...

No. 15 1993 年 10 月 10 日発行 情報理論研究

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

No. 15 1993 年 10 月 10 日発行 情報理論研究
1993 年 10 月 10 日発行
No. 15
情報理論研究(日本)のあけぼの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・有本 卓
SITA'93 のお知らせ(2) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・林 彬
ITW'93 報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今井 秀樹,高田 豊雄
国際会議報告
AAECC-10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・斎藤 雄一
ICC'93・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・野島 聡
VTC'93・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・水井 潔
博士論文要旨
離散確率システムの代数的研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伊藤 尚史
記憶/記録装置に支配的な誤りを制御する符号に関する研究・・・・・・・・・・・斎藤 雄一
ISITA'94 Call for Papers
平成5年度第1回理事会議事録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・事務局
情報理論研究(日本)のあけぼの−その1
有本
情報理論の研究がもはや国際的な規模で広がり, SITA
が既に第 14 回を迎えようとする今,情報理論の研究活動
が衰退するとは思えない.しかし,ここに至る迄の研究活
動の衰退の歩みを振り返って見るのも何かの参考になるか
と思い,遅筆にむちうつので,少しだけお付き合いいただ
きたい.
我々の年代の多くが始めて情報理論を知ったのは 1957
年に発刊された岩波講座「応用数学」の一分冊によってで
あろう.これは喜安善一・室賀三郎著「情報理論」[1]で
ある.わずか 100 頁余の冊子だが, 1948 年に発表された
C.E.Shannon の長大な論文[2]の主張は,ともかく,日本
語でよく伝えている.小生は大学を 1956 年に出て会社に
入り,会社の直属の上司からこの本の存在を教わった.し
かし,大学を出たばかりの若輩には情報理論の数学的意味
も,工学的な意義も判りはしなかった.何とか理解でき
-1-
卓(東大)
たのはエントロピーの定義と,エントロビー関数の持つ不
思議さくらいであろうか,人づてであるが,室賀三郎(現
Illinois 大学教授)等も Shannon の論文は数回以上も読み
返したと聞いている.ところで,喜安・室賀の本には誤
り訂正符号の基本的な考え方が既に紹介してあり,その数
学的かつ工学的意義は明確に理解できた. 1950 年代後半
から 1960 年代にかけて行なわれた情報理論関係の研究が
室賀三郎氏の研究を除いてほとんどが符号理論であったの
も,小生には理解できる.符号理論では 1960 年前後,既
に,東北大の本多波男,野ロ正一氏,電々公社武蔵野通研
の喜安善一,室賀三郎氏,阪大の嵩忠雄氏の論文が出版さ
れ始めていた.小生自身は会社では電子計算機の開発に
携わった.1960 年前後,記憶装置は磁気ドラムからコア
メモリーに移る頃であったが,コアメモリーとその駆動回
路には種々の不安定要因があり,展示会に出した計算機の
デモンストレーションが頓座するのは,あちらこちらで起
こるビット誤りであった.少なくとも,簡単なデモンスト
レーションくらいは通せるようにしたいとの思いで,必死
になって考え出しだのが, GF(p)上の Van der Monde 行
列を生成行列とする誤り訂正符号である.素数pを適当に
取ると,計算機の 1 word 単位の誤りも訂正できるので,こ
れはうまく行き,デモンストレーションも成功した.しか
し,欧米ではBCH符号や RS 符号がちょうどその頃生ま
れたことを知る由もなく,しかし,力づくで復号化のアル
ゴリズムを思いつき,論文にまとめたが,上司に論文とし
ての価値を認めてもらうのが大変であった.シンドローム
から作られるハンケル行列の rank が誤りの個数に対応し,
これが線形システムの McMillan 次数に対応することにな
るのだが,苦心して考えたアイデアは後に Peterson の論
文に発表されたものと基本的には同じであることを知り,
残念な思いをした.しかし,これも国際的な学会誌に出す
すべを知らなかったのだから,どうしようもなかった.と
もかく,この論文はできたばかりの情報処理学会誌[3]に
掲載されたが,誰からも注目されなかった.
1960 年代は,符号理論は一大発展期を迎えたが,シャノ
ン流の情報理論は日本では声高に,もう dead であると
言われていたようである.電気通信学会にあった「イン
ホメーション研究専門委員会」は 1952 年に発足はしたの
だが,1960 年代になると発表論文は,符号理論の他は,文
字認識の論文がほとんどを占めることになる.近い所に
「オートマトンと自動制御」研究専門委員会があり,これ
らいくつかの研究専門委員会の肝入りで, 1963 年には「情
報と制御の研究」と題したトラズアクションズが発刊され
はしたが,これも1∼2年で中止になった. 1960 年代は情
報理論の暗黒の時代であったのかもしれない.他方,親戚
関係にある分野で研究活動がにわかに活発化していったの
もこの頃であった.電子計算機が最も将来性のある産業で
あることは誰も疑わなかった.自動制御はオートメーショ
ンのかけ声とともに,現代制御理論と総称される新しい手
法を産み出した.サイバネティクスを唱えた N.Wiener 流
の研究が日本で広く普及したのもこの頃であった.パーセ
プトロンが誕生し,そしてパターン認識の研究が絶頂に入
りつつあったのも 1960 年代の後半である.
Shannon の情報理論のシャープな結果は美しいが,応用
の裾野が狭いと評された.これに対して,Wiener のサイ
バネティクスはすべてを包含しようとし,なかんづく人間
-2-
の脳周辺の信号処理をも研究対象にして,魅惑的に見えた.
二人の意見の相違は, Shannon がまず IRE Trans. on Information Theory の巻頭言として書いた1頁[4]と,おそ
らくこれに答えんとして書いたと思われる Wiener の巻頭
言[5]によく現れている(この二つの対比については別の
機会に書いたことがある[6]).
1960 年代,情報理論の教科書(むしろ専門書)としては,
1961 年に発刊された R.M.Fano の Transmission of Information[7] しか存在しなかった.これは早くも 1965
年,日本語として翻訳され,紀伊国屋から出版された.翻
訳代表者の宇田川鮭久氏の訳者あとがきを読むと,翻訳の
協力者として名古屋大学の当時の研究グループの若い人々
(現在は皆,それぞれの分野の泰斗)の名が読める.残念な
がら宇田川先生はその後まもなく亡くなられるとともに,
1970 年前後には日本では Shannon 流の研究は途絶えてし
まった.こうして 1972 年,電気通信学会のインホメーショ
ン理論研究専門委員会は消えたのである.事情は, オー
トマトン と インホメーション理論 の二つの委員会が
発展的に改組されて, オートマトンと言語研究専門委員
会 と パターン認識と学習 が後をつぐことになったが,
ともかく,これで電気通信学会からは Information Theory は消えたのである.他方, 1960 年に設立された情報
処理学会は 1970 年前後にはやっと基盤が堅まったが,逆
にコンピュータとその周辺に関係する以外の論文は目につ
かない状況になっていった.これは,後に,全国の大学
から情報工学科が生まれ,元々少なかった通信工学科の名
前が名前が段々と消えて行き,残っているものを数えると
顎然とすることにつながる.コンピュータ産業の行先が
見え出した今,産業としての裾野は,逆に衛星通信と情報
ハイウェー(光ファイバーネットワーク)の時代に入って,
通信関連産業の方がむしろ広がるように思える. IEEE
の 21 世紀の未来戦略[9]に関する委員会のレポートを読
むと,そこで掲げられた 21 世紀の IEEE の7大チャレン
ジのほとんどは通信革命が鍵となることが判る.地球上
の人と人が,どの場所にいても,瞬時に高速に実時間でコ
ミュニケートできることをゴールとするとき,チャンネル
に応じ,高速ビット流を自由自在に加工(符号化,復号化)
する詳細な技術展開が避けて通れないはずである. 1970
年前後に日本で情報理論の研究の灯は消えようとしていた
が,世界史的に見ると, 1970 年前後から情報理論は装いを
[5] N. Wiener, "What is information theory?", IRE
Trans. on Information Theory, Vol. IT-2, No. 2,
p. 48, (1956).
新たにし,Shannon の枠組みをはみ出す新しい考え方が生
まれるのである(続く).
参考文献
[1]喜安善一・室賀三郎,「情報理論」(岩波現代応用数
学講座),岩波書店, (1957).
[6]有本卓,「シャノン−ウィーナーとの学風の違
い」,岩波講座情報科学月報 8, (1984).
[2]C.E.Shannon. A mathematical theory of communications", BSTJ, vo1. 27, pp. 379-423 and
634-656,(1961).
[7] R.M. Fano, Transmission of Information Theory,
MIT Press, (1961).
[8]宇田川銈久訳(同上の訳),「情報理論」紀伊國屋書
店, (1965).
[3]有本卓,「P元群符号系の符号化,復号化と誤りの訂
正機構」,情報処理. Vol. 2, No,2,pp. 320-325,
(1961).
[4]C.E. Shannon, The bandwagon", IRE Trans on
Information Theory, Vol. IT-2, No. 1, p. 3,(1956).
[9] IEEE, "A new supplement to IEEE Spectrum",
Vol. 17. No. 4, July/August, p. 9,(1993).
SITA'93 のお知らせ(2)
SITA'93 公報渉外担当
彬(金沢工大)
●加藤 聖教授(金沢大医学部):
おける情報処理機構
先のニューズレターでご案内のとおり,今年度のシンポ
ジウムは下記の日時場所で開催されます.
開催日:
会議場:
林
●Prof.Magnus Halldorsson(Jaist):
algorithms
1993 年 10 月 19 日(火)-10 月 22 日(金)
金沢シティモンドホテル(金沢市)
神経網膜に
Online
[ワークショップ]詳細は未定ですが,5件を予定していま
す.
今回は,一般講演,特別講演,ワークショップについて御
案内します.
[一般講演]一般講演発表申し込みは 206 件を数え,内 12
件は海外からのものです.講演のプログラムは9
月 13 日の第3回実行委員会で決めることになって
います.
●シャノン理論,情報源符号化
●符号関係1
●符号関係2
●暗号,情報セキュリテイ
●カオス的疑似乱数
[特別講演]各1時間の特別講演が3件あります.
●韓 太舜教授(電通大): Approximation
theory of output statistics"
多くのかたがだが金沢に参集されることを期待していま
す.
-3-
ITW'93 報告
今井秀樹(東大),高田 豊雄(奈良先端大)
6月4日から8日までの5日間,静岡県裾野市の富士
教育研修センターで ITW'93
(1993 IEEE Information
Theory Workshop)が開催されました.
IEEE の IT-ソ
サエティ(IEEE Information Theory Society)が主催
で,本学会と電子情報通信学会の情報理論研究会とが協賛
です.このワークショップは, 1990 年にハワイで開催され
た ISIT の際に,その当時 IT-ソサエティの次期会長にな
ることが決まっていたモトローラ・コデックスの Forney
博士から日本での開催の依頼があり,ハワイ大学の Lin 教
授と私とで企画したものです.その後,1991 年の ISIT の
際に開催された IT-ソサエティの理事会(Board of Governors Meeting)で正式に決定し,今回開催の運びとなっ
たのです.
ITW'93 の参加者は 15 ヶ国から 111 名を数えました.
うち日本から 64 名,北米から 27 名,ヨーロッパから 14
名,日本以外のアジア・オセアニアから6名でした.テク
ニカルプログラムは 10 セッションからなり,計 57 件の講
演がありました.各セッションのテーマとオーガナイザは
次の通りです.
これらの 10 セッションのうち, Recent Results (A)
と(B)はパラレルセッションとしましたが,それ以外の8
セッションは同一の部屋でシリアルに行いました.
ソシアルアクティビティとしては,レセプション,バン
ケット,および富士山への半日のエクスカーション,夕食
後の太鼓ショーなどがありました.また,会期中 IT-ソサ
エティの理事会が開催されました.
各セッションのオーガナイザのご努力によって,本ワー
クショップの内容は非常に水準の高いものになったと思い
ます.事実,ほとんどの講演は,最もアクティブな研究者の
最新の研究成果の発表でした.また,理事会が開催された
こともあり, IT-ソサエティの主だったメンバー多数の参
加を得ることができましたから,各セッションとも大変熱
の入ったものとなりました.このワークショップで,新し
い研究のテーマを見いだしたという研究者も少なくなかっ
たようです. Forney 博士からも,ITW'93 が極めて実りの
多いものであり,研究上の大きなヒントを得ることができ
た,というお礼状を頂きました.これは,私どもとして何よ
りも嬉しいことです.
ソシアルアクティビティの方も概して評判がよく,太鼓
ショーなどは,スタンフォード大学の Cover 教授をはじ
め多くの参加者が飛び入りで太鼓を叩き,いやが上にも盛
り上がりました.ただ一つ残念であったのは,会期中晴天
には恵まれず,富士山が見えたのが僅か 10 分間だけだっ
たということです.しかし,夕暮れがせまるこの 10 分間
に,参加者の多くが,館内放送の案内で,富士山の見えるロ
ビーに集まりました.しかも,このとき思いがけず,コーネ
ル大学 Berger 教授の素晴らしいハーモニカ演奏による伴
奏が入りましたので,この一瞬は参加者の心に鮮やかな印
象を残したのではないかと思います.
・ Coded Modulation (D.J.Costello, Jr., H.Imai)
・ Source Coding (T.Berger, K.Kobayashi)
・ MDL Principle and Its Applications (J.Rissanen,
S.Itoh)
・ Applications of Coded Modulation (J.Hagenauer,
S.Kato)
・ Error Correcting Codes and Other Coding Techniques (S.Lin, R.Kohno)
・ Applications of Coding to Magnetic Recording
(B.Marcus)
・ Recent Results (A), (B) (O.Hirota)
・ Algebraic Geometric Codes and Their Applications (R.Pellikaan, S.Sakata)
・ Shannon Theory (S.Verdu)
今回のワークショップは参加者の多くから成功と評価さ
れたようです. IT-ソサエティの現会長の Schwartz プリ
ンストン大学教授をはじめ何人もの方々からお礼状を頂き
ました.
Schwartz 教授は ITW'93 が IT-ソサエティ主催
の最高のワークショップの一つとして記憶されるだろうと
-4-
おっしゃって下さいました。また,参加していない方から
も,国際会議などで本ワークショップの評判を聞き,参加
できなかったのを残念に思う,というお便りをいくつか頂
きました.
ITW'93 の成功は,何と言っても,各セッションのオー
ガナイザおよび講演者の方々の並々ならぬご協力,そして
電気通信普及財団,国際コミュニケーション基金,井上科
学財団および九つの企業からの暖かいご援助によるもので
す.また,実務の中心となって活躍して頂いた横浜国立
大学の河野助教授をはじめ横浜国立大学,東京大学の教職
員・学生諸君の献身的な働きがなければ,本ワークショッ
プは開催することすらできなかったでしょう.これらの
方々に,この紙面を借りて,あらためて心から感謝申し上
げます.
(今井秀樹)
ITW'93 に参加して
1993 IEEE Information Theory Workshop (ITW '93)
の参加者の宿泊施設としても用いられました。)あいさつ
が静岡県裾野市の富士教育研修所で、平成5年6月4日
に立たれた方々が、ことごとく円高に言及されていたこと
を覚えています。
から8日まで開催されました。
私が IEEE の IT Workshop に参加するのは今回が2度
エクスカージョンは6月6日午後、バスで富士山中腹迄
目なのですが、この IT Workshop の最大の特徴は、セッ
登る等が行なわれました。私は実は参加しなかったのです
ションが1列であるということです。(Recent Results
が、参加された外国の方の話では、なかなか良かったよ、
のセッションだけは2並列でした。)そのため今回は、日
とのことでした。
頃、パラレルセッションのために聞くことが難しい分野の
今回の会場はまさに富士山の裾野にあります。報告者
発表を聞くことができました。また、パラレルセッション
は 1986 年暗号と情報セキュリティシンポジウムでー度
形式でないため、発表に対して異なる研究分野の参加者か
訪れたことがあったのですが、そのときは間近に見る富士
らの質問・コメントが投げかけられ、そこからなかなか興
山の雄姿に圧倒される思いでした。しかし今回は、時期が
昧深い論戦が操り広げられるという光景が各セッションで
時期ですからしょうがないのですが、天気の良くない日が
数多く見られました。
続き、なかなか富士山が姿を現しませんでした。しかし、
また、IT Workshop は発表件数、参加人数が ISIT
ようやく最終日に姿を現し、参加者の目を楽しませてく
と比較してかなり少数です。そのためもあり、今回の
れ、外国から来られた参加者の方も喜んでいらっしゃいま
Workshop では、例えば ISIT と比較して、よりうちとけ
した。
た、こじんまりとしているが親密な雰囲気が全体に感じら
また会場が、森林、草原等自然環境の豊かな落ち着いた
れました。きっと東大の今井先生、横国大の河野先生をは
所にあり、散策等にもってこいの場所にあるため、休憩時
じめとするオーガナイザの各先生方も、そんな雰囲気作り
間等に会場建物周辺で散策しながら討議する参加者の姿を
のためにいろいろ苦心されたのではないかと思います。
多数見かけました。
恒例のバンケットは6月5日の夜に御殿場市のサング
以上、ITW
リーンホテル富士で行なわれました。(このホテルは一部
-5-
93 参加報告でした。
(高田豊雄)
国際会議報告
10th International Symposium
on Applied Algebra, Algebraic Algorithms
and Error Correcting Codes
斎藤雄一(東大)
なお,例年通り Proceedings は Springer-Verlag より出
版され,Registration のときに配布されました.
第 10 回応用代数・代数的アルゴリズム・誤り訂正符号
に関する国際会議(AAECC-10)がプエルトリコの首都
San Juan にある University of Puerto Rico で, 1993 年
5月 10 日(月)から 14 日(金)までの間開催されました.
AAECC-10 における発表件数は 33 件で,うち日本人の
参加者は私一人でした.従来 AAECC には必ず数名の日
本人が参加していたことを考えると,日本人としては寂し
いシンポジウムとなりました.
講演は朝9時(月曜のみ 9:30)から夕方5時まで(水
曜・金曜は昼まで)行われ,多い日には 10 件の講演があ
りました.毎朝の1時間には以下の招待講演が組まれまし
た.
月曜:A. R. Calderbank, Sequence baced methods for
data transmission and source compression"
火曜:H. M. Möller, Systems of algebraic equations
solved by means of endomorphisms"
水曜:(Withdrawn)
木曜:R. A. Scholtz, Criteria for sequence set design
in CDMA communications
金曜:M. Sweedler, Using Groebner bases to determine
the algebraic and transcendental nature of field
extensions: return of the killer tag variables" (30
分講演,10:30-11:0O)
シンポジウムの名が示しているように,もともと数学的色
彩が濃い会議ですが, Calderbank や Scholtz の発表のよ
う に E n g i n ee r に 馴 染 みや す い も の もあ り , 一 般 講演 に は
代数幾何符号の復号法で有名な Feng and Rao の発表(講
演者は Feng)もありました.
G. L.Feng and T. R. N. Rao,
A class of a1-
gebraic geometric codes from curves in highdimensional projective spaces."
-6-
G. Cohen, T. Mora, and O. Moreno
(eds.), Applied Algebra, Algebraic Algorithms and Error-Correcting Codes, Lecture Notes in Computer Science, vol. 673,
Springer-Verlag, 1993 (355 pages).
今回 AAECC は 10 回目を向かえましたが,そのことを
記念して第1回シンポジウムより長年 AAECC に功績の
あった Professor Alain Poli に記念の盾が送られ,記念撮
影が行われました.
シンポジウムが開催されたプエルトリコは,大西洋とカ
リブ海の境に浮かぶ島国で,その面積は 8900km2あり,東
京都の4倍以上,山形県とほぼ同じ広さです.島は東西約
180km, 南北約 60km で,北が大西洋に,南がカリブ海に
面しています.日本からの直行便はなく,アメリカの主要
な空港で乗り換えることになります.プエルトリコはつい
100 年ほど前まではスペインの植民地でしたが,現在はア
メリカ自治領となっており,アメリカからの出入りには植
物検疫以外何もチェックがなく,通貨も US ドルとなって
います.公用語はスペイン語ですが,首都 San Juan では
英語が通用します.気温は年間通じて 25 度前後ですが,5
月から 12 月までは雨期にあたり,私が滞在した5月はオ
フシーズンにあたります.したがって一日中青い空という
日はなく,誘惑は少なくて良かったといえますが,-13 時
間という日本との時差には悩まされました.
1993 IEEE International Conference
on Communications
野島 聡 (富士通研)
1993 IEEE International Conference on Communication (ICC'93)がスイス,ジュネーブにある
CICG(International Conference Center Geneve)とITU
ビルを会場として, 1993 年 5 月 23 日(日)∼26 日(木)
の間,開催されました.本コンファレンスは IEEE の主催
で,年一回開催される通信分野の主導的な学会で,権威も
高いものです.今年のICCは,ICC/Globecom (IEEE
るセッションが非常に多くの聴衆を集めた形となり,200
Global Telecommunications Conference)をそれぞれ3
人以上は収容可能な会場で,立ち見が多数出る様な状況で
年毎に米国以外で開催するという方針が適用された最初の
した.
ICCに当たり,例年より早めに開催される形となっていま
会場の施設は通常ITUのミーティングをやる所でもあ
す.米国以外ということで参加者がどの程度になるかが注
り,聴講者席各々にヘッドホーンがある事を始めとして,
目されましたが,結局エントリーは 1500 名程度,実際に来
プレゼンテーション設備が非常に充実しているとともに,
場したのは 1300 名程度と盛況であったとおもいます.論
出席者は市営バスが無料で利用できる,と言った形で交通
文は計 368 件が発表されましたが,投稿された論文総数
の便にも十分な配慮がされていました.ジュネーブとい
は 800 件以上に昇ったとの事で,採録率が 50 非常に厳し
う所は非常に物価が高いと言う点を除けば,総じて今回の
い論文審査が成されたとの事です.
ICCは充実したコンファレンスであったとの印象です.
コンフアァレンスは 24 日朝に,Inmarsat の DirectorGeneral である Mr. Olof Lundberg の
尚,次回の ICC'94 は Supercomm'94 との併催となり,
Keynote ad-
1994 年 5 月 1 日∼5 日に米国ルイジアナ州,ニューオー
Mobile Satellites and the Shrink-
リンズで解散される予定となっています.投稿の締め切り
ing Planet")に始まり,続く3日間(24 日∼26 日)に9の
は,既に過ぎていますが. 1993 年 8 月 31 日となっていま
パラレルセッションで計 54 のテクニカルセッション,最
す.
dress
(タイトル:
終日(27 日)には6件のワークショップと 11 件のチュー
トリアルが行われ,これらがいずれも朝 9:15∼夕 5:30 ま
での,かなりタイトなスケジュールで進められました.一
方,招待講演としては,24 日にドイツ航空宇宙研究所の
Prof. Joachim Hagenauer が Awards luncheon 講演(タ
イトル:
The Benefits of Coding in Space and Ev-
eryday
Communications")を,また,25 日にはITUの
Secretary-General である Dr. Pekka Tarjanne が Banquet スピーチ(タイトル:
Communications Technology
and the United Nations")を,それぞれ行ないました.い
ずれも,今回のICCのコンセプトである
Communica-
tion Technology that Unites Nations" に相応しい,興味
深い講演でした.
テクニカルセッションの論文総数(368)について,筆
1993 IEEE Vehicular Technology Conference
水井潔(関東学院大)
IEEE Vehicular Technology Society の 43rd Vehicular
Technology Conference (VTC'93)が5月 17 日から4日
間,アメリカ NJ 州 Secaucus の Meadowlands Hilton で
開催された. Secaucus は New York から車で数 10 分の距
離にある街で,特に観光都市というわけではない.会場の
ホテルの周りにはレストランなども少ない.また,ICC な
どのように,オプショナルの観光ツアーの企画もなく,参
加者は積極的にセッションに参加し,発表を聴講していた.
既に. IEEE VTS News (vol. 40, No. 3, August 1993)
に報告されているが,
頭著者の国別内訳を見てみると,米国 141(38 フランス 15,
参加者
670 名(学生 150 名を含む)
イギリス 13,スイス 10 の順で,ヨーロッパ開催の影響か
セッション数
55 セッション
らか米国,日本の比率がいつもよりやや少なめであった様
論文件数
243 件
です.また,機関別を見ると,北米の大学関係(発表者は教
授,学生様々である)が計 81 件と非常に多く採録されて
であった.セッション分野ごとの地域別論文数は表の通り
おり,研究者の層の厚さを感じさせるとともに,発表のレ
である.このVTCは,交通関係の電気分野の国際会議で
ベルが非常に多岐に渡っていたのが興味深く感じられまし
あるが,現在の交通を取り巻く環境が「通信」と切っても
た.セッション構成は,無線から超高速の光通信まで多岐
切り放せない状況であることを端的に表しているように,
に渡りましたが,網アーキテクチャ,通信方式,アプリケー
セッションも CDMA や SS, PCN に代表される無線通
ション/トライアル報告,等のシステム的な報告が多くを
信関係が多くなっている.また,実験やシミュレーション
占める形となっています.そのなかで B-ISDN(ATM)関
によるデータや理論解析などの発表だけでなく,コンセプ
係の実際のサービスについての検討,トライアル等に関す
トのみに発表も多く,これは, VTC の特徴ということがで
きるのではないかと思われる.
-7-
この他, ICCやGLOBECOMのようなお祭的なウエ
ルカム・パ−ティーはなく,懇親会のようなレセプション
が行なわれた.昼食時には,Keynote Luncheon, Awards
Luncheon, Invited Speaker Luncheon が聞かれた.各
Luncheon の内容に関しては,IEEE VTS News (前出)に
掲載されている.
来年度の VTC'94 はスエーデンの Stockholm で6月
11 日から5日間の予定で開催される.本年以上の会議と
なることを期待する.
セッション分野ごとの地域別論文件数(但し,キャンセルされた論文件数もカウントしている可能性あり.)
-8-
博士論文要旨
An Algebraic Stydy on Discrete Stochastic
Systems
(離散確率システムの代数的研究)
東京大学伊藤尚史(現電遠大情報工学科)
本論文は確率論・システム理論・情報理論の基礎に横た
わる諸問題を離散確率システムとして定式化し研究するも
のである.
離散確率システムとは,入力として1文字を受取ると,
その文字と過去の履歴(どんな文字を過去に受取り出力し
たか)によって定まる確率で,次の1文字を出力するよう
なブラックボックスのことである.ただしここで入力の文
字集合と出力の文字集合は一致している必要はないが有限
であるとする.例を掲げるならば
問である.本論文においては,この問題はより一般的な形
で解決される.また「分類問題」とは,複雑で自由度の大
きいシステムの入出力関係を簡単で自由度の小さいシステ
ムのそれで記述できるのはどういう場合なのかを調べる問
題のことである.
本論文は、これらの問題を解決する際の数学的道具とし
て非可換環上の加群(module)の理論を用いる.この手法
は A. Heller により 1965 年に創始されたものであるが,
25 年以上にわたり殆んど忘れ去られていたものである.
ここでは Heller の理論を整備し,発展させる.
この結果,システムの性質と既約加群の性質に対応がつ
くことが分かり,システムを研究することは既約加群を研
究することに他ならずまた逆もそうであるということにな
る, これが本論の主要な成果である.
・記憶や雑音のある通信路
・情報源モデル
Theory and Design of Error-Control Codes for
Byte-Organized/Input-Restricted Storage
Devices Where Unidirectional/Peak-Shift
Errors Are Predominant
・確率的オートマトン
は離散確率システムとみなせる.情報源モデルは離散確率
システムのうちで特に入力が一種類のみのシステムの場
合,つまり,各時刻に同期信号を受けとり確率的に文字を
発生するシステムの場合と考えられる.また,確率的オー
トマトンは記憶や雑音のある通信路の一般化とも考えられ
る.
本論文では離散確率システムに関する問題のうちで,主
に
(記憶/記録装置に支配的な誤りを制御する符号
に関する研究)
横浜国立大学 斎藤雄一(現東大生産研)
・同値問題
Coding theory is a theory of codes for controlling
(correcting or detecting) errors that occur between
transmitting and receiving processes or between writing
and reading processes through a communication channel or storage device. Now error-control codes can be
found in a number of practical applications, e.g., mobile and satellite communication systems, semiconductor memory systems, magnetic and optical recording
systems, etc. However, there exists a gap between actual errors in the channel or storage device and controllable errors of the codes. Consequently we used to
apply the codes controlling not only actual errors but
also other errors that occur with extremely small probability in devices, i.e., we used to append the redundancy greater than that required for controlling actual
errors. We will obtain efficient coding systems if we
・分類問題
を取り扱い,完全に解決する.
ここでいう「同値問題」とは,異なる内部構造を持つ2
つのシステムが入出力関係の上で同じように振舞うのはど
ういう場合かを調べる問題のことである.特に,情報源モ
デルの一種の隠れマルコフ連鎖の理論においては,その理
論上の障害の1つに同値問題があった.この問題は 1957
年に D. Blackwell と L. Koopmans によって提起された
が,30 年以上も解決することはなかったという有名な難
-9-
apply codes having the redundancy required for con-
In Part II, error-correcting modulation codes and
trolling only actual errors or give priority to controlling
combined error-control/modulation codes are consid-
predominant errors in devices. In this dissertation, we
ered; the former codes are applied to error-correction
consider codes having the redundancy required for con-
coding which is performed after modulation coding and
trolling predominant errors in storage devices.
the latter codes are applied to coding which includes
This dissertation deals with byte-organized and
both error-control and modulation codings. Part II
input-restricted storage devices. (In this dissertation,
provides three techniques; the first is for constructing
a byte consists of b bits, where b ≧ 2.) Typical exam-
error-correcting modulation codes capable of correct-
ples of those storage devices are semiconductor memo-
ing single peak-shift errors; the second is for construct-
ries and magnetic and optical recording devices. In this
ing combined error-control/modulation codes capable
dissertation, we consider the theory and design schemes
of detecting single peak-shift or bit errors; the third is
for constructing efficient codes by adapting them to pre-
for constructing error-correcting modulation codes ca-
dominant types of errors in such devices.
pable of correcting combinations of multiple peak-shift
The dissertation consists of two parts: Part I treats
errors and single bit errors. It is proved that the codes
the theory and design schemes of error-control codes
from the first technique are asymptotically optimal with
for byte-organized storage devices where unidirectional
respect to coding efficiency when the code lengths go to
errors are predominant, which are referred to as unidi-
infinity. The asymptotic coding efficiency for the sec-
rectional byte errors, and Part II deals with the design
ond technique is also derived, and and the efficiency for
schemes of error-control codes for input-restricted stor-
finite code length is evaluated for the second and third
age devices where peak-shift errors are predominant.
techniques.
This dissertation provides a number of theoretical re-
The outline of the two parts are as follows.
In Part I, several distances and theorems for deriva-
sults to error-control for storage devices. The remaining
tions of error-control capabilities are first presented,
research problems include developing constructions of
and it is proved that a unidirectional byte error-
good unidirectional byte error-correcting codes of very
correcting code corrects combinations of bidirectional
long length and high rate and error-correcting modu-
and unidirectional byte errors, which is an important
lation coding techniques for correcting multiple peak-
property for practical applications. Several techniques
shift and multiple bit errors.
are also developed for constructing unidirectional byte
error-correcting and detecting codes, and a number of
codes are constructed, which are more efficient than
the known codes of the same unidirectional byte errorcontrol capabilities. Furthermore, upper and lower
bounds on the number of codewords in a unidirectional
byte error-correcting code are investigated, and asymptotic bounds are also derived. As the result, it is found
there exist good codes of low rate that cannot be constructed from only the theory based on the Hamming
distance.
-10-
Call for Papers
Sponsored by:
International Symposium on
Information Theory & Its
Applications 1994
(ISITA'94)
Sydney, Australia
20-25 November 1994
The Institution of Engineers, Australia
Dept of Electrical Engineering, The University of Sydney
Society of Information Theory & Its Applications, Japan
The 1994 International Symposium on Information Theory and Its Applications will be held in Sydney, Australia,
from Sunday evening, 20 November 1994 to Friday afternoon, 25 November 1994. Prospective authors are invited
to to submit papers in the following categories:
Communication systems
Error Control Coding
Cryptography
Multi-user Information Theory
Data Compression
Neural Networks
Data Security
Optical Communication
Data Networks
Pattern Recognition
Detection and Estimation
Shannon Theory
Distributed Information Processing
Signal Processing
Image and Speech Coding
Stochastic Processes
Mobile/Wireless Communications
Authors of accepted papers, or nominated presenters, are expected to present their papers at the Converence.
A non-refundable deposit of A$100 is to be submitted with the camera ready copy. The deposit will be deducted
from the registration fee of either the author or presenter. Papers will not be published unless presented.
Papers will be reviewed on the basis of extended abstracts of abount 1,000 words. Abstracts whould be sent to:
The Publications Assistant
ISITA'94
The Institution of Engineers, Australia
11 National Circuit, BARTON ACT 2600 AUSTRALIA
-11-
情報理論とその応用学会理事会議事録
5.議事要約:
平成5年度第一回
1.日時:1993 年2月2日(火)15:30∼17:30
5.1 前回議事録(案)の承認(資料 H5-1-3)
原案通り承認された.
2.場所:東工大大岡山キャンパス南3号館2階 201 号室
3.出席者:
顧問
会長
副会長
理事
:辻井(東工大)
:嵩(阪大)
:田崎(愛媛大)
:中村(日電),広田(玉川大),金谷(NTT),金
子(理科大),吉田(京大),橋本(電通大),高崎
(日立),佐藤(阪大)
監事
:平澤(早大),今井(東大)
評議員
:赤嶺(東芝,浅川代理),岡本(北陸先端大),鈴
木(沖電気),塚田(松下電産),山内(三菱),坂
庭(東工大),青山(NTT),阪田(豊橋技科大),
武部(金沢大)
幹事
:河野(横国大),藤原(阪大),荒川(明治大),山
崎(玉川大),小松(早大),内匠(名工大),山本
(電通大),鈴木(九工大)
幹事補佐 :三宅(NTT)
オブザーバ:川端(電通大),地主(東工大)
4.配布資料:
H5-1-1 : 平成5年度情報理論とその応用学会役員(案)
H5-2-2 : 議事次第(平成5年度第1回理事会開催案内)
H5-1-3 : 平成4年度大3回理事会議事録(案)
H5-1-4 : 情報理論とその応用学会理事会資料(企画)
H5-1-5 : 情報理論とその応用学会理事会資料(会計)
H5-1-5' : SITA'92 (水上)中間収支状況
H5-1-6 : 1993 年度入会申込者(2 月2日現在)
H5-1-7 : ニューズレター No. 14 (案)
H5-1-8 : 1993 IEEE Information Theory Workshop
(ITW-93)
H5-1-9 : 第 14 回情報理論とその応用シンポジウム決
算報告
H5-1-10 : SITA'93 案
H5-1-10': SITA'93 Call For Papers
H5-1-11 : 電子情報通信学会情報理論研究会(3 月研究
会プログラム)
H5-1-12 : ISITA'94 Preliminary Call For Papers
-12-
5.2 ミニワークショップの報告(資料 H5-1-4)
阪田評議員より資料に基づき,ミニワーク
ショップ 情報理論における最近のアルゴリズ
ムとその応用"の開催報告がなされた.
5.3 学会会計の件(資料 H5-1-5)
金子理事より,学会会計関連の状況について説
明があり,一般会計と特別会計の一本化の件に
ついては原案通り承認された.また4年度会費
未収の件については,4年度現在で会員資格を
持つ会員に対しては,5年度の会費と合わせて
2年分請求することとし,これの実施の詳細に
ついては,会計担当役員に一任することとした.
5.4 SITA'92 中間収支の件(資料 H5-1-5')
鈴木評議員より資料に基づき報告がなされた.
5.5 ニューズレター案の件(資料 H5-1-7)
吉田理事よりニューズレターNo. 14 について
説明があり,原案通り承認された.なお新会
員名簿の正誤表もこの機会に掲載することと
なった。
5.6 SITA'93 開催案の件(資料 H5-1-10)
武部,岡本両評議員より SITA'93 開催案につ
いて説明があり,特に経費に関して,話し合わ
れた.大会経費の中で,比重のもっとも高い
ものは予稿集の印刷代であるが,前回(水上)の
大会での黒字の結果から,予稿集のページ数を
6ページに増やしても良いのではないかという
意見,経費節減のため印刷業者を毎回同じにす
るのが有効ではないかなどの意見が出された
が,これらの件については実行委員会に一任す
ることとなった.
5.7 第 14 回情報理論とその応用シンポジウム決算
報告の件(資料 H5-1-9)
藤原幹事より資料説明の後,平沢監事より監査
5.12
平成5年度学会役員の件(資料 H5-1-1)
報告がなされた.本件の今後の取り扱いとして
嵩会長より新評議員及び幹事に関し提案があ
はニューズレターで周知するとともに,次回総
り,青木,磯道,古賀,野口評議員の退任,浅川評
議員の鈴木評議員への交替を含め新評議員案
会で報告することとなった.
が承認された.なお今回新たに荒川庶務幹事が
5.8 電子情報通信学会の情報理論研究会の案内の
件(資料 H5-1-11)
無任所幹事に,三宅幹事補佐が庶務幹事に各々
橋本理事より案内の紹介がなされた.
担当変更することとなった.
5.9 ISITA'94 のあんないの件(資料 H5-1-12)
今井監事より資料に関し説明がなされた.これ
5.13
その他
(a) SITA シンポジウム予稿集の印刷につい
に関連し, ISITA'96 開催はカナダに決定して
て,SITA'93 は武部実行委員長に一任とす
いること,また ISITA'98 開催について中国が
るが, SITA'94 以降の業者選定,ページ数
などの問題については引続き理事会で検
名乗りをあげていることの報告がなされた.
5.10 IEEE IT Workshop の案内の件(資料 H5-1-8)
討することの必要性が確認された.
(b) SITA'94 の開催時期及び場所について議
河野幹事より資料に関し説明がなされた.
5.11 1993 年度入会申込者承認の件(資料 H5-1-6)
坂庭評議員より 1993 年1月1日以降2月2日
現在までの入会申込者について説明がなされ
論がなされ,これについては次回の理事会
で決定することとなった.
(c) 次回の理事会は,7月 23 日(金)午後 3 時
開催の予定とする.なお,場所は未定.
入会が承認された.
-13-
編集後記
編集理事になって始めてのニューズレターです.今まで
き換えに,先達たちが酒を飲みながら語る初期の頃のドロ
幹事会や理事会などでニューズレター編集方針にかなり無
ドロとした熱気を聞く機会も少なくなったのではないかと
責任な注文をつけてきましたが,見るとやるとでは大違い.
思います.有本氏はエッセーにもあるように初期の頃から
前任者の苦労が良く分かりました.
情報理論の第一線に立たれてこられました.氏独特の明解
さて,今回は「情報理論のあけぼの」と題して有本氏の
エッセーを掲載しました.
な語り口で綴られる情報理論の曙の時代が読者の参考にな
Shannon 以来,情報理論はもう
ることを期待します.
半世紀近くの歴史を持ち,日本の情報理論もその中をさま
ざまな紆余局節を経て発展してきたわけです.しかしなが
さて,ニューズレター編集部(?)では皆様からの企画を
ら,この学会の前身である情報理論とその応用研究会以来,
お待ちしています.今度はこの様な記事を載せて欲しい,
開催されるシンポジウムが年々と盛んになってきたのと引
などの御意見をお寄せ下さい,(猛)
投稿募集
ニュースレターの内容を充実し定期刊行化を更に進めるために投稿および企画を募集しております.投稿や新しい記事の企
画,お問い合わせ,御意見などは下記の編集担当者迄お寄せ下さい.
吉田 進(編集理事)
〒606-01 京都市左京区吉田本町
京都大学工学部電子工学科
Tel. 075-753-5317(直通)
Fax. 075-753-4982
E-mail [email protected]
橋本 猛(編集理事)
〒182 調布市調布が丘 1-5-1
電気通信大学電子工学科
Tel. 0424-83-2161, ext. 3331
Fax. 0424-80-3801
E-mail [email protected]
内匠 逸(編集幹事)
〒466 名古屋市昭和区御器所町
名古屋工業大学知能情報システム学科
Tel. 052-732-2111, ext. 2850
Fax. 052-733-6589
E-mail [email protected]
笹瀕 巌(編集幹事)
〒223 横浜市港北区日吉 3-14-1
慶應義塾大学 理工学部電気工学科
Tel. 045-563-1141, ext. 3376
Fax. 045-563-2773
E-mail [email protected]
情報理論とその応用学会事務局
〒238-03 神奈川県横須賀市武 1-2356
NTT 伝送システム研究所 金谷特別研究室
Tel.0468-59-3030
Fax.0468-59-3388
E-mail [email protected]
-14-
Fly UP