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災害対応マニュアル - 日本てんかん協会

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災害対応マニュアル - 日本てんかん協会
波の会
災害
マニュライフ生命・中央共同募金会
災害被災地復興自立支援助成事業
対応マニュアル
てんかんのある人と
家族・支援者のための
防災ハンドブック
はじめに
大規模な災害発生時には、安全避難や情報入手の問題、それに住宅被害
などが危惧されます。加えて、
「てんかん」のある当事者や家族は、発作
に伴う安全避難の困難や、避難所での生活不安なども懸念されます。
災害時の不安をできるだけ取り除き、安全を確保するためには日頃
から準備し、事前対策をとっておくことが何よりも重要です。また、
各ブロックや支部は、都道府県や市町村と連携し、当事者とその家族
のために円滑な活動を行う必要があります。このマニュアルは、会員
が災害時にとるべき行動と事前対策、それに協会が担う役割を中心に
まとめました。有効にご活用いただき、災害対策にお役立てください。
同時に、このマニュアルは「都道府県地域防災計画」に基づき、市(区)
町村が実施すべき事項を考慮してまとめてあります。各都道府県の地
域防災計画ならびに市(区)町村地域防災計画においては、障害者等
の安全を確保するため、障害者等の所在および状況把握、障害者等の
態様に配慮した避難計画策定、関係機関、関係団体との支援協力体制
の整備を実施することとされています。是非ともこのマニュアルを、
災害対策のガイドブックとして皆さんの日常生活でご活用ください。
2009 年 3 月
社団法人 日本てんかん協会
会長 鶴
井 啓司
●執筆協力者(敬称略・五十音順)
・赤坂紀幸(独立行政法人国立病院機構 西新潟中央病院 小児科医長)
・岩宮冬樹(日本てんかん協会 兵庫県支部 事務局長)
・榎本重秋(ぜんち共済株式会社 代表取締役)
・坂下 茂(日本てんかん協会 元理事)
・笹川睦男(独立行政法人国立病院機構 西新潟中央病院 臨床研究部長)
・NPO 法人サンダーバード
・田所裕二(日本てんかん協会 事務局長)
・塚田一男(日本てんかん協会 前理事/長野県支部 事務局長)
・平井 隆(日本てんかん協会 理事/富山県支部 代表)
・平野慶治(日本てんかん協会 副会長)
・本間一正(日本てんかん協会 富山県支部 事務局長)
イラスト 四家さとみ
波の会
もくじ
はじめに
第1章
災害対応マニュアル
第 1 章 災害がおきたら
第 2 章 本人と家族の事前対策
18
第 3 章 波の会の行動計画
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
災害時に波の会が担う役割… …………………………………………
ブロック・支部が担う役割… …………………………………………
状況把握と情報提供システムの整備… ………………………………
情報伝達手段の事前準備… ……………………………………………
緊急連絡網の整備… ……………………………………………………
緊急連絡・安否確認システムの利用… ………………………………
隣接支部間での助け合い… ……………………………………………
19
20
20
21
21
21
22
第 4 章 支援者・自治体の方へ
① てんかんに対する理解… ……………………………………………… 23
② 避難計画… ……………………………………………………………… 23
③ 支援協力体制の整備… ………………………………………………… 25
第 5 章 支援と復旧
① 支援… …………………………………………………………………… 26
② 復旧… …………………………………………………………………… 27
▶緊急時支援覚書… ………………………………………………………………… 28
第5章
12
12
14
15
16
16
17
17
第4章
① 隣近所、民生委員、治療医療機関や支部役員との連携… …………
② 必要な支援内容の伝達【緊急カード】… ……………………………
③【緊急対話カード】の準備… …………………………………………
④ 非常持ち出し品などの準備… …………………………………………
⑤ 避難所と避難経路の確認… ……………………………………………
⑥ 外出時の備え… …………………………………………………………
⑦ 家屋の安全対策… ………………………………………………………
⑧ 防災意識を心がける… …………………………………………………
▶被災体験から学ぶ 2… ……………………………………………………………
第3章
▶災害がおきたら Q&A………………………………………………………………… 8
第2章
① 避難の注意点… …………………………………………………………… 2
② 地震の場合の注意点… …………………………………………………… 3
③ 水害・土砂災害の場合の注意点… ……………………………………… 4
④ 避難所生活の注意点… …………………………………………………… 4
⑤ 情報の収集と伝達… ……………………………………………………… 6
▶被災体験から学ぶ 1… ……………………………………………………………… 7
第1 章
災害がおきたら
災害がおきたら、まず落ち着くことを
心がけてください。そして身を守るこ
とが何よりも大事です。地震の時は物
が落ちてこない場所へ逃げます。
1 避難の注意点
⑴ すみやかな避難
自治体から避難勧告、避難指示が出されたら、近隣住民と一緒にすみや
かに避難しましょう。リュックに非常持ち出し品を入れ、両手をあけます。
靴は底が厚く、履き慣れたものにしましょう。
令されたにもかかわらず
現行では、避難指示が発
住民が拒否し、避難せず、不
幸にして死傷などに至った場
合には、避難しなかった住民
の責任が明確で、自治体責任
がないとの判例があります。
⑵ 支援要請
避難が必要になった時に、
発作などによって単独避難が困難な場合には、
周囲の人の応援を求めましょう。
各自治体が「個別避難計画」を策定し、その対象者(要援護者として同
意した者)となっている場合は、
外出時を除いて原則的に支援者を派遣し、
介助するシステムが作られています。
自主防災組織によっても対応に相違がありますので、居住の町内会など
へ事前に問い合わせておきましょう。
2
第1章
2 地震の場合の注意点
① ガス元栓閉鎖、電気ブレーカーを切断し、戸締まりをします。
② 避難所を含む行き先を明確にするため、緊急連絡先への連絡、または
入り口にメモを表示します。➡避難済みステッカー
③ 移動手段は、原則として徒歩とします。動きやすい服装で、持ち物は
最小限にして、両手が使えるようにリュックサックなどを使いましょう。
注意!
緊急カード・常備薬は必ず持参します。
④ 火災が発生したら、できるだけ低い姿勢で外に避難し、近隣住民への
伝達や携帯電話で 119 番通報します。
初期消火が可能かどうかの判断は、天井に火が移る前です。
⑤ 単独での避難が困難な場合は、近隣住民などへ介助を求めましょう。
元栓
緊急カード・
常備薬
緊急カード
お薬
避難済み
ステッカー
避難済みステッカー
避難勧告や避難指示発令後、町内会
や自主防災関係者などが各戸を巡回し、
避難が遅れている人などがいないか確
認します。「避難済みステッカー」やメ
モを家の入り口に表示することで、巡
回する人たちが効率よく救助の必要な
人を発見できるようになります。
○○月○○日 ○○時○○分
○○○○以下 ○名 避難済み
世帯主○○○○
避難済みステッカー見本
3
3 水害・土砂災害の場合の注意点
① 速やかに、高台や指定避難
所に避難します。
② ガス元栓閉鎖、電気ブレー
カーの切断は、避難に余裕が
ない場合は省略します。
③ 持ち物は最小限にして、両
手が使えるようにリュックサックなどを使いましょう。
注意!
緊急カード・常備薬は必ず持参します。
④ 単独での避難が困難な場合は、近隣住民などに介助を求めましょう。
4 避難所生活の注意点
⑴ 避難所に入るにあたって
災害によって自宅を失ったり、災害の危
険から避難するために、避難所で生活しな
ければならないこともあります。避難所に
入る際には、
「緊急カード」や「おくすり
手帳」
などを持っているか確認しましょう。
ケガをしている場合には、避難所の医療担
当者にみてもらいましょう。
被災障害者相談センターなどが、設置されている場合もあります。避難
所の専門スタッフ(腕章などが目印)に、確認しましょう。また、福祉避
難所があれば、そちらへ移動したほうが良いでしょう。
災害要援護者には、避難所なども優先するシステムになっています。し
かし、大災害時は混乱などのため機能しない場合もありますので、心得て
おく必要があります。
⑵ 避難所(生活)はこういうところ
地域の学校の体育館や公民館などが避難所になり、そこで大勢の人と一
緒に生活します。寝るのも、大勢の人といっしょです。避難所で生活して
4
第1章
いる間は、学校・施設・職場は休みになりますので、先生や友人、同僚と
はしばらく会えません。
食べ物と水は配給になり、列に並んで順番にもらいます。食べ物の好き
嫌いは、言えません。トイレは共同使用になり、多くは和式ですので、日
頃から使えるようにしておきましょう。お風呂には、しばらく入れません。
避難所では赤ちゃんの泣き声がしたり、嫌いな音も聞こえてきます。気
になる時は外へ出たり、ヘッドホンで音楽を聴くなどして気張らしをする
と良いでしょう。テレビは観ることができませんので、音楽を聴いたり、
ゲームをしたり、本などを読んで過ごすようにします。
何か気になることがあったり、不安を感じたりしたら、支援の人に相談
しましょう。
特に冬期の防寒対策には、適切な対応を求め、風邪をひかないよう自己
管理にも気をつけましょう。
⑶ アウトドア(車中泊・テント泊)で気を付けること
事情によっては避難所ではなく、車の中やテントで避難生活をすること
もあります。この場合は、
常に周囲の安全を良く確認することが大事です。
また、
情報収集や配給物資の確認のため、
定期的に避難所へ顔を出しましょ
う。安全と心の健康のためにも、隣近所の人と常に声をかけあうようにし
ます。※車中に毛布や水を常備するのも大切です。
エコノミー症候群の予防の
ためにも、心の健康のために
も、閉じこもらずに、できる
だけ外へ出て身体を動かすこ
とが必要です。また、車やテ
ントの中でも「足踏みなどを
して身体をこまめに動かし、
長い時間同じ姿勢をしない」
「服をゆるめるなど、身体を
締め付けない」
「水分をいつ
もより多めに取る」などの心
がけが大切です。
※車のシートに座って長時間過ごさないでね。
※眠るときは、座席の上で体を横たえてね。
5
5 情報の収集と伝達
⑴ NTT 災害用伝言ダイヤルを活用する
大災害発生時は、安否確認やお見舞、問合せなどの電話が殺到し、電話
がつながりにくい状況が数日間続くことがあります。こうした状況の緩和
を図るために、災害時に限定して利用できるのが「NTT 災害用伝言ダイ
ヤル」です。
「171」にダイヤルし、聞こえてくるガイダンスに従って自分
の状況を録音して伝えることと、
相手の状況を録音で知ることができます。
NTT 災害用伝言ダイヤル
〈伝言の録音方法〉
〈伝言を聞く方法〉
171 にダイヤルする
171 にダイヤルする
ガイダンスが流れます
ガイダンスが流れます
録音の場合 1
再生の場合 2
ガイダンスが流れます
ガイダンスが流れます
000 - 0000 - 0000
000 - 0000 - 0000
自宅の電話番号を市外局番から
状況を知りたい人の家の電話番号を市外局番から
ダイヤルして音声を録音してください。
ダイヤルして録音を聞いてください。
⑵ 携帯電話の活用
携帯電話は、災害時に中継局から他の中継
局を経由して通信するシステムも構築中で
す。また、
「携帯電話災害用伝言サービス」
もありますので、携帯電話各社のサービスを
確認しておきましょう。
i モード災害用伝言板
⑶ 情報収集の方法
情報収集には、防災行政無線設備、広報車等を含め、テレビ・ラジオの
情報を優先活用してください。携帯電話などのワンセグも、有効です。
⑷ インターネットの活用
インターネットについては、内閣府防災担当・総務省消防庁・厚生労働
省・自治体などのホームページを活用してください。
6
被災体験から学ぶ ❶
災害発生に
備えておきたいこと 本間一正さん
富山県支部事務局長・小児科医
地震による火災
これまでの医師としての経験から、災害発生に最低限備えておきたいこと
を提案したいと思います。
阪神・淡路大震災時の教訓
1995 年の阪神・淡路大震災発生後、3〜5日して二人の罹災されたてん
かんの方が受診されました。いずれも富山の親戚を頼って避難してこられた
方で、
「抗てんかん薬がなくなったので処方してほしい」とのことでした。
幸い、お二人とも処方内容を記載した書類をお持ちでした。
大災害では、交通手段の途絶によって、主治医のもとへ通院できなかった
り、医療機関そのものが機能を喪失してしまうことも予想されます(阪神・
淡路ではまさにそのような状態でした)
。そこで、次の二つの点が最低限必
要になります。まず、内服薬は常に数日分以上は、余裕があるようにしてお
くことです。第二に、内服薬を正確に記載した書類をもっていることです。
できれば緊急カードのような、発作状態や発作時の周囲への依頼を明記した
ものを持っていれば、なお良いと思います。
福井水害時の被災地救援経験から
2004 年 7 月の、福井県豪雨災害に救護班として参加した経験から、災害
時の一般的注意について触れてみます。現在の日本の諸事情からすると、阪
神淡路級の大災害でも、48 時間(中越地震の規模では 24 時間)以内にほ
ぼ第一次の救援物資が到着し、避難所も開設されます。したがって、各家庭
では、最低限 24 時間分の食品、飲料水は常に確保しておきたいものです。
ただし、電気・ガスも途絶することが多いので、加熱しなくてもよい食品が
必要です。また、避難所では、できるだけ運動をすること、周囲とコミュニ
ケーションを図ることが重要です。車内での寝泊まりは、下肢の静脈血栓の
危険があるので、避けたいところです。
7
災害がおきたら
Q1
A
Q&A
日頃から、薬の保管場所はどうしておくのがよいですか。
お薬などとっさの時に持ち出す必要のあるものは、家族だれでもわ
かるように、保管場所を一定にしておくことが基本です。
非常用に備えて、就寝
時は枕元に数日分のお薬
を用意しておきましょ
う。外出時には、お薬 2
〜 3 日 分 や、 必 要 に 応
じた頓服薬を持って出掛
けると、安心できます。
Q2
A
緊急時に備えて、日頃から持ち出す準備として
配慮が必要なものは何ですか。
非常時に何も持ち出せなかった、ということをよく聞きます。それ
は、日頃から災害を想定した準備をしていないからです。常に携行で
きるよう、意識して準備すれば必ず役立ちます。
(準備の内容は、P15 を参考にしてください。)
Q3
A
主治医が被災してしまった場合、
どこで診療・治療を受ければ良いですか。
まず、主治医の勤務先の病院に連絡して、アドバイスを受けてくだ
さい。
主治医の勤務している病院と連絡が取れない場合でも、「おくすり
手帳」さえあれば、投薬はどこの病院でも可能です。
8
Q4
A
緊急避難が必要なときに、発作がおきてしまったら
どうしたら良いですか。
なによりも、あわてないことが大切です。
短い発作で発作後の意識レベルや体調がしっかりしている場合は、
普通に避難可能と思われます。それ以外の場合でも、あわてずにその
場の状況に応じて、係の人や責任者の指示にしたがって、落ち着いて
行動してください。
Q5
A
学校や勤務先、外出先などで被災した場合には
どんな注意が必要ですか。
自宅被災と異なる点は、自分自身の備えがほとんど無い状況下であ
る、ということです。
学 校 や 勤務先へはもち
ろ ん、 外 出 時 に は 常 に 緊
急カードを携行し、お薬 2
〜 3 日 分 と、 必 要 に 応 じ
た頓服薬を持っていること
くすり
が推奨されます。緊急時の
連絡手段として、携帯電話
も必要です。
Q6
A
避難中でも、保険証や医療証は使えますか。
安心してください、保険証も医療証も使えます。
避難時に紛失してしまったり、自宅から持ち出すことができなかっ
た場合でも、救済措置がとられる場合がありますので、医療機関に
申し出てください。
9
Q7
A
避難生活で注意することは何ですか。
(誘発因子となることは?)
日常生活で注意していることと同じで、良いと思います。
避難所では、慣れない環境のもとでの生活になりますので、ストレ
スや過度な疲労、睡眠不足などを生じさせ、これが発作を誘発する可
能性がありますので、注意してください。
Q8
A
避難場所では、病気のことを周囲の人に
伝えるべきでしょうか。
周囲に病気のことを知っている人が誰もいない場合には、どなたか
信頼できる人に伝えておいた方が、無難かと思います。
緊急時に備えて、日頃から病状を簡略に記載したカード(緊急カー
ド)を、持参していると便利です。
(P.12 〜 P.13‥‥「緊急カード」参照)
Q9
A
避難場所で発作が頻発した場合、救急車を呼べますか。
救急車を呼ぶことは、できます。ただし、事態によっては救急車が
現場に来られない可能性もあります。
発作が長びいたり、頻発
したり、様子がいつもと違
う場合には、救急車を呼ん
でください。救急車が来ら
れない場合でも、何らかの
対策がとられると思います
ので、あわてないことが大
切です。
10
Q10
A
避難先で処方箋を無くした場合は、
どうしたら良いですか。
まず、かかりつけの医師にご連絡ください。
緊急時には、FAX で処方箋をお送りしたりするなどの対応が、可
能と思われます。日頃から、2〜3日分のお薬を持参するよう、習慣
づけておくと緊急時でも安心です。
Q11
A
避難生活が長びいてしまう場合(仮設住宅入りなど)、
どんなことに気をつけたらよいですか。
日常注意していることと同じで、良いと思います。
お薬はきっちり内服してください。避難所での生活が長引くと、ス
トレスにより過度の疲労、睡眠不足などが発作を誘発するかもしれま
せんので、注意してください。
Q12
A
てんかんがあっても、
入れる災害(地震)保険はありますか。
てんかんがあっても、地震保険に加入ができます。
地震保険は、ケガに備えるのではなく、住宅や家財を守るための保
険です。火災保険とセットでなければ、加入ができません。
最近では、仮住まい費用など被災後の生活再建費用を補償する、
新しい保険も出ています。
また、避難所での共同生活は、想
像以上にストレスがかかります。地
保 険
震被災時の住環境の確保は、深刻な
問題です。
被災後も安心して暮らせるよう、
日頃から経済的備えとして、保険の
ことも考えておくことが大切です。
11
第2 章
本人と家族の事前対策
災害時に自身の身を守り、安全に避難するためには、周囲の支援だけで
なく、自ら日常での備えが必要です。家族と災害時の行動について良く
話しあい、避難の際に持ち出すものの準備などをしておきましょう。
1 隣近所、民生委員、治療医療機関や支部役員との連携
⑴ 地域との交流
向こう三軒両隣の精神で、隣近所と日頃から交流しておきましょう。ま
た、地区民生委員や、自治会・町内会の関係者、保健福祉関係者と日常的
に交流しておくことも大事です。
⑵ 基幹病院との連携
地域の中で、中心になって医療を提供している基幹病院との連携を図っ
ておきましょう。
⑶ 支部役員との情報交換
近くに住んでいる支部役員と、
定期的に情報交換を行っておきましょう。
(発作や生活状態の報告など)
2 必要な支援内容の伝達
災害発生時には、自分がどのような支援を必要としているのかを周囲に的
確に伝え、
援助いただく必要があります。このため「緊急カード」を作成し、
保持することが絶対に必要です。
[緊急カードの記載例]
緊急カードには、住所・氏名・性別・生年月日・血液型・病気の内容と程度・
日常発作頻度と介助概要・治療医療機関等・服用薬剤関係(処方日数など)
・
その他の支援内容などを書いておきます。
※次ページの「緊急カード」の見本を、参考に作成してください➡
[緊急カードの準備]
① 厚紙などで作り、パスケースなどに入れて常に携行します。
② 支援要求時に使用するので、複数枚保持します。
③ 掲示できるように大きめのカードも作り、非常持出袋等にも保管します。
12
「緊急カード」見本
緊急カード
私は支援を必要としています。
第2章
氏名 年齢 性別
生年月日 血液型
住所
電話
■病気の内容と程度
■日常発作頻度と介助概要
■治療医療機関等
■服薬薬剤関係(処方日数など)
■その他・支援していただきたい内容など
※協会でも、緊急カードを準備しています。
お気軽に、お問い合わせください。
護者で統一)に対するアンケートでは、「緊急カード」を保持しているのは
障害者等の災害時要保護者(従前は災害弱者としていましたが、現在は要保
17.1%のみでした。緊急カードは、災害発生時の切り札です。必ず携行しましょう。
緊急時に支援の必要を周囲に知らせ
る「ID ホイッスル(緊急ホイッスル)」
は、内部に「緊急カード」も収納で
きますので、利用してください。
13
3 緊急対話カードの準備
緊急時に言葉で支援をお願いするのが困難、または不可能になる場合もあ
ります。そのため、あらかじめ想定される支援内容を書いた「緊急対話カー
ド」を、作成しておきましょう。緊急時にカードを見せることによって、支
援を求めることができます。また、名札の裏などに支援内容を書いておくの
も、有効な方法です。
緊急対話カードには、例えば次のような内容を書いておきます。
■ 私は知的障害があります。緊急避難所に案内してください。
■ おそれいりますが、緊急カードの連絡先に電話してください。
■ 私は地震発生と同時に発作をおこしました。その後のことは覚え
ていません。今、どのような状態ですか。
14
4 非常持ち出し品などの準備
避難をする際の備えとして、日頃から非常持ち出し品を非常袋やリュック
サックなどにひとまとめにして用意しておき、昼間は出入り口、夜間は枕元
第2章
に備えておきます。※特に留意する点は、夜と寒さ対策です。
非常持ち出し品の一例
□緊急カード □緊急対話カード 医療関係
□保険証・診察券などのコピー
□抗てんかん薬 □常備薬 □マスク
□保護帽(就寝時は特に忘れないように) 情報関係
水・食糧
□携帯ラジオ □携帯電話 □懐中電灯 □充電器 □電池 □筆記用具
□飲料水(注) □保存食(チョコレート・飴など)
□衣類(下着を含む) □手袋・軍手 □冬期は特に防寒衣
□カイロ □小銭 □貴重品 □名札 □歯ブラシ □タオル 生活関係
□食料品ラップ □紙コップ □カード類(銀行・クレジット) □ビニール袋 □スリッパ □生理用品 □簡易トイレ □トイレットペーパー □雨具 (注)人間は、一人 1 日につき 3 リットルの飲料水が必要です。大災害時には、現在の体制では概
ね 8 時間経過で、飲料水や食糧配備が原則的には可能ですが、避難の際には、最低でも 1 リッ
トルの飲料水を持って避難しましょう。
この他、必要だと思われるものを準備しておきます。
水洗トイレの活用
「水洗トイレのタンクに溜まる水は汚なそう‥‥」という
イメージがありますが、タンク内は常時新鮮な水が 10
リットル確保できる貴重な場所です。
ですから、災害による断水時には直ちに飲料水として使
えるよう、日常から衛生面に留意して、コップを紐で結
んでタンク内に沈めておくことも、一つのアイディアです。
15
5 避難所と避難経路の確認
⑴ 避難所の事前確認
避難所は、
各自治体の「地域防災計画」の中に定められています。名称は、
「指定避難所」
「一次避難所」
「二次避難所」
「広域避難所」などさまざまです。
地域・地区の「防災マップ」などで、避難所の場
所を確認しておきましょう。
避難所によっては、看板等が未整備な場合もあ
広 域
避難所
指 定
避難所
ります。避難所の場所が不明な場合には、各自治
体などに問い合わせて確認しておきましょう。
⑵ 福祉避難所
自治体によっては、
「福祉避難所」を定義して対応している場合もあり
ます。福祉避難所では、災害発生後は早期に、保健・医療・福祉サービス
などを開始できる体制になっています。多くの場合は、福祉センターや保
健センターなどの施設が利用されます。お住まいの自治体に、確認してお
きましょう。
⑶ 避難経路の事前確認
自宅から避難所までの経路の確認をしておきま
しょう。また、大規模地震の場合や、季節によって
は避難ルートが限定されることがあります。このた
め、
常に複数のルートを考えておく必要があります。
(※巻末の「覚書」に具体的に書いてみましょう。)
6 外出時の備え
外出中に災害が発生した場合は、
周囲の人の協力と援助が必要になります。
このため、周囲の人に速やかに協力・援助を依頼できるように、心がけてお
かなければなりません。支援してもらいたいことは、きちんと自分で伝えま
しょう。
外出時には、緊急カード・緊急対話カード・抗てんかん薬・名札・筆記用
具・携帯用ブザーや笛などを、常に携行すると良いでしょう。知的障害のあ
る人は、災害時に備えて衣類へ名札を縫い付けておく方法もあります。
16
7 家屋の安全対策
⑴ 耐震診断
家屋の耐震診断を受け、必要なら補強しておくことも大切です。
第2章
防止対策事業」が、概ね 2002 年頃から 10 ヵ年計画として実施されています。
都道府県によって異なりますが、民間住宅に対する「すまいの安全・
(倒壊)
無料で、わが家の「簡易耐震診断」を行う事業ですから、各自治体の「建築担当課」
に問い合わせてみるのも良いと思います。
なお、戸数が限定されますが、診断結果によって「精密耐震診断」に移行する場合
もあり、この場合は公的な補助があります。
⑵ 家の中の安全対策
① 家具の固定‥‥地震の時に家具が倒れないように、家具を固定してお
きましょう。花瓶・人形・トロフィーなどの置物を、家具の上には置か
ないようにします。照明器具は、天井に直接取り付ける揺れないものが安
全です。窓ガラスや食器棚のガラス扉には、飛散防止フィルムを貼りま
しょう。
② 出入り口付近の整理整頓‥‥災害時に速やかに避難できるように、家
の出入り口付近を常に整理整頓しておきましょう。マンションなどのド
アは地震で開かなくなることがあるので、こじ開けるためのバールを用
意しておきます。
8 防災意識を心がける
① 日頃から、町内会などが行う防災
訓練(消火・避難訓練等)に、積極
的に参加することが重要です。
② 救命・救急講習会についても、日
本赤十字社や消防などの主体を問わ
ず、受講しておきましょう。
③ 自治体が配布する防災関係広報
誌 等 は、3 ヵ 月 単 位 で 読 み 返 し ま
しょう。
17
被災体験から学ぶ ❷
人と関わる力が
災害対策の要
岩宮冬樹さん
兵庫県支部事務局長・西宮市社会福祉協議会 青葉園勤務
避難所の様子
阪神・淡路大震災時に、私は兵庫県西宮市で重度の身体障害のある人たち
の通所活動施設に勤務していました。その時の被災および復興支援の経験か
ら、人々が織りなした「チカラ」について考えてみました。
ご近所のチカラ
地震直後、被害の大きかった場所では電話もつながらず、救急車や消防車
も要請できない状態でしたので、初期救助活動は近所の人たちにより行われ
ました。家屋から脱出できなくなった多くの人を、近隣住民が力を合わせて
助け出したのです。その中には高齢者や、身体に重い障害がある人たちもい
ました。未曾有の災害の直後に、
唯一機能したのが
「ご近所のチカラ」でした。
そして、
ご近所さんとの絆が強まり、
その後の被災生活や復興の支えになっ
ていきました。本来あるべきコミュニティーの姿が、瓦礫の中から突然立ち
現れたようでした。こうした経験から、
「ご近所のチカラ」を強化することが、
災害対策として有効だと考えます。自治体や社会福祉協議会、町内自治会な
どが協働し、災害に強い「まちづくり」を、障害のある人やお年寄りも参画
した上で進めていく活動が、ご近所のチカラアップにつながると思います。
ボランティアのチカラ
地震発生の翌日から、ボランティアがどんどん被災地に入ってきてくれま
したが、体育館等の一般の避難所ではボランティアの受け入れに混乱してい
ました。行政関係者は、どうしてよいのか解らなかったようです。
しかし、障害のある人たちが通う施設などでは、円滑にボランティアを受
け入れることができました。日常的に、ボランティアのコーディネートを行
うことが「業務」となっているため、自然と協働できる体制を取ることが出
来たからだと思います。大切なのは、支援する側とされる被災者の関係では
なく、協働しながら困難を乗り越え、復興につなげる関係にあると思います。
18
第3 章
波の会の行動計画
災害時に、波の会が取り組むことは、てんかんのある人への正しい情報
の提供と会員の安否確認です。そして、抗てんかん薬を必要としている
被災者へ、医療援助を行えるよう尽力することです。速やかに対応する
ために、日頃から地域ネットワークと連携をはかり、準備をしておく
ことを心がけています。
第3章
また、災害時への備えを怠らないよう、会員に対しても日頃から啓発
活動を進めています。
1 災害時に波の会が担う役割
波の会本部は、大災害発生時に「災害対策本部」を設置し、都道府県支部・
ブロックとの連絡確認体制を強化します。また同時に、行政機関(都道府県・
市町村、保健所、消防・警察)
、市町村災害対策部局、医療機関、社会福祉
協議会などと連携をとり、情報の収集と連絡経路の確保に努めます。
波の会に設置した災害対策本部は、専門医療機関の確保・抗てんかん薬の
確保を図り、被災地の会員・ブロック・支部などからの要請に応じて、患者
の可能な搬送先、抗てんかん薬の投薬が可能な医療機関などの情報を伝達し
ます。
また、波の会会員や被災者など
が、マスコミ等を通じての情報入
手が可能になるよう、波の会が収
集した医療や福祉に関する情報を
マスコミ等へ伝達し、マスコミか
らの情報発信を促します。
さらに、会員の安否確認、会員
に関わる施設の被災状況の確認、
てんかん医療の受け入れ可能状況
などを確認し、入手した情報の整
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理を行います。整理した情報に基づいて、被災地の会員・ブロック・支部や、
関係機関などへの正確な情報の迅速な発信に努めます。
さらに、日本てんかん学会のネットワークも活用し、上記等の情報収集活
動・収集情報の整理・情報の発信等の行動計画を、より円滑に実施します。
2 ブロック・支部が担う役割
被災地にある波の会支部では、被災直後の混乱等が一段落した、災害発生
の数日後くらいから、本部の行う会員の安否確認に協力します。ただし、該
当支部が被災している可能性も高いので、被害のない隣接地区などからの応
援・協力が必要になります。
支部では、本部やブロックとも協力しながら、地域ネットワークを利用し
て、地域の行政機関や医療機関の情報を収集します。てんかん医療の稼働状
況や基幹施設の状況を確認し、会員への情報提供を行います。速やかな情報
収集のためにも日頃から地域ネットワークの確立に努めておくことが大切に
なってきます。また、地域の新聞社やテレビ局、ラジオ局などにも協力を要
請し、情報提供の手段として活用することも重要です。
会員の所属する学校や施設、職場などにも問い合わせを行い、会員の状況
を確認することも必要です。また、被災した会員の声を聞いて、それをとり
まとめ、要望などを一括して行政機関や相談支援機関に伝達します。
支部は災害時においては、情報収集や情報発信などの対応を行うための、
その地域での司令塔の一翼を担います。組織体制をしっかり構築して、緊急
時に備えることが必要になります。
3 状況把握と情報提供システムの整備
的確かつ迅速な安否確認・避難誘導・
医療援助を行うためには、日常の会員
ネットワーク構築が必要不可欠です。
このため、各都道府県支部を通じて個
人のプライバシー保護に最大限の配慮を
しつつ、状況把握と情報提供のしくみを
整備することを、
今後重視していきます。
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4 情報伝達手段の事前準備
災害時には波の会からメディアに対して、てんかん患者向けの情報提供を
要望しますので、メディアから情報を受信する準備をしておきましょう。
知的障害や精神障害がある場合は、情報の把握が上手くできないため、絵・
図・文字などによる伝達手段も用意しておく必要があります。
5 緊急連絡網の整備
第3章
支部ごとに、電話・携帯電話・メール・インターネット・FAX などを活
用した、役員間の連絡網を整備しておくことが重要です。
しかし、大災害発生時には、電力・通信の遮断などによって電話やメール
による情報伝達ができないこともあります。電話やメールでは情報伝達がで
きないことを前提に、可能な代替手段の実効性を含めて支部連絡網を構築し
ておきましょう。
緊急連絡網の一例(可能な範囲で、日頃から話し合いを進めておくことが大切です。)
[代表・事務局長]
世話人 A
世話人 B
世話人 C
世話人 D
世話人 E
A 地区の
ようす
B 地区の
ようす
C 地区の
ようす
D 地区の
ようす
E 地区の
ようす
6 緊急連絡・安否確認システムの利用
通信会社などの業者の中には、
「緊急連絡・安否確認システム」を用意し
ているところもありますので、これを緊急連絡や安否確認に利用するのも有
効な方法です。
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緊急連絡・安否確認システムは、災害発生時などに、予め登録をした人に
対して一斉に情報を発信し、本人が内容を確認したかどうか、また、無事で
あるかどうかの確認を同時に行うシステムです。送受信媒体は、電話やメー
ル、携帯電話など優先順位をつけて複数設定することができ、本人との連絡
がつくまで、設定媒体を変更しながら繰り返し連絡します。
緊急連絡・安否確認システムのイメージ
全て連絡が取れない場合は再度1から連絡を開始
1 回目
固定電話
情報発信・安否確認
安否登録
連絡が取れない
2 回目
携帯電話
情報発信・安否確認
安否登録
連絡が取れない
3 回目
携帯メール
情報発信・安否確認
安否登録
連絡が取れない
4 回目
FAX
情報発信・安否確認
安否登録
連絡が取れない
5 回目
PC メール
情報発信・安否確認
安否登録
7 隣接支部間での助け合い
地震などの災害の場合は、その地域の自治体も医療機関も被災者になって
しまい、円滑な救援活動ができない場合があります。そこで、重要になって
くるのが、被災していない隣接支部による支援活動や、ブロック内での助け
合いです。
災害時に隣接する支部をいかに支援するか、またブロック内での助け合い
はどうするか、各支部間で日頃から連携をとり、情報交換とお互いの支援活
動について協議しておくことが必要です。
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第4 章
支援者・自治体の方へ
家族や専門職以外で、支援していただける方には、てんかんについて
理解していただくことが重要です。
1 てんかんに対する理解
(注)会員以外の方に対する啓発のために、記載しています。
てんかんは、大脳の神経細胞(ニューロン)の規則正しいリズムの活動が
突然崩れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰発射)が生じることに
よっておきます。このため、てんかん発作はよく「脳の電気的嵐」にたとえ
第4章
られ、この電気的嵐は脳波検査によって「てんかん性」異常波として捉えら
れます。
また、てんかんという病気が正しく認識されてからすでに 100 年以上が
経過しますが、てんかんに対する誤解や偏見の解消には至っていません。
てんかんのある人の中には、知的障害または精神障害を重複する人もいま
す。このため、人権を含めた配慮が必要です。
2 避難計画
⑴ 区市町村の障害者等避難計画
区市町村は、障害者の実情に配慮した「情報伝達」「避難誘導」「避難所
対応」等の方針を決定する必要があるので、居住する自治体の当該計画を
熟知してください。まだ十分な方針が決まっていない自治体も多いことか
ら、少なくとも自治体の窓口を明確にし、平常時から相談、連絡体制をつ
くることが重要です。
⑵ 障害者等の状況とニーズの把握
現在、各自治体は、災害時要援護者(寝たきり、高齢者、認知症、身体・
精神障害者、
難病等で自力避難等が困難な方など)に対する、支えあいマッ
プ等の作成を進めています。
(このマップは、
個人情報保護法の関係上「同
意方式(書面で同意する)
」が主流です。
)
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① 知的障害者‥‥災害の状況を的確に判断するのが困難なため、理解し
やすい言葉で状況説明し、避難所等の位置を伝える必要があります。そ
の際は精神的に不安定にならないよう、日常の付き合いがある人が対応
するなどの配慮が大切で、手を引いての誘導が必要な場合もあります。
興奮状態の際は、複数で抱えての移動も場合により考慮します。
② 精神障害者‥‥災害発生に伴って精神的動揺が激化する場合もあり、
情報伝達や避難誘導にはそのことに十分配慮します。避難所対応も、同
様です。また、常備薬の把握等を含めた対応が必要です。
③ てんかん患者‥‥重度障害がある場合は、前記の①および②に準じて
対応します。緊急カードおよび常備薬の携行を、忘れないように対応
します。
⑶ 個別避難計画
① 策定手続き‥‥各自治体で策定または検討中ですが、手続きは障害者
等の本人または家族に内容を説明し、同意を得てから策定することに
なっています。
② 該当者への聞き取り‥‥計画策定は、
本人または家族に内容を説明し、
同意を得て行います。なお、聞き取りは原則的に福祉・衛生部局、民生
委員、自治会役員が対応することになっていますが、本人の同意を得た
うえで行います。
③ 策定後の管理‥‥策定した避難計画の管理は厳重に行われるように都
道府県から指示されていますが、災害に備えて防災部局がこれを活用し
ても個人情報保護法に抵触しない旨、内閣府、総務省から見解が出され
ています。
⑷ 支援者
① 緊急性を考慮し、支援者として近隣の方を希望します。なお、支援者
選定に本人等の意向を聞き入れることが、
「
『災害時要援護者の住民支え
合いマップ』作りの促進」によって各自治体に通知されています。
よるものです。
阪神・淡路大震災の際も、救助された方の 95%は家族または近隣住民に
② 突発的な災害に備えて、複数の支援者と連携します。
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3 支援協力体制の整備
⑴ 救援体制
障害者等に対する防災体制や災害時の救援体制は、自主防災組織、自治
会、町内会、民生委員、児童委員、ボランティア等の活動に拠るところが
非常に大きく、安否確認、避難誘導、救出・救護などは、地域ぐるみの支
援が必要です。
また、現在は災害時における社会福祉協議会や災害ボランティアコー
ディネーター等が対応した「ボランティアセンター」の立ち上げが早い傾
向にあります。非常時には、これを有効活用できるような体制を作って
おきます。
第4章
⑵ 医療機関
災害発生時の抗てんかん薬の確保を含めた医療体制については、地域の
専門医療機関等の一覧表を作成し、毎年 1 回は更新しておきます。また、
てんかんセンターや基幹病院を一覧表にしておくことも重要です。
⑶ 防災体制の確認
近隣自治体の防災体制等を確認し、災害発生時に連携できるようにして
おけば、さらに効果的です。
25
第5 章
支援と復旧
災害が起きてしまったら、どのような支援を行い、復旧に努めていくか
想定しておくことも重要な災害対策です。広域に渡って、長期間の助け
合いが大切になってきます。
1 支援
⑴ 生活支援
① 波の会本部および各都道府県支部は、災害状況により、直ちに「○○
生活・医療支援本部」を立ち上げます。
② 活動支援は、住居または避難所状況を把握し、必要な措置を講じます。
③ 市(区)町村災害対策本部および避難所等との連携を図り、情報収集
します。
④ 不足している生活支援物資の状況を把握し、必要によって隣接支部へ
の支援を要請します。また、避難所または福祉避難所においては、福祉
担当者等と連携し、必要な要請等を行います。
なお、波の会ブロック単位の支援が必要な場合は、ブロック担当理事
をチーフとして円滑な活動を開始します。
⑵ 医療支援
① 処方薬剤の残量、緊急処方の有無、基幹医療機関の診療体制状況を把
握し、各支部事務局から情報提供できるようにします。
② 支部内の一定地域に被害が限定している場合は、被害を受けていない
地域の世話人等が連携し、医療機関の情報提供等を行います。
③ 災害は○○支部全体に及ぶ場合は、隣接支部が順次補完し、ブロック
単位での医療機関等の情報を提供します。なお、必要により波の会独自
の医療班を派遣します。
④ 抗てんかん薬の調達は、必要により波の会本部から薬剤メーカーに依
頼します。
⑤ 医療支援は、特に心身両面のケアを含みます。
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⑶ 相談窓口の設置
本部または支部には「災害相
談窓口」を設置し、必要に応じ
てピア・カウンセラーによる相
談体制を構築します。
⑷ 巡回相談の実施
会員からの要請時には、必要
に応じて支部役員等が避難所巡
回や訪問活動を行います。
2 復旧
⑴ 医療面
① 災害が落ち着いた場合でも、精神面に不安感が残存します。確実な処方
第5章
と睡眠等の管理を徹底させます。
② 治療医療機関で受診をし、担当医等の指導を受けてから通勤等の生活に
戻るように配慮します。
⑵ 生活面
① 最初にライフラインの復旧を確認し、生活拠点の安全を確認します。
② 住居等の後片付けにおいて災害ボランティアの支援が必要な場合は、
○○災害対策本部福祉担当または○○災害ボランティアセンターへ支援
要請します。
③ 必要により、所属支部または隣接支部からの応援を要請します。
④ 本部および支部の災害対策本部は、会員からの要望に基づき、必要な復
旧支援を行います。
⑤ 自分が被災せず動揺が少ないときは、他の会員の支援を行います。
⑶ その他
その他、復旧に支援が必要な場合は、本部または支部の事務局に問い合
わせましょう。
27
緊急時支援覚書 ※事前に記入し、いつも携帯しましょう。
ふ
り
が
な
□男
本 人 氏 名
□女
生 年 月 日 □ 大 正 □ 昭 和 □ 平 成 年 月 日 ( 満 歳 )
住 所
T E L
FAX
E-mail
FAX
E-mail
F A X 03-3202-7235
U R L http://www.jea-net.jp/
FAX
E-mail
FAX
E-mail
FAX
E-mail
■主たる支援予定者
続 柄
氏 名
T E L
■てんかん協会連絡先
波の会本部事務局
T E L 03-3202-5661
ブ ロック 担 当 理 事 氏 名
T E L
支部事務局
支部名
T E L
支部関係者
氏 名
T E L
①隣県 ( )支部
T E L
FAX
E-mail
②隣県 ( )支部
T E L
FAX
E-mail
FAX
E-mail
FAX
E-mail
FAX
E-mail
FAX
E-mail
■緊急連絡先
①続柄
氏 名
T E L
②続柄
氏 名
T E L
福祉事業所(施設) 名 称
T E L
学 校
T E L
28
名 称
作成年月日 平成 年 月 日
医
病・医院、クリニック名
主
治
医
療
所
氏
在
機
電
話
名
地
番
号
処方薬剤(種類・量・服用回数)
関
医
療
保
険 □健保 □国保 □共済 □その他( )
保 険 証 NO.
□無 手帳 NO.
□身障( 種 級)
手帳取得の内容
□療育(区分 ・ 級)
□精神( 級)
介
助
状
況
□有 ※その概要
□無
避難経路(避難予定先までの地図を書いておきましょう)
避難予定先名称
住所 連絡先
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※この小冊子は、
「マニュライフ生命・中央共同募金会災害被災地復興自立支援助成」を受けて作成しました。
波の会 災害対応マニュアル
2009 年3月 31 日 初版発行
発行
(波の会)
JEA(Japanese Epilepsy Association)
〒162-0051 東京都新宿区西早稲田2-2-8
全国心身障害児福祉財団ビル4F
TEL:03(3202)5661 FAX:03(3202)7235
URL:http://www.jea-net.jp/
企画編集協力 株式会社あーす 東京都中央区日本橋蛎殻町1-17-2
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