(通常
与えた場合は70%の確率で産卵する)に卵を産まなくなることがわかり、遺伝子から行動までをつなげること
ができました。多くの産卵刺激物質の中で、同じミカン科を食草とするシロオビアゲハやクロアゲハもシネフリ
ンを認識します。そのため、シネフリン受容体遺伝子を手がかりにアゲハチョウの進化の研究を進めていこう
と考えています。 詳しい研究内容が知りたい方は、ラボのページをのぞいて下さい。
チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ
h+p://www.brh.co.jp/research/lab01/
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